シンデレラたちは止まれない! 作:私立聖白ビキニ女学院理事長
「おにんぎょうのー……やくー……?」
「そうだ」
「お、やったな!こずえの得意なヤツじゃん!」
「アヤだって得意な役柄だろ?」
「人形師がか?まあな」
現在私はプロデューサールームにて、
年齢差と性格のギャップの大きいコンビではあるが、お人形さんみたいなこずえとドール好きのアヤは被保護者と保護者的な立ち位置だけでなく、それ以上に色々とウマの合う非常にいい関係を築いている。
今回はこの2人に写真スタジオのCMのオファーが舞い込んだ。
アヤ演じる人形師の渾身の作であるこずえ演じる等身大ドールが生命を吹き込まれて開眼する、というありふれたストーリーラインだが、15~30秒ではこれが限界とも言える。
シナリオよりも2人ならではの息の合った空気感と世界観で印象付けたいのだろう。
実際この2人はこれまで何度もこの手の役を演じてきており、すっかりお手の物であると評しても過言ではなかろう。
ワンパターン化するのは望ましくないが、代名詞とも呼べる得意分野があるのは大きな武器だ。
「撮影日までさほど時間はないが、おまえたちなら大丈夫だろう」
「おうさ。じゃあレッスンルーム使わせてもらうぜ。こずえ、行こうか」
「あやといくー。ぷろでゅーさー……またあとでねー」
プロデューサールームを辞するこずえの頭とアヤの尻を撫で、アヤに鋭いローキックをもらってスネを抱えて唐傘お化けのように跳び跳ねる羽目になった。
アヤめ、ふたりっきりの時はしおらしいくせに照れおって。
それを見てくすくす笑うこずえがかわいかったのでこれぐらいは安いものだ。
さて、私は私で仕事を片付けるとするか。
「プロデューサー!こずえが!こずえがっ!!」
その後数十分経った時、血相を変えたアヤが扉を蹴破らんばかりの勢いで戻って来た。
「落ち着け!こずえがどうした?」
椅子から立ち上がり、彼女の元へと歩み寄ると両肩に手を置いて尋ねる。
この様子は只事ではない。
私も内心嫌な予感がビリビリしているが、私まで取り乱してしまっては話にならない。
「こずえが!こずえがピクリとも動かなくなっちまったんだ!呼吸もしてない!それに人形みたいに冷たい!」
「呼吸と体温が!?」
動かなくなっただけなら「こずえは演技派だからな」とでも返すところだが、呼吸が止まっている上に急激に体温が低下したとあれば急病などの疑いがある。
「こずえ!」
私はアヤを連れてレッスンルームへと急行した。
「こずえ!」
そこにはアヤによってマットの上に横たえられたこずえの姿があった。
自主練習だったということもあってトレーナー陣はいない。
駆け寄ってこずえの上半身を起こす。
するとどうだ、いつもの軽い身体のはずがはるかに重みを感じる。
そして何より、アヤが言った通りまるで木材のように冷たいではないか。
顔面も蒼白だ。
「どういうことだこれは」
両目を閉じるこずえの顔に耳を近付けてみると、本当に呼吸もしていない。
胸も上下しておらず、それは明らかだ。
「倒れて頭を打ったりは?」
「してない!アタシの腕の中でこうなったんだ!」
わからない。
理解が及ばない。
想像もつかない。
だがこれが病気の類ではないということを直感が告げてくる。
「何かその時他に気になったことは?」
「気になったこと?そんなこと言われても気が動転してて……そうだ、こずえが『じゃあおにんぎょうになるねー』って言ったすぐあと、どこか宙を見ながら『だあれ?』って言ったんだ。それぐらいだ」
「『だあれ?』だと?」
ますますわからなからなくなった。
こうなっては専門家ならざる身ではどうにもならない。
馬鹿の考え休むに似たり、ならば専門家にお越し願うしかない。
「アヤ、事務所に行って
「えっ?」
アヤは一瞬何を頼まれたのかと不思議そうな表情をしたが。
