※この作品はR-18です。

純性癖ナイツ   作:ひかりねこ

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猫忍者って本当に可愛いと思います。


カゼマルにご奉仕お尻えっちしてもらう話

 ──これは、どういう状況なのでしょうか?

 

「……粗茶ですがどうぞ」

「あ、ありがとうございます……」

 

 炬燵に収まったわたしへ、やけに丁寧なドクターが手ずから熱い緑茶を淹れてくれる。卓上には既にミカンがたくさん用意されていて、まるで極東の実家へ戻ったかのよう。でもここはロドス本艦にあるドクターの自室で、主に仕える忍者であるはずのカゼマル(わたし)が歓待を受けていました。

 緑茶を一口啜って「ほぅ」と息を吐く。無意識に強張っていた身体が解れていく。戦場に立つよりも緊張するのは、ドクターから放たれてる妙な圧のせいですかね? 身体を伸ばしてリラックスしたい誘惑をグッと堪えて、まずは聞くべきことを訊ねてみる。

 

「わざわざお招きいただき嬉しいです。しかしドクター、このカゼマルに内密のご用命とはどういった風の吹き回しでしょうか?」

「ああ、すまないね。わざわざ夜分に女性を自室に招いたのだから警戒するのも無理はない。ただ、どうしても邪魔の入らない環境でお話をしたくてね」

 

 わたしの対面に座って炬燵へ足を入れたドクター。これが極東での一幕なら和やかにテレビ番組でも見てるところですけど、あまりに真面目な雰囲気なドクターから目を離せない。彼とは浅からぬ縁というか、作戦や護衛任務でもそれなりの回数ご一緒してるので別に警戒とかはしてないですけども……さて、誰にも聞かれたくない話とは果たして。

 ソワソワしながら待つこと一分弱。十分に間を置いて空気を支配したドクターは、ミカンの皮を向きながら至極真面目な顔でこう言った。

 

「カゼマル──君は私の"コレクション"を見たね?」

「っ!? いえ、そんなことは──」

 

 しまった、完全に失態でした!

 不意を突かれて取り繕うのが遅れてしまいました。ほんの僅かに見せてしまった動揺は即座に冷静な仮面で覆い隠したものの、ドクター相手に隠し通せるものではない。冷や汗を誤魔化すためにお茶をもう一度啜ったけれど、突き刺さる視線を痛いほど感じます。

 うぅ、どうしたものか。ドクターの言っている"コレクション"とは間違いなく、あの本やあの動画のことですよね。見つけてしまったときは大層驚きましたけど、人の()()は自由だからと気にしないよう努めてましたが……バレてしまっていたとは。

 

「その反応ということは、なるほど、やはり知っていたようだね」

「……はい、その通りです。ドクターが、その……」

 

 つい視線を逸らしてしまった。迷いが生じたのは明言しても良いのか判断付かないから。可能ならば今すぐ分身と入れ替わって逃げ出してしまいたい状況、ジワリと冷や汗が浮かびます。

 でも、ここまで来たら言い逃れはできない。ドクターがこの事実を確認したくて呼び出したのだと今なら分かるので、もう正直に白状するしかありません。

 

 ドクターが隠していたのを私が見つけてしまった"コレクション"、その内容は──

 

「お尻系のマニアックな性癖をお持ちだと、知っています……申し訳ありません」

「はぁ、やっぱりそうだったか……」

 

 白状すると同時に放たれていた圧がすっかり抜けきり、困り切った様子で嘆息したドクター。その姿に罪悪感が湧き上がりますけど、出した言葉は引っ込みがつきません。言葉にするだけでこちらまで恥ずかしくなってしまう内容だけど、きっとドクターの方がもっと辛いのがやりきれません。

 

 わたしがドクターの性癖──お尻やアナルが好きだと知ってしまったのは、およそ3カ月前にまで遡ります。

 

 それなり以上に武芸の心得があり、かつロドスから信頼できると太鼓判を押されたオペレーターはドクターの身辺警護を任されることがあります。

 ロドスの頭脳であるドクターは深謀遠慮で誰も比肩できないほど先を見る力に優れてますけど、一方で身体能力は並み以下です。なので暗殺をしようと思えば呆気なくできてしまう訳でして。噂では策と言葉だけで暗殺者を撤退させたこともあるとか無いとか聞きますけど、安全のため護衛が必要なのは間違いありません。

 幸いにもオペレーター・カゼマルはロドスとドクターの信用を得ることに成功しました。普段はヴィクトリアで『秘書官ケイト』として活動することが多いですけど、状況報告のために戻ってきた際はドクターの指揮下に入ります。そこでの活躍が認められたのは素直に嬉しいことでした。

 

 という訳で、例の日(・・・)もわたしはドクターの身辺警護を任されていました。

 

 ロドス本艦なので神経質になる必要が無い、とは素人考え。様々な人を受け入れているだけあって、エキセントリックな人物はすごく多い。善意で執務室前に地雷を仕掛ける者、身体検査と称して血液を採ろうとする者、仕事中なのに飲みに誘う者や明らかに敵意に似た感情を向ける者まで……万が一の可能性が意外と高い危険な場所なんです。

