TSロリ勇者は仲間たちにぶち犯される 作:人の心を捨てないと書けない
「早く! 回復を!」
「無駄じゃ! この場でどうこうできる段階ではない!」
「あんたの闇魔法じゃどうにかなんないの!?」
「ひぃ……ぼ…ボクじゃむりですよぉっ…! 」
「アンタ…死ぬんじゃ無いよ!」
「私、何も…」
「くっ…我が翼も今は飛べない…あぁ…!」
視界は真っ暗、匂いも何もせず、音も何も聞こえない。何の触感もせず、ただ虚無の空間に漂う。ふわふわ、ふわふわと放浪し続ける。
…ここは、どこだ?
手を伸ばし、身体を捩らせてもがいてみるも、何も感じることはできない。それどころか、本当に自分の体を動かせているかどうかも定かではない。
時間の感覚も曖昧である。自分が意識を取り戻してから、数十分経ったのか数日経ったのか、何もわからない。
……光?
目を開いても真っ暗で、自分の体すら確認できない。そんな中に、唯一の光が視界に入る。暗闇に差し込む、一筋の光。
この虚無の空間から、唯一の刺激を求めて光へと手を伸ばす。身体が動いているかもわからないが、光がだんだん近づいてくるのを感じた。
必死に手を伸ばし、もがく。
……まぶし
しばらくもがくと、暗闇の黒が白い光へと代わって行った。そして、最終的に光に包まれて……
「っぁ……ぅ……?」
視界に広がるのは黒でも白でもなく、色付いた景色。眼を動かして、周囲の情報を取り入れる。見たことはない、狭い一室に自分がいるのを理解する。
力を込めて、身体を起こす。ばしゃりと音がした後、自分の体に液体が滴るのを感じる。視界を下に落とすと、体が液体に浸けられていたのだとわかる。
とりあえず、足にも力を入れて立ち上がる。そして一歩を踏み出した時、転んでしまった。
「いたっ…」
液体に顔から突っ込み、ばしゃりと部屋中に飛び散らせる。起きあがろうとした際、水面に反射した自分の顔が反射する。
「……あ?」
水面に映るのは、不思議そうにした女の子の顔。しばらく眺めた後、ペタペタと自分の顔に触れる。右手で頬に触れれば、水面も頬に触れる。左手で額を抑えれば、水面も額に触れる。べっと舌を出せば、舌を出す。
「な、な……!」
少しずつ、現状を理解してくる。嫌でも理解してしまう。
視界を下に向けると、胸がわずかな膨らみを帯びている。指で触れればふにっと形を変えて、沈み込むほど柔らかい。胸筋ではない、肉の塊。
そして、股に手を当てる。……ない、あれがない。
「な……なんじゃこりゃぁっっ!!!???」
少女の声が、静かな部屋に響き渡った。
ポツンと部屋の隅で体操座りをして、現実逃避をする。柔らかい肉塊が自分の太ももに押し当てられて、形を変えているのを感じる。
「……なんだよ。これ」
どれだけ、水面に映る自分の姿を眺めても変わらない。そこに映るのは、屈強な男ではなく華奢な女の子。それに、目にや耳に刺さる、長く真っ白な髪の毛。
「俺は…俺は勇者、だった…はず、だよな?」
自分の体を眺めても、記憶にあるものとは一致しない。肌から無数の傷跡は消えて、真っ白で艶のあるすべすべなものになり、腕や足、顔から無駄な毛は全て消えている。
手足も短く、細くなり上背も明らかに落ちていて、子供のようだ。唯一大きくなった場所は、この胸のみ。
「……勇者、なのか? 俺は…」
自分の姿を眺めるほど、自信が無くなってきた。随分前に無くした左目は、未だ光を捉える事はない。それが唯一の共通点だろうか。
自分が目を覚ます前の事を必死に思い出す。自分が自分であった証拠は、もう記憶しかない。
「…魔王を倒して、そこから…どうしたんだ?」
魔王の腹を聖剣で貫いた事は覚えている。だが、そこから先の記憶がない。
「っしょっ……!」
部屋にあった扉を押すと、不快な音をギシギシと鳴らしながらゆっくりと開く。だが、とても重い。必死に体重をのせて、全力で押す。
扉が開き切ると、その先は…
「ダンジョン…か」
石造りの回廊が、どこまでも続く。かつて踏破したダンジョンの数は数えきれないが、その内の一つなのだろうか。
そしてここは、ダンジョン内の安全地帯の一つか。
外に出るのは一旦やめて、部屋の中を探索することにした。……が、何も見つからない。
「くっそ……行くしかねぇのか?」
