シンデレラたちは止まれない! 作:私立聖白ビキニ女学院理事長
今日は水族館にて
なにしろそそっかしい歌鈴とということで様々なケースを想定して構えていたのだが、持ち前のアクシデント体質が逆に功を奏し、アシカショーやイルカショーでの彼女と動物たちとの触れ合いイベントはバカ受け連続の大盛り上がりの内に幕を閉じた。
杞憂ばかりであったことにホッと胸を撫で下ろし、私もショーの片付けをプール脇にて行なっていた。
が、今思えばこの時私は完全に油断していた。
何に?
「うわわわわわ!どうしてこんな所にバナナの皮がーっ!?」
「歌鈴!?」
いつもの台詞(?)が聞こえてきて、ハッとなって声がした方を向くと、まさに歌鈴がバナナの皮を爪先で踏み付け、水に濡れたプールの床を滑り出したところだった。
「いかん!」
このままではプールにダイブしてしまう!
泳げるかどうかとかいう問題ではない。
担当アイドルをずぶ濡れにさせてしまってはプロデューサーの名折れだ。
それにしてもなんで水族館のプールにバナナの皮が落ちてるんだよ!
エサに使わないだろ!
歌鈴はバナナの皮を呼び寄せる特異体質なのか?
「歌鈴!」
私は上着を脱ぎ捨てると、全速力で床を蹴って歌鈴目がけて走った。
が、このままではわずかに早く彼女の方が着水してしまう。
「歌鈴!手を伸ばせ!」
「そんなこと言われても~~~っ!」
くっ。
あれだけギャグ漫画のように両手をバタバタされては上手く掴めそうにない。
もう水際だ。
次が最後のチャンスか。
「このっ!」
飛び付くようにして彼女の巫女服の長い袖の先を掴むことに成功する。
「ひゃわっ!?」
そのまま一気に引き寄せ、歌鈴の身体を抱きかかえる。
が、このまま二人して水没してしまっては意味がない。
「どっせーい!」
振り回すようにして歌鈴を目一杯遠くへとスローイングする。
「プロデューサーさあああああぁぁぁぁぁん!!」
歌鈴の声がフェードアウトしていくのを聞きながら、私はサムズアップしながら溶鉱炉よろしくプールの底へと沈んでいくのだった(*泳げます)。
「ぶえーっくしょいっ!!くっしゅんっ!!くしゃんっ!!」
くしゃみが止まらぬ。
こんな事態まではさすがに想定していなかったので着替えなどは持って来ておらず(歌鈴の分は用意していた)、水族館のスタッフさんにお借りした大量のバスタオルにくるまってガタガタ震えていますなう。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!私がドジなばっかりに危うくプロデューサーさんを溺死させることに!」
「いや、死にかけてすらないから。それに悪いのはおまえじゃなくてバナナの皮あそこに捨てた奴だから気にする……な……な……にゃっくしゅん!!」
「あわわわわわ、このままじゃプロデューサーさんが風邪を引いちゃいましゅうーっ!!」
「ははは、何を言う。この程度で風邪引くほどヤワじゃないさ。今晩おまえを相手に10ラウンドは余裕でヤれるぐらい元気だ」
「そそそそれは嬉しいんですけど、本当に大丈夫なんですか?」
「もちろんもろちん」
「もろちん!?」
そして翌朝。
「ガタガタガタガタ……」
なんだこの悪寒による身体の震えは。
私はタンスの中で青鬼に怯える少年か。
昨夜は身体を温めるためにもハッスル(意味深)したかったのだが、念には念を入れていつ以来ぶりかで独り寂しく寝たというのにこのザマだ。
こんなことならいっそ……いやいや、なおさら独りでよかったと言うべきだ。
ただ仕事に穴を空けるわけにはいかない。
なにしろ私はたった一人で190人ものアイドルを担当しているのだから。
「おはようございまーす……」
重い身体を引きずり、事務所へとやっとの思いでたどり着いた。
通勤途中で何度も
「おはようございますプロデューサーさん。って、なんだかお顔が真っ赤じゃないですか!?」
出迎えてくれたアシスタントの
「大袈裟ですよ」
「
私が返事し終える前にちひろは口の横に手刀を立ててナースアイドルの
「なにも清良を呼ばなくても」
「ちひろさん、どうしました?」
またしても私が言い終わる前に清良が登場した。
「清良ちゃん、プロデューサーさんを診てあげてください」
「プロデューサーを?あら、お顔が熱っぽいですね」
「それは清良が美人だから照れちゃったんだ」
そう誤魔化して身を翻そうとするが。
「ほっほーう、プロデューサー殿はいつからそんな純情になられたんですかな?」
「逃げちゃダメですよー。いい子にしていてくださいねー」
左右から
気付かぬ内に背後を取られていたとは不覚。
体調不良時に力自慢のこの2人に捕まってしまっては振り解ける気がしない。
「さあプロデューサー、診察の時間ですよ」
待て清良、おまえ今の今まで私服だったのにいつの間にナース服に着替えたの?
