※この作品はR-18です。

戦う正義のヒロイン敗北もの作品集   作: 霜月ナル(元Hpinch_like)

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Geminiで小説を書く実験第二弾。
今回は神姫PROJECTの神姫セレネーです。やっぱ怪盗といったら捕まって拷問!陵辱!処刑!でしょう。
デザインも変身ヒロイン感があって好き。
今度は清風の令嬢Verでも書いてみたいですね~。


神姫怪盗セレネー~囚われた義賊の末路~

 月光すら届かぬ深い闇夜。しかし神姫セレネーにとって、闇は恐れるものではなく、むしろ好都合な隠れ蓑であった。

 彼女は今宵もまた、己の信じる正義を執行せんと、ある悪徳領主の館を見上げていた。

 

 「ふふん、待っていなさいよ、強欲領主。あなたが民から搾り取ったお宝は、この正義の怪盗セレネーちゃんが、きっちり頂戴してア・ゲ・ル!」

 

 口元に不敵な笑みを浮かべ、セレネーはしなやかな体躯を躍らせた。手にした愛用のワイヤーフックが月光を鈍く反射する。これは亡き師匠から受け継いだ大切な道具であり、彼女の怪盗としての技の象徴でもあった。

 狙いを定め、ワイヤーを発射する。鉤爪が音もなく館の屋根瓦に食い込み、セレネーは猫のような身軽さで壁面を駆け上がり、闇の中へと溶け込んでいく。館の警備は厳重だったが、彼女の敵ではなかった。影から影へと飛び移り、息を潜めて進む。その動きは洗練されており、長年の経験に裏打ちされた確かな技術が窺えた。

 

 目指すは最上階にある領主の私室。そこに、民から不当に巻き上げた金品が隠されているという情報を掴んでいたのだ。

 

 「よし、ここね」

 

 目的の部屋の窓にたどり着いたセレネーは、特殊な道具で音もなく錠を開ける。滑るように室内へ侵入すると、そこは豪奢な調度品で飾り立てられていたが、どこか俗悪な印象を与える空間だった。

 

 (ふん、悪趣味な部屋ね。でも、お宝さえ頂けば文句はないわ)

 

 油断なく周囲を警戒しながら、目当ての隠し金庫を探す。壁に掛けられた趣味の悪い肖像画の裏。そこが怪しいと睨んだセレネーが、慎重に絵画をずらそうとした、その瞬間だった。

 ――カチリ。

 微かな、しかし決定的な音が響いた。足元に描かれていた魔法陣が淡い光を放ち、セレネーの全身を奇妙な倦怠感が襲う。

 

 「なっ……!? こ、これは……魔力封じの罠!?」

 

 咄嗟に身構えるが、体に力が入らない。愛用の魔銃クレセント・ヒールを握る手も震え、ワイヤーフックもただの金属塊のように重く感じられる。

 得意の回避能力も、魔力の源泉を断たれては発揮しようがない。

 

 「くっ……卑怯な真似を……!」

 

 歯噛みするセレネーの耳に、ゆっくりと扉の開く音が届いた。現れたのは、下卑た笑みを浮かべた悪徳領主と、数人の屈強な手下たちだった。

 

 「かかったな、怪盗め。まさか本当に予告通りに来るとは、ご苦労なことだ」

 

 領主は嘲るように言い放つ。セレネーが予告状を送り付けていたことすら、彼らにとっては罠を仕掛ける好機でしかなかったのだ。

 

 「離しなさい! この私を誰だと思っているの!」

 

 セレネーは虚勢を張って睨みつけるが、手下たちにあっさりと腕を取り押さえられる。魔力を封じられた神姫は、鍛えられた男たちの力には抗えない。

 

 「ふはは! 威勢がいいのも今のうちだ。その美しい顔が、絶望に歪むのが楽しみでならんわ」

 

 領主の粘つくような視線が、セレネーの体を嬲るように這う。金色の髪、猫のような耳、そして豊満な肢体。その全てが、男の歪んだ所有欲を刺激していた。

 

 「おいたが過ぎる悪い子には……きっつーいお仕置きが必要なようだな?」

 

 領主はセレネーのセリフを真似て、歪んだ笑みを深める。

 

 「くっ……!」

 

 屈辱にセレネーの顔が歪む。己の慢心と、敵の用意周到さ。そして何より、悪に虐げられる人々を救うという信念を踏みにじられようとしている無力感が、彼女の心を苛む。

 闇を駆ける正義の怪盗は、今、悪徳領主の仕掛けた卑劣な罠にかかり、自由を奪われた。これから彼女を待ち受ける運命は、想像するだに恐ろしい。

 月も隠れた暗い部屋で、セレネーの囚われの時間が始まろうとしていた。

 

 ――意識が浮上すると、ひんやりとした石の感触と、鼻をつく黴臭さがセレネーを迎えた。最後に見た領主の歪んだ笑顔が脳裏に焼き付いている。

 状況を確認しようにも、まず襲ってきたのは両腕の付け根から手首にかけての鋭い痛みだった。

 

 「う……くっ……!」

 

 見れば、両手首は硬く冷たい鎖で縛められ、その鎖は天井の梁から伸びる別の鎖に繋がれている。体は宙に吊られ、つま先がかろうじて湿った石の床に触れるか触れないかの高さで不安定に揺れていた。

 全身の重みが肩と腕にのしかかり、関節がきしむような痛みを訴える。首筋には、依然としてあの忌まわしい『神姫封じの首輪』が嵌められ、彼女から神姫としての力も、怪盗としての身体能力さえも奪い去っていた。

 

 (こんな……晒し者みたいな格好で……!)

 

 力を失っただけでなく、抵抗の術すら完全に封じられ、ただ無様に吊り下げられている。かつて闇を駆けた誇り高き怪盗の姿は見る影もない。ここは館の地下深くに設けられた牢獄なのだろう。湿っぽく、光もほとんど届かない、絶望を形にしたような場所だ。

 どれほどの時間が経ったのか。腕の痛みに耐え、屈辱に歯を食いしばっていると、遠くから複数の重い足音が響いてきた。

 やがて、牢の錆びついた鉄格子が軋みながら開かれ、松明の揺らめく光と共に、あの悪徳領主が姿を現した。吊り下げられているセレネーは、視線を上げるのも億劫だった。

 

 「ふはは、目覚めたか、哀れな怪盗殿。その様は何とも見ものだな」

 

 領主は愉悦に満ちた声で語りかける。その後ろには、ぞろぞろと男たちが続いていた。その数、数十人はいるだろうか。誰もが憎悪と復讐心にぎらつく瞳で、吊り下げられたセレネーを見上げていた。

 

 「どうだ、怪盗セレネー。自慢の力も、この特製の『神姫封じの首輪』と、この鎖の前では無力だろう? もはやお前は、ただの吊るされた女だ」

 

 領主の言葉に、後ろの男たちから下卑た笑い声が上がる。セレネーは唇を噛み締め、必死に恐怖を押し殺そうとした。

 しかし、男たちの顔ぶれを見て、彼女は息を呑んだ。

 

 (こいつら……まさか!)

