純性癖ナイツ 作:ひかりねこ
人の数だけ、無数に
誰かに打ち勝つことでも良い。何かを成し遂げたことでも良い。健康的に長生きするのだってそうだし、苦しいことから逃げずに立ち向かうでも、逆に逃げ出して安穏と過ごすのも当人にとっては立派な人生だ。誰にも否定はできないし、する権利も無い。
では
「ドクター……煙草は身体に悪いって、前に怒られてなかった?」
「ああ、そんなこともあったな」
柔らかな声に咎められ、苦笑しながら無為な思考を打ち切った。
ベッド端に腰かけ、サイドテーブルから取り出した煙草を一本咥える。室内で喫煙はあまり良い趣味ではないが、本当に稀にしか吸わないので許してほしい。医療部の面々にもそれで何とかお目こぼしを貰っている。
ライターの火を起こそうとカチカチ鳴らすが、どうもオイルが切れてるようだ。もどかしさが募り「なら我慢するか」と天秤が傾きかけたところに、スッと火が差し出された。火というより炎と呼ぶべきそれは、ドラコの長大な尻尾の先端に灯ったものである。
「止めるつもりじゃなかったの?」
「そういう訳では、ない……この炎が少しでも穏便に使われるなら、私は嬉しい」
「感謝するよ」
それならばと、遠慮なくリードの炎を借りて煙草に火を点けたのだった。
煙を肺に満たし、味わいながらふわりと吐き出す。煙草特有の刺激臭が部屋に漂い始めた。私はこの匂いがあまり好きではないが、一方で身体に取り込むのは嫌いじゃない。吸うと頭が冴えてスッキリするのだ。
一服する私を興味深げに眺めるリードは一糸まとわぬ姿でベッドに寝転がっていた。金糸が白い肌の上を流れ、上下する薄い胸ともどもうっすら汗ばみ行為の残滓を感じさせる。割れ目からは注がれた男の欲望がトロリと垂れて蠱惑的な光景で。しかし当人は気にせずくつろいでいるようだ。
一服しながら炎の灯った太い尻尾を眺める。リズミカルに揺れる様子はどこか安っぽい催眠術を連想させた。
「今日はご機嫌そうだね」
「そう見える? ……私にもよく分からない。だけどキミと交わった後にいつも嗅ぐこの匂いは、お腹が熱くなって嫌じゃない」
なるほど、と短く相槌を打った。確かにリードを抱いた後は決まって一服しているから、彼女にとって性行為イコール煙草の匂いが印象づいてしまったのかもしれない。まるで条件付けのような行いに仄暗い悦びが湧き上がり、同じく全裸故に自己主張を始めた股間が嫌でも視界に入ってしまった。既に一度欲望を吐き出しているのに、元気なことだ。
「キミの方も、今日は叩きつける嵐のように荒々しかった。嫌なことがあったの?」
「ああ……業務が重なりすぎてまともに休憩も取れなかった。久しぶりに缶詰で働き通したよ」
「大変だったんだね、お疲れ様」
「ありがとう」
極々自然なコミュニケーション、誰が見ても普通に感じる取り留めのない会話だ。
しかしたったこれだけのやり取りができるほどリードが心を開いてくれるまで、かなりの時間が掛かってしまったのも事実だった。いや、実際のところ今でも互いの身体を利用し合う関係にあるのは否定できないだろう。
──私とリードは肉体関係を持っているが、恋人関係なわけでは全くない。
正直なところ、他者を警戒し欠片も心を開こうとしないリードへの接し方に過去の私は困っていた。辛うじて会話を交わせる程度の信頼は勝ち得たものの、それ以上の情報や交友は一切なし。大惨事となったヴィクトリアはヒロック郡で救出された感染者であることの他に、詳細なプロフィールは炎の中に消えている。
もどかしさと、そして上手く進展しない事への僅かな苛立ちは確実に私を蝕んでいた。リードは医者の定期健診も可能な限り拒否したが、唯一私に診られる事だけは許していた。男女がどうとかは関係なく、他者を信頼できない故の消去法だと後に聞いた。
……はっきり言って、色々と限界だった。業務に忙殺される中、さらにリードの健診をしてくれと医療部にお願いされて断れず、さりとて本人はあまり心を開いてくれない状況。しかもリードは控えめに言っても長身スレンダーな美人なので、どうしたって下劣な欲望を掻き立てられてしまうわけで。
結果的に、魔が差してしまったのは事実だ。まるで稚拙なアダルトビデオのように検査と偽って彼女の控えめな胸を揉んでしまい、そこでハッと正気に戻った。即座に頭を下げて謝罪したが、ここで一つ誤算──敢えて言わせてもらうなら"嬉しい"方だ──が起きた。
「白状すれば、私は今でも信じられない」
ふぅ、と紫煙を吐き出すと天井まで白く漂う。火災と勘違いされてスプリンクラーが作動しないだろうか。まあ行為に耽る度にリードの炎が燃え盛っても問題ないので平気だろう、たぶん。
「君はこういう、いわゆる低俗な行為に微塵も興味が無いと思っていたから」
「それは、初めてキミに抱かれた夜のこと?」
「そうだ。あの時初めて、君のことを同じ人間だと感じられた気がするよ」
リードは間違いを冒した私を拒まなかった。むしろ自分から『したいなら構わない』とまで言い出して……葛藤したが結局、眼前に釣り下げられた誘惑に抗えなかった。
それまでのリードはあまり喋らず感情も表に出さない、どこか超然とした雰囲気があった。オペレーター達からは近寄りがたい人と思われていたし、彼女自身その風聞を否定せず距離を置いていたほど。故にこそ、だろうか。抱いた時の温かな温もりと生々しい快感を前に、私も心のどこかで安堵してしまったのだ。