ヂ~~~ッ。
職場で両脇を捕獲された大きな目の宇宙人みたいにぶら下げられた挙げ句、ズボンのファスナー下ろされてるんですけど!
ここの事務所には深刻なセクハラが存在します!
そういう気持ちを込めて亜季と雫を見るのだが、2人は聖母のような表情で黙って首を左右に振るのみだった。
味方なし!
ぼろん。
おはようマイサン。
自宅ぶりだね。
「あら~?プロデューサーさんのおちんちんさん、随分と元気がないですね~」
「雫殿、いくらプロデューサー殿とていつもいつも臨戦態勢を取っているわけではありませぬぞ?」
そうだね、それだと万年発情期だね。
「触診を開始します」
「ぁぅっ」
ヒヤリとした清良の指に愚息をつまみ上げられ、思わず小さく声が出てしまう。
「プロデューサーさん、かわいいです~っ」
「これ雫殿、男性器に向かって『かわいい』は禁句であります。『大砲』などと言ってあげると自尊心が満たされるというものですぞ」
待て亜季、雫はそっちに向かって言ってないから!
おまえの方がよっぽど失礼だから!
くそう、体調が普段通りなら引くほど元気な屹立を見せつけやれるのに!
「このままでは埒が明きませんね……」
一瞬思案した清良が膝立ちになり、輪っかにした指をペニスの根本に通すと、おもむろに顔を寄せる。
「お、おい清良」
「ちゅぽっ」
止める暇もなくすぼめた口内に元気のないペニスが吸い込まれる。
「うあっ」
ぬるりとしていて温かい。
「我慢でありますよ、雫殿」
亜季は何を言っているのかと思い雫を見ると、物欲しげに自分の指を咥えていた。
「ごめんな雫。いつもの私になったらまたいっぱい相手してくれな」
「はい~。私、プロデューサーさんの回復を待ってますね」
そうこうしている間にも清良の口淫は続いている。
「ちゅぽっ、ちゅぽっ、ちゃぽちゃぽっ」
いつもと違って秒で勃起しないのでかなりフェラチオがしにくそうだ。
「膨張率、硬化具合、ともに平常時に遠く及ばず。先走り液もごく微量。ですが発熱に加えてその味から水分・栄養不足であることがわかります。これはウイルスによらない風邪症状、気道感染ね」
診断結果が出たようだ。
清良はフェラチオすることによって私の体調管理をしてくれている。
いつもなら射精まですることでザーメンの味によってより精度の高い診断結果を下すのだが、こうもしなびた状態では今はこれが限界だ。
「清良、ごめんな」
少しでも気分を良くしようとなおも口淫を続けてくれる清良に声をかける。
なんとも申し訳ない。
「謝らないでくださいプロデューサー。体調が回復した時に元気なプリップリの精液を飲ませてくださればいいですから」
鈴口をチロチロと舌先で刺激しながら、白衣の天使が微笑む。
「亜季ちゃん、雫ちゃん、女子寮の空き部屋まで緊急搬送よ!」
「了解であります!」
「はいっ」
「あっ、おい、2人ともっ」
それぞれの開いている腕が股の下に差し込まれ、開脚状態で持ち上げられる(ちなみに愚息はまたトランクスの中に清良の手によって仕舞われた)。
「このまま女子寮まで運搬であります!」
「モォ~突進です~っ」
そしてそのまま社内の廊下を全力疾走。
やめてねえやめて、どこぞの騎空団の3バカトリオの合体技みたいなのやめて?