 

 闇商人、悪徳役人、詐欺師……その顔には見覚えがあった。彼らは皆、セレネーが「正義の鉄槌」を下し、その悪事を暴き、あるいは財産を奪い取った者たちだったのだ。

 彼女の正義の行動によって破滅したり、計画を台無しにされたりした者たちが、この悪徳領主の下に集い、結託していたのである。

 

 「セレネー……貴様のせいで俺たちの計画は滅茶苦茶だ!」

 「俺から盗んだ宝、いや、それ以上の代償を払ってもらうぞ!」

 「散々我々をコケにしてくれたな、この生意気な怪盗め!」

 「今日こそ積年の恨みを晴らしてやる!」

 

 口々に罵詈雑言を浴びせかけ、男たちはじりじりとセレネーに近づいてくる。彼らの瞳に宿るのは、純粋な憎悪と、これから始まる復讐への期待感。

 

 (私が……私のやってきたことは、ただこの悪党どもに、さらなる憎しみと復讐の機会を与えただけだったというの……?)

 

 己の信じた正義が招いた、最悪の結末。セレネーの心に、かつてないほどの絶望が広がっていく。力は封じられ、逃げ場はなく、無様に吊り下げられ、目の前には自分を憎悪する数十人の男たち。彼らがこれから何をしようとしているのか、考えたくもなかった。

 体が小刻みに震えだす。それは屈辱からか、あるいは純粋な恐怖からか。領主は満足げにその様子を眺め、そして、集まった男たちに向かって宣告するように言った。

 

 「さあ、諸君、復讐の時間だ。この哀れな怪盗に、我々の怒りを存分に思い知らせてやろうではないか」

 

 邪悪な笑い声が、湿った地下牢獄に響き渡った。男たちが一斉にセレネーを取り囲み、その汚れた手が、無防備に吊り下げられた彼女へと伸ばされようとしていた。

 領主の邪悪な号令が、湿った地下牢獄に響き渡る。それを合図に、復讐に飢えた男たちが、吊り下げられたセレネーへと殺到した。

 

 「まずは俺からだ!」

 

 最初に飛び出した男が、憎悪を込めた拳をセレネーの腹部へと叩き込んだ。

 

 「ぐっ……ぅあ!?」

 

 ゴッ、という鈍い衝撃音と共に、息の詰まるような激痛がセレネーを襲う。神姫としての頑健な肉体は、首輪によってその力を失っていた。

 かつてならかすり傷にもならなかったはずの、ただの男の拳が、今は内臓を直接揺さぶるかのような重い痛みとなって響く。

 

 「はっ、効いてる効いてる!」

 「神姫といえど、力を封じられればこの程度か!」

 「次は俺だ!」

 

 男たちは嘲笑しながら、代わる代わるセレネーに殴る蹴るの暴行を加えていく。吊り下げられた体は無防備に揺れ、受ける衝撃を逃がすすべもない。

 顔面、胸部、腹部、脚――容赦なく叩きつけられる打撃に、セレネーは呻き声を上げることしかできなかった。

 

 「う……ぐ……やめ……」

 

 か細い抵抗の声は、男たちの憎悪を煽るだけだった。しばらく嬲るように暴行を続けていたが、やがて領主が嗜虐的な笑みを浮かべて一歩前に出た。

 その手には、馬用の太くしなやかな鞭が握られていた。

 

 「ふふ、ただ殴るだけでは芸がないだろう。この美しい肌に、我々の怒りを刻み込んでやらねばな」

 

 ヒュッ、と鞭が空気を切り裂く鋭い音。次の瞬間、灼けるような痛みがセレネーの背中を襲った。

 

 「きゃあああっ!?」

 

 思わず甲高い悲鳴が漏れる。鞭は容赦なく、セレネーの背中、肩、そして脚へと打ち下ろされる。薄い怪盗の衣装は容易く引き裂かれ、白い肌に赤い蚯蚓腫れが浮かび上がっていく。

 痛みと共に、晒し者にされ、動物のように扱われる屈辱が、彼女の精神を蝕んでいく。

 

 「ひっ……うぅ……あ……」

 

 涙が溢れ、視界が滲む。どれだけ耐えれば終わるのか。そんな思考すら、絶え間ない苦痛によって掻き消されていく。

 鞭打ちに満足したのか、領主が下がると、男たちが再びセレネーを取り囲んだ。今度は、まるで示し合わせたかのように、セレネーの腹部だけを集ここで的に狙い始めた。

 

 「ぐぅっ!」

 「うっ……!」

 「お……ぉえ……」

 

 鳩尾、脇腹、下腹部。急所を狙った執拗な打撃が繰り返される。内臓を直接殴られるような鈍い痛みが波のように押し寄せ、胃の腑が痙攣を起こす。

 こみ上げてくる吐き気を必死にこらえようとするが、限界は近かった。

 ドンッ!と、ひときわ強い一撃が腹部にめり込む。

 

 「うぐぅっ!?お、おえぇぇぇぇっ……!」

 

 ついに堪えきれず、セレネーは胃の中身を激しく吐き出した。酸っぱい臭いを伴った吐瀉物が、足元の石畳に飛び散る。吊り下げられたまま嘔吐する惨めな姿に、悪党たちの下卑た笑い声が一層大きく響き渡った。

 

 「ははは! 見ろよ、吐きやがった!」

 「情けねえなあ、怪盗セレネー様よぉ!」

 「まだまだこれからだぜ?」

 

 領主は満足げに頷き、その目はさらなる凌辱への期待にギラついていた。嘔吐し、涙と涎にまみれ、全身に打撃と鞭の痕を刻まれたセレネーは、もはや反撃はおろか、意識を保つことさえ困難になりつつあった。

 嘔吐し終えたセレネーは、ぐったりと意識を朦朧とさせながら鎖に吊られていた。もはや抵抗する気力も、声を上げる力も残っていないかのようだ。

 酸っぱい胃液の臭いと、男たちの汗や埃の臭いが混じり合い、牢獄の空気はさらに淀んでいく。

 だが、悪党たちの歪んだ復讐心は、それで満たされることはなかった。一人の男が、床に落ちていた鞭を拾い上げ、ニヤリと下卑た笑みを浮かべる。

 

 「おいおい、まだ終わりじゃねえぞ。怪盗様の一番大事なところに、とっておきの一発をお見舞いしてやらねえとなぁ?」

 

 男はそう言うと、他の悪党たちも囃し立てるように笑い声を上げる。

 セレネーはかろうじて顔を上げ、男の持つ鞭と、その目が向けられている先――自身の股間を認識し、全身が恐怖に凍り付いた。

 