切っ掛けは言い訳の余地なく最低のものだし、今もズルズルと関係を続けているのも私の落ち度だ。人形のように精巧でスラリとした美女を自由に抱ける権利を捨てられるほど、私は人間が出来ていなかった。
今も続く己の醜態を思い出して息を吐く。すると「不思議だね」とリードが微かに微笑んだ。
「今夜はキミが考えていること、手に取るように分かるよ。申し訳なさを持つ必要は無いと、そう言ったはずだけど」
「だが私は君のことを利用している。ストレス発散の為に好き勝手抱くのは本来いけないことで──君の無知に付け込んだようなものだ」
「ううん……ドクター、利用しているのは何もキミだけじゃない」
リードは少し心外そうな様子だった。長い尻尾が私の頬に添えられ、強制的に彼女と視線が合う。翠色の宝石じみた綺麗な瞳だ。
「私もまた、キミのことを利用している。こうして抱かれている間は過去のことを考えずに済むから……快感に溺れてそれ以外を忘れられる。胸の奥に潜む恐怖も、本来対峙すべき相手への葛藤も、全部忘れて一人の女の子に戻れるんだ」
ゆっくりと紡がれた言葉は確かに本心なのだろう。リードの言葉には未来に対する隠しようのない恐怖や戸惑いが滲み出ていたし、こういう演技をできる女性ではない。
だけどまだ吐き出し足りない言葉があるようで、私は無言で続きを待った。おかしな話だ、性行為の罪悪感を持ちながら繊細で複雑な内心に寄り添いたいと願ってしまうとは、犯罪者が被害者にメンタルケアをするようなものなのに。
「それにね……キミと肌を合わせるのは、とても心地が良いんだ。温かな光が身体一杯に広がって、なんだか勇気を貰ってるみたいで。人と人が行う、新しい生命のための営みは……今まで暗く冷たい死を振り撒いてきた私にとって、すごく新鮮なこと」
だから決して、無理やりされているつもりも、嫌々付き合っている訳でも無いよとリードは言った。その言葉に安堵を覚えてしまうのが私の悪い所であり、拭いきれない罪悪感の出所でもあるのだが。
「君の境遇について、無責任に気にするなとは言えない。だけど過去を振り払い、失敗した数以上のより良い成果を未来に求める権利は、誰にだってある」
「うん……そう、かもしれない」
「本当は、今の関係だって好ましいものなはずが──……っ!?」
無い、と言いかけた口は快感のうめき声をあげていた。それも当然、リードが私の股間に指を伸ばしてなぞるようにゆったり触っていたからだ。白く細長い綺麗な指が、つぅ……と裏筋を撫でる。その僅かな動作だけで愚息は敏感に反応し、先ほどの射精を忘れてまたも天高くそそり勃とうと膨らんだ。
「私はまだ、自分が進むべき道と向き合えないの。本当はキミとの関係に溺れて、一時でも忘れるべきでないと分かっているのに……
「……人は一朝一夕で変われないものだ。立派な決意をした人間が翌日からすぐ素晴らしくなれるはずもない。決意一つじゃ、奇跡は何も起こらないんだ」
だから
しかしリードはその言葉にホッとしたような微笑みを見せると、ゴロリとシーツの海へ寝転がる。横向きに身体を寝かせ、しなやかな足を僅かに開いた。クパクパと息づく赤色の花弁が足の奥に見えてしまう。
「キミの抱いてる罪悪感を嬉しく思うよ、こんな私のことを大事にしてくれてるんだね。でも、
にちゃりという生々しい粘着音は、リード自身が指で花びらをくつろげたものだった。先ほど注いだ精液は既にシーツへ垂れ落ち、代わりに粘ついた本気汁が興奮をアピールするように湧き出ている。小さく綻んだ肉洞から垂れるそれは生命力に満ち溢れた泉のようだ。
そこまで誘われて、そこまで懇願されて、なお頑なに乗らない方が失礼だった。自分をそう納得させるとリードの片足を抱き抱え、とっくに勃起した剛直を入口へ押し当てる。たったそれだけの所作で膣口が期待に震え、内部へ亀頭を誘おうとちゅうちゅうと吸い付いた。
「
「うん、来て……っ、ん」
リードの熱い膣内へ肉棒が収められていく。燃え盛る炎のような体温は火傷しそうに感じるが、同時にどこか秋の残暑の如き静かな熱気を思わせて心地よい。額にうっすら汗をかきつつ、ペニスを締め上げる膣襞の一枚一枚をよく味わいながらズブズブと奥へ侵入して。最奥にコツンと亀頭が当たった時、リードの口から小さな声が漏れた。
「んっ……キミの熱い槍が、私の中に入ったね」
「リードの方こそ、
何度挿入しても意識が飛びそうなほど気持ちいい。ただ挿入しただけでねっとりと膣肉が絡まり、キュッと締まって一物を歓迎してくれる。全体的に締め付けは強めで、グイグイとこちらを外へ押し出そうとしているかのよう。その健気な抵抗がまた快感を呼び起こし、ビキビキと硬くなった肉竿が彼女の弱いところを抉るのだ。
だけど気持ちよくなっているのは私だけではない。リードもまた自分の薄いお腹に手を当てて、肌の上から男性器の硬さと熱さを確かめるように擦っている。上気した頬は明らかに快感を得ていて、普段見せる物静かで落ち着いた雰囲気とはかけ離れた妖艶さがあった。
「ごめんな、さい……私だけ先に、達して……っ!」