バランスを崩さないために2人の肩に手を回しているので顔も隠せないんですが。
「どいたどいたどいた~っ!この会社の未来がかかっておりますぞ!」
「プロデューサーさんにもしものことがあったら大変ですよ~っ」
もうとっくにその「もしも」だから!なにこの高度な羞恥プレイ。
私はすれ違う人に「すみません」を連呼しながら地獄の時が1秒でも早く過ぎ去ることを心から願った。
ようやく周囲に他の社員たちの姿が見えなくなり、私は女子寮の空き部屋に敷かれた布団に寝かされた。
ともかくこれで人心地付くかと思われたが、緊急であったために布団の余りはあっても枕がなかった。
私は文句を言えるような立場ではないので黙っていたが、やはり後頭部がなんとも居心地が悪い。
「これではいかがですか?」
頭部をふわっと持ち上げられ、温かくて柔らかいものの上に乗せられる。
これは……膝枕か?
「清良」
「はい、私です。硬かったらごめんなさいね」
「そんなことはない。これ以上の枕なんて存在しないよ、ありがとう」
「ワープでもできるのか」という言葉は飲み込んで、私は目を閉じて肺いっぱいに清良の太ももの香りを吸い込む。
ついでに内腿に軽くキスしたみたりして。
「あんっ、もうこの人ったら。めっ、ですよ?」
叱られちゃった。てへ。
「はっはっは、そうでなくては!少し安心しましたぞ」
「さすがプロデューサーさんです~」
ここまで私を運んでくれた亜季と雫が微笑み合う。
「2人もありがとうな。助かったよ」
「何をおっしゃいますか!プロデューサー殿の一大事は我らの一大事!こんな時こそ動かなくていかがいたしましょうや!」
「いつでも頼ってくださいね~」
それぞれ敬礼したり手を振ったりしてくれつつ、亜季と雫は仕事へと向かった。
私は彼女たちに慕われて、よくしてもらえて本当に幸せだ。
「そのコラボの件は先方の許可が全部降りてからで~」
「ソロ3曲目の実装は急がず、まだソロ曲がない子に配慮しつつ~」
「会場限定販売は転売屋を活発にさせるだけなので今後はなるべくしない方向で~」
身体はロクに動かせないので、「指示出しの仕事だけでも」とここまで来てくれたちひろさんと打ち合わせを行なう。
枕元に正座するちひろさんのタイツが艶めかしくて撫で回したいのだが、それも叶わず断腸の思いだ。
仕方なく、タイツの奥に視線を送って復活した時のお楽しみに思いを馳せることにする。
「プロデューサーさんってば、どこ見てるんです?」
口調は怒っている風だが、その顔は苦笑だった。
「ははは、すいません。どうしても、つい」
「内緒ですからね」
そう言いつつ彼女は少しだけ膝の角度を広くしてくれた。
まあ清良に膝枕されてる状態なんだけどね!
彼女はその辺オトナなので見ない振りをしてくれるのだ。
ぶるっ!