 「や……やめ……」

 

 懇願の声は、蚊の鳴くようにか細い。男はそんなセレネーの反応を愉しむように、ゆっくりと鞭を大きく振りかぶった。そして、狙いを定め……。

 ヒュゥッ、バチンッ!――空気を切り裂く音に続き、肉を打つ生々しい音が響き渡る。それは、今まで受けたどの打撃よりも鋭く、深く、セレネーの神経を直接引き裂くような激痛だった。

 

 「ぎゃあああああああああああっっ!」

 

 牢獄全体に響き渡るかのような、凄まじい絶叫。セレネーの体は、吊られているのも構わず、弓なりに激しく反り返った。

 股間から奔る灼けるような、引き裂かれるような痛みは、一瞬で全身を駆け巡り、意識を白く焼き切らんばかりの衝撃をもたらす。

 あまりの激痛と衝撃に、体は完全に制御を失った。

 じょろ……脚の間から、生暖かい液体が流れ出す感覚。破れた衣服が濡れ、太ももを伝って、点々と石の床へと滴り落ちていく。

 膀胱の括約筋が、耐え難い苦痛によって完全に緩んでしまったのだ。微かに漂うアンモニアの臭いが、彼女をさらなる屈辱の淵へと突き落とす。

 

 「ぶはははは! 見ろよ、お漏らしだぜ!」

 「怪盗様もついにションベン垂れ流しか! 傑作だな!」

 「くっせえ! 女のションベンは臭えなあ!」

 「だらしねえ女だ!」

 

 失禁という、これ以上ないほど惨めな姿を晒したセレネレを見て、悪党どもは腹を抱え、床を叩いて笑い転げた。彼らの嘲笑は、セレネーの砕け散った誇りを、さらに踏みつけるように響き渡る。

 もう、セレネーの瞳に、かつての強い光は残っていなかった。痛みと屈辱、そして絶対的な無力感の中で、彼女の意識は暗く、深い闇へと沈みかけていた。

 

 ――どれほどの時間、意識を失っていたのだろうか。全身を苛む鈍い痛みと、不快な倦怠感の中で、セレネーの意識はゆっくりと浮上した。

 最後に覚えているのは、股間を焼くような激痛と、男たちの下品な嘲笑だった。

 

 「ん……ぅ……」

 

 重い瞼をこじ開けると、まず視界に入ったのは、汚れた石の床だった。自分がうつ伏せに近い、奇妙な体勢でいることに気づく。そして、手足に感じる冷たく硬い感触。

 

 (……!? これは……何……!?)

 

 パニックになりかけた頭で状況を確認する。自分は冷たい鉄製の台の上に、四つん這いの格好で固定されていた。両手首、両足首はそれぞれ頑丈な金属の枷で台に繋がれ、身動き一つ取ることができない。

 

 「くっ……!」

 

 ガチャガチャ! ガシャン!と、必死に手足を動かして拘束から逃れようともがくが、枷はびくともしない。金属の擦れる虚しい音が、牢獄に響くだけだ。

 首には依然として『神姫封じの首輪』が嵌められており、力は完全に封じられたままだ。

 ハッと顔を上げ、周囲を見渡す。そこには、先ほど自分を嬲った悪党たちが、壁際にずらりと並び、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 まるでこれから始まる見世物を待つ観客のように。

 

 「ふふ、ようやくお目覚めかな、怪盗殿。先ほどは少々手荒だったかな? だが、まだまだ楽しませてもらうぞ」

 

 悪徳領主が、満足げに一歩前へ出た。その手には、小さなリモコンのようなものが握られている。

 領主はそれを得意げに掲げて見せた。

 

 「これはな、お前のような生意気な女を『教育』するために、特別に作らせたものだ。まあ、見ていたまえ」

 

 領主がリモコンのボタンを押す。ウィーン、という低い機械音と共に、セレネーが拘束されている鉄の台が微かに振動し始めた。

 そして、彼女の腹部の下あたり、台の中央部分が静かに開き、そこから金属製の細いアームが数本、まるで蛇のようにぬるりと姿を現した。

 

 (な、なによ、これ……!?)

 

 アームは銀色に鈍く光り、その先端には、硬そうに見えるが、同時に無数の細かな毛が植えられた小さな円形のブラシが取り付けられている。それは明らかに、人体のある部分を刺激するために設計されたものだと分かった。

 そのメカアームのうちの一本が、生き物のように滑らかな動きでセレネーの胸元へと伸びていく。抵抗しようにも、体は完全に固定されている。アームは寸分の狂いもなく狙いを定め……。

 

 ――ピタッ。

 

 「ひぅっ……!?」

 

 先端のブラシが、セレネーの右側の乳首に、ぴったりと接触した。硬い毛先が、暴行によって過敏になった肌へ触れる、ぞわりとする異様な感触。

 セレネーは息を呑み、これから自分の身に何が起ころうとしているのか、言いようのない恐怖と嫌悪感に身を強張らせた。悪党たちの期待に満ちた視線が、彼女の肌を刺すように感じられた。

 硬質なブラシが乳首に触れた、その直後だった。

 

 ウィーン……。

 

 微かな機械の作動音と共に、アーム先端のブラシが高速で回転を始めた。

 

 「んひっ!?」

 

 ヤスリで直接削られるような不快な痛みと、同時に神経を逆撫でするような、ぞわぞわとしたくすぐったさがセレネーを襲う。思わず漏れそうになる呻き声を、彼女は奥歯をきつく噛み締めて必死に飲み込んだ。

 

 (こんな……こんなもので……!)

 

 屈辱だった。誇り高い怪盗である自分が、こんな機械仕掛けの玩具に嬲られ、みっともない声を上げそうになっている。せめてもの抵抗として、無表情を装い、体の反応を抑えつけようと全身に力を込めた。

 しかし、悪徳領主が操作する機械は、そんなセレネーのささやかな抵抗を嘲笑うかのように、さらに執拗な刺激を与え始めた。

 ブラシの回転速度が不規則に変化する。ゆっくりと、粘るように乳首を撫で回したかと思えば、次の瞬間にはギリギリと音を立てそうなほどの高速回転で強く擦り付ける。

 時には小刻みに震えながら、圧力を変えて押し付けてくる。

 

 「ひっ……ぅ……!」

 

 予測不能な緩急をつけた刺激の波状攻撃に、セレネーの体は抗いきれなくなっていく。ゾクゾクとした奇妙な痺れが背筋を駆け上がり、肩がピクン、ピクンと小刻みに震え始めた。

 意に反して、腰がわずかに浮き沈みする。

 

 (いや……! ちがう……! こんなものに、私が感じるわけ……!)