ピンと伸びたリードの足先が丸まって太くしなやかな尻尾はシーツの上でのたうちまわる。身体は言葉より雄弁に彼女が絶頂したことを物語り、連動して膣内の締め付けまでいっそう強まった。ただでさえ狭い膣内は手で力強く握り込まれたように隙間なくみっちりと包み込んでくる。
これまでに何度も交わった影響で、この若く物静かな少女の身体はすっかり開発済みとなっている。当初は性行為どころか自慰すらおっかなびっくり程度の経験しかなかったというのに、今や挿入されただけで呆気なくイけるほど敏感だ。そこまで丁寧に育てたのが自分という事実に自己嫌悪と誇らしさを感じ、それがまたセックスに対するスパイスとなって獣欲を掻き立てた。
だからこの我慢できない雄の欲求を吐き出すべく、リードの片足を肩に引っ掛けたまま腰をグリグリ押し付けた。ギチギチに押し広げられた膣内のさらに奥深く、子宮口へ亀頭をディープキスさせて下準備。これから何をされるか察したリードがチラリとこちらを一瞥し、ギュッと目を瞑る。
「動くよ」
「う、うん……っ、あぁっ」
ゆったりと腰を動かし始めた途端、甘い吐息が紡がれて空気へ溶けるように消えていく。あまり自己主張をしないリードはセックスの時も派手に喘ぐことはない。下品にならず、控えめに開いた口でちょっとずつ快感を表してくれる様子を私は気に入っていた。
とはいえ、我を忘れるほどに乱れる姿を見たいのも悲しいかな男の性だろう。やはり相手の女性に気持ちよくなってもらうのが一番自尊心を満たせるわけで。緩やかなペースでリードの膣内を堪能するのも良いが、硬く膨らみきった剛直で開発されきった膣内を耕す魅力には抗えない。
ぱちゅ……ぱちゅん……♡
「ま、待って……まだ気持ちいいの、収まって、ないから……っ」
絶頂の余波で涙目のリードに懇願される。だけどこれは「もっとして♡」の合図と同義と分かっているから、徐々に出し入れのペースを上げていく。自己申告通りリードは細かく絶頂してるようで、ビクビクと膣内が震える度にキュッと襞が締まった。私の形だけを覚えた内部は型でも取ったかのようにピッタリと吸い付き、離さないとばかりに新たな快感を送り込んで甘えてくるのが可愛らしい。
最初はゆっくり味わうように、そしてすぐに速く貪るような腰遣いへと変化していく。内部の細かな襞を一枚一枚こそげ落とすように亀頭で擦り上げ、奥に隠れている子宮口をトントン叩いて雌の悦びを呼び覚ます。執拗なピストンに愛液がこれでもかと溢れ、ドチュドチュといやらしい粘着音が室内に響いた。
「んっ、あっ……ふぅ、っ、ああっ……!」
「声を我慢しないでもいいのに」
「だ、だって恥ずかしい、から……」
そう言ってリードは手に持った枕で口元を隠してしまった。もう何度も肌を重ねて散々痴態を見られているのに、こういう貞淑さは捨てられずにいるのがいじらしい。
枕で口を塞いだことで安心したのだろうか、リズミカルに膣奥を突かれる度にくぐもった嬌声が聞こえ出した。たぶん本人は私に聞こえていないと思って我慢を止めたようだが、はっきり言って逆効果だ。微かに聞こえ続ける喘ぎ声は要するにリードがそれだけ気持ちよくなり続けている証拠なわけで。
どちゅん! どちゅ! ばちゅん!
「ん゛……っ、づぅ、んむ……っ! ふっ、ぁっ……きもち、いい……」
交わりが激しさを増すにつれてリードの嬌声もさらに大きく、隠しようが無くなっていく。ゾリゾリと弱い所を責められる度に瞳からは歓喜の涙が流れ、結合部からは白く泡立った本気汁がダラダラと垂れては肉竿をコーティングする。度々「ぷしゃり♡」と潮を吹いてはシーツを濡らし、足先がピンと伸びて絶頂をアピールしていた。
それだけでなく、控えめな胸の先っぽと金の茂みに隠れた小さな突起も、真っ赤に充血してピンと自己主張して触って欲しそうにしている。それなら、と指先を乳首と陰核に這わせてそっと指の腹で押し潰す。
「んぐっ! やっ、そこは……だめ、だから……っ!」
反応は劇的だった。ただでさえ快感に翻弄されていた身体が大きく波打ち、ドラコの肢体が痙攣じみてビクビク震えた。一際大きく噴き出した愛液がぱたたっ……と肉棒を濡らし、膣内がぐにゅりと異物を押し潰すように締まった。
既にリードは息も絶え絶えで、よく鍛えられた身体でなければとっくに気絶して快感の波に溺れていたことだろう。しかし幸か不幸かまだ気絶することはできず、むしろ狭まった膣内でより一層私の形を感じて見悶えする始末。みっちりと絡みつく膣襞は引き抜くだけでもよく吸い付き、動かすのにも苦労するほどだ。
「ドクター……ドクター……っ」
「っ、こっちもそろそろ……!」
長時間リードの熱い胎内で蒸らされ、焦らされ、握り込まれた剛直は限界が近かった。うねる膣襞を掻き分けて弱い所突く行いは同時に自分の首を絞める諸刃の剣だ。ただ動かすだけで強烈な快感を生み出す名器で散々一物を擦っているのだから、射精が近いのも当然の話である。
「あっ……! やめ──んあっ!」
押し殺した声でこちらを呼ぶ姿に我慢できず、口を塞ぐ枕を乱暴に剥ぎ取ってしまう。涙と涎をよく吸った枕を放り投げれば、これまで隠されていた快感に蕩け切ったリードの美貌が露わになった。とろんとした瞳で私を見つめ、小さく開いた口でなおも嬌声を紡ぐ姿はどこまでも艶やかで──淫蕩さと美しさの入り混じる姿に、我慢の限界は呆気なく訪れた。
びゅくっ! びゅるるる……っ!
