※この作品はR-18です。

純性癖ナイツ   作:ひかりねこ

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画中でシーと爛れたエッチをする話

「ふー……」

 

 疲労のせいか、いつにも増して大きなため息が出てしまった。使い過ぎでボンヤリする頭を左右に振り、座りっぱなしで凝り固まった手足を伸ばす。壁に掛けられた時計は既に23時も終盤を指し、日が変わる直前だと訴えかけていた。

 今日は明らかにやることが多く大変だった。終わらぬ書類仕事の山、対面や遠隔を問わない会議という名の海、そして果ては様々なオペレーター達のお悩み相談という名の果てしなき空である。果たしてこれが博士(ドクター)の仕事なのか、という疑問は尽きないものの、まあ頑張ればこなせる能力があるからこの椅子に座っているのだろう。

 

「……頼られるのも悪い事ではないからな」

 

 ロドス・アイランドという人種も国家も立場も異なる様々な人間がいる中で、この私をわざわざ頼ってもらえるのは素直に嬉しい。過去を忘れ、この現実(いま)に居場所を立脚するしかな自分にとってはやり甲斐と言い換えても良かった。

 だけどそれはそれとして……やっぱり稼働が長いととにかく疲れる。一部のオペレーターからはケルシー共々「一日に48時間働いている」と囁かれているようだがそんな訳は無い。本当だったらおそらく既に死んでるはずだ。

 

 常に皆に頼られるからこそ、時には自由で開放的になりたい事もある。

 欲求に溺れて勝手気ままに振舞ったり、時間を忘れてのんびりリラックスしたい欲求もある。

 俗物で人には見せられないような、皆の印象と真逆の自分(わたし)になりたい事だって、ある。

 

 だからこそ──

 

「やあ、シー。今夜もお邪魔していいかな?」

 

 誰もいない執務室に虚しく独り言が響く。当然応える者など居やしない。

 だったはずだが、しかし。木霊として消えていくはずだった言葉は明確な意思によって応えられた。綺麗に掃除された白い壁に黒い斑点が滲み出す。黒々とした墨を想起させる──いや、まさしく墨そのものである斑点は瞬く間に線を結び、一つの絵を描いていく。それは炎国の古風な建物に備わっているような趣のある扉で、ただの壁だったはずのそこに堂々と鎮座していた。

 変化はたった──と表現するには随分異様な現象だが──それだけ。他には何もなく、ただ扉が私を待ち構えるだけ。呼ぶ声も、拒絶する声も、何一つとして無い。だけどこうして入口を作ってくれること自体が、あの偏屈で可愛らしい画家が招いてくれる証だと知っている。

 

「ありがとう、それじゃあお邪魔するよ」

 

 椅子から立ち上がり、バキバキになった身体を動かしながら扉の取っ手に手を掛けて。一つの躊躇も無く扉の先に広がる空間へと入り込んだのだった。

 

 ◇

 

 扉を抜けるとそこは、水墨画の世界だった──

 

 誇張でも何でもなく、黒と白を基調とした古き良き炎国の小さな町が広がっていた。物理的にロドスからこのような光景が続く訳がない。よってこれは現実にはあり得ない絵巻物の世界。文字通り画中の登場人物として創作の中に紛れ込んでしまったのは、私をここに招いた彼女の力によるものだ。

 どうも今立っている場所は路地裏のようで、ごく静かな空間を醸し出していた。それなら大通りに出るかと一歩踏み出した途端、横合いから待ち望んだ声がする。

 

「随分やつれた顔をして、相変わらず他人(だれか)の為にあくせく働くのが趣味のようね」

「シーか。良かった、また町中を捜す羽目になるかと思ったよ」

 

 いったいいつからそこに居たのか、艶やかな黒髪を靡かせて、赤い瞳と緑色の角が特徴的な美女が隣に立っていた。この画の主、歳獣が一人のシーである。彼女は私を見るなり好き勝手に言ってくるが、まあいつものご挨拶だ。

 こうして彼女の世界に招かれても、時には歩き回って本人を捜すこともままある。酷い時は男性の講談師に化けていたせいでしばらく気付かず、後になって拗ねられたことも。だから今回は相当に運が良い……というより、彼女の方も我慢できないのが本音なのだろう。もちろん、自分からはそんな素振りなど見せないが。

 

「ま、別に構わないわ。外であなたがどうしていようとあなたの勝手、私が気にする事ではないもの。おかげで随分と筆も進んだわ、静かだったから」

「そうか、それは悪かった。寂しい思いをさせてしまったようだね」

 

 この絵に入り込んだのは約2週間ぶりなのだが、長いとも言えない期間で彼女は臍を曲げていたようだ。長い時を生きる彼女のような存在でさえ、ほんの十数日会えないだけで寂しさを感じるのは意外であり、嬉しく思う。

 大胆にもそっと抱き寄せ、彼女の体温を感じながら腕を回す。明らかに男女の親愛の域を超えた行為に対して、シーは「ふん」と鼻を鳴らした。抵抗はしない。

 

「言葉で相手を篭絡するつもりかしら、ドクター。この私をそう単純に表現されたら風情の欠片も無いわね」

「確かに、君はまったく単純ではないな。素直じゃなくて入り組んでいる、そういう所が可愛らしいが」

気障(きざ)な台詞ね、木々すら葉を震わせるようなつまらなさじゃない」

「いやいや、これでも最大限に褒めてるつもりだよ」

 

 腰に回した腕をそのまま下ろし、ワンピース風の衣装の上からシーのお尻へと手をやった。大きめでむっちりした弾力を持つ尻肉が衣服と下着越しにも感じられる。グニグニと揉めばそれだけで疲れも吹き飛ぶような心地よさだ。

 

「……出会って一番にすることがそれだなんて、あなたも随分堕ちたものね」

「これだけの美人が目の前に居たら誰だってこうなる」

「やっぱりつまらない答えね、残念だけど落第よ。だけど──」

 

 シーが私の腕を離れてこちらへ向き直った。緑色の細い指がそのまま服の裾を掴むと、ゆっくりと見せつけるようにたくし上げていく。この古風な空間にはどこか不釣り合いな、黒色に緑色の装飾が施されたレース仕立ての上品で妖艶なショーツ。いつか私が出来心でプレゼントしたそれを見せつけて、微かに頬を赤らめた。

 

「私を満足させられたら、特別に及第点をあげてもいいわ。他人の為に尽くすのが好きなのでしょう? 精々頑張ることね──ひゃうっ♡」

 

 彼女が言い切るよりも前に、恥も外聞も投げ捨ててショーツへ手を伸ばしていた。欲望剥きだしの指先がクロッチ部分に当たると控えめに「くちゅり♡」と水音が鳴る。粘ついた指先の感覚に思わず視線をシーに向けると、赤い瞳が恥ずかしそうにサッと逸れた。

 

「もう濡れ──」

「それ以上言ったら画中(ここ)から追い出すわよ」

「……私が君を気持ち良くしたからこうなってる、分かってるとも」

「癪だけどまあ、そういう事にしといてあげる。光栄に思いなさいな」

 

 ふふん、と大きな胸を誇らしげに張る巨匠様だ。自分から誘ってくるほど期待してたクセにまったく素直じゃない。付き合うにはだいぶ面倒な性格で、けれどそういうところが可愛らしい。

 滑らかで肌触りの良いショーツを前から後ろへ筋に沿ってなぞると、やはり濡れているくちゅくちゅといやらしい音を奏でながら滑っていく。ぷにぷにの陰唇を押しつつ、前の方にある突起を軽く弄って、後ろの方の会陰から菊門までマッサージするように──広く大胆に指を動かす内、湿り気を帯びた面積はどんどん広がっていた。

 

「んっ、ふぅ……♡ いいわ、結構上手いじゃない。あっ、そこ……♡ カリカリされるの、好きよ……♡」

「満足してもらえて光栄だよ。えっと、ここが良いんだっけか?」

 

 膨らんだ雌芯は触るだけで判別付くほど肥大し、彼女の弱点はここにあると大々的にアピールしているようだ。布越しにスリスリと擦ってあげると気持ちよさそうに声をあげ、軽く摘まめば「あんっ♡」と身体をくねらせる。黒い上着がはだけてノースリーブの肩が見え、それと共に上気した頬が艶めかしく映った。

 これだけ準備万端ならば前戯は軽くでもいいだろう。ねちっこく雰囲気を高め合うのは好きだが、まずは欲望の迸りを受け止めてもらいたい。下卑た思念の命じるままにズボンを下ろし、勃起した一物をシーの前にくつろげた。

 

「はぁ……何度見ても凶悪な代物ね。私が筆を執ってもこの禍々しさと雄らしさを再現できるか、ちょっと不安になるわ」

「君がそんな事を言うなんて珍しい」

「弱気は自信を挫くけれど、時に謙虚さも必要なものよ。慢心、傲慢なんて弱気以上に毒だもの」

 

 ツンツン、とシーの細指が肉竿を弄る。その微細な刺激を受けて怒張は血管をビキビキと立たせ、彼女の手首と比較できそうな太さにまで成長する。淫水焼けした浅黒いグロテスクな肉塊をシーは慣れた手つきで掴むと、自身の秘部へと誘導した。クロッチがずらされ、その下の真っ白な淫裂が露わになる。

 