急に寒気が襲ってきた。
「寒いんですか?プロデューサー」
敏感に私の変化に気付いた清良が上から顔を覗き込んでくる。
「いきなりゾクゾクしてきた……」
そうこうしている内にも全身の熱がどんどん奪われていくような感覚が。
「よくない傾向ね。布団や毛布だけでは限界があるわ」
清良が形の良いあごをつまむ。
「Pちゃ~ん、どんな感じ?」
「プロデューサーさん、大丈夫なんですか?」
と、そこに
「2人とも、ちょうどいいところに!」
「ん?」
「はい?」
ポンと手を叩いた清良に対し、颯と美穂が首を傾げる。
「よっ、と。清良さん、これでいい?」
「は、恥ずかしいけど私、プロデューサーさんのためにがんばります!」
清良の指示で下着姿になった颯と美穂が私が寝ている布団の中に潜り込んできて左右からぴったりと添い寝をしてくれる。
ちなみに私は今は清良が用意してくれた上下スウェット姿に着替えている。
「悪い、2人とも。せっかくのオフだったのにな」
「いいっていいって!考えてみたらこれってはーにとっても役得じゃん?」
「プロデューサーさんが大変な時に休んでなんかいられませんから!お役に立ちたいんです!」
申し訳なくて詫びを入れる私に、2人は気にするなとばかりにさらにぎゅっと身を寄せてきてくれる。
私も2人を抱き締め返したいのだが、思うように動いてくれない自分の身体がなんとももどかしい。
……それにしてもいい匂いだ。
柔らかくて温かいのももちろんだが、とにかくいい匂いだ。
私は鼻が詰まっていないことに心底感謝した。
左に美穂、右に颯、頭は清良が膝枕してくれていて、ちひろさんもいる。
私は今、世界中で一番いい匂いがする場所にいるに違いない。
部屋に充満する香りを胸いっぱいに吸い込みながら、私は目を閉じる。
「プロデューサー、呼吸が少し落ち着いてきましたね」
そう言って清良は嬉しそうに目を細めた。
「プロデューサーさん、早く良くなってくださいね」
美穂が私の胸に顔を埋めながら励ましてくれる。
「そーそー、こーんな元気がないPちゃんのおちんちん初めてだもん」
「はははは颯ちゃん!?」
ズボンの上からペニスを撫でる颯に美穂が驚いて素っ頓狂な声を上げる。
「だってー。美穂ちゃんだってそっちにも早く元気になって欲しいでしょー?」
「それはー……そう……だけど……」
美穂の声がどんどん小さくなっていく。
「だよねー。ほら美穂ちゃんもさすってさすって!シュッシュって」
「う、うん。プロデューサーさん、失礼します……」
さわさわ……さわさわ……。
「2人とも、プロデューサーには休んで欲しいからほどほどにね……って、あら?」
「プロデューサーさん、眠ってますね?」
清良とちひろは顔を見合わせて微笑み合い、颯と美穂は吹き出すのを必死に我慢したとのだという。
だってめっちゃ心地よかったんだもん!
「ん……」
意識が浮上する。
「あ、Pちゃん起きた!」
「もっと寝ててもいいんですよ?」
颯と美穂が即反応してくれる。
「プロデューサー、何か食べられそうですか?」
清良が額の汗を拭いてくれながら訊ねてくる。
「固形物はしんどそうだ。喉に少し痛みもあるし」
よほど小さな物なら大丈夫だろうが、それでも通る時に痛みがありそうだ。
「そうね……だったら」
スマホを取り出し、清良は誰かへコールする。
「今大丈夫?それなら……症状は……足りてない栄養素は……ええ、ええ、お願いね、じゃあ」
まだ脳がクリアになっておらず、所々しか聞こえなかった。
そしたまた意識が沈む。
「清良さん、プロデューサーさんのお加減は?」
……ん。
誰か来たようだ。
徐々に目を開けると、そこには中身の入ったミキサーのコップ部分を抱えた
ネネはまだ年若いながらも健康についての知識なら事務所でも随一で、趣味は健康ジュース作りという筋金入りだ。
