シンデレラたちは止まれない! 作:私立聖白ビキニ女学院理事長
「
サーッと血の気が引く。
午前中の仕事が終わった途端に凶報が入った。
『はい、レッスン中に。本人はもうケロッとしてますし、トレーナーさんも心配ないって言ってくれてるんですが、近頃なかったことなのでプロデューサーさんのお耳に入れておこうかと』
報告を聞いて青ざめた私を、ちひろの柔和な声が一旦落ち着けてくれる。
『それでどうされます?』
「こちらは少し前に終わったばかりなので事務所に戻ります!」
礼を言って電話を切る。
「加蓮ちゃん、大丈夫なの?」
隣で耳をそばだてていたちとせが尋ねてくる。
先程まで彼女との仕事だったのだ。
「とりあえずはそんな感じだな。この目で見ていないので安心はできんが」
大きく息を吐く。
「事務所に帰るんでしょ?私もいっしょに行くわ」
「そうか。わかった」
ちとせと加蓮はローゼンティアーズというデュオユニットを組む関係にあり、お互いに元病弱体質だったこともあって仲がいい。
気になって当たり前だろう。
私は彼女を助手席に乗せ、最高速度と安全運転を両立させながら事務所へと急いだ。
「加蓮!」
加蓮が倒れたというレッスンルームへと駆け込む。
「あ、プロデューサーさんだ、ほんとに来た。やっほー」
足がもつれるほどの勢いで転がり込んだ私を見ても当の本人は実に呑気なものだった。
ヨガマットの上に仰向けに寝そべり、トレーナーから足首のマッサージを受けている。
「なにが『やっほー』だ。足首を捻ったのか?頭なんかを打ってないか?気分は?」
「もーいっぺんに訊きすぎー。足首はただのストレッチだし、頭も打ってないし気分も悪くないよ」
苦笑される。
「本当か?」と言う意味を込めてトレーナーこと
「あ、はい、本当です」
気圧された様子でこちらを見ながら明は答える。
「だったらどうして倒れたんだ?」
「軽い貧血、それに睡眠不足と水分不足が」
「……そうか」
ひとまず安心してもいいのだろうか。
いやだが貧血は馬鹿にはできない。
「プロデューサーさん、顔が怖いよー?」
「いえあの、私がもっと早くに気付いていればこんなことには」
加蓮は私の気も知らずにカラカラと笑い、明はひたすらに恐縮している。
「魔法使いさん、速すぎ……。もうオジサンなんだから、無理したら、ダメよ?」
やっと追い付いたちとせがゼーハーと肩で息をする。
「『オジサン』言うな。おまえの方こそアイドルのくせに体力なさ過ぎなんだよ」
「あ、ちとせさんだ。やっほー」
「や、やっほー……」
倒れたという加蓮よりちとせの方がよっぽど虫の息だった。
ちとせにペットボトルの水を渡して飲ませて落ち着くのを待ち、詳しい状況を訊くことにした。
…。
……。
「大体はわかった」
「すいません、私がちゃんと」
「起きてしまったことを言っても仕方ない。大事なのは再発の防止だ」
「は、はいっ」
すっかり小さくなってしまっている明をフォローする。
「私としては貧血の原因が気になる。午後から診てもらいに行くぞ。主治医さんの身体が運良く空いていればいいが」
「えー、午後からはちとせさんと遊びに行く予定だったのにー!ねー、ちとせさん」
「ねー?……でも加蓮ちゃん、ここは魔法使いさんを安心させてあげましょ?ものすごーく心配してたんだから。私もいっしょに診てもらうから。ねっ?」
「なんでおまえまで」と思ったが、ここはちとせに説得を任せた方が良さそうだ。
「じゃあ終わったらね!終わったらすぐ遊びに行こ!」
「ええ。終わったらね」
話をつけてくれたちとせがウインクをしてくる。
これは貸し一つだな。
今度は加蓮とちとせの二人を後部座席に乗せ、加蓮のかかりつけの病院へと向かった。
彼女の主治医の本日の診察スケジュールは埋まっていたのだが、なんでもキャンセルが出たということでこれ幸いとそこに入れてもらった。
待合室で少々待ち、各種診察を受けてしばらくすると結果がもうわかる。
こういうところは大きな病院の利点でもある。
診察結果を加蓮と並んで聞く。
結論としては問題なし。
ただし疲労は溜まっているので生活習慣に注意。
特に睡眠と食生活。
「あまりフライドポテトばかり食べないようにしてくださいね?」と主治医に言われた加蓮は「はーい」と言葉では行儀よく返事をしたが、私に向かって舌を出したので態度は悪かった。