「はい、どうぞ。言っておくけど、すぐに射精()したら興ざめだから気張りなさい」

「できるだけ気を付けるよ」

「いい心掛けね」

 

 うんうんと頷いたシーの右足を持ち上げ、こちらに体重を掛けさせる。長大な白の尻尾が私の胴へ甘えるように巻き付いて体勢を固定し、膣口へ亀頭を差し向ける。彼女が一呼吸置いてリラックスしたところで切っ先をゆっくりと柔肉へと沈め始めた。

 

「ん……あっ♡ 胎内を割られるこの感じ、やっぱり慣れないわね……」

「痛くない?」

「平気よ、何度あなたと交わったと思ってるの……んっ、あ……♡」

 

 シーの押し殺した喘ぎ声が股間に来るというか、普段は超然とした彼女が身悶える姿だけで達してしまいそうだ。性行為に興味無さそうな澄ました顔で、その実何度も私と肌を重ねてるくらいには経験を積んでいて。そのギャップに興奮を掻き立てられる。

 だけどもちろんシーの膣内だって極上の一言だ。みっちり詰まった襞をかき分けて進むだけで結構な力が必要で、やっと押しのけて先へ進んだと思えば襞の一枚一枚が縋るように絡みついてくる。うねうねと締め付け、時には不規則に力が入って握り込まれる膣道の中を、焦らずじっくりと最奥を目指した。

 

 ズブズブ……♡ ぐちょり、コツン……♡

 

 よく締まって密度も最高な名器だったが、どうにか意地で射精せず子宮口に切っ先を密着させることに成功した。狭いのは入口の方くらいで、中まで来ればむしろ優しく握り込むように柔らかく包んでくれる。何というか挿入してるだけで一物をなでなでされてるような、安心させられる名器だ。

 ほぅ、と安堵の息を吐いたのも束の間、シーの子宮は見知った雄を相手に早速媚び始めた。入口の輪っかがきゅうきゅうと亀頭に吸い付き、今すぐ精子が欲しいと強請ってるようで。大きく膨らんだ肉棒は僅かな刺激も敏感に察知してしまう。

 

「は……っ、ふぅ……♡ ガチガチに勃起させて、よほど溜まってたみたいね」

「君の方こそ、こんなに物欲しそうに疼かせて……挿入中に軽くイっただろう?」

「……そんな事ないわ、あなたのキノセイよー」

 

 露骨に棒読みな言葉に説得力などあるものか。今だって断続的に締め付けが強くなったり弱くなったり、肉棒の硬さを味わうだけで甘イキしてるのは明白だ。それだけシーの身体が開発され尽くし、また私を出迎えるのを待っててくれたと思えば、挿入しただけで満足などしてられない。

 シーの身体をもう一度強く抱き留め直し、対面立位のまま手を差し出す。彼女の赤が混じった緑色の綺麗な手が重なって指を絡め、あたかも恋人同士のように密着した握り方。固く繋がった手は痛いほどで、恥ずかしそうに顔を赤らめた巨匠様の顔に満足しながら腰を動かし始めた。

 

 ずちゅっ……♡ ぐちゅっ……♡

 

「や、んっ♡ あっ、あぅ……♡ もう少し、激しくしても……っ♡ 平気、だから……あっ♡」

「それならこれぐらいならどうかな?」

 

 腰に尻尾を絡ませられ、手も繋いだ状態なのであまり激しい動きはできない。それでも腰を引いて、突き出す単純な動きを私とシーは何度も繰り返してきたものだから、不自由な格好でも快感を貪るのに支障は無かった。

 密着する襞をどうにか振り払い、入口まで戻ってきた一物は白く濁った本気汁でべっとりとデコレーションされている。根本よりほんの僅かに上のところがデコレーションの境界線となっているから、それがシーの最奥までの距離だと分かってしまう。最初の頃に比べれば随分と深くまで入るようになったものだ。

 

 ぐちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぱちゅんっ♡ ばちゅんっ♡

 

 腰を自分で突き出しては戻し、時にはシーの身体を引き寄せたりして歳獣が一人の弱点を穿り返す。トントンと子宮口(ポルチオ)を叩けばあっさり絶頂してしまい、クリトリスの裏側にあるザラザラした弱点(スイートスポット)を擦ればぷしゃりと潮まで吹いてしまう。黒髪を振り乱し、額に汗を浮かばせながら赤の瞳を潤ませて、この交わりを愉しんでいるようだ。

 

「あっ、ちょっと待ちなさ──んむっ、ちゅっ……♡」

 

 たまらず唇を奪えばシーの抵抗など形だけで、すぐに舌を差し出してこちらを歓迎してくれた。べったりと舌を合わせて唾液を交換し、貪るようなキスを繰り返す。歳獣の代理人という特殊な出自故か、常人より少し長い舌がよく絡みついてちゅぱちゅぱと音を立てて吸い上げてくれた。

 本人は素直に認めないが、シーの性行為での一番お気に入りは甘々に蕩けさせられることだ。彼女が気持ち良くなれるよう丁寧にじっくり甘やかせば、そこから「大事にされてる♡」と幸せを感じ取ってより敏感に乱れてしまう。まるで夢見がちな少女のように可愛らしい趣味(せいへき)をしていて、とても強大な力を持つ者にも、浮世離れした画家にも思えない。愛らしくも淫猥な美女がそこには居た。

 

「これ、好き……♡ もっとたくさんして、ドクター……♡ んっ、ちゅっ……あむっ、んあっ♡」

 

 深く口付けを続けてキスハメしている内に、シーの瞳はすっかり快楽に溺れてとろりとした光を帯びていた。あまりにも呆気ない陥落、彼女らしくない素直なおねだりが出るまで大した時間は掛かってない。末妹らしく根っこのところに甘えたがりな気があるのだろう。

 もちろん、私としては偏屈で面倒なシーも素直で甘えてくるシーもどちらも好きである。ひたすらズブズブに甘やかして蕩かして、彼女が望むようなエッチをしたいと思っている。さりとて私の方もまた、シーという存在にズブズブなのは間違いなくて──自覚した欲望が腹の下で渦巻き、射精欲として形を成していく。

 

「シー、もう射精()そうなんだが……っ!」

「べつに、構わないわ……♡ あなたの濃くて強烈な精液、全部私が、っ♡ 受け止めて、あげるから……♡」

 

 すぐに射精したら何とやら、と言っていたシーも今はすっかり膣内射精(なかだし)に乗り気だった。貰った許可に甘えて腰を何度もぶつけ、射精欲を限界まで高めていく。その間にも深く舌を交わらせ、指を絡めて握り合い、密着しすぎて互いの境界が分からなくなるほどドロドロに溶けていく。

 腰を打ち据え、柔らかな媚肉を幾度も往復して貪って、シーの女体を堪能する。密着しているせいで豊満な胸がぐにぃ……と歪み押し付けられ、巻き付いた尻尾は「離さないわ♡」とばかりに締め付けていた。ちょっと痛いくらいの束縛だけど、シーがそれだけ求めてくれると思えば興奮へのスパイスとなる。

 

「シー……シー……っ!」

「そう耳元で何度も……♡ 呼ばなくても、っ♡ 聞こえてる、わよ……っ♡」

 

 と言いつつ名前を呼ばれる度にシーの膣内はギュッと締まり、瞳は幸せそうな色を帯びていた。胎内全体がグニグニと一物を締め上げ、精液をねだって生き物のようにうねる様に、ここまで精巣に溜め込んできた精子がいよいよ限界を迎えてしまい──

 

 びゅくっ♡ びゅるるるるっ♡

 

「……っ、すごい勢い、ね……子宮の奥まで精液注がれてるみたい……」

 

 はふぅ、と熱い溜息を漏らすシーの最奥へ、最後の一滴まで全力で射精を敢行した。

 我ながら凄まじい勢いで精子が噴き出して美人画家の胎内を私の色へと塗り潰してしまう。どこまで自分本位なマーキング、布地に白をひたすら塗りたくるような暴挙だろう。だけどシーは満足そうに目を閉じ、びゅくびゅくと射精されるのを味わっているようだった。

 ようやく射精が収まり、密着していた身体がゆっくりと離れ始めた頃、既にシーはいつものどこか気だるげで気難しいような雰囲気を取り戻していた。甘えたがりモードは性行為中だけの限定らしい。

 

「まったく、再会してすぐこんなに射精するなんて……これから体力持つのかしら?」

「君を抱けるならいつまでだって持つさ。むしろ、体力が尽き果てるほど君は私に付き合ってくれるのかい?」

「……余計なことを聞いたわ、今のは忘れてちょうだい。まったくもう、これだけら口先ばかり回る人は嫌いなのよ……」

 

 心底面倒そうに呟きながら、シーは精子が垂れるのも気にせずショーツを履き直す。言葉だけ捉えればあまり歓迎されていないように思えるが、それが彼女なりの照れ隠しで、本心では期待してくれていることを私はよく知っていた。

 

 ◇

 

 シーが人付き合いを好まないというのは、彼女を多少なりとも知っている者なら口を揃えて言うだろう。

 そして口を揃えて言う者自体ごく僅かしか存在しない事実は、偏屈な画家が普段はちっともロドス艦内に顔を出さないという証左にもなる。有り体に評すれば引きこもり、自分の領域(テリトリー)から出てくるつもりが微塵も無いのだ。

