※この作品はR-18です。

純性癖ナイツ   作:ひかりねこ

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レイと出先でカーセックスする話

 ──無言は気まずさの象徴のように描かれがちだが、当人たちからすれば意外とそんな事はない。

 

「……」

「…………」

 

 少し眠たくなる昼下がりの空気。ヤケクソのようなタイピング音と、規則的にページが捲られる紙擦れの音。

 ちょっとした所作や呼吸の音、微かに聞こえる環境音はその人の心情をありありと予想させる。沈黙は金なんて表現もあるが、喋るよりずっと多くの情報が漂う沈黙から得られることもあるのだ。

 だから例えば、今この執務室に広がっている沈黙は──「早く仕事を終わらせたい」という疲弊の滲んだ欲求と、「意外とこの本面白いな」という好奇心に満ちたものである。

 

「その小説、気に入ったかい?」

「うん、思ってたより面白い。ドクターの棚にある本は、もっと難しいか真面目なものだと思ってた」

 

 ソファに寄りかかって本を読んでいるのは赤紫の髪に紫の瞳、そして長いコータスの耳が特徴的な女の子。印象より意外と高身長な彼女は常と変わらず無表情だったが、仄かに楽しそうなのは感じ取れている。

 狙撃オペレーターのレイは、レム・ビリトンで探査員をしていた過去を持つ感染者だ。縁あって出会った彼女はこれまた縁あってロドスに就職し、今は鉱石病の治療をしながら任務に就いてくれている。外勤任務に出ることも多いが、それ以外はロドス、とりわけ私の執務室に居ることが多かった。

 

「手伝ってほしいことがあるなら、うちで良ければやるよ」

「ありがとう、それじゃあ資料の整理とメールの振り分けだけ──」

 

 レイにざっくりお願いし、「分かった」と返事を聞きながら椅子の上でグーっと伸びをする。バキバキに鳴る身体は先ほどまでの無音を取り返すかのようで少し恥ずかしい。レイはちっとも気にしてないようだが。

 それにしても、簡単な仕事をレイに頼むのもすっかり馴染みとなってしまった。今まで私は『あまりオペレーターに頼るのも悪いな……』と考え秘書制度が形骸化していたが、今ではレイが事実上の秘書である。説明を理解してる時もしてない時も同じようなすまし顔で最初は戸惑ったが、それが彼女の持ち味と分かれば付き合いやすい。

 

 まあそれに……と横をチラリとみる。淡々とした表情の美人である彼女は、スタイルも良くついつい視線で追ってしまいがちである。やりすぎるとセクハラだが、業務中の息抜きとして活用させてもらっているのは秘密である。

 

「はい、終わったよ。後はどうする? 他の人がやってるみたいに警備でもしようか」

「ロドスならそこまでせずとも良いさ。ソファで好きにくつろいでてくれ」

「ありがと。でも何かあればまた頼っていいよ」

 

 そう言ってレイはソファに座ると、「おいでサンドビースト」と小さな獣の頭を撫で始めた。レム・ビリトン出身で小さな獣と一緒にいると、つい黒髪のサヴラ女性を連想してしまう。レイは彼女と話が合いそうだし、是非サンドビーストと眠獣を一緒に愛でてみたいものだ。

 若干不埒な考えはさておき、再びの穏やかな静寂に身を任せて仕事の海へ潜水する。最低限の音だけが支配するこの空気は、不思議と仕事に集中できる環境になり得ていた。

 レイが分類してくれた資料を大事なものから確認し、必要なメールに目を通して返信し、あっという間に時間はグングン経過していく。さっきまで昼下がりだったはずが夕方となり、あまりお腹が空いていないからとまだ続けるうちに夜となり、ようやく空腹を覚えた頃にはもう22時を回っていて。

 

「……うわっ、もうこんな時間か」

 

 ハッと我に返った時には、もう窓の外はとっぷり夜に浸かっていた。

 

「お疲れ、やっと仕事終わったんだね」

「レイ、まだ居たのか」

 

 思わぬ声掛けに振り返るとレイは変わらず執務室にいた。とっくに出て行ったと思い込んでいたので驚いた。

 私は随分長いこと業務に没頭していたはずだが、本が数冊机の上に積まれているのを見るに、どうやら一度もここから出ずに過ごしていたようだ。強制したわけじゃないが、なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。

 

「すまない、まさかこんな時間まで業務が続くと思ってなかったんだ。付き合わせてしまって悪かった」

「ううん、気にしないで。ここは夜でも明るいから好きだし、約束もしたから」

「約束?」

「何かあれば頼っていいって言ったから。必要な時に居なかったら困るでしょ?」

 

 当然のように語るレイは相変わらず淡々とした顔で、普段と同じ以上の印象はまるで感じ取れない。いつもの無表情っぷりが「何も特別なことじゃない」と雄弁に言い切っているのだ。

 言葉にしないその律義さが、今は無性に嬉しかった。執務室で仕事を終えるときはいつも一人切り、夜の静寂が疲れた心に重たい時もあったから。同じ静かな空気でも、レイと過ごすそれは大きく違っていた。

 

「ありがとう。おかげで仕事の疲れも吹き飛んだよ、助かった」

「そうなの? うちは本を読んでサンドビーストにご飯をあげるくらいしかしてないけど……うん、ドクターの役に立ったなら、うちも嬉しい」

 

 今度は微かな笑みを浮かべるレイが直視できず、咄嗟に視線を逸らしてしまった。眩しい、淡々とした美少女がたまに見せる笑顔を不意打ちで見せられてしまうと、私のような人間には眩しくて仕方ないのだ。

 ちょっと挙動不審な変質者(わたし)をレイは華麗にスルーして、細長い何かを「はい」と差し出してきた。何かと思えば包みに入ったクッキータイプの栄養食だ。

 

「お腹空いてるでしょ。この時間じゃ食堂もやってないよ」

「いいのかい?」

「うちはもう食べたから平気。それに、ドクターに話したいことがあったから」

 

 なら遠慮なく、と包み紙を開けて頬張った。どこにでもあるプレーンタイプの味はいかにも栄養食らしくて、常飲している理性回復剤と似た趣を感じられて微笑してしまう。だがレイの話したいことも気になるので、食べてる間もジッと見つめていた彼女に向き直った。

 

「それで、話したいことって?」

「ドクターって、今度仕事でレム・ビリトンの都市に向かうんだよね」

「ああ、ロドスの支部でちょっとゴタゴタが起きたと聞いたから、現地視察がてら直接出向いてみようと思ってね」

 