 そのため、安全のために室内の調査は当然します。忍者として探索・脅威排除はお手の物ですから、目星を付けた怪しい場所を確認していって……戸棚の裏の怪しい隠し扉をチェックしたとき、ついにドクター秘蔵のコレクションを見つけてしまったのでした。

 

 ◇

 

 人の趣味嗜好、性癖とは深淵に近い。

 わたしも任務の中で様々な人間を見てきました。至って温厚そうな外見の青年が恐ろしい加虐性を内に秘めていたり、あるいは見た目に優れない方が内実は非常に平和主義だったり。後者ならば良いですけど、残念なことに前者の方が遥かに母数は多かったり。外面を取り繕った、他者から見れば嫌悪感を催す代物が大好きな人間は存外多いものなのです。

 

「カゼマル……」

「そのような顔をしないでください。別に私は、あなたのことを軽蔑したりしませんから」

 

 だから、普段から温厚篤実で皆に慕われているドクターが内にどんな性癖を秘めていようと、まったく不思議なことじゃありません。むしろお尻好き、アナル好きなんて性癖の中では可愛い方です。より恐ろしい人体破壊や尊厳を奪う類の物、果ては口にするのも憚られる残虐な行為を好み、あまつさえ実行に移そうとする愚者は一定数()()()()のですから。まあ、記憶にある輩はもう生きてませんけどね、この刃の露と散りましたから。

 ともあれ、気にしていないのは本当で。十分に驚いたし『わたしもそういう目で見られたことがあるのかな?』とドキリとしたけど、信頼性を損なうほどの衝撃ではないんです。

 

「むしろわたしの方が謝るべきです。申し訳ございません、ドクター。あなたの秘密を勝手に知ってしまって」

「私も別に怒ってはないさ。隠し場所はもっと慎重にするべきだった」

「差支えなければ、何故盗み見たのがバレたのか聞いても?」

 

 厚かましい気はしますけど、ついつい好奇心に負けて聞いてしまいました。

 好奇心はフェリーンも殺す──極東に伝わる故事をまさに体現してる最中なのに、自分で呆れちゃいますね。

 

「念のため誰かが触ったら分かるように細工を施していてね。それが何度か続いて、決まって君が護衛を務めてくれた日だったから」

「なるほど……ドクターの罠にかかっていたとは、御見それしました。私もまだまだですね」

 

 まさかこのような形でドクターの策略を垣間見る形になってしまうとは。光栄ですけど未熟が恥ずかしい、複雑な気持ちです。今後はもっと気を引き締めなければなりませんね。

 ここでいったん会話が途切れて、どちらともなくずずず……と緑茶を啜った。ドクターが剥いてくれたミカンを頬張ると、適度な甘さが口内に広がって幸せです。たまにはこういう平和もありですね。

 

「さて、君が私のコレクションを見たと正直に告白してくれた訳だが」

「口止めするまでもありませんよ。今はドクターが主人ですから、主人の秘密は墓まで持っていくのが忍びです」

「ありがとう、君の言葉なら信用させてもらうよ。だけど私も一つ気になることがあってね」

「はい、なんでしょうか?」

 

 何だか嫌な予感がして、またしても冷や汗が一筋額を流れました。

 平静を保つ私をドクターは真剣な目線で射抜いた。どこか期待と興奮が浮かんでいるように見えたのは、わたしの見間違いだろうか?

 

「何故複数回に渡って、私のコレクションを見たんだい?」

「そ、それは……」

 

 ああ、やっぱり。聞かれてしまうと思ってました。

 覚悟はしていたのに上手い言葉が出てきません。モジモジと手を握って俯いてしまう。

 

「たった一度だけなら私も君が犯人とは気付かなかった。だけど君は数回もコレクションを見て、証拠を残してしまった。いったいどうしてかな?」

「あぅ……えっと、これには深い訳がありまして……」

 

 先ほどまでドクターが焦っていたはずなのに、気付けば私の方が追い詰められてしまってる。これがドクターの作戦指揮能力ですか、恐ろしい。いえ、まあ、単に私の自業自得を突かれてるだけですが。

 ドクターの指摘は事実です。確かに私は何度もドクターのコレクションをこっそり拝見して、中身を検めてきました。本や小説、動画の類まできっちり行為の内容は頭に入ってます。ではどうして、わざわざそのようなことをしたかと聞かれますと……もう()()を見せるしかないようです。

 

「ドクター。まずは何も言わず、こちらを読んでもらえないでしょうか?」

 

 懐から取り出した紙を変化させる。ポンと軽い音を立てて現れたのはどこにでもある日記帳で、表紙からは一切中身が推測できない。でもこの中には、私のあまりに恥ずかしい記録が詰まっているんです。

 日記帳を渡されたドクターは訝し気に中身を開いてパラパラとページを捲り──少し見ただけでハッと息を呑みました。日記帳を持つ手が心なしか震えてて、ドクターの動揺と興奮を表してる。

 

「カゼマル、これは」

「そちらはですね……自己流のアナ──お尻開発日記、です……」

 