「わかった!すぐに連れて来る!」
すぐに切り替えて矢のような勢いで駆け出して行った。
さすが格闘技愛好家だけあって状況判断に優れた子だ。
たとえ自分がわかっていなくとも、今が一分一秒を争う状況だということをちゃんと弁えている。
「こずえ、待ってろ。すぐにこちらへ連れ戻してやるからな」
まるで生気のない彼女の額にかかった前髪を掻き分ける。
「こっち!」
「そなたー」
「プロデューサー!」
「芳乃!茄子!こずえを診てやってくれ!」
予想以上に早くアヤが芳乃と茄子を連れて帰って来てくれた。
場所を空けると、ふたりはあらゆる角度からこずえの状態を調べ、思い詰めたような表情になって顔を見合わせる。
「これは……」
「はいー……」
「どうなんだ!?こずえの具合は!?なあ!?」
「アヤ、落ち着け」
私の代わりに取り乱してくれているアヤをたしなめ、視線でふたりを促す。
「とても危険な状態です」
「早急な処置が必要なのでしてー」
「具体的に」
訊くのが怖いが、訊かないわけにもいかない。
「こずえちゃんと現世のつながりが切れかかっています」
「すぐにつなぎ止めないと取り返しがつかなくなるのでしてー」
「なんでそんなことに!?どうしてだよ!?」
「今は理由はどうでもいい。どうすればいい?」
食って掛かりそうになるアヤを制し、ふたりを見据える。
「生命エネルギーを直接体内に吹き込むんです」
「ですが、吹き込んだ側の身が危険なのでしてー」
「わかった。要は人工呼吸みたいなものってことだな」
とりあえずそれだけわかればいい。
再びこずえの上半身を起こす。
「そなた!?」
「プロデューサー、無茶ですよ!」
芳乃と茄子が私の左右の腕にすがり付いて止めようとする。
「無茶だろうがなんだろうがやるんだよ。一刻を争うんだろ?」
「だけど!」
「そなたの身がー」
「そんなことを言ってる場合か!こずえにはこれから長く輝かしい将来があるんだ!それがこんなところで失われてたまるか!アヤ!ふたりを引き離せ!」
どこの誰の仕業か知らんが、絶対に許さん。
だが今はとにかくこずえを取れ戻すことが最優先だ。
「チクショウ!アタシだってプロデューサーのこと心配なんだからな!芳乃、茄子さん、こっちへ!」
「悪い、恩に着る!」
アヤ、おまえは本当にいい女だよ。
呼吸を整える。
大きく息を吸い込む。
「こずえ!帰って来い!!」
私はこずえと唇を合わせ、呼気に乗せてありったけの自らの生気だの活力だのを彼女の体内へと送り込む。
細かいやり方なんか知るか。
こずえに対する想いの強さならどこの誰にも絶対に負けはしない。
一体どれくらいそうしていただろう。
こずえに呼気を送り込み続けている内に私の脳内は酸欠のような状態になり、視界がブラックアウトした。
まるで星のない宇宙空間に身一つで放り出されたようだ。
闇の中でもがくように進むと、やがて小さな淡い光の玉が見えた。
「こずえ!!」
声にならない声で私は叫んだ。
『ぷろでゅーさー……?』
「よかった!こずえ!そこにいるんだな!さあ帰ろう!」
私はなりふり構わずそこへと辿り着くと、その小さな光の玉をしっかりと胸に抱え込んだ。
ああ、今度はホワイトアウトする。
「プロデューサー!」
「そなたー!」
「プロデューサー!」
茄子、芳乃、アヤの懸命に私を呼ぶ声に重いまぶたを開く。
「う……」
「よかった!戻って来られたんですね!」
「そなた、なんという無茶をするものでしてー」
「心配かけやがって!」
それぞれのリアクション。
3人が3人とも声が波打っている。
ごめんな、ありがとう。
でも、私なんかよりも。
「ぷろでゅーさー……」
声がする方へと首を向けると、こずえと目が合った。
彼女もまた衰弱しているのか、横になっている。
それでもいい。
私はこずえを連れ戻せたのか。
「こずえ、よかっ、た……」