「あっ──~~~~…………!」
リードの声にならない悲鳴と共に肉槍が膨らみ、思い切り白濁をぶちまけた。きゅんきゅん締まり続ける膣襞に絡めとられた亀頭は全く動かせず、避妊など知ったことかとばかりに子宮へ欲望を注ぎ込む。彼女の方も
最後の一滴までぎゅーっと搾り取られた後は、今度はこちらが息も絶え絶えになって一物を引き抜く。心地よすぎる射精に体力の全てを使い果たした感覚を覚えながら、ぐぽっ……と音を立てて亀頭が膣口から抜け落ちる。種族的に孕みづらいとされるドラコで無ければ安全日だろうと妊娠してそうな量だ。こぽりと卑猥な音と泡を立て、男女の混合液が流れる様が堪らなく股間に来る。
「はぁ、ふぅ……気持ち良かったな」
「うん……頭が真っ白になって、死んじゃうんじゃないかって思った。でも、こうしてキミの言葉を聞けてる……その当たり前が、とても嬉しい」
そう言ってリードは僅かにはにかむと、まだ絶頂の余韻に震える身体を引き起こして、射精したばかりの肉槍へ「ありがとう」とキスを落とすのだった。
◇
言い訳のようだが、リードとの肉体関係は彼女本人にも確かに良い影響を齎していた。
まず私に対してそれなりに心を開いてくれるようになった。文字通り密接な関係性が心の距離も縮めたのか、それまで奥底に隠していた本音を曝け出してくれたのが一つ。
そして他者への接し方にも余裕が出てきたのが二つ目。それまでは自身のことを黙して語らず、他人もあまり信用していない様子だったが、時間が経つにつれて少しずつ医者やオペレーターと会話する機会が増えた。ピロートークに「あの人はどういう人物なの?」と問われて教えた影響は小さくないと思われる。
何度でも言うが、切っ掛けは褒められたものではないしズルズルと関係性を続けてしまったのは私の落ち度だ。しかしリード本人が行為を求め、また当人の得になっていたことも否定できず……もしかしたら今後もずっと心地よい爛れた関係性が続くものと、内心どこかで期待していたのかもしれない。
──だからその日は、柄にもなく驚いてしまったものだ。
「離艦申請……随分と、唐突だね。理由を聞かせてもらっても?」
ある日の午前中、珍しく執務室にやって来たリードから離艦申請を提出された。既に他部署の許可は貰っているようで、後は私がサインすれば手続きは滞り無く完了となる段階。だけど私は、この件について公にもプライベートでも一言だって聞いてはいなかった。
「うん、そうだよね……キミには話しておきたいって私も思ってたから」
それに彼女の装いも大きく変化している。先鋒オペレーターとして活動してた衣装からガラリと変わり、白い大きなワンピースにコートを羽織った装いになっている。大きな鞄と新しいアーツユニットからして、医療オペレーターに鞍替えしたように見えた。
リードがここまで大きく行動を起こしたことは、今まで一度だって無かった。故にその変化を嬉しく思う気持ちと共に、どのような理由なのか聞くのが怖い気持ちが同居する。
「私は、もう自分のするべき事から逃げないよ。あの炎の中から助けてくれたあの人に報いるためにも、いつまでも安寧に浸ってたら駄目だから」
「それでロドスを離れる、と。どこへ向かうつもりだい?」
「ヴィクトリアに。まずはロドスのヴィクトリア支部に向かって、それからダブリンを捜そうと思ってる」
「……そうか」
ダブリン。それはリードという女性から切っても切り離せないワードだろう。そもそも彼女の他者に拒絶的だった性格は複雑な境遇から生まれたもので、また過去が過去故にリードに対して悪い印象を持つオペレーターも皆無とは言えない。
ただ、本人もその事実から──ロドスを離れてダブリンへ再び関わる選択肢から目を逸らしていた。ほんの一時だけでも快楽に溺れて逃避することを私は悪いと言いたくない。誰だって物語の主役のように、決意一つで立派なことを成し遂げられる訳じゃないのだから。
でも、たった今私の眼前に立つ彼女の瞳には確かに決意が見えていて。本人なりに覚悟を決めたようなのだと認めざるを得なかった。
「
「ありがとう。本当はもっと早く決断するべきだったのに、キミとの関係性がとても暖かくて──離れがたく依存してしまいそうだった」
「間違いから生まれた行為でも、君にとって意味があったなら嬉しいよ」
はぁ、と自嘲の溜息が出た。爛れ切った関係もこれで終わり、ようやく心のしこりを取り払うことができるというのに、浅ましくも惜しんでしまう気持ちがあって。それは単にストレス発散で美女を抱けるといった目的以上に、唐突な別れを残念に想う寂しい気持ちが強かった。
「キミは私を利用したのかもしれないけど、私だってキミのことを過去から目を背けるために利用した……ごめんね」
「謝る必要は無い、お互い様だ。いや、むしろ私の方が──」
謝るべきだと言いかけた口が柔らかな唇にそっと塞がれる。ほんの触れ合う程度の優しいキス、しっとりとした感触と共に良い香りがふわりと広がった。それがリードによる口づけと頭が理解するのに一拍の間を要し、その間に彼女は唇を離してしまっていた。
「リード、これは」