 

 心の中で必死に否定する。これは痛みと不快感による体の反射だ、と自分に言い聞かせようとする。しかし、硬いブラシが敏感な場所を的確に、しかも変化をつけて刺激し続けることで不快な感覚だけではない。

 別の種類の熱が下腹部に生まれ始めていることをセレネー自身が感じ始めていた。

 

 「ん……ぅぅ……はぁ……」

 

 どんなに我慢しようとしても、浅く、熱い吐息が漏れてしまう。そして、その反応は、見ている悪党どもをさらに喜ばせるだけだった。

 松明の光が、屈辱的な四つん這いの姿勢で拘束されたセレネーの体を照らし出す。暴行によって一部が破れた怪盗衣装。その突き出された臀部の下、股間の部分の生地が、じわり、じわりと濡れて色を濃くしていく。

 それは紛れもなく、不本意ながらも彼女の体が機械の刺激に感じ、愛液を分泌し始めている紛れもない証拠だった。

 領主はリモコンを片手に、その光景を満足げに眺めている。周りの悪党たちも、固唾を飲んで、あるいは下卑た笑みを浮かべて、セレネーの反応を観察していた。

 次にどのような刺激が加えられるのか、セレネーはただ、言いようのない恐怖と屈辱の中で身を竦ませるしかなかった。

 

 「はぁっ……はぁ……んぅ……」

 

 不規則なブラシの刺激に、セレネーの息は完全に荒くなっていた。我慢しようとしても漏れ出てしまう甘い吐息。四つん這いの下、股間の衣装はしっとりと濡れそぼり、不本意な反応を示していることを隠しきれない。

 その様子に満足したのか、悪徳領主はリモコンを操作し、乳首を嬲っていたメカアームの動きを止めた。

 だが、それは解放を意味するものではなかった。

 安堵する間もなくセレネーの背後から、ウィーン……という、先ほどよりも明らかに重々しく、力強い機械の駆動音が近づいてくる。

 

 (……!? まだ、何か……!?)

 

 嫌な予感が背筋を走り、セレネーは痛む首を無理やり捻って後方を見た。そして、そこに存在するものを認識した瞬間、彼女の顔からサッと血の気が引いた。

 目の前にあったのは、鈍色の金属でできた、いかにも頑強そうな電動式のピストンマシーンだった。

 それは低い唸りを上げて稼働しており、その先端からは、見るからに禍々しい形状の物体が二本、並んで突き出していた。

 それは、紛れもなく男性器を模したディルドーだった。だが、尋常なサイズではない。異様に太く、長く、表面には血管のような凹凸までがリアルに再現されている。

 そのグロテスクな形状は、人間のものではなく、もっと獰猛で、醜悪な種族――。

 

 「ほう、気づいたか。立派だろう?」

 

 領主が、セレネーの恐怖を愉しむかのように嗤いながら口を開いた。

 

 「それはな、特別に注文して作らせた逸品でな。かの獰猛なオークの、それもとびきり極太の男根を精密に模した極上品よ。貴様のような高慢ちきな怪盗様には、これくらいでないと満足できんだろうと思ってな?」

 

 オークの男根。その言葉と、目前に迫る醜悪なディルドーの姿に、セレネーの中で何かが完全に砕け散った。怪盗としての誇りも、女性としての羞恥心も、今はもうどうでもよかった。

 ただ、これから自分の身に起ころうとしている絶対的な陵辱から逃れたい一心だった。

 

 「い、いや……いやぁぁっ! やめて! お願いします! それだけは……! お願いだから、やめてぇぇっ!!」

 

 涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、セレネーは恥も外聞もなく叫び、懇願した。拘束された手足を虚しくばたつかせる。

 しかし、そんな必死の訴えを、領主はせせら笑うだけで意に介さない。彼は無情にも、再びリモコンのボタンへと指を伸ばした。

 

 ――ガコンッ!

 

 低い音を立て、ピストンマシーンが最後の距離を詰め、セレネーの突き出された臀部へと密着する。

 二本の極太ディルドーの先端が、濡れて熱を帯びた秘裂と、恐怖に硬く閉ざされた後孔へぐりぃ、と冷たく硬い感触で押し当てられた。

 

 「ひぃっ! や、やめ……!」

 

 それが、セレネーのかろうじて絞り出した最後の抵抗の言葉だった。

 だが、その言葉が終わるよりも早く、領主はリモコンのボタンを強く押し込んだ。ピストンマシーンが、最大出力でその機能を――暴力的な侵入を開始した。

 

 ――ズボォッ! ズボッ!

 

 2つの鈍く、水っぽい音が生々しく響く。抵抗も、拒絶も、何もかもを無視して。オークの男根を模した忌まわしい二本の極太ディルドーが、セレネーの2つの穴へと、容赦なく、勢いよく突き刺さった。

 2本の極太ディルドーが突き刺さった瞬間、セレネーの体が硬直し、言葉にならない絶叫が漏れる。「おほぉぉぉぉぉっ!?」腹部が内側から押し上げられ、ディルドーの輪郭が皮膚の下にボコッと不自然に盛り上がる。

 ウィーン……ガコン……という機械音と共に、ピストンマシーンはまずゆっくりと、しかし確実にディルドーを前後に動かし始めた。内部を抉るような鈍い痛みと圧迫感に、セレネーの意識は飛びかけた。

 白目を剥き、口からはだらしなく舌が垂れ下がり、唾液が糸を引く。そのあまりに無様な姿に、悪党どもは腹を抱えて哄笑した。

 

 「ぶはは! 見ろよあの顔!」

 「最高だぜ!」

 

 徐々に、そして確実に、ピストンマシーンの動きは速度を増していく。ゴリゴリと内部を削りながら、激しくセレネーの2つの穴を蹂躙し始めた。

 同時に、先ほどまで止まっていた乳首のブラシも再び高速で回転を開始し、硬い毛先が過敏になった乳首を容赦なく刺激する。

 

 「あ゛っ、ぎぃ、あうぅぅっ! んぐぅっ!」

 

 前後の穴を激しく突かれ、同時に乳首を嬲られる。苦痛と、抗いがたい不快な快感が混ざり合い、セレネーの頭の中はぐちゃぐちゃにかき混ぜられていく。もはや正常な思考は不可能だった。

 そんなセレネーの耳元で、悪徳領主が愉悦に満ちた声で囁いた。

 

 「どうだ、セレネー。そのマシーンはな、お前の体が我慢できずに『イッて』しまったのを検知すると、このタンクにたっぷりと保存しておいた、濃厚なオークのザーメンを射精する仕組みになっている。もちろん、その立派な二本のディルドー、両方からな」

 

 オークのザーメン……2つの穴に……。脳が快楽と苦痛で麻痺しかけていても、その言葉の意味だけは、はっきりと理解できてしまった。

 セレネーの顔が絶望に歪む。

 

 「ひっ……いや……いやぁぁぁぁっ! そんなの……!」

 

 涙がとめどなく溢れ、体を必死によじって抵抗しようとするが、拘束された体はどうすることもできない。

 領主はさらに囁きかける。

 

 「泣き叫ぶだけか? みっともないな。さあ、どうする? この私に、心から泣いて謝罪し、許しを懇願してみるがいい。あるいは、オークのザーメンで満たされるのを選ぶか?」

 

 (謝る……? この男に……? 私が……? そんなこと……!)

