既にとっぷりと日は暮れて、虫の鳴き声が微かに聞こえる城塞高地のメインキャンプ。ランタンの明かりだけが頼りなく照らすその中で、一組の男女が一つの寝台に隣り合って腰を下ろしていた。
鎧や外套を脱ぎ、肌着のみになったフィオレーネは、その豊かな双丘と、胸以上に豊か且つ美麗な曲線美を描く臀部を男の目に晒している。一度腹をくくってしまえば、この程度は何でも無い。そう言い聞かせながらフィオレーネは口を開く。
「こ、こういうのは、何から始めれば良いのだ?」
フィオレーネと同じくインナーのみ纏うラフな出で立ちとなったハンターは、少し考えて「雰囲気作りが大切だ」と言った。
「ふ、雰囲気? それは…どうやって作るんだ?」
男はまた少し考え、自らの腕をフィオレーネの前に差し出す。
「…身体を、触らせる、と?」
男は頷く。フィオレーネは半信半疑ながらハンターの右腕をおずおずと触る。筋肉の質感を確かめるような手付きは、スキンシップというよりはボディチェックじみていた。
(こんな感じで、良いのだろうか……)
特に精神的な変化は感じない。そう思いながらぐにぐにと男の腕を色々触ってみるフィオレーネは、一つ気付く。
(腕は…意外と、細いのだな)
無論、身の丈ほどもある武器を振り回している以上、戦闘とは無縁な街の男に比べれば明らかに太いのだが、彼と同年代の王国騎士とさして変わらないように思える。
だが、その腕が彼らと真に同程度なのかと問われれば、絶対に違う。腕に、腹に、足に。全身に刻まれた無数の傷痕が、その男の戦歴の壮絶さを物語っていた。
百竜夜行という恐るべき災害に苛まれるカムラの里で生まれ育ち、ハンターとして数多の敵を狩り続け、百竜夜行の元凶とされていたマガイマガドを打倒し、真の元凶たるイブシマキヒコ、ナルハタタヒメをも討ち、カムラの里を危機から救った。
そして、エルガドでもまた―――。
「凄いな、貴殿は」
ぽつりと、そんな言葉が口から零れた。何事かとこちらを見るハンターに、フィオレーネは更に言葉を紡ぐ。
「記録としては、ロンディーネからの報告で知っていた。共に戦う中で、それが誇張なき事実であると認識できた。だが、それ以上に…この傷と、鍛え上げられた肉体を見れば、納得する。貴殿の戦いの歴史の全てが、この身体には刻まれているんだ」
まるで芸術品を見るかのような、感慨に満ちた眼差しをハンターの腕に向ける。傷痕の一つに指を這わせ、その縁をなぞる。この傷を受けた戦いの様子が、閉じた瞼の裏に蘇るようだった。
「―――美しい、身体だ。」
紛れもない、本心から出た感想だった。ハンターは頬を掻きながら顔を逸らす。その態度を見たフィオレーネは、少し愉快な気持ちになっていた。背中をバシバシと叩いて背中の肉付きも掌で感じ取る。
「ふふ、貴殿も照れる事があるのだな? よし、この際だ! 貴殿の肉体美というものを余さず調べてやろう! どれ、次は脚を―――っ!」
フィオレーネが脚に手を伸ばす。見るからに上半身以上に鍛え上げられていそうな男の右の腿に触れ――息を呑んだ。
(鋼!?)