私の意識はそこで途絶えた。
この後私は昏睡状態に陥ったらしい。
昏睡状態の私は会社の医務室へと搬送された。
そこに駆け付けた
事の顛末を目撃していた芳乃、茄子、アヤであれば「あの時のこずえと同じ状態だ」とわかったのだろうが、そうでない者であれば仕方ない。
よって私は医務室のベッドの上で面会謝絶の身となった。
とはいえそのまま完全放置されるといったことにはならず、時間さえあれば芳乃、茄子、
なぜその時の記憶がないのかと残念でならない。
他にも主治医(?)である清良をはじめ、まゆ、
そんな中で私の意識はどうなっていたかというと、再び光も音もない闇の中を漂っていた。
感覚もない。
どうしたものか。
頭も上手く働いてくれないので危機感が薄いのが大変マズい。
明らかに早急になんとかしないといけない状況なのに、頭も身体も重く鈍すぎる。
「いっそこのままでもいいか」などというろくでもない思考が定期的に襲ってきては必死になけなしの力を振り絞ってそいつを追い払うというイタチごっこが続いている。
それもいつまで保つか。
どうにかしたいのどうしたらいいのかが全くわからないのだ。
【どうだ。闇の中は心地よかろう?】
声がした。
頭の中にだけなのか、空間全体に響いたのかすらもわからないが。
その声は重く、低く、冷たく、恐ろしかったが、とにかく取っ掛かりができた喜びの方が勝った。
「悪いがそうでもない。ところでどちら様?」
【ほう、豪胆な。我が恐ろしくはないのか?】
「恐ろしいよ。恐ろしいが何もないよりはマシだと思えるね」
【面白い。あの子供が執着するのも頷ける】
あの子供?
「こずえのことか?」
居住まいを正す。
いや実際には地面も方向感覚も何もないのだから表現としておかしいのかもしれないが、気は心というやつだ。
【そのような名だったかな】
「こずえをそっち側に引きずり込んだのはあんたか」
【まさか奪い返されるとは考えておらなんだがな。なあに、また同じことをすればよいだけのことよ。二度目はない】
だろうな。
こちらにも同じことをもう一度やれる余力などない。
「なあ、こずえから手を引いてくれないか?」
努めて穏便な声を出したつもりだ。
【それは聞けぬ相談よ。あれほど闇と相性の優れた人の子は他におらぬだろう】
なるほど。
話が見えた。そしてつながった。
正体は不明だが、
「こずえをどうするつもりだ?依代にでもするのか?それとも闇の女王の座にでも据えるつもりか?」
【どうしようとおまえには関係あるまい】
「あるさ。大アリだ。あいつは私の担当アイドルなんだ」
【知ったことではない】
ヤバい。
以前チラッと考えたことがある妄想が現実になってしまった。
こずえは「憑依型アイドル」だと業界内外で評されている。
一度台本を読めばその内容を丸暗記してしまう才能もそうだが、役への入り込み方、その役とのシンクロ率が異常なのだ。
中でも魔王や深海の異形などの役柄を演じた時の衝撃たるやすさまじいもので、その迫真の演技に現場が凍りついたほどだ。
演じきった直後のこずえも呆けており、「大丈夫か?」と尋ねても返事が曖昧だったものだ。
あれは大役を果たした故の脱力感から来るものだと思い込んでいたが、そうではなかったのか。
世間からの評判も良く、今や「遊佐こずえといえばラスボス役」とまで言われるほどの代名詞の1つとなっている。
私もそれを喜々として彼女の大きな武器だと捉えていたのだが、とんでもない。
これこそがいわゆる諸刃の剣か。
私はプロデューサーとしてとんでもない過ちを犯し続けていたわけだ。
こずえに何と詫びればいいんだ。
「どうしたらこずえを諦めてくれる?私が身代わりになったんじゃダメか?」
まさにダメ元。
【おまえもなかなかに興味深い境遇のようではあるが、代わりなど務まらぬ】
でしょうね。知ってた。
いよいよ詰んだか?