 

 一瞬、怪盗としての、神姫としてのプライドが鎌首をもたげる。だが、脳裏に浮かぶのは、あの醜悪なディルドーから、未知の精液を注ぎ込まれる恐怖。

 

 (いや……いやだ……!)

 

 プライドなど、圧倒的な恐怖の前には何の役にも立たなかった。

 

 「ご、ごめんなさ……! わたしが悪かったですぅ……! だから、お願い……許して……! 許してくださいぃぃぃ……!」

 

 涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、セレネーはついに、屈辱的な謝罪と懇願の言葉を叫んでしまっていた。

 セレネーの屈辱的な懇願を聞き、悪党たちは腹を抱えて高笑いした。「聞いたかよ! あの怪盗様が謝ってやがる!」「ざまあみろ!」領主は満足げに頷くと、再びリモコンに手を伸ばし、いくつかのボタンを操作した。

 

 (オークのザーメンだけは……それだけは回避できた……!)

 

 セレネーは、まだ続くピストンとブラシの責め苦に耐えながらも、心のどこかで僅かな安堵を覚えていた。この苦痛さえ耐えれば、最悪の汚辱だけは免れるかもしれない、と。

 だが、その淡い期待は、次の瞬間、無慈悲に打ち砕かれた。セレネーの耳に、ピストンマシーンから発せられた、抑揚のない冷たい機械音声が届いたのだ。

 

 『ピポッ……射精機能、スタンバイ。シークエンス、オン』

 「…………え?」

 

 理解が追いつかなかった。今、機械は何と言った? 射精機能……オン? セレネーは、激しいピストンの動きの中で、ただ呆然と目を見開いていた。

 その間の抜けたような表情を見て、悪党どもは今度こそ腹の底から、涙を流さんばかりに大声で笑い転げた。

 

 「おいおい、聞いたか今の顔!」

 「鳩が豆鉄砲食らったみてえだ!」

 「馬鹿な女! 本気で許してもらえるとでも思ったのかよ!」

 

 領主が、呆然とするセレネーの顔を覗き込むようにして、ねっとりと囁いた。

 

 「言っただろう? 泣いて許しを請えば、『止めてやらんことも無い』、と。だがな、私は一言も、『止めるとは言っていない』のだぞ? ははは、残念だったな!」

 

 裏切られた。弄ばれた。その事実が、セレネーの中で呆然自失を激しい怒りへと変えた。憎悪に燃える瞳で、目の前の領主と、嘲笑う悪党どもを睨みつける。そして、ありったけの憎しみを込めて叫んだ。

 

 「この……げ、下衆どもめぇ……! はぁっ……! ぜ、絶対に……んぅっ……許さない……んだから……!」

 

 しかし、必死に絞り出した罵倒の言葉は、激しいピストン運動によって漏れ出る甘い喘ぎ声と吐息に掻き消され、情けないほどに迫力を欠いていた。その弱々しい抵抗すら、悪党たちのさらなる嘲笑を誘うだけだった。

 セレネーの弱々しい悪態を聞き、領主はさらに嗤う。

 

 「威勢がいいのは口だけか? まあ良い。だが忘れるなよ? そのマシーンはお前の絶頂を検知する。オークのザーメンを注ぎ込まれたくなければ、せいぜい我慢することだな」

 

 その言葉に、セレネーはハッと息を呑んだ。そうだ、絶頂してはいけない。あの汚らわしいもので満たされるわけにはいかない! 彼女は必死に押し寄せる感覚に抵抗しようとした。

 だが皮肉なことに、あれほど苦痛だったはずの極太ディルドーの激しいピストンは、繰り返されるうちに脳を焼き、歪んだ快感へと変質し始めていた。

 

 (だめ……! 感じちゃ……!)

 

 歯を食いしばり、「ふーっ、ふーっ……!」と荒い息をつきながら、必死に体を強張らせて快感を逃そうとする。その必死な姿が、悪党どもには滑稽に映る。

 

 「プークスクス……!」

 「我慢してる我慢してる!」

 

 「おっと、そういえばもう1つ、面白い機能を付け加えていたのを忘れていた」

 

 領主が悪魔のような笑みを浮かべ、再びリモコンを操作した。次の瞬間――。

 

 ギュルルルルルルン! セレネーの体内で激しく蠢いていた二本のディルドーが、凄まじい勢いで高速回転を始めた!

 

 「おひぃぃぃぃぃぃぃっ!?!?」

 

 ゴツゴツとしたオーク男根のイボが、子宮の壁と直腸の粘膜を回転しながら抉り、擦り上げ、掻き回して刺激し――快感が一気に駆け上る!

 

 「あ、あ、あ、ああああああああ!」

 

 もう限界だった。我慢などできるはずがない。

 

 「イキたくないっ……! いやぁ! イキたくないぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 泣き叫びながら懇願するも虚しく、セレネーの体はビクンッ! ビクンッ!と大きく痙攣し、ついに抗いがたい絶頂の波に飲み込まれた。

 それと同時に、股間からは大量の潮がビュッ!と勢いよく噴き出した。

 絶頂の痙攣が収まらぬうちに、ピストンマシーンから冷酷なアナウンスが響く。

 

 『絶頂ヲ、検知。オークザーメン射精シークエンス、開始』

 

 直後、ゴポォッ! ドピュルルルルルーッ! という凄まじい音と共に、二本のディルドー先端から、白濁した粘度の高い液体――濃厚なオークのザーメンが、凄まじい勢いでセレネーの子宮とアナル内部へと注ぎ込まれ始めた!

 その量は尋常ではなかった。子宮は瞬く間に満たされ、腹部がさらに大きく膨れ上がる。

 そしてアナルから注ぎ込まれた大量のザーメンは、行き場を失い、セレネーの腸内を逆流し、食道を駆け上がり――。

 

 「んぐっ……! おぼっ……! ぶぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 セレネーの口から、胃液と混じり合った白濁のオークザーメンが、勢いよく逆流し、吐き出された。それは、もはや人間としての尊厳を完全に打ち砕く、おぞましい光景だった。

 たっぷり数分間、おぞましい液体を注ぎ込み続けた後、ピストンマシーンはようやくその動きを止めた。だが、ディルドーはセレネーの体内に挿入されたままだった。

 セレネーは完全に意識を飛ばしているかのように白目を剥き、口の端からは先ほど吐き出したオークザーメンがだらしなく垂れ流れている。体は未だにビクン、ビクンと小刻みに痙攣を続けていた。

 腹部は異様に膨れ上がり、全身が自分のものではない粘液と吐瀉物で汚れている。

 そのあまりに凄惨で、常軌を逸した光景に、さすがの悪党たちも一瞬言葉を失い、顔を引きつらせた。だが、それも束の間。

 

 「……けっ、ざまぁみろだ」

 「自業自得だ、怪盗め」

 「いい汚されっぷりじゃねえか」

 

 口々に罵りの言葉を投げかける。

 朦朧とする意識の片隅で、セレネーは機械が止まったことをかろうじて認識していた。

 

 (……これで……これで、終わり……? やっと……終わった、の……?)

