フィオレーネの任務、及びウツシへの弟子入りをフゲンもウツシも快諾し、その夜は彼女を歓迎する宴が開かれた。
里の食材で再現可能な範囲での王国料理と、里の郷土料理を両方揃えた宴は誰も彼もが笑顔を見せ、宴は大いに盛り上がったが、とは言えフィオレーネの任務が任務だ。船旅の疲れもあるだろうということで、宴は夜が更ける前に解散となった。
「………」
自室に戻った甚平姿のハンターは、土間で動きを止めていた。湯浴みは夕方に済ませたのでもう寝るだけのはずなのに、何故か。
「待っていたぞ、猛き炎」
自分が使うはずの布団を背に、どういうわけかフィオレーネが縁側に脚と腕を組んで座っていたからだ。
普段の軽装鎧とは違う、
襟の立った布のシャツは襟を調節する紐が緩められて、みっちりと乳肉の詰まった谷間が覗く。王国風なデザインの革製らしき
鍛えられた筋肉美と肉感的な魅力を兼ね備えた、フィオレーネが元より持ち合わせた美貌。それを衣服がより一層引き立てている。男はフィオレーネの新鮮な出で立ちの美しさと、健全な格好のはずなのにそこはかとなく感じるエロスに喉を鳴らした。
ハンターの反応にフィオレーネは気を良くしたのか、愉快そうな笑みを浮かべる。男は陰茎が震えるのを感じながら、フィオレーネに何故ここにいるのかを尋ねた。
「何故、だと? まったく……わかっているだろうに、意地が悪いな貴殿は」
フィオレーネはすっくと立ちあがって男の前まで歩み寄り、ごく自然に男の右手を両手で優しく握り込む。
そのまま右手を引き寄せたかと思うと―――
ぐちゅり、と。
なめされた革の指ざわりの良い感触からかけ離れた、淫靡な水音がハンターの耳に届く。
「貴殿と愛し合うために、決まっているだろう……?」
彼女を知り尽くしていると思っていたハンターをして、この様子は想定を越えていた。
フィオレーネは微かに赤みがさした頬と、明らかに情欲の火が灯った目で男の驚いた顔に熱っぽい視線を向けた。
「言っておくが
フィオレーネは自ら腰を繰って、ごつごつした男の指に彼女の股間を押し当てて、久方ぶりの男の手による快楽を味わう。
その度に、粘液の潰れる感触が下穿き越しに伝わってくる。男は状況に理解が追いついておらず、フィオレーネの好きにされる中で、己の内側で何かの準備が進んでいくのと、脈動の高鳴りを感じていた。
「エルガドを去って一月、んっ♡ 貴殿のことを想うたびに……あっ♡ 私のここは、こんな風に、んうっ♡ なって、しまうんだ……あんっ♡」
フィオレーネは片手を離し、甚平の下で膨らみかけている男の逸物に、そっと掌を添え上下に這わせる。一月ぶりの彼女の愛撫に男は腰を奮わせ、肉棒は見る間に充血していく。
ゆったりした麻布を内側から持ち上げて存在感を発揮する肉茎を視界に収め、フィオレーネはうっとりとため息を零した。
「ああっ、まさしくこれだ……♡ 貴殿の槍が、貴殿の牡が欲しかった……♡ 私の胎の奥がこれを求めて、刺し貫かれたくて、満たされたがって……。涎を垂らし、夜毎疼いて仕方がなかったんだ……♡」
琴の弦を爪弾くように、布の上から雄竿の裏筋をカリカリと刺激する。男の息が荒く、自分に向ける眼光が鋭くなっていくほどに、フィオレーネの呼吸も熱を帯びる。
上目遣いに視線を送って舌なめずりしながら、もどかしい快楽を送り込んで陰茎を苛立たせてくるフィオレーネに業を煮やしたハンターは、フィオレーネの乳房を乱暴に鷲掴みにした。
「ん゛っ♡ まったく、貴殿は酷い真似をする……女性の身体はぁっ♡ デリケートに扱うべきだと、ん゛うっ♡ 知っているだろうにぃ……っ♡」
男は「悦んでいる癖によく言う」と、余裕のない声で返す。悩ましげに、しかし男を誘うように腰をくねらせるフィオレーネに唇を近づけていく。男の動きをすぐに察知したフィオレーネは自分からも動いて唇を重ねた。
