※この作品はR-18です。

純性癖ナイツ   作:ひかりねこ

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一度サイラッハを合意レイプしてしまったドクターが、再び彼女に誘われてえっちをする話です。

もうすぐサイラッハのコーデも発売ということで、非常に楽しみです。でも個人的には未昇進イラストが一番えっちで太ももが美しいと思います。


ちょっと複雑な関係のサイラッハとえっちする話

 執務室の壁に飾られた色とりどりの旗を前に、思わず「おぉ……」と声が漏れてしまった。先ほどまで真っ白だった広い壁にズラリと並ぶ様は圧巻の一言である。これらは全て危機契約機構から依頼達成の証として贈られた代物であり、ふと思い立って見えるところに設置してみたのだ。

 一つ、二つ、三つ……数えてみれば危機契約の旗は全部で九個だ。今回のカジミエーシュ領内における依頼をこなし、いよいよ二桁の大台も間近らしい。いや、かつてこなした"β"を含めるならばちょうど十個か。

 

 今までの足跡を思い出して感慨に耽る私の隣で、()()が感嘆の声をあげた。

 

「ロドスってやっぱり凄いんだね……どれも困難な作戦と聞いているのに、ちゃんと依頼をこなして誰かを助けてる」

「中には模擬戦闘やらコスプレした酔っ払いたちの鎮圧なんてのもあったけどね。先日の依頼には君も参加しただろう、サイラッハ?」

 

 金髪の背が高いヴィーヴル女性──サイラッハは私の問いに頷きを返した。ほんの僅かな所作でも美しい長髪がサラリと揺れて光を弾く。スタイルの良さも相まって思わず目が奪われてしまいそうだ。

 

「うん、そうだね、あたしも参加したよ。だけどロドスの人たちの役に立てたかと聞かれたら、まだ自信が無いや」

「そんなことは無い、君はよくやっていたとも。指揮をしていた私も、現場で君と戦った者も褒めていたよ。元は戦闘と無縁の儀仗兵とはとても思えない勇ましさだったとも」

「ありがとう、嬉しいよ。だけどあたしはまだ今の自分に満足できてないんだ。もっと頑張らなきゃ」

 

 今回サイラッハには先鋒オペレーターとして部隊の鼓舞およびサポートを行ってもらった。一人で何役もこなす働きをしてくれたが、本人はまだまだ不満そうだ。ロドスに来る以前、とあるエリートオペレーターと出会ったと聞いているが、その人が強さの基準となっているのだろうか。

 

 ともあれ、だ。サイラッハに頼んだ『部屋に旗を飾るのを手伝ってほしい』というお願いは無事に完了した。旗ならサイラッハかエリジウム──テンニンカはテーブルクロスなので除外した──に頼むのが良いと考えたが、この綺麗な並びを見るに人選は正解だったようだ。

 

「じゃあドクター、あたしはもう行くね。やっておきたい訓練がたくさんあるんだ」

「ああ、ちょっと待ってくれ。せっかくなら紅茶でも飲んでいかないかい?」

 

 スタスタ出て行こうとするサイラッハを呼び止める。まさにその訓練について、彼女と話しておきたいことがあった。

 足を止めたサイラッハは青色の瞳を丸くしていた。

 

「紅茶? ドクターが淹れてくれるの?」

「そうだ。最近練習していてね、手伝ってもらったお礼も兼ねてどうかなと。ヴィクトリア人の味覚に合えば腕前に自信も持てる」

「うーん……そういう事なら、少しだけご一緒させてもらおうかな」

 

 たいして悩みもせず、二つ返事で頷いてくれた。ありがとうと笑いながらソファに座ることを薦め、私は紅茶の準備に取り掛かる。湯沸かしは電気ケトル式だが、それ以外はちゃんと茶葉からティーポットまで一通り揃っている。

 

「で、電気ケトルを使うんだ……ロドスのヒロック群事務所だと、みんな火にかけてお湯を沸かしてたけど」

「生憎執務室にガスコンロを持ち込むわけにはいかなくてね。火災報知器でも鳴ってしまったら後が面倒だ」

「ふふっ、確かにそうかもね。どんな紅茶が出てくるか楽しみになってきた」

 

 水量を計測し、茶葉を適切な量ティーポットに入れて、高い位置からお湯を注ぐ。

 

「そういえば、随分と訓練に熱を入れていると聞いている。身体の方は大丈夫かい?」

「ええ、心配には及ばないよ。あたしの限界値は、あたしが一番よく知ってるから」

「なるほど」

 

 しばらく蒸らした紅茶をカップに注げば琥珀色の液体が並々と揺れ天井を映した。その上に輪切りのレモンを乗せてレモンティーの完成だ。安めのクッキーと一緒にテーブルへと持って行く。サイラッハの対面に私も腰かけた。

 

「どうぞ」

「ありがとう、いただくわ……うん、ちゃんと美味しいよ。ドクターってこんなこともできるんだね、驚いちゃった」

「大したことじゃない、しっかり分量を確認して手順通りに行っただけの事だ。下手な人は下手な内から独自アレンジするから失敗する」

「それは……そうかもね。あたしも身に覚えがあるよ」

 

 てへへと可愛く笑うサイラッハが印象的だった。儀仗兵に選ばれるだけあってどの場面を抜き出しても飛び切り美人である。紅茶を傾ける姿はもちろん、照れる姿すら一服の絵画のようだ。

 しかし今回彼女を呼び止めたのは、優れた容姿を褒め称えるためじゃない。ロドスの"指揮官(ドクター)"として切り込むべき内容があるからだ。私も紅茶を一口飲み、口を潤してから口火を切った。

 

「──十二時間、これがどういうことか分かるかい?」

「…………どういう意味かしら?」

「君が訓練室に籠っている時間のことだ。その様子だと自覚はあるようだね」

 

 サイラッハがスッと目を逸らした。誤魔化すように紅茶を飲む。

 ひとまずやぶれかぶれに逃げる様子は無さそうで、私は話を続けた。

 

「端的に言うが、頑張りすぎは身体に毒だ。先ほど君は『限界値はよく知っている』と話したが、教官たちは皆心配しているよ。あのジュナーやドーベルマンをしてオーバートレーニングと評するのだから相当なものだ」