 ロドスの廊下で堂々と筆を執り、絵を描いてはその中に消えて閉じこもってしまう。なので彼女の存在は艦内で一種の怪談じみた扱いだし、時折絵の外に出てきては「あの黒髪の不思議な人は誰?」と新入りのオペレーターに騒がれるのも常だった。

 

 付き合いづらく、また本人もその気がない難儀で孤高の存在──それがシーに対する評価だった、はずなのだが。まさかシーとこれほどまでに爛れた関係性を結ぶとは、過去の私に告げても鼻で笑い飛ばされることだろう。

 

「…………朝からまた、絶景だな」

 

 羽獣の囀りと共に目覚めたのだが、寝ぼけまなこに飛び込んできたのは白くむっちりした臀部だ。日焼けを知らない抜けるような白い尻に太もも、その中心部には緩く開いて紅色の中身を曝け出す陰部がある。少し遅れてむっと漂う雌の香りが鼻腔を突いて強制的に意識を覚醒させてくる。

 さらに肉竿は温かい筒のようなもの──つまりシーの口にすっぽり収まり、彼女の舌で先端から根本まで舐めしゃぶられていた。じゅぽっ、じゅぷっと卑猥な水音を奏でてシーは夢中で一物を咥え込んでいる。ちょうど寝転がった私の上に逆向きでシーが四つん這いになっている体勢だ。

 

「んむっ、じゅるっ……まったくもう、寝てても大きいわね……あら?」

 

 ……昨日は確か、シーと会った直後に交わってから、彼女の住まう(いおり)に向かったのだ。それからまた交わろうと思っていたはずなのに、疲れから気付けば寝落ちしていて。結果的にシーを焦らすことになったのは申し訳ない、と思った途端に欲求不満がムクムクと湧き上がった。緩く勃起していた剛直が一気に硬くそそり立つ。

 

「ふん、起きたのね、寝坊助さん」

「すまない、まさか寝落ちするとは」

「本当よ、この私を期待させるだけして放置するなんてね。あなたじゃなければ画中(ここ)から追い出しているところよ」

 

 こちらが起きた事に気付いたシーは、肉棒を責めながらこともなげに言葉を交わす。普段と全く変わらない態度で、おはようフェラをしている事への羞恥は感じられない。それが当然とばかりに肉竿を舐めつつ僅かに腰を下げると、しっとり濡れた綺麗な割れ目をアピールしてきた。

 

「まさか一人だけ気持ち良くなろう、なんて思ってないでしょうね? そういう態度はあまり感心しないわ」

「おや、心外だな。待たせたお詫びにこれからたくさん君を善がらせようと思っていたのに」

「……そう、なら口だけじゃないことを願うわ。頑張ってちょうだいね」

 

 呆れたような調子ながら、その言葉には隠し切れない期待の色が含まれていた。こういう色事に興味の無さそうな澄まし顔をしていながら、シーは最初から性行為に積極的だ。普通なら恥ずかしがる行為でも自分から求めてくれる、言わばむっつり的な性格で──本人に言えば怒られるから黙っているが、行為を愉しんでくれてるのは嬉しい限りだ。

 ともあれ、差し出された秘部は間違いなく魅力的だ。やや濃い目に茂った漆黒の叢は汗と愛液でうっすら湿り気を帯び、しっとりと白い肌に張り付いていた。柔らかそうな陰裂はとぷりと愛液を垂らし、少し大きめの陰核がフードからチラリと顔を覗かせている。成熟した大人の女性の性器であるが、割れ目の途中からは完全な無毛地帯が続いており、それは美しい円形を保つピンク色の窄まりまで例外では無かった。

 

 しっとり潤んだ膣口へそっと舌先を伸ばす。まるで岩の裂け目から滴る水滴を求めるように、貴重で美しい水源へと口付けた。

 

「んっ……♡ そこ舐められるの、好きよ……っ♡ あっ、んっ♡」

 

 じゅるじゅると卑猥な音を立てながらシーの割れ目へ吸い付く。白い陰裂はぷっくりとして柔らかく、舌で簡単に押しのけられる繊細さ。しかし膣口へ差し込んだ舌先はとても熱くて、とろりとした愛液が舌を伝って喉へと流れた。あまりにも濃い雌の香りで肺が満たされむせ返りそうだ。

 乾いたスポンジが水を吸い込むかの如く、シーの愛液を求めて舌愛撫が止められない。性器へ鼻先を埋めてむしゃぶり付き、ほんの一滴でも多く彼女の秘蜜を貪ろうとする。その度にシーが控えめに嬌声を響かせてくれて男の自尊心が擽られた。

 

「やっ……あっ……♡ 気持ちいい、けど、んあっ♡ やられっぱなしなのも、っ、癪だから……んむっ、れろっ」

「ちょっ、シー……!」

 

 性器を舐められて中断されていたシーのおはようフェラが再会され、一物にぬるりとした快感が走った。ちょっと長めの舌が竿に温かく絡みついて離れない。とろぉ……と垂らされた唾液でコーティングされ、窄まった唇が精巣に詰まった精液を吸い上げようとしてくる。根本から先端まで執拗に舐められ、口内の温もりに優しく慰撫されて心地よい。

 以前は歯を立てられて快感どころじゃなかった頃もあったが、今では気を抜けばすぐ射精へ導かれるほどフェラチオが上達していた。このままでは数分持たずにイかされる予感があったので、責め手を弱める意味も込めてもう一度シーの秘部へと舌を伸ばした。今度は両手でお尻をがっちり掴み、柔らかな尻肉をこねながら舐め回す。途端にビクビクと細い腰が震えるのだから、やっぱりシーは快感に素直だ。

 

「ちょっと……! またお尻まで、んむっ……触るなんて。変なところは、あむっ……ちゅっ……触らないでちょうだい……」

「変なところというのは、つまり()()かい?」

 

 敢えてぼかされたその場所──つまりシーの菊門へ指を這わせた。そっと表面をなぞるだけでも効果は覿面で、「ひゃうっ♡」とらしくない嬌声が彼女の口から飛び出した。突然の暴挙に抗議のつもりか尻尾がペチペチ叩いてくるが、それも大して力は入っておらずふにゃっと可愛らしい抵抗。

 

「君はお尻が弱い、というよりお尻()弱いからな。同時に責められたら堪らないだろう?」

「そ、そんなこと……っ♡ ない、わよ……っ、あんっ♡ だからそっちは止めなさいって──ひぐっ♡」

 

 などと巨匠様は述べているが、シーのアナルを開発したのは私だし、「変態ドクター」だの「ありえないわ」だの散々言いつつ結構興味津々に開発されたのはシー自身だ。おかげで誰に見せても恥ずかしい性感帯に成長(かいか)した肛門は、今も触ってほしそうにピンクの花弁をヒクヒク震えさせていた。

 指でこねるように表面をなぞり、押し込み、グニグニと淵周りを刺激しながら、舌先は変わらずシーの割れ目へ沿わせていく。アナル責めも加わったことでいよいよぐしょ濡れとなった秘裂は、ほんの少し舌で押し込むだけで蕩けるように蜜を零した。本当に、頭に毒なほど雌の香りが濃い。

 

「んむっ、じゅるっ……っ、二か所同時は……っ♡ やめなさい……!」

そう言われてもな(ほうひはへれほは)

 

 舐めれば舐めるだけ陰核がパンパンに膨らみ自己主張し、菊皺を苛めるほどに柔らかくほぐれて簡単に直腸(おく)へ招かれそうなのだ。シーの女体が二穴責めを正直に悦んでいる以上、ここで責めの手を緩めるなんて鬼畜の所業は出来そうにない。

 言っても止まらないと察したか、シーも本腰を入れて肉棒へしゃぶり付いた。しかも豊満な胸で挟み込み、グニグニと乳圧をかけながら亀頭を舌でチロチロ責めてくる。こちらの好みを知り尽くした手管はすなわち、彼女がそれだけ私と交わりフェラをしてきた証左であり。シーのような美しく気難しい女性が夢中で男性器に奉仕するシチュエーションだけでも十分に興奮を煽ってくれた。

 

 じゅぽっ、じゅるっ……ぐにぐに、むにゅっ♡

 

「まったく、もう……っ、あなたの大きすぎて、顎が外れそうなんだから。早く射精してしまいなさい……っ♡」

「君の方こそこんなビショビショにして、私をここで溺死させるつもりか? ちょっとは我慢してほしいものだ」

「仕方ないでしょ、だって──」

 

 何かを言いかけたシーはわざとらしく「ごほん」と咳払いすると、誤魔化すように肉棒への奉仕を再開した。さっきより熱心にぐぽぐぽ水音を立てて喉奥まで飲み込んでくれて頭が真っ白になりそうだ。

 ……素直に気持ちいいからと白状すればいいのに、やっぱり素直じゃないのがシーの可愛いところだ。なので本音を出してもらうべく、こちらもグイグイとシーの性感帯を責め立てた。自己主張する陰核の皮を優しく剥き、唾液を絡ませた舌でねっとり包み込む。お尻に食い込ませた指で尻肉を揉みながらアナルをスリスリと擦り、その間に膣穴にも舌を差し込んでの二穴責めだ。

 

「だめっ、そこばっかり……っ♡ やめて、ちょうだい……おかしくなる、から♡」

「おかしくなる、とはどうしてだい?」

 