何か、何か手はないのか。
このままだとこずえが!
【ではさらばだ。おまえは憎めない存在ではあるが、我が目的遂行のためには邪魔になる。消えてもらおう】
マズいマズいマズいマズい!
ヤバいヤバいヤバいヤバい!
私はどうなってもいいからこずえを!誰かこずえを助けてくれ!
「誰か!!!!」
【諦めよ。誰もここへは来られぬよ】
チクショウ!!本当にここまでなのか!?
「あら、『誰か』なんてつれないわね」
「私たちを呼んでくれればいいのに」
「諦めるだなんてプロデューサー様らしくありませんわ」
この声は。
「ちとせ!
まさか。
「はぁい。貴方の花嫁トリオ、参上よ」
「いつでも、どこでも、呼んでね」
「そのための私たちでもあるのですから」
なんとも心強い。まさに九死に一生を得た。
「でもどうやって!?」
「芳乃ちゃんたちがこちらへの
「『わたくしたちではなく魔に近いちとせさんや小梅さんにしか務まりませぬー』って」
「ジャポネスクのお三方には感謝の言葉もございません」
芳乃、茄子、歌鈴、ありがとう。本当に本当にありがとう!
【吸血鬼の真祖に異界渡りの娘にあともう一人。ただの聖職者ならばここに入って来て無事で済むわけがない……おまえは何だ?】
「私ですか?そうですね……『ハイブリッド・シスター』とでも名乗りましょうか」
「あはっ、いいじゃないそれ」
「かっこいい……」
問われたクラリスが嫣然と下腹部を撫でつつ答え、ちとせと小梅がやんやと囃し立てる。
【してどうするつもりだ?いかに真祖と異界渡りの力が強かろうとこの空間では我を滅ぼすまでには至らぬぞ?】
「だってさ?」
「ちとせさんと私だけなら、そうだったかもね」
ちとせと小梅が顔を見合わせて肩をすくめる。
どういうことだ?
やけに余裕があるように見える。
「ここには私とプロデューサー様がおりますもの」
「クラリスはともかく私もか?」
私は性欲が強いってだけの一般人なんだが。
「ええ、そうですとも。さあ、私を後ろから強く抱き締めてくださいまし」
「抱き締めるのはやぶさかではないが……こうか?」
クラリスを背後からぎゅっと抱き締める。
あーこの感触この香りこの温度。
やっと生の喜びを実感できた。
「で、どうするんだ?まさかこのまま必殺ビームでも撃つってわけじゃ」
「その通りですわ♪ちとせさん、小梅さん」
「はーい」
「わかったー」
クラリスの指示を受けたちとせと小梅が私を左右から支えるように抱き締める。
え、なにこれ。
「それでは参りますわよ」
ノリノリだなクラリス!おまえそんなキャラだったか!?
「せーのっ!」
【な】
散々放置されていた闇のなんちゃらのそれがまさしく断末魔の叫びだった(叫ばせてもらってすらいないが)。
前に突き出したクラリスの両手から名状しがたい色彩と形状の光線みたいなものが発射されたと思ったら敵が消滅していた。
もうあいつの声も聞こえない。
めっちゃラスボスっぽい存在感放ってたのに不憫すぎる。
なんなん?
ウチのアイドルたちってなんなん?
こいつらが本気出したら世界征服とかできちゃうんじゃないの?
こっわ。
「じゃあ魔法使いさん、帰りましょうか?私たちの
「アッ、ハイ!」
「うふふ、プロデューサーさん、変なの」
「私、お腹が空いてしまいました……」
……いやマジでなんなん???
よく私こんなの190人もたった独りで担当してるな!?