「……心配をかけているのは申し訳ないと思ってるよ。でも大丈夫、ヴィーヴルの身体なら問題ないって医療部の人からもお墨付きをもらってる。"私"だって止める気だけは毛頭ない」

 

 どうやら意思は固いようだ。向き合った瞳は信念の炎が燃え盛っていて、不用意に踏み込めばこちらが焼き尽くされそうな熱量を放っている。普段の誰にでも気さくで柔らかい性格からは想像もつかない一面だった。

 だがこちらとしても、オーバートレーニングによる自滅という形で貴重なオペレーターを失う訳にはいかない。できればドクターの口から釘を刺してほしいと教官たちに頼まれた手前もある。

 

「だとしても根を詰めるべきではないよ。月並みな言葉だが休息も鍛錬の内だ。休めるときに休んでおかないと、いざ本番で力を発揮できなければ笑い話にもならない」

「そうね、あたしも以前はそうだったよ。むしろヒロック群に居た頃は結構サボり魔だったな。儀仗兵って戦闘訓練も緩くてね、しょっちゅう抜け出してはロドスの人とお茶を飲んだりカードゲームをしたり」

 

 表情は穏やかだが、目は既に失われた過去を懐かしむものだった。彼女にとって大切な思い出なのだろう。

 ヒロック群の惨劇を知る以上、あまり土足で踏み入る真似はしたくない。次の言葉に迷う私の前でサイラッハはハッキリ言った。

 

「あの頃はとても楽しかったよ。でもね、もし過去に戻れるとしたら──私は、あたしを思い切り引っ叩いてやりたいわ」

「……穏やかじゃないね」

 

 眼前に座る穏やかな気性のはずの女性から、そのような言葉が出てくるとは思わなかった。今の発言が冗談でも皮肉でも無いのは顔を見れば分かる。

 

「認めるのはとっても癪だけど、私がロドス事務所でサボってる間に亡霊部隊──ダブリンの人たちも、街を源石爆弾で砲撃したヴィクトリアの軍人たちも、目的のために努力はしてた。だからあの人たちはあんなにも大それたことができたのよ」

「だが悪意を根にした努力は褒められるべきではないだろう。それを認めてやる必要もない」

「だとしても、私がのんびりサボっている時も彼らは目的のために絶え間なく行動していた。百の努力を打ち破るには百と一の努力が必要で、私はそんなことも分かっていなかった……」

 

 確かに一面で見ればサイラッハを含むロドスの面々は最悪の事態を止めることができず、敵部隊のリーダー格らしき女性を保護して逃げ出すので精一杯だった。しかし誰がそれを責められるのか、正規軍とそれに匹敵する規模の武力衝突を個人が止めるなど絶対に不可能だろう。

 サイラッハも自覚はしているはず。なのに自分の力不足を大きく捉えて努力する手を止めようとしない。その姿はハッキリ言って──

 

「自罰的、だな」

「うん、そうかもしれない。結局私は自分の事が許せなかったんだ。平和も、居場所も、親友も、信じていた軍も、何もかもが一瞬で崩れ去った。あの時に私は何が出来たの? 私はそれまでにいったい何をしてきたの? 自分の弱さから目を逸らさないと決めた瞬間、自分への怒りが抑えられなくなった」

「だから追い込むようにキツイ訓練を続けてしまうのか」

 

 私の言葉にサイラッハは頷いた。自罰的な精神というのはある意味で鉱石病と同じだけ厄介だ。我が身を顧みないせいでどんな事でも出来てしまう、やれてしまう。正しい理念で武装した頑固者はある種、無敵の人間と同義なのだ。

 

 ──いや、私は既にサイラッハのそういう側面を知っている。

 

 かつて触れた白い肌の柔らかさ、脳を蕩けさせるような嬌声がフラッシュバックする。ほんの一度だけの交わりと過ち、重ねた身体の温もりが蘇った。女性の尊厳を奪う最悪の行為。

 ……あの時は私も彼女もどうかしてしまっていた。二度とあんな事をさせてはならない。すっかり冷めてしまった紅茶を飲む。レモンの酸味が溶けすぎて飲みづらいが、おかげで邪念を払うきつけになった。

 

「君の言い分は理解したよ。その上で、感情の昂ぶりを推進力に変えられる変換機(さいのう)を持つ者はごく一握りだ。優しい君には備わっていないだろうし、そちらの方が良いに決まってる」

「私は……」

「今の君はロドス所属だ。私たちロドスの面々は君の努力を知っているし、成果が実を結んでいることも把握してる。あそこにある旗が良い証拠だ」

 

 先ほどサイラッハと一緒に飾り立てた危機契約の旗たち。いくつかは彼女の助け無しに貰うことは出来なかったと断言できる。誰が見ても立派な戦果だった。

 

「サイラッハ、君はいずれヴィクトリアに戻るつもりだろう?」

「……ええ、その通り。確かに私は軍隊に失望したけど、ヴィクトリアを想う気持ちはまだ捨ててない」

「ならもう少し誰かをアテにするといい。頼ることは悪でも弱さでもない、自分独りで道を切り開けるようになるだけが強さじゃないだろう? 今の君は少々意固地になりすぎているだけだ」

「だから訓練も少し控えめにしろとドクターは言いたいの?」

「……まあ結論はそうなるな。身体は資本、大事だよ」

 

 残業ばっかな私が言えたことじゃないがね、と心の中で付け足す。

 とにかく、これでサイラッハが考えを改めてくれれば幸いなのだが。彼女の努力は目を見張るものがあるが、身体を壊してしまえば元も子もないのだ。

 サイラッハは一つため息をついた。テーブルに置いたままの冷めた紅茶のカップを取る。

 

「分かったわ、ドクターの言い分にも一理ある。心配させてしまうのも本意じゃないし、もう少し気を付けるよ」

「なら」

「でも代わりに一つ、ドクターに頼みたいことがあるの。あなたにしか頼めないお願いごとが」

 

 あまり良い予感はしない。だがドクターとして最初から聞かない選択肢は取れなかった。

 内心身構える私の前で、サイラッハは優雅に紅茶を一飲みしてから真顔で続ける。

 

「──以前のようにまたあたしを抱いてほしい。壊れてしまうほどに激しく、無理やりに」

 