皮膚の下に何か仕込んでいるのかと勘違いするほどに、男の脚は堅かった。上半身――というか腕――のそれとはまるで異なる。ここまで鍛え上げられた脚の持ち主は王国騎士にもそうはいないとすら思えるほどだった。
それもそのはず。ハンターが何よりも真っ先に打ち克つべきは、モンスターではなく自然である。碌に整備されていない山道を、足を捕られる水辺や砂地を、身体の芯が凍てつく寒冷地を、立っているだけで倒れてしまいそうな豪熱地帯を。その全てを踏破し、獲物を追いかけるスタミナこそが最も肝要だ。
故にハンターの足腰は尋常の域を超えるほどに強靭であり、それが『猛き炎』ともなれば、フィオレーネが特段筋肉に対する嗜好を持っていないとしても、思わず我を忘れる程の魅力・逞しさを備えていた。
(っ、凄まじい…なるほど、これが猛き炎の神秘か……。私も鍛錬を怠っては居ないがこれは、惚れてしまいそうだ―――待て。今から、この偉丈夫に抱かれる、のだよな? 私は……)
忘れていた羞恥心がぶり返し、俯けた顔が熱を帯びる。ただ触っているだけの状況が耐えられなくて、視線を彷徨わせ言葉を絞り出す。
「す、凄い…な、貴殿の身体は…場所を選ばず戦い続ける為には、これだけの身体が求められるのか―――ッ!?」
ふと、目に入る下の肌着、その左腿――フィオレーネからは遠い側――を歪にぼこりと盛り上げる異物の存在。それはこうしている間にも徐々に体積を増し、今にも先端が布地からはみ出してしまいそうだ。
意識して視界から外そうとするも、そんな異物がそう簡単に視界から外れてくれるはずもなく。あるいはフィオレーネの思考に宿るキュリアの遺志がそうさせるのか、どうしてもソレから目が離せない。
(い、いくらなんでも大きすぎないか…!? いや、比較対象など無いのだが……だがしかし、ここまでのは日常生活に支障が出ているのでは…いやそもそもこれは、入るのか!? 私の中に! 臍どころか肋まで届くんじゃないのか…? 太さだって、私の手首くらいあって…あ、あんなものを受け入れたら、最悪死んでしまうのでは…!?)
何度か深呼吸を繰り返し、少しばかり冷静さを取り戻す。
「あ…い、いや、なんでも、ない……」
とんでもないものを目にしてしまった。遠からず訪れるその時への恐怖が心に染み付きながらも、フィオレーネは改めて男の脚に手を伸ばす。先程の威勢はどこへやら、恐る恐るの手付きで触れる中、ついつい男の陰茎に意識が向く。
(か、身体を触らせるのなら……当然、あれも……いや、しかしそれはまるで……私が我慢できないみたいじゃないか…? うっ、だが、なんだ、意識が吸い寄せられるようだ……♡)
肌着に隠れた陰茎へと向かう手付きは、内心の混乱がそのまま表出した覚束ないもので。ハンターはそれを見て、フィオレーネの手首を掴んで止める。
完全に意識外からのアクションに、フィオレーネは飛び上がりそうなほどに驚いた。
「うわぁ! い、いきなり…!」
『その前に、こっちの番だ』と男は告げる。一瞬何を指した発言なのか理解しそこねたフィオレーネだったが、身体を触らせる話だと気づく。
「あ、あぁ……そうだな。その通りだとも。……ん」
緊張のあまり少しぶっきらぼうな態度になってしまったが、フィオレーネは自らの左腕を男に向ける。
男は繊細な手付きで、フィオレーネの肌に振れる。瞬間、フィオレーネの腕から頭まで、微かな電流が駆け抜けた。
「んっ」
思わず上ずった息が漏れる。フィオレーネは慌てて口を抑える。自分の口からこんな声が出たことが信じられなかった。
(な、何故ただ腕に触れられただけで、こんなに反応してしまうんだ…!? まるで生娘…いや生娘に相違はないのだが…。私は王国騎士だ! みっともない様を晒す訳には…!)