 

 暴虐の終わり。ほんの僅かな、しかし確かな安堵感が、疲弊しきった心に染み渡る。

 だが、その安堵は、文字通り一瞬で打ち砕かれた。

 再び、ウィーン……ガコン! という鈍い機械音と共に、突き刺さったままのディルドーが動き出したのだ!

 

 「おごぉぉぉぉぉっ!?!?」

 

 予期せぬ再度の苦痛と絶望に、セレネーはほとんど反射的に絶叫した。

 

 「な、なんでぇぇぇぇ!? もう、終わったんじゃ……!?」

 

 領主が、憐れむでもなく、ただ面白がるように答えた。

 

 「ん? 何を言っている? オークの性欲が無尽蔵なのは貴様も知っているだろう? つまり、あのタンクに採取しておいたオークのザーメンは、まだまだたっぷりと残っているというわけだ。たった1回の射精で空になるほど、やわではないのでな」

 

 領主はニヤニヤしながら続けた。

 

 「――ということで、タンクが完全に空になるまで、せいぜい頑張ってくれたまえよ、怪盗殿?」

 「そん……な……! もういやぁぁぁぁあ! 止めてっ! お願いだから止めてぇぇぇぇぇ!」

 

 セレネーは完全に理性を失い、ただただ泣き叫ぶことしかできなかった。

 領主はそんなセレネーの絶叫をBGMにするかのように、満足げに頷くと、他の悪党たちに声をかけた。

 

 「さて、私はこれから大事な会食でね。シャワーも浴びなければいけないので、これで失礼するよ。さあ、皆さんも行きましょう。この女の末路は、後でゆっくりと報告を聞けばいい。タンクが空になる頃には、きっと面白いことになっているだろうからな」

 

 悪党たちはまだ嬲り足りないといった顔をする者もいたが、領主の言葉には逆らえず、名残惜しそうにセレネーを一瞥すると、次々と牢獄を出て行った。

 重い扉の閉まる音が、無情に響く。

 

 「ま、待って! いがないでぇぇぇぇぇ! 止めてっ! お願い……んほぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 懇願の言葉は、再び襲ってきた強烈な絶頂によってかき消された。

 

 『絶頂ヲ、検知。オークザーメン射精――』

 

 ゴポォッ!ドピュルルッ! 無慈悲なアナウンスと共に、再び大量のオークザーメンが注ぎ込まれる。もはやセレネーの体は、快感の制御を完全に失っていた。

 激しいピストンと回転、そしてブラシの刺激に、歯止めが利かなくなったように何度も、何度も絶頂を繰り返してしまう。

 その度に、おぞましいオークの精液が、彼女の体内へと容赦なく注ぎ込まれ続ける。それは、終わりも、救いもない、文字通りの無限地獄だった。

 

 ――数時間後、悪徳領主は上機嫌で例の地下牢獄へと戻ってきた。会食は成功し、気分は最高だった。だが、重い鉄格子の扉を開けた瞬間、その表情は一変する。

 

 「うっ……!」

 

 鼻が曲がりそうなほどの、凄まじい悪臭。濃厚な獣の精液とアンモニア、そして吐瀉物が混じり合った、むせ返るような汚臭が牢獄全体に充満していたのだ。

 領主は思わず顔を顰め、懐から取り出した高級なハンカチで鼻と口を押さえた。

 そして、おそるおそる部屋の中央、例の台座へと目を向ける。そこには、彼の歪んだ想像すら超えた、おぞましい光景が広がっていた。

 

 セレネーは、まるで悪趣味なオブジェのように、全身を乾きかけた白濁のオークザーメンで塗りたくられ、コーティングされていた。

 虚ろに白目を剥き、完全に意識を失ってぐったりと台座に体を預けている。口元からは、乾いたザーメンの筋がだらしなく垂れていた。

 例のザーメンタンクは、表示ランプが消え、空になったことを示している。

 だがそれでもなお、ピストンマシーンだけは律儀に動き続け、二本のディルドーがもはや何の反応も示さないセレネーの子宮とアナルを、ただ虚しく機械的に掻き回していた。

 力の抜けた秘所とアナルからは、新たなザーメンが流れ込むことはないものの、汚れた粘液や尿が、だらしなくチョロチョロと垂れ流されて台座の下に汚い水たまりを作っていた。

 

「……ふむ。これほどの仕打ちを受けて、まだ息があるとはな」

 

 領主は、汚物に顔を顰めながらも、セレネーの胸がごく僅かに上下しているのを確認し、ある種の奇妙な感心を覚えずにはいられなかった。

 

 (力を封じられていても、やはり神姫の肉体というものは、人間の常識を超えて頑健にできているということか。実に大したものだ……利用価値はまだまだありそうだな)

 

 彼は、まるで使い終わった実験器具でも片付けるかのように、壁に取り付けられた通信装置へ向かって冷たく指示を出した。

 

 「おい、清掃班を今すぐ入れろ。この鼻の曲がるような汚物を徹底的に洗浄させろ。ああ、それから、その女はまだ『使う』から、壊さないよう丁重に扱えよ。次に使うときのために、綺麗にしておけ」

 

 ウィーン、という作動音と共に、壁の一部が開き、自動清掃用のドローンが数機、音もなく牢内へと入ってくる。

 こうして、セレネーを襲った地獄のような機械による責め苦は、一旦の終わりを迎えた……。

 しかし領主の歪んだ愉悦は、まだ満たされてはいなかった。

 彼女には、肉体的な陵辱よりもさらに残酷で、彼女の魂そのものを砕くための、最後の『絶望処刑』がまだ残されているのだった……。

 

 ――数日が過ぎた。

 

 その日、悪徳領主が支配する街の中心広場は、朝から異様なほどの熱気に包まれていた。噂を聞きつけた野次馬たちが、広場を埋め尽くしている。

 彼らの興奮した視線の先――広場の中央へと、重々しい足音を響かせながら、数名の兵士たちに両脇を固められ、手枷足枷を嵌められた一人の女が引きずられるように連行されてきた。

 その女こそ、数日前までこの街の悪党どもを震撼させていた正義の怪盗、セレネーだった。

 ご丁寧にというべきか、悪趣味というべきか、彼女の象徴である紫紺の怪盗衣装は陵辱の過程で破れた箇所も綺麗に修復され、再びその身に纏わされていた。

 だが、その衣装を纏うべき主の姿は、見る影もなく変わり果てていた。

 

