~白い亜人視点~
「これでお前らは永遠に俺のモノになったんだ。天月ひかり、エルシア=クロンメリン。」
これで作戦の全てが終了し、ひかりとエルシアは俺から逃れられることはできなくなった。
首輪の効果で他に情報が流出する心配もなくなったので、遠慮なくこいつらに対しても真相を話すことができる。
「な、どうして私たち名前だけじゃなくてフルネームまで!?それに、さっきから私たちを知っているかのような口ぶりだし、貴方たちは一体・・・・?」
「はあ・・・・はあ・・・・ひ、ひかりちゃん・・・・一体、何が起こっているの?この首輪は一体?」
ひかりは俺に対する疑問をぶつける一方、エルシアはついさっき目覚めた上に俺の言葉をしっかりと聞いていたのか微妙なので、事態を呑み込めていない。
眠っている間に犯されていたせいで消耗していて、そういったことを考えられないというのもあるだろうが。
「いいだろう、それじゃあそろそろ真相を話してやるとするか。その前に、2人に注入した麻痺毒を中和してやる。もうお前たちは何の脅威でもなくなったからな。」
2人の首筋に中和剤を注入し、動けるようにする。
効果はすぐに表れ出し、ひかりは指先から動けるのを確認する。
一方のエルシアはまだ消耗した体力が回復しきれていないのか、体が動くようになっても倒れこんだままだ。
「か、体が動く?エルちゃん、大丈夫!?」
全身が動けるようになったのを確認すると、ひかりはすぐさまエルシアに駆け寄り彼女を起き上がらせる。
そして自分がもたれかかっていた柱に彼女をもたれかかせた。
「ひ、ひかりちゃん・・・・はあ・・・・はあ・・・・一体、何が・・・・?」
「そ、それは・・・・」
自分たちにもたらされた悪夢のような状況に、ひかりは真実を伝えられず黙りこくってしまう。
「さすがに自身の口からは言いずらいか?いいだろう、俺が首輪の説明も含めてじっくりと説明してやるよ。これからお前たちは、数え切れないほどの奉仕を俺たちにしなきゃいけなくなるんだからな。ぎゃ~っはっはっは!!!」
ひかりのすぐ側に立ちわざと挑発するかのように大声で笑いだす。
「――――っく、この!!」
それに激高したひかりが俺に殴りかかってくるが、魔力を失ったその動きは普通の少女とほとんど変わりないので、今のこいつらの攻撃を食らっても何のダメージもない。
改めて首輪の効果をこいつらに教えるために、わざと挑発して攻撃させたのだ。
ひかりの拳が俺に当たる瞬間に停止し彼女自身の動きも静止してしまう。
「え、どうして体が急に!?・・・・まさか、これが首輪の効果?」
「ひ、ひかりちゃん、首輪の効果って一体・・・・?」
ようやく息が整ってきたエルシアが体を起こし立ち上がろうとする。
「これが『服従の首輪』の効果なのさ。ひかりは一度身を持って体験しているが、その効果を改めて教えるためにわざと挑発してやったのよ。」
「ふ、『服従の首輪』?まさか、あの・・・・っっ!!ひかりちゃん、その首元の首輪って・・・・」
「そうさ、ひかりの首元についているのがその『服従の首輪』なのさ。エルシア、お前の首にもついているんだぜ。」
その言葉にエルシアは自身の首元に手を伸ばし、首輪の感触を確認する。
「そんな、いつの間に・・・・・でも、魔法戦士には首輪の効果がないはずじゃあ・・・・」
それに対してエルシアにもひかりと同様に、魔力を失ってしまえば魔法戦士にも効果が出るようになると説明してやる。
「そうやって首輪の効果を発揮できるように、あの腕輪を使って魔力を消失させてたんだよ。わかったかい、エルシアちゃんにひかり、ちゃん。」
「きゃあっ!!」
攻撃を止めてしまい立ち尽くしているひかりを軽く小突き、エルシアの側に倒れさせる。
「ひかりちゃん、大丈夫!?」
