【完結】【R18二次】白聖女と黒騎士【魔女狩り聖女】 作:村人JJ
見よう見真似で陰茎を宛てがおうとして、レーベンは早速出鼻を挫かれる。秘裂の入り口が分からない。勘に任せて先端を押し当てると、もう少し下ですよ、と細指に誘導された。格好がつかない己に嘆息していると、シスネが口元を隠して可笑そうに笑う。
「終わったら官能書を読み直すとしよう」
「駄目ですよ。私以外の女の素肌を見るなんて、書籍の挿絵でも許しません。これからはヴァローナの英雄譚も禁止です」
「ではじっくりと貴公を見て学ぶことにする。……その、もう一度、広げてみせてもらえないだろうか」
「調子に乗らない!」
などと一喝しておきながら、シスネは先程からレーベンの股座に熱い眼差しを向けている。顔を背けたまま目線だけで凝視する姿はおぼこのようでいじらしい。興味津々というよりは戸惑いを隠せない様子だったが。
「改めて見ると大きいですね。本当に根元まで入るのでしょうか」
全部受け止めると断言してみせたところで、不安を拭えるわけではないのだろう。舌先三寸だと笑う気は起きなかった。レーベン自身もうまくやれるか心配なのだ。受け入れる側の心境は推して知るべしである。シスネの緊張をほぐすために、レーベンは分かりやすい一例を持ち出した。
「ライアーよりひと回りは小さいはずなんだが」
イチモツの標準など分からないが、アレは規格外だと断言できる。筋骨隆々とした巨躯にそぐなう肉棒だった。大浴場でライアーと鉢合わせた際には我が目を疑い二度見した程だ。あのデカ魔羅に比べたら己の男性など短小もいいところである。
「……何とかなる気がしてきました」
シスネは脳裏に描いた巨塔に圧倒されたのか、「カーリヤはどうするつもりだったんでしょう?」と心底不思議そうに呟いている。レーベンも全くの同感だったが、今や真相は藪の中だ。
「本当に辛かったら言ってくれたまえよ。加減……できる自信はないが、善処する」
「上等ですよ。あまり私を舐めないでください」
シスネは強気な言葉で自分自身を鼓舞している。これ以上の気遣いは冒涜に値するだろう。覚悟を決めて先端をゆっくりと挿し込んだ。滑りのある愛液がレーベンを包み、潤滑油となって奥へと導いていく。
「ん……はっ———」
陰茎が肉壁をめりめりと押し広げる。シスネの膣内が、少しずつレーベンの形へと変わっていく。男を知らぬ聖域を己のイチモツで穢す征服感、高揚感、背徳感——そんなものに浸る余裕はまるでなかった。
「…………っ」
キツい。締め付けによる快感は想像以上で、気を緩めれば即座に果ててしまう。吐精を堪えることが精一杯でシスネに気を使う余裕はまるでなかった。歯を食いしばりながら腰を突き出すと、一際強い抵抗を伴い陰茎がギュッと圧搾された。
「ゔ———っ、く……あ゛あぁッ」
「シスネっ⁉︎」
喘ぎとは異なる悲痛な叫びにレーベンは思わず体を起こす。膣口から溢れ出す粘液に鮮血が混じっていた。シスネが操を捧げた証だった。
痛みに強いと豪語してみせた彼女も、破瓜の苦痛は予想だにしなかったようだ。初めて味わう感覚に顔を歪めて、額に脂汗を滲ませている。
「すまない……貴公に気を回せなかった。俺のせいだ」
一度抜いてしまおうと腰を浮かすと、白い細腕が蛇のように上体へ絡み付いた。両手の爪は獲物を離すまいと容赦なく背中に食い込んでくる。シスネは大胆に両脚まで絡めて全身でレーベンを引き留めていた。
「駄目ですっ……絶対に、耐えられますから。慣れてみせますから——」
一方的に快楽を享受することしかできない男の体が恨めしい。レーベンには破瓜の痛みを想像することもできないのに、シスネは目尻に涙を溜めて、声を震わせながらもしがみついてきて、
「貴公、何故そこまで……」
「自惚れないでください! あなたのことなんか——き、嫌いですっ‼︎」
血を吐くような叫びだった。破瓜の痛みが、不安が、恐怖が、シスネの感情をぐちゃぐちゃに掻き乱していた。冷静さを奪われたことで、いつもは固く閉ざされている心の端が浮かび上がる。
「嫌いなのに……大嫌いな、はず、なのに……」
自分に言い聞かせているかのようだった。繰り返し唱える自己暗示の呪詛も、普段とは別人のように弱々しくて。