「ねっ、どこも悪くなかったでしょ?心配性すぎるんだって、プロデューサーさんは!」
「それ見たことか」と言わんばかりの加蓮だったが、私は彼女の主治医と話があることを伝え、すぐにでもちとせと遊びに行きたいのであれば行ってもいいとも同時に言っておいた。
加蓮はまだ私が主治医と話をしたがっていることに大いに不満そうだったがようやく解放されるということもあり、喜び勇んで診察室を出て行った。
「では」
彼女の足音が遠ざかったことを確認し、主治医に向き直る。
「終わった終わったー!さーてちとせさんはっと……」
「私を呼んだ?」
診察室を出てすぐの十字路をキョロキョロと見回した加蓮のすぐ目の前にちとせが現れた。
首を左から右へと動かす間に正面に。
「うわっ、ビックリしたー!もー驚かせないでよー。ほんとに吸血鬼みたいなんだからー」
「あはっ、そんなに驚いた?でも『吸血鬼の末裔』っていつも言ってるでしょ?」
「いいからいいからそのネタは!それより早く行こっ」
「はいはい。本当なんだけどなー。でもその前にいっしょに行きたい所があるんだけど」
ちとせが正真正銘の吸血鬼であることはプロデューサーと彼女の従者である
「そうなの?どこどこ?」
「こっちよ」
加蓮の手を引くちとせが向かったのは先程彼女が出て来たばかりの診察室の前だった。
「え、ここ?」
「そう。ここ」
「それってどういう」
「しーっ」
疑問しかない加蓮だったが、口の前に人差し指を立てるちとせの赤い瞳を見ていると素直に言うことに従う気になってしまう。
もしかしたら彼女は本物の吸血鬼なのかもしれない……。
『加蓮は、加蓮は本当に大丈夫なんですか!?』
(プロデューサーさん!?)
扉越しにプロデューサーの声がする。
彼のこんなに切羽詰まった声音はあまり記憶にない。
『ですから大丈夫だと何度も申し上げたはずですが』
対する主治医の声は非常に冷静だ。
『ですが、この先加蓮の身に何かあったら!』
『この先何があるなんてことは誰にもわかりませんよ。それこそ神様でもないと。あなたや私だっていつ何が身に降りかかってくるか』
『……そうですね。取り乱してしまいまして、大変申し訳ございません』
『いえいえ、あなたが彼女のことをとても大切に想ってらっしゃることが伝わってきます。だからこそ再度申し上げますが、同じ病が再発することは限りなく低い。医者である以上保証も断言もすることはできませんが、これに関しては安心なさってもよろしいかと』
『よかった。それを聞けたのは大きな収穫です』
ギッ、と椅子がきしむ音がして身を乗り出していたプロデューサーが椅子に座り直したのが伝わってきた。
『こう言ってはなんですが、プロデューサーさん、少々過保護気味なのではありませんか?』
『そうなんですかね……。ですが、あの子は十分以上に苦しみました。シンデレラガールにまでなり、報われたとする人たちも多くいます。でも私はそうは思いません。できればこれから一切苦しまないで欲しいし、もっともっと幸せになってもらいたい。あの子にはその権利があります』
『プロデューサーさん、本当にあの子のことが好きなんですね』
『ええ、ええ、もちろんですとも。アイドルとしてはもちろん、人間としても。加蓮の貪欲に常に上を上を目指す気概が私は愛おしくて堪らないんです』
『おっとそれは問題発言では?』
『危ない危ない。ここだけの話にしておいてください』
大人二人が豪快に笑い合う声。
「……」
「愛されてるわね、加蓮ちゃん」
「……うん。嬉しいな」
背中から加蓮の両肩に手を置き、頬を染める彼女を微笑みながら見守るちとせ。
「誤解は解けた?」
「うん。私のことを想ってのことだったんだよね。その、アイドルとしてだけじゃなくて、ひとりの女の子として」
「そうね。あの人はそういう人だわ」
「どうしよう。私、ウザがっちゃった」
「大丈夫。あの人は加蓮ちゃんが本心からそう思ってるなんて考えてないから」
不安げな加蓮をそっと背後からちとせは抱き締める。
「ちとせさん、プロデューサーさんのことなんでもわかっちゃうんだ」
「そんなことないわよ。もっともっとわかりたいって思ってるぐらいだもの」