元ナースである清良にも頼りにされているようで、度々2人で健康談義している姿を目にする。
「寒気は2人のおかげで良くなってるわ。でもまだこれ以上身体を起こすのも無理しない方がいいわ」
「そうですか……清良さんに言われた通りの栄養満点のジュースを作って来たんですけど、どうしよう」
ネネの顔が曇る。
「プロデューサーさん、ジュースなら喉を通りそうですか?」
「少しずつなら大丈夫だと思う」
「それなら……」
意を決したようにネネはコップ内のジュースをグラスへと移すとそれを
口移しで飲ませてくれようというのか。
「うわっ、ネネちゃんダイターン!」
「ネネちゃん、普段そんなことするタイプじゃないのに……そこまでプロデューサーさんのことを?」
颯と美穂が目を丸くする。
「こくっ……こくっ……こくっ……」
朱に染まったネネの頬と長いまつ毛を眺めながら、私はどろりとした濃厚なジュースをゆっくりと飲み下す。
喉に若干の痛みは走るが、我慢出来ないほどではない。
全身の毛細血管に栄養とネネの愛が駆け回ってめぐるようだ。
れるっ。
「っ!」
感謝の意味も込めて(?)ネネの舌に自分の舌を絡める。
「プ、プロデューサーさん!?」
驚いたネネが弾かれたように身を引く。
「ジュースも美味かったけど、ネネの舌が一番美味しい。もっと欲しい」
子犬のような潤んだ目で見つめてみる。
く~ん。
「Pちゃんホントに病人なの?」
「プロデューサーさ~ん?」
「あだだだだだっ!」
愚息を颯と美穂にギュッと掴まれる。
感覚が鈍っているとはいえ、さすがに痛い。
「みんなの前でするのは今回だけですよっ!」
不憫に思ったのかネネが顔を近付けて舌を差し出してくれる。
「ちゅるっ……れろんっ……ぺちゅ……くちゅくちゅくちゅ……」
私はそれに飛び付いてネネとのベロチューを楽しんだ。
わーい!
彼女が辞してなお美味なるネネとのキスの余韻を堪能していると……。
「……はーも!」
「わ、私だって!」
「あらあら、2人とも」
ネネがいる間じっと我慢していたらしい颯と美穂が今度は左右から私の舌にむしゃぶりついてきたのだった。
その後しばらく眠りについていたらしく、次に目覚めた昼過ぎには空腹感を感じた。
みんなのおかげで順調に回復してきているようで大変ありがたい。
「プロデューサー、お腹空きましたか?さすがにジュースだけだと消化が良すぎましたよね?」
清良がひんやりとした手で私の頭を撫でてくれながら優しく言う。
「喉の痛みはどうですか?」
「さっきよりはだいぶいい。おかゆぐらいなら食べられるかもしれないがそう都合よく」
「そんなこともあろうかと!」
「?」
謎の声がした方に顔を向けると。
「じゃーん、おかゆです!」
「
「はい、響子ですよ。熱いですからフーフーしてから『あーん』してあげますね~」
エプロン姿にかわいいミトンで土鍋を持って、『お嫁さんにしたいアイドルNo.1』の
「正妻力すごっ!新婚さんプレイじゃんPちゃんゼイタク~っ!」
「響子ちゃん、プロデューサーさんが火傷しないようにお願いねっ」
「お任せあれ、ですっ!」
颯と美穂からのコメントに笑顔で答え、枕元に正座した響子がレンゲを差し出してくれる。
「ふーっ、ふーっ、プロデューサーさん、はい、あ~ん」
「あ~ん」
むぐむぐ。
美味い。
特にひねりのないシンプルなおかゆなのだろうが、響子が作ってくれたということで特別なものに感じる。
「どうですか?美味しいですか?」
「ああとっても美味いよ響子。でも響子が裸エプロンだったらもっとよかった」
「おい颯」
「えへへー、でも本音はそうなんでしょ?」
「それはそう」
「即答!?プロデューサーさん!?」
私の声色を真似したらしい颯をたしなめようとしたはずが思わず同意してしまった。
久川颯、恐ろしい子!