 ……やはりそうなってしまうのか。

 この場で語るには唐突だが、サイラッハの言葉に嘘は無い。私は以前、眼前の美しいヴィーヴルを強姦(レイプ)した。

 

 ◇

 

 レイプ、と一口に述べてもこの場合はだいぶ特殊だ。

 まずもって私からサイラッハを押し倒したわけじゃない。そんなことをしても返り討ちに遭うのが関の山。あくまで彼女自身から強姦()()()()()と頼まれて、私が渋々要望に応じた形となる。

 

 実際、持ち掛けられた時の私は喜ぶよりもまずポカンとした。そりゃあサイラッハは飛び切りの美人で、スタイルもよく、性格だって非の打ち所がない。彼女を好きに抱けると誘われて飛びつかない男はいないし、私だって期待しなかったと言えば嘘になる。

 ただ、そもそもの切っ掛けが問題で──冷静に『何故そんなことを望む?』と訊ねてみたら、彼女は大真面目にこう答えた。

 

『虐げられる人たちの痛みを、私もこの身に刻みたいからよ』

 

 つまり彼女の言い分はこうだ。かつて経験した地獄のような戦場で死んだ人たちや、鉱石病で苦しむ人々の痛みを少しでも知っておくために、もっとも尊厳を奪われる手段を受けて忘れないようにしたい、と。何もできなかった自分への戒めもこめて刻んでおきたいと話してくれた。

 だから私に自らを強姦するよう頼んできたわけで。真面目すぎるし自罰的すぎる。そのような事をせずとも誰かに寄り添う事はできるというのに、彼女は『決意を鈍らせないために必要なことなの』と一点張り。どう説得しても止められず、結局私はサイラッハの言われるままに抱き潰した。

 

 ……あれは最悪であると同時、最高の経験だったと断言できる。

 

 自惚れでなければ人並み以上の信頼関係を構築し、好意と敬意を持ち合う女性を無理やり犯すのは想像以上に堪えた。しかも彼女は当然のように処女であり、シーツへ滲んだ血に私の胸は締め付けられた。あの夜、愛を確かめるはずの行為は拷問に等しかった。

 一方で、成り行きとはいえ抱いたサイラッハの身体は誇張抜きに極上だった。肌の白さときめ細かさ、胸の柔らかさ、蕩けた顔の色っぽさ、スラリと伸びた足の美しさ、突き込んだ蜜壺の熱さまで……今でも夢に出てきてしまうほど、強烈な快感を何度も味わってしまい忘れられない。まるで麻薬のようだ。

 

 最初は躊躇いがちだった私も、サイラッハを抱く内にすっかり獣な一面が出てしまった。彼女から誘われたから、二度とこんな馬鹿げた事を頼もうと思わないようにするために……必死に言い訳を用意しながらひたすら乱暴なセックスを重ねてしまう。

 

 角を掴んでイラマチオをさせた。

 輝く金髪を引っ張って乱暴に一物へ奉仕させた。

 男を受け入れたばかりの処女膣を執拗に擦り上げた。

 絶頂した直後の肢体を裏返し、息も絶え絶えな彼女を後ろから無理やり犯した。

 受け入れすぎて膣が擦れた後は後孔にまで突っ込んだ。

 それでも受け止めきれなかった分の精液は、全て彼女の胸や顔、髪の毛にぶちまけた。

 

 最終的にサイラッハとの性行為は朝まで続いた。ようやく日が昇ったとき、彼女は両穴から男女の混合液を零しながら汚されて、広げられた脚すら閉じずにうつろな瞳を向けていた。本当にレイプされた後のごとき惨状だったが、行為中も後も弱音だけは決して吐かなかったのが印象に残っている。

 その後は互いにシャワーを浴びて別々に部屋を出て、以降その話題に触れた事は一度も無い。私としては複雑な気持ちがありすぎて封印したい記憶だったし、彼女にとっても明るい思い出でないのは確かだ。むしろ関係性が特に変わらず、気さくに話せる状態を維持できただけ相当な奇跡だろう。

 

 ……もう一度サイラッハとセックスがしたくないかと聞かれれば、情けないが否定するしかない。

 

 けれどあんな強姦行為に及ぶくらいならしない方が百倍マシだ。そう自分を納得させて忘れようとしていたのに、脳髄に刻まれた快感は忘れがたく強烈で。自慰のネタにしてしまった回数はちょっとやそっとじゃきかないだろう。

 そして今、再びサイラッハからかつてと同じように抱いて欲しいと持ち掛けられた。この誘惑を私が断れるビジョンが、正直まったく思い浮かばない。抵抗感以上に、はち切れそうなほど期待が膨らんでいるのを自覚した。

 

 ◇

 

 その日の夜、私の部屋には当然のようにサイラッハがやって来ていた。

 結局予想通りに私は断ることができなかった。情けない、何がドクターだと自嘲ばかり湧き上がる。だというのに身体と本能はどこまでも欲求に忠実で、膨らみかけの股間を抑えるのに必死だった。

 

 ベッドに腰かけた私の隣にサイラッハが座った。彼女の長い金髪からフローラルな香りが漂ってきて鼻腔をくすぐる。照れくさくなって視線を下に向ければ、サイハイソックスとショートパンツの間で自己主張する太ももが目に入ってしまう。どこを見てもサイラッハは綺麗であり、情欲をそそられる。

 

「ありがとう、ドクター。またあたしの我が儘を聞いてもらって」

「いや……本当はどんな手を使ってでも止めるべきだった。なのに私は自分の性欲に流され引き受けてしまった人間だ、軽蔑してくれ」

「ううん、そんな風に思うわけない。これはあたしから頼んだことで、ドクターがすっごく悩んでくれてるのも知ってる。だからね──ありがとう」

「……君は優しいな」

 

 今から抱かれる男性相手にありがとうとは、人が良いにも程がある。

 しかしこんな私にもまだ理性と矜持は残されていた。せめて背徳的な交わりを意味のあるものへと昇華させたかった。

 

「いいだろう。なら私は君の事を徹底的に優しく抱こう」

「優しく?」

「手は抜かないさ、君が性行為による痛みと苦しみを求めてるならそれでもいい。ただ、サイラッハという一オペレーターを私は大切にしたいのが伝わってくれればありがたい」

「うーん……よく分からないけど、理解したわ。頼んだのはこちらなのだから、ドクターの好きにしてちょうだい」

 