過去の惨劇から自身を防衛するために、シスネが繕い続けた悪意の仮面。頑なにレーベンを嫌いと言い張る偏執が揺らいで、本人も無自覚だった感情が露わになった。
「あなたをっ、肌で感じたくて……」
「レーベンに——愛されたいんですっ!」
大粒の涙が零れ落ちた。レーベンへの想いが溢れて止まらない。欠けた仮面の隙間からは啜り泣く少女が顔を覗かせていた。決壊した感情には歯止めが効かず、シスネはレーベンの胸に縋り付いて懇願する。
「抱き締めてください」
「口付けしてください」
「好いてください」
「愛してください」
「この先もずっと」
「私を——私だけを、求めてください!」
どこまでも傲慢で、我儘で、一方的な願いだった。そんな身勝手極まりない彼女の祈りを、レーベンは全身全霊を捧げて包み込む。シスネに口付けの雨を降らせて、一心不乱に好きだと愛を囁く。体重をかけ過ぎないよう気を付けながら、シスネに覆い被さるようにして思い切り腰を叩きつけた。
陰茎が根元まで押し込まれて子宮の入り口付近に到達する。性感帯の奥深くを抉られて快感の波がシスネを襲った。脳が思考を放棄して、分泌物は唇から嬌声を上げさせる。
「あっ、ん……あぁぁっ————」
絶頂には届かなかったものの、シスネは痛みを忘れて余韻に浸った。多幸感が情緒の乱れを沈めて、心に安寧をもたらしていた。満たされていた。幸せだった。それなのに、レーベンは表情を曇らせながら、心配そうに自分を見つめていて、
「……何ですか、その顔は」
額を押し付け、鼻先で触れ合い、唇を甘噛みしてやった。もう大丈夫、と彼に伝えるために。いつもの自分らしく振る舞えるように。
「私の膣内では、満たされませんか?」
敢えて焚き付けるような台詞を選んで、シスネは挑発的に笑ってみせた。膣内を異物に侵されながらも気丈に振る舞う健気さが、どこまでも不器用なその優しさが、レーベンの胸をぎゅうと締め付ける。シスネの気持ちに応えたい。彼女の献身に報いたい。だから——
「とても、良過ぎる。貴公は……最高の名器だな」
…………
…………
気まずい沈黙。
「その、なんだ、また間違えてしまったのだろうか?」
「官能書で齧った程度の知識をひけらかすのはどうかと思いますよ」
この馬鹿はこれだから、と呆れを隠さずに呟かれてレーベンの額を冷や汗が伝う。ここ一番でもやはり締まらない男だった。その場を取り繕う言葉も浮かばないのか青い顔で途方に暮れている。
もっとも、この程度で失意に暮れるようでは馬鹿の相方など勤まらない。
「ご心配なく。あなたが初めからうまくやれるなんて期待はしていません」
「だから、次はもっと気の利いた言葉をかけてくださいね」
含みを持たせたつもりだった。今回の失言には目を瞑る。そして、身体を許すのは今回限りではない。
慰めるように背中を撫でてやると、レーベンは無言のまま陰茎を奮い勃たせた。この男、やはり御し易い。——しかし先程から勃たせ過ぎではないだろうか。男とは皆このような生き物なのか。
「んっ……また、大きくなりましたね。もしかして、まだ上があるんですか?」
「俺も驚いている。いつかライアーに届くのかもしれないな」
「勘弁してください、形が変わってしまいます」
「俺専用というやつだな。なんだか興奮して——すまない少し緩めてくれ、射精してしまう」
叱責代わりに強く締め付けてやるとレーベンはあっさりと白旗を上げた。射精を堪える苦悶の顔には嗜虐心を唆られる。とはいえ、ここで焦らすほど鬼ではないつもりだ。
「もう痛みは収まりました。慣れましたから、好きなように何でもしてください」
「……貴公、やはり言葉を選ぶべきではないか。前もそうだったが、誤解を招く」
「この状況では誤解も何もないでしょう。言いましたよね、一方的に愛されるのは性に合わないんです」
幼子のように彼の胸板に縋って、無償の愛を乞い願ったばかりなのに。いったいどの口で言うのかと自嘲せずにはいられない。レーベンに借りなど作るものか、と対抗心でも拗らせてしまったのか。
この感情は単なる意地なのか、その正体はシスネ自身にもまだ分からない。それでも、穢くて、馬鹿正直で、大嫌いなはずのこの男のことを、シスネは——