「しょ、しょうがないですねえ。ちょっと待っていてくださいね」
「響子ちゃん!?」
土鍋に蓋をしていそいそと脱衣所へと向かう響子に美穂が驚く。
そして。
「お待たせしました……」
エプロンのみを身に着けた『お嫁さんにしたいアイドルNo.1』の再登場である。
「うっひょー。白いきめ細かい肌に映えるエプロンサイコー。響子響子、もっとこっち来てお尻に頬擦りさせてっ」
「はい……。も、もー!本当はものすごく恥ずかしいんですからねっ!」
「すりすり……すりすり……はー、もちもちスベスベひんやり至福……一気に熱下がりそう」
頬で響子の生尻の感触を心ゆくまで堪能する。
そうして響子お手製のおかゆと生尻を腹一杯に味わい尽くし、私は多幸感とともに再び目を閉じた。
「ん……」
また意識が浮上する。
今度は思考がかなりクリアになった気がする。
「あ、プロデューサーさん起きた?」
「
枕元で座ってスマホでゲームをしているのはゲーマーアイドルの
コンシューマーからソーシャルゲームにアーケード、レトロゲームにボードゲームまで、「ゲーム」と名の付くものなら何でもござれだ。
「ううん、全然気にしなくていいよ!プロデューサーさんの様子見に来たら清良さんに『プロデューサーさんだいぶ良くなってきたからゲームしてていいからあとはよろしく』って」
「そうか。清良は仕事に行ったか。すっかり世話になっちゃったなあ」
そう言えば後頭部の下が膝枕から普通の枕になっていた。
あの膝が恋しいが仕方ない。
「紗南、今日って●●日だよな?」
「そうだよ」
「今、何時だ?」
「14時30分過ぎたとこ」
「うわやべっ……諦めるしかないかー……」
「あ、今回のガシャ?ピックアップ15時までだもんね。回すなら急がなきゃ!」
紗南と私は同じソーシャルゲームのフレンドになっているのだ。
「けどなあ、もうチケットも使い切っちゃったし、ここまで空振り続きでやっと貯めた10連分しか石が残ってないんだ。前と違って課金できないし」
「そっかあ、プロデューサーさん今お金大変だもんね。でも10連あれば出る可能性はあるよ!」
「0.75%ぐらいはな」
「そういうこと言わないの!……そうだ!プロデューサーさん、ちょっと待ってて!」
「あ、おい、紗南」
どこへ行くのか訊く間もなく彼女は部屋を飛び出して行ってしまった。
若いなあ、元気だなあ。
「プロデューサーさん!連れて来たよ!」
「一体どこへ行ってたんだ紗南……って、
紗南が手を引いているのは豪運アイドルの
「おいおい紗南、まさか茄子に私のガシャを引かせようってつもりじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ!お金もない、時間もないならもうこれしかないって!」
「いやそれはあまりにもチート過ぎるだろ。やってはいけないことだ」
「でも……」
「あの、私よくわかってないんですけど、つまりは私がプロデューサーさんの代わりにゲームのくじ引きを引くってことで合ってますか?」
たしなめられてしょげる紗南を見かねて茄子が話を進める。
「まあそうなんだが、おまえの運を利用していい思いをしようだなんて私は」
「いいんじゃないでしょうか?」
「茄子?」
「プロデューサーさんはいつも私たちのことを第一に考えてがんばってくれてます。こういう時ぐらいいいことがあったっていいんじゃないでしょうか」
「だよねっ!」
紗南が息を吹き返す。
「私はそんな大した人間じゃない。おまえたちのお陰で私の方こそいつもいい思いをさせてもらってるんだから」
「そういうのは言いっこなしですよ」
茄子に人差し指で唇を塞がれる。
参ったなあ。
「で、紗南ちゃん、どうすればいいんですか?時間がないんですよね?」
「そうだった!えっとね、ここの『10回引く』ってボタンを押して欲しいんだ!」
「ここですか?プロデューサーさんにいいものが当たりますように……えいっ」
「封筒の上の部分の色は?」
「青……ですね。それに何か刺繍?が入ってます」
「確定だ!やったねプロデューサーさん!開けて開けて!虹色に光ってるのが大当たりだから!」
「虹色……しかないですけど……」
「へ?」
「えっ?」
紗南と私の間の抜けた声が共鳴する。
そんなことってあるぅ!?
「見せて!うわー!SSR10枚抜きだ!こんなことありえるんだ!!」
「そうなんですか?やりましたね、プロデューサーさん」
さすがは豪運アイドル・鷹富士茄子、ラッキーの次元が違う!