 サイラッハは完全に私へ身体を委ねるつもりのようだ。本来ならここから強姦まがいの性行為が始まるはずだったが、私はそのようなことをするつもりはない。

 手始めに隣のヴィーヴルを優しくベッドへと押し倒す。彼女の腕力なら簡単に押し返せる程度の力だったが、抵抗は欠片もなかった。倒されるままシーツへ身体を沈め、その上に私が覆いかぶさる。バサリと波打つ豊かな金の海が目に鮮やかだ。

 

「唇を開いて」

「ん……こうかしら?」

 

 赤く瑞々しい唇が私の指示通りに開かれた。この後に起きる行為に備えて瞳はきゅっと瞑られている。私はサイラッハへと顔を寄せると、開かれた口へと舌を滑り込ませた。

 

「ん、んちゅ……んむっ……」

 

 レロレロと舌を絡めて彼女の中を味わい尽くす。あくまで快感を求めているのは私だけだから、向こうから積極的に舌を絡めには来ない。だが私の方で勝手にサイラッハの温かい口内を蹂躙するのは止められず、粘ついた水音と微かな吐息を漏らしながらされるがままとなっていた。

 まるで精巧な人形とキスをしているかのよう。しかしサイラッハは紛れもなく生きた人間であり、その証拠とばかりに唾液は甘美な蜜だった。ツヤツヤした唇も、ザラリとした長い舌も、柔らかな頬の裏側まで、余すことなく征服する。

 

 時間にしてどれだけ舌の性交を続けただろうか。

 ようやく満足した私がサイラッハの口から舌を引き抜いたとき、濃密に絡み合った唾液が銀色の橋を架けていた。

 

「はぁ……ぅ、あ……んむっ……ぷはっ、今回は本当に、丁寧なのね……」

「不満だったかい?」

「だってこれじゃ、まるで本当に愛されてるみたいで……目的も使命も忘れて、快楽に溺れてしまいそうで……」

 

 明らかにサイラッハは戸惑っていた。無理もない、初体験は合意の上とはいえ強姦まがいのセックスを強要されたのに、次のセックスでは一転して優しく扱われているのだから。キスの時点であまりの落差に身体が過剰に反応し、即座に蕩けようとするのも当然だ。

 だけど彼女にとってこれは快楽を得るためでも、愛を確かめ合う行為でもなく、あくまで弱者として蹂躙される痛みを疑似的に知るための儀式だ。普通の性行為のように快楽堕ちしては元も子もないと考えているのだろう。

 

 だけど別に、それで全然構わないのだ。

 

「無理に痛みを背負う必要はない。君がここで快感を得たとして、誰に責める権利がある?」

「で、でも……今度こそあたしは頑張ろうと決めたのに、エッチな行為に夢中になってたら顔向けできなくなりそうで……」

「息抜き、休憩、気分転換。好きな言葉に言い換えて大丈夫だ。そもそも別に、気持ちいいから苦しくないとは限らないさ」

「うぅ……ドクター、あなたって詐欺師と呼ばれたことない?」

「失敬な、そんなことは無いとも」

 

 言葉で人を丸め込むのはまあ、得意な方ではあるが。

 とにかくこれで私のスタンスは示した。まだキスの余韻で呆けたままのサイラッハはどうするのか。『そんな性行為なら抱かれる意味がない、ここで止める』と言うかもしれない。むしろそっちの方がありがたいと理性は訴えているのだが。

 

「ん……いいわ、続けてちょうだい」

 

 果たしてサイラッハは続けることを選んだ。

 

「いいんだね?」

「ドクター相手に意地を張っても勝てないもの。せいぜい続けたことを後悔させるくらい、徹底的にやってくれれば満足よ」

「了解した、なら竿役らしく頑張るよ」

 

 小さく「さ、竿役?」と呟くサイラッハを無視して、彼女の豊かな胸元を覆う布地へ手を伸ばした。ガバリと上へめくりあげると白色に青の刺繍が施された上品な下着が目に入る。ブラに押し込まれた真っ白な双丘は今にもはち切れんばかりの大きさだ。

 さらに続けてショートパンツへと手を掛ける。ベルトとボタンをカチャカチャと外し、むっちりした下半身を押し込む服を脱がしていく。呆気なく露わになった秘部は上とお揃いのショーツで飾られていて、クロッチ部分は微かに滲んだ後が見て取れた。

 

「は、恥ずかしいわね……」

「隠しちゃダメだよ、そのままで」

 

 身をよじらせるサイラッハへピシャリと釘を刺した。ソックスとネクタイはそのまま、綺麗な下着で飾り付けられた彼女の姿は妖艶かつ美麗である。肌の露出はお腹周りや太もも、胸の上側部分くらいなものなのに、滲み出るエロチックさに頭がクラクラしてしまう。

 眺めているだけで性欲が刺激され、本能のまま犯してしまいそうだ。少し駆け足気味に手を伸ばし、サイラッハのブラを押し上げた。豊満な胸を押し付けていた邪魔な布地が外れ、プルンと勢いよく豊乳が飛び出した。

 

「おぉ……!」

 

 思わず感嘆の声が漏れてしまう。見るのは二度目だがため息の出るような造形だ。

 ふっくら膨らんだ胸は大きいが決して下品ではなく、揉めば指が沈み込んで戻って来れなさそうだ。乳輪は小さいが乳頭は鮮やかな赤色なため白い胸によく映えており、さらにビンと立って自己主張も中々激しい。羞恥に堪えきれずサイラッハが顔を横へと背けた。

 

「男の人って本当に胸が好きよね……軍に居た頃もそういう視線をぶつけられたことがあったわ」

「気に障ったなら謝るよ」

 

 謝りながらも胸へ伸ばした手は止めない。五指を開いて思い切り乳房へと手の平を沈めた。まるでふわふわの雪へ突っ込んだような極上の触り心地で、彼女の体温と艶やか肌が余計に興奮を煽ってくる。ふにふにと揉んでみると程よい弾力が返ってきて揉み心地すら抜群だった。

