『魔力研究学園機関』
その名の通り、魔力を多く有する者たちを集めている学園であり研究機関でもある。
おそらくは、魔法戦士たちが所属する組織としての顔も持ち合わせているだろう。
当然、あの二人以外にも多数の魔法戦士が所属しているはずであり、俺たち亜人界隈では有名なあの『赤い魔女』も所属していると思われる。
彼女の活動範囲もまた、この近辺だからだ。
赤い魔女が相手でも一人ならば逃げるぐらいはできるであろうが、複数の魔法戦士を相手にしてはさすがにひとたまりもない。
まずは学園内に潜入して勢力を拡大し、二人の素性の調査と組織の全容を探る必要がある。
「さてと・・・・始めるとするか。」
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それから一週間、俺はまず勢力拡大に勤しんだ。
いつものように侵食によって学生たちを中心に洗脳を施す。
魔力を多く有する者たちを集めているというだけに、何かしらの戦闘能力を有している可能性を考慮して、より一層の注意を払い最初に侵食すべき生徒を吟味する。
間違って、いきなり魔法戦士を襲ってしまっては元も子もない。
しかし結論から言えば、そこまで心配する必要はなかった。
どうやら普通の学園としての性質も強いらしく、多くの生徒はごく普通の一般人のようだ。
また魔力が強いといっても、人一倍程度の者が大半のようであり、一安心できた反面、あわよくば生徒の魔力で強くなれるかと思っていたのでそこは肩透かしであった。
これは後になって知ったのだが、魔法戦士になるのには二通りのパターンがある。
魔力体に宿る魔力の高さのゆえに先天的にすぐさまなれるのと、初期魔力は少ないが後に魔力体により、多くの魔力を蓄えることによって後天的になれる方法の二つだ。
後天的でも鍛錬によって十分に強くなれるのだが、先天的になれる方がより強くなりやすく固有魔法も使えるようになりやすいのだ。
実際のところ、魔法戦士にはなれても固有魔法まで使えるようになっている魔法戦士はそんなに多くはないようだが。
青髪は前者の方で、おそらくは相方やあの赤い魔女もこちらのほうであろう。
「まあ、そこは本命の二人に期待するとするか。」
とはいえ、想像よりも早く学園内部に自身の勢力を拡大することができた。
学園の生徒数はかなり多く800人以上おり、教職員や機関専任の組織関係者も含めれば1000を超えるだろう。
予想に反して男子も半分ほど存在していた。
一般生徒のほかに、魔力を研究を志す者や自身では気づいていないが宿した魔力によって亜人となる危険性のある男子にある程度の制御能力を教えるために所属させているパターンも多いようだ。
他にもこの学園の特徴として、授業スタイルは必修科目を最低限受けつつ他の授業は大学のように単位制となっているようだ。
これはおそらく、授業時間を固定したままだと魔法戦士としての活動が多くなると、休みがちになってしまい素性がばれてしまうからだと思われる。
それゆえなのか、魔法戦士たちだけを所属させる特待生スタイルみたいなのは採用していないようだ。
そんなこんなで勢力を拡大し、すでに100人を超える学生や一般人の教職員などの侵食・洗脳を完了した。
相手もまさか、自分たちの本拠地がまだ外堀程度とはいえ、徐々に侵食されているとは夢にも思わないであろう。
さすがに組織の中枢にかかわる人間に関してはまだ情報収集ぐらいでノータッチだが。
軽く調べた限りでは、魔法戦士を束ねる組織というのは複数あるらしく、ここの組織はかなりの大きさのようだ。
互いに技術や敵の情報のやり取りなどは頻繁に行うが、所属している魔法戦士が組織として防衛しているラインを基本的には超えたりはしない。
それを超えるということは、かなりの緊急事態であることの示唆である。
「それはそれとして、肝心のメインターゲットに関しては・・・・と。」
俺は学園と寮の間にある道の側の公園のベンチに腰掛けて、のんびりと待ち続けていた。
ちょうど登校時間であり、何人もの生徒が学校へと向かっていた。
そして・・・・
「おはよ~、エルシアさん、ひかりさん。」
「おはよう!」
「おはようございます。」
挨拶してくる女子生徒に挨拶を返す二人の女子生徒を見ると、俺はほくそ笑んだ。
魔力体に強く影響を受けたことを示す、特徴的な赤いツインテールと水色のショートボブの髪の色。
その水色の髪の方の少女にはとても見覚えがあった。
「エルシアという名前なのか。とうとう見つけたぞ・・・・会いたかったぜ。」
探し求めていた、魔法戦士のエルシアを発見したのだった。
~第3話・完~
最後だけですが、ようやくメインヒロイン登場です。
もっとも、彼女たちの出番も当分まともにないんですが。