「じゃあ、できることはこんなところだな。どれくらいで追加可能なんだ?」
「2人に合わせて調整するのも含めると、1週間もあれば十分だろうな。」
「他にも詰めることがあるから、とりあえずは問題ないか。そちらに関しては頼むぞ。」
話し合うこと1時間――――
追加機能について問答を繰り返して搭載する機能は決まった。
確実に使うであろう機能から、使うかどうか微妙な機能もあるがデメリットがあるわけではないので搭載しておいた。
ついでに、ひかりとエルシアの魔力の波長に合わせてカスタマイズしてもらう。
こうすることによって、服従以外の機能がより効果的に発動しやすくなる。
逆に2人以外には効果が弱くなってしまうが、現時点では2人にしか使わないので問題ない。
おまけとして、2人に合わせてひかりの首輪は赤色、エルシアの首輪は水色にしておいた。
「これを付ける瞬間を考えると、それだけで滾ってくるぜ。とはいえ、これだけではどうにもならないけどな。」
『服従の首輪』はあくまでも、作戦の最後の段階として使用するものだ。
前にも言ったように、『服従の首輪』は魔法戦士にも効果を発揮するが、無条件で使えるわけではない。
発情効果だけは無条件で使えるが、肝心要の服従やその他の効果は相手の抵抗があると使えない。
そのためには、相手の魔力を消耗させきって魔力体の抵抗をなくさないといけないのだ。
すなわち、相手と戦って勝利をおさめることこそが大前提となっている。
「だが、今のままで戦っても勝利などおぼつかない。そのためには入念な準備が必要なのだ。」
ひかりとエルシアと戦った場合、詳細は調べていないのでまだ不明だが、二人の能力は自身には使えないことだけははっきりとわかっている。
なので、分断して一対一に持ち込めばおそらくは勝てるであろう。
だが、向こうは自身の固有能力に関しては当然よくわかっているはずだ。
前回のこともあるので、安易に単独行動もとらないであろう。
というよりも、下手に他に連絡を取られると厄介なので罠にはめるならば一緒のほうが安全だ。
しかしそうなると、是が非でも2人を同時に相手にしないといけなくなる。
前に言ったように、手駒を増やしているとはいえ実質的な戦力は俺一人だけであろう。
他の亜人はどれだけ強化しても、基本は盾兼隠蔽能力のサポート要員だ。
「そんなわけで、何か攻略用にいい魔法か魔具はないか?」
金庫に保管されている道具については、確認してみたが使えそうにない。
首輪以外はどれも武器であり、しかも広範囲無差別攻撃系やら殺傷目的とした魔具ばかりで、今回のように消耗や捕獲には不向きだ。
それに加えて、解析しきれていない部分も多く、どんな呪いや危険な要素があるかわからないという。
「さすがに危なすぎて、そんなのは使い物にならないな。お前たちが開発した魔具や魔法はないのか?」
「あるにはあるが、お前の目的にあっているかはわからないぞ。とりあえず、見てみるか?」
あまり期待はできそうにないが、他に当てもないし確認だけはしてみるか。
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「ひとまずはこんなところかな。言っておくが、直接的に攻撃や支援などができるものはないからな。」
そう言って出されたのは、いくつかの魔具と魔法陣が描かれた布だ。
「このスピーカーみたいなのは、設置することで音を吸収し、外に漏れ出ないようにするものだ。んで、こっちの魔法陣は一般人を近づけさせにくくする魔法がかけられている。」
たしかに直接的に戦闘に役に立ちそうにないが、このどちらも無用な人間や魔法戦士たちを近づけないためにはかなり有用だ。
「とはいえ、やはり戦闘に直接的に役に立ちそうにないな。魔力を封じ込める魔具はないのか?」
「『魔封じの首輪』はあるけども、こういう場面では役に立たないぞ。」
九条が言うには、装着すればひかりといえども魔力を完全に封じ込めることができるが、封じるまでに時間が掛かる上にその間に外されたらすぐさま解放されてしまう。
首輪自体の強度もそんなに強くないので、壊すことも難しくない。
『魔封じの首輪』はあくまでも、倒した相手の抵抗を奪うための魔具だ。
しかしそれでは『服従の首輪』と変わらず、効果のほどを考えるとある意味で下位互換ですらある。
「そんな都合のいいアイテムはないか。なんとか魔力を封じるとまではいかなくとも、少しでも弱体化できる方法があればいいんだが・・・・。」
「う~~~~ん・・・・あ、そういえば『アレ』の存在を忘れていたな。研究用に使っていたので、戦闘に使うものとしての発想がなかった。」
「なんだ、まだ何かあったのか?」
「装着することによって魔力を吸収する『吸魔の腕輪』だよ。魔法戦士の魔力の波長などを研究する為に、魔具に魔力をチャージする方法を『魔封じの首輪』を元に開発されたんだ。」
たしかに、吸収して消耗させれば大幅に有利にはなるだろうが、ひかりの魔力さえ回復させる固有能力がある限りはエルシアに関しては意味はない。
「だが、ひかりさえ消耗できれば問題ないか?でも、ひかり自身に固有能力が使えなくても自然回復分があるからな・・・・まてよ、こういう能力は付与できないか?」
不意にこれができればと思い、九条に聞いてみる。
「ふむ・・・・できなくはないな。一つ目に関しては簡単だが、残り2つに関してはそう簡単にはできないぞ。それに、持続効果もそんな長時間は期待できないな。どんな方法を駆使しても、半日が限界だろう。」
「半日も持たせれば十分だ。できるというなら、その辺はうまくやるさ。ただ、その場合はかなりの数が必要だな。後、首輪と同様に2人に波長を合わせれば効果の拡大も少しは期待できそうだ。これらを含めて、首輪と一緒に一週間でできるか?」
「むずかしいのは最初の一つを作るまでさ。それができてしまえば、後は量産するだけだからな。機能改良に近いから、一週間以内に収まるだろう。」
「だったら、そっちは頼んだぞ。俺は調べることがあるから、何かあったらスマホに連絡してくれ。」
「あいよ、任せときな。おらお前ら、しっかり働けよ。」
他の研究員に発破をかける九条を見つつ、俺は他の調査のために研究室を後にした。
~第9話・完~
下準備は完了
なお、彼らはこのためだけの出番とはいえ、すでに組織としてはやばいかもしれない(笑)