純性癖ナイツ 作:ひかりねこ
「それじゃ、初仕事を無事に終えることができましたので、かんぱーい!」
「乾杯」
ロドス艦内にあるバーの、小さめの個室にて。
コツンとジョッキを合わせ、ゴクゴクとビールを喉へ流し込んだ。私の対面に座るリーベリの女性も同様で、豪快にジョッキを傾けている。任務でしばらくロドスから出ていたせいで、久しぶりに摂取するアルコールの味は格別だった。二人揃ってまずは無言で楽しんでから、程よいタイミングで話を切り出す。
「君たちと提携を始めて初の仕事だったが、想像以上に上手くいって驚いているよ。『ファイヤーホイッスル警備』は、確かに優秀な人材を多く擁しているようだ」
「感染者だからと実力者を見逃すなんて言語道断! その点うちは来るもの拒まず、おかげで社員はみんな揃って粒ぞろいですよー。だけど、ドクターのお眼鏡に適ったならまずは一安心かなー」
今後もご贔屓にしてくださいねー、と営業スマイルを浮かべている彼女は、件の『ファイヤーホイッスル警備』の社長を務めるファイヤーホイッスルだ。レム・ビリトンに本拠地を構える小規模な私設警備会社の社長は、自分からこちらを訪ねてはロドスに商談を持ち掛け、今は契約を締結して協力関係の間柄である。
偉い肩書を持つ女性だが、性格は気さくで非常に付き合いやすい。まだ顔を合わせて間もない私ともあっさり打ち解け、オペレーター達とも仲良くやっている。ちなみに、「どうしてコードネームを会社名にしたの?」と訊ねたところ、「社名を覚えてもらうための戦略でーす!」とのことである。効果があるかは今後次第だろう。
「その中でも、彼らを指揮してまとめ上げてる君はやはり優秀では済まないな。人望、戦術立案、戦闘能力、全部がバランス良く高水準で纏まってる。指揮官にとってはとてもありがたい人材だ」
「もう、褒め殺しのつもり? 照れるからやめてよー」
アルコールと照れで顔を赤くしたファイヤーホイッスルが大袈裟な身振りで否定する。しかし今回の作戦において、彼女が率いるチームと本人の優秀さはしっかり見させてもらった。
社長だけあって事務仕事も相応にこなせるが、単なる事務職員には留まらず前線にもしっかり立つ。作戦中、彼女の砲撃は間違いなくチームの要となっていたし、誰もが隊長としての彼女を信頼していた。戦術に対する理解度も非常に優秀で私が立てた作戦の意図をしっかり解釈し、急な事態にはフォローしてくれる余裕すら見せるほど。
今回は提携後初の共同作戦ということで、ファイヤーホイッスルの勝手知ったるレム・ビリトンで感染生物への対処に当たってもらった。途中で突発的に発生した野盗の撃退も含めて、非の打ち所がない結果を見せてくれて大変満足である。
「少なくともレム・ビリトンでの武力が必要な任務は君たちに噛んでもらいたいし、もし良ければ他地域の作戦にも協力してほしいくらいだ。当然、その分だけ契約金は弾むよ」
「やった! ありがとうございまーす!」
オーバーなほど嬉しそうに笑ってから、彼女はもう一度ジョッキを傾けた。既に中身はほとんど残っていない。いい飲みっぷりを見せつけてから、今度は安堵した様子で息を吐く。
「いやー、これでやっと給料を貯金から崩さずに済むよ。このままジリ貧でお金も無くなったら、せっかく来てもらった社員のみんなに申し訳が立たないからさ……」
「君たちほどの実力者でもダメだったのか」
「ありがと。だけどその通り、感染者が大部分を占めるうちの会社と契約してくれる大手は全然無くてさ」
残念だがテラではよくある話だ。他会社が感染者を雇わない理由も、結局は自他の偏見を恐れてのことなのだから。
「このままじゃ給料も払えない、鉱石病の治療先もままならないしどうしよーって頭を悩ませてたところで、偶然ロドス・アイランドの名前を耳にしたんだ」
「それで藁にも縋る想いで来たわけだ」
「最悪警備会社としてはダメでも、社員の治療だけでも受けさせてもらえればって考えてた。それが仕事を貰えて、福利厚生もしっかりしてて、おまけに感染者への差別も無い……ビックリしたよ、ここって天国?」
ファイヤーホイッスルの言葉は半ば以上本気のように感じられた。確かに、ロドスは他と比べて明らかに感染者への態度が優しい。妙な薬で感染者を偽ることも無い。きっとレム・ビリトンでは散々その手の会社を見てきただろう彼女にすれば、信じられないような相手なのだろう。
「天国、か。ロドスの風潮をロドスだけのものにせず、テラ中に広げられれば良いのだが」
「夢はでっかくって感じだねー。でもドクターたちなら、本当に実現できたりして」
カラカラとリーベリは笑う。嬉しいことにお世辞を言ってる風ではなかった。
気付けば手持ちの酒が無くなっていて、今度はカクテルとナッツを注文する。届くまでの間に今度はファイヤーホイッスルがボソッと呟いた。
「本当、ロドスが悪徳どころか超善良優良企業で良かったよ……もしかしたら最終手段を使う羽目になるかなーって、うっすら考えてたから」
「最終手段?」
何だろう、まさか彼女が得意とする火遊びで全てを灰燼に帰すとかだろうか?