 消え入りそうなほど羞恥に見舞われますけど、お互い様なのでグッと我慢します。

 どうしてドクターのコレクションを何度も見たのか? 理由はとても単純な話。彼の好みがどのようなものか、より詳細に調べ上げて自分を磨いておくためでした。本当は誰にも見せるつもりは無かったけれど、これがドクターへ差し出せる精一杯の誠意なので。

 

「もしよければ、どうぞ御覧くださいな。感想は、読んだ後なら受け付けますので……」

「わ、分かった」

 

 ゴクリと唾を呑んだドクターがペラりとページを捲る。

 あの日記帳にはここしばらくの私の痴態が、これでもかと記載されているのに──ああ、恥ずかしくて恥ずかしくて、だけど僅かばかりの喜びすら覚えてしまうんです。

 

 ◇

 

 〇月×日

 

 本日より筆記者、カゼマルの肛門開発を行うにあたりその記録を残しておく。理由は手順・方法を取り違えていないか振り返るため、そして万が一の際に何が起きたかを医療部の方へ説明するためだ。とはいえ、後者の果たされる日が来ないことを祈ろう……

 ドクターの所蔵にあった『バクダンムシでも分かるアナル開発指南書』に基づき、まずは直腸洗浄を行った。入手経路はロドス医療部で、便秘に悩まされていると訴えるとすぐに浣腸器と洗浄用ゼリーを貰えた。騙してしまった謝罪をここに記しておく。

 初めての直腸洗浄は想像よりも体力を使った。数分間の排泄我慢だけで脂汗をたくさん流したが、今後毎回これに耐える必要があるとは……既に先が思いやられる。ただ、出す際は思ったよりも嫌悪感はなく爽快感と一抹の快感を覚えたと正直に書いておく。お手洗いでお通じをしている際の解放感を目一杯引き延ばされ、叩き込まれるイメージだ。

 その後は同様の指南書に従い、ローションを塗した綿棒を用意した。肛門愛撫の手順は大きく足を開いて寝転がった姿勢で、入口付近を慎重になぞるだけ。しかしくすぐるような動きに従いピリッとした刺激が出口を走り、思わず声を上げてしまった。はしたない、だけど悪くない──咄嗟にそう感じたのを覚えている。

 結局この日は、慣れない直腸洗浄に体力を奪われ肝心の肛門開発は進まなかった。口惜しさはあるが焦りは禁物と指南書にもあったし、慎重に進めるとしよう。初心を忘れた時はこの日記帳を読めばいい。

 

 〇月△日

 

 昨日は「初心を忘れた時」と書いたが、そういえば何故肛門開発を行うか記してしなかった。記憶は薄れるものなので、決意が霞む前に文章で残しておく。

 忍者とは主人に仕えるものであり、今の主人はロドスのドクターだ(書記官ケイトではなくカゼマルとしては、だが)。そして厳しい修行の中には、「女であること」を最大限活用する技術、すなわち房中術による奉仕も含まれている。時には主人を悦ばせ、時には敵対対象を骨抜きにして情報を抜き取り暗殺する、決して大きな声では言えない極秘の術だ。

 現代では時代錯誤なやり方という批判も出ているが、私個人は房中術を嫌と思ったことはない。あるものは何でも使うべきだし、主人へ奉仕することに心理的な抵抗も覚えなかった。きっと以前に仕えた主人も、今のドクターも、心から敬愛できると思えたからだろう。

 だからこそ、なのか。今日まで実際に房中術を活かしたことは一度も無い。人柄に優れた主人故に善性も強く、身体での奉仕を求められたことがない。そして外部の任務において身体で篭絡する必要性に駆られたことも、また無い。性知識だけ仕込まれたまま、わたしは清い身体を維持している。

 ああ、白状します。本当はわたし自身、気になっているのです。性奉仕の悦びとはいかなるものか、身体を売ることによる甘美な危険を味わってみたい。ドクターへ己を捧げて女に生まれた本懐を果たしたい。故にこそ、喜んでいただけるよう好みに合わせて自身で肛門開発をしているのです──あわよくば前も奪ってもらいたいけど、どうなるか。

 以上がわたしの抱いた初心となる。要するにドクターへ身体を捧げることで、互いにウィンウィンの悦びを得たいのだ。私信が混じった奉仕でも、きっとあの人は受け入れてくれると信じている。

 追記:この日の拡張記録を書き忘れていた。直腸洗浄を行った後、同様にローションを塗した綿棒で肛門の表面部分を刺激した。くすぐったい感触に慣れてきたので、次回は先端を挿入しても良いだろう。

 

 〇月〇日

 

 直腸洗浄にも慣れてきた。初日と比べてお尻を弄っていられる時間が伸び、綿棒によるくすぐったさは少しずつ"快感"へ変わっている。試しに一本だけ綿棒の先端を肛門へ挿入すると、想像以上に呆気なく内部へ潜り込んで驚いた。まだ快感は覚えなかったが、出口が入口となった事実に背筋をゾクゾクしたものが駆け抜けたのが印象的だ。

 記憶にある指南書に従い、次は指での拡張を試みた。いつも通り足を大きく開き寝そべった姿勢を取り、人差し指で肛門をなぞった。押し込んだり、周囲を揉んだりしたところ、綿棒と比べてより快感と呼べるもの強くを感じられたように思う。今思えば喘ぎ声も少しだが出ていた。