 秘書業務を何度も頼んでいるレイは当然私の予定も把握している。なので隠すことなく堂々と肯定すると、「なら」と彼女は続けた。

 

「うちも一緒に連れてってほしい。ダメ?」

「いや、別にダメじゃない。むしろありがたいくらいだ」

 

 どんな話かと身構えていれば、むしろ都合が良すぎて嬉しい提案だ。レイは元々レム・ビリトンで探査員をしていた訳で、初めて出会ったのも同地だから一緒に来てくれるのは心強い。まだ一緒に来てもらうオペレーターも選定していなかったので、先んじて一人確保できるのも渡りに船と言っても良い。

 それに、ここしばらくですっかり気心の知れた少女とドライブというのは、想像するだけで悪くない絵だ。ちょっと邪な気持ちも芽生えてしまうが、まあ他にもオペレーターを数人連れてくことになるのだし──

 

「良かった、嬉しいな。それじゃあレム・ビリトンに向かう時は二人きりだね」

「ああ、そうだな……ん?」

 

 聞き間違いだろうか? しれっとすごいことを言ってた気がするが。

 

「二人きり?」

「そうだよ? ドクターが行く地域の事なら詳しいし、別に危険な土地でもないから。うちが付いてれば十分だよ」

 

 聞き返してみてもいつもと同じ表情で、至極当然のようにレイは言い切る。あまりにも自然体すぎて私の方が間違っているかのようだ。取り敢えず落ち着いて、深呼吸。

 

「そ、そうか。レイがそれでいいなら、他のオペレーターも楽が出来てありがたいが……」

「うちは気にしてないよ。だってドクターのこと好きだし」

「えっ」

 

 そして最後に特大の爆弾をさらっと投下してから「今日はもう寝るね」とレイは去っていき。

 数秒おいて言葉の意味を咀嚼した私は、遅れてバクバクする鼓動を感じながら閉まる扉を無言で見つめてしまう。翻る赤紫の長髪と長耳がおそろしいほど鮮烈に、瞼の裏に焼き付いているのだった。

 

 ◇

 

「い、いやぁ、思ったより大した事の無い案件で良かったよ」

「うん、皆嬉しそうで良かったね」

 

 夕日が西に沈むのを横目にしながら、レム・ビリトンの荒野を車が行く。

 舗装されていない地面からガタガタと振動が伝わるが、既に行きの車中で経験済みなので大丈夫だ。まして運転手のレイは平然とハンドルを握っている以上、ここで情けない姿は見せたくなかった。

 仮にもロドスの最高権力者の一人として、時には責任ある立場として事態の解決に赴くこともある。ただ今回は出向いてみれば予想より大した手間は掛からず、さっくり解決できてしまった。なので気持ちも軽く帰路に着いた訳なのだが……レイと狭い車中で二人きり、という状況にドギマギしっぱなしだ。

 

「ドクター、どうしたの? 何だか様子が変だけど」

「いや、そんなことはない、まったくもって元気だよ」

「ならいいけど。行きみたいに酔ったら言ってね」

 

 分かった、と無言で頷く。だけど今もずっと、レイの唐突な告白(カミングアウト)が脳裏でリフレインされ続けていた。

 

 ──『だってドクターのこと好きだし』

 

 好き。一般的には二つの意味があって、趣味が合うとかソリが合うの親愛的な意味合いと、恋人や愛といった情感的な意味合いの二つがある。普通に考えれば前者の方しか考えられないのだが……こうまで気になってしまうのは、私自身レイに気があるからなのか。彼女の美しさには惹かれるし、物静かだが決して冷淡ではない性格も確かに合う。嫌いになる理由が無い。

 だけどいざこうして二人でドライブとなると、緊張するのも仕方ないだろう。ビジネスの場でよく回る舌はどこへ飛んでいったのか、恋愛小説に出てくる口下手な少年みたいに当たり障りのない言葉しか出てこない。

 

「今日中にロドスに着くのは難しいだろうから、一泊野宿になるかな」

「仕方ないさ、こうも早く終わる方が想定外だった」

「もっと速度を出せば夜中には到着するかもだけど……」

 

 レイは一瞬言い淀んでから、やっぱり変化の無い横顔を見せながら話した。

 

「うちはドクターと一緒に、レム・ビリトンの夜空を眺めたい」

「光栄、だね。ありがとう」

 

 うまく平常心で答えられただろうか? またも気負いなく放たれた言葉にドキドキした。レイの言葉は天然なのか狙っているのか、表情から読み取れないのが困りものだ。

 車のエンジン音と荒れた地面を踏みしめる音、それに互いの呼吸が暗くなり始めた車内に充満した。レイと一緒に過ごす無言の時間は好きだったはずなのに、今は無性に気になってしまう。何を話せばいいのか分からなくなってしまう。

 

「ん……暗くなってきたね。夜道を走るのは危ないし、今日はここまでにしよう」

「分かった、レイの判断に従うよ」

 

 止まった車からこれ幸いと降り、見え始めた夜空の下で石を積み上げて焚火の準備をする。以前にアーミヤ、サベージから学んだやり方だった。その時は結局サベージに苦笑いされつつ手伝ってもらったが、今回は一人で上手くできて一安心だ。

 

「手際いいね」

 

 私が火を起こすのを見つつ、レイはサンドビーストを放していた。首輪も付けず「うちのペットって訳じゃないから」と話していたが、最後はちゃんと戻ってくる辺りレイを主人と認めてるのだろう。ちなみに、私にはあまり懐いてない。

 

「師匠が良かったから。ほら、缶詰でも食べよう」

「うん」

 

 頷くながらレイは当然のように私の隣に座った。火を挟んだ対面ではなく、わざわざ服が触れ合うほど近い距離。彼女の良い匂いが髪と耳から漂ってきてマスクの下で頬が熱くなってしまう。これではまるで、本当に気があると勘違いしてしまうではないか。

 動揺を誤魔化すように缶詰を手に取り、中身をむしゃむしゃと咀嚼する。レム・ビリトンで有名な缶詰たちは味も中々悪くない。時にはちょっと効能の怪しそうな、青菜の缶詰といったものも存在するが、幸い味は保証されている。今度はもう少しゲテモノ的な缶詰に挑戦するのもありだろうか。

 

 と、色々考えて気を紛らわしていたが、レイがそっと肩へもたれ掛かってきた。ふんわりした長髪の感触が服越しにも感じ取れてしまう近さ。

 

