※この作品はR-18です。

Beliefers   作:とある渓流にいるかわうそ

5 / 16
さぁ〜、主要人物たち残り5名まとめていけるかなぁ〜
まとめきれないかも。次に持ち越しになるかも

とりあえず頑張ります


4話 崩壊が始まった時

唐突に、その出会いは果たされた。

彼ーー神崎瞬は彼女と対面し、顔を見た時

神崎瞬はこの女の子が小学3年生の頃の

幼馴染ー天宮文香である事を確信した

それほどには顔に面影が色濃く残っている

 

それ故に、驚きは大きい。

今の彼女はあまりにも昔の風貌と違う

昔はお淑やかで身なりを整えており

髪は黒髪でサラサラして綺麗。

和やかで明るい、まさにお嬢様

といった雰