「ちゅっ♡ んむっ、ぷあっ、んぁぅ……♡」
軽くキスをして、少し離したかと思うとまた啄む。
フィオレーネに対抗するように、男は服の上に浮き上がってきた乳首を弄ぶように何度も爪を引っ掛けた。ぴりぴりと心地よくも焦れったい快感は、フィオレーネの無くなりかけた理性にとどめを刺していく。
「ふうっ♡ んふっ、ふん、むうっ……♡」
「……っ!」
口が塞がり、じわじわと思考を染め上げる快悦を甘受していたフィオレーネ。男はどこか余裕を感じさせるその態度を崩したくて、それまでフィオレーネが押し付けるに任せていた右手の指を、フィオレーネの革越しの恥裂に力強く食い込ませる。溜まっていた淫液が潰れて飛び散る感触は、下穿きを越えて男の指にはっきりと伝わった。
「んッ、や――あぁああっ!」
弱い刺激で自らを昂らせていたところへ突然の強烈な快感。エルガドの日々で性感を開発し尽くし、一ヶ月の間で性への渇望を溜め込んでいたフィオレーネの肉体は、背筋を奔る甘美な電流に耐えられなかった。
腰が抜けてへたり込みそうになるフィオレーネを、ハンターが腕一本で支える。そのままフィオレーネの頭を自分の肩に預けさせるが、それは彼女を労るためなどではない。
「あ゛ッ♡ まっ、きで、い、今イッたばかりッ♡ またっ、またすぐイッ――くぅうっ♡♡」
男の指は未だ秘裂を革の上から掻き乱す。固くしこった淫芯も、愛液を垂らし続ける陰唇もまとめてもみくちゃにするような激しい手淫にフィオレーネは余韻が引く間もなく再び絶頂へと押し上げられた。
指にじわりと水気が纏わりつく。濡れそぼった恥裂から溢れた淫蜜は、ついに下穿きの外にまで染み出してきていた。
甚平の布を掴み、男の脇の上に額を押し当て、男に体重を預けてどうにか倒れないようにしている息も絶え絶えのフィオレーネの耳元に、男は口を寄せる。
「フィオレーネ」
「っ♡」
ハンターに低い声で名前を呼ばれ、フィオレーネは耳の裏と下腹部が同時に熱くなった。
「鍛えてもらうのは、明後日からだったな?」
「はあっ、はぁっ。そっ、そうだ……っ♡」
「明日は里に慣れるために、色々と見て回る予定だったろう。俺を伴って」
「そう、はぁっ、だな……♡」
フィオレーネの膣奥がじゅくじゅくと疼く。男の指に二度もイかされて、それでも挿れてはもらえず、剛直を求める渇望は最高潮に達していた。そのフィオレーネの下腹部に、男は甚平越しの逸物の先をぐり、と押し当てる。『ここまで突き入れてやる』と告げるように。
ただ、それだけで。
「ッ、ァ。~~~っ♡」
フィオレーネは軽く達した。エルガドでの日々でもここまでは無かった異常事態にフィオレーネは困惑を隠せない。
(な、なんなのだこれは……っ、猛き炎に少し弄られるだけでこんなに……っ♡ 私の身体は、これほどまでに猛き炎に弱くなっていたというのか……っ♡♡)
カムラの里のハンターを想い続けた一月が、男の一挙手一投足に過剰反応するように己の肢体を作り変えていた。フィオレーネの異変を男もうっすら怪しんではいたが、だからとてやることは変わらない。先に煽ってきたのはフィオレーネの方なのだから。
「その予定は無しにしてもらう。俺としても残念だが」
男は本当に残念に思っていた。一日という時間を最大限に使って、自分が育った里とそこに住む大切な人達をフィオレーネに紹介するつもりだった。
だが、それはもう叶わないだろう。既に男の中でリミッターは外れている。フィオレーネが今更怖気づいたとしても……知ったことではない。
「今夜は、寝かせはしない」
男のその宣言に、フィオレーネは赤くなった耳を、四肢をぶるりと震わせる。それが恐怖か、はたまた悦びからかは―――彼女には、判別できなかった。