という冗談じみた思考を悟られたのかどうなのか、苦笑しながら女社長は続きを喋る。
「色仕掛け、もっと言えば身体を売るってところ。ほら、あたしってこれでも女だからそういう価値もあるのよねー」
「……提案されたことがあるのか」
想像以上に深刻な話に、思わず声のトーンが下がった。対照的に本人は呆気カランとしている。
「そ。『おまえのところは感染者ばっかだから雇うのは難しい、だけど君が
「いるところには居るものだな、その手の下衆も」
「あはは、まあ零細企業の女社長だなんてその手の定番だろうし? でも誘いに乗ったことは一度も無いから、そこは心配してくれなくとも大丈夫だよ」
確かに、支払う給与にも苦労する女性を唆せば、簡単に手籠めに出来てしまいそうだ。男としては少しばかり気持ちが理解できてしまい、そんな自分にゲンナリする。なまじファイヤーホイッスル自身がかなりの美女だから、余計に欲望を掻き立てるのだろう。
何を言うべきか迷い、少し重たくなった空気を察したかのように注文したカクテルとつまみが届いた。これ幸いと手を伸ばし、一口飲んで唇を湿らせる。
「ともかく安心してくれ。ロドスにそういった人間は居ないし、私も絶対にやらないと誓おう。後ろ暗い取引が無くても君たちは十分、こちらが誠意を見せるに値する契約相手なのだから」
「嬉しいな。思えば、身内以外の人からこんなに褒めてもらえたのは初めてかもね。いっつも、やれ感染者がどうだの、やれ実力を信用できないだの、やれ仕事内容がどうだのばっかでさ……ありがと、気が楽になったよ」
小規模だろうと人の上に立つ人間として、相応のプレッシャーがその肩には乗っていたのだろう。一応は私も似たような立場なので、苦労の質は理解できるつもりだ。
ホッとした様子で力を抜いたファイヤーホイッスルは、「あ、でも」と意地悪そうに笑った。重たい話の余韻は微塵も感じさせない振る舞いにホッとしたのも束の間、
「個室でサシ飲みしようって誘われた時は、ぶっちゃけそっちのお誘いかなーって思ったりして。いやー、ドクターなら無いだろうとは思いつつ、でも誘われたらどうしようってドキドキしちゃったよ」
「な……!」
危うく酒を噴き出すところだった。言われてみればその通りだが、別に邪な思惑など一切ない。単にファイヤーホイッスルと気兼ねなく話し合ってみたかっただけである。
「そ、そんな事するわけないだろ、考えもしなかった」
「ごめんごめん。でもドクターは最初からやらしい視線も無かったし、逆にアリなのかなーって。むしろこんな優良相手とより強固な契約を結べるならチャンスかもってさ」
ほら、と何でもない調子でファイヤーホイッスルは上着を脱いだ。チューブトップタイプの衣服の下から赤色も鮮やかな下着が飛び出す。繊細な白レースで装飾されたそれは、衣服に合わせたヌーブラタイプをしており、柔らかそうな丸みをしっかりと覆い隠している──って、そうではなくて!
唐突なストリップに一瞬目を奪われてしまったのを猛省しながら視線を逸らした。ファイヤーホイッスルはニコニコしたまま見せつけるように胸を張っている。赤らんだ顔は既に酔っぱらった証なのだろうか。
「待て待て待て、それはダメだろう。すぐ服を着てくれ、理性によろしくない」
「これくらいなら気にしなくても良いってー。普段から露出多めの服装だから今更だし、勝負下着だから恥ずかしくないもん」
「そういう問題か……!」
本人の許しがあるなら鑑賞させてもらっても、と傾きかけたのを我慢する。気を抜くと鮮やかな下着や、チラッと見えた白い谷間に視線が吸い込まれてしまいそうだ。ただでさえ本人も言った通り、適度に引き締まった白い肢体が常に露出されてて目のやりどころに困っているのに。
「ともかく服を着てくれ。再三だが、私にそっちの意思は無いから!」
「……うん、オッケー。ドクターの気持ちはよく分かったよ、ありがとね」
一転して素直に服を着直すファイヤーホイッスルは、明らかに安堵した様子を隠せていなかった。やはり試されていたか。もしここで欲に任せて襲い掛かっていたら、一晩の享楽と引き換えに信頼に足る契約相手を失うところだった。
「試したのが半分、勢いが三割、本音が二割ってところかな。もし襲われてもその時はその時だったかも」
「……自然に心を読むじゃないか」
「今のドクターはすっごく分かりやすかったから」
なるほど、と苦笑で返した。すっかり彼女のペースに嵌められてしまったようだ。耐えきった自分の理性を褒め称えて、もう一度カクテルで喉を潤す。気付けば喉はカラカラに乾いていた。思った以上に緊張していたらしい。
「試すような真似をしてごめんなさい。だけどもっとお金が必要になったらその時は、ドクターに捧げても良いかなってくらいには信用してるから」
「一応、褒め言葉として受け取っておくよ」
「褒め言葉だってばー、もう」
まあ、酔っぱらってのだと解釈しておこう。真に受ける方がさすがに怖い。
ともあれ、重たい空気が払拭されてやっと最初の雰囲気が戻ってきた。安堵しているのは私の方も同様だった。デリケートな話題をこれ以上続けても気苦労ばかり溜まってしまう。ファイヤーホイッスルとはそういうの抜きで語らってみたいのだ。
「ま、あたしも大概頑固だし、経営者に向いて無いってのは事実だからね。意地を通すのは結構だけど、それで会社を傾けちゃったら本末転倒というかさ。手段を選ばずってのも一面では必要なのよね」
「だが、そのおかげでたくさんの感染者が君の下に居られた。誇るべきことだろう」
「そう、そこが難しいところなのよ。無力を噛みしめながら理想を通すか、現実を見て程ほどのラインで耐え抜くか。理想や誇りは衣食住に変わってくれないのが辛いところだね」
自覚はある、だけど止められないと彼女は言う。
「こうと決めたら一直線、絶対に自分の意思を曲げたくないし不義理だってやりたくない──学生時代からそんなだから、両親や友達にも色々言われたな。一瞬だけ教師の真似事なんかもしたけど、最後は自分の無力さを見せつけられるだけだった」
「だけど君は折れていない。あくまで自分の良心と大儀を貫くことに主眼置いて、今のところ成功してるだろう」
「運が良かったよ。前の会社でもお金や感染者関係でゴタゴタがあってさ、それで今の警備会社を立ち上げたのに結局潰れる寸前だった。ロドスに拾ってもらわなかったら、さっきの話は現実になってたよ」
話しながらナッツを食べるファイヤーホイッスルの所作はどこか上品に見えた。元の育ちが良いと小耳に挟んだが、その影響だろうか? 故にこそ、私は一つ質問をしたくなってしまった。