倒れるひかりにエルシアが駆け寄る。
「首輪の効果は絶対なのさ。しかし首輪の方に気を取られているとはいえ、そんな格好で殴りかかってくるとはね~。」
「え・・・・ああ、ひかりちゃんがいつの間に裸に・・・・・・きゃあ、私も裸に・・・・いつの間に!?」
どうやら本当に素で気付いていなかったようだ。
そこまで余裕がなかったのか単に少し天然気味なのか・・・・まあ、どっちでもいいか。
「事態が飲み込めたところで、首輪の他の効果についても説明してやろう。『命令だ』、俺の説明が終わるまで黙って聞いていろ。」
「「――――!?」」
いちいち口を挟まれるのも面倒なので、しばらく2人には黙っていてもらうことにする。
「まず第一に、俺の命令は絶対服従なのは言った通りだが、もちろん首輪の効果はそれだけじゃない。第二に、この首輪のことは誰にも話すことはできない。」
例外的に、同じように服従させられてるこいつら同士は問題なく話し合える。
「第三に、主従の契約をした相手を傷つけたり害したりすることはできない。今のひかりみたいに俺に攻撃しようとすると、必ず目前で制止させられる。」
これらが『服従の首輪』の基本的な効果なのだが、九条たち組織の技術員たちの手によっていくつかの追加効果が付与されている。
今みたいに声が出ないようにする効果にしても、黙らせることはできても物理的に声が出ないようすることは本来はできない。
首輪の魔力を大きく消費することによって、物理的にある程度の影響を及ぼせるようにしているのだ。
とはいえ、影響を及ぼせるといってもそこまで大したことはできないが。
「もう声が出してもいいぜ、『命令だ』。どうだ、理解できたか?ひかり、エルシア。」
「―――――そ、そんなことって・・・・こ、こんなもの――――!!」
ひかりが慌てて首輪に手をかけ――――あっさりと引き千切られた。
「あれ、こんなあっさり・・・・?」
あまりのあっけなさに唖然とするが、首輪はすぐに消失しひかりの首元に戻ってしまう。
「ああ、また首元に!?」
その一連の流れを側で見ていたエルシアもまた驚きを隠せない。
「ああ、言い忘れていた。その首輪はあくまでも身につけているというものをわかりやすくするために、首元にあるだけだ。実際には魔力体に直接装着されているんだよ。」
「そんな!?」
前にも言ったが、魔力体は誰にも存在するその者の魂みたいなものである。
それに直接装着されているのだが、この改良されている首輪は装着しているというよりは一部となって貼り付けられているような状態になっているので、これによって外すことがより困難となっている。
しかしこれは別の機能を搭載するための副次作用であり、気付かれないようにするのがベストだ。
その本来の機能とは、装着自身から魔力を吸収するためのものだ。
『服従の首輪』は首輪に蓄えられた魔力によって機能を作用させることができる。
首輪の魔力がなくなってしまうと機能が停止してしまい、この状態の時のみ首輪が実体化し自身で外すことが可能となるので、外部から定期的に魔力を注ぎ込まなければならないのだ。
しかしこの首輪は装着者自身から魔力を常に吸収しチャージし続けるので、半永久的に効果を維持できる。
これは魔力を大量に持つ魔法戦士だからこそ搭載できた機能であり、普通の人間にこの機能を搭載した首輪を装着してしまうと魔力を過剰吸収してしまい死亡してしまう。
(ただ、今は2人とも魔力を消耗しきっており当分は回復もしない。しばらくの間は首輪にチャージされた魔力を使うことによって機能を維持している。)
魔力が切れた場合は俺自身がチャージするし、万が一に備えてチャージ用の予備魔力も用意している。
「さあて、首輪についての機能の説明は以上だ。次の説明に入るとするかな、ひかり、エルシア。」