「私、何をしてあげられるんだろう?」
「そうね。まずは彼の想いに応えてあげないとね」
「想いに、応える……」
深慮する加蓮を見るちとせの口元は柔らかく微笑んでいた。
「そう言えばさっ」
「え、なに?」
急に振り向いた加蓮にちとせは思わず面食らう。
「ちとせさんって最近全然倒れなくなったよね?相変わらず体力はないけど」
「『体力がない』は失礼じゃない?その通りだけど。でもそうね、おかげさまで」
「何か秘訣があるの?健康法とか」
「秘訣ねえ……秘訣と言えなくもないけれど」
「なになに!?教えて教えて!」
ぐいぐいと詰め寄って来る加蓮にちとせは両の手のひらを盾にしつつ苦笑する。
「待って待って。相手のあることだから準備があるの。……そうね、それじゃあ夕方に私の家に来てもらえるかしら?」
「夕方?これから遊びに行かないの?」
「今日しかお互いオフがないんだから、そっちはキャンセルで。でもね、きっとずっと有意義なことになると思うから」
「ほんと?わかった、信じる」
「ええ、待ってるわ」
ちとせの瞳が
「……ふう」
病院を出ると私は大きく息を吐いた。
ガチガチに固まっていた肩を解し、首を回す。
思った以上に身体が強張ってしまっていたようだ。
「お疲れ様」
不意に
「ちとせ?加蓮と遊びに行ったんじゃ?」
「それは別の日にすることにしたの」
「そうか。……もしかして加蓮の体調が悪くなったりとかは」
「してないわ。だったらすぐそこに病院があるじゃない」
「それもそうだ」
脱力する。
なんともお恥ずかしい限りだ。
「あなた、引きつった顔をしているわよ?」
近付いて来たちとせがつつ、と私の頬を撫でる。
ひんやりとした感触が心地良く、頭が冷えていくのを感じる。
「そんなにか」
「ええ。よっぽど加蓮ちゃんのことが心配だったのね」
「ああ、心配だった」
ちとせに隠し事は無意味だ。
私は彼女に導かれ、抱き締めて胸元に顔を
人目を気にする必要はない。
だってこんなに霧が濃く出ているのだから。
「まあ、妬けちゃうわ」
「おまえのことだって大事だよ。大切だ。知ってるだろう?今は意地悪しないでくれ」
「ごめんなさい。つい」
ちとせは自分の胸の谷間を吸う私のあごを持ち上げ、優しくキスをしてくれる。
「ちゅっ……ちゅくっ……ぴちゅっ……ちゅぷ……」
ああ、全身に熱い血が巡る。
「やさしい魔法使いさん、お疲れ様」
まぶたが重い。
「……あれっ?」
「目が醒めましたか」
気が付くとソファに横たわって千夜に膝枕されつつ頭を撫でられていた。
ということはここはちとせ宅か。
「どれくらい経った?」
「そんなに。まだ夕方よ」
ゆっくりと身を起こすと向かいに座っていたちとせが笑顔でそう答えてくれた。
膝枕を解除したことに千夜が残念そうな顔をするが、逆にこちらから頭を撫でてやるとくすぐったそうに目を細める。
随分と身体が軽くなっている気がする。
これなら大丈夫そうだ。
事務所に帰って仕事でもしようと立ち上がろうとしたが千夜に両肩を掴まれて座り直さされる。
「だーめ。これから大事なイベントがあるんだから。それに今はそんなにお仕事立て込んでないでしょ?」
「そうだが……」
このふたりは私のことなら何でも知っているので諦めて腰を落ち着ける。
「で、『大事なイベント』ってのは?」
「それならもうすぐわかるわ……来た来た♪」
彼女の言葉の途中でインターホンが鳴り、ちとせ自らが玄関へと向かう。
千夜が動かないのは不可思議だが、事前に打ち合わせが二人の間でなされていたのだろう。
「お邪魔しまーす。って、あれ?プロデューサーさん?それと……」
加蓮が私を見て固まる。
正確には私の隣の、というか、私にぴったりとくっついて頬ずりしている千夜を見て。
「白雪千夜ですが」
すーりすーり。
「いやいや、見た目からはわかるんだけど、行動が」
だろうなあ。
外では「お前」呼ばわりしてツンケンしてるのに、これだもん。
「旦那様をお守りする立場である以上、お側を離れないのは当然のことです」
すーりすーり。
すーりすーり。
「『旦那様』!?それに『お側』にしたっていくらなんでも近すぎない!?」
呆然としながら千夜を指差し、ちとせに説明を乞う加蓮。
「あはっ、実はこういうことなの」
茶目っ気たっぷりにウインクするちとせ。