 指先はぷっくり膨らんだ乳首へと伸ばす。コリコリした感触を楽しみながら、上下左右に軽く引っ張り刺激を与えていく。ここも以前の凌辱では手酷く扱ってしまったが、今回の優しい責めはサイラッハの口から「ん……っ」と微かな嬌声を零れさせていた。

 

「気持ちいい?」

「別に、んっ、そんなこと、ないわっ……」

「我慢は身体に毒だよ」

 

 大きい割にしっかり敏感なおっぱいは弄り甲斐に富んでいた。パン生地をこね回すように夢中で触れる度、サイラッハは明らかに胸だけで気持ちよくなれていて、責め続ければ遠からず絶頂できそうだ。しかし本人は認めてくれなさそうなのが少々物足りなく感じてしまう。

 なら、と思い立って胸から手を離す。唐突に胸責めが中断されてサイラッハがホッとしたように息を吐く。だが直後、私の手がショーツの上に重ねられた瞬間にビクリと身体を震わせた。

 

「こっちも触るよ。足を開いて」

「え、ええ……分かったわ」

 

 ゴクリと息を呑んだのが私にまで伝わってくる。だが躊躇や抵抗をすることなく、しなやかな足を素直に開くと大事なところをさらけ出してくれた。緊張を羞恥で震える足を掴みながらグイっと陰部へと身を寄せた。

 ショーツは先ほどよりも明らかに湿っている。じっとり重たくなったクロッチ部分をずらせば、布切れの下に隠されていたサイラッハの秘部がさらけ出されてしまう。ピッチリ閉じた白色の谷間はすっかり潤んでいて、これまでの責めで十二分に感じていたのが丸わかりだ。

 

「ん……っ!」

 

 そろえた指先を割れ目へと押し当てる。くちゅり、いやらしい水音が聞こえてきた。指を離せばトロトロの愛液がべっとり付着していて、開いてみると粘ついた液が糸を引いてぷつりと切れた。姫割れの甘酸っぱい香りが鼻にまで届く。

 

 一連の流れでサイラッハは耳の先端まで真っ赤な状態になってしまった。口元を抑えながら必死にこらえる姿が非常に可愛らしくて、つい嗜虐心がそそられてしまう。

 

「しっかり感じてくれていたようで嬉しいよ」

「そんなこと、言われても……っ……」

「できればもっと素直になって意地を張らないでくれるとより嬉しいのだけどね」

 

 改めて指の先端を割れ目へと押し当てた。ぷにぷにした陰唇が開かれ、内側の柘榴のように真っ赤な粘膜が垣間見える。内心の興奮をいっそう高めながら蜜を垂れ流す源泉へと指先を潜り込ませていく。

 

「……せっまいな、これは」

 

 まだ二回目の交わりだけあってサイラッハの膣内はギチギチだ。熱い体温と細かな襞が絡みつく具合は非常に良いのだが、指二本でもキツさを感じてしまう。しっかり愛液によって潤んでいるが、まだ身体から硬さが抜けていないようだ。

 このまま無理に前戯を続けても以前と同じになってしまう。私はいったん指をはめ込んだまま動かさず、もう片方の手をサイラッハの耳へと伸ばした。ヴィーヴル特有の先端が少し尖った耳を撫で、揉んで、マッサージするように刺激する。

 

 反応はすぐに表れた。強張っていたサイラッハの顔が即座にふにゃりと力が抜けた。

 

「やっ、あぅ……ドクター、耳はダメぇ……」

「そうか、ならこっちの方が良かったかい?」

 

 耳の代わりに角の根本を擦ってあげると、再びサイラッハから「ひゃうっ!」と可愛らしい声が漏れた。単純に耳が弱いのに加えて、ヴィーヴルの角は性感帯にもなり得るのだから当然の反応だ。

 ちゃんと感じているのを確認した後はひたすら耳と角を交互に擦る。胸や割れ目とは違う間接的な愛撫と呼ぶべきそれらはサイラッハも抵抗感を抱きづらいらしく、あっという間に身体の硬さがほぐれていく。最後にはすっかり蕩けて涎を一筋零すほどサイラッハはふやけてしまっていた。

 

 これなら大丈夫だろうと判断して、いまだ膣内に収めたままの指を動かし始める。今の軽い前戯でさらに分泌液は増していて、まるで温かなゼリーに手を突っ込んだような感触だ。二本の指を別々に動かし、彼女の弱点を探っていく。

 

「あっ──あぅっ!」

「ここが気持ちいい? それともこっちかな?」

 

 襞の隙間を丁寧に引っ掻くとサイラッハから嬌声があがった。さらに別の個所を探っても声が上がり、まるで楽器を演奏しているようだ。中でもとりわけ反応がいい場所があるはずなので、嬌声や身体の跳ね方を比べながら一番のスイートスポットをあぶり出していく。

 特にここが怪しいかと予想しながらクリトリスの裏側にある、ザラついたした部分を押し込んだ。いわゆるGスポットと呼ばれる場所をくすぐった瞬間、サイラッハの反応が劇的に変わった。

 

「──んあ゛っ♡ あっ──待って、今のは……」

「なるほど、ここが君の一番弱い場所なようだ」

 

 これまでの我慢の混じった嬌声とは違う、男に媚びる甘い声色。与えられた快楽に悶えてしまい恥じ入るようにサイラッハは目を伏せた。しかし正直な蜜壺は快感を誤魔化すことができず、きゅっと指を締め付けて『もっと♡ もっと♡』と今の刺激を催促してしまう。

 もちろん私もようやく見つけたサイラッハの泣き所を見逃すつもりはない。何せ元々サイラッハが望んだのは性行為でめちゃくちゃにされることで、別に要望全てを無視するつもりもないのだから。

 

 要するに、ひたすら気持ちよくする方向で彼女の希望を叶えてやればいい。

 

「ド、ドクター……」

 

 青色の瞳を不安と期待に揺らしながらこちらを見つめるサイラッハ。先ほどの刺激を何度も与えられればどうなってしまうのか本能が理解しているようだ。表情は何とか取り繕うとしているが、腰が僅かに持ち上げられている。まるで指先をGスポットに押し当てようとしてるかのようだ。

 

 そんな無意識の要望に応えるべく、私は指先で思い切りザラついた膣壁を擦り上げた。

 

「うあ゛っ♡ あんっ♡」

 

