※この作品はR-18です。

魔法戦士リリンセイバー ~パラレル~   作:神流し

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「ここは任せて先に行け!」の逃がす版

普通は色んな意味で成功しますが・・・・


第22話「脱出と障壁」

                  

 

                   ~エルシア視点~

 

(そして、2人が互いに思いやる気持ちが強いがゆえに相手の無事を第一に考えてしまう。流石に2人もこれが自分たちを狙った罠であると気がついただろう。そんな2人が次の取る手段は・・・・)

 

白い亜人を正面に構え、私たちは窮地に追い込まれていた。

 

(これほどまでに周到な準備。これは間違いなく、私達を狙った罠だ。ここまで罠だと思わせないように誘導するなんて、信じられない周到さだ・・・・。)

 

向こうもかなり数が減ってきているが、それすらも向こうの予想の範囲内のような感じがする。

いずれにしても圧倒的に不利になっているのには変わりない。

 

(やっぱりただ透明化しているだけにしては、動きがあまりにもつかめなくなっている。亜人の連携というのを加味しても、あまりにも読めなさすぎだ。きっとなにか仕掛けがあるんだろうけども、それが何かわからない。)

 

仕掛けを読み解かないことには、このままでは敗北必死だ。

そしてその先に待っているのはどんな形であれ、明るい未来でないので確実である。

 

(エルちゃん、なんとか頑張ろう。もう少しすればきっと応援が・・・・)

 

(ううん、ひかりちゃん。これが私達を狙った罠なのはもう気づいているよね。きっと、応援もここに来ないようにされてる可能性が高いよ。)

 

少なくとも「あと少し粘れば・・・・」とかいう時間で来ることはまずないだろう。

その証拠に最初はあんなに焦りとかがあった亜人たちが、今はそんな様子がまるでない。

きっとあの焦りも演技だったのだ。

 

(ええ・・・・じゃあどうしよう、エルちゃん。このままじゃあ・・・・)

 

ひかりちゃんもかなり余裕がなくなってきている。

私も冷静でいようと努めてはいるが、パッと思いついた策は2つだけだ。

 

1つは私達の持つ最大火力のある技を使うことだ。

まさに一撃必殺と呼ぶのにふさわしい技であり、決まれば亜人はもちろんのこと魔族であっても間違いなく仕留めることができると組織の人たちからも太鼓判を押されているほどの威力である。

どんな周到な罠にせよあの白い亜人が中心であるのは間違いないので、あいつさえ倒してしまえばなんとかなるのは最初から変わりない。

 

しかしこれはひかりちゃんの魔力の多くを一気に消費してしまう攻撃である。

私がメインならばいくら消費してもひかりちゃんの能力で回復できるので問題ないが、ひかりちゃん自身だけは回復できない。

全魔力の内の3割を使うため、最初の頃とは違いひかりちゃんにはもう余裕が殆どなく、これが失敗してしまうともはや進退窮まってしまうだろうし、向こうも最後の一撃の可能性を考えて対抗策を用意しているかもしれない、なので事実上の最後の手段である。

 

(本当なら私が変わってあげたいけど、私じゃこの方法は使えないし。)

 

その気になれば誰でも使うことはできるが、これは通常とは別の一種の天性の勘みたいな魔力コントロールを必要とする。

この天性の勘の持ち主は『覚醒』した魔法戦士以上に数が少なく、私たちの組織でもひかりちゃん以外はひかりちゃんのお姉さんしかおらず、私たちの組織のエースであるみらいさんですら持ち合わせていない。

 

それがないと必要以上の魔力を放出してしまい、攻撃に使えればまだいい方で悪いと暴走して魔力を無駄に放出するだけになったり、最悪の場合は魔力を放出しすぎて死亡する可能性すらあるのだ。

それに加えて一度の使用で魔力をほとんど使いきってしまうので、いずれにしても以後の戦闘が不可能となってしまう。

 

一定以上の魔力がなければ、そもそも発動すらできない。

前に一度調べてもらったら、私の場合は最低でも残魔力の7割以上がないと発動できない。

それも最低消費魔力であり、攻撃が成功するかどうかは今も言った通り不明瞭だ。

 

(いかにひかりちゃんの能力でも、死んだ人を生き返らせることは不可能だ。私が使うには不確実すぎる・・・・)

 

ひかりちゃんの頭の中にもこの方法が浮かんでいるだろう。

 

(でもやはり、リスクが大きすぎる。・・・・やっぱりこの方法しか!)

 

私は残されたもう一つの方法を使う他ないと判断した。

 

(ひかりちゃんは怒るだろうけども、それでもひかりちゃんを助けるためなら――――!!)

 

「・・・・ひかりちゃん。」

 

「何、どうしたのエルちゃん?もしかして、いい方法が浮かんだりとか?」

 

「うん、思いついたよ。その前にひかりちゃん、私を回復してくれないかな?」

 

「?うん、それはかまわないけど・・・・。」

 

私の言葉にひかりちゃんは疑問に思いつつも、とりあえずは私を回復してくれる。

怪我や体力の消耗はともかくとして、私の魔力も半分近くまで落ちていたがこれでまた全快した。

 

(それで、どうするのエルちゃん?やっぱり、私の魔力を使った一気の攻撃とか?)