「う……ここは……?」
ゆっくり、ゆっくりと目を開きつつ、私は「アニメかゲームの台詞みたいだな」とぼんやりと頭のどこかでそんなことを考えた。
ほらよくある視界に白い天井とカーテンとベッドの端っこが映ってて、にゅっと出て来た医者が「いいですか、落ち着いて聞いてください」なんて切り出しつつ、後ろに無表情な看護婦が立ってる系のアレ。
「ぷろでゅーさー!」
でも実際にはこずえが胸に飛び込んで来たし、その後ろの清良は微笑みつつ涙ぐんでくれていた。
「……ただいま。ごめんな、心配かけて」
私はこずえの頭を撫でつつそれだけ言うと、またしても意識を失った。
ただし今度の目覚めは異空間ではなく、ちゃんと現世でのものだったのが幸いだった。
ひどく安心したものだが、ひとつ誤算だったのはすさまじく衰弱してしまっていたことだ。
なんと行って帰っただけで約11Kgも体重が減少してしまっていたのだ。
どういう仕組みでそうなったのかは定かではないが、とにかくこれまでとはバランス感覚が違っていて戸惑う。
「おっと」
フラついて壁に左肘を咄嗟に突いて身体を支える。
いかんな、どうにも慣れない。
まるで常に貧血状態を抱えているような感覚だ。
「だいじょうぶ?」
「お?」
空いた右手の指先がそっと温もりに包まれる。
「こずえ」
「えへー」
にぱっ、と私の声にこずえが笑顔を見せる。
この子を取り戻せて本当に良かった。
そのためなら私の一時的な不調なんて安いものだ。
体重が減っただけなら爆食してリバウンドさせればいいだけなんだからな!
「こずえがー……ささえるねー」
「ありがとな、こずえ」
ふわふわの色素の薄い髪を撫でる。
こずえ、おまえを絶対に手放したりしないからな。
それからもこずえは実に甲斐甲斐しく私に尽くしてくれている。
以前からも懐かれてはいたが、もはやベッタリといった感じがしないでもない。
こちらに全く不都合はないので何も問題はない。
アヤには「保護者ポジション交代だな」と苦笑されたが、元々おまえとこずえが仲良くなる前もこうだったしな。
寂しいんだろ?心配いらないって。こずえはおまえのことを軽視するようになったりする子じゃないって。
それにしてもこずえが愛おしい。
前にも増して愛おしい。
今もこうして事務所のソファに座って資料に目を通している私の右膝に体重を預けているが、温もりと柔らかさがなんとも心地良い。
気付けばついつい右手で彼女の髪を撫でてしまっている。
これではさくらの頭を無意識で撫でる癖のある
「あらあら、こずえちゃんプロデューサーにもたれて寝ちゃってますね」
「『仲良きことは美しきかな』、でしてー」
そこに茄子と芳乃がやって来た。
物腰自体は穏やかだが、その目の奥が笑っていないことにすぐに気付いた。
「話してくれ」
単刀直入に切り出す。
今のこずえと私の関係性が例の事件以後変わったことに気付かないほど私は鈍くない。
「今のそなたとこずえさんはー、魂の共有関係にあるのでしてー」
「魂の共有?」
なんだその空飛ぶ船で冒険するソシャゲの主人公とメインヒロインの設定みたいなの。
「わかりやすく言えば、『一心同体』ってことですね」
おいおい、ますますそれっぽくなってきたぞ。
「待ってくれ、『一心同体』ってことはどっちかに何かあればもう片方にも影響が出るってことだよな?」
「でしてー」
「冗談じゃない。私とこずえでは年齢差がどれだけあると思ってるんだ。私が死んだらこずえまで死ぬんじゃ洒落にならんぞ」
私は大声を上げたいのを必死で堪えた。
私の膝ではこずえがすやすやと寝息を立てているからだ。
「そこまで大袈裟なものじゃないですから安心してください。そうですね……『お互いの依存度が強くなった』、ぐらいに考えてもらえれば」
「いくらなんでも噛み砕き過ぎだろ。そこには当然ルールやノルマみたいなものがあるんだよな?」
「でしてー。これまで以上にそなたとこずえさんはつながりを強くする必要があるのでしてー」
「それって……」
もしかして。
「こずえちゃんとガンガンえっちしちゃってください!」
なぜか両目を爛々と輝かせて両腕ガッツポーズをする茄子。ノリが良すぎる。
「そなたの身にもし何かあってもよいぐらい、こずえさんの中にそなたを遺しておくのですよー」
ファー。
マジか。そう来たか。
「こずえのためなら何だってするさ」
小さく上下する彼女の背中を優しく擦る。
「とはいえ、大変なことばかりではないのでしてー」
「と言うと?」
「プロデューサー、最近体調とかどうですか?」
「体調?1回ドーンと体重が落ちた時はしんどかったけど、そう言われるとそれ以降はなんだか心身ともに軽くなった感じするな」
茄子に指摘されて初めて自覚するお恥ずかしさ。
「それこそがこずえさんからの良き影響なのでしてー」
「つながってるから、ってことか」
「ですですー。こずえちゃんって神様に近いんですよ」
「……は?」
いやいや、いくらなんでも突拍子もなさ過ぎないか?