「君は感染者では無いし、感染者を遠ざけながら成功する道もあり得た事だろう。なのにどうして、感染者の為に会社を立ち上げ、自己犠牲すら視野に入れられる? この大地に溢れ返る偏見に染まってない理由が気になるんだ」
「あはは、ロドスの人がそれを聞くの? 感染者と非感染者が共に助け合って仕事をするこの方舟で?」
「だからこそ、と思ってもらって構わない。我々と極近い思想がどこから生まれたのか、聞くことが出来たら嬉しい」
その問いは、あるいは相手の奥深くへ無遠慮に踏み込むような真似かもしれない。だが今後もパートナーになる相手に対して、偏見の無い立派な思想の源泉をどうしても訊ねてみたかった。
幸いファイヤーホイッスルは気を悪くすることなく、さりとて少々誤魔化すような愛想笑いを浮かべて、はにかみながら答えた。
「感染するのが怖い、といっても予防と経過観察さえしっかりすれば大丈夫でしょー? 致死率が高い以外は他の病気と大差無いし、ロドスだってそうしてるんじゃないの?」
「なるほど、なるほど」
その簡単なことが理解できない、しようともしない人間がこの大地にはなんと多いことか。
果たしてファイヤーホイッスルは自身の希少さと善良さを理解しているのか、いないのか。どちらでも構わないが、途轍もなく優良なパートナーを見つけられたのはこちらも同じだった。
「改めて、ロドスへようこそ。君のような超善良優良社長を知己を得られて嬉しいよ」
「ま、またそうやって照れること言うー。もう、存分に頼りにさせてもらうからね」
ペシぺシとこちらを叩く彼女の顔には、今日一番の笑みが浮かんでいた。
◇
それ以降、『ファイヤーホイッスル警備』との関係性は至って良好だった。
レム・ビリトンでの作戦任務では高い実力を遺憾なく発揮してもらったし、時には他地域にも何人か助っ人に来てもらったりした。その際はもちろんファイヤーホイッスル本人も居て、私としては非常にやりやすかった。
大部分が感染者だという社員たちはロドスの検診にも協力的だ。オペレーターともに仲良くやっていて評判が良いし、深刻な症状の者は誰もいないと聞いている。そして当の社長はロドス本艦に滞在することも多いからか、誰よりもロドスに馴染み切っていた。
「あー、ここの環境知っちゃったらもう無理だよ。水準上がりすぎちゃってレム・ビリトンじゃもう他を探せないね」
「引き抜きを心配しないで良いのはありがたいが、火は怖いから止めてね」
「えー、燃やさないから大丈夫だよ」
執務室に用意してある応接用のソファでは、ダラリと寝転がったファイヤーホイッスルが手慰みにライターをカチカチしていた。文字通りの火遊びが趣味なのも今では把握しているが、当初はうっかり書類を燃やされないか監視が離せなかった。
ロドスと契約を結び、今では提携企業の一つとして収入を得ている『ファイヤーホイッスル警備』はすっかり経営も黒字に戻ったようだ。ちゃんとした仕事が定期的に舞い込み、法外な値段で鉱石病の検査をする必要も無くなったと涙ながらに喜んでいた姿も今では懐かしい。
で、余裕ができた頃を見計らって、時折ファイヤーホイッスルに秘書業務をお願いするようになった。彼女自身も経営者なので鋭い意見は多く、実務的にも助かっている。たまに勢い余って書類の山を燃やそうとしなければ、の条件付きだが。
「思ったより暇でさー。ドクターが気を遣ってくれるのは分かるけど、もう少しくらい仕事を振ってくれても平気だって」
「ありがとう。けれど今日は大丈夫かな」
「そっか、なら今日も雑談かな?」
寝転がったままファイヤーホイッスルが微笑みかけてくる。ドキリと跳ねた心臓を気合で抑えて「ああ、付き合ってくれると嬉しいよ」と答えた。実際、余った時間は好き勝手に雑談をしていることが多かった。話題はロドスのこと、彼女のこと、私のこと、仕事のこと、感染者のこと、仲間のこと、地域のこと、他にも他にも……話題が弾まなかったことは一度も無い。
特に彼女自身の話題は興味深かった。元はお嬢様と呼ばれる立場の人間ながら、敷かれたレールを脱線したファイヤーホイッスルの話は波乱に満ちていた。腕っぷしの必要な仕事を選んだ理由や、辞表を叩きつけた際の怒りと葛藤、私設会社を立ち上げた後の話まで、普通は経験しないことばかりだ。
「ドクターとの雑談は楽しいからねー。あたしも気楽に話せちゃうからつい時間を忘れちゃうよ」
初対面からそれなりの時が経過し、作戦行動を共にし、たまに秘書を担当してもらうことで、ファイヤーホイッスルとの心的距離もだいぶ縮まったと思う。なので今では物理的な距離感が近いことも結構多くて……不意に綺麗な顔立ちにドキリとさせられるし、それ以上に性格や思想が好きになったと自覚するのは早かった。
ある意味、私はファイヤーホイッスルに惚れたのだろうか。恋愛的な好きとは違う、人間的な意味での好意や惚れ込みだと思う。しかしそれが気付けば性愛へとすり替わっていることも多くて、ちょっと気まずい。
「ね、ドクターさ。初めて
雑談の口火を切ったのはファイヤーホイッスルの方だった。忘れるわけもないので頷いてみせる。
「良かった。あの時さ、ちょっとエッチな話をしたのも覚えてる?」
「……ああ」
すっかり忘れた、と誤魔化そうと思ったのだが、何故だかファイヤーホイッスルの瞳には虚偽を許さない圧力が宿っていた。私が覚えていると確信した上での問いかけについ正直に答えてしまう。
仕事のために身体を売る必要は無いと言ったし、今でもその考えは変わっていない。彼女も分かってるだろうに、敢えて切り出してくるのはどういう風の吹き回しなのだろう?
「あの時、ドクターならアリかもって言ったけど、やっぱり訂正」
「……つまり、私はタイプじゃないってことか」
いざ口に乗せてみると想像よりショックを受けている自分に驚いた。個人的な好意は別にしても、肉体関係を結ぶなどあり得ないとつい先ほども考えたばかりなのに。
だがファイヤーホイッスルは慌てて両手を振って「違う違う!」と大袈裟に否定する。
「むしろ逆なんだ。あたしはこんなだけど社長やってて、やっぱり社員には弱みを見せられないからさ……気楽に話して『甘えられる時間』が待ち遠しくなってた」
「私の方こそ、いつも君には助けてもらっている。お互い様だよ」
「ふふっ、ありがと。それでね、不思議なことに『甘えてる』って意識した途端、急にドクター以外に抱かれる自分が想像できなくなった」
それは、告白というにはあまりに大胆で、場違いさすら感じるものだった。
気付けばファイヤーホイッスルは私の眼前に立っていた。腕を取られ、掌を胸の上へ誘導される。衣類越しに柔らかな膨らみの感触が伝わったが、それ以上に激しく鼓動を打つ心臓が印象的だ。
「ほら、分かる?