こいつ絶対面白がってるな。
「アイドルとして培った演技力が外ではいかんなく発揮されているということですね」
ドヤ顔で大威張りの千夜。
「えーっと……色々頭が追い付かないんだけど……」
加蓮は右手の人差し指と中指で眉間を押さえる。
「……とまあ、こんな感じなの」
ざっくりとちとせが加蓮に事情を説明した。
さすがに真祖云々の話はできないのでそこは適当にボヤかしつつ、千夜のこのベッタリはお嬢様であるちとせが私にベッタリだから、ということになった。
「納得できたような、できてないような、できないような……」
してもらうしかない。
「まあそれはともかく」
話を変えることにした。
「ちとせが加蓮を呼んだんだろ?そしてここで私と会わせたことに意味がある」
「正解♪今日ここで加蓮ちゃんと魔法使いさんには完全にわだかまりを解いてもらおうかな、って」
「わだかまり、ねえ」
加蓮の顔を見る。
そりゃ全くないとは言えんが。
加蓮も気まずそうに身を縮めてうつむく。
「そ。魔法使いさんには加蓮ちゃんに遠慮がある。加蓮ちゃんは魔法使いさんに遠慮してほしくない。違う?」
違わない。
だがどうしろと?
「どうしたら『もう大丈夫だ』って安心してもらえるの!?」
「加蓮?」
先に口を開いたのは加蓮の方だった。
「私はもう立派にアイドルとしてやれてるよ!?シンデレラガールにだってなれた!なのにまだ不安なの!?まだ心配なの!?」
「それは……」
彼女の言うことは尤もだ。
主治医のお墨付きもある。
なのに私はまだ安心しきれていない。
それはなぜだ。
確証が得られていないからか?
ならばどうすれば自分の中で太鼓判を押せる?
「これができたなら大丈夫」と言えるものは?
「魔法使いさんと朝までセックスできれば合格って言えるんじゃない?」
「は?」
「は?」
ちとせ、おまえ何を。
私と加蓮は同時に素っ頓狂な声を上げた。
それはそうだろう。
いくらなんでも条件が突飛すぎる。
「と、いうわけで~……こちらへどうぞ~」
千夜が私の、ちとせが加蓮の手を引き、とある扉の前へと連行された。
もう何度もちとせ宅には来ている私だが、この部屋には見覚えがない。
こんな部屋あったか?
そもそも今どんなルートを辿ってここまで来た?
「二名様ご案内~っ」
ぽーい、っと扉の先へと放り込まれ、そのまま扉を締められて施錠される。
「おいちとせ!」
「ちとせさん!?」
どうがんばっても内側からは開かないことは明白だ。
諦めて室内を見渡す。
とにかく白くてだだっ広い。
必要最低限の調度品以外は真ん中にでーんと天蓋付きのクイーンサイズのベッドが置いてあるだけだ。
まるで七つの珠を集める少年漫画に出てくる修行するためだけに使われる特別な部屋のようだ。
あそこは確か時間の流れが外界とは違うんだっけか。
『朝までセックスしまくらないと出られない部屋~♪』
青い猫型ロボット口調やめろ。
そんなのどこで憶えたんだ。
室外からちとせの朗らかな声がする。
「おいちとせ、エロ同人じゃないんだから悪ふざけはやめろ」
『悪ふざけなんかじゃないよ?こうでもしないと二人とも決心がつかなかったでしょ?』
「……」
図星。
『あ。言っておくけど出られないっていうのは本当だから。出さないんじゃなくて。あと時間経過では開かないから、ふたり仲良く朝までスヤスヤ~、っていうのも通用しませーん』
彼女がそう言っているだけだろう、と思い込むことに意味はない。
ちとせがそう言うならそれは本当にそうなのだ。
ここでは彼女こそが絶対なのだから。
何が起こっても不思議はない。
「はは、とんだことになっちまったな」
苦笑いしつつ加蓮を見る。
「プロデューサーさん、覚悟は決まった?」
「え?」
「私はとっくに決まってるよ。だからプロデューサーさんも決めて。私といっぱいする覚悟」
「いやおまえ、あんな条件でいいのか?セックスをちゃんとしているかどうかの判定基準なんてどうするんだ?ずっと監視されて全部見られて聴かれてるのか?それでもいいのか?」
「いいよ。構わない。気にしない。それでもいい!」
『あはは、さすがにそこまではしないわよ、趣味が悪い。自分がされたら嫌なことは人にしないよ私』
「……だとさ。ちとせの言葉を信じるか?」
最終確認をする。