「そなた、憶えはありませぬかー?」
「憶え?こずえの神様っぽいエピソードってことか?ふーむ……」
台本をすぐに憶える。
小梅みたいに何かが見えている。
くしゃみをすると雨を降らせる。
他人の夢の中に入れる。
他にもエスパー的な能力も……。
「あ」
「あるみたいですね」
「まさにそれなのでしてー」
普通なら一笑に付す話レベルなのだが、実際に現人神と崇められてきたこのふたりが真顔で言うのだから間違いはない。
私は世間よりも世界よりもこのふたりを信じる。
「こずえ、おまえ私が思ってたよりずっとすごい奴だったんだな」
人差し指の先っちょでほっぺをぷにぷにする。
「んー……」
もにゅもにゅと唇がなにやら動く。反応がとてもかわいい。
「プロデューサー、とっても優しい顔をしてます」
「そなたがこずえさんを守るのですよー」
「ああ。ふたりともありがとうな」
覚悟は決まった。
いや、覚悟を新たにした。
一生をかけてこずえを守る。
「ぷろでゅーさー……ぎゅーって、して?」
それが彼女からの「合図」だ。
「ああ、いいよ、もちろん」
お姫様抱っこで彼女の軽い身体を持ち上げて運び、そっとソファに横たえる。
「んふー」
こずえは満足げな息をひとつ漏らすと、ぽんぽんと着衣を次々に脱ぎ捨て、あっと言う間に生まれたままの姿になる。
「ぷろでゅーさー……きてー」
「ああ……」
その甘い声に、誘蛾灯におびき寄せられる蛾のようにフラフラと近付く。
「こずえ、綺麗だよ。とっても綺麗だ」
熱に浮かされたような声で彼女への賛辞を送りつつ、自分も慌てて着衣を脱いでいく。
ああ早く彼女の身体に触れたい。
最近とみにこずえの肢体が魅力的に感じる。
いやいっそ蠱惑的と評してもいい。
私は全部大きいきらりのような体型も、高身長だがスレンダーな
「こずえ……こずえ……」
居ても立っても居られず、キスする前に彼女の蕾に吸い付く。
なるべく舌の全面が触れるようにしていやらしくいやらしく乳首を丁寧に舐める。
わずかに膨らんだ胸の先端に位置するそれは、この世で最上の宝石に思えた。
今度はじゅるじゅると音高く乳首を吸う。
小さすぎてなかなかに難しいが、逆にやり甲斐があるというものだ。
「くふっ……きゅぅ……」
こずえが快楽に身をよじる。
聴きたい。もっとその声が聴きたい。聴かせてくれ!