 あのサイラッハの口から出たとは思えない濁声交じりの嬌声が何度も上がる。擦る度に声が出て、指を出し入れすると違った反応を見せてくれ、恥ずかしがって口を塞ごうとした手はシーツに縫い留め動かさない。ボタボタと白く濁った愛液が膣から溢れてショーツを濡らし、受け止めきれない分がシーツへ黒い染みを付けていく。

 上から俯瞰してみるとあまりに煽情的な光景だった。儀仗兵に選ばれるほどの金髪美人が、下着とソックスだけは残した半脱ぎの状態で、足を広げてさらけ出した秘部のもっとも弱いところを苛められ悶えているのだ。もしこの淫靡極まる光景を写真に撮って売りさばいたらどれだけの利益が出るのだろうかと、人の道を外れた考えさえ過ってしまう。

 

「あぐっ……♡ ふー……んっ……っ!」

 

 既にサイラッハはだいぶ限界のようだ。ギリギリで絶頂を堪えているがあと一押し、あるいは強く刺激するだけで呆気なくイってしまうだろう。

 

「あぅっ、だめっ……♡ イっちゃ──ぁれ……?」

 

 だから私は、サイラッハが絶頂する寸前に指を完全に止めてしまった。

 

 この後やってくるだろう大きな波に備えていた彼女は不意に訪れた凪の状態に困惑を隠せていない。どう考えても私にイかされる数秒前だったのだから仕方ないのだが。

 寸止めとなり、サイラッハの身体から熱が引いたところで再び指を動かし始める。変わらず彼女のGスポットを苛めながら、今度は角や耳、胸にまで触って性感を高めていく。

 

「イきたくなったら素直に言えばいいからね」

「えっ、ドクターそれってどういう……はうっ♡」

 

 再びサイラッハを絶頂寸前まで引き上げ、頂点に達する寸前にすべての動作を中断する。

 身体から快楽の波が引き始め、落ち着き始めたところでもう一度前戯を再開する。

 この二つの動作を何度か繰り返すうちにサイラッハも私の狙いを察したようだ。

 

「まさかドクター、あうっ……あたしを、絶頂させないつもり、なの……っ♡」

「そんなつもりはない。ただ一言、イきたいですって言ってくれればすぐだ」

「うぐ……ドクターの、意地悪ぅ……はぅっ♡」

 

 すなわち、この美しいヴィーヴルをひたすら絶頂寸止め地獄へと叩き落すということだ。

 前回のような強姦じみた行為でなく、とにかく快感によって翻弄される方向性をサイラッハは想定していなかったようだ。目を白黒させながら私の言葉を咀嚼し言葉を返しながら、絶頂寸止めに支配されて身体を震わせていた。

 

「さて、どれだけ君は耐えられるかな? 我慢できなくなったら素直に申告するんだよ」

「あ──あぁっ……」

 

 これから突き落される最悪の未来を想像して、サイラッハは顔を赤らめながら絶望に瞳を歪ませた。

 

 指の腹でスイートスポットを擦った。喉がクイっと上向き絶頂しそうだったので止めてしまう。

 耳や角を撫でながら緩やかに快感を送り込んだ。身体を震わせ絶頂しそうだったので止めてしまう。

 胸を揉みながら乳首をこねくり回した。唇をギュッと引き結んで絶頂を隠そうとしていたが、その程度の機微はすぐに暴いて止めてしまう。

 皮から飛び出し勃起してしまった陰核を指で挟み込む。一瞬にして絶頂しそうだったが何とか加減を見切り、絶頂させないまま止めてしまう。

 子宮の上やわき腹を軽く撫でさすり、押し込むように刺激する。すっかり蕩け切った身体はこれだけで絶頂しようと藻掻くが、やはりこれも許さない。

 太ももから恥丘までをゆったりと撫でる。当然のように弱い刺激で絶頂までしようとして、寸前でそれを阻止される。

 

「うっ、うぅ……どうしてこんなに、イけないの……♡」

 

 上気し頬を赤くして、荒く息をしながらサイラッハは呟いた。

 何度も何度も絶頂まで高められては寸止めされ、焦らされ続けた彼女の身体は全身が性感帯のようなもの。もはやどこを触れても絶頂してしまうだろう。ここにいたるまでついに陥落しなかった精神力には脱帽するが、既に限界は見えている。

 私は敢えてにやりと悪役じみた笑みを浮かべ──そも最初から悪役のようなものだが──サイラッハへ囁きかける。

 

「よく頑張ったね。ここまで耐えるとは思ってなかったよ」

「と、当然のことよ……あたしは、快楽に溺れるために身体を預けたのではないのだから」

「立派な志だ。けれど考えてごらん、このまま一晩中今の寸止めが続いて君は耐えられるかい? ここで気持ちよくなったところで、今まで我慢した功績が無くなる訳じゃない」

 

 一瞬、瞳に迷いが浮かんだのを見逃さなかった。やはり本心では快楽に正直になりたいようだ。

 

「大儀名分はもう十分、君は確かに固い決意を持っていると私が証明しよう。だからほら──たまには気を抜いて素直になるといい」

 

 最後の一押しにGスポットにあてがった指先を優しく擦った。これまでより丁寧で執拗で、けど絶対に絶頂だけはさせない指使い。コプリと愛液が溢れ、身体全体がふるふると震えて絶頂を待ち望む。

 今までサイラッハにとって拷問だった絶頂寸止めが最高のご褒美へと切り替わる。さしもの彼女でもこれ以上耐え抜くのは不可能だと悟ってしまったようで。

 

「……せて、ください……」

「聞こえないな、もっと大きな声で」

 

 ごく小さな声のお願いを聞き直す。陥落は目前だった。

 私の視線に促され、瞳を潤ませ顔を真っ赤にしながらサイラッハはハッキリと宣言した。自身の手を陰唇に添え、くぱぁと開きながらだ。

 

「あたしのこと、イかせてください……っ」

「よく言えました」

 

 私の予想を超えて卑猥なおねだりをされ、綱渡りで保っていた理性の糸がぷつりと切れたのを自覚した。

 膣へ差し込んでいた指をこれまでの比にならないペースで動かし、Gスポットを勢いよく擦り上げる。片手は片手は乳首と陰核を交互に触りながら、口は耳の先端を含んでゆったりと舌で舐めまわす。変態じみた三転責め、けれど今回は寸前で止める必要もなく──実にアッサリとサイラッハは導かれた。