 また、肛門を慣らす際は女性器への刺激と並行すると良いらしい。その教えに従い片手で肛門を刺激しながら、もう片手で普段と同じ自慰を試したところ、明らかに早く絶頂が訪れた。普段より多い愛液が手に絡みつき糸を引いていたのを見るに、確かに効果はあるようだ。今後は女性器への責めも追加しながら慣らしていくとしよう。

 

 〇月□日

 

 任務への参加があり数日間日記を書くことができなかった。危うく三日坊主となりかけたが、絶対に他者へこの日記を読まれるのは避けたい以上、必要なリスクヘッジと主張しておく。

 経過記録として、任務中も慎重に肛門開発は進めておいた。肛門と女性器の同時刺激は一定の成果を挙げており、着実に『お尻が気持ちいい』と身体が認識し始めている。さすがに直腸洗浄をしている余裕は無かったため、ウェットティッシュで拭った肛門表面を軽く刺激する程度に留めたが、声を我慢するのも大変だった。開発開始から短い間に排泄器官がすっかり性器へ変貌を始めている。

 本日は任務を終えロドスの自室へ戻ってきたため、改めて直腸洗浄を含めた一連の開発行為を実施した。これまで声を抑える必要があった反動か、今夜は普段より声が出てしまった……そのせいで余計に肛門が敏感となり、指で皺をなぞるだけで身体がビクリと跳ねた。こうもあっさりお尻の快感に目覚めるとは、もしやとびきり淫乱な体質なのだろうか? 複雑な気持ちだが早く開発が進む分には構わない。明日は指の挿入にも挑戦してみよう。

 

 …………

 

 △月◇日

 

 地道な開発が功を奏したのか、成果が出始めてきた。今では多少肛門をほぐせば簡単に人差し指を潜り込ませることができる。中指も一緒に挿入し抜き差しすると疑いようのない快感を覚えてしまう。開発は順調に進んでいるので今度は玩具に手を出してみようと思う。どうせなら、ドクターのコレクションを頼りに彼が好みそうなものを使いたいものだ。

 

 △月×日

 

 玩具を注文してしまった。想像するだけでお腹の奥が疼いて止まらない。

 自分を慰めるために肛門を激しく指で穿ってしまったのに、今では痛みは無く快感だけが身体を走る。排泄の為の穴はすっかり性感帯に改造されたが、男根を受け入れるにはまだ拡張が必要だ。一歩ずつ進めていこう。

 

 …………

 

 △月■日

 

 注文していた玩具が届いた。内訳は以下の通りだ。

 ・柔らかいトゲトゲの付いた指サック

 ・細身のアナルバイブ

 ・太目のディルド

 さすがにまとめて3つは多い気がしたが、それは置いておこう。

 今日は指サックから試してみた。しゃがんだ態勢で指サックを嵌めた手を近づけるのは、幼少期の肛門へセロハンを押し当てる検査を彷彿とさせた。ビッシリ並んだプラスチックのトゲに入口や直腸内部を引っ掻かれて、あられもない悲鳴を何度もあげてしまった。プチプチ弾ける感触が強烈すぎて遠からず女性器を使わずともイけそうな気配すら覚える。まだ様子見の段階のはずだが、この調子だと残り2つの玩具ではどうなってしまうのか。怖くもあり、隠さず書くなら楽しみでもあった。

 

 ……

 

 △月◆日

 

 この数日の成果をまとめて記しておく。アナルバイブは簡単に呑み込めた、いよいよ出す際の感覚が気持ちいいと身体が認めざるを得なくなり、最近ではお手洗いでも声を抑えるのに必死だ。ディルドの方は分身を用いて、四つん這いになったところを後ろから挿入させることで慣らした。我ながら良いアイデアだったと思う、おかげで危なげなく肛門を広げることに成功した。

 日々の直腸洗浄にもすっかり慣れ、今では未使用の女性器よりアナルの方がよほど"おまんこ"に相応しい出来だろう。今更になって自己開発するはしたない女をドクターが受け入れてくれるか不安になるが……ここまで来て後には引けない。折を見てドクターへお声がけをし、夜伽に誘ってみよう。

 

 ◇

 

 パタン。ドクターが日記帳を閉じる音が嫌に大きく響いた。

 途中からすごい勢いでページを捲る速読ぶり。食い入るように内容を読んでいた様子からしてお気に召してもらえたはず。だけど彼が何を思いどんな言葉を発するのか気になって、うるさいほど鼓動が脈打ち暴れ回った。

 

「カゼマル」

「はい」

 

 声を掛けられビクッと肩が跳ねた。赤裸々な記録を読まれた直後。恥ずかしくて顔も見れない。

 だけど意を決してドクターの方を向くと、柔和に微笑む瞳と視線が合った。軽蔑の色は無い。安心する間もなくドクターが口を開いた。

 

「ありがとう。そしてすまない、まさか君に負担を掛けてしまっていたとは」

「あ、謝らないでください! これは私が勝手にやったことですから……それも自分の為でもありますし……」

 

 うぅ、口に出すとやっぱり羞恥で死んでしまいそう。『奉仕のために自分で肛門開発しました』だなんて、普通ならドン引きされてもおかしくない。ましてや内心楽しみにしていたこともバレてしまってる……どうしようと頭が真っ白になったわたしの手を、いつの間にか隣にいたドクターが取った。