空いた方の手でもう片方の乳首をくりくりと摘みつつ、しつこくしつこく彼女の胸を吸って舐めた。
「ぷろでゅーさー……きす……しないのー?」
荒い息を吐きつつ、こずえが尋ねる。
彼女の胸は私の唾液でべとべとだ。
「する!するとも!」
胸の次は唇へとむしゃぶりつく。
ぢゅるぢゅると薄い唇を吸い、舐め回して舌を差し込む。
「あも……ぷちゅっ……ふ、ぅ、ん……ぴちゅっ」
短い舌でこずえが応えてくれる。
興奮する。
とてもとても興奮する。
なんならこれだけで射精してしまいそうだ。
極限まで唇を押し付け、彼女の胃へと唾液を送り込む。
「こくっ……こっ……こく……」
こずえの細い喉が脈動する。
飲んでる!
私の唾液を飲んでる!
この無垢なる少女が私の唾液を自らその身体へと取り込んでいるのだ。
ひひ。
ははは。
はははははははは!
ダメだ。
もうダメだ。
もうこれ以上我慢できない。
「ぷろでゅーさー……おちんちん……こずえのなかに……いれるー?……いいよー」
「
「わかったー」
身を起こしたこずえが私の胸を両手でポンと突く。
「あっ?」
たったそれだけで彼女よりもはるかに重いはずの私の身体はまるで綿のようにソファへと倒れ込んだ。
「じゃあー……いれるねー……」
仰向けになった全裸の私の下半身にこずえが跨る。
「おいこずえ、無理するな。十分に濡れてたとしても
ぬぷんっ。
「はいっ……たぁ……」
「ウソ……だろ?」
これまでこずえとセックスしたことは何度もある。
だが小さい彼女の狭すぎる入り口はその度に挿入に難儀した。
はずなのに。
「こんなに難なく……てぇっ!?」
ギチギチギチギチィッ!!!!
ああああああああ締まる締まる締まる締まる!!
「それじゃあ……うごくねー」
「え?」
「よい、しょっ……よい、しょっ……」
騎乗位でつながったこずえが腰を揺らす。
ぎゅちっ!ぎゅちっ!ぎゅちっ!ぎゅちっ!
「あっ!あっ!あっ!あっ!なんでなんでなんで!?どうなってる!?」
わけがわからない。
どういうことだ!?
こずえの身体は見た目には何の変化もなかった。
さっき彼女のヴァギナを指で愛撫した時には相変わらずの狭小さだったのに。
「こずえのからだはねー……ぷろでゅーさーのためだけのからだにねー……なったんだよー」
妖艶な瞳でこずえが私を見下ろす。
「私のためだけの?」
「そうだよー……だからねー……ぴったりなのー……えへー」
こずえはにっこりと微笑むと、下腹に手をやってわずかに力を込める。
「おおおおおおおお!!」
なんだこの快感!
なんだこの快感は!?
びゅぐっ!!どびゅっ!!びゅっぐ!!どぷっ!!
呆気なく果てた。
ごくっ!ごくっ!ごくっ!ごくっ!
飲んでる。
こずえの子宮が私のザーメンを飲んでる。
ごっく!ごっく!ごっく!ごっくん!
不思議と搾り取られているという感覚がない。
一方通行感がないのだ。
これが「魂の共有」による作用なのか?
「ごちそうさまー……ぷろでゅーさー……まだまだだよねー?」
優美な仕種で下腹部を撫でるこずえに問われ、もげそうなほど首を縦に振る。
ここで終わる訳にはいかない。
こずえと私の身体のつながりの正体を完全に掴んでおきたい。
「する!こずえともっとする!」
「じゃあねー……ちょうだいー……してー?」
そう言って彼女は難なくペニスをヴァギナから抜いて立ち上がると背を向けてうつ伏せになり、こちらに尻を向けてそれを左右に振る。
すると彼女の秘部から先程私がたらふく射精したばかりのザーメンがとろりと垂れてきて、その扇状的な光景といったらなかった。
気付けば私の男根は痛いぐらいに再び勃起していた。
「こずええっ!」
辛坊堪らず飛びかかる勢いでこずえの小さな身体に背後から覆い被さって肉棒を突き刺す。
「おっ?」
またしてもすんなりと受け入れられ、一瞬の拍子抜け感の後。
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅっ!!!!