「始まりは利己的なものだったとしても、今は私の胸の中に暖かいものが灯ってる。キミに対するこの気持ちはきっと、多くの詩歌や小説の中で紡がれてきたものと同等だと信じてるから」
男女間の間に芽生えるその感情を、リードは敢えて舌先に乗せなかった。
呼気すら当たるほど近くにドラコの整った顔立ちがある。改めて見ても非常に愛らしくて、つい先ほど唇を重ねたのが信じられない。
「言葉にすれば未練になるかもだから、今はズルい言い方になるのを許してほしい。その代わり、もし再びキミの下へ戻ることが可能なら──いいえ、許されたら」
「許すや許さないではないよ」
不安に揺れる彼女の手を取り視線を合わせた。今やリードもロドスの一員なのだから、不安がる必要は何も無い。
「君がロドスを居場所だと思ってくれているなら、いつでも私たちは君の帰還を歓迎する。だから戻ってきたらその時は、君が勝ち得た
「約束はできないけど……きっとまた、キミのところに戻ってくるよ。そしたら今度は……名前で呼んでくれると、嬉しい」
最後は恥ずかしそうに小さな声で呟いて、視線も逸らされてしまったけれど。
慎ましくも可愛らしいお願いを断る理由は何も無いから、私は大きく頷いて「行ってらっしゃい」と彼女を送り出したのだった。
◇
結局のところ出会いと別れなど人生には無数にあるもので、たった一つの別れが特別記憶に残り続ける事は早々無い。
リードがロドスから離れてしばらくはやはり寂しかった。最後の別れ際に交わした言葉が何度も頭の中でリフレインしたし、下世話なことを考えるなら頻繁に発散していた性欲の行先が無くなったとも言える。快楽も罪悪感も日常の中に組み込まれていたから、それらが唐突に消えたのに慣れなかったものだ。
会えない時間が絆を育む──というのはロマンチックな詩人や小説家の欺瞞だろう。物理的に距離ができ、気軽に連絡を取り合うことも難しい環境では別のことに段々と気を取られてしまう。私とて執務室で座ってるだけでは行かない事態が幾つも起きたのだから、実際にヴィクトリアへ赴いたリードはそれ以上に気を揉むことが多いはずだ。
一か月、二か月と経過していく毎に寂しさは薄れ、かつての日常が戻ってくる。ただやっぱり、時には彼女が何をしているか思いを馳せることがあった。果たして自分の向き合うべき人生を見つけたのか、どこかで苦しい目に遭っていないか、余計なお世話かもしれないが気になってしまう。
「やはり意外と寂しさには慣れないのかもしれないな……」
私から連絡をしてみるか、だけどあまりこちらを意識させるのも申し訳ない。そのような感情の板挟みとなりながら、日常と非日常を往復するような生活を経て──久しぶりにリードがロドス本艦へと戻って来たのだった。
◇
「懐かしい匂い……まだ煙草を吸ってるの?」
「相変わらずたまにだけどね。でも君が離れてから少し頻度が増えたかも」
積もる話も多いからとリードを自室に招いたのだが、彼女は来客用の椅子では無くベッドに腰かけた私の隣に座った。ごく自然に距離が近すぎる。数か月ぶりにリードの整った顔立ちがすぐ傍にあってドキドキを抑えきれない。
早速湧き上がった下心を誤魔化すように目線を泳がせると、姿こそ離艦申請時と同じものの彼女の顔や身体に無数の小さな傷があることに気が付いた。服も小奇麗さを失って土汚れや斬られた部分を縫って補修した痕があり、一筋縄ではいかない経験をしたのだと容易に想像がつく。
「もし嫌だったなら換気をするけど」
「ううん……この匂い、キミのことを強く想い出せて私は好きだよ。帰ってきたって感じがするから」
心なしか身にまとう雰囲気も以前より柔和で、微笑の裏にあった陰のようなものが少しばかり和らいだように思えた。
「しばらくぶりになったけど、こうしてまたキミと再会できたこと、嬉しく思うよ」
「ああ、そうだな。君の方こそ随分大変な旅路になったようだね、ラフシニー」
「う、うん…………色んなことがあったから」
別れ際の約束通りに名前で呼ぶと、リードは喜びと照れ隠しの入り混じった表情を見せてくれた。今まであまり見ることの無かった顔。ベッドに置いた掌にそっと重ねられた彼女の手が、体温以上に温もりを伝えてくる。
「約束、覚えててくれたんだ……嬉しいよ」
「記憶力には自信がある方だから」
「ありがとう……私のことを名前で呼ぶ人は、キミほど親しみを込めてくれないから」
心の底からホッとした様子でリードがこちらに肩を預けてくる。それは誰が見ても隣の
だが、それにしても距離感が近い。サラサラと流れる金髪がくすぐったく、ドラコの大きな黒い角のゴツゴツした感触に意識を引き戻された。なのに柔らかな感触と鼻腔を擽る良い匂いはまったく誤魔化すことができず、気付けばかつての爛れた関係性を想起するに至っていた。
「さてと、話も長くなりそうだからいったんお茶でも──」
劣情を誤魔化すために立ち上がろうとして、そっと引き留められて振り向いた。服の裾を掴んでいたのは間違いなくラフシニーであり、彼女もまた頬を赤らめながら潤んだ瞳でこちらを見ている。それはかつて何度も見てきた、交わっている際の発情した翠色の瞳そのもので。
「久しぶりに会うのに、イケナイ事だと思うけど……キミの声を聴いてからずっと、お腹が疼いて仕方ないんだ」