「また私たちの名前を・・・・貴方は一体・・・・?」
「そうだな、改めて挨拶するとするかな。『久しぶりだな、2人とも』。」
「ひさし・・・・」「ぶり・・・・?」
改めての挨拶に2人とも怪訝な表情を向ける。
亜人の知り合いなどいるはずもないので、無理もないだろうが。
「お前たちを犯した感覚が忘れられなくてね。『あの時』はお前たちの能力を知らなかったが故に負けちまったが、今回は確実に失敗しないようにこれだけの準備を整えさせてもらったんだよ。ここまで言えば、さすがにわかるだろ?」
「まさか・・・・貴方はあの時の赤い亜人の仲間!?そんな、あの時の亜人は全員倒したはずなのに!?」
ひかりが驚くのも無理はない。
あの時の亜人の死体は組織が回収し、赤い亜人と緑の亜人の死体も間違いなくそこにあったと報告を受けていたのだから。
だがさすがに部下の亜人の数までは把握しきれていなかったようだ。
「お前にやられる直前に進化していたんだよ。とはいえ、生き残っていたのは俺だけだったから勝てるとは思えなかったからな。何とか攻撃をやり過ごしてやられたフリをしていたんだよ。」
その後は力を蓄え仲間を増やし、ひたすら機会が来るのを待っていたのだ。
「あの時、エルシアは魔力切れで変身が解けていたからな。エルシアに関しては認識変換魔法が効かなくなっていたので、探すのは比較的簡単だったよ。」
「そんな・・・・私のせいで・・・・」
自身が今回の発端となっていたことで、かなりの責任を感じているようだ。
「お前たちを見つけ出した後は、必要な道具集めに誘い込む場所の準備にお前たちの能力の調査やらに時間を費やして今回の成功となったわけだ。」
一通りの説明が終わり、ひかりもエルシアも黙りこくってしまう。
「もう気付いているとは思うが、最初に助けを求めた女も人質のやつらも全部がお前たちを誘い込むための罠だったのさ。さてと、説明も終わったしここから本番だぜ。」
その言葉に2人はビクっと体を震わせ互いに抱きしめあう。
俺を睨みつけてはいるが、ただの強がりなのは見え見えだ。
周りにはいつの間にか残り6体の亜人が、2人を取り囲むように集まってきていた。
「ひ・・・・ひ、ひかりちゃん・・・・・・」
「エルちゃん・・・・・何を、させる気?」
すでに分かっているはずなのに、聞かずにはいられないようだ。
「何を・・・・だと?決まってるだろ、ここまで頑張ってくれた部下たちにも褒美を与えなきゃな。」
「へっへっへ、いよいよ俺たちの出番だぜ。」
「ここまでずいぶんと待たされちまったからな、たっぷりと可愛がってやるぜ。」
周りの下卑た笑みにエルシアは震え上がり、ひかりは周りを睨みつけてはいるが同様に小刻みに震えている。
「こ、ここでこんなことをして、無事で済むと思っているの!?いつまでも私たちが帰らないとわかったら不審に思うだろうし、そうでなくとも、その内に私たちの仲間が助けに来るか、誰かがいずれ気付いて・・・・・」
「へ、言っただろう、準備は万全だとな。外部から助けが来ることはまずね~よ。」
追加の説明として、周辺に防音用と人払い用の魔術が施されていること、ひかりたちのスマホは最初に女がぶつかった際にすり替えられていたこと。
そして電話した相手が合成音声によって作られて偽者であり、組織には全く届いていないことを教えてやる。
「当然、すり替えたスマホにはGPS機能などの追跡機能は搭載されていない。ただの張りぼて同然の代物さ。」
こいつらの持っていたスマホは洗脳したやつらに渡して、こいつらの部屋に戻している。
それによって2人の帰還と任務の終了を組織が確認するので、組織に連中はこいつらの直接の上司である『トーコ先生』でさえもこいつらの現状に気付いていない。