 ――虚ろな瞳は焦点が合わず、ただぼんやりと足元を見つめている。表情は能面のように固く、感情の色は窺えない。

 目の下には、眠れぬ夜と悪夢を物語るかのように、どす黒い隈が深く刻まれている。

 艶やかだったはずの金髪は色褪せてパサつき、頬はやつれこけ、血の気を失った唇はカサカサに乾いている。

 

 かつて、どんな窮地に陥っても失われることのなかった、自信に満ちた不敵な笑顔は、そこにはもう欠片も存在しなかった。

 ただ、生ける屍のように魂を抜かれ、兵士たちに引きずられるまま、よろよろと歩を進めるだけだった。

 数日前のあの地下牢での出来事が、彼女の心と魂をどれほど深く、そして決定的に蝕んでしまったのか、その痛々しい姿が何よりも雄弁に物語っていた。

 憔悴しきったセレネーが連行された先は、街の中央に位置する、広大な石畳の広場だった。そこには既に、まるで祭りの日でもあるかのように、老若男女問わず、大勢の領民たちが集められていた。

 領主から「街の今後に関わる大事な話がある故、必ず集まるように」と一方的に宣告され、逆らうことを恐れた彼らが、不安と訝しげな表情を浮かべて集結していたのだ。

 そして、その群衆が見守る広場の中央に、まるでこれから処刑される罪人のようにセレネーは手枷足枷を嵌められたまま立たされ、衆人環視の晒し者にされていた。虚ろな瞳には、周囲のざわめきも、自分に向けられる好奇や憐憫の視線も、もはや映ってはいないかのようだった。

 やがて、広場を見渡せるように急遽設えられたと思しき壇上に、悪徳領主が尊大な態度でゆっくりと姿を現した。

 彼は集まった領民たちを満足げに見渡し、わざとらしく咳払いを1つすると、よく通る声で語り始めた。

 

「皆の者、急な呼び出しにも関わらず、よくぞ集まってくれた! 今日は諸君らに、我々の平和な街を陰で脅かし諸君らの生活を苦しめていた、真の悪の正体について明らかにせねばならぬことがある!」

 

 領主は芝居がかった仕草で息を吸い込むと、壇上から広場の中央に立つセレネーを、憎々しげに指差した。

 

「諸君らの生活を脅かし、善良なる市民から奪い、苦しめてきた全ての元凶……それは、そこにいる女! かつて義賊などと嘯いていた怪盗セレネーだ!」

「義賊など真っ赤な嘘! この女こそが、諸君らを欺いて私腹を肥やしてきた真の悪なのだ!」

 

 領主の断定的な言葉に、広場に集まった領民たちの間に、大きな動揺とどよめきが走った。

 

 「まさか……」

 「あの怪盗が?」

 「領主様は悪人だとばかり……」

 「嘘だろ……?」

 

 彼らにとって、セレネーは圧政に喘ぐ自分たちの鬱憤を晴らしてくれる、密かな希望の象徴でもあったのだ。その彼女が悪の元凶だなどと、すぐには信じられるはずもなかった。

 領民たちの疑念に満ちたざわめきを見て、領主は計算通りとばかりに頷き、さらに声を張り上げた。

 

 「信じられぬ者もいるようだな。それも無理はない。この女は実に狡猾に、諸君らの善意を利用してきたのだからな! よろしい、ならば決定的な証人を呼ぼう!」

 

 領主の合図で、壇上に一人の男がおずおずといった様子で招き入れられた。その人物の姿を認識した瞬間、セレネーの虚ろだった瞳が、驚愕に見開かれた。凍り付いたように体が硬直し、息が止まる。

 

(あ……あなたは……!? まさか……!)

 

 それは数週間前、領主の館に忍び込むきっかけとなった人物――涙ながらに領主の非道を訴え、「どうか我々民を、あの悪政から救ってください」とセレネーに懇願してきた、街の温厚な商人だったのだ。

 彼は普段から物腰柔らかく、貧しい者への施しを欠かさないことから、領民たちから絶大な信頼を集め、「聖人」とまで呼ばれていた人物……そのはずだった。

 

 ――セレネーは言葉を失い、戦慄した。そう、全ては最初から仕組まれていたのだ。この「聖人」と呼ばれた商人こそが、領主の腹心であり、最も信頼する協力者の一人だった。

 彼は領民たちの不満を巧みに吸い上げ、表向きは彼らの味方であるかのように振る舞い、ガス抜きをするために「聖人」を演じていた。

 そして領民の期待を一身に背負った「義賊」セレネーという格好の存在が現れると彼女を罠にはめて捕らえ、こうして生け贄として差し出すことで領主は彼女に全ての悪事を押し付けた「善良なる被害者」となり、領民の不満を逸らし、自身の支配体制を盤石にする。

 ――それが、彼らが周到に練り上げた、醜悪極まりない筋書きの全貌だったのである。

 

 壇上で、商人は悲痛な表情(もちろん、それは完璧な演技だ)で、震える声で語り始めた。セレネーに「正義のため」と騙されて協力させられたが、彼女の真の目的は私利私欲であり、街を混乱に陥れることだったのだ、と。

 その偽りの証言に続き、領主が次々とセレネーが行ったとされる(そのほとんどは実際には領主自身やその手下が行った悪事である)略奪や破壊行為、さらには善良な市民への暴行といった捏造された罪状を、大げさな身振りを交えながら大声で読み上げていく。

 

 「……街の備蓄食料庫から大量の食料を盗み出し、あろうことか隣国の悪徳商人に売りさばき、暴利を得ていた!」

 「……貧しい農民からなけなしの種籾を奪い取り、彼らを飢えさせ、この街に飢饉を引き起こそうと画策した!」

 「……領主であるこの私への根も葉もない悪評を流し、善良なる市民を唆して、暴動を起こさせようとした!」

 

 1つ、また1つと、ありもしない罪状が声高に語られる度、領民たちの間のどよめきは次第に静まっていく。

 そしてセレネーへと向けられる視線は、最初の戸惑いから、疑念、そして失望へ。やがて明確な敵意と、裏切られたことへの憎悪へと、確実に変わっていった。

 かつて、暗闇の中に差し込んだ希望の光と見上げていたかもしれない存在が、自分たちを裏切った卑劣な極悪人だと、彼らは信じ込まされ始めていたのだ。

 その冷たく、突き刺すような憎悪に満ちた視線の変化を、セレネーはただ広場の中央で晒し者にされたまま、為す術もなく受け止めるしかなかった。

 信頼していた者からの裏切り、巧妙に仕組まれた陥穽、そして、かつて救おうとした人々からの憎悪。

 数日前の肉体的な陵辱とはまた違う、魂を直接じわじわと嬲り殺されるような絶望が、彼女の心をもはや回復不能なまでに打ちのめしていた。

 