「ドクター、ありがとね」

「……礼を言うのは私の方だろう。わざわざロドス外の任務にまで着いてきてもらったのだから」

「ううん、そうじゃない。うちの我が儘を聞いて、一緒に隣に座ってくれてる。それが嬉しいんだ」

 

 レイがさらに頭を寄せてくる。これでは本当に恋人同士の距離感というか、好き合っている二人の空気感というか──

 

「知ってる? この場所にも実は伝説があるんだよ」

「い、いや、知らないな」

 

 うるさいほど鼓動を刻む心臓を抑えつけようと必死だ。しどろもどろな返答をしながら、いつかレイが語っていた言葉を思い出す。アレは確か、何度目かの秘書業務を終えてレイとの信頼関係も結べた頃だったか。以前は自分を助けた『一筋の光(巨獣)』の探索を目標にしていた彼女へ、今の目標は何か聞いたことがある。

 

『ロドスのデータベースにあった伝説がすごく面白かったから、いくつか直接見てみたくなって、できればドクターも一緒がいいなって。うん、これがうちの見つけた新しい目標だよ』

 

 思えば今の状況はまさしくレイが語った新しい目標そのものではないだろうか。当時も少なからずドキリとさせられた言葉だが、二人きりのシチュエーションで言われると、全然違う意味すら想像できそうで。私だけでなくレイの鼓動すら聞こえてきそうな距離で、彼女は穏やかに言葉を乗せる。

 

「ここにはとても耳が長くて大きい獣が居て、夜に出会うことができたら願いを聞き届けてくれるんだって」

「どんな願い事でも?」

「ううん、叶えてくれるのは……恋とか愛とか、子宝祈願とか、そういうのみたい。だから、二人きりで来たかった」

 

 至極冷静であまり表情を変えないレイも、今ばかりは恥ずかしそうに頬を赤らめていた。焚火による陰影でも誤魔化せない。

 恋愛成就系の伝説や祈願は探せばどのような土地でもある。それがレム・ビリトンではコータスっぽい外見の獣が叶えてくれるとして広まったのだろうが──ここでその意味を伝えられて、すっとぼけるほど鈍感になった覚えはなかった。

 

「言ったでしょ、ドクターのことが好きだって。もしかして、ドクターはうちのことを何とも思っていなかったり……する?」

「そんなことはない!」

 

 不安気な問いかけに思わず大きな声を出してしまった。ビクリと片耳を跳ねさせたレイが、すまないと思いつつも可愛らしい。一挙手一投足が魅力的で、穏やかな時間を心底から共有できる女性相手に、無関心を貫いてなどいられるものか。

 

「私だって、君のことを好ましく想ってる。むしろ私で良いのかと感じるくらいだ」

「うちは、ドクターだから良いと思ってるよ。優しいし、サンドビーストにも良くしてくれるし、色んなこと教えてくれるし……それに、明るいから」

 

 おずおずと不安そうに掌が重ねられた。優しく包み込むように握ると、待ってたとばかりにレイが指を絡めてガッチリと手が繋がる。いじらしい恋人繋ぎに心臓はもう破裂しそうだ。

 

「うち気付いたんだ、ドクターって光源みたいな人だって。みんな君のことを信頼して道しるべみたいに思ってる。横に居てくれると安心するんだ」

「そんなに褒められると照れるな」

「でも事実だよ。うちは暗いのが嫌だけど、いつからかドクターがいると暗くても明るいみたいに感じられて……今だって、もし焚火が消えてもうちは平気だもん」

 

 だからお願い、とレイが身体を密着させてくる。整った顔立ちはすぐ傍にあって、甘い吐息が頬を撫ぜるほど近い。炎の爆ぜるパチパチという音すらどこか遠くに感じられた。

 

「ドクターを独り占めするのは難しい、それは分かってる。だけど今夜だけは……うちだけを見てほしい。うちだけの、眩しいくらいの『光』になって欲しいんだ。ダメ……かな?」

 

 上目遣いをされながら、蕩けるほどの告白をされて断れるはずがない。むしろ彼女に求めてもらえた事の嬉しさを胸を膨らませて、そっと唇を重ねたのだった。

 

 ◇

 

 ──心の奥では、次の目標を見つけることで暗闇から逃げようって気持ちがあったんだ。

 

 探し求めた『一筋の光』は結果的に全然違ったもので、結局あれはうちの勘違いだったのかもしれないと気付かされて。じゃあ今まで支えにしてたあの光は何だったんだろうと疑っちゃうと、真昼でも真っ暗な部屋で寝ているみたいな気分になって……不安な気持ちでいっぱいだった。

 だけど不安はいつの間にか薄れてた。ドクターの部屋で様々な伝説を調べたりしている内に、他にも面白そうな逸話がたくさん知れた。何より、ドクターと一緒に過ごしている時間はとても居心地が良くて、楽しい時間だったから。気付けばあの人と一緒に、いつかニヤニヤ谷へ向かったみたいに出かけたいと思ってた。

 

 こういうの、世間では恋とか愛とか言うのかな?

 

 うちはよく分からない。探査員って仕事はレム・ビリトンでも大事なものだけど、一方で底辺の人達が仕方なく就くような職でもあった。しかもうちは感染者だから、稼ぎが少なく明日も知れない女を好きになってくれる人なんていない。だからうちも異性を好きになる気持ちが理解できないし、きっとレイエーラには縁が無いんだろうと割り切ってたんだ。

 

「ドクター、その……電気はたくさん付けてくれると、嬉しいかも」

「分かった」

 

 そんなうちが、今夜は自分から望んで男の人に押し倒されてるなんて。初めての経験に鼓動がバクバク鳴ってうるさいくらい。でもきっと、覆いかぶさってるドクターも同じなんだと思う。マスクを外した素顔にいつもの余裕が全然無いんだもん。

 車の後部座席を倒して作った簡易的なベッドで、内部照明を眩しいくらいたくさん付けて、ドクターにうちの初めてを捧げちゃう。好きを表明してすぐにエッチな行為をするのは、ちょっと節操がないのかな? でも、この機会を逃せば二度とチャンスは無いかもしれない。だってドクターはうちだけじゃなく、ロドスの皆にとっての光だから。

 

 心や理屈で好きを理解できなくても、身体を重ねて物理的な証を得ることはできる。たぶんそれも一つの愛なんじゃないかなって……最近ドクターの執務室で読んだ小説に書いてあった。

 

「こうしてドクターに覆いかぶされると、さすがに恥ずかしいね」

「嫌だったり怖かったりしたら言ってくれ」

「ううん、平気だよ。むしろ、なんだか安心するかも」

 