私の手が引っ張られ、彼女の滑らかな腹部へ誘導される。まさに子宮の上に位置するそこは熱を帯びて温かく、その奥で雄を求める雌の欲求が伝わってきそうな雰囲気があった。
「ラフシニー、その」
「はしたないお願いだと軽蔑してくれてもいい。だけどどうか……この一時だけ、前と同じ温もりを与えてほしい。キミの前でだけは全部のしがらみを忘れて、「リーダー」でない「ラフシニー」という個人に戻れるから」
焔の影から生まれたリードというオペレーターが、ヴィクトリアでどのような経験をしてきたか私はまだ断片すら知らない。
だけどヴィクトリアの歴史、ダブリンという組織とターラー民族、そしてリードの背景から考えて、安易な道で無かったのだけは確信できる。その彼女がほんの僅かでも素に戻れる瞬間を求めているというのなら──私は下心を投げ捨ててでも応えたかった。
「あっ……」
逆に私の方から手を引いてベッドへと組み伏せる。ドラコという文字通り力ある種族である彼女は欠片ほどの抵抗もせず、為されるがままシーツの海へと沈んだ。腰部から伸びる大きな尻尾の先端が落ち着きなく動き、彼女が内心でドキドキしていると明白に教えてくれる。
掌を重ね、指を絡め合いながら、フードを外してラフシニーの唇へと口を寄せた。ちょうど別れ際と逆に私から迫る形、彼女は目を閉じてキスを受け入れてくれた。ふんわりと柔らかな感触が走り、ゆっくりと舌先を潜り込ませる。
「んっ……ふぅ、ぁぅ……」
舌先を絡め合う丁寧で淫靡なキスに呆気なくラフシニーは陥落した。口を開いて自分から舌を招き、また己の赤い舌先を絡め合わせて唾液の交換にいそしんで。最初は触れ合う程度の交わりだったのが、すぐにピチャピチャと音を立てる淫靡なものへと変わっていく。
たっぷり口内をなぞり交わってから、互いに呼吸すら忘れて舌先で交わり続けて、やっと満足したところでゆっくりと口を離した。唾液による銀の橋がつぅと架かり蕩けたラフシニーの顔を際立たせる。
「あふ……っ、ん、ぁ……」
「こういうキスをするのは初めてだったかな。嫌ではない?」
「……うん、むしろ好きかもしれない……」
素直に吐露してくれるラフシニーが可愛らしい。つい手を伸ばして頭を撫でてみると、甘えた子供のように目を閉じて受け入れてくれた。どうやら角を触られるのが好きなようで、根本を擦る度に「あっ……」という悦びに似た声が漏れ出ている。
このままソフトタッチとキスだけで十分満足できそうだが、私も彼女もこれだけでは到底満足できないと分かっていた。だから頭を撫でる手を離すと、名残惜しそうな目を向けるリードの太ももへそっと這わせたのだった。
「こっちも触っていい?」
「構わない……その、もう準備もできていると思う、から……」
どこまでも気恥ずかしそうな申告に導かれるまま、滑らかな黒タイツの上を掌が撫でていく。白花のあしらわれた美しい黒地を無遠慮に撫でまわし、女の子にとって一番大事な秘部へと近づいて。ショーツとタイツに覆われた花園に指先が触れたとき、聞き間違いなく「くちゅり♡」と水音が響いのだ。
「本当だ、キスだけでこんなになってしまったのかい?」
にちにちと指先を滑らせながら少しだけ意地悪な口調で問えば、コクリと小さく頷いてくれた。指が割れ目の上を往復する度にジワリと湿り気が強くなり、粘ついた音が誤魔化しようなく聞こえてくる。まだ始まったばかりなのに随分と子宮は期待しているようだった。
そんなに逢瀬を期待していたのが素直に嬉しくて、陰部に滑り込ませた掌をグリグリとラフシニーの弱い所へ押し当てる。割れ目や陰核を布越しに刺激された快感にビクリと身体が震え、早くも小さな絶頂に達したようだ。ピンと伸びた足先や尻尾が分かりやすく教えてくれた。
その間に私はラフシニーの白いワンピースのスカート部分をそろりと持ち上げ、僅かに足を開かせてしまう。スラリと長い脚の付け根は花のあしらわれた清楚な白いショーツで覆われていたが、タイツ越しにも黒く変色しているのが丸分かりだ。
「このタイツ、破いても大丈夫?」
「いい、よ……だいぶ
「ありがとう」
許可を貰った事で爪を立ててピッと股布部分を割いて、さらに奥に秘められた純白の布地に指先を押し当てる。じゅわりと染み出たのは彼女が感じていた何よりの証である分泌液で、糸を引いてねっとりと指先に絡みつく。
この分なら前戯は軽く済ませて問題ないだろう。そう判断してクロッチ部分を横にずらすと、白くぷにぷにした割れ目の中へ指を一本入り込ませた。入口からして潤み切ったそこはぬるりと指を咥え込んで、根本まで美味しそうに咀嚼してしまう。
「うぉ、あっつ……!」
「あっ……ん、ふぅ…………」
久々に味わう膣内は非常に熱くて燃えているかのようだ。なのに内部はしっとりとぬかるんでいて、指一本程度では全く苦しそうな素振りすら見せなかった。むしろもっと太いものを強請るようにきゅうきゅう甘えるように吸い付き、たっぷり愛液を用意した蜜壺であるとアピールまでしてくる始末。
ちゅこちゅこと音を立てながら指を動かす度、ラフシニーは喉を曝け出して快感を露わにした。両手はシーツをギュッと掴み、両脚は無意識の内にか広げられて触りやすいよう捧げられる。破れたタイツとズラされたショーツには愛液が滲んでくちゅくちゅといやらしい音を奏でていた。