「いいや、君ほど立派な女性が弱みを見せてくれるなら、むしろ男としては嬉しい」
自分でも驚くほど即答だった。唐突な告白に驚きこそすれ、ファイヤーホイッスルのような女性に強く想われて嬉しくないはずがない。むしろ、そのような関係になれたらと願うことすら、最近は多かったというのに。
初任務を終えて一緒に飲んだあの夜から、どうしても彼女のことは気になっていた。立派で、素敵で、美しくて、お近づきになりたい下心もあったと思う。だから秘書に任命した側面もあるのに、当の本人は慕ってくれて──
「だから、さ? お願いドクター、一晩だけでいいんだ。あたしのことを抱いてほしい。責任を取れなんて面倒なことは言わないから──」
「ファイヤーホイッスル」
それ以上を彼女の口から言わせるのは失礼だと思った。恐る恐る、けれど確実に彼女の身体を抱き留める。細身の身体と柔らかな女体、髪の毛からは良い香りが漂ってクラクラする。男性からの抱擁を受けても抵抗されず、むしろ細腕がこちらの腰へ回された。
「一晩だけ、君を貰っても良いだろうか? こんな私で良ければ、君を愛させてもらいたい」
「そんなドクターだから良いんだよ……ありがと、よろしくね」
◇
その日の夜、私はファイヤーホイッスルの自室へ向かっていた。
執務室で行為に及ばない理性はギリギリ残っていたが、それ以降は頭の中が彼女を抱けることでいっぱいだった。仕事も手に付かず、明日に回せるものは全部回そうと妥協して、夕食もそこそこにノックする。
「どうぞー」
約束の時間には少し早かったが、ファイヤーホイッスルのいつも通りの声が返ってきた。安心しながら室内へ踏み込み、扉が閉まった直後──グイっと頭を抱き寄せられ、唇に柔らかな感触が押し付けられていた。
「なっ、ちょっ──!」
「んちゅ、んむっ……あむっ」
ファイヤーホイッスルとキスをしている。数拍遅れてやっと認識が追い付いても、まだキスは続けられたまま。唇の隙間からねっとりした舌が入り込み、私の舌を襲うように絡みついてくる。急に始まった性行為はちっとも嫌な感じがせず、むしろ彼女の唾液が甘く感じてしまうほど。
数十秒か、数分か、時間の感覚が分からない。とにかく息が続かなくなるほど口を合わせ続けて、水音だけが頭に木霊するようになったころ、酸欠寸前になってようやく解放されたのだった。
「ぷはっ──不意打ち成功ー。どう、結構さまになってたでしょー?」
「あ、ああ……驚かされたよ」
「こういう、部屋に入ってすぐキスするのって少し憧れてたんだよねー」
トロリと垂れる唾液の橋を見せつけながら、彼女は何でもないように笑ってみせた。いつも通りの気さくな笑顔……でもなく、明らかに顔は赤いし恥ずかしそうだ。初手から激しく求めてしまった羞恥か、それとも今から交わることへの気恥ずかしさか。いつもと違うしおらしい様子にこちらも興奮が高まってきた。
キスの余韻が抜けないまま立ち尽くすことしばし、「まずはこっちに来なよ」と誘われてベッドに腰かけた。微かに良い香りが漂うのはシーツに付いたファイヤーホイッスルのものか。隣には本人がちょこんと腰かけて所在なさげに俯いている。
「ふー……さっきはあんなキスをしたけどさ、いざベッドで並んで座るとやっぱ恥ずかしいね」
「そう、だな。私もこれで結構緊張しているよ」
チラリと隣を窺うと、ファイヤーホイッスルの耳はもう真っ赤になっていた。俯いているせいで表情までは見えないが、きっと同じことだろう。そして私も、人のことは言えそうにない。
少々遠慮がちに白い肩を抱き寄せた。ビクリと彼女の身体が震えたものの、嫌がる素振りはない。むしろ期待を隠し切れない様子で私の方へしなだれかかってきた。
「ねぇ……ドクターにリードしてもらってもいい?」
「大丈夫、だ。うん、たぶん」
「そこは自信もってよー」
しおらしい態度だったファイヤーホイッスルに元気が戻ってきた。私も女性経験が多い訳じゃないが、初体験の女性を導くくらいは出来るはず。緊張しているのは単純に、こちらも気のある人を上手にリードする必要があるからだ。
とはいえ、いつまでもおっかなびっくりでは不安にさせてしまう。なので覚悟を決めて唾を呑み込むと、シーツの海へ彼女を押し倒す。亜麻色の髪が白の上に散らばった。押し倒されてキョトンとしている瞳を視線が合う。
「あ──」
「今から君を抱く。だけど頼まれたからとか、義務感とかじゃなくて……私が君を好いているから、抱くんだ」
「うん、お願いします。今夜だけで良いから、たくさんドクターに溺れさせてほしいなーって」
白い肌、熱に潤む瞳、長い手足にむき出しのお腹。蕩けるような呼吸音。
俎上の鱗獣も同然なファイヤーホイッスルの姿を前に、ついに私も吹っ切れてしまった。傷つけないよう慎重に、しかし確かな意思と共にチューブトップへ手を掛けた。抵抗は無い。そのまま上へとズラして中身を露わにしてしまう。
プルンと、白く張りのある胸がまろび出た。
「……すっごく綺麗だ」
露出の高いチューブトップの下には、いつか勢いで見せつけられた赤色のヌーブラがあった。双丘の前面に張り付く形になっており、手を掛ければ呆気なく剥がせてしまう。あの時は可能な限り見ないようにしていたが、今は一切遠慮する必要がない。細部の装飾から白い谷間まで、マジマジと見学させてもらう。
「あはは……あの時と同じやつだけど、嬉しい?」
「すごく嬉しい。前は言いそびれてしまったけど、炎みたいに情熱的な色でよく似合っているとも」
「良かったー、あたしも火を連想させて好きなんだよねー。ドクターも好きって言ってくれて安心したかも」
背を押すように「ほら、脱がしていいよ」とせかされて、前面を守るだけの儚い防壁を剥ぎ取ってしまう。張りがあってちょうど良い大きさの白乳が零れ落ちた。先端は淡いピンク色になっていて、小さな乳頭が自己主張を既に始めていた。
ファイヤーホイッスルの身体はとても綺麗だ。火遊びが好きで、砲撃主体の戦い方をする女性ながら、火傷痕や傷跡は一切見受けられない。まして普段から隠されている豊かな胸ともなれば、まるでデザートのプリンじみて美味しそうで。
「あっ、ちょっとドクター……!?」
気付けば赤色の蕾へと唇を寄せ、ちゅうちゅうと吸っていた。
先ほどのキスも甘かったが、胸も同じくらい甘く感じられた。女性の良い香りが胸元から漂って脳髄を揺さぶってくる。片方の胸を吸いつつもう片方は掌でしっかり包ませてもらう。モチモチした感触で指に吸い付いてきて、揉んでるだけで気持ちいい。
「やっ、ドクター……♡ それ、くすぐったくて……変な感じ、かも」