「信じる。ちとせさんはきっかけをくれたんだから」
「わかった。おまえがそこまで言うならもう私から言うことは何もない」
「待たせたな。おまえの口からあそこまで言わせるなんて、男として恥ずかしいよ」
「ほんとだよ。きちんと埋め合わせ、してもらうから」
「任せろ。埋め合わせどころか溢れ返らせてやる」
「楽しみにしてる」
私たちはお互いに挑発的な笑みで見つめ合った。
「加蓮。至極当たり前だが、今からおまえに対してした結果生じたことの責任を全て負うと誓う」
「嬉しいけど、なーに言っちゃってんの?プロデューサーさんを悲しませるようなことなんて絶対にならないから。信用してよね!」
一世一代のかっこつけだったのに、加蓮はそれをさせてくれなかった。
やれやれ。
面目は丸潰れだが、私の大切な女の子は本当に佳い女になったものだ。
「ちゅっ」
やはりまずはキスから。
基本中の基本。
ノーハンドで唇を合わせた私たちはたったそれだけで火が点き、お互いの唇にむしゃぶりつきながらそれぞれの服を剥ぎ取るように脱がせ合う。
「れるっ!ちゅくっ!はぷっ!ちゅるっ!えるっ!」
噛み付くように顔の角度を変えながらのキス。
キスももちろんそうだが、脱がせることにおいて私が加蓮に遅れを取るはずもなく、先に加蓮が生まれたままの姿になった。
羞恥心はないが悔しさはあるようで、彼女は眉をひそめつつも意地でもキスを続ける。
笑ってはかわいそうなので私は平静を装いつつ、両手を広げて彼女に残ったズボンとトランクスを脱がさせた。
が、下半身の方はもうとっくに平静ではなく、加蓮がトランクスを下ろそうとしても愚息のカリ首がトランクスのゴム部分に引っかかって下りず、なんとも気まずい。
「くすっ」
「あーおまえ笑ったな!こっちはちゃんと笑うの我慢したって言うのに!」
「あはははは!ごめんごめん、我慢しきれなくってさ」
左手の人差し指の背で目尻の涙を拭う加蓮。
笑い過ぎだぞ!
「でもさ」
「ん?」
「私と早くしたくてこんなになったんだよね?」
ついにトランクスから解放され、天井に向けてそそり立つペニスを加蓮は下から上へと撫でるように手のひらで往復する。
「そうだよ。おまえだって私と早くしたくてこんなになってるんだよな?」
「あんっ!」
逆襲、でもないが、すでにじっとりと濡れた彼女の秘部を同じように愛撫する。
「言うわけないでしょ」
加蓮は頬を膨らませる。
とことん意地っ張りだ。
「ちゅぶっ!むぐっ!れぇっ!はもっ!えるっ!じゅるっ!ぐぷっ!」
一旦お互いの性器から手を放し、それぞれの後頭部を持ってこれ以上ないぐらい顔を密着させてのディープキスを行なう。
加蓮の頬は紅潮し、目がとろんとしてきている。
これまで彼女とキスはそれこそ数え切れないほどしてきたが、気管や呼吸器などへの負担を考え、ここまで熱烈なものはしてこなかった。
今日ここに加蓮の憧れの1つが叶ったことになる。
「じゅるっ!じゅるっ!じゅるっ!じゅるっ!」
たっぷりと溜めた唾液を絡ませ合い、それを交換する。
こくり、こくり、と彼女の喉が鳴り、甘露とばかりに嚥下する。
「じゅぞっ!じゅぞっ!じゅぞっ!じゅぞっ!」
交代交代舌を吸い合う。
人間は窒息状態になると快感を覚えるという説があるが、この場合の彼女はどうなのだろうか。
私の愛撫でこそ恍惚状態になっていると思いたい。
「……ぷあっ!」
加蓮が唇を離し、酸欠寸前の肺に空気を送り込む。
「はー、プロデューサーさんとのキス、素敵。キスだけで私、こんなになっちゃった」
私の心中を知ってか知らずかそう言って両足の間を少し広げると、彼女の秘部からつーっと透明な愛液の糸が垂れた。
「加蓮、好きだ。大好きだ」
思わず抱き締めた。
なんてベストタイミングで嬉しいことを言ってくれるんだ。
「どうしたの急に?」
「……別に。ただ言いたくなっただけさ」
照れくさくなって私は誤魔化した。
「来て、プロデューサーさん。激しくして。めちゃくちゃにして?」
潤んだ瞳で両手を広げる加蓮。
「ああ。今から加蓮をめちゃくちゃにする」
もう一度いやらしいキスを交わしてから彼女の身体を持ち上げ、あぐらをかく私のそそり立った肉棒の上へと下ろす。
最初に私が選んだのは対面座位だった。
「あっ、は、ああっ!