グッと握り拳を作るも、力をあまり感じない。見た目通り、自分は弱くなっていると言っても良いだろう。下級ダンジョンの上層ならば問題はないかもしれないが、上級ダンジョン…若しくは下級ダンジョンでも下層ならば危険だ。
かと言って安全地帯に篭るのも、いつ助けが来るのかわからない。腹も減るだろう。
「…武器は無いのか? ……錆びてるけど、無いよりマシか」
部屋の外、回廊の片隅にボロい短剣を見つけて拾う。
しゅっしゅっと軽く素振りをしてみる。程よい軽さで、今の筋力でも扱えるだろう。
「……こんなビビりながらするダンジョン攻略も久しぶりだな」
身体の勝手も違い、満足に戦闘ができるとは思えないため、できるだけ戦闘は避けたい。曲がり角でいちいち先を確認しながら、慎重に進む。
「ダンジョンは……中級上層から、下級下層ぐらいか。……悪くはない、か」
徘徊する魔物達から推察するに、上級ダンジョンでは無いらしい。だが、今の自分の実力が測れない以上危険であることに変わりはない。だが、どうあがいても脱出できないほどではない……と思う。
「少しでも上層へ………な!?」
カチリ、と何かを踏んでしまった感触がした。トラップだ。
だが…そんな馬鹿な! 俺は罠を察知できる加護を持っているというのにっ……!
自分が勇者ならば当然に持っているはずの加護が失われている、という事実に怯える。自分はやはり、勇者などでは無い別の誰かなのでは無いかと。
そんな事を考えているうちに、自分の身体が光に包まれて転移する。
「くそっ…下に飛ばされたか!? それとも………おいおいっ…!」
周囲を見回すと密室になっていた。そして、その中には俺と…
「オーガっ……マジかよっ!」
筋骨隆々の、ツノを生やした魔物。体躯は…前の俺よりもデカいのだから、今とは比べようも無い。
強制戦闘トラップ。こいつを倒さなければ外へ出る事はできない。出てくる魔物以上の強さを持っていれば問題ないトラップなのだが……逃げることはできないため、今の自分とはとことん相性が悪い罠だ。
「や…やるしかねぇ…!」
問答無用で襲い掛かってくるオーガ。しかし、動きはゆっくりに感じた。
「……遅いっ! ……いける、いけるぞっ…!」
攻撃を躱すことは容易だった。その隙を短剣で突き刺し、反撃をする。
…それをしばらく繰り返した。
「これで終わりッ! ぜぇいっ!」
もう何度目かわからない、こちらの攻撃。ようやっとオーガを倒して、全身の力が抜ける。
「はぁっ………はぁっ…! 俺っ……弱いっ…!」
勝てはしたものの、それは一対一だったからだ。もしあのオーガがもう一体いたら、俺は間違いなく負けていた。トラップの性質に助けられた、それだけのこと。
なんとか部屋からは出れたものの、疲労困憊で倒れ込んでしまった。体に鞭を打ち、立ち上がろうとする。…が、油断していたのか、足にずるずると這い寄る蔦に気が付かなかった。
「うわぁっ!? おっ…おいっ!?」
一瞬で足首を掴まれて、無理矢理体を引っ張られる。床に短剣を突き刺して、引き込まれないよう抵抗する。
「ぐっっ………! くっ……そぉっ!」
俺の力よりも、この蔦の持ち主である魔物の方が強い。次第に手が限界を迎えて、力が抜けてしまう。
「あぁぁっ!? いっ……ぃぎぃっ!!」
この蔦の魔物の本体がいる部屋まで引き摺り回されてから、拘束される。身体が植物で構成された女性の姿をした魔物…アルラウネだ。
「くっ……うぐっ…し、締めるっ…なぁっ…!」
魔族とは違い、人の姿をしていても言葉を交わす事はできない。拘束に身をよじると、強くぎゅぅっ…と締めつけられる。抵抗せずに、されるがままにするしか無い。力でどうにかなる相手では無い。
気まぐれに解放されるか、偶然通りかかった冒険者に助けを求める以外の選択肢がない状態だ。奥歯を噛み締めながら、自分の命運を委ねるしかないこの状況に、恐怖していた。
恐怖を感じるのは、もういつぶりか。魔王と対峙した際も感じなかった、この感覚は恐怖なのだろう。
「なっ…なんだよっ…むぐぅっ!」
アルラウネは一つの大きな花を、俺の口と鼻を覆うように被せてきた。
「ぅぅ………ぅぁっ……??」
次第に、頭がぼーっとしてきた。意識がふわふわしてきて、浮いているような……毒…か!?