 昔暗い坑道を調査してるとき、不意に出てきた獣にのしかかられた事がある。あの時は怖くて、命の危険も感じて、無我夢中で跳ね除けて撃退したけど。今は全然大丈夫、背中に敷いてくれたドクターのコートからは彼の匂いと温もりが伝わってきて、ちっとも怖くなんてない。

 ドクターの大きな手が、優しくうちの頬を撫でてきた。身体の細いドクターでもやっぱり身体つきは男の人で、自分の手とは全然違う。でも壊れ物みたく慎重に触れてくれてるのは、痛いほど伝わってくる。

 

「うちは平気だから、ドクターがしたいようにして良いよ」

「……そんなこと言われたら、抑えられなくなっちゃうよ」

「それでも平気。誘ったのはうちだから、ドクターを悪者にしない」

 

 だからほら、と彼の手をうちの胸に誘導する。平均よりたぶん大きいそこは、服越しでも膨らんでるから見られてることも多い。ドクターも、たまに視線がそっちに行ってたのを知ってるんだ。

 

「っ、レイ!」

 

 ここまですれば、ドクターもうちを触るのに遠慮する必要は無くなるよね? 男の人をこんな風に誘うのなんて当然初めてだったけど、どうやら効果は覿面だったみたい。

 最初から余裕無さげだったドクターの表情はすっかり興奮も露わで、うちの胸をグニグニと揉みしだいてる。服と下着越しでちょっと鈍い感覚だけど、たまに先っぽが擦れて気持ち良さがピリッと走る。自分でする時よりもどかしくて、でもクセになりそうな不思議な感じ。

 

「脱がすよ」

「んっ、どうぞ……あっ」

 

 カーキ色の上着がはだけられて、黒のシャツがお腹からガバリと捲られた。覚悟はしてたけど、うん、やっぱりこれは恥ずかしいね。今日は下着も白とピンクの可愛いのを選んできたけど、ジッと見られてると不安になる。実は変だったりしてないよね。

 

「ドクター……」

「ごめん、すごく見惚れてしまってた。綺麗なお腹だし、下着もよく似合ってる。とても可愛いよ」

「そ、そっか……ありがと」

 

 不安は解消されたけど、今度は顔がカッと熱くなる。うち、いつも通りの表情でいられてるかな? あんまり表情が変わらない自覚はあるけど、みっともない顔よりは普段と同じ顔をドクターに見せていたい。きっとドクターもそっちの方が嬉しいだろうし。

 ドクターの手がお腹を撫でて、下着の奥へ入ってきた。胸を直に触れられる感触は奇妙なくすぐったさがあって、次に何をされるか分からないドキドキが強い。しっかり明るくした車内だから、ドクターの手がうちの身体に触れてるのが目視で見えちゃうのもドキドキする。

 

「んっ……そこ、触れられるの気持ちいい、よ……」

「先っぽの方だね、分かった。もし痛かったりしたら我慢せず言ってね」

「うん……あっ、ふあっ」

 

 ゴツゴツした掌で、おっぱいの先端をグリグリってされるのが気持ちいい。ビリビリって電流みたいな刺激がたくさん来て変な声が出てきちゃう。それに指を沈めて揉まれるのも良くて、ドクターがうちの身体で興奮してくれてるのが分かっちゃう。

 ジンワリと熱くなってきた身体がビクビクと震えて、ショーツがじっとり湿り気を帯びてきた。少し触られただけで濡れてきちゃうなんて、うちって自分が思う以上に淫乱だったりするのかな? コータスは性欲が強くて子供を産みやすい、なんて俗説信じたこと無かったけど、今は納得しちゃいそう。そうじゃないと、こんなに感じてることの説明が付かないよ。

 

「あっ……! 待って、そこ、吸うのは……っ、や、んっ……」

 

 いつの間にか胸を覆う下着も剥ぎ取られて、露出したおっぱいの先っぽをドクターに吸われてた。ちゅうちゅう吸い上げてまるで赤ちゃんみたいだけど、淫らな行為はきっちり快感を残してくる。一度吸われる度に気持ち良さが頭に響いて、甘噛みされると無意識に足がビクリと跳ねる。エッチな声が止められない。

 ドクター、そんなにおっぱい好きなんだ。今まで大きいことに意味なんてちっとも感じなかったけど、こうやって夢中になってくれてるのは嬉しいな。それに触り方も優しくて、すごく気遣ってくれてるから、うちも安心して身体を任せられる。

 

「ぢゅるっ、ぷはっ……そろそろこっちも触っていいかな」

 

 やっと胸から離れたドクターだけど、今度はうちの下半身へ手を伸ばしてた。うん、そうだよね、やっぱり男の人はそこが気になるんだよね。うちも本当は早く触ってほしくて堪らないくらい、ショーツもタイツも濡れちゃってる。バレちゃうのは恥ずかしいけど、期待の方が上回ってた。

 コクリと頷いてズボンから片足を抜いちゃう。タイツは……別に破かれても平気。予備はあるし、今のも結構ボロボロになっちゃってるから。ドクターにお任せしちゃおう。

 

「ごめん、後で弁償するから──」

「あっ」

 

 考えてる間に大きく足を開かされて、ビリッと音を立ててタイツが破かれちゃった。ショーツの真下、股布部分の一番恥ずかしくて、一番湿り気を帯びてる場所。たぶん粘り気すら帯びちゃってる大事な場所が、明確にドクターの視線に晒されてる……穴があったら入りたいって、こういう時のことを言うのかな。

 

「すごい、もうこんなに濡れてる」

「は、恥ずかしいから、そんなにじっくり見ないで……ひゃっ!」

 

 クロッチ部分にドクターの太い指先がピトリと押し当てられた。たったそれだけでくちゅりとエッチな音が鳴って、ビリビリって触れられた快感が走って止まらない。これ、自分で弄る時の何倍も気持ちいい。

 ちょこっと撫でられるだけでこれなのに、もっと触られたらどうなっちゃうんだろう──その答え合わせをするみたいに、ドクターがうちの割れ目を上下になぞった。

 

「んっ……あっ……それ、好きかも」

 

 くちくちって、いやらしい音が鮮明に聞こえてくる。ショーツ越しに大事なところ触られて、足を閉じたくなるけど閉じられない。羞恥以上に気持ち良さがあって、何よりドクターの手で感じちゃってるのが嬉しくもあるから。