快感に身を
「不満か?」
「そんなことないけどー」
「嘘が下手な奴め。そんな口は塞いでやろうかな」
「え?」
不審がる彼女の唇を唇で塞ぎ、灼熱の吐息と溺れるほどの唾液、そして触手のような舌で口内を蹂躙する。
「んーっ!?んんーっ!!」
加蓮は悲鳴を上げようとするが、そんなものは口内で霧散するだけだ。
私はサバ折りのように彼女の身体をキツく堅く抱き締めて引き寄せ、シェイカーみたいに振って上下させて縦ピストンで
押し付けられるマシュマロおっぱいの感触がなんとも気持ちいい。
「……ーっ!!……ーっ!!……ーっ!!」
声にならない絶叫。
開いていく瞳孔。
絶頂は近い。
「~~~~~~~~~~っっ!!!!」
ぶるり、ぶるり、と加蓮の全身が腕の中で跳ねる。
その振動が私にも伝わり、睾丸が暴れる。
それでは射精しますかね。
どぷぅっ!!どぷどぷどぷ!!びゅぐびゅぐびゅぐ!!どっぴゅ!!
「っ!っ!っ!っ!」
私の射精と同じタイミングで加蓮の身体がまた跳ねる。
「……はあっ」
ひとまず唇を解放してやる。
すると、「どぽおっ!」っと音がしそうなほどの唾液が溢れてきて、彼女の口元から首、鎖骨、胸の谷間、ヘソ、秘部へと伝い下りていく。
「どうだった?」
呆ける加蓮の口元を舐めて拭ってやりながら訊ねる。
「さいっこー……」
うっとりと下腹部を撫でる加蓮。
「ご満足いただけたようでなによりだ」
私自身も満足できたので一度抜こうと彼女の身体を持ち上げようとすると、
「待って!抜かないで!」
そんなことを言う。
「加蓮?」
「つながったままでいたいの」
揺れる瞳。
「わかった。おまえの望むままに」
つながったままゆっくりと彼女の身体を後ろに倒して寝かせる。
息が整うのを待つ間に両方の乳房を優しく揉んで楽しむ。
今あまり感じさせてしまっては本末転倒なので乳首への愛撫はしないでおく。
「もういいよ」
加蓮が微笑む。
「じゃあまた激しくいくぞ。いいんだよな?」
「いいって言ってるでしょ。あなたが育てた
勝ち気な目の光が戻ってきたな。
「上等だ。とくと味わえ」
宣戦布告とともに彼女の
「加蓮!加蓮!加蓮加蓮加蓮加蓮んっ!!」
ばすばすばすばす!ばすばすばすばす!ばすばすばすばすばすばす!
だいしゅきホールドのつもりだったのに、これでは完全に種付けプレスだ。
じゅっぽじゅっぽ!じゅっぽじゅっぽじゅっぽじゅっぽ!!
「んんーっ!!んんーっ!!んんーっ!!んんーっ!!」
全体重を預けつつベロチューまでしているので加蓮への負担は相当なもののはずだ。
だが彼女の表情には苦痛は一切見られず、逆に自由を得たかのような晴れやかさがある。
「はぐっ!はもっ!ちゅぶっ!ぢゅっ!れぇろっ!じゅずっ!じゅぷっ!」
動きの大きさから外れそうになる唇同士をお互いの首の後ろを掻き抱くことでフックにし、性器の交わりと同時にディープキスを続けることを絶対にやめないという強い意志。
じゃっぷじゃっぷじゃっぷじゃっぷじゃっぷじゃっぷ!!
「んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!」
ずぐずぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐずぐずぐ!!
ばこばこばこばこばぽばぽばぽばぽ!!