「良かった、ちゃんと気持ちいいみたいだね」
「だって、キミに触ってもらうの……久しぶり、だから……っ、んっ、ぁっ……!」
指の腹で膣中ほどのザラザラした部分を擦り上げる。いわゆるGスポットを軽く撫でられただけでも反応は劇的で、腰を浮かして快感を逃がそうとしながら水鉄砲みたく潮をピュッと吹き零す。落ち着いた雰囲気を纏う彼女からは想像もつかない乱れっぷりに俄然こちらの興奮も高まってしまう。
一度ラフシニーを絶頂させたら挿入しよう。そう決めてザリザリと
「ぁ──っ~~~~ぅ…………!!??」
ぷしゃっ! ぷしゃぁ……♡
嬌声の代わりに上がったのは悲鳴にもならない悲鳴だった。ラフシニーは壊れた人形のように口をパクパクさせて酸素を求め、下の唇も同じく壊れた蛇口のように潮吹きしてシーツをぐっしょり濡らしてしまう。私の手首までずぶ濡れにするほどの水量に達成感を感じつつ、ふやけ切った指先をちゅぽん♡ と取り出した。むわっと吹き上がる雌の濃い香りは物静かなオペレーターに全く似合わない淫靡なもので、また興奮させられる。
「たくさんイけて偉いね、すごく可愛かったよ」
「ほ、褒められても……嬉しくない、よ……」
頭を軽く撫でてあげると恥ずかしそうに腕で目元を隠してしまった。ヒクヒクと雄を求める割れ目は一切隠れていないし、薄い胸に掌を置いてそっと揉んでも払い除ける様子はないのに、目線だけ隠すのは逆にエッチに映ると気が付いていないのか。
散々交わっているのにまだ無意識に男心を擽る純真さを持ち得ているのが愛らしかった。早く彼女の気持ちいい胎内に雄を突き立て、一緒に気持ちよくなってしまいたい。逸る心を抑えてズボンを下ろし、痛いほど勃起した肉棒を引きずり出す。
ラフシニーも同じ気持ちだったのだろう。絶頂冷めやらぬ身体をゆっくり起こすと、こちらにお尻を向けた四つん這いの姿勢となった。腰の尻尾が干渉しない、本人いわく「一番楽で気持ちいい」体勢だ。初めてを奪ったときから白く無垢さを保つ陰裂が、とても不浄の穴とは思えぬ儚いピンク色の窄まりが、余さず私の視界に入った。
「ん……いいよ、キミので私のことを、めちゃくちゃにして……」
ふやけた顔を枕の上にポンと乗せ、下半身だけを捧げるように高く持ち上げた獣の格好。誰が見たって男を誘う淫蕩そのものな姿なのに、こちらを誘う流し目には少女のような期待と無垢さが見え隠れして。ブンブンと揺れる尻尾の先端を横目に切っ先を濡れた膣口に押し当てると、細い腰をがっしりと掴んだ。
「いくよ」
「……うん、ん、あぁ……っ!」
ぐぷっ……! ぐぷぷぷっ……♡ ぐぐぐぐぐっ♡
腰を前に突き出して遠慮なくラフシニーの膣内へ押し入った。数か月ぶりに戻ってきた胎内は前よりもなお熱く、狭くて、ヌルヌルと潤んでいて……襞の一枚一枚が再会を祝って吸い付いてくる感触に思わず笑みがこぼれた。彼女の身体もまた私を恋しく思っていたと知れて嬉しくなってしまう。
いったん竿全体を膣に収めた後は彼女が落ち着くまで待つのが多かったが、今回はその必要もない。何せラフシニー自身が腰を上に突き出して、1ミリでも深く肉槍に貫かれようと迎え入れているのだから。きっと本人は無自覚の内にやっているのだろうけども、いじらしくも淫猥なアピールに我慢していた欲求が爆発した。
「これ、ふか……ぃっ……! なかひろげられ、っ、んっ! ひぅ、んぁ……っ!」
どちゅん♡ どちゅん♡ ばちゅん♡
白くべたついた愛液を肉棒に纏わせて容赦なく前後運動を開始した。
とはいえ、こちらもまた狭く熱い膣内を往復する度に射精しそうで大変だ。蜜壺の中はさながら無数の舌に柔らかく舐め回されてる感じで、艶めかしい悦楽と熱が一物から伝わって頭が茹ってしまいそう。気付けば額に浮いた玉の汗を散らしながら夢中でラフシニーの腰を引き寄せる。
ぐぽっ♡ じゅぽっ♡ じゅぷっ♡ ぐちゅん……っ♡
「やっ、あっ、あぁっ……! キミので、もういっぱい、イってる、から……っ!」
「そのまま好きなだけ気持ちよくなって良いからね」
「だめっ、あたまがへんになって……! また、おおきいのが──……っ」
自己申告と共にぷしゃっ、ぷしっ♡ と可愛らしい潮吹きがシーツへ向けて放たれた。勢いよくシーツへ染みた一筋の水流は彼女の受け取っている快楽量をそのまま物語っている。もうとっくに身体の力は抜けているようで、結合した腰だけ無理やり持ち上げられてされるがまま。枕を抱えた両腕はすっかり弛緩してベッドに力なく投げ出されるだけとなっていた。
その中で唯一尻尾だけは先端が微かに動いたりピンと伸びたりしていて、ラフシニーの受け取る気持ち良さを代弁してるようだった。それなら、と太い尻尾の付け根を掌でそっと撫でてみる。
「──~~……っ!?」
「おぉ、これはすごいな……」
反応はあまりに劇的で、背筋を逸らして力強く絶頂してしまった。一物を咥え込んだままの膣内もぎゅぅと万力のように締め上げて痛いほど絡みついてくる。ドラコだろうと尻尾が性感帯になるのは変わらないのは知ってたが、今回はいつにも増して反応が良かった。