 

「ダメっ♡ おぐっ♡ イっ、ぐううぅぅぅっ……♡♡」

 

 ぶしっ♡ ぷしゃぁぁぁっ……♡

 

 全身を激しく痙攣させながら潮吹き絶頂してしまうサイラッハ。顔はのけぞってしまい、白く細い喉が天へ差し出されるようだ。シーツをギュッと掴んで足はしっかり開いたまま、尿道口からおしっこでも漏らしたかのように勢いよく潮を噴射した。まるで噴水のような勢いで天井にまで到達しかけ、ぱたたっとシーツや床に降り注ぐ。

 焦らしに焦らした末の絶頂はおそろしく深いものになってしまったようだ。今も肩で息をしてイった反動を抑えているが、瞳は虚ろだし半開きになった口からは僅かに舌が見えている。常に凛々しく美しいサイラッハが、これほど強烈な潮吹き絶頂姿を晒してしまうとは予想だにしなかった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 潰れたカエルを仰向けにしたような姿勢だが、恥じらう余裕すら無いらしい。全身から汗を浮かばせ、ショーツはもう潮や愛液でぐちゃぐちゃで。足の指をギュッと丸めて余韻に耐える姿はどこまでもエロチックだ。

 

「ドクター、あたし……」

「随分と深くまで気持ちよくなれたようだね。スッキリできたかい?」

「……うん♡」

 

 今の潮吹き絶頂で最後の枷が壊れたのか、既にサイラッハは快楽に対して正直だった。私の言葉に取り繕うことなく頷き、私へ陰裂を見せつけるように両手を添えた。白い花弁がくぱぁと開かれ鮮やかな赤が目に飛び込んでくる。

 

「ねぇ……続きは、しないの?」

「君はしてほしい?」

「あたしは……したいよ。ドクターとなら、本当はたくさんしたい」

 

 思わぬ言葉に目が点となってしまう。彼女は自分が何を口走ったか理解しているのだろうか。

 疑問と驚きを抱きながらも現金な私の身体は目の前のご馳走に飛びついてしまう。すっかり濡れそぼったショーツを脱がせ、いよいよ秘所を守るものは何もない。愛液に濡れたささやかな金の茂みがエッチだった。

 すっかり膨らみ切った股間をズボンから解放し、サイラッハの長い脚の片方を肩にかけた。十字に交わる形で腰を近づけ、いきり立った切っ先を膣口へとあてがう。

 

挿入()れるよ」

「うん、きて……♡」

 

 許可を得た私の切っ先がズブズブと沈んでいく。サイラッハの中は今やすっかりほぐれ切ってしまい、最初に感じた硬さなど微塵も感じ取れないほど。柔らかく、熱く、潤んでいて、膣肉が我先にと竿へ絡んで離そうとしてくれない。

 

「んっ、はぁ……ドクターの、こんなに大きかったんだね……♡ 前は全然、分からなかったよ」

「……すまない。前回は随分と乱暴に扱ってしまった」

「謝らないでよ、望んだのはあたしだから。あの痛みがあったおかげで、あたしはキツイ訓練だって耐えることができたんだよ」

 

 笑いかけてくれるサイラッハへ返す言葉が見つからない。とんだ皮肉だ、オーバーワークを止めさせるために今交わっているのに、そもそもの切っ掛けがあの強姦まがいの行為だとは。私の葛藤とは何だったのかと感じてしまう。

 だけど、サイラッハの膣に一物を入れる感触は悩みすら吹き飛ばすほど心地よいもので……今の葛藤すら些細な問題と笑って流せてしまうほど、脳内を快楽一色に染め上げられてしまう。

 

 とすんと、亀頭が最奥まで到達した。サイラッハの一番大事な器官──子宮への入口が出迎えてくれる。やわやわとうねる膣襞はあっさりこちらを絶頂させてしまいそうな心地よさだ。

 

「ね、ドクター。あたしの尻尾を握ってみて」

「あ、ああ……?」

 

 唐突な提案に戸惑いながらもサイラッハの青い尻尾を握ってみる。そういえば、尻尾だけはまだ全然触っていなかった。尻尾を触るのは求愛に近しい行為と聞いていたから無意識に避けていたのだ。

 私の手が触れるやいなや、長いヴィーヴルの尻尾は私の手首にしゅるしゅると巻き付いてしまい……片腕がすっかり絡め取られてしまった。まるで尻尾と手で恋人繋ぎでもしているかのような状態だ。

 

「あたしみたいなヴィーヴルが尻尾を許すのって、どういう意味があるか知ってる?」

「……愛を確かめる行為、だったか……?」

「そう、その通り。だからあたし達は気軽に尻尾は触らせないし、まして異性の手に絡みつかせるなんて普通は絶対やらないんだ」

 

 なのに今は、がっちりとホールドされて離そうとしてくれない。この意味が分からないほど鈍い人間では無かった。

 

「ね、ドクター。あたしって結構あなたのことが好きみたい。不思議だね、あなたに強姦されちゃってるのに」

「あれは君が頼んだことだろう……」

「うん、そうだね。だけどやっぱり不思議、あの時はすっごい痛かったのに、今はドクターを受け入れても気持ち良さしかないんだ」

 

 だからね、とサイラッハは微笑んだ。明るさの中に妖艶さの入り混じった、男を殺せてしまえるような魔性の笑み。

 

「ここまで来ちゃったら、しっかりドクターを受け止めてあげたいの。私の我が儘から始まった行為だけど、もう一度だけ我が儘を聞いてもらえるかしら?」

 

 もはや言葉は不要だった。返事の代わりに腰を大きく引いて、勢いよく打ち付ける。ばちゅんと水音が立ち、泡だった愛液が肉槍と膣の間から溢れだす。途端にサイラッハの表情が快楽に歪んだ。

 もう何も難しく考える必要は無い。痛みを刻むためだとか、こんな理由で抱くのは憚れるとか、心理的な制限は全て取っ払われてしまった。ならば残ったのは互いに好意を抱き合う、結合状態の雄と雌だけであり──獣のような性交が始まるのは至極自然な成り行きだろう。

 