ばぱん!ばぱん!ばぱん!ばっぱん!ぐりごりゅっ!!
「んんっ!!んんっ!!んんん~~~~~っっ!!!!」
堪えきれずに加蓮が達し、私の肩口に爪が立てられて皮膚が裂ける。
なあに、こんなもの痛みの内に入りはしない。
かわいいものだ。
快感に打ち震える彼女の身体を組み敷き、さらに密着して肉棒を奥へ奥へ突き込む。
休ませなどしないぞ。
ぐりゅんぐりゅんと腰を回すように動かして剛直をひたすらねじ込む。
イッたばかりでされるがままの加蓮の蜜壺をただただ味わう。
上がってきた上がってきた。
精巣が過労死しそうなほどがんばってゴロゴロ言ってる。
玉の重みもズッシリ。
これは近い。
どびゅどびゅ!!どぴゅどぴゅ!!どびゅどびゅ!!どぷどぷっ!!
「……………………ッッ!!!!」
何度でもイク。
男性と違って女性は連続して何度でもイケるとのことだが、それってどんな感じなんだろうか。
ちょっと、いやだいぶうらやましいかもしれない。
彼女の子宮にありったけのザーメンを放ちながら私はそんなことを考えていた。
天蓋を見上げながら肩で大きく息をする加蓮の顔の前に精液と愛液でズルズルのペニスをぶら下げる。
それに気付いた彼女がゆるゆると口を開き、私はそこに遠慮なく突き入れてお掃除フェラをしてもらうことにする。
「ぢゅるっ!ぢゅるっ!ぢゅろっ!ぢゅるっ!」
頬を染めて目を細め、充足感に満ちた様子で加蓮はドロドロの男根を丹念にしゃぶる。
実は彼女はパイズリも上手いのだがそれはまたあとでしてもらおう。
「はもっ……じゅぐじゅぐじゅぐじゅぐ」
「おおっ、それいいっ!」
ブランデーグラスを持つ手のように口に含んだ玉袋を舌で支え、唾液たっぷりの口内で転がされて私は思わず快哉を叫んだ。
新しい技を研究してるなあ。
「嬉しいぞ加蓮、そこまでしてくれて」
「~っ♪」
私が彼女の頭頂部を撫でると気を良くしていっそう励んでくれる。
陰嚢をしゃぶっては下から上へ陰茎の裏筋に舌を這わせて移動し、ぱっくりと亀頭を頬張っては大きなストロークでフェラチオする。
一連の流れが全部ぜーんぶ気持ち良すぎ、お掃除フェラのつもりがまたしても射精感が高まってくる。
「……加蓮、いいか?」
申し訳なさそうに問う私に彼女は悪戯っぽい目つきで頷いてくれた。
「じゅぽっ!じゅぽっ!じゅぽっ!じゅっぽ!」
加蓮の縦の首振りが加速する。
これはもう……ダメだー!
「かれ……んっ!」
最後の力を振り絞って腰を前へと進め、彼女の顔へと覆い被さる。
どぽおっ!!
どぽっ!どぽどぽどっぽ!!
マグマみたいな青臭い精の塊が少女の喉奥に殺到する。
「ごぐっ!……ごぐっ!……ごぐっ!」
ザーメンを飲んでいるとは思えない音を立ててそれを胃へと送る加蓮。
あああ、引っこ抜けるぐらい気持ちいい。
射精しきった私はごろんと彼女の隣に仰向けに寝っ転がり、頭を胸元に引き寄せた。
「おふたりさん、お疲れ様。そろそろいいかしら?」
枕元に現れたちとせの声で、私と加蓮は目を覚ました。
「うわ、すごい匂い。がんばったわねー」
「へっへー、これなら全然合格でしょ?」
私の胸元に抱きつきながら、加蓮がちとせに向かってVサインをしてみせる。
「十分。むしろここまでするとは思っていなかったぐらい」
苦笑するちとせにつられて私も思わず苦笑した。
「……」
千夜はお掃除フェラをしたそうに私のイチモツをしばらくじっと見ていたが今回は加蓮の領分だと割り切ったようだ。
「なんか、不思議な充実感があるんだよね」
加蓮がうっとりとしつつ自らの下腹部をさする。
「それ、一回目の
「うん。あの時
「大袈裟な」
いくらなんでも。
「大袈裟じゃないわよ」
「へ?」
半笑いのままちとせの顔を見ると大真面目だったので私も真顔になった。
「加蓮ちゃんは魔法使いさんとつながったのよ。性交という意味ではなく、より根源的に深くね」
「根源的に?……そういや以前
「へえ、さすがは芳乃ちゃんね。パス、経絡、因果、言い方は何でもいいわ。とにかく加蓮ちゃんと魔法使いさんの結び付きはこれまでとは比べ物にならないほど強固になった。これでもうよほどの無茶でもしない限りちょっとやそっとじゃ倒れたりしなくなるはずよ」
「ほんとに!?やった!プロデューサーさん、愛してるぅ!」
首元に飛び付かれ、加蓮にキスの雨を降らされる。
そうなの!?