掌でもう一回、さらに指先で一度、二度と根元をなぞり、そのまま丸くて白いお尻の割れ目まで下っていく。綺麗な窄まりを指先でツンツン叩けばそれでもラフシニーは小さく絶頂したようで、抗議の視線をこちらへ向けてくる──涙目で蕩けた瞳ではちっとも怖くないと、彼女は気付いてなさそうだが。
「尻尾も、お尻も……ひぅっ、触るのは、ダメだから……っ」
「気持ちよくなりすぎておかしくなりそう?」
意地悪く耳元で囁かれた言葉にラフシニーは恥ずかし気にコクリと頷いた。必死に性感を受け止めて翻弄される姿があまりにも可愛らしい。膣も子宮も、尻尾もアナルも、何ならシーツと擦れている胸や角だって全身が敏感な性感帯になっていて、淫らな姿を私にだけは羞恥に塗れながら見せてくれるのだ。
「ぐっ、すっごい締まって……!」
ぎゅうぎゅうと締め付けを強める膣内は一往復するだけでもパワーが必要で、その分だけ強烈な快感となってフィードバックしてくる。頑張れば頑張っただけ正しい
「んっ、あっ……もう、
「そんなこと、言われたら……っ!」
女性側から膣内射精を懇願される背徳感は筆舌につくし難くて、許可を得た悦びが一瞬で身体の裡を巡って精子がドクドクと製造された。暴発しそうな射精欲を気合で耐えながら、ちょうど入口付近に戻ってきた亀頭をグッと奥へと押し込んで──子宮口の輪っかに鈴口が触れた途端、欲望の蓋を取り除いた。
びゅくっ♡ びゅるるるるっ♡ びゅーっ、びゅるるるっ♡
「あっ、ん……熱いのが、お腹にいっぱい、入ってきてる……」
心地よい射精の快感に促されるまま、思うままに白濁をラフシニーの一番大事な部屋へと次々流し込んでいく。射精前から大小何度もイっていたラフシニーも当然ながら絶頂して、膣襞を細かく震わせ締め付けながら一滴でも多く精液を搾り取ろうとしているようだった。
雄の欲望を吐けば吐くだけ「もっと♡ もっと♡」と膣は何度も甘えてきて、その度に男のカッコいい所を見せようと精子が製造されては次から次に撃ちだされる。小さな子袋はあっさりパンパンに膨れ上がって許容量を超え、結合部の隙間からコポリと精子が垂れ落ちてくるのだった。
「ふぅ、はぁ……ちょっと自分でも驚くくらい射精したよ」
「うん……お腹がずっしり重たい……まるでキミの子供を、孕んでしまったみたいだね」
いまだに上半身を投げ出したまま、力の抜けたふやけ顔でラフシニーが微笑んだ。陰のある表情とも違う、どこか妖艶で淫蕩さすら感じさせる魔性の微笑み。オペレーター・リードのイメージに反した表情にゾクリとしたものが走ったのは、あまりの美しさに圧倒されてしまったからか。
「もし子供が出来てたら、責任は取るよ」
「ふふっ、ありがとう……だけど平気だよ、そういうお薬はちゃんと貰ってるから。私だけじゃなくて他の人の為に、ではあるけどね」
ゴロンとリードが横になった。破れたタイツの上からお腹を擦る姿はまるで無理やり致した後のようで、節操ない息子がまた硬さを取り戻そうと暴れ出す。ただ、さすがに即座に二回戦をしないだけの分別はこんな私にも備わっていた。
代わりにベッドサイドに腰かけると煙草を取り出し火を点けた。性欲で煮え切った頭に煙の感触がスッと伝わり心地よい。紫煙が天井まで上がって霧散する様をラフシニーと一緒にしばし無言で眺めた。
「……キミが煙草を吸っているのを見ると、なんだか昔の日常に戻って来た気分になるね」
「そうかい? あまり吸わないようにはしてるんだけど、少し複雑な気分だよ」
「だってキミは私を抱くといつも吸ってたから……今なら理由が分かるよ、きっと頭を冷やしてたんだよね」
「まあ……そうだね」
いつもいつもリードに性欲をぶつけていたから、自己嫌悪の念はいつも湧き上がっていた。だから冷静になろうと煙草を吸って落ち着いても、結局性欲に負ける嫌なループだ。何なら今だってこうして肌を重ねたのだから、本質的には何も変わっていなかった。
「ねぇ、ドクター」
ゆったりとラフシニーが手を伸ばした。まだ力の入り切ってない掌にそっと私の手を重ねる。
「私は、私だけのやりたい事を──キミが言う所の
「……もちろん構わないさ。こんな私で良ければいつだって、好きなだけ甘えてくれ」
ふぅ、と肺から一息に煙を吐き出した。本当にリードは変わった。まだ詳細を聞いてもいないのに肌で実感できるのだから、きっと大きな心境の変化があったのだろう。だけど今でも、私が彼女にとって心を休められる
「じゃあ、その……またキミに甘えても、いい?」
「良いよ。だけど今度は君が経験したことを聞かせてくれると嬉しいな」
「そう、だね。たくさんの事があったから、交わる前に話しておくよ」
そうして私はリードが──ラフシニーがヴィクトリアで経験した事柄を聞き及んで。様々な感想や意見を述べては大真面目に語り合ったりもしたけれど。
最後は結局緊張の糸がどこかで切れてしまったのか、どちらともなくベッドへ倒れ込んでは手足を夢中で絡ませて。第二ラウンドとばかりに激しい性行為を再開した挙句、朝までずっと嬌声が鳴りやむことは無かったのだった。
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