 

(ううん、それも考えたけど今の状況じゃリスクが高すぎるよ。万が一にも失敗したら、もうひかりちゃんの魔力はほとんどなくなっちゃうと思う。はっきりとはわからないけど、ひかりちゃんの魔力は最高でも半分ほどにまで消耗しているのは間違いないし。)

 

(私の魔力ってもうそんなに減っちゃってるの?私自身のことなのに、かなり減っているってことしかわからなかったよ。じゃあ、一体どんな・・・・)

 

「これだよ・・・・ごめん、ひかりちゃん!!」

 

言うや否や、ひかりちゃんの腕をつかみ空間転移を発動させる。

 

「え、ま、待ってエルちゃん!!それだけはダメって言ったのに!!」

 

ひかりちゃんは腕を振りほどこうするが、もう手遅れだ。

あらかじめ発動する準備は整っていたので、速攻で転移が開始される。

 

「ひかりちゃんだけは何があっても助けてみせる。大丈夫だよ、前回と違って私の魔力は満タンだし何も策がないわけじゃないし。」

 

たった今ひかりちゃんに回復してもらったばかりで魔力もほぼ満タンだし、前回と違って体も問題なく動く。

私自身にはテレポートは使えないがシールドは展開できるし、それに物体のテレポートはできるので壁などの物理的な障壁は私には無意味だ。

防御に徹しつつ一点突破すれば、まだ脱出できる可能性はある。

 

「脱出したらすぐに応援を呼んで私を助けに来てね、待ってるから!!」

 

「エルちゃ――――」

 

笑顔でそういうと同時にひかりちゃんは光に包まれて転移した。

 

「これでひかりちゃんは大丈夫。後は私だけでどうやって脱出するか・・・・」

 

応援は頼んだが、ここでただ待つつもりもない。外にさえ出ることができれば何とか――――

 

バチンッッッッ!!!

 

「キャアアアアアッッッッ!!!!」

 

脱出する方法を考えていると、なぜかひかりちゃんの悲鳴が何かにぶつかる音と共にすぐ近くから聞こえてきた。

声のした方を見ると、工場の壁のところでひかりちゃんが倒れていた。

 

「ひかりちゃん、どうして!?」

 

ひかりちゃんが倒れていた壁の近くをよく見ると、淡い光が壁のようになっていた。

 

「へ、お前のような転移の能力者なら危なくなれば相方をそうやって逃がすであろうと読んでたぜ。工場の周りには魔力の障壁が展開されていて、脱出できないようになってるんだ。その準備もできたから、こうやっておおっぴらに俺が姿を見せたってわけなのさ。」

 

「そんな!?」

 

ここまで周到に策を用意していたのなら、私が逃げに徹するための対策もしているなんて少し考えればわかることなのに焦ってそこまでの考えがいかなかった。

 

(でもまさか、魔法障壁まで用意していたなんて!!技術的には難しくないけど、この廃工場を包み込むほどの規模なんてかなりの労力がかかるはずなのに・・・・)

 

しかしその疑問の答えを解く時間もない。

そう考えている間に他の亜人がひかりちゃんに近づき、腕輪をまたはめてしまった。

 

「くう・・・・!」

 

さらに腕輪をはめようとするが、その前に私が駆けつけ亜人を振り払った。

 

「しっかりして、ひかりちゃん!大丈夫!?」

 

「う、うん・・・・大丈夫。ぶつかったにしてはほとんど衝撃だけみたいだから。」

 

「よかった・・・・ごめんなさい、ひかりちゃん。もっと私がちゃんと考えていたら・・・・」

 

「その話は戦いが終わってからにしよう。今はこの危機をどうやって突破するかが先決だよ。」

 

私を元気づけるためにか、ひかりちゃんは普段以上の笑顔を浮かべてそう言った。

 

(本当なら、勝手にひかりちゃんだけを逃がそうとした私に対して怒っているはずなのに・・・・)

 

ひかりちゃんの気遣いに涙が浮かびそうになるのを必死にこらえる。

 

「うん、わかったよひかりちゃん。」

 

立ち上がって構えるひかりちゃんの隣で、私も構え直した。

 

(聞いてひかりちゃん。こうなっちゃったら、もう本当に最後の手段を使うしかないよ。)

 

(やっぱり私の全力の攻撃で決着をつける方法を?)

 

(うん、でも今のままじゃ多分失敗すると思う。何か確実に当てる方法を考えないと。)

 

今のままではジリ貧による敗北以外の可能性はほとんどないと言っていい。

もはやハイリスクであっても私たちに選択の余地はない。

 

だけどもうひかりちゃんに余裕はないので、使ったらひかりちゃんの魔力はほとんどなくなるだろう。

それに加えて、亜人たちにはその攻撃に対する対策ができている前提で考えておくべきだ。

 

(さっきの影武者という亜人に対してあの戦法を見せたのが痛かった。)

 

あれを見せていなければ、一撃ぐらいは決められていたかもしれなかったのに。

おそらくそういう戦術を見極めるのも含めての、あの影武者の役目だったのだろう。

 

(ただ接近するだけでは、まだ仕掛けが分からない亜人の能力で逃げられる可能性が高い。でも私の能力を使っての方法が成功すれば、ほぼ確実に当てられるのまた事実だ。)

 

ようはなんとかして私が触れられるかどうかが問題だ、それさえできれば準備さえしておけば能力は即座に発動できる。

 

(何かいい方法は・・・・・・・・・・・・・・・・よし、これなら。)

 

(聞いてひかりちゃん、この方法なら当てられるかもしれない。)

 

                   ~第22話・完~




この戦法は似たようなのを本編中でやっていたので、むしろ失敗フラグでした。
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