「出たとこ勝負は得意なのでしょう? 今更、何を躊躇うのですか」
恥を忍んで、レーベンを根元まで咥えたまま自ら腰を揺すってみせた。今度こそ、最後まで受け止めてみせるという意思表示。下に寝ているシスネの方から続きを強請るかのような振る舞いだった。
レーベンもとうに我慢の限界を迎えている。愛する女とこれだけ肌を重ねて、まだ出さずに済んでいることが奇跡に等しいのだ。理性で抑えていた衝動を解き放つかのように、シスネの両脚を掴んで躊躇なく開脚させた。
「すまんっ、辛いだろうが耐えてくれ」
それだけ告げると、レーベンは返事も待たずに容赦なく腰を打ちつけた。ぐちぐちと膣内を掻き混ぜながら無我夢中で抜き差しを繰り返す。いきなり律動が激しさを増してシスネの腰が大きく跳ねた。
「きゃあっ⁉︎ ——ふっ、ぅん、んんんっ」
思わず声を上げてしまうと即座に唇で蓋をされた。レーベンは腰の動きを緩めないまま、巧みに舌先で口腔を蹂躙する。上下の口を同時に愛される快感に、シスネの理性は瞬く間に溶かされた。黒い瞳がトロトロに蕩けて劣情の炎が激しく燃え上がる。
シスネは暴れ回る舌を押し返して、自らレーベンの口内に侵入した。歯列をなぞり、上顎を舐め回し、くちゅくちゅと音を立てながら舌を絡ませる。息苦しさから口を離すと、ねっとりとした唾液が糸を引いていた。
快楽に惚けたレーベンの顔がどうしようもなく愛おしい。下腹部がキュッと疼いて膣口から愛液が溢れ出す。シスネは何度も唇に吸い付き、啄むような口付けを繰り返した。レーベンが欲しくて、欲しくて仕方がなかった。
「——っは……レーベン、レーベンっ」
シスネからの熱烈な求愛によりレーベンも最高に滾っていた。限界まで膨らんだ陰茎を往復させて膣壁を容赦なく拡げていく。奥まで差し込んで掻き回すように動かすと甘い声音が密室に響いた。今までとは異なる反応だった。
一刻も早く射精したかったが、絶頂はシスネと一緒に迎えたい。激しく前後させるのを止め、ゆっくりと円を描くように回し、斜めに擦るように動かしてみた。緩急をつけたことが効いたのか、シスネは顔を赤らめて息を荒くし始める。絶頂が近い証拠だった。
膣壁を引っ掻きながら限界まで腰を引き、ゆっくりと、根元まで一気に押し込んだ。そのまま先端を押し付けるようにして最奥をグッと圧迫する。シスネの細腕が首に回され、レーベンも応じるように強く抱き締めた。
「レーベンっ……私、もう…………っ!」
「シスネ、俺も、だ————」
シスネの体がビクビクと震えて急激に締め付けが力を増した。レーベンも腰を深く沈めて陰茎から精を解き放つ。
熱を帯びた白い粘液が断続的に奥へと吐き出された。シスネは吐精を促すように膣壁をぎゅっと収縮させる。レーベンが一滴残らず出し終えるまで、互いに無言のまま抱き合い続けた。離れることが名残惜しかった。ずっと、このままでいたかった。
「…………」
気づけばどちらからともなく唇を重ねていた。性交の余韻に浸りながら浅い口付けを繰り返す。紛れもない至福の時間であった。
やがて呼吸を整えたレーベンは、シスネを労わるように前髪を梳いた。黒い瞳は焦点が定まっており、彼女も夢見心地から覚めたようだ。
「貴公、大丈夫か?」
「……発情し過ぎですよ、馬鹿」
あれだけ大胆にレーベンを誘惑しておいて、結局はこの始末である。気難しいにも程があったが、拗ねた顔で不機嫌を主張する姿も愛おしい。宥めるように頬に口付けを落とすと、ふいと視線を逸らされた。
「これからは優しく触れる。だから許してはくれないか」
「……別に、嫌だったとは言っていません」
「そうか。やはり貴公は激しいのが好みなんだな」
「やはりとはどういう意味ですか。私を何だと思っているのですか?」
全否定されないあたり、あながち的外れでもないらしい。加虐趣味の気質を見せる一方で、その実内罰的な彼女のことだ。愛の言葉を囁くよりも、その身に刻んでやる方が安心できるのだろう。案外、被虐嗜好な一面も持ち合わせているのかも知れない。そんな考えに耽っていると、シスネが思い出したかのように呟いた。
「膣内に、出してしまいましたね」