フィオレーネは気付いていないが、それが雰囲気の力。スキンシップによって高まったムードはどちらともなく『その気』にさせてしまい、募る期待に鼓動は高鳴り、身体の感覚は鋭敏になる。
ハンターはフィオレーネの反応を見て痛がってはいない事を確認し、スキンシップを続ける。手相でも見るように上向けた掌を握り、肘窩へ向けて親指を滑らせていく。男の指が自分の体を這うたびに、フィオレーネは息が零れそうになる。
「っふ…! くっ、ん…っ」
男の指が不意に背中に伸びて、つうっ、フィオレーネの背筋をなぞる。それまでの微かなものとは大きく異なる刺激がフィオレーネを襲った。
「ひゃうっ!? っな、何をするっ!」
反射的に空いた右手の拳を握りしめるが、先程自分が調子に乗って背中を叩いた仕返しだと気付く。拳を下ろそうとしたが、それよりも良い手を思いついた。
「貴殿、先の反撃のつもりか? だがやったやり返されたで終わりではつまらんだろう…こうだ!」
フィオレーネの右手が男の腿に伸びる。敏感な内腿を手のひら全体で撫で擦られ、男は苦悶のうめきを上げた。
「そら、悔しければ貴殿も反撃してみたらどうだ? 受けてばかりでは狩猟は成立しな――んあっ!♡」
男は負けじとフィオレーネの胸を掴む。ごつごつした五本の指が男の勢いに反して優しく、フィオレーネの肌着越しの乳房を揉み上げる。
感じた具合は腕を触れるのと大差無い。だが、このまま触らせ続けるとそれでは済まない予感があり、そしてフィオレーネは張り合うほどにエスカレートする状況にブレーキを掛けられるほど冷静でもなかった。
「んっ、くうっ……! き、貴殿がそう来るのなら、こちらにだって考えが……考えが、あるぞ!」
負けん気と勢いと、死して尚フィオレーネの裡で蠢くキュリアの本能が、フィオレーネに一線を越えさせた。異常とすら言える男の逸物に、肌着越しに遂に触れる。
男は急な刺激に背筋を震わせ、陰茎に更に血が集まる。
(更に、大きく…っ!? 布越しでもはっきりと分かるほどに熱く、血管の感触すら感じる……どくどくと脈打って、握れば微かに沈む表面の柔らかさと、芯はびくともしないほどに硬くて…な、なんだか妙に息苦しい……)
「はっ、はあっ……♡」
好奇心混じりの内心はさておき今のフィオレーネの態度は、男の目には逸物に発情した雌の
男の知るフィオレーネのどれとも異なる淫靡な表情に、ハンターは生唾を飲み込む。
(肌着に隠れたままでも、ここまで私を魅惑する『猛き炎』の男性器……じ、直に見たら一体、どうなってしまうのだ……? 見たい、彼の逸物を、直に――)
「こ、こんなものを、いつまでも下着の中に閉じ込めていては、く、苦しくはないか…? そ、外に出したほうが、貴殿も楽になるのでは…」
男は「それは、フィオレーネも同じじゃないのか」と言った。フィオレーネは男の目つきと声音に滲む男の隠しきれない興奮と、フィオレーネの身体に向けられた獣欲を感じ取る。普段なら不快でしかないその感情が、今は不思議と快い。それどころか下腹部がじゅんと疼いて、身体が更に男を求めたくなる。
「っ……、そうだ、な。その通りかもしれない、な…?」
どちらからともなく、互いの肌着に手を掛ける。
男の手が、フィオレーネの上の肌着を捲りあげ、
フィオレーネの手が、男の下の肌着をずり下ろす。
だぽんっ、ぶるんっ、と。
互いの性のシンボルが、互いの眼前に曝け出される。
「「―――」」
最早二人に、言葉はいらない。
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二人のボディタッチは、それまでとは異なる様相を呈していた。最初はお互いよく知らないままの雰囲気作りだったが、既にその事は頭から抜け落ちている。出来上がっていた淫猥な
「んっ、はぁっ♡ なんだ、妙にいやらしい触り方をするじゃないか…。私は、乳牛では無いんだぞ…♡」
背中から回された男の手がフィオレーネの身体を抱き寄せながら、まるで牛の乳を絞るかのように乳房を揉む。触れられた場所がかあっと熱くなって、小指から親指へと力が移動する程に、胸の先端へと熱が追いやられていく。