 

「その、こんな時になんだけど。もし君の()()を受け取らせてもらいたいと言ったら、嫌だろうか……?」

 

 躊躇いがちに告げられた言葉には隠し切れない興奮が滲んでいて。わたしの肛門を犯すことへの期待が渦巻き手に取るように分かってしまう。獲物を前に舌なめずりする獣のようだ。

 きっとわたしも同じなんだろうなと思いながら、片膝を付き頭を垂れた。忍者らしく取り繕わないと緩んだ頬を晒していたはず。散々開発されたお尻の穴がヒクヒクと疼いて熱を帯び始めた。

 

「ご随意に、ドクター」

 

 従者として主人へ奉仕する悦びを、ようやく知ることができそうです。

 

 ◇

 

 その日の夜。

 身を清め、すっかり慣れた洗浄も済ませてから、わたしはこっそりドクターのお部屋へお邪魔した。誰にも見つからないよう部屋へ忍び込むのは容易いこと。故に誰もわたしとドクターが、今から爛れた上下関係を実行するとは気付けない。

 

「ドクター……既に大きくしていらっしゃるのですね」

「君をアナルで抱けると思うと我慢できなかった」

「ふふ、嬉しいです。このカゼマル、精一杯ご奉仕させていただきますね」

 

 既に全裸となってベッドへ座り込んだドクターの前で、一枚ずつ服を脱いでいく。ピッチリして身体のラインが浮き出る白装束を脱ぎ、余計なアクセサリーも外して、一糸まとわぬ生まれたままの姿を曝け出した。ヒンヤリした空気がドクターの熱い視線と共に身体中に突き刺さる。

 初めて男の人に裸を見られてます。胸も、足も、陰毛も、割れ目も、お尻も、くまなく全部です。恥部を手で隠したくなる誘惑を抑えてドクターに鑑賞されるまま、一呼吸二呼吸と時間が過ぎていく。

 

「綺麗な身体だ……すごく白くて、張りがある」

「お褒めに預かり光栄です。だらしない体つきにならないよう鍛えてますので」

 

 出来る限り妖艶に微笑む。ドクターがゴクリと喉を鳴らしたのが手に取るように分かった。わたしの裸を見て期待してくれている。ならこちらも、その期待に応えてあげなければ。

 座るドクターの前で膝を付き、三つ指を立てて上半身を伏せた。いわゆる土下座に近い姿勢だけれど、それよりかは奉仕をするための主従関係を示すもので。これからドクターへ奉仕させていただくことを自分に刻み込む意図もあった。

 

「これより、カゼマルによる性奉仕を始めさせていただきます。まだ拙い技術しか持ち得ぬ身ですが、ドクターのご期待に沿えるよう努力させてもらいます。どうぞわたしで好きなだけ性処理なさってくださればと」

「ありがとうカゼマル。だけどそこまで畏まらなくてもいいよ、普段通りで構わないさ」

「こうする方が燃えるかなと思ったものでして」

 

 てへっと舌を出して微笑んでから、そっとドクターの陽根へ顔を近づけた。ちゃんとシャワーを浴びてくれたようで、想像していた汚れや匂いは全くない。それでも拭い切れない雄のフェロモンに引き寄せられて、忠誠を誓うみたいに亀頭へキスを捧げたのだった。少ししょっぱくて、マズいのに美味しい。

 それからベッドへゴロリと仰向けに転がり、雄を誘うべく大胆に開脚した。湿り始めた割れ目も、何度も自己開発したことでヒクヒク蠢くお尻の穴も、全部ドクターに見られている。彼の顔を隠すマスクはもう無い、熱を帯びた視線が痛いほど鋭く秘部へ突き刺さった。

 

「ど、どうでしょうか……? 直視に耐えないものでは、ないつもりですが……」

「とても綺麗だ。うっかり見惚れてしまっていたよ」

 

 ドクターは笑ってから、壊れ物を触るみたいな手付きでそっとわたしの太ももに手を伸ばした。男性の熱が手の平から伝わり足全体がビクリと震えた。

 

「この足も、このお尻も」

 

 手の平が上へと移動し優しい手付きでお尻を撫でた。その奥に潜む窄まりが雄の気配を察知してキュッと縮んだのが、自分でも分かる。今のわたしはドクターに品定めをされてる俎上の鱗獣なのだから。確認の言葉の裏には『私のものだ』って独占欲が滲み出ていた。

 

「私が好きにして良いんだね?」

「はい……お望みならこのまま、一物を突き立てて貰っても結構ですよ。お尻の中にローションも仕込んでおりますから」

 

 自分から両足の膝を抱えてより高くお尻と肛門を捧げてしまう。しかも両手でお尻の穴をむにぃと開いて、パクパクと開閉する小さな穴まで見せてしまった。女として終わってる、不浄の穴を喜んで見せつける姿はあまりに浅ましい。そう思うのに止めようとは思えず、ドクターもまた軽蔑どころか歓喜の視線を注いでくれた。