 菊皺に這わせた指をグイっと押し込むとシーの腰がビクッ! と大きく跳ねた。ぷしゅりと緩く潮が吹き出て私の顔へ派手に吹きかかる。気にせず彼女の陰部に吸い付くと堪らずといった様子で白状してくれた。

 

「言う、言うからっ! あなたに舐められて、気持ち良くなってるのっ♡ ほら、これで満足かし──ひゃうっ♡ ちょっ、なんでまだ続けるのよ……っ♡」

 

 それはまあ、ここまで来て引き下がる選択肢などあり得ないので。と、心の中でだけ回答しておく。喋るよりもシーの身体を味わう方が優先だった。悶えるシーの姿に嗜虐感を満たされているものの、実はこっちもこっちでシーの奉仕により射精が近いのだ。

 互い違いに重なった姿勢でお互いの陰部を舐め合い、性感を高めてどっちが先にイくかの競争にして我慢大会。画中といえど朝から裸で交わって、濃い交わりをするなど爛れているにも程がある。だけどそれが気持ち良さの根源でもある訳で──チュッ、と陰核を吸い上げた途端に、とうとうシーの限界が訪れた。

 

「んぐっ、あ゛っ♡ 大きいの、来て──♡ イ゛、く……っっ♡♡」

 

 しゃぶりながら濁った嬌声をあげ、ぶしゃりと潮吹きしながらシーは絶頂した。まるでお漏らしのように溢れてくる潮に口内を塞がれてむせ込みそうだ。中毒になりかねないほど濃い雌の匂いと味を直に叩き込まれ、一瞬でこちらの射精欲も振り切れてしまった。

 シーの舌に絡めとられていた一物の先端から、びゅくっ、びゅるるるる……っ! と凄い勢いで精液が迸った。たった一晩射精しなかっただけでどれだけ製造されていたのか、自分でも驚くような量だ。

 

 けれど何より良かったのは、それだけの射精欲をシーが余さず受け止めてくれたことだろう。

 

「んくっ、んっ……なによ、この粘っこいのは……んぐっ、ごくっ……けほっ、こんなの、飲み切れるわけ……♡」

 

 口では文句を言いながらも亀頭を咥え込んだまま離さず、吐き出される精液をシーはひたすら飲み込んでくれていた。何度も喉を鳴らして白濁を嚥下し、むせそうになりながら受け入れてくれる。あのシーが懸命に精飲奉仕してくれる興奮だけでもう一度射精できそうだ。

 そのまま思う存分欲望を吐き出し切って、やっと射精は収まった。のっそりと起き上がったシーは口元だけでなく綺麗な黒髪まで白濁で汚れていて、こちらを見る赤い目は怒りとも呆れともつかない色を帯びている。

 

「…………このケダモノ、節操無し」

「わ、悪かったよ。ちょっと溜め込んだだけでこんなになるとは思わなかったから」

「それにしても限度はあるわよ……でも、今のあなたって──」

 

 しげしげと私を眺めたシーの口元が僅かに弧を描き、面白いものを見つけたような表情に。

 

「ぐしょ濡れで酷い顔をしてるわ。あまりにも情けなさすぎて一筆描いてみたくなるわね」

「……それこそ誰のせいだと思ってるんだ」

「アーアー、キコエナイワー」

 

 わざとらしく耳を塞いで知らんぷり。散々潮吹きして私の顔にぶっかけたのはシーだというのに、まったく酷い言い草だ。理不尽への反発心と絶頂したばかりのシーの色気にあてられ、またもムクムクと肉棒が膨らんで第二回戦を始めようと準備し始めたが──

 

「今はダメよ」

「どうして」

 

 ピシャリと告げられて意気消沈してしまう。シーもこのままダラダラと交わるのを望んでくれると思ったのだが。

 

「こんなベタベタの身体であなたと交わったら大変な事になるもの。第一あなた、昨日だって身を清めもしないで寝てるでしょう? そんな人と肌を重ねるなんてゴメンよ」

「ああ……それは確かに。すまない、配慮が足りなかった」

「別にいいけどね。ほら、さっさと行きましょう」

 

 スッと立ち上がったシーに手を引かれ、風呂場へと連れて行かれてしまう。だけど考えてみれば、その風呂に入っていない男の肉竿をシーは美味しそうに舐めてくれていたのだが……たぶん指摘したら文句を言われるのだろうな、これは。気付かなかったことにしておこう。

 

 ◇

 

 そもそもシーと肉体関係を持ったのは何故だろうか?

 自分で考えても劇的な切っ掛けは無かったはずだ。告白をした、されたとか、そういう甘酸っぱい関係ではない。恋愛的な関係とは無縁だった。

 確かに性格的な相性は悪くない。シーは度々兄弟姉妹から逃れて執務室にやって来たし、その際に我が儘を言ったり自由に振舞う彼女の事が私は不思議と嫌ではなかった。逆にこちらも彼女の独特な思考や言葉を聞くのが興味深かったものだから、それが普段人と喋らないシーにも意外と悪くないものだったらしい。

 

 ただ、今の関係になった契機は思い当たる節がある。シーが執務室にやって来るのも珍しくなくなったある日、疲れ切った私が何気なく呟いた「時間とか立場とか気にせず休みたい」という言葉。それをシーに聞かれた時、珍しく彼女から提案してきたのだ。

 

『それなら、私の画中に囚われてみたりする?』、と。

 

 最初は半信半疑だった。以前にシーの画中に迷い込んだ者の話も聞いていたから、多少の不安があったのは否定できない。だが疲れ切っていた当時の私は何も考えず彼女の誘いに乗ってしまい……翌朝気が付いた時には、全裸のシーと裸で同衾していたのだった。

 どちらから関係を持ちかけたのか、正直覚えていない。だけどおそらく私が誘ってしまい、それをシーが断らなかったのだろう。シーは厭世的で達観した物言いが多いが、あれでも入れ込んだ相手にはとても親身に接してくれる人だと付き合う内に分かっていた。その行為に付け込むような申し訳なさと、彼女にそれだけ気に入ってもらえた喜びが同じだけあった。

 なし崩し的に始まった肉体関係だが、幸いこの関係に亀裂が入る予兆は無い。お互いにこの関係を愉しんでいるというか、むしろ私にとって数少ない癒しの時間にすらなっている。

 

「ふー……温かい湯船に浸かると生き返る気分だ」

 

 そんな私たちは今、シーの絵巻の中に作られた炎国様式の湯船に入っていた。木と石で囲まれた素朴で温かみのある浴室。そこにたっぷり張られた湯へと身を預け、ジンワリ芯まで暖めてもらう。寝起きでシーとイかせ合いをした後、まだ寝ぼけ気味な身体にちょうど良い温度だ。

 

「あなた、それは老人臭いわよ。司歳台の年寄りじゃないのだから」

「そうだった? でもロドスでも中々熱い湯に入るってできないからなぁ……」

 

 記憶を失くす前は入浴文化のある地域に居たのだろうか? それぐらい風呂に入るとリラックスできるというか、心も身体も休まるのだ。ロドスだと節水事情もあって難しいが、シーの絵巻の世界ならその配慮も必要ない。どういう原理で水があるのかは知らないが、実は墨という事も無いだろう。

 それに、だ。身体を包み込んでいるのはお湯だけではない。何の疑問も抱かずシーと一緒にお風呂に入っているが、ただ身体を洗い合っただけではなく、実は湯船に浸かっているこの時も結合したままだった。

 

 ずちゅ……ちゅっ、ぐちゅ……♡

 

 対面座位で向かい合ったままもぞもぞと腰を動かす。自由に激しく打ち付けられないもどかしい交わり。ゆるゆると締め上げられた一物から微弱な快感がじんわり広がって心地よく身体中へ広がっていく。

 相変わらず長いシーの尻尾は甘えるように私の身体へ巻き付き、それでも足りないのか細い手足が背中に回って全身で密着する。肩に預けられたシーの顎と、そこから微かに漏れる淫靡な嬌声。水中から僅かに聞こえる粘着質な擦過音。胸板に押し付けられて潰れた豊満な胸……温かな湯船の中、もっちりとした女体をこれでもかと堪能する。

 

「んっ、ふぅ……ただでさえあなたのは熱いのに、灼けた鉄棒でも挿入されてるみたいね」

「君だって随分と身体が熱いじゃないか。密着してるだけで火傷しそうだ」

「そんなこと……ニェンじゃあるまいし……んっ、あっ♡」

 

 固く抱き合ってるせいでまともに身動きできない中、どうにか腰を僅かに突き上げてシーの子宮口(ボルチオ)を叩いた。ほんの児戯に等しい刺激だったがシーは素直に感じてくれて、膣内がキュッと締まって肉棒をあやしてくれる。快楽で涙目になった赤い目と視線が合い、静かに唇を重ねて唾液を交換し合う。

 

「ちゅっ、んむっ……あむっ、ふぅ……♡ 悪くない、わ」

 

 ぷはぁ、と唇が離れると名残惜しく銀の橋が架かった。風呂場の湯気で少しぼやけた、頬を赤く染めるシーの表情が艶めかしい。

 

「褒めてもらえて何より。もっとキスしていい?」

「好きになさい、私も勝手にするから」

 

 そう言って今度は私の肩に緩く噛みつくと、歯型やキスマークのマーキングを残し始めた。肩から首筋までいたる所に赤い痕を付けられる。ほんの僅かな痛みと気恥ずかしさを代償として、自分自身がシーの所有物になった背徳感が凄まじい。言葉はあまり飾らないクセに性行為中は甘やかなものばかり好む姿がとても可愛らしい。