「それに、時間についても問題はないさ。お前たちはこの後、週末から週明けにかけて連休をとるつもりだったんだろう?」
「私たちの予定まで調べ上げているなんて・・・・・」
金曜の23時まで任務を務めた後は翌週の月曜まで休みになっている。
火曜の授業にしても昼の12時くらいからなので、余裕を見ても月曜いっぱいかギリギリまで粘っても火曜の朝くらいまでは気取られる心配はない。
今は土曜に深夜3時なので、最低でも3日以上も時間に余裕があるのだ。
ある程度の動向は把握しているとはいえ、組織も魔法戦士たちのプライベートまではいちいち確認なんかしちゃいない。
何度も言っているが、魔族の大量襲来などのよほどの緊急事態でもない限りは気取られることはないだろう。
「なので、お前たちは3日間ここでじっくりと楽しむことができるってわけだ。諦めて観念しな。」
「「くう・・・・・・っっ!!」」
何もかもが俺の掌の上であることに、2人は歯噛みすることしかできない。
「では、いつまでもこいつらを待たせちゃ悪いからな、最後の仕込みをするとするか。ひかり、エルシア、『命令だ』、ここにいる亜人たちに対して一切の害する行動を禁ずる。抵抗も一切するな。」
「ああ・・・・・・」「やあ・・・・・・・!!」
2人の首輪が光り、一切の反撃手段をも封じされる。
「そして止めにこれだ。」
動けなくなった2人の首筋に爪を突き立て、媚薬を注入する。
「あう!な、なにを・・・・・・んん・・・・・な、何・・・・・こ、これ・・・・・・」
「ひ、ひかり、ちゃ・・・・・・あああ・・・・・・くう・・・・・」
薬はすぐに効き始め、2人は喘ぎ声を上げながら体を悶えさせる。
「な、なにを・・・・したの・・・・・?」
「お前たちにはおなじみの媚薬を注入してやったのさ。前よりも濃厚にしているから効果も強力だし、持続時間も大幅に長くなっている。」
「媚薬・・・・ですって・・・・・?うう・・・・・それは、まさか・・・・・・」
さすがに媚薬と聞かされて、この能力の正体に感付いたか。
「そうさ、これはあの緑の亜人の持っていた能力だよ。ついでに教えてやると、他者の力や能力を奪えるのが俺の能力なんだよ。」
本当は違う能力でこれは副次的な使い方なのだが、そんな細かいことを言う必要はない。
「あの赤い亜人の能力も奪った上に、他の街で透明になれる能力も奪ってやった。あの赤い亜人の能力は『気配遮断』、だからお前らは透明になった上に気配も遮断した俺の動きを把握しきれなかったんだよ。」
「そ、そんな能力なんて聞いたことがありません。うう・・・・・ん・・・・・もし、本当・・・・だとしたら、強力すぎます。」
俺の説明にエルシアは否定する。
たしかにこの通りならあまりにも強力すぎるが――――
「お前の言う通り相応にリスクも弱点も存在するが、それをお前たちに言う必要はないだろう。」
「くう・・・・・っっ!!」
もうこいつらから情報が洩れる心配はないが、必要以上にリスクを上げる必要もない。
「リーダー、もういいでしょう!いつまで待たせるんですかい?」
「こいつらから極上の雌の匂いがしてきて、もう我慢ならねえ。早くヤラしてくださいよ!!」
そうこうしている内に周りの亜人たちが焦れてきたのか、俺にせっついてくる。
「すまんすまん、もう我慢の限界のようだな。よ~~し、待たせたなお前たち!こいつらを好きにしていいぞ、ただし無茶はしすぎるなよ!!」
「「「「「「ひゃっは~~~~!!!」」」」」」」
俺の一言に、亜人たちが一斉にひかりとエルシアに飛びかかる。
「「い、いや~~~~~~~~~~~っっっっ!!!!!」」
廃工場内に、ひかりとエルシアの絶望的な悲鳴がこだまする。
~第28話・完~
最後の亜人のノリは、エロとは別に思わず入れたくなってしまいました。