 ああ、羞恥で顔が熱い、のぼせてしまいそう。お尻の穴からは汗みたいにトロリとローションが垂れ落ちる。でも主人(ドクター)へ奉仕する悦びは被征服欲をこれでもかとくすぐって、頭をクラクラさせる危ない快感を与え続けていた。己の人権すら明け渡しかねない危険なシチュエーション、それが危険(スリル)を楽しめるわたしには堪らないスパイスとなる。

 

「カゼマル……嬉しいよ」

「んっ……あっ♡ それ、ゆび……っ♡」

 

 お尻の穴にドクターの指がピトリと触れた。男の人だからか華奢なドクターの指でもゴツゴツして太い。もっと太いディルドで慣らしたこともあるはずなのに、思わず生娘みたいな声をあげてしまった。いえ、まあ実際処女なのは間違いないですけどもね。

 慎重な手つきで肛門周りを指先にまさぐられ、「んっ♡」とか「あっ♡」とか喘ぎ声が出る。すごく優しい手付き。ちょっと物足りない気もするけど、ドクターがわたしを大切に扱ってくれると思えばむしろ昂るばかりです。

 

「ふぅっ……! んあっ♡ ドクター……焦らさないで、ください……♡」

 

 くちゅくちゅ♡

 ちゅこちゅこ♡

 

 ぐにっと押し込まれた指先が簡単に内部へ潜り込んだ。自分の指でも、分身でもなく、ドクターにお尻を弄られてるせいですごく敏感になっちゃってる。うねうねと内部で動く様子はまったく予測がつかず、予想外の部分を甘く引っ掻かれて気持ちいい。湿った音がお尻から響くのを止められない。

 それなのに、もどかしさはいっそう募った。この日の為にしっかり開発した代償なのか、指を咥え込む程度では身体に熱が溜まるばかり。奉仕する側だけどもっと気持ちよくなりたい欲求が膨れ上がる。その一心でドクターへ内心訴えかけ──心が通じたのか、ちゅぽん♡ と引き抜かれた指先の代わりに硬いモノが押し当てられた。

 

「すまないカゼマル、もう我慢できない」

 

 熱い。ビクビクと脈打ってとても硬い。

 先ほど口づけを落とした時よりもっと逞しくて、まるで焼けた鉄の杭みたい。ぶるっと身体が震えたのは突き付けられた凶器への恐怖か、それともこれから貫かれることへの歓喜か。きっとどっちもなのでしょう。

 

「えっと……カゼマルのか、開発済み処女アナル……どうぞ受け取ってくださいな……」

 

 羞恥でしどろもどろになりつつ深呼吸。ドクターを受け入れる準備を整え、お尻から力が抜けたタイミングを見計らって、エラの張った亀頭がズブズブと直腸へ侵入を開始した。

 

「んぐっ……! ふぅ……ふと、い……っ!」

 

 慣らしていたディルドもそれなりに大きかったはずだけど、ドクターのはさらに一回り巨大だった。本当に焼けた鉄の杭を打ち込まれてるみたいな圧迫感。お腹がぎゅうぎゅうに満たされて苦しさすら覚えるのに、結合部を見やるとまだ半分ほどしか埋まってない。

 嘘でしょ、と呟いたはずなのに声は低い呻きにしかならなかった。ドクターの心配そうな視線が降り注いだ。

 

「カゼマル、辛いのなら──」

「心配には、及びませんからっ。最後まで、一息に貫いてください……!」

「……分かった」

 

 ここで引き下がるのは主人へ奉仕する忍びとしての恥よ。自分にそう言い聞かせて無理やり身体を脱力させ、太すぎる一物をお腹の中へと受け入れていく。ゆっくりじっくり、三歩進んだら一歩下がるようなねちっこい挿入。陽根にゾリゾリと肛門や腸壁を削られているのがつぶさに感じ取れる。

 ポタリ。顔に何かが垂れ落ちた。結合部の手前、まだ純潔を保つ割れ目は驚くほど潤んでいた。湧き水みたいにコンコンと愛液が零れ落ち、それが自分の顔にかかっている。髪と同じ色の茂みまでぐっしょり濡れている有様だ。

 

「はーっ♡ はーっ♡」

 

 お腹は苦しい。だけど前は濡れていて、じゃあなぜかと言えば熱い陰茎にお尻を掘削される感触が気持ち良くて──圧迫感に隠れた肛門性交の良さを自覚した途端、大波の如く一挙に快楽が押し寄せた。

 

「んあ゛っ!? ひぎゅっ、ああ゛っ♡」

「うおっ、急に締め上げてきたっ……!」

 

 自己開発で散々気持ちよくなってきた記憶と、ドクターに犯されている現状がリンクする。スイッチが入るみたいに肉棒での快感を理解したお尻にキュッと力が入った。奥へ迎え入れるように蠕動して、本来の排泄器官としての役目と真逆の動作で一物を咥え込む。

 どちゅ……ぐちゅん♡ 湿った重い水音が鳴り響いて、ついにわたしはドクターの猛りを全て直腸に収めることに成功していた。やっぱり圧迫感はすごい、ディルドや指の比じゃありません。初めて身体を許した雄の剛直は凄まじくて、これまで想定していた何倍も強烈です。

 

「ドクター……♡」

 