 ならば私も、と負けじとシーの白く細い首筋へ吸い付いた。目の前にちょうど差し出された美しいうなじへ恭しいキスを落とし、花弁を振り撒くように痕を付けて回った。そうするとシーにも対抗心が芽生えたのかいっそうキスマークを量産してきて、結果的に互いが互いの所有権を主張し合っているかのよう。

 

「ふふっ、これであなたは私のものね。これだけ痕が有ったらもう他の女には見せられないわ」

「心外だな、君以外の女性と交わる気も無いのに。シーの方こそ、こんなものを見せれば他の男に嫉妬されるだろう」

「…………冗談でも不愉快なことだってあるわよ、ドクター。他の男と寝るような、尻の軽い淫売のように言わないでちょうだい」

「私も同じ気持ちだから、ここは一つお互い様で手を打っては──」

 

 言い終えるよりも先にシーの方から唇を奪ってきた。勢いよく舌を差し込んで私の口内を蹂躙し、その長い舌でこちらのベロを絡め取って離さない。傍からみればシーに捕食されているように見えるだろうか。口調こそ静かに怒っているものだったが、その実シーの口付けには繋ぎ止めようとするなりふり構わなさがある。時折コツンと頭に当たる緑色の角が彼女の必死さを物語っていた。

 

「んむっ、はぁ……♡ ほら、これで分かったかしら。残念ながら私はあなたが思うほど他人に興味が無いの。あなたの事だって、ふざけた言葉を並べるなら見限ってしまうかもしれないわ」

「心配しなくとも、私は君のものになっているから大丈夫だよ」

「回答になってない気がするけど……まあいいわ、殊勝な心掛けね。なら許してあげる」

 

 主導権を握りたがる割に、どこか受け身で心配性なシーは、尊大な言葉と裏腹に安心した様子で頬を寄せてきた。彼女はこれでも意外と独占欲があるというか、気に入った相手を繋ぎ止めたいのに素直な言葉を向けられないいじらしさがある。その機微を拾える人間で良かったと自分で自分を褒めたい気分だ。

 なのでご褒美を、と思いながらシーの身体へ好きなように手を伸ばした。会話して、キスをしていた時もがっちり彼女の尻尾と腕に拘束されたまま、性器を結合させたままなのだ。ぬるくなりそうもない熱々の湯船に浸かり、白い柔肌を手で撫で回す。まるで天女を抱いてるような心地で、どこに触れても素晴らしい。とりわけ艶やかな黒髪が湯船に広がる様は、漆黒の河川が流れるようだ。

 

「綺麗だな、君の髪は。墨よりも黒い、吸い込まれそうな深い色だ」

「あなたにしては悪くない表現ね。褒めてあげてもいいわ」

「でも湯船に浸けると髪が傷むと聞いたことがあるが」

「別に平気よ、これでも身体は頑丈なんだから。これまでずっと傷んだことないもの、気にしたこと無いわ」

 

 そういうズボラさは引きこもり気質なシーらしい。だけど実際何もせずとも彼女は珠のように美しいのだから、気にする必要など本当に何も無いのだろう。世の女性が聞けば嫉妬しそうな存在だ。

 いじらしくも愛らしい極上の美女を抱ける喜びを噛みしめつつ、じっくり煮込まれ焦らされた性欲を徐々に発散しようと腰を動かし始めた。再三になるが今はシーの全身ががっちり抱き留めてきていて、自由に動ける余地はほぼ無い。だけどそれ故に密着度合は凄まじく、きめ細かな肌の大部分へ直に触れることが許されていた。

 

「シーの身体、吸い付くみたいに滑らかで……ずっと触ってたいし挿入してたい」

「はぁ、私だから良いけどそういうの、世間一般では気持ち悪いと後ろ指を指されるものじゃないかしら?」

「驚いた、まさか君に世間一般を語られてしまうとは」

「ちょっと、どういう意味よ」

 

 ギュッと尻尾と膣の締め付けが強まって、苦しさと快楽が同時に押し寄せてきた。それならと私もゆっくり腰を動かし、可能な範囲で腰を上下に振り始める。今は肉棒が膣内をピッタリ埋め尽くしているから、ほんの僅かに動くだけで彼女の胎内をすべて擦り上げることが可能だ。

 僅かに腰を揺らすだけでぐちゅ、ぞりゅ……♡ とくぐもった音が体内から響いてくる。よく濡れたシーの膣内は襞がうねって奥まで肉竿を導き、周囲の水温に負けないほどホカホカで柔らかな扱き穴となっていた。

 

「んっ、あっ……♡ お湯の中なのにお盛んなこと」

「嫌ならこの尻尾と手を離してくれれば、のぼせる前にあがるけど」

「……嫌とは言ってないわよ、別に」

 

 むしろもっと強く手足が絡みついてきて、「もう絶対立てないよねこれ?」という束縛っぷり。こんなに求めてくれるなら男冥利に尽きると思ってトントン♡ と子宮口をノックした。歳獣の代理人といえども性感帯は一般人と同じようで、シーの場合は最奥を優しく甘やかされるのが好みだ。

 基本的にシーの好みは穏やかで甘やかなエッチだから、あまり激しく動くことが少ない。なので今見たいに抱き合ったり、手を繋いだりキスハメしたり、落ち着いた交わりが常になる。普通なら物足りないと感じる所だろうが、そこはシーの身体が良すぎるというか……豊かな胸に名器と呼んで差し支えない性器、整いすぎた物憂げな美貌を前にしては些細な問題にしかならない。

 

 ぬちゅ……ちゃぷん……ぐちゅん……♡

 

「はぁ♡ んっ、ぅあっ……♡ そこグリグリされるの、いい……♡」

 

 水位の上がった水面が波打ち、ザパリとお湯が零れ落ちた。彼女の尻尾の先端が快感を表するように揺れたのだ。龍の身じろぎに耐えきれないのはお湯も私も同じことで、キュッと締まった膣内に思わず意識を持っていかれかけた。

 まだ射精する訳にはいかないと歯を食いしばり、シーの反応を見ながらじっくり絶頂へと導いていく。首筋にもう一度キスマークを付け、大きな胸の先端にある赤い果実を優しく()んだ。コリコリして甘い味の乳頭を舌で転がす度、シーの小さな口からは押し殺した嬌声が漏れていた。

 

「そんなに吸ったところで……っ♡ 墨の一滴だって、出やしないわよ……♡ んっ、ちょっとっ♡ 聞いてる、の……ぁっ♡」

「吸いたいから吸ってるだけだ。それに甘くて美味しいよ、母乳が出なくたって最高だ」

「何よそれぇ……♡ はぁ、もう好きにしなさいな、満足するまで付き合ってあげ、るっ……からぁ……♡」

 

 代わりに視線でキスをせがまれたから、お礼とばかりにキスハメする。シーと交わる時は何回でも求められるだけキスするが一向に飽きる気配が無い。美女は三日で飽きる、という言葉に信憑性など皆無だ。この巨匠様となら何度でも交われるし、一日中キスしたって翌日はまた同じことをできるだろう。

 先ほどまで弄っていた胸は口の代わりに指を派遣し、膨らんだ先っぽをクニクニと揉んで刺激する。ついでにもう片手はシーの背中に回すと、背筋を伝って下へと向かわせた。もっちりしたお尻に掌が触れた途端にビクン! と女体が跳ねたが、幸い特に抵抗することは無かった。

 

「……いいけど、優しくしてちょうだい」

「もちろん。丁寧にじっくりやる、痛いなんて絶対思わせない」

 

 返答は無かったが代わりにシーの身体から力が抜け、上半身をぐったりこちらへ預けてくる。それを同意と見なして、彼女のお尻に奥にある窄まり──菊皺に指先を触れさせた。少し前に弄ったばかりだから、軽くなぞるだけで嬉しそうにヒクついて。そっと指を押し込むと大した抵抗もなくヌプヌプと直腸へ潜り込んでしまった。

 

「すごっ、熱いな……」

「ふっ、うぅ……♡ やっぱりこれ、変な感じ、して……っ♡」

 

 シーの開発済みアナルはとても狭く、また膣以上に熱い。指先をほんの少し挿入しただけでこれなのだから、一物を後孔へ入れた時はどうなるか。既に経験済みでも想像だけで生唾を飲む甘美な誘惑だ。

 しかし今は膣に挿入した状態なので後ろ弄りはあくまで余興、追加のオプションみたいなものである。なので浅く挿入した指で軽く出口(いりぐち)周りをかき回す程度に留め、メインとなる子宮口(ポルチオ)責めを再開する。トン、トンと大事な部屋をノックするだけでシーの表情が蕩けてしまった。

 

「あっ♡ あっ♡ それっ、すきっ♡」

「気持ちいい? なら良かった」

 

 徐々に喘ぎ声を隠さなくなり、素直に快楽を伝えてくれる甘えたモードになり始めた。前と後ろの二穴責めはちゃんと効果があるようで、安心しながら責め手を緩めず続けていく。ついでに胸を弄っていた手は水中でけぶる叢を掻き分け、ピンと勃った陰核も擦ってみる。

 

「ん゛っ♡ そこ、強すぎるからっ♡ まってドクター、お願いだからっ♡ イっちゃ、う……っ♡♡」

「うおっ」

 