すげえな、私のちんちん。
「そうだ、もしかしてちとせさんが最近倒れなくなったのもこれ?」
「おい加蓮、軽率にちんちんを掴んで左右に振るのやめろ」
「さて、どうかしらね?」
ちとせは煙に巻く。
彼女との場合は一般常識では計り得ないほど事情が複雑なので、この場で説明するべきことではない。
「私、ポテトなんかよりずっと大好物、見つけちゃったな~」
そう言って加蓮は千夜に見せつけるように亀頭にチュッとキスをする。
「なっ!加蓮さんの出番はもう終わりです!」
「えーっ、まだ裸のままでシャワーも浴びてないんだし、全然私のターンでしょ。……そんなに言うならいっしょに混ざる?」
「混ざります!」
言うが早いか千夜は着ているメイド服をするすると脱ぎ始める。
「あはは、千夜ちゃんもすっかりこういうノリに対応できるようになったわねー」
ころころと笑うちとせ。
「ちとせさん、なにひとり離れた所で見てるのよ。ちとせさんも早く早く!」
「私もなの?」
「え、これから4Pッスか!?」
おいおい、さすがにただいま絶賛精巣スッカラカンなんですが!
「大丈夫です。旦那様の獣欲はこの私がすぐに復活させてご覧に入れます」
千夜が加蓮とは反対側の亀頭に口をつける。
獣欲って。
言葉を選んで千夜ちゃん!
「あら?一番美味しい所が空いてるじゃない。いただきま~す、あむっ」
ちとせが左でも右でもない尿道口の割れ目を吸ってくる。
「あふんっ!」
思わず喘ぎ声を上げてしまった。
「ほら、魔法使いさんは私の口淫が一番気持ちいいって」
「それは違いますお嬢様、幸運にも攻める場所が有利だっただけです。旦那様の性感帯を誰よりも知り尽くしているのはこの私です」
「ねえねえ、ふたりだけで盛り上がらないでよ!これからは私だって負けないんだから!」
そんなこんなで突発トリプルフェラが始まってしまった。
脳が、震える!
「プロデューサーさん、私って欲ばりなの」
4Pの小休憩中、私にもたれかかってふと加蓮がそんなことを言いつつ両手の指を恋人つなぎに絡めてきた。
ちとせは私の膝を枕に寝息を立てているし、千夜は夢中でお掃除フェラをしてくれている。
「知ってるよ」
私は笑ってそう返した。
「ううん、知ってない。プロデューサーさんが思うより、ずっとずっとず~っと欲ばりなの。シンデレラガールになれたけど、アイドルとしてもっともっと上に行きたい。誰にも手が届かない存在になりたい」
「なれるさ、おまえなら」
きっと。
今のおまえなら。
「それでね、その上でね」
「うん」
「プロデューサーさんのいっちば~ん大切な女の子になりたいの!」
「うわっ!」
飛び付かれ、押し倒され、唇を深く奪われる。
ちとせと千夜が何事かと跳ね起きて抗議するが彼女の耳にはもう届いていなかった。
北条加蓮、誰よりも強欲で貪欲なアイドル。
そしてその夢を叶えるための努力を決して惜しまない女の子。
おまえが望めば何でも叶う気がしてしまうよ。
今のおまえにはその力があるからな。
だから今度はサポートだけじゃなく、ブレーキをかけるためにも私がいる。
突っ走り過ぎてガス欠にならないように。
暴走しないように。
はたまた事故らないように。
最高のピットクルーとしてプロデューサーの私がいる。
さあ加蓮、未だかつて誰も成し遂げていない二度目のシンデレラガールに輝くおまえの姿を特等席で私に見せてくれ。
「アタシ」が「私」になり、「プロデューサー」が「プロデューサーさん」になり、病弱も克服する。
共に歩んできたことが実感できる素晴らしいアイドルですよね。