「嫌だったりする?」
「えーっと、嫌ではないかなーって。むしろもっと触ってほしい、なんてねー♡」
何ともまた、男を狂わせるいじらしいおねだりだった。いつもは明るく頼りになる女性が初めて胸を触られ、快感を覚え始めているこの状況。どこか控えめに愛撫を求める姿に興奮しない方が無理だろう。
五指に力を籠め、もっと深くまで豊かな胸をまさぐっていく。この下にある心臓の鼓動がどこか遠くに感じられた。むにむに、ぐにぐにと揉むと少しばかり拍動が早くなったように思える。口に含んだ乳首の方は吸うだけに留まらず舌先で転がし、さっきのキスを彷彿させる動きでコロコロと愛撫した。
「あっ、んっ♡ ドクターに胸触られて、気持ちよくなっちゃってる……♡」
「指と舌のどっちが好き?」
「そ、そんなの分かんないって……ドクターがしてくれるなら、どっちも気持ちよくなれると思う、からぁ♡」
反骨心のある毅然とした顔は既にふにゃふにゃで、伸びた両手は力なくシーツを掴んでいる。可愛らしいおねだりにいっそう欲望は高まり、両手を上半身の色んなところへ這わせていく。頬、首、うなじ、肩、二の腕、お腹、へそ、腰回り、どこに触れてもスベスベで柔らかい。いつも心配になるほど露出の多いファイヤーホイッスルの柔肌を、今だけは好きなだけ触って良いから歯止めが効かなくなっていた。
「すご、あのドクターが夢中でおっぱい弄ってる、なんて……♡ あたしの身体、そんなに興奮するの?」
「ああ、もちろんだとも。綺麗で柔らかくて、いつまでも触ってられそうだ」
「そ、そっかー……えへへ、身体を褒められて嬉しいと思うなんて始めてだよ──んっ♡」
ふにゃりと微笑んだ表情があまりにも魅力的で、一息に唇を奪ってしまった。今度は私の方から舌を差し出し、彼女の口内を蹂躙する。舌先で歯をなぞり、舌を絡めて、呼吸を忘れるように貪って。まるで捕食しているみたいで、実際これから美味しく頂くのだから間違いじゃないのだろう。
「下も脱がしていいかい?」
「ん……どうぞご自由に。今日は目一杯ドクターにリードしてもらうから、指揮官の指示に従いまーす」
キスを終えてから確認してみれば、取り繕った明るさが丸分かりの返答をされた。やっぱり緊張してるのだろう、早まらないよう注意しながら視線を下ろして、ピッチリした黒のパンツに手を掛ける。カチャカチャとベルトを外し、腰を持ち上げてもらった状態で一息に脱がしてしまった。
「さ、さすがに上も下も脱がされちゃうのは恥ずかしいね……」
照れ笑いするファイヤーホイッスルの言葉が耳を素通りしていく。脱がされた先に出てきたのは、上と同じく赤色をした布面積の小さなショーツだ。胸を触られて既に感じていたのか、底の部分は湿って黒く変色している。隠し切れない雌の香りと共にムワリとした熱気まで顔に届いた。
いつも目のやりどころに困る格好をしているが、やはり下着姿で落ち着かない態度を見せているとグッとくるものがある。このまま恥じらう姿を鑑賞するのも良いが、さらに一歩先へ進みたい欲が上回った。なのでショーツの横紐部分──エッチなことに紐ショーツというやつだ──を解こうとしたところで、「ちょっと待って!」と声が掛かった。
「えっと、あたしだけ全裸になるのは不公平というか……できればドクターも一緒に脱いでほしいなー、なんて……ダメ?」
もちろんダメじゃない。首を横に振りながらガバリを上着を脱いでしまう。そのままズボンも降ろして下着だけになると、ベッドで横たわるファイヤーホイッスルへと向き直った。既に痛いほど屹立した、下着越しでも目立つ股間に彼女の視線が注がれていて恥ずかしい。
「わっ、もう大きくなってる……あたしで興奮してくれたってことだよね?」
「ああ、そうだよ」
「へー、そうなんだ、へー……気になる人からエッチな目で見られるのは、結構悪くないもんだね」
四つん這いでにじり寄ってきたファイヤーホイッスルが興味津々に顔を近づけてくる。男性器から漂う雄の匂いが気になってしまうのか、しきりにスンスンと鼻を慣らす。下着越しに微かな吐息が感じられてくすぐったい。
このまま一息に露出して見せつけるべきか、迷っている間に彼女の細い指が上からそっと撫でてきた。予想より大胆な行動に対処できず、微弱な刺激ながら身体がビクリと跳ねてしまう。
「わっ、大丈夫!? ごめん、痛かった?」
「いや、痛かったわけじゃない、平気だよ」
「そうなの? 良かったー……男の人のをこんな近くで見るのは初めてだから、つい」
どうやら男の性器に抵抗がある訳じゃないらしい。むしろ好奇心でいっぱいな様子なので、ここは思い切って下着も脱いでしまう。ブルンと勢いよく跳ねた肉槍が、ちょうどファイヤーホイッスルの眼前に見せつけられた。とっくに勃起しきった肉棒は太く長く、血管がビキビキと浮かび上がった凶悪な見た目。
そんなものを不意に見せびらかされたファイヤーホイッスルは、怒るどころかいっそう顔を近づけてきた。先端に呼吸がダイレクトで当たるほどの距離、きっと匂いも届いているだろうに嫌そうな素振りの一つもない。
「すっごー……これが男の人の、おちんちんなんだ……こんな逞しいのが、あたしの中に……♡」
「怖くなったか?」
「怖いは怖いよ、最初からね。でもそれ以上に、ドクターに抱いてもらうのが楽しみで仕方ないんだ」
今更心配は不要だったか。ホッとしたのも束の間、上目遣いでファイヤーホイッスルがこちらを見た。
「ね、触ってみてもいい?」
「い、良いけど……平気かい?」
「大丈夫大丈夫、砲塔の扱いは慣れてるから! ドクターのでっかい
上手く使われる=射精になるのではなかろうか。
ツッコミたくなったのを喉元で押しとどめ、彼女の好きなように任せてみる。せっかくエッチな行為を楽しもうとしているのに水を差すのはもったいない。
ちょん、ちょんとおっかなびっくり指先で突かれる、くすぐったい。つー、と太さや長さを確かめるみたく指先でなぞられる、少し気持ちいい。カリ首周辺をクニクニと擽られる、なんだか痛気持ちいい感じだ。彼女に触ってもらう補正を加味しても、今のところ射精できる気配は皆無だった。
「んー、思ったより難しいかも? あたしの武器みたいにはいかないものだねー」
「仕方ないさ、初めて触る武器を使いこなせないのは誰だってそうだろう?」
「それも確かに。あたしはエッチ初心者だし、大人しくドクターにリードしてもらう方が良いもんね。初心を忘れるところだったよ」