 指が往復する度にビリビリした快感が走って、特に上の方にある突起(クリトリス)を優しく弾かれた時は腰がビクンと跳ねちゃう。耳もピンとなるほどイっちゃてるのに、ドクターはお構いなしに指を動かすから降りてこれない。ずっとずっと、身体を震わせてはしたない声を出すしかできないんだ。

 

「あっ、ふぅっ、やぁっ……ドクター、それ、きもち、いい……!」

「なら良かったよ。好きな時にイっちゃって良いからね」

「う、うん……あっ、イく……っ!」

 

 言われた傍から大きい波が一気に来て、すごいアッサリ絶頂しちゃう。ビクンって下半身が跳ねて、足はピーンと伸びちゃって、気が付いたらドクターに腕を回してしがみ付いてた。声が我慢できない、顔が蕩けていやらしくなるのを抑えられない。なのにとっても、幸せで。

 ドクターの指でイかされたのは、今までで一番気持ち良い絶頂だった。ジワリと漏れ出た愛液がショーツでも吸い切れずに零れて、お尻を伝ってシートの布地に垂れちゃってる。いつもはこんなに濡れたりしないのに、好きな人にされるって凄いんだねって。まるで他人事みたいに思ってたら、いつの間にかドクターもズボンを下ろしてた。

 

「すまないレイ、私の方も限界だ……」

 

 ボロンと出てきたのは、うちの腕とあまり太さが変わらなさそうな、長くて大きい肉の槍。男性器を見るのはもちろん初めてだけど、それでもドクターのがかなり大きい方なのは何となく分かった。

 

「へぇ、男の人のってこういう形してるんだね。なんだか面白いや」

「怖くなった?」

「……たぶん平気だよ? ドクターのなら、受け入れられると思う」

 

 根拠なんて全くない。自分で挿入した事があるのは指ぐらいだし、それだって先端を少し入れたくらい。ビクビク震えて血管も浮き出てる、グロテスクな見た目の肉塊なんて入れたらうちの身体は裂けちゃうかも。

 でも、ドクターのなら頑張って受け入れたい。世の中の男女が行っている『一つになる』という意味を、うちもドクターと一緒に知ってみたいから。勇気を出して、自分からショーツをずらして秘部を曝け出した。割れ目の両側に指を掛けて、中身が見えるようにする。

 

 こういうの、エッチな本だと「くぱぁ」って言うんだっけ。さすがに恥ずかしくて言えないや。

 

「君のおちんちん、うちの膣内(なか)に入れていいよ……でも、優しくしてもらえると嬉しいかも」

「善処する。もしダメそうならすぐ言ってね」

「うん」

 

 ドクターのそそり立った大きいのにゴムが被せられていく。薄緑の膜に覆われると何だかシュールな見た目で、ちょっと可愛らしくも思えた。それに、無責任に膣内射精(なかだし)する気が無いって意思表示に『やっぱりこの人を好きになって良かった』って嬉しさがこみ上げる。

 あっ……ドクターが先っぽを入口に擦りつけてきた。ねちねち、くちくちって音を立てながら愛液を先端に塗して、うちの膣内(なか)に入る気満々みたい。微弱な快感とくすぐったさに、緊張で強張ってた身体から力が抜けてく。

 

「君の初めてを貰うね、レイエーラ」

「……来て」

 

 そしてダメ押しみたいに本名で呼ばれて、完全に心がリラックスしたところでドクターが胎内に割り入ってきた。正常位の格好で、ズブズブって狭い膣内を拡げられてく。思ったより痛くない、異物感はちょっとあるけど平気かも。ぐーっと奥に進んでいく内に壁みたいなものに当たって……たぶんうちの処女膜、だよね。

 これを破られたら本当にドクターに純潔を捧げることになるんだ。そう思うと感慨深くて、心配そうに見つめてたドクターに瞳で答えた。遠慮なんて必要ない、『うちの初めてを奪って良いよ』って。

 

 ぐぐっ……ぶちッ、ぐぐぐぐ……!

 

「あぐっ、っ、ぅ……!」

 

 処女喪失は痛いと聞くけど、うん、確かにこれは結構堪えるね。破られた瞬間は身体が縦に裂けるんじゃないかと錯覚しそう。でも激痛はほんの一瞬で引いてくれて、後はちょっとジンジンするくらい。この程度なら鉱石病の痛みの方がよほど辛いと思う。

 

「レイ、平気か!?」

「大丈夫、だよ……そんなに心配しないで。ほら、うちの子宮の入口に、ドクターの硬いのが当たってる」

 

 お腹の上、お臍の辺りを手で撫でると、明らかに自分のものでない硬いのが埋まってる感触がある。凄いな、あんな大きくて太いおちんちんが全部入っちゃったんだ。うちの身体なのに信じられないや。

 ……ただ繋がってるだけなのに、意外と充足感ってあるんだね。全部挿入されたことへの喜び、エッチなことをしてるドキドキ、それに好きな人と深いところで密着して、繋がってる感覚。色んな気持ちや感触がない交ぜになって、満足感になって返ってくる。

 

 もしドクターがいっぱい動いたら、もっと気持ち良くて、もっと満たされちゃうのかな?

 

「んっ……落ち着いてきたし、動いても良いよ」

「本当に大丈夫? 無理をさせたくはないけど──」

「じゃあ言い直すね。うちも、ドクターにたくさん動いてほしい。入れられた後にどうなっちゃうか気になるんだ」

 

 こういうの、誘ってるって言うのかな。もしかしたら女の子がする発言じゃないかもしれない。でも今更そんなこと、気にする必要も無いよね。

 だってほら、うちのお腹の中でドクターのがまた大きくなった。ムクムクって膨らんで、ただでさえ狭い膣内を押し広げて。頑張っておちんちんを頬張ってる膣が悲鳴をあげちゃいそう。

 

「それなら、ゆっくり動かしてくよ」

「うん、どうぞ」

 

 ゆっくり慎重にドクターがお腹から抜けていく。みっちり詰まって圧迫感があったから解放感がとても強い。長く深く息を吐いて身体を落ち着けると、軽く膨らんだお腹が元通りに凹んでいくのがよく分かってしまった。なんでだろう、異物のはずなのにもう寂しい感じがしちゃうな。

 時間をかけて大部分が引き抜かれて、テラテラ濡れ光るおちんちんが照明に照らされてるのが見えた。僅かに血の赤が混じった白い愛液がべったり付着してるけど、あれって全部うちが分泌したものなんだよね。意識すると途端に羞恥に襲われて、まだ入ってる先っぽ──亀頭って言うんだっけ?──をきゅうと締め付けちゃう。