 雌芯へは軽く触れた程度だったのに、効果は驚くほど劇的だった。シーの絶頂に合わせて一物がギューッ♡ と締め上げられ、精液をねだる子宮が下りてくると「いっぱい射精して♡」とおねだりしながら亀頭へ吸い付いてくる。子宮口の輪っかに嵌めこまれた先端が優しく、けれど強固にロックされ、もはやシーの子作り袋へ膣内射精(なかだし)するしか許されなくなってしまった。

 もちろん、それだけ求められて燃え上らないはずもない。イったばかりのシーには酷だが、動ける範囲でより強く腰を動かして快楽を拾っていく。ぐちゅ♡ どちゅ♡ と粘り気のある水音が水中から響き、狭い浴室に木霊して脳を桃色に揺さぶった。菊門へ挿入した指も合わせてゆっくり前後させ、反射で膣が締まるのを誘引して射精サポートに徹させる。

 

「んっ、ちゅっ……あむっ」

 

 温かなお湯に包まれ、柔らかく滑らかなシーの肌に触れて、全身余すところなく触れ合いながら、今もまた飽き足らずキスをして。疲れなどとうに吹き飛ぶような快感、思考まで溶け落ちそうな幸福の中、やっと認識できたのは射精欲求がすぐ傍に迫っていることだけだった。

 

「ぐっ、もう射精()そうだ……っ!」

「んっ♡ ドクター……奥に、全部……♡」

 

 キスをしながらだから、互いの言葉が本当に音を為していたのか分からない。

 それでもこの時は私の訴えもシーの言葉も、確かに通じ合った確信があった。シーの両足が強く締め付けられ、細い腰が肉竿を限界まで飲み込み打ちおろさせた。子宮をグッと持ち上げる勢いで突き刺さった肉の槍は、うねる膣襞に握り込まれ一瞬で限界を迎え、彼女の最奥へ欲望を吐き出してしまうのだった。

 

 びゅくっ♡ びゅるるるるっ♡ びゅーっ♡♡

 

 ドクドク脈打つ肉棒から精液が噴き出し、孤高の画家の胎内へ他者の足跡を残していく。その熱にあてられた蜜壺がいっそう強く締まり、一滴でも多く搾り取ろうと密に蠢いていた。

 

「あっ……♡ 精液、お湯よりも熱い、わね……すごい量が注がれて、あたたかい……」

「はーっ、はぁ……こんな射精できるなんて、思ってもなかった」

「あなたって本当にその……性豪よね。普通の人はあなたの性欲に付き合えないんじゃないかしら」

「だとすれば、私は君にしっかり感謝しないとな」

 

 笑い含みに応えると、シーは「当然でしょう」とばかりに頷いた。

 

「この交わりだって胡蝶の夢かもしれないわ。肌の温もりだって、目を閉じて開けば嘘になってるかもしれない……それでも私は、あなたに付き合ってあげてるのだから」

 

 これが現実なのか、あるいはシーの画中に描かれた架空の快楽であるのか。

 彼女らしい理屈だが、あいにく今更そのように小難しい話を論ずる気は無い。ただ結論としてシーがこうして交わり癒してくれるのは事実だから、感謝を示すために深く口付けするのだった。

 

 ◇

 

 シーの画中に滞在するのは、ほとんどの場合内部の時間で二日程度だ。

 日が昇り、月が出るのを見て、また日が昇り、月が出て、翌日の朝に文字通り現実へと戻っていく。いや、きっとシーが作ったこの世界も現実に相違ないのだが、私にとっては現実味のない極楽そのものだった。

 認識の話はともかく、数日単位で滞在しているので当然シーといる時間は長い。絵巻の世界で本当に生きて動いているのはわたしと彼女くらいのもので、後は画家の作った人間だったり不可解な生き物だったり……彼らも普通に会話ができたりするが、やはり違和感は拭えない。

 

「はぁ……もう夜か」

 

 なのでほとんどの場合、私はシーのいる庵から出ずにゴロゴロして過ごしていた。たまに散歩に出る程度で、あまりにも怠惰で気儘な生活っぷり。ちょっと自分でもどうかと思うがたまの休みくらい許してほしい。

 当然その間もシーとは何度も交わっているが、常に繋がりっぱなしではない。滅多にないが彼女の気が乗らなかったり、次なるアイデアが浮かべばそちらを優先する。そういう場合は今のように、一人でのんびり過ごすのだ。

 

「随分怠惰な姿じゃない。私よりもここの主に相応しい振る舞いね」

「おや、シーか……あれ、その恰好は」

 

 現れたシーの装いは炎国の伝統衣装を模したドレス姿となっていた。蒼色を基調とした優美なデザインながら、深く入ったスリットから覗く生足が艶めかしい。美しくも妖艶で、視線を釘付けにする魔力の宿った姿に思わず食いついてしまった。

 

「なによ、その目は。たまには着てあげようかなーと思ったのだけど、余計なお世話だったかしら」

「いやいやまさか、とても嬉しいよ。君のその恰好はよく似合って美しい」

「ありきたりね。もう少し言葉を凝らしてちょうだいな」

 

 両足を揃えて優雅に座ったシーは、こちらを見つめてそっと囁く。

 

「明日の朝には戻りなさい。その代わり、今夜は好きなようにさせてあげる」

「いいの?」

「私がそう言ってるのよ、ありがたく受け取っておきなさい」

 

 偉そうに宣うわりに長い耳は真っ赤になって、羞恥を隠せていなかった。自分から誘うのはやはり恥ずかしいようで、何度交わっても初心さの抜けない様子につい微笑んでしまう。

 それなら、とシーに提案する。「自分がしてほしいことを素直に教えてほしい」と聞いた彼女は困ったように視線を逸らした。言うべきか、誤魔化すべきか、数秒の逡巡を経て結論を出す。自分から手と膝を床に着いた四つん這いの体勢になると、近くにあった敷物に顔を埋めた。

 

「なるほど、分かった。確かに弄るばかりで()()()は使ってなかったからね」

「うるさいわよ、分かってるなら早くしなさい……! 気が変わっても知らないから」

「ならありがたく」

 

 シーとエッチする際は顔が見える甘々体勢とプレイが基本となる。が、唯一例外となるのは後ろの穴で交わる時だ。その場合のみ「顔を見られるのは恥ずかしいから」という理由で後背位だったり後背側位だったり、とにかく背後から交わるのを許してくれる。

 逆に言えば、自分から四つん這いを選んだということは、「今夜は肛門性交(アナルセックス)がしたい♡」というお誘いに他ならず……じっくり躾けた後孔を気に入ってくれたようで嬉しい限りだ。

 

 微かに開かれたシーの両足の間で、前後を隠す長い布地──前垂れと後垂れと呼ぶのだろうか?──が床に落ち、瀬戸際で陰部を隠している。しかし秘部を隠す大役を任されるにはあまりに儚い防備だ。欠片ほどの抵抗もなく簡単に退かされてしまうと、その下に秘められた美女の秘密を曝け出すのだった。

 

「うわっ、すごいエッチ……」

「──っ!? ちょっと、感想を言う必要ないでしょ!?」

 

 恥ずかしそうに文句を言われるが、これは仕方ないだろう。なにせシーの付けていた下着はほぼ紐みたいな黒いショーツで、真っ白い臀部が丸だしとなった男を誘うデザインなのだから。レース生地の下着は背面ばかりか前面まで守りが薄く、うっすら恥丘や陰毛まで透けて見える過激さだ。

 確かに、このドレスの構造からして普通の下着だとラインが浮き出たり見えてしまう問題はあるだろう。理屈ではこれがベストだと理解するが、でも行為前にこんなエッチなショーツを付けているのを見てしまったら……ましてやオシャレに興味無さげな彼女が選んだと思えば興奮もひとしおだ。

 

「こんなの付けて、明らかに誘ってるじゃないか。というかこれ、自分で用意したの?」

「……黙秘するわ、好きに想像なさい」

「そうか、じゃあ身体に聞いてみるしかないね」

 

 尻肉に食い込んだ紐を持ち上げて横にズラせば遮るもののない谷間がすぐ目の前にあった。シミ一つない美しい臀部の谷間、その奥に咲いた可憐なピンクの花弁がよく見える。何度も肉棒にほじくられ貫かれたとは思えぬ綺麗な円形を保ち、汚れの欠片も無い清潔で清楚な佇まいを維持している。

 性器ではないが、しかし性器に等しい魅力を放つ魔性の菊花。あたかも蜜へ群がる羽虫の如く、気付けば吸い寄せられるように唇を重ね合わせていた。

 

 れろっ……じゅるるるる……ちゅぅっ♡

 

「そんなとこ、口付けなんてダメ、よ……♡ んっ、ふぅっ♡ うあ゛っ♡」

「こういう時のシーは顔を隠しちゃうから、代わりにこっちにキスさせてくれ」

 

 いつもキスハメするのと同じ要領で後孔の皺を一本一本舐め回す。唾液を潤滑剤代わりにして舌を押し込み、柔らかくこなれた肛肉をくちくちと音を立ててほぐした。シーも口では文句を言いながらも抵抗は一切せず、むしろ無意識に腰を持ち上げて私へ押し付けてくる始末。もっと可愛がってほしいと無言で訴えられ、よりディープキスへの情熱も高まった。