ならば、と改めてファイヤーホイッスルを押し倒す。今度は横向きに寝転がらせてから、上下を逆にして私も一緒に寝転がる。ちょうど互いの股間部分が正面に来るような体勢だ。愚息を生暖かい呼気が撫でているのが強く感じられると同時、よく濡れそぼったショーツが目の前に来ている。
変則的なシックスナインの体勢に「えっ、ちょっ、これは……!」と恥ずかしそうに身じろぎするのを無視して、いよいよ秘められた唇を暴きに行く。代わりにグリグリと腰を顔へと押し付け、「君も好きに弄って良いから」と念押しする。
「そ、そう来たかー……だったらあたしも頑張るから。ドクターの手玉に取られるだけじゃ終わらないからねー」
「期待してるよ」
「あっ……♡」
スベスベしたしなやかな足を持ち上げ、湿り気を帯びたショーツを一息に剥ぎ取った。恥じらいを含んだ吐息がいやらしく宙へ溶けた。クロッチ部分にべっとり愛液が付着した布切れをベッドの隅へ放り、ファイヤーホイッスルの一番大事な女の子の部分を見させてもらう。
「み、見られちゃってる……♡ ドクターに、ぜんぶ……♡」
ついに明かされた雌の部位は想像をはるかに超えてとても美しかった。恥丘に生え揃った茂みは髪と同じ色をして、当然のように美しく整えられている。逆三角形を描くフワフワの毛は中央部分が少し長くなっていて、下品ではないが大人っぽい淫靡さを醸し出していた。
その下はぷっくり膨らんだ陰唇が待っていて、ここから先は陰毛どころか産毛一本も見当たらない。子供のようにツルリとして、なのに性器の成熟具合は確かに大人の女性だった。愛液で濡れた陰裂からは甘酸っぱい雌の匂いが漂い、こちらの正気を失わせようと誘ってくる。僅かに綻んだ二枚扉の奥にはピンク色の粘膜がぬらりと光り、小さな突起と二つの穴がヒクヒクと雄を誘うように主張していた。
「すごく綺麗だ」
「か、感想はほら、恥ずかしいから……♡ うぅ、息が掛かって……♡ ひゃうっ♡」
ふーっと息を吹きかけるだけでファイヤーホイッスルが嬌声を出した。もちろんそれだけで終わらず、伸ばした舌先で下の唇へむしゃぶりつくようなキスをする。ついさっき口付けしたのと同じ舌遣いで、今度は割れ目の周辺や中身、敏感な
「ひゃっ♡ ふあっ♡ な、舐めるなんて、待って待って待って身体がゾクゾクしちゃってるから──♡」
甘酸っぱい香りが口中に広がってむせかえりそうなのに、舐めるのを止められない。むしろ余裕のない声が聞こえる度に「もっと悦がらせて狂わせたい」と願ってしまう。飄々として反骨心旺盛で、頼れる女社長な彼女がベッドの上で雌にされている状況に興奮を煽られるのだ。
肉厚でプリプリの陰唇を食み、内側の細かなところまで丹念に舌を這いまわす。ルビー色も鮮やかな粘膜は既に愛液に溢れてトロトロで、柔らかな舌先で押し込むだけでぐちゅり♡ と淫靡な音を立ててくれる。甘酸っぱく感じる本気汁を啜りながら、膣穴や尿道周りまで満遍なく舐めさせてもらう。
「あっ♡ ひゃっ♡ これ゛っ、だめっ♡ こんなのすぐ、イっ、くぅ……っ♡♡」
ファイヤーホイッスルの身体がビクリを震えて脚が爪先までピンと伸びた。初めての快感に翻弄されるがまま、気丈な彼女はどこまでも呆気なく絶頂へと導かれ、割れ目からゴポリと白濁した汁を零して悦びに打ち震えているのだった。
「はぁ、はぁ……♡ うそ……こんな、ちょっと舐められただけで、イかされるなんて……♡ あはは、あたしもビックリだよー」
「まだ続ける?」
「もちろん、あたしはまだ勝負すら出来てないんだからね。負けっぱなしで終われるかー!」
絶頂の波も収まり、何とか元気を絞り出した様子。お返しとばかりにツンツンと肉棒を指でつつかれ快感の電流が走った。加えて竿の根本の方を優しく握りこまれ、恐る恐るといった調子で手コキが始まってしまう。
たどたどしい手付きによる緩い快感。だがファイヤーホイッスルにしてもらっていると思えばすぐにでも射精させられそうだ。それは男としてのプライドが受け入れ難いというか、まだ解放は我慢しておきたい。なのでこちらも改めてファイヤーホイッスルの陰部へ顔を埋めると、再び舌先を躍らせ始めたのだった。
「んっ、あっ♡ あっ♡ やっ♡ ダメッ♡ 少しは手加減、してよ……!」
「そうは言われてもな」
柔らかな舌が割れ目をなぞり擽る度、彼女の肢体は面白いように跳ねまわった。ビクビク動く腰を両手で抱えて逃げられないようにし、敏感な突起や膣口周りを丹念に舐めて快楽漬けにする。初体験にすっかり腰砕けとなった雌リーベリは男根を弄ることもままならず、むしろ握り締めてクンニ刺激に耐えているようだ。
グズグズに蕩けた膣口はもう舌だけでぬぱぁ……♡ と広げられるほど柔らかい。なので指先をゆっくりあてがい、傷つけないよう内部へと潜り込ませていく。熱々の膣内は襞がみっちり詰まっており、指全体を舐めしゃぶってるような心地よさがある。
「分かるかい? 君の中に指が一本入ってしまっている」
「わっ、分かるけどぉ……♡ 変な感じで、困るっていうか……♡」
「痛いならすぐ止めるが」
「そうじゃなくてさー……ドクターのがあたしの
いつもハキハキしたファイヤーホイッスルが躊躇いがちに、エッチな吐息を漏らしながら告白するその姿に、興奮するなという方が無理だろう。ただ呼吸をするだけで愛液の淫靡な匂いが鼻を抜けて脳に届く。理性はとっくに尽きて獣のようになりかけて、『もう前戯は十分だろう』と囁く声が聞こえた気がした。
衝動的な性欲に任せて起き上がると、ファイヤーホイッスルの片足を抱え込んで剛直を割れ目に押し当てていた。スリスリと擦りつけるだけで愛液が竿に絡みついて滑りが良くなる。突然の恥ずかしい開脚に彼女はジタバタするものの、何度もイかされたせいかまるで力が入ってない。
「すまない、私の方がもう限界のようだ」
「あはは、目を見れば分かるよ……いやぁ、すっごい大きさだね。一回くらい射精してもらってからの方が安心できたかも」
「君を相手にするなら一度出す程度じゃ満足できないさ」
「ふーん、そうなんだー……魅力感じてくれてるようで、嬉しいよ」
それから彼女は恥ずかしそうにはにかみ手を伸ばした。砲撃を担う手とは思えない繊細でしなやかな指が私の手と絡み、安堵を求めて強く握り合う。
「ふー……少し怖いけど、ドクターに任せるよ。だけどお願い、すこーし我が儘聞いてくれると嬉しいなーって」
「何でも聞こう」
「ありがと」
緩く握られた手に力が入った。元から赤かった顔がさらに赤くなって、目線が泳いで、やっと真正面から私を見る。
「あたしのこと、アグニって名前で呼んでよ。ファイヤーホイッスルじゃ会社名でムードがないでしょ? セックスしてるときに笑っちゃうかも」