 

「今度はまた膣内(なか)に入ってくからね」

 

 寂しさを覚えたのは僅かな間だけで、すぐにドクターのがお腹に戻ってきてくれた。さっきは分からなかったけど、膨らんだおちんちんの段差で膣内をゾリゾリって引っ掛かれるのは気持ちいい。破瓜の痛みはすっかり消え失せて快感だけを拾えるようになってきて、これからが性行為の本番なんだ。

 ぐちゅんと音を立てて亀頭が奥に到達すると、キュッとお腹が締まってしまう。するとただでさえ大きいドクターのが形まで分かるほど密着して、熱いので埋め尽くされてるのを自覚して。「はふぅ」って蕩けた吐息が漏れちゃうのを抑えられない。

 

「やっ、あっ……んんっ、ふぁっ、あっ……」

 

 ドクターが腰を上下に振ると、ぱちゅん、ぱちゅんって控えめな水音が響いた。響く度に、腰から頭まで電流みたいな快感まで一緒に響いて止まらない。頭が馬鹿になっちゃいそうで、実際いつもは絶対出ないような喘ぎ声が出ちゃって、自分が溶け落ちて相手と一つになる気持ち良さ。溺れちゃいそうでちょっと怖いかも。

 でも、これを望んだのはうちだから、ドクターは容赦せず何度も腰を打ち据えてきた。最初は緩慢な動きだったのが気付けば激しくなり、パンパンって弾ける音になってきて。余裕無さそうな顔で歯を食いしばるドクターの顔が印象的だった。

 

「レイ、レイ……!」

「うんっ、これ……気持ちいい、よ……!」

 

 入口を擦られると甘い痺れが足先までジンワリ広がって。

 クリトリスの裏側にある粒々ゾーンを擦られると目の裏がチカチカするぐらい刺激が来る。

 一番奥の子宮が撓むくらい突き込まれると、呼吸が止まりそうなほど深い快感が届いちゃう。

 

 全部全部初めての経験。ドクターのおちんちんですっごく喘がされて、いっぱい気持ちよくさせられて、自分が自分でなくなっちゃう。ぷしっ、ぷしゃってたまにおしっこみたいなのが漏れちゃってるけど、ドクターは全然気にする様子も無い。むしろ水気を掛けられて互いの陰毛が絡み合うと嬉しそうにしてるほど。

 

「レイのエッチな匂いが充満してて、おまんこも気持ち良くて……! 全然腰が止められないっ」

「喜んでくれてる、なら……っ! うちも、嬉しい──ああっ」

 

 今更だけど、うちらって車の中で交わってるんだよね。だから匂いも汁もいっぱい飛び散らせれば、むせ返るような空気になって、充てられて。狭い空間で脳まで桃色に染められてトリップしちゃってるみたい。

 それに、車だから激しく動くと当然ガタガタ揺れてるんだ。もしこの近くを別の車が通ったら、照明を付けて揺れてるこの車を見て『カーセックスしてるんだ』ってバレバレなのかな。それって途轍もなく恥ずかしいことなのに……想像するとエッチで興奮しちゃうのも、あんまり否定できなくて。

 

 きゅんって胎内が縮こまったのは、軽く絶頂したせいだった。

 

「また、すっごい締まる……! ダメだ、そろそろ射精(で)るっ」

「ドクター……ドクター……!」

 

 おちんちんがまた膨らんで、ビクビクってしてる。男の人の絶頂はよく分からないけど、きっと射精が近いってことだよね。初めてだけど、うちがちゃんと気持ちよくしてあげられたなら嬉しいから。ドクターの好きなタイミングでいっぱい、射精してくれると嬉しいかも。

 上下運動が激しくなって、シートの反発で背中が浮いちゃうくらい強く押し込まれて、引き抜かれて。目の前が真っ白になっちゃうくらい何度も快楽を叩きつけられた果てに、一際強くドクターが奥まで潜り込んできた。

 

「射精(で)るっ……!」

「んあっ……どく、たー……ああっ、ん~~……っ」

 

 ゴムを付けてるからか、あんまり射精されてる感じはしない。だけどうちの膣内で脈打ってる太いものを感じ取れるし、現在進行形でゴムの先端が膨らんでるのは分かった。その中にドクターの熱い精子がドクドク吐き出されてるんだ。

 初めて見る男の人の射精は思ったより長くて、気持ちよさそうで、何故かうちにも充足感を与えてくれた。なんというか、これだけ満足気な顔をさせたのがうちの身体だってことに達成感を覚えるんだ。それでまた、精神的に満たされて絶頂して、つられて身体までイっちゃって、もう止められない。

 

「はぁ、ふぅ……濃いのがすっごい出た……抜くよ、レイ」

「あっ、はふ……」

 

 いつの間にか、ドクターのおちんちんはさっきより随分小さくなっていた。にゅぽんって音を立てて出てきたのは黒色をした肉の棒だけで、ゴムは膣内に置いてきぼりにされちゃったみたい。そこからコポリと粘り気のある精子が垂れ落ちて、まるで膣内射精(なかだし)されちゃったみたいだ。

 もし、ドクターの精子を全部子宮に出されたら、そのまま妊娠しちゃったのかな。信じられないくらい溢れてくる精液を見てるとそんな風に思ってしまう。きっと子宮をパンパンにされて、出てきた卵子を待ち構えてすぐ孕ませちゃうんだよね。それぐらい力強い、雄を感じさせる射精だった。

 

「ねぇ……ドクターは、満足できた?」

「すっごい満足したよ、最高だった」

「…………それならどうして、また大きくなってるの?」

「うぐっ」

 

 痛いところを突かれたみたいにドクターが顔を背けた。その下には、一瞬小さくなったのにすぐ元の大きさを取り戻したおちんちんが勃起してる。男の人は一度射精すればしばらく戻らないと聞いてたけど、どうやらドクターは違うみたい。

 きっとうちのことを気遣って満足したって言ってくれたんだよね。でも、「本当はもっとしたいです」って本音を隠されちゃうのは嫌だな。我慢してほしくないし、正直なところうちもまだ物足りない。ドクターに抱いてもらう気持ち良さを知っちゃったから。

 

「元々誘ったのはうちの方だから……君が満足しきるまで、全部うちに吐き出して」

 

 答えは、口を塞ぐ荒々しいキスだった。

 

 ◇

 