「あっ♡ あうっ♡ っ、んむっ♡ どくた、ぁ……♡」

「……っ、サイラッハ……!」

 

 しなやかな足を抱きかかえながら夢中で腰を打ち付ける。その度にサイラッハの豊かな胸元が揺れて柔らかさと大きさをアピールする。さらにお尻の方も波打っていて、形のいい尻房までぷるんと白桃のように揺れ動く。

 だけどまだ足りない。腕に巻き付いた尻尾を優しく握り込みながら顔を寄せて、もう一度舌を絡めたディープキスを行った。今度こそサイラッハは我慢せずに求めてくれて、彼女から伸ばされた舌が私の舌と絡み合い、踊り、唾液の交換まで済ませてしまう。すぐ傍で感じるサイラッハの吐息が耳朶を揺さぶる。

 

「ちゅむっ、んくっ……♡ れろっ、じゅるっ……♡」

 

 これ以上肉棒が膨らむことは無いと思っていたのに、純愛ベロキスのせいでグググッとさらに大きく膨らんでしまう。おかげでサイラッハをさらに気持ちよくしてあげられる反面、余計に膣襞が吸い付くことになってしまう。狭くぬかるんだサイラッハの中を私専用に仕立てようと張り切ってしまう。

 きちんと心を重ねた交わりは想像以上の快楽を齎してくれた。このまま暴発してしまうのではないかと危惧するほど、頭の中が快楽物質で埋め尽くされる。亀頭から溢れた先走りが愛液の海に溶けながら、『早く射精させろ』としつこく訴えかけてきて。

 

「ダメだ、もう射精()てしまいそうで……っ」

「いい、よ……♡ あたしの膣内(なか)に、いっぱい出してぇ……♡」

「ぐっ──」

 

 ひんやりした尻尾の感触。

 ベッドがギシギシと軋む音。

 サイラッハが零し続ける嬌声。

 白い肌の柔らかさ、膣内の蕩けるような気持ち良さ、心が通じた満足感──あらゆる全てが引き金となって、私はついに射精してしまった。

 

「あっ──っ~~~~…………♡♡」

 

 びゅるっ、びゅるるるるっ♡ びゅーるるるるっ、びゅぐっ♡

 

 溜め込まれていた精液がドクドクとサイラッハの最奥へと注がれていく。後先考えない膣内射精(なかだし)は頭がバカになりそうなほど気持ちよく、切っ先をグリグリ押し付けながら飽きることなく吐精を続けてしまう。彼女の方も受け止めながら絶頂したようで、声にならない悲鳴をあげながらギュッと一物を締め付け一滴残らず吐き出させようとしていた。

 

「ドクター……あたしの中に、たくさん出しちゃったね♡」

「…………」

 

 無責任な射精だった自覚はある。けれど勢いのまま吐き出した気持ち良さは罪悪感と後悔を容易に塗り潰せるだけの価値を持っていて。射精を終えた一物を引き抜けば、愛液と精子の混じった混合液がトロトロと零れ出た。それを見て「ああ、本当に膣内に出してしまったのだな」と満足感すら覚えてしまう。

 

「ね、まだ出来るよね? 今まで我慢してた分、たくさんドクターを受け止めたいのだけれど……ダメかしら?」

 

 愛らしくもいやらしいおねだりを断れる理性など、とうの昔に消え去ってしまっていた。

 

 ──その後はもはや語るまでも無いだろう。

 

 私とサイラッハはとにかく交わり合った。

 立ちバックで尻を叩きながら性交したり、背後から抱え込む形で突きあげたり。バックで尻孔を弄りながら動いたり、対面座位で耳や角をくすぐりながら絶頂させたり。騎乗位でサイラッハ自身に腰を振ってもらって、疲れたら私が突きあげたりもした。

 最終的には私の方がすっかり精子が空になってしまい、そこでようやく彼女も満足してくれた。激しいトレーニングで鍛えられた体力はセックスにおいても遺憾なく成果を発揮できるようで。本気になったヴィーヴルはかくも絞り取るものなのかと、内心震えあがっていたのである。

 

 ◇

 

 ようやく体力を使い果たし、二人してベッドに倒れ込んだときにはもう明け方も近い頃になっていた。色んな体液でぐちゃぐちゃになったシーツを避けて、綺麗なタオルを引っ張り出してサイラッハの身体へかけてやる。

 

 それから少し息を整えて、サイラッハの方がおもむろに口を開いた。

 

「あたしは鉱石病(オリパシー)患者じゃないし、故郷を失ったわけでもない。『そんなおまえに俺たちの苦しみが理解できるはずがない』って言われたら、あたしも『その通りだね』って頷いてしまいそうだった」

 

 私は黙って頷いた。ピロートークにしては重たい話だったが、きっとこれがサイラッハにこのような行動を取らせた源泉なのだろう。人は相手の苦しみを理解して思いやれる生物だが、一方で体験もしていない相手に同情されることを嫌う生物でもあった。

 

「だからせめて、自分の一番大切なものを、一番苦しいやり方で奪われることで一端でも理解できるようになろうとした。なのに……こうやっていっぱい気持ちよくなってたら、結局ダメかもしれないなって」

「ハッキリ言おう、ダメではない」

 

 私は真正面からサイラッハへと向き合い力強く宣した。惑いに揺れる青い瞳と視線が合う。これだけは誤解の余地なく彼女へと伝えなければならないことだ。 

 

「君はそれだけの覚悟を持って他者の痛みに寄り添えないかを模索した。この際過程や結果はどうでもいい、重要なのは決断に至った心の方だ。生半可には選択できない行いを君は選べた、なのに君を世間知らずの小娘と嘲る者がいるなら私が絶対に許さない」

「ドクター……ありがとう、おかげで勇気が出たよ」

「どういたしまして。ま、そういうわけだから、君の覚悟は十分に伝わっているとも。だから焦ることなく、トレーニングもしっかり教官たちのメニューと擦り合わせを行うように」

「あ、最後はその話に戻るんだね」

 

 ふふっとサイラッハが笑った。私もつられて笑ってしまう。

 戦場に立つ戦乙女じみたサイラッハは凛々しくカッコイイし、彼女は更なる高みを目指して努力しているのだろうが──こうして素朴に笑っている方が、よほど似合うのだと思うのだった。

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