 ――捏造された罪状の数々を読み終えた領主は、憎悪に燃える領民たちの顔を満足げに見渡し、拳を天に突き上げて叫んだ。

 

 「この女の悪行、聞いているだけで腸が煮え繰り返る思いであろう! 皆の怒りはもっともだ! この街を、我々善良なる市民をここまで苦しめた罪は万死に値する!」

 「そこで今回は、この街を汚した売女に、特別な処刑を実施することにした!」

 

 領主は芝居がかった間を置き、さらに声を張り上げる。

 

 「それはすなわち、諸君ら自身の、その怒れる手で、この女に正義の鉄槌を下すことだ! 諸君らの怒りを!その憎しみを!このセレネーに骨の髄まで存分にぶつけてやるが良い! さあ、やれぇぇぇぇぇっ!」

 

 その扇動的な、狂気に満ちた言葉でもはや冷静な判断力を失い、領主の言葉を鵜呑みにした領民たちは、完全に理性の箍が外れた。

 

 「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 「犯せぇぇぇっ!」

 「死ぬまで痛めつけてやる!」

 「俺たちの苦しみを思い知らせてやれ!」

 

 獣のような雄叫びが広場に響き渡り、興奮と憎悪に目を血走らせた領民たちは、我先にと広場の中央でなす術もなく立ち尽くすセレネーへと、津波のように殺到した。

 血走った憎悪の瞳、欲望に歪んだ醜い顔、顔、顔……。セレネーは恐怖に身を竦ませるが、手枷足枷を嵌められた彼女に逃げる場所も、拒否する力も残されていない。

 あっという間に群衆の渦に飲み込まれ、その体は無慈悲な集団的暴力と陵辱の奈落へと突き落とされた。

 

 ――それは、もはや地獄絵図としか言いようのない光景だった。

 

 興奮した男たちは、力ずくでセレネーの口をこじ開けて泥のついた指や、または直接舌を捩じ込み、唾液を流し込む。

 あるいは、破られた衣装の間から露わになった秘裂や後孔へと、複数の男根を同時に、順番待ちをするように乱暴に捻じ込んでくる。

 獣のように喘ぎながら、ただ己の欲望を満たすためだけに、彼女の内部を蹂躙していく。

 鎖で繋がれたまま、力の入らないセレネーの手にも、熱く勃起した男根を無理やり握らされ、扱かされる。

 目の前に突き出される無数の男根、汗臭い男たちの肉体。視界の全てが、おぞましい肉の壁で覆い尽くされる。

 

 ――そして、加虐は男たちだけではなかった。日頃の鬱憤を晴らすかのように、あるいは集団の狂気に当てられたかのように、女たちもまた、この陵辱に積極的に加担していた。

 男たちがセレネーを犯している間、その邪魔にならないように馬用の鞭を振るい、あるいは焼け火箸を押し付け、鋭利なナイフで皮膚を浅く切り裂き、髪を掴んで引きずり回し、セレネーに絶え間ない苦痛と屈辱を与え続けた。

 悲鳴を上げれば嘲笑し、黙ればさらに強く打擲する。

 

(どうして……? わたしが……わたしが、何をしたっていうの……? わたしは……ただ、虐げられているみんなを……助けたかっただけなのに……。わたしが……『せいぎ』、なのに……なんで……こんな……)

 

 意識が朦朧とし、現実感が薄れていく中で、セレネーの瞳からは、熱い涙が止めどなく流れ落ちていた。

 信じていた正義は無残に踏みにじられ、守るべきはずだった人々によって、心も体も、思考さえも原型を留めないほどに徹底的に穢されて破壊されていく。

 やがて、獣欲を満たした男たちが、次々と興奮の頂点に達し、一斉に射精を開始する。ドクドクと熱い精液が、セレネーの子宮や腸内に注ぎ込まれる。

 あるいは、顔や髪、胸や背中に、シャワーのように夥しい量のザーメンがぶちまけられていく。

 セレネーは自分のものではない、おびただしい数の男たちの生温かい粘液に全身を塗れながら、ただ遠のいていく意識の中でこの地獄が終わることだけを、もはや声にならない声で願い続けた。

 だが、狂気の饗宴は終わらない。男が果てれば次の男が群がり、女たちの陰湿な加虐も止むことはない。太陽が昇り、沈み、また昇る。その間もずっと、陵辱は続いた。

 

 ――領民たちによるセレネーへの集団陵辱と拷問は、まるで悪夢のように、三日三晩、文字通り一瞬の休息もなく続けられた。

 

 そして、ようやく領民たちの狂気が冷めて彼らが己の犯した行為の残滓に満足し、あるいはわずかな罪悪感を覚えながら三々五々と広場から去っていく。

 広場には、もはや人間であったことすら疑わしいほどに汚され、破壊され尽くされた、1つの「肉塊」が残された。

 後始末に現れた兵士たちは、それに触れることすら嫌がるように、汚れた棒でつついて生死を確認する。

 そして、まるで邪魔なゴミでも扱うかのよう無造作に掴み上げ、街の裏路地にある生ゴミや動物の糞尿、汚物が山積みになった、悪臭漂うゴミ捨て場へと運んで乱暴に投げ捨てた。

 

 ……セレネーはその想像を絶する、壮絶な『絶望処刑陵辱』の果てに、いつしか完全に息絶えてしまっていた。

 かつて輝いていた瞳は、今はもう何も映さず、ただ虚空を向いて濁りきっている。

 人々を魅了した美貌も、度重なる陵辱と暴力によって見る影もなく破壊され、汚物にまみれて夥しい体液と血液で汚れたその亡骸は、もはや誰からも顧みられることはない。

 ただの朽ち果てたゴミとして、そこに打ち捨てられたのだった。

 

 だが、彼女の悲劇は、死してなお終わらなかった。

 その夜、街の片隅で生きる浮浪者たちが、悪臭漂うゴミ捨て場で、まだ微かに人の形を保っているセレネーの亡骸を発見した。

 

 「おい、見ろよ。まだ新しいじゃねえか」

 「こいつは……あの広場でやられてた怪盗か? ラッキーだぜ、まだ使えそうだ」

 

 彼らは汚物にまみれた冷たい亡骸を汚い布で包むと、喜び勇んでねぐらへと持ち帰った。

 

 そしてその日から――かつて自らの信じる正義のために闇を駆け、悪に立ち向かった誇り高き怪盗、神姫セレネーの亡骸は、社会の最底辺で生きる男たちの、汚らしい性欲を処理するためのダッチワイフとして扱われた。

 腐臭を放ち、蛆が湧き、肉が崩れ落ちて完全に形を失うその忌まわしい最期の瞬間まで繰り返し、死してなお穢され続ける運命を辿るのだった……。

 

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