「ええええええええええっっ!?」
思わずとんでもない大声が出た。
そりゃそうだろう。
これが絶叫を放たずにいられるものか。
「ありがとう茄子!本当にありがとう!」
「わわっ、Pちゃんどうしたの!?」
「プロデューサーさん!?」
私の左右でうとうとしていた颯と美穂が意識を引き戻した。
2人とも実はまだいてくれてました。
「Pちゃん知らない間にすっかり元気になってるーっ!」
「本当だ良かった!って颯ちゃん、どこのことを言ってるの!?」
いつの間にか私のトランクスを下ろした颯が屹立した肉棒を握って上下にシコシコと擦る。
「嬉しいことじゃーん。ほらほら、美穂ちゃんもシコシコ~って」
「それはそうだけど……じゃ、じゃあせっかくだから……し、しこしこ~……」
勢いを取り戻した剛直を早速二人して手コキされる。
「清良、ちひろさん、亜季、雫、颯、美穂、ネネ、響子、紗南、茄子、みんなのお陰だよ。みんな、本当にありがとう」
心からの礼を皆に述べる。
「プ、プロデューサーひゃんっ!」
と、そこへ慌ただしい声が転がり込んできた。
「見て見て歌鈴ちゃん、Pちゃんもうすっかり元気になってこっちもいつも通りのバッキバキだから!」
「颯ちゃん、お布団めくっちゃ、ダ、ダメっ!」
「私のせいで!私のせいでお風邪を!この度は本当にごめんなさ……ひゃわっ!?なんでこんな所にバナナの皮がっ!?きゃーっ!!」
「歌鈴!?」
ここからストップモーション。
なぜかそこにあったバナナの皮を歌鈴が踏む。
↓
踏み止まろうとして巫女装束の袴の裾を自分で踏みつける。
↓
前につんのめらずになぜかサマーソルキック状態で前方に向かって後方宙返り(ややこしい)。
↓
空中で袴が脱げる。
↓
巫女さんなので下着はつけていない(*諸説あります)。
↓
くるっと回って見事に着地。
そして着地した先は。
「ぐえっ!?」
「きゃうんっ!!」
「Pちゃん!?」
「プロデューサーさん!?」
「プロデューサーさんのおちんちんに……」
「見事に挿さっちゃいましたねえ」
順番に私→歌鈴→颯→美穂→紗南→茄子の発言となっております。
そんなことより。
こんなことってある!?(本日何度目かの)
バナナの皮で滑ってバク宙した女の子が着地した先がちょうど男性器の上で騎乗位の完成とか、ラッキースケベ漫画やアニメ数あれど、これほどまでのものがあっただろうかいやない(反語)。
どぐっ!どっぐ!どっぴゅ!
「あっ」
嘘だろ?
「あうううぅぅぅんっ!!」
「歌鈴ちゃん!?」
「歌鈴ちゃんもイっちゃったの!?」
美穂と颯の驚愕の声。
このセックス、1秒で終わりました。
「あのPちゃんを1秒でイかせるなんて……歌鈴ちゃんスゴイ!」
やたらテンションの高い颯の声だけが室内に木霊した。
私を1秒でイカせた歌鈴も同じく1秒で昇天して気を失ったのだが、その後彼女は「あのプロデューサーを1秒でイカせた女」として本人の自覚が一切ないまま事務所内でしばらく渦中の人となる。
私はと言えば、気絶した歌鈴を下ろしたあと颯と美穂にお掃除フェラをしてもらっていたら、そこへタイミング悪くまゆがやって来て「心配したのに!」とプチ修羅場になったり、こちらはこちらで色々大変だったのだ。
まったく、アンラッキーだったのかラッキーだったのか、やっぱりアンラッキーだったのかわからない一日だった。
しかし今回の一件で改めて実感した。
彼女たちは口を揃えて「プロデューサーのおかげ」と言ってくれるが、私の方こそ彼女たちに助けられてばかりだ。
これからもできる限り、力の限り、彼女たちの支えになりたい。
終わってみればいい経験だった。
ありがとう歌鈴。
ありがとうバナナの皮。
……ん?
「ちひろ」「ちひろさん」は表記揺れではなく、Pのその時の感情によって変えております。