 告白されて、そのままセックスまでもつれ込んで処女を奪って。しかもまだ性欲を抑えられないほど自分が節操ない人間だったとは思わなかった。

 本当は私の方が性欲をコントロールしなければいけないのに、レイの魅力的な肢体を前にちっとも制御が利かないのだ。アレもコレもと欲望がとめどなく溢れ出て、しかもレイ本人も乗り気だから余計に燃え上ってしまう。

 

「じゅるっ、じゅぽっ……どうかな(ほうはな)、気持ち(ひもひ)いい?」

「ああ、最高だ……っ、くっ……!」

 

 狭い車内から出た私たちは、満点の星空の下で今も性行為に耽っていた。さっきまで向かい合った立位で交わっていたが、射精して引き抜いたタイミングでレイが「うちも触ってみたい」と言い出した。しゃがみ込んだ彼女がおっかなびっくり肉棒に触れると、気付けばお掃除フェラにまで発展して。

 技術的に拙いところはあるけど、頑張って頬張りながら舌先で丁寧に舐めてくれる健気さが良い。ちょっと歯が当たったりするくらい何てことないし、長耳を撫でると嬉しそうに目を細める姿がむしろ性欲を煽ってくる。尿道に残っていた精子をちゅうちゅう丁寧に吸ってくれるのなんて、男として征服欲を擽られて仕方ない。

 

「れろっ、んくっ……ドクターの精子、粘ついて美味しくない……」

「無理に飲まなくてもいいよ、嫌なら口でしなくたっていい」

「美味しくはないけど、嫌じゃないよ。むしろドクターのを飲み込んで興奮してる、かも……あむっ」

 

 本当にレイは、どこまで私を喜ばしてくれたら気が済むのだろうか。処女膜を破った際と、車外に出てからの計二回も射精しているのに、またも節操なくレイの口内で肉棒が膨らんでいた。すっかり硬さと太さを取り戻したそれを咥え続けるのは苦しいようで、「ぷはっ」と息をしながら吐き出される。彼女の唾液でぬらりと光る様が淫靡だった。

 あまりレイに無理はさせたくない。けれど爆発しそうな情欲を抑え続けることもできなくて、レイを立たせると車のドアに手を付かせて尻を向けさせる。服や下着も半脱ぎの状態で、髪と同じ色の丸みを帯びた尻尾が夜空の下でもよく映えた。

 

「ん……まだしたいんだね。いいよ、うちも頑張るから」

「ごめん、これで最後にするから……!」

 

 避妊具を手早く付け直してレイの膣内へまたも舞い戻っていく。こういう事態を想定しているのか、避妊具とアフターピルをセットで用意してる医療機関としての準備の良さに感謝しきりだ。

 ぐぷぷぷっ……! とぬかるんだ膣襞を掻き分けて肉槍が少女の胎内へと埋まっていく。しっとり濡れてよく吸い付く内部はゴム越しでも十分すぎるほどの快感を与えてくる。まして回数を重ねてこなれて来た現在は挿入しただけで搾り取られる危機感すら抱かされる。

 

「んっ、あっ、あうっ……後ろからだと、全然違うところに、あんっ、当たる、ね……っ」

 

 正常位と立位の後だからか、立ち後背位(バック)での感触の違いがつぶさに感じ取れる。こっちの方がより深くまで進めるというか、奥行きがあって肉竿全体が包み込まれるよう。それに陰核裏のGスポットをゴリゴリ付けるし、ポルチオやその近辺のキュッと締まる襞ひだを刺激しやすいから、レイもさっき以上の快感を得てるのだろう。ぎゅうぎゅう締め付ける膣内は両手で握り込まれてるみたいだ。

 ぐちゅん、ばちゅんと音を立てて腰を動かす。レイの綺麗な長髪が揺れ、コータスらしい丸尻尾がふわりと左右に動く。タイツに包まれたままの美脚はピンと伸びて絶頂の衝撃を逃がそうとし、へにゃりと折れた長耳はそのまま彼女が受け取る快感の強さを物語っていた。

 

「ドクター……これ、すごくて……うちがうちじゃ、なくなっちゃいそう……っ!」

「ぐっ、この……!」

 

 ダメ押しとばかりにこちらを振り向かないでくれ。普段の淡々とした表情が崩れて蕩けた瞳を、上気した頬を、涎を垂らす口元を見せられてしまったら。エッチすぎるレイの表情にあてられて、加減なんて出来なくなってしまうではないか。

 片腕を掴んで上半身を引っ張りながら、もう片手で揺れる美巨乳を鷲掴みにする。もっとレイに気持ちよくなってもらって、一緒に私も気持ちよくなりたいから。乳首を指で挟んでグニグニと転がし押し潰すと、キュッと膣内が締まった。ついでビクビクと蠕動して肉棒を締め付けて、甘イキしたと全身で教えてくれた。

 

「ごめ、なさい……うちだけ、先にイっちゃ、った……!」

「全然気にしなくて、いいからっ! 好きなだけたくさん、気持ちよくなってくれ!」

 

 一突きする度に透明な汁が飛び散って車体や地面に跡を残す。最初はお漏らしと勘違いしていたレイも、今ではこれが潮吹きと呼ばれる女性の射精みたいなものと認識を改めたおかげか、我慢せずぶしゃりと吹いているのがとてもエッチだ。星空に照らされて反射する滴がいっそ芸術じみた美しさすらある。

 思うままレイを貪って、幾度も絶頂に晒されて表情を蕩けさせる姿を見ていたい。心の底から湧き出る欲求に素直となって無我夢中で腰を振った。性行為を覚えたての若者みたいな余裕の無さ、けれどこのひと時を大人ぶって無為にする方がどうかしている。

 

「ひぐっ、あ゛っ、お腹グリグリって、だめぇ……っ」

 

 制止に構わずグリグリと奥を抉ると腰がビクリと跳ねて絶頂した。

 Gスポットを重点的に苛めると放尿じみた勢いで潮を吹いてタイツを濡らした。

 長いストロークで入口から子宮口まで一気に擦り上げると、白い喉を曝け出して普段からは及びも付かない善がり声で悦んでくれる。

 乳首をギュッとつねると可愛い声で驚いてくれるし、さりさりした下生えを掻き分けてそっとクリトリスの皮を剥けば「んぎっ」とおよそらしくない声まで聞かせてくれる。もちろん、そのまま何度目かの絶頂を迎えて肉棒をあやしてくれるおまけ付きだ。

 

 当然、それだけの快楽地獄に叩き落とされたレイは目を白黒させて、舌を突き出して耐えるしかできない。

 