 甘い吐息。それが自然とばかりに媚びるような声音が漏れ出してしまう。足と尻尾がピンと中空へ伸ばされて、少しでも快感を逃がそうと頑張ってる。でも承知してる、こんなの僅かでもドクターが動き出せば無に帰す儚い抵抗なんだってことくらい。

 

「わたしのお尻、どうでしょうか? 気持ちよくなってもらえてますか?」

「ああ、とても素晴らしいよ。入口はすごくキツイのに、中はフワフワしてて……カゼマルの体温を火傷しそうなほど感じられる」

「それなら、良かったっ♡ ですっ♡ んあっ♡」

 

 グリグリってドクターが腰を揺すると、誤魔化しようのない快感がお尻を駆け抜けた。

 逞しい一物が軽く動くだけで直腸の色んなところが擦り上げられる。壁越しにまだ一度も愛されたことのない子宮を揺らされて、ビリビリって刺激がこれでもかとやって来て。無理やり拡げられた肛門に杭を刺されて善がっている、はしたないフェリーンなのだと痛感させられます♡

 

「もう少し大きく動くよ」

「は、はいっ……♡ カゼマル、諸事万端ですからぁ♡ 好きにお尻、使ってください……♡」

 

 控えめな動きに留まっていたドクターがいよいよ本格的に律動を開始しました。太すぎる陰茎を引き抜かれる際はお尻の穴が捲れそうな衝撃で、とんでもない爽快感に目が白黒してしまう。喉からは野太くて汚い喘ぎ声が引っ切り無しに飛び出て死にそうなほど恥ずかしい。

 

「んぐっ♡ お゛あ゛っ♡」

 

 引き抜かれる際は無理やりお通じの爽快感を叩きこまれているみたい。逆に押し込まれるとお腹が苦しくて、でも亀頭が子宮裏を叩くと前も一緒に気持ちよくなってしまう。背中側の腸壁をゴリゴリ削られると電撃みたいな刺激が走って尻尾がピンと伸びちゃうんです♡

 こんな……こんなお尻エッチ、耐えられるはずありません♡ 自分で開発してたとはいえ、ついさっきまで処女アナルだったとは思えない気持ち良さ。普通ならドン引きされてもおかしくない感じ方をしてるのに、こんなわたしの痴態を見てドクターはもっと燃え上ってるんです♡

 

「カゼマル! カゼマル……!」

 

 必死に名前を呼びながら手を伸ばして、まるで子供のよう。気付けばドクターの手がわたしの膝を抑えて、胸を揉んで先端をカリカリ引っ掻いて、吐息すら感じられるほど顔が近くにありました。反射的に舌を伸ばすと即座に絡めとられて口内にまで侵入される。お尻で奉仕しながら恋人みたいな深いキスをしたせいで頭がどうにかなってしまいそう。

 幸せ、です……初めて身体を捧げる行為が、これほどまでに幸福感溢れるものとは思ってもみませんでした。信頼する相手に奉仕を行い、悦んでもらえる喜びは想像以上で、これだけで軽く達してしまうほど。噴水みたくぷしゃりと噴き出したお潮は小動物の愛情表現みたいです。

 

 どちゅん♡ ぶちゅん♡ ぐちゅん♡

 

「あ゛っ♡ あ゛う゛っ♡ お゛ぐっ♡」

 

 下品な声と音を立てながら幾度もドクターの剛直がお尻を通過するのを受け入れる。すっかり出口は入口へと塗り替えられて、雄へ媚びることが本来の機能であると錯覚させられて。穿り返されてる直腸はとうの昔に異物を追いやるのを諦めて、優しく握り締めるみたいに抱き着いちゃってるんです。

 

「カゼマルのトロトロアナル、すっごい気持ちいい……! このまま射精しても──」

「今のわたしはドクターのための奉仕穴ですから、どうかご遠慮なさらずに……♡ 孕ませるつもりで、お情けをお恵みくださいな♡」

 

 淫靡な言葉が驚くほどスラスラと口を衝いて出た。淫らに男性を誘った事なんて一度も無いのに、まるで本能がどんな言葉で誘えば良いか理解してるみたい。この雰囲気に酔っているのかな?

 自分で告げたエッチな言葉に下腹がキュンとなって、直腸がふわりとドクターを締め付ける。それと一緒にお腹に収めた剛直がさらに大きく勃起して、ビクリと脈打ちながら奥へ突き立てられた。直腸のもっと奥、結腸にまで届きかねないサイズになった一物の先端が、わたしの一番深い所に狙いを定めて──

 

「ぐっ、射精()る──っ!」

「ひぅっ──ああ゛あぁぁっ……♡」

 

 びゅくっ♡ びゅるーっ♡♡

 

 男性の身体にプレスされて動けないまま、お腹の一番奥で熱いものが広がってる。ドクターから吐き出された子種がこれでもかと注ぎこまれてお腹がタプタプになっていく。他人の体温が、本来絶対に他人に暴かれないはずの部位に広がっていく感覚が不思議で、不気味で、なのに気持ち良くてたまらない。