 どこか甘い味のする下の口を存分に堪能し、濃厚なキスを何度も繰り返した頃には、何もせずとも自分から緩く開いた淫猥な尻穴が完成していた。黒い空洞の奥は底が見えないほど深く、出口となる肉輪部分がヒクヒクしながら雄を誘っていた。そこへとろぉ……と唾液を垂らすと腰がビクリと跳ね、美味しそうに奥へと咀嚼し飲み込んでいた。

 

「ちょっと舐めただけでもう準備万端だね」

「誰のせいだとっ♡ 思って、いるのよ……おあっ♡ 指、いきなり入れないで……っ♡♡」

「おっと」

 

 つぽっ♡ と指を一本入れてみれば尻尾がうねって頬を(はた)かれかけた。反射的な動きとはいえぶたれたら大変だと、もう片手は太い尻尾の根本に添える。服に隠れた生え際に軽く力を入れて擦ってあげると簡単に尻尾は大人しくなり、ふにゃりと腕に巻き付いてこようとするのだった。

 暴れ龍の尻尾を宥めたらちゅこっ♡ ちゅぽっ♡ と音を立てつつ具合をチェック。指先で直腸のツルツルした壁をなぞり、奥の方をトントン叩いて『これから挿入するからね』と宣言する。

 

「んっ、ふっ……あっ♡ ずいぶん、ねちっこい……わね……ぁうっ♡」

 

 悶えるシーの身体からは徐々に力が抜け、尻穴責めを受け入れる体勢が整い始めた。最初は四つん這いだった体勢も気付けば上半身が伏せられ、ぐったりしながら腰だけ持ち上げた状態になっている。まるで私に対して秘部を捧げているかのようだ。

 先の舌責めできちんとほぐれ、細い指一本程度では全く問題にならないことを確認したら、にゅるんっと指を引き抜いた。急にできた空洞を埋めようときゅうきゅう閉じようとする括約筋は、とてもじゃないが満足しているようには見えない。『もっと太いのを頂戴♡』とおねだりするようにヒクつき、丸くピンク色の秘穴を差し出し捧げていた。

 

 こんなものを眼前にさらけ出されて我慢できるはずがない。いきり勃った肉棒の根元を掴み、タラりと垂れる愛液を潤滑油に塗り付けてから亀頭をアナルへとあてがった。ぷにぷにの出口(いりぐち)に対して大きすぎる亀頭がいっそ暴力的な交わりを想起させるが、決してそのような真似をする気は無かった。

 

「シー、挿入()れるよ」

「……勝手にしなさい。痛くしたら、怒るから」

「善処する」

 

 ぐったりと脱力し、諦めた様子で私の欲望を認めてくれるシーは、まるで天から堕ちた哀れな仙女のようだ。伝統的ながらも妖艶で美しい衣装に身を包み、墨を流したような黒髪を褥に拡げて、神秘的な角と赤い瞳を持つ絶世の美女。それがひ弱で欲深な人間に囚われ、ついには不浄の穴すら貫かれるという悲劇的なストーリーを連想させた。

 

 ぐっ……ぐぐぐっ、ぬぷぷぷぷっ……!

 

「んぐっ……! お゛っ、あぁ゛っ……ほんと、おおきすぎる、わよ……っ♡」

「痛かったり辛かったりする?」

「……へいき、よ……♡ んあ゛っ♡」

 

 まずは亀頭だけずっぽり肛穴へ押し込むと、キツキツの穴がふわりと開いて直腸(なか)へと招いてくれた。指でほぐした際はまだ空間に余裕があったものの、剛直を挿入した今は内部がみっちり詰まってかなりキツく感じる。余裕がなくギリギリ雄を頬張っている様はふんわり包み込んでくれる膣内とは真逆の印象だ。

 開発済みアナルといえど無理をさせれば壊れてしまう。いや、シーの身体は頑丈だろうけど万が一があってはならない。だからねっとりねちっこく、亀頭を押し込んだ後は慎重に丁寧に肉の剣を直腸(さや)へと収めてゆく。つるりとした直腸の壁をこそぎ落とすように、優しく撫で擦るように、押し込みながら進むように──時間をかけて長大な異物を受け入れてもらう。

 

「はっ、ふぅっ……♡ これ、へんになりそう、で……っ♡ て、を……にぎっ、ひゃうっ♡」

 

 求められるままシーの手に掌を重ねた途端にぎゅっと指を絡められる。ちょっと痛いくらいの力が籠っているが、これくらいなら苦にもならないと気にしない。

 途切れ途切れなシーの言葉には苦しさよりもむしろ、隠せない喜悦の声が強く滲んでいた。後ろを貫かれてちゃんと快感を拾ってくれる事実にまた一段と一物が膨らみそうだ。じっとり汗ばんだ尻肉を掴み、じっくりと直腸を埋めていく。根本まで埋まりきるのもあと僅かだ。

 

 ぐちゅっ……とちゅん……♡

 

「っ、ふー……全部入ったよ、大丈夫?」

「ええ、へいき、っ、よ……♡」

 

 後孔は異物を根本までしっかり呑み込み、可憐な菊皺を限界まで引き延ばして受け入れてくれていた。

 気丈に返事をしてくれるものの、シーの瞳は潤んでいて余裕はあまり無さそうだ。このまま動いてしまうか、それとも少し間を置くか、一瞬迷ったところでシーは微かに微笑んでみせた。

 

「ふふっ、交わりに使う穴でもないのに、気持ち良くて腰が抜けちゃったのかしら……?」

「ま、まあそんな所だけど──」

「別に、その……動いていいわよ? 私は大丈夫だから……あなたの好きなようになさい」

「君って人は……!」

 

 無理をさせないよう必死に気を張ってるのに、そちらから誘われてしまったら我慢なんて不可能じゃないか。なら徹底的に犯したって文句は言わせない。

 胸に宿った理不尽な怒りが命じるまま、収まったばかりの肉棒をずるりと引き抜く。腰を限界まで戻してから、愛液と腸液でコーティングされた剛直をずちゅんっ♡ と音を立てて戻した。今度はさっきより早い動き、けれど一度開かれた直腸はすぐに私自身の形に適応している。

 

「や゛っ♡ あ゛っ、んっ♡ ま、って──ひぐっ、あ゛あ゛っ♡」

 

 スムーズな抜き差しはシーの身体が肛門性交によく馴染んでいることの証左だった。キツキツの入口とぎゅうぎゅうの直腸を出入りする度、外に抜け出た時の解放感がクセになりそうだ。だけど内部で締め上げられるのも気持ち良くて、熱い内部に差し込んでいると汗ばんできそうなほど身体が熱くなる。

 抜く時は幹の表面で括約筋を擦り上げるようにすると、シーは甘やかな嬌声をあげてくれる。出す感覚と似ているせいで素直な快楽が来るようで、羞恥に悶えながら濁声を出す姿に征服欲が満たされる。逆に突き込む時は亀頭で膣側の壁を擦るように動かすと、ちょうどGスポットからポルチオまでをぐーっと刺激しながら進むから、アナルというより前の方で甘イキしているらしい。

 

 ぐぽっ♡ ぐちゅっ♡ ぐぽっ♡

 ぷしっ♡ ぷしゃっ♡

 

「あ゛ん……ん゛っ゛……っっ! うあ゛っ♡ ひっ、イ、く……~~っ♡♡」

「お尻ほじられてイっちゃったね、可愛いよ」

「言葉にしなくた、って……ぇ♡」

 

 貫かれているのはお尻なのに前の穴から潮吹きしちゃう姿がとてつもなく艶めかしい。いけない穴で交わり感じていると強く意識させる絶頂姿に、こちらの動きも自然と早くなってしまう。美しい天女をもっと犯して味わいたい、後孔で交わる背徳的な快楽を刻みつけて自分のものにしたい、そういう仄暗い欲望が湧き上がる。

 不思議な話だ。既に何度もシーと交わり、こうしてアブノーマルな交わりすら許してもらっているのに、まだ際限なく彼女を求めてしまう。自分はここまで欲深い人間なのかと思うが、少なくとも性欲を振りかざしてシーを求めているのは事実だった。

 

「シー……もう少し激しくするよ」

「……っ、ふぅ、どうぞ……勝手にすれば……んんっ♡」

 

 こっちも手を突いてシーの上から覆いかぶさるような体勢に。艶やかな黒髪から香る良い香りと、交わりで充溢した雌の香り、それに彼女らしい墨の香りが混じった良い匂いが鼻腔をくすぐる。このままシーのうなじに顔を埋めて堪能していたいほどだ。

 だけどそれ以上に、今貫き犯している尻穴を堪能したかったから、腰を休めず何度も挿入しては引き抜いた。どちゅっ、ぐちゅっと粘ついた水音に、ぐぽっ♡ ぐぽっ♡ と空気の抜ける間の抜けた音。淫靡で卑猥で悶えるような音色を奏でて、シーという極上の白紙に私の色を刷り込んでいく。

 

「……っ、んっ♡ どく、たー……手は、そのまま、で……♡」

「心配せずとも離す気は、ないよっ」

「そう……なら、いいわよ、あんっ♡ やっ、またはげし、く……っ♡」

 