「ごれ、もうっ、すごくて……っ! うちの、頭の中まで、真っ白になっぢゃう……っ! 眩しいのに、怖いよ……っ」

 

 レイの訴えは悲鳴のようにも、歓喜のようにも聞こえた。苦しさと恐怖、快感と喜びがごちゃ混ぜになって、最後は結合部から送られる莫大な快楽の奔流に塗り潰されていく。未知の快楽に戸惑うレイを後ろからそっと抱きしめ、ぐちゅりと一番深くで繋がったまま動きを止める。

 

「どく、たー……」

「まだ怖い? もう止めようか?」

「……うちは平気、だから。抱きしめてくれるの、好きだよ」

 

 だから最後まで続けてほしいと、視線でレイが促してくる。ならもうラストスパートをかけるだけと、今度はお尻をガッチリと掴んで叩きつけるように腰を動かした。柔らかな尻肉の間にある窄まりがヒクヒクしてるのすら見えてしまって、イケナイ場所を視姦する背徳感すらスパイスにして、性感をいっそう高めてく。

 レイ。このレム・ビリトンで初めて出会った時はこんな関係性になるとは考えもしなかった。可愛いけれど少し付き合い辛い娘なのかなと思ったのに、ロドスに来てから案外気が合う事が分かってきて、気付けば一緒に居て心地よい存在にまでなっていた。だけども一線は越えないよう気を配っていたのに、レイの方から迫ってきて、断るどころか喜びながら受け入れ抱いて……あまりにも都合が良くて、運命的で、何より愛おしい。

 

「また射精(だ)すからなっ、今度はレイエーラに掛けるからっ!」

「ドクターの熱いの、うちにいっぱい教えて……!」

 

 ばちゅん! ズポッ──びゅるるるるっ!!

 

 肉槍は最初と同じく避妊具だけ膣内に残して勢いよくすっぽ抜けると、レイの尻谷間に竿を横たえてびゅるびゅると射精した。夜闇に映える白い肌に白濁が降り注いで、神聖なものを汚しているかのようだ。噴水のように溢れる子種は後孔や丸尻尾、背中までべっとり汚して彼女は自分のものだとマーキングする。

 

「レイ……」

「はぁ、ふぅ……いっぱい出た、ね……うちも一緒にイっちゃった」

 

 力の抜けた笑みでふふっと微笑を浮かべるレイに、再び愛しさと性欲が持ち上がりかけたけど。

 さしもの暴れん坊もこれ以上は無理なようで、彼女に負担を掛けないためにも頭を撫でることで感謝と終了を伝えることにしたのだった。

 

 ◇

 

 それから、さっと身体を拭いて朝までぐっすり眠った後、車内に残った余韻にあてられたレイにおはようフェラをされてたハプニングもあったけど。結果的にすぐ準備を終えた私たちは、何事も無かったかのようにロドスへの帰路へ着いたのだった。

 

「うちの我が儘に付き合ってくれてありがとね、ドクター」

「私の方こそ、ありがとう。それに無茶をさせてしまってすまなかった」

 

 一発射精させられてスッキリした頭で振り返ってみれば、処女喪失したばかりの少女に三連戦は酷にも程がある。興奮しすぎてそこまで頭が回らなかったというか、レイが望んでるなら良いかという免罪符が働いていたようだ。理性回復剤に頼らずとも理性を保たなければと反省することしきりだ。

 ただそれにしても、レイと特別な関係になれたのは嬉しかった。思い返すだけで頬が緩んでしまうのを止められない。

 

「ドクター、なんだか嬉しそうだね」

「そりゃあね、レイからあんなに熱烈な告白をしてもらえたら嬉しくなる。これからもよろしくね」

「…………」

 

 何の気負いも無く発した言葉だったが、レイはハンドルを握ったまま目を見開いていた。表情は変わってないが、アレは間違いなく驚いている。

 

「いいんだ、うちがドクターの恋人になっても」

「ダメなわけがないだろう。初めてまでもらっておいて、一晩経ったから終了だなんて甲斐性が無いにも程がある」

「うん、そだね……嬉しいな」

 

 それからレイはやっと微笑むと、何かを思い出したように「あっ」と声を出した。

 

「そういえば、伝説のこと忘れてた。うちは影も見てないけどちゃんと効果あったみたい」

「ああ、確かにそんな話もあった……私もまったくそれらしいのは見てないけど」

「うーん、やっぱりあの伝説は偽物だったのかな」

 

 曰く、コータスのように大きい耳をした獣。夜に姿を見た人に対して恋愛や子宝成就の利益があるらしいけれど……別にそんな曖昧な伝承に頼らずとも、人は特別な関係を結べるものだ。

 なので私は気にしていないが、レイは思ったより気にかかっているようで。どうフォローしたものかと考えていたら、携帯端末から着信音が響いた。

 

「おや、ちょっと失礼」

「うん、どうぞ」

 

 届いたメールを確認すると、差出人はどうやらブラックナイトのようだ。今はロドス本艦から離れてレム・ビリトンの荒野で過ごす彼女だが、時にはオペレーターとして現地協力員になってくれる心強いバウンティハンターである。

 そんなブラックナイトは現在もロドスの社員証と連絡端末は持っているが、向こうから連絡が来た事はほとんど無い。なので珍しいなと文面を読んでみれば──

 

「……なるほど、そういうことか」

 

 文面はこうだ。『夜、耳の大きい獣の影を見つけた。朝になって近づいてみたらその先にロドスの車があったから、一応ドクターにも連絡しておくよ。まあしばらく観察してたら元気に走り出したから、たぶん襲われたとかじゃないだろうけどね』、と。

 思わぬところですべての線が繋がってしまい、私は思わず天を仰いだ。それは確かに、恋愛や子宝成就の伝説と結び付けられる訳だ。先駆者たるコータスカップル、恐るべし。

 

「どうしたの、ドクター?」

「朗報だよ、レイが言ってた伝説の正体が判明した」

「へぇ、そうなんだ。それで、正体は何だったの? やっぱり巨獣だったのかな?」

 

 純粋に目を輝かせるレイに、この真実をどう答えたものか。言葉に窮した私はしばらく「あー」とか「うー」とか時間を稼いで、結局素直に伝えたのだった。

 結果、顔を真っ赤にしたレイが危うくハンドルを切り損ねて事故を起こし掛けたのは、私と彼女の名誉のためにロドスへは報告しないでおこう。

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  • 1話の中にもっと濡れ場があってもいい
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