 射精の間も陰茎はドクドクと脈打ち続け、まるでバイブレーションみたいな緩い振動がお尻周りに伝わって。射精されてるんだなって実感をより強く感じながら、気が付いた時にはまた達してしまってた。意思と関係なくお尻を締め上げ精液をねだり、一滴たりとも逃がさないと訴えかけてるみたい。

 

 熱くて、ねっとりして、ずっしり重たい射精をこれでもかと受け止めて。お尻なのに本当に孕んでしまいそう。ううん、子宮の方は本当に勘違いしちゃってずーっと疼いちゃってる。涎みたいに愛液を零してあーん♡ と口を開いてるんですけど、待ち望んでる精子は全部子作りと一切関係ない排泄器官に注がれちゃってるんです♡

 

 ぢゅぽんっ♡ ぐぽっ……♡ どろぉ……♡

 

「あ゛っ……♡ ふぐっ、ふあぁっ゛♡ どく、たー……♡」

 

 これまでずっと埋め込まれていた逞しいのが引き抜かれて、お尻にぽっかり開いた空洞がスースーする。最初は苦しかった圧迫感も無くなってしまえば寂しいもので、物足りなさすら覚えてしまう。

 初めてのご奉仕肛門性交は、自分でも驚くほど気持ちよく慣れてしまいました……でもドクターはどうだったのだろう? 射精してくれた以上、ちゃんと満足してくれたとは思うけど、贅沢にも言葉にして聞いてみたいと思ってしまった。

 

「わたしのお尻、ご満足いただけたでしょうか……?」

「ああ、最高の心地だったよ。ありがとうカゼマル」

「ふふっ、それなら良かったです」

 

 ホッと一息、安心して笑うわたしへ今度はドクターが遠慮がちに見やった。この光景、なんだか既視感がありますね。なら次の言葉も分かりますとも。

 

「その……また()()()もらっても構わないだろうか?」

「──ええ、もちろんですとも。このカゼマル、ご用命とあらばいつでも参上致しますので。わたしがロドスに滞在している間は、お好きな時に呼びつけて良いですよ」

 

 主人に対する性奉仕など時代錯誤で間違っている……なんて意見は忍びの中でも言われ始めていることですけど。

 わたしは全くそう思わず、むしろ喜んでお誘いに乗ってしまう辺り、やっぱりこういう世界の方が性に合っているのは間違いないみたい。

 

 ◇

 

 それ以降、再びヴィクトリアに戻るまでの間に何度もドクターと肌を重ねた。

 

 ある時は秘書に任命されたので、執務室で堂々と交わった。お尻を舐められ、指でほぐされ、散々に蕩けさせられた後に突き込まれた快感は筆舌に尽くしがたい。あれはわたしの方が奉仕されているみたいで罪悪感があったけど、ドクターもすごく楽しそうだった。

 また違う時は人気(ひとけ)のない通路に面した物置部屋に連れ込まれた。誰かにバレてしまうかもしれないリスクを抱えながら、声を抑えてひたすらドクター専用のアナルオナホールに徹しましたとも。優しいドクターにケダモノみたく責められる背徳感は良いスパイスでした。

 

 さらにドクターの残業が長引かなかった際は部屋に赴いて、分身も使ってご奉仕した。シャワー室では自分たちの身体に石鹸を塗して女体で洗ったり、手や口や胸でドクターの猛りを鎮めたり。今まで知識だけで知っていた房中術の限りを尽くしてドクターを満足させると、わたしも奇妙な満足感を覚えてしまうのだった。

 

「などと、随分と爛れた関係を継続してきたわけですが……」

「おや、どうかしたかい?」

「いえ、何でもありませんよ。ドクターはどうぞお仕事に集中してくださればと」

 

 今も執務机に向かうドクターの膝に座って背面座位でお尻を貫かれている真っ最中だ。秘書に任命されてるので誰かに見咎められる危険はないものの、最近露骨に秘書を務める回数が多いのは平気なのだろうか? 誰かに怪しまれる前に隠蔽工作をした方が良いかもしれないと、半ば本気で考えてしまう。

 あるいはもう少し節度を持った関係性に是正するべきかもしれないけど……わたし自身、この爛れた関係性を今更止める気にはなれなかった。何度もドクターにお尻を触られて、苛められて、気持ちよく啼かされて、今ではお尻に何も無い方が落ち着かない始末。これ、ヴィクトリアに戻った後は大丈夫かな……?

 

「ああ、そうだ。カゼマルに一つ聞いておかないといけないことがあった」

「おや、なんでしょうか?」

 

 お尻で交わりながら普通に会話するのも慣れたもので、グイグイ押し付けられる男根の感触を楽しみながら小首を傾げた。

 

「もし諜報員としてヴィクトリアに戻らず、今後も私の傍で活躍してほしいと提案したら……君はどうしたい?」

「そ、それは……」

 

 ゴクリと唾を飲み込む。まるでさっきまでの懸念を見通されたみたいだ。

 書記官ケイトとしての仕事はもちろん好きだ。でなければかつてと同じく退職している。だけどドクターの傍に居ても同じだけ危険と達成感のある仕事に困らず、しかも今の関係性を維持できるわけで──

 

「わ、わたしは──」

 

 そうして、自らの成すべき務めをどのようにするか、ドクターへと告げたのだった。

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