 白濁をぶちまけ、彼女を内部から汚したい。下卑た欲望に突き動かされて腰を前後に遮二無二振った。まるで交尾を覚えた獣のように、理性の欠片も無い交わり合い。しかも生殖器ですらない排泄孔での交わりは単純に性感だけを求めた、自然の摂理に反した交尾であるようで──正直とても興奮する。

 何度も体液が擦過し泡立つ菊門を抜け、狭く熱い直腸を擦り上げ、裏側から子宮や膣を突いて苛めて、すっかりシーの身体は出来上がっている。とろんとした瞳と半開きになった口、赤い唇からは懇願にも似た喘ぎが漏れて止まらない。普段とまったく違う余裕の無い感じっぷりにますます性欲を掻き立てられ、射精までの限界が近くなる。

 

 どちゅっ♡ ぐちゅっ♡ ぐぽっ♡ ぐぽっ♡ ぐちゅんっ♡

 

「ひっ、あぁ……っ♡ いつまで、続けるつもり、よ……♡」

「そろそろこっちも限界だから……! もう少しだけ、頼む」

 

 精液がせり上がってくる。子供が絶対にできない──そもそもシーと交わって子を成せるか不明だが──背徳的(インモラル)な性行為。肛門性交という摂理に反した性行為で互いに快楽を貪り、味わい、飲み干して。満腹になった性欲という獣が最後の一押しをするべく本能に働きかける。

 

 組み伏せたこの美女の一番奥へ、自分の遺伝子を注ぎ込んでマーキングしろ、と。

 

「づっ、これはもう、無理だ……っ!」

 

 一気に限界まで来た性欲が命じるまま、シーの奥深くへ定めて亀頭を突き入れる。子宮よりも深い彼女の最も中心に近い場所、決して他者に触れられるはずのない深奥に一物が嵌まり、女体が嬉しそうにうねって歓迎した。それを合図に溜め込まれた性欲が一挙に解き放たれて──

 

「……~~っ!♡♡ ぅあ……熱いの、射精()てる……♡♡」

「シー……」

 

 白濁が仙女の最奥へ注がれて溢れるほどに満たしていく。

 ビクビク震える一物からはひっきりなしに精子が吐き出され、それを助長するように直腸がキュッと締まって肉竿にフィットする。締め付けは竿を強く握り締められた感覚に近くて、まるで手で扱かれているかのようだ。おかげで射精の勢いは全然止まらず、吐精しながら扱かれて気持ちいが止まらない。

 しかもシーの方も直腸射精(なかだし)で体内に熱を浴びせられてイったようで、ぷしゃりと潮吹きしながら身体全体を震わせていた。固く瞑った瞳からは涙を流し、口も頑張って閉じようとしているものの声が出るのを止められないといった様子だ。

 

 どぴゅっ♡ びゅるるるる……にゅぽんっ♡

 

「射精しすぎよ、ばか……お腹の奥、タプタプじゃない……」

 

 射精が終わり、半勃ち状態の肉槍が後孔から抜け落ちた。追いかけるように肉輪が少し捲れてしまい、さらに注がれた白濁がとぷりと零れ落ちる。ぽっかり開いた空隙はしばらく閉じる様子を見せず、絶頂の余韻を味わうように震えながら精液を長し続けているのだった。

 

 ◇

 

 アナルセックスを済ませた後も、前に後ろにとダラダラ交わっていたのだが、気付けば画中の月もすっかり落ちる頃合いだった。その時にはもうシーの筆を凝らしたドレスは精液と愛液に塗れ、半脱ぎ状態の酷い有り様となっていて。どちらともなく休憩となって、今はシーが私の膝に頭を預けているのだった。

 

「……普通こういうの、逆だと思うんだけどな」

「我が儘言わないの。身体を貸してあげてるのだから、あなただって私に貸すのが筋でしょう?」

「まあ、それもそうだけど」

 

 シーに膝枕されたら気持ちいいだろうなぁ、と思ってしまう。でもそれを素直に言えば、シーは余計にやってくれないだろう。だから言わないで黙っておく。

 それに、シーが膝の上で甘えてくれるのも嫌ではないのだから。

 

「そろそろ今回の逢瀬も終わりね、長かったわ」

「また随分世話になったよ、ありがとう」

「礼を言うならまず画中(ここ)に来ないことを意識なさい。あなたが居ると筆が止まるし、しかも寝不足になるから散々なのよ」

「すまないね」

 

 ここでシーと過ごす爛れた時間はいつも一瞬だ。数日の滞在が終わってみれば瞬きの出来事に感じられて、あまりの短さに愕然としてしまう。濃密で淫蜜で、蜂蜜よりも甘くて粘っこい時間。

 

「私が言えた義理じゃないけど、あまり長居するのはよくないわ」

「そのつもりだよ。もう十分休ませてもらったし、君に迷惑を掛けるのは本意じゃない」

「……ええ、そうね、いい迷惑よ。騒がしいし、恥ずかしい目に遭うし、ほんと大変だわ」

 

 という皮肉を言葉通りに受け取る者など、彼女の性格に詳しくなくたっていないだろう。

 私も本当はもう少しシーと一緒に過ごしていたいが、あまり画中(ここ)に浸りすぎるのが良くないのは分かっている。できればもっと一週間でも一か月でも、心ゆくまで過ごしたいと思っていて、本当はそれが可能なのだとしても。

 

「いつもここを出た時、ほんの一晩程度の時間しか経っていない。不思議な現象だが、君の世界であれば容易いことなんだろう?」

「ええ、まあそうね。いつだったかは何年もここに滞在して悟りを開いた者もいたけど……必ずしも現実の流れが正しいとは限らない」

 

 所詮これは邯鄲(かんたん)の夢よ、と寝転がりながらシーは呟く。

 流れる黒髪と乱れた服装の上にしとしとと月光が降り注いで、どこか触れ難い神聖さを感じさせた。

 

「人生の栄華を極める体験をしたと思ったら、それはほんの一夜の夢に過ぎず、目覚めてみれば夢幻として消えていく。あなたみたいな普通の人にとってはそれくらいがお似合いなのよ」

「そうだな、私としては正直助かってるよ。君がその気になれば、逆にすることも容易いだろうに」

「…………何の話か分からないわね。おあいにく様、私はそこまで他者に干渉する気はないの」

 

 童話や昔話にあるように、この画中で過ごす一日が現実の一年と同じであるとすれば。

 きっと私は一秒でも早くロドスに戻ろうとするだろう。いや、そもそも気付いた時にはもう遅いか。画中を出た時には何年、何十年も経過していて、何もかも失っているに違いない。

 けれどシーはそうしない。むしろ逆に、私が何も失わず選択できるように──帰りたければ好きにしていい、居たければこれも好きにすればいい、と。言葉ではなく画中(だいち)を描くことでシーは暗に告げていた。

 

「君は……優しいな。自分が思っているよりずっと情が深い」

「なっ……!」

 

 耳まで真っ赤にして「信じられない」と驚く顔がどこか新鮮だった。先ほどまで感じていた神聖さが薄れ俗っぽくなるが、これもこれで悪くない。

 

「いきなりなによ、交わりすぎて頭がおかしくなってしまったの?」

「まさか、理性的に発した本音だよ」

「……あなた、たまに突拍子も無い事を言うわよね。性癖もちょっと歪んでるし、そういう人間なのかしら」

「さあね。どうにせよ、それも私だよ」

「ふん、悟ったような事を言うには百年早いわ。せめて性欲をもっと抑えられるようになってから言うことね」

 

 それからシーは気だるげに立ち上がると、「しっしっ」とばかりに手を振った。月は既に西へ落ち、払暁の明かりが微かに室内へ差し込んできている。最後まで漂っていた淫靡な空気が光によってさぁっと一掃された。

 

「あなたと居ると調子が狂うわ。だからほら、さっさと帰りなさい。また気が向けばあなたの相手をしてあげるけど、期待しないでちょうだい」

「そう、だな。もう良い時間みたいだし、帰らさせてもらうよ。だけど次は、もう少し早くに来るようにする」

「……ふん、ちょっとは期待してあげてもいいわ……さようなら」

 

 ──それが、最後の言葉だった。

 

「ん……おや、もう朝か……」

 

 気が付いた時、私は執務机に突っ伏して眠っていた。身体を起こし伸びをすると、まるで数日しっかり休みを取ったように全身が軽い。寝不足や頭痛もなく、今ならロドスを走り回っても元気が有り余ってそうな勢いだ。

 机の電子時計を確認すると、日時は一日進んだ次の朝。あの残業からそのまま寝落ちして目覚めたのと同じ状況だ。執務室の壁を見れば当然そこには扉なんて無く、真っ白い綺麗な壁が黙して存在するだけである。

 

「本当に、一晩の夢みたいだな」

 

 身体も清潔で頭もしゃっきりして、何もかもが夢幻であったかのように思えるが、記憶ばかりは誤魔化せない。あの画中で過ごした数日はちゃんと覚えている。爛れ切った交わりも、冷たいようで優しい彼女とのやり取りも、何もかも鮮明に。脈絡のない別れ方をしたことすらしっかり覚えているとも。

 もし今ここで彼女の名を呼んだとして、再び扉が現れることは無いだろう。試すまでもなくそれは確信できていたし、やってはいけないことの気がした。

 

「また次に会える日を楽しみにしてるよ、シー」

 

 答えは無い。完全な沈黙。

 だけど不思議と彼女に言葉が届いていると確信して、私は椅子から立ち上がるのだった。

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