「くおおおおおおうっっ!!」
100パーセントフィットした彼女の
ヒダヒダが、ヌルヌルが、ツブツブが、完璧に私の男性器の全てを把握した上で、一番気持ちいい所に一番気持ちいいことを容赦なくしてくる。
「がっ!あっ!あっ!がっ!」
それでも私はなんとかピストン運動を敢行する。
こずえにばかりしてもらっていては男が廃る。
私にだって面子なり矜持なりがあるのだ。
セックスに関しては特に。
「ぁっ……ぁっ……ぁっ……ぁっ……」
肉同士がぶつかる度にこずえが上げるか細い嬌声がなんとも耳に心地良い。
もっとちゃんと聴きたいのに、打ち付ける腰の動きが止められない。
もう頭より先にペニスが動いている。
1回でも多く、1ナノメートルでも奥に挿入したい。
「こずえこずえこずえこずえこずえ!私のこずえ!私だけのこずえ!」
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん!
「そう……だよ……こずえはー……ぷろでゅーさー……せんようー」
「!!」
こずえの口からそんなことを言われてしまったら!
「ふわあ……ぷろでゅーさーの……なかで……また……おおきくなった……」
今のはこずえが悪い!
なんて罪作りな子なんだ!
そんなこと言われて正気でなんかいられるものかよ!
「こずええええっっ!!」
ずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐずぐ!
「んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!」
こずえ。
はあああああこずえ。
私のものだ。
おまえは私だけのものだ。
「こずえっ!
「だしてぇ……こずえに……ちょうだい……ぷろでゅーさーの……あついのー……」
この期に及んで!
この子は!
まだそんな台詞を!
「ぐうおおおおおうっ!!」
どっぽおっ!びゅぐびゅぐびゅるっ!ぶびゅびゅーっ!びゅーっ!びゅっびゅっびゅっびゅっ!どぴゅっ!どぴゅっ!どぴゅっ!どぴゅっ!
頭の中が真っ白だ。
腰骨がチリチリする。
陰嚢が急激に収縮して痛い。
精巣が過労死する。
「でてるー……ぷろでゅーさーの……どろどろー……こずえのなかにー……いっぱいー……♪」
こずえの
こずえの中には確かに私がいるのだ。
「よしよし……いいこいいこ……」
事後、こずえが私のペニスの先端を撫で撫でしてくれている。
あれからも何回も何回もこずえの
その度に猛烈な強烈な快感があり、文字通り私はこずえに耽溺した。
こずえ中毒だ。
彼女の肉体はまさに麻薬だった。
いくら味わっても決して飽きることのない、この世で最高の美食。
「くぷぷ……ちゅるっ……ぺちゅ……」
お掃除フェラをしてくれるこずえ。
鈴口からとめどなく精液がにじみ出て来てキリがないのにごめんな。
ああ気持ちいい。
短くてザラザラした温かい舌が気持ちいい。
舐めてもらうのも大好きだけど、またこずえの
「……またこずえのなかに……いれたいのー?……いいよー」
いいの?
ありがとうな。
じゃあ早速
あー気持ちいい。
最高。
「こずえねー……ぷろでゅーさーのこと……だーいすきだよー」
嬉しいなあ。
私もこずえが大好きだよ。
心の底から愛してる。
「こずえがねー……ぷろでゅーさーのことをー……まもるよー」
何言ってるんだ。
私がこずえを守るんだよ。
「えへー……かみさまにもー……だいまおうにもー……まけないのー」
こずえは強いなあ。
「ぷろでゅーさー……ずーっと……いっしょだよー」
うんうん、ずーっといっしょだ。
「いつまでもー……いっしょだよー?」
いつまでも?
そっかー。
いいよー。
「よかったー……もうこれでー……だいじょうぶだねー」
大丈夫?
よくわからないけど、こずえがそう言うならそうなんだ。
うん大丈夫大丈夫!
こずえがいるから私は幸せだ!
『Hungry Bambi』のソロVer.には舌を巻きました。まさしく彼女にしかできないアプローチでしたね。