「ははは、確かにそうかもな」
想像してたより随分と可愛らしいおねだりに微笑み返して、いよいよ硬く膨らんだ切っ先を入口へと押し当てた。熱気がすごい、これだけで亀頭がふやけてしまいそうだ。もう少しだけ押し込めば内部へ侵入できるタイミングで、そっと囁く。
「たくさん気持ちよくなろう、アグニ」
「……うん、お願い、ね……♡」
頷いたのを皮切りに腰を奥まで押し込んでいく。初めて男を受け入れる膣を亀頭で無理やり押し開き、ぐーっと内部へ歩を進めた。幸いファイヤーホイッスル──アグニに痛みは無いらしく、上気した顔はどこか陶然とした面持ちで男根を感じているようだ。
狭くみっちりした膣内を開拓し、よく濡れて吸い付く襞たちを掻き分けながら、亀頭がコツンと最奥にぶつかった。きゅぅ♡ と輪っかが吸い付くそこは女性にとって一番大事な子袋の入口に他ならず、私が無遠慮に触れることを許したのだった。
さすがに緊張しているのか、痛いほどの締め付けが一物を襲う。アグニが慣れるのを待つためにもいったん動きを止め、じっくりと互いの秘部を馴染ませる。
「んっ……♡ へー、思ったより全然、痛くないね……♡」
「激しい運動をする人はその、膜が破れてることもあると聞くが」
「なるほど、そうなんだ。確かにあたしって運動もたくさんしてるからねー、痛くないのは良かったよ」
だけど、とやや気まずそうな上目遣いでアグニが見つめてきた。
「もし本当に処女なのかドクターに疑われちゃったら、証明に困っちゃうかもね」
「……まったく、今更そんなことを気にするはずがないだろう」
これほど素晴らしい女性を抱くのに、初めてか否かを気にするだけ野暮というもの。むしろ痛みもなく楽しめそうなのにホッとしたと素直に伝えたところ、「あはは……」と恥ずかしそうに笑ってくれた。少し緊張が解れたのだろうか、強烈な締め付けだった膣も柔らかくなってきた。
まずは僅かに腰を揺らしてじっくりゆっくり、結合による快感を女体へと教え込んでいく。細かく粒々した襞が絡みついて心地よい。膣内を擦るとアグニも気持ち良いのか、
「やっぱりドクターに頼んで正解だったよー。あたしみたいな女でも優しくリードしてくれて、たくさん褒めてくれるんだから」
「大したことはしてないさ。全部君の魅力あってこそだ」
「照れるっても~……だからさ、ドクター。今夜はたくさん甘えさせて、女の子の幸せってのを教えてくれたら嬉しいなって」
尊敬に値する女社長からの可愛らしいおねだりに頷いて、熱々の胎内をほじくるペースを早めていく。彼女が扱う砲撃のように熱い膣内は火傷しそうなほどで、抜き差しで発生するクールダウンが身体に心地よい。トントンと奥を優しく叩く度に嬌声をあげ、抱え込んだ足は先端までピンと伸びた状態で快感を表していた。
じゅぷっ♡ じゅぽっ♡ と粘着質な水音が響く。剛直が出入りする度に引き締まった女体が揺れ、豊かな胸も一緒にぷるんと揺れてしまう。片手を伸ばして掴んでみると「あっ……♡」と期待する声が。コリコリの乳首を掌で転がせば「あうっ♡」と気持ちよさそうに喘いでくれた。
「ドクター、それっ……♡ どっちもされるの、気持ちいい、からぁ……♡」
「正直に話してくれて嬉しいよ」
ご褒美とばかりに手と腰でアグニの気持ち良いところを弄り倒す。硬く尖った胸の先端を押し潰して甘く苛めてあげながら、肉槍は子宮の入口へグリグリ押し付けてコトコト性感を煮詰めていく。甘ったるい愛液の香りが室内に充溢する度にこちらの興奮も高まって、肉欲を彼女へぶつけてしまう。
私の方もアグニを一方的に責め立てているようであまり余裕は無かった。彼女の弱いところ──たとえば陰核裏のザラザラした部分をカリ首で擦ると面白いくらい感じてくれるが、おかげでキュッと膣が締まって射精しそうになる。これまで軽く触れられる程度で寸止めされていたから閾値も相応に下がっていて、暴発しそうな勢いだ。
「ドクターの熱い砲身……♡ あたしの中で発射しちゃうんだよね……あは、火遊びよりも火遊びしちゃってるねー」
「ちゃんと避妊はするから、心配せずとも──」
グッと上半身を引き寄せられて、言いかけた口を唇で呆気なく塞がれた。舌を絡めて唾液を交換する熱いキス。一体化したと錯覚しそうな心地よさはあっという間に終わり、悪戯が成功した子供みたいな表情のアグニと視線が合う。
「今日は平気な日だから、好きに出しちゃってもいいよ」
「それ、は……」
「遠慮しないでよ、せっかくの初体験は最後までしてみたいじゃんか? もし万が一があっても責任取れなんて面倒なこと言うつもりはないよ」
だから、ね? と彼女は笑った。
羞恥で赤く染まった頬は純真な少女にも見えて美しい。
「今夜はあたしと一緒に火遊びに付き合ってよ。書類を燃やすよりもっと楽しくて刺激的なことをさ」
「そこまで言うなら、もう遠慮しないからな……!」
「あっ……♡」
細い腰をガッツリ掴んで息を整えると、一息に腰を叩きつけた。肉棒を思い切り押し込み、引き出し、押し込み、また引きずり出して膣内全部を肉竿で擦り上げる。しっとり濡れた膣襞が絡みつく傍から引き剥がされ、吸い付くような快感が幾度も脳裏を駆けぬけた。バチバチとスパークが走るような心地よさ、熱い膣内とよく締まる蜜壺の相乗作用がたまらない。
一方でアグニの方も、ピストンし奥を突かれる度に何度も善がり声をあげていた。処女喪失の痛みが皆無だったのを差し引いても初めてとは思えない乱れっぷり。潤んだ秘部は愛液を溢れださせる源泉と化し、潮吹きじみた体液をぱたたっ♡ と漏らしてはシーツの染みを広げていた。
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ばちゅん♡
「やっ♡ あっ♡ はげ、しっ♡ あんっ♡ あっ♡ お腹、あつく、てっ……♡」
「ぐっ、づぅ……!」
頭の中にアグニの嬌声が木霊する。普段からは考えられない
艶めかしく動き回る四肢を繋ぎ止め、女体の中心を縫い付けるように腰を打ち付ける。ごちゅん! どちゅん! と勢いよく水音が鳴る度、愛液に塗れた膣が強く吸い付いて男根をもてなしてくれる。それで肉竿の熱と形を感じてビクビク震えているのだから、身体はすっかり性行為の味を覚えたようだ。
「このまま……っ! 君の中に、
「いい、よっ♡ ドクターの熱い砲撃で、あっ♡ あたしの身体も燃やしちゃってよ……っ♡」