なんとか意識を保つべく、辛うじて動かせる指で太ももをつねる。即死するような毒では無さそうだが、身体に悪影響であるのは確かだ。
できるだけ吸わないように息を止めるが、呼吸器を完全に覆われている以上、空気を求めて呼吸するしかない。
「ぷはぁっ!! はっはっはっ………ぉ゛っ……ぁ゛っっ゛……!!」
一気に全身に毒が回る。意識が混濁して、身体がガクガクと震える。すると、俺の拘束を解いて床に落とす。
床に打ち付けられて、再び意識を取り戻す。そして、逃げ出そうと手を伸ばして部屋の外へと這いずる。
しかし、うまく身体が動かない。毒の影響か…腕に力が入らない。
「な…はっ……熱いっ…! な…何をしっ……!!」
身体の内から、何かが昇ってくるのを感じた。全身がこわばって、足をピンと伸ばしたまま身体が小刻みに震える。
「ぅ゛ぅ゛ぅ゛〜〜!!」
頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。そして、気づいたら大の字に拘束され、衣服を全て剥がれていた。魔物はクスクスと笑っているようで、悔しかったが、どうすることもできない。
「ゃ…ゃめ…ろっ……」
掠れたような声を上げることと、自分に近づいてくる無数の蔦を眺めることしかできない。
「だ、大丈夫!!?? えぇい!」
そんな中、背後から久しぶりに人の声を聞いた。そして一つの瓶がこちらへ投げ込まれる。その瓶が割れると小さな炎がぽっと上がる。アルラウネはその小さな炎をひどく嫌がり、俺をその場から離して逃げ去った。
「怪我はないっ!?」
黒い髪をした女の子が、俺の体を支えている。
「ぅっ…ぁ、だ…だいじょう…ぶっ…♡」
身体はひどく火照っているが、特に外傷は…ないはず。それにしても、熱い、とても熱い…!
「毒にやられたんだねっ…ほら、これ飲んで……」
目の前に封を開けた小さな瓶を差し出してきた。そして半開きの口に押し込まれ、少し苦い液体をなすがままに飲み干す。
「はっ…はぁっ……はぁっ…あ、ありがとう…」
少しずつ、身体の熱が治まってきた。そして、ようやく頭が冷静さを取り戻す。
「もう少しで犯されてたんだよ!」
「お、おかされ? ま…まぁ、助かった」
この少女がいなかったら、あのまま魔物に毒殺されていただろう。感謝してもしきれない。
「立てる? ……なんか服着ないとね。私のマント貸したげる」
全裸にばさっとマントを被せられる。すこし心もとないが、裸のままよりは良いだろう。
「…どうして1人なの? 仲間は?」
「あ、いや…」
下の階層で目覚めたから、と言っても信じてはもらえないだろう。自分が魔王を打倒した勇者だと言っても信じてはもらえないだろうし…
「な、仲間と逸れてな。どうにか外に出たいんだが…」
「そう、大変だったね…私と一緒に行こっか!」
差し出された手を取り、立ち上がる。誰かの手を取るっていうのも、随分と懐かしい。昔はよくされていたけど…もっぱらする側だったからなぁ。
「きみ、名前は? 私はリラ、よろしくね」
「グリムだ。よろしく」
「ふーん、変わった名前ね」
…そうか? そんなに変わった名前だったか。冒険者ギルド内に数人はいたような気がするけど……あぁ、今は女だったか。確かに男っぽい名前か。
「まぁ、私が守ったげるから安心しなさい!」
…昔の俺や仲間と比べたら幾分と劣るが、全然問題ないだろう。2人で脱出に向けて足をすすめた。