じんじんと痺れて疼く桜色の果実は触られたがって自己主張を強める。男はそれを見逃さず、指で挟んで強く圧搾する。
「な、待て今は……んッくぅううンッ!!!」
痛みと、痛みを塗りつぶすような快感の大波が全身に巡り、フィオレーネは束の間意識が明滅する程の悦楽を味わった。
「はあっ、はッ♡ ふぅ…やってくれたな貴殿…! なら、こういうのは、どうだっ♡」
フィオレーネは男の肩に左手をかけてハンターの身体を引き、両胸を男の脇腹に押し付けながら右手で男の肉竿を上下に扱く。先端からとぷとぷと分泌される先走りはフィオレーネの手を汚し、陰茎への愛撫にぬめりと格別の快感を与えていた。
「ふふっ…♡ 貴殿のペニスは、太く、硬く、逞しいな…♡ 私の指が回りきらないじゃないか…♡ 最早第二の武器、それとも凶器か…?」
細くしなやかな指が雁首を掠める度、ハンターが呻き魔羅は歓喜に跳ねる。男の反応にフィオレーネは気を良くし、愛撫にも一層の熱が入る。
「まあいい。そら、この傘のような出っ張った部分が弱いのだろう? ならばいっぱい擦ってやろう♡ 弱点に攻撃を集中させるのは、狩りでも閨でも変わらないな…っ」
雁首を重点的に攻撃しながら、男の耳元で囁き興奮を煽る。フィオレーネは淫靡な空気に完全に飲まれ、羞恥心が麻痺していた。
フィオレーネの言葉責めはハンターによく効いた。荒らげた息を吐く男は『だったら、フィオレーネの弱点も責めてやる』と言わんばかりにフィオレーネの股に指を滑り込ませる。
「なっ、そっちは――んぁああっ!♡♡」
瞬間、陰唇から脳天まで電撃が突き抜け、フィオレーネは嬌声とともに背を反らす。モンスターの放つ電撃とは似て非なる、未知の性悦電流にフィオレーネは耐性が無い。牡の象徴への奉仕も忘れ、くたりと男に身体を預ける。
ハンターは肌着の隙間から指を引き抜き、フィオレーネに見せつける。男の人差し指と中指には粘液がべっとりとまとわりつき、指を擦ればその間に透明な橋がかかっていた。
『随分と、興奮しているようだが?』
男の言外の主張が麻痺していた羞恥を蘇らせる。
「う、うるさいっ! 余計なものを見せつけなくていい――んむぅ!?」
顔を上げ反発するフィオレーネの唇を男が塞ぐ。フィオレーネは反射的に頭を引こうとするも、胸を揉んでいた男の手がうなじを抑えて動かせない。
男の舌が唇をこじ開ける。フィオレーネは驚きの中で歯を閉じて阻むが、歯肉を舐る男に観念し、男の舌を口内に迎え入れた。
「んちゅっ……んぷ、ぷはっ……んむっ、ちゅっ、れぇっ、はあっ、れるっ………」
(信じられないほどに気持ちいい…♡ 知らなかった……口づけが、こんなにも気持ちいいものだったとは…舌が蕩ける…っ♡)
互いの舌を絡め合い、熱を分かち合って唾液を交換する接吻肉交。頭がぐらぐらと煮えて思考がぼやける。全身が熱くて堪らない。ディープキスだけでは全身の火照りを鎮められなくて、フィオレーネは肉棒への奉仕を再開する。
男の指も再び肌着の隙間に滑り込み、今度は軽く触れるだけでは済まさない。膣口に男の指がぬるりと沈み込み、鈎のように曲げた指が浅い肉襞を擦り上げる。
「んぶッ♡ はぁっ…このっ、む、むぅうっ……♡
そして、かくいうフィオレーネも限界だった。胸を揉まれ乳頭を捏ね繰り回されながら、膣肉を内側から圧迫される。当然のように瞬く間に弱点を把握してくるハンターの指は
「ぷはッ♡ 待、待ってくれっ♡ 何か、来るっ♡ 臍の下がぞわぞわしてっ、こんなの知ら、んむっ♡ んっ、んはぁっ―――~~~~~~っ!!!」
フィオレーネとハンターは舌を絡めたまま同時に絶頂した。フィオレーネは全身を震わせながら潮を吹き、肌着に大きな染みを作る。男は肉筒を大きく震わせ、青臭い牡汁を派手に吹き上げる。打ち上がった白濁液は重力に従ってフィオレーネの全身に降り注ぐ。
長筒は何度も震え、その度にぼってりと濃厚な白粘液を吐き出す。やがてその勢いがなくなる頃には、寝台も、キャンプの床も、フィオレーネも、牡液でべとべとになっていた。
牡の臭いに包まれたメインキャンプの中で、一組の雄と雌は舌の間に銀糸を繋いだまま、荒い息を継ぎ甘美な余韻に浸っていた。