無我夢中で腰を振る。パンパンと打擲音を響かせながら、さらに互いの陰部が密着しては陰毛まで密接に絡み合った。ドロドロの茂みの擦れる微弱な快感すら今は気持ち良くて、彼女に至っては陰核を擦られてさらに強く善がっていた。
強くて立派で素敵な女性が、初めての男に自身を選んで身体を委ねてくれる優越感。満たされた雄の支配欲が麻薬のように脳裏を支配し身体中を駆け巡る。アグニの中に全部吐き出してしまいたい、一夜限りの関係なんて忘れ去って私の雌だとマーキングしてしまいたい──その一心でピストンを繰り返した一物は、白濁した本気汁でべっとりと汚れていて。
これだけ本気で感じてくれていたのだと改めて自覚した途端、呆気なくその時はやってきた。
「全部、受け止めてくれ……っ!」
「やっ、奥っ♡ 深っ♡ あっ♡ ビクビクしてて、んぐっ♡ 一緒に、イっちゃ、う……っ♡♡」
びゅくーーっっ♡ びゅるるるっ♡ びゅくっ♡ びゅるっ……♡
しっかり解れた子宮口に吸い付いた亀頭が子袋目掛けて思い切り精液を放出した。迸る白濁がビチャビチャと一番大事な器官を汚し、タプタプになるまで精を注ぎ込んでいく。尿道を通った欲望が吐き出される度に頭の中に快感と満足感が幾度も飛来してどうにかなってしまいそうだ。
「ふーっ♡ ふーっ……♡ ふふっ、ドクターのあっつい一撃、お腹の奥で受けちゃったよ。重くて熱くて、子宮がずっしりしちゃってさー……でも悪くない気分だね」
「はっ、はは……喜んでくれてるなら、嬉しいが」
苦笑しながら一物を膣から引き抜いた。にゅるりと抜け落ちた肉棒は半勃ちくらいに萎れており、愛液と精液でもう酷い有り様だ。逆に穴を塞いでいた栓を失った割れ目はコポリと男女のミックスジュースを零して内部の赤色を惜しげもなく晒していた。ヒクヒクと動いているのがあまりにエロイ。
「もちろん喜んでるよー。ドクターに抱かれるがまま、気持ちいいので頭をパーにしちゃうのも悪くないもんだねって」
「まあ、
「へー、よく言いますよ。あんなに気持ちよさそうにたくさん射精してたくせに♡」
そう言ってアグニは笑ったが、その微笑みは常と比べてどこまでも妖艶で──まさしく女の顔になっていた。自分の下腹部を愛おしそうに撫でる姿はさっきまでセックスを知らなかったとは思えない淫靡さを醸し出している。
そのまま起き上がるとこちらが止める間もなく肉竿の前に顔を寄せて、チロリと舌を這わせてきた。一回、二回、味を確認するみたいに舌先を何度か這わせてくる。
「うぉっ……今は敏感だから、それは……」
「へぇ、おちんちんってこんな味なんだねー。いや、この場合はあたしの体液も含まれてるから違うのかな? だけどこれは……何だかクラクラする匂い……」
カプリと亀頭を咥えられて、飴でも舐めてるみたいに舌がペロペロと先端を舐めしゃぶる。これはいわゆるお掃除フェラなのだろうか。本人は意図してやってないだろうが、交わったばかりの汚れた一物を嬉しそうに舐める姿はどうしても征服欲を刺激し、満足感を高めてくれる。
ペロペロ、はむり。おっかなびっくり這わせていた舌は段々と大胆になって、れろ~……っと裏筋を大きく舐めてきたりする。その度に私の身体は正直にビクリと跳ねて、再びムクムクと一物は復活を遂げていくのだった。
「わっ、もう大きくなっちゃった……こんなにすぐ次弾装填できるなんて、ホントに一発じゃ満足しないんだね」
「君が乗り切でなければもう止めるが」
「水臭いなー、まったく。ここまで来たら一回でも二回も十回でも同じでしょ? とことんまで楽しもうよ、ね?」
なるほど、そこまで誘われてしまえば引っ込む方が男が廃るというものか。アグニも本当に期待しているようだし、もっともっと求めてしまっても大丈夫だろう。この一晩を忘れられない思い出として互いの記憶に刻み込むには、この程度ではちっとも足りない。
「アグニ」
「はっ、はい♡」
「もう手加減はしてあげられないからな」
真っ赤に染まった顔をコクンと頷かせたのを見届けてから、再び彼女を押し倒したのだった。
◇
「あ゛~……すご、喉がガラガラだよー……一晩中犯されて喘がされたらこんなになるんだ」
「……すまない、やり過ぎたか」
結局、私とファイヤーホイッスルは一晩中本気で交わり続けた。
最初の正常位はお遊びだったと錯覚するほどの激しさで何度も腰を打ち付けて、その度に善がり声を出し続けたのだから喉が枯れるのも無理はない。私もだいぶ体力を消耗してベッドでぐったりしている。
だが、それだけ濃密な交尾をひたすらしたのは間違いない。むっちりした尻肉を掴みながら
最後の方は腕を引っ張りながらの立ち
最後は抱き着き合ったまま濡れまくったシーツに横たわって、そのまま軽く寝てしまったようだ。朝日がすっかり目に眩しい中、すぐ傍にファイヤーホイッスルの顔がある。疲れを見せつつも愉快そうな顔が間近にあるのはドキリとさせられてしょうがない。
「ううん、
「満足してもらえたなら嬉しいよ」
「満足も満足、大満足ですよー」
恋人でも無いし、かといって傷の舐め合いで身体を重ねた訳でもない。言ってしまえば息抜き、好奇心でセックスしたようなものである。だから変に深く考えすぎるよりも、彼女のように楽しかったで終わらせる方が賢いのかもしれなかった。
……とはいえ、ファイヤーホイッスルのような女性と一度限りの逢瀬で終わるのはもったいないと感じる心も確かにあって。互いに背負うものがあるからこそ、時には思い切り発散して楽になれる時間があってもいいんじゃないかと思ってしまう。
ならばと、意を決して口を開こうとしたのだが、
「もし、君さえ良ければ──」
「ね、ドクターが良ければだけど──」
まるで図ったかのように揃って喋り出してしまった。そしてすぐに二人揃って黙ってしまい、気まずいままに目線が合う。だがそれも僅か数秒のことで、直後に押し殺した小さな笑いへと変わっていた。
「あはは、考えてることは同じみたいだね」
「どうやらその通りみたいだ。だけど、嬉しいよ」
「あたしの方こそ。だから『ファイヤーホイッスル』はこれからも誠心誠意、ロドスとドクターの為に尽くさせていただきまーす!」
今のペース・文字数で書き続ける方がいい?
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今のままでいい
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1話の中にもっと濡れ場があってもいい
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1万文字以下でたくさん投稿してほしい