そこでようやくレーベンも我に返る。こうなった以上、シスネは子を孕んでしまう恐れがあるのだ。そうなれば聖女を続けられないどころか、人生そのものが大きく狂いかねない。
射精を堪え続けて考える余裕がなかったとか、シスネも膣内射精を拒もうとしなかったとか、そんな言い訳など罷り通るはずもない。後悔の念に駆られていると、いきなりギュッと鼻を摘まれる。
「私の処女を奪っておいて、そんな顔をするなど許しませんよ?」
レーベンの懸念を一蹴するかのように、シスネはうっとりした様子で子宮を撫でていた。膣内に出された子種を、まだ見ぬ彼との子供を慈しむかのように。慈愛と温もりに満ちたその笑顔は、我が子の誕生を祝福する母親そのもので——
「大丈夫、ですから」
騎士を引退した後の食い扶持はどう稼ごうとか、シスネの家族にはいつ挨拶に伺おうとか、子供の名前は何にしようとか。——全て、吹き飛んでしまった。
目の前に聖母が顕現していた。
レーベンの中で、何かが弾けた。
「私は医療者の家系ですよ。周期の管理くらいちゃんと——」
「結婚しよう(必ず責任は取らせてもらう)」
あまりにも唐突過ぎる求婚だった。情緒もへったくれもない、場当たり的で勢い任せの告白だった。これが恋物語であれば三流の酷評は避けられないだろう。当然ながらシスネは理解が追い付かず困惑の渦に叩き落とされる。
「……え?」
「シスネ、好きだ(シスネ、好きだ)」
戸惑う彼女を置き去りにして、レーベンの男性は急速に機能を回復する。太さ、長さ、硬さ、全てが過去の記録を塗り替えて、竹竿が両手剣へと進化を遂げる。睾丸は限界を上回る稼働率を発揮し、過去最高の速度で精子を補充した。全てはシスネと歩む未来のために。彼女に元気な子供を産んでもらうために。
突然下腹部に異物感が蘇り、シスネは思わず身を固まらせた。確かに、全て受け止めると言った。何でも好きにしていいと言った。——でも二回目があるなんて聞いていない。
「ちょ、ちょっと待ってください! ついさっき射精したばかりじゃないですか。少し休ませてくださ————い゛ぃ⁉︎」
強烈なひと突きを受けてシスネは抗議を中断させてしまう。御し易い、などと侮っていた先刻の自分を戒めたい。レーベンはとんでもない暴れ馬——否、猛獣だったのだ。
対話を諦めて逃げ出そうとするも、体を捻ったところで後ろから両胸を鷲掴まれた。そのまま乳首を乱暴に抓られ、シスネの試みはあっさり頓挫してしまう。ビリビリとした刺激に脳が痺れて、口から涎と舌が垂れ下がった。うつ伏せのまま痙攣するシスネを、レーベンは背後から容赦なく突き上げにかかる。
「ふあぁッ⁉︎ ン、は……やあっ——」
まるで獣の後尾だった。レーベンは夢中で腰を穿ちながらも、両手でシスネの乳首を丹念に愛撫し、唇にむしゃぶりいてみせる。達した直後の敏感な体で、胸を含んだ三点を同時に攻められたのだ。シスネは忽ち恍惚状態に陥り、だらしなく唾液と愛液を垂れ流す。
「レー、ベ…………もっ……と……」
何時しかシスネは自ら四つん這いになり、レーベンに臀部を突き出していた。雌としての本能に目覚めていた。そのまま後ろから貫かれる快感に溺れて、身悶えしながら喜悦の鳴き声を上げる。清貧な聖女の姿は見る影もなく、発情した雌犬のように尻を振っていた。
「シスネっ、シスネっ……!」
レーベンも狂ったように雄叫びを上げながら腰を突き出す速度を早めた。シスネの汗と体液の濃厚な匂いが一層興奮を煽り立てる。互いの汗ばんだ体がぶつかり、ぱんぱんと卑猥な音が響いていた。
自分でも不思議な感覚だった。体の奥底から獣欲が漲り、湧水のように力が溢れてくる。得も言われぬ全能感に後押しされて、レーベンは渾身のひと突きを放った。
陰茎を根元まで挿し入れて最奥にごりごりと擦り付ける。同時に片手を膣口まで延ばして、剥き出しの陰核を指先で押し潰した。甲高い悲鳴を伴いシスネの中が急速に収斂する。
「や、そこっ……あっ、あ——あぁぁぁっ‼︎」
レーベンはひとまりもなく吐精した。子宮に子種を注ぎ込むように、何度も、何度も奥底へ放った。シスネもぎちぎちとレーベンを締め付けて空になるまで精子を搾り取る。溢れ出た白濁液が腿を伝ってシスネの内股を汚していった。
二度目の絶頂を終えた二人は力無く寝台に頽れた。息も絶え絶えなシスネを下敷きにしてしまい、レーベンは慌てて起き上がろうとする。まだ半勃ちの陰茎が急に引き抜かれ、弾みで膣壁が強く引っ掻かれた。シスネの腰が跳ね上がる。それが合図になった。
「あっ——」
短時間に二度も達して女性器が刺激を受け過ぎたのか。あるいは、先刻までエイビスと飲んでいたことが災いしたのか。快感とは異なる感覚が込み上げて、シスネは体をぶるりと震わせた。
「…………え」
内股に生温かさを感じて、ようやく彼女は状況を理解する。濡れていた。否、漏れていた。精液でも愛液でもない、水気を帯びた液体が。挿入で緩んだ膣口から、少しずつ勢いを増していて——「厠へ」と思い至った直後に、成す術もなく決壊した。シスネは叫んだ。
「だ、だめですっ! 見ては——見ないでっ‼︎」
陰部から小水が噴出した。緩い放物線を描いて毛布に染みを広げていく。シスネは下腹部を小刻みに震わせながら、尿意が収まるまで失禁を晒すほかなかった。厳密には潮を吹いていたのだが、上級者向けの官能書に手を出せなかった彼女には知る由もない。
必死に見るなと訴えたのに、灰色の瞳は食い入るようにシスネを注視していて。でも止まらなくて。止められなくて。放水に伴う開放感など感じてしまって。いやらしい水温が響いて、いやらしい匂いが立ち込めて、いやらしい姿を、いやらしいシスネを、全部、全部レーベンに見られてしまって。
「あ、あ……ああぁ………」
恥ずかしかった。屈辱だった。公開懲罰など生ぬるい、人生最大の生き恥だった。いっそ殺せと願うシスネを嘲笑うように、弛緩した膀胱は絶え間なく小水を垂れ流していて。生理的な興奮と快感の波が、彼女に己は痴女なのだと告げていた。
両脚を閉じることすら忘れてれ、シスネは身悶えしながら淡い茂みを濡らし続ける。今すぐ消えて無くなりたかったけれど、魔女になることもできなくて——彼女は、考えるのをやめた。
「…………」
耐え難いほどの体感時間を経て、生き地獄を終えたシスネは虚ろな瞳で目の前の惨状を眺めていた。まるで寝小便みたいだ、なんて他人事のように考えながら。蒸せ返るような雌の香りが鼻についたが、不思議と涙は出なかった。
本能が受け入れることを拒んでいた。これが現実なら、シスネはきっと、恥ずかしさのあまり死んでしまう。だから、これは悪い夢なんだ。現実であるはずがない。
自然とレーベンを探していた。藁にも縋る思いだった。抱きしめて、口付けして、悪夢を覚まして欲しかった。早く、彼に会いたかった。
「……レーベン?」
目の前に見知った顔がいる。いつものように裸を晒して、何故か今日は下まで脱いでいた。シスネを見つけると気まずそうに俯いて、反省の色を示すかのように正座までして、
股の間から巨根が生えていた。
レーベンの男性は勃起していた。
「————ふっ」
怒りが、羞恥を塗り潰した。
怒りが、笑いへと裏返った。
「ふ、ふふ……ふ——」
罵声でも怒声でない、笑いを含んだ特徴的な声。シスネが本気で怒っている証拠だった。嫌悪と憎悪が剥き出しの双眸には一片の慈悲も見出せない。事ここに至ってようやく、レーベンは取り返しのつかない失態を犯したのだと自覚した。
「私の純潔を散々弄んでおいて……あなたは、節操も無く勃たせてばかり——」
膣口から子種が零れるのも気に留めず、シスネは寝台の上で器用に立ち上がる。怒りと羞恥が限界を超えたことで、逆に冷静さを取り戻したようだ。加虐趣味と被虐嗜好の素質を併せ持つ、彼女特有の二面性。その暴力的な側面がレーベンに容赦なく牙を剥く。
「——変態」
白い足が股間に伸びてきて陰茎を容赦なく踏みつけた。そのまま足指が先端に掛かかり、亀頭をぐりぐりと刺激される。睾丸を潰されずに済んだのシスネなりの情けか、あるいは愉しみをすぐに終えないためか。嗜虐に染まった黒い瞳は後者が正解だと如実に物語っている。
「あなたにも、見せてもらいますよ」
次はお前の番だ、とばかりに宣告を受けてレーベンは背筋を震わせた。快感ではなく、悪寒によって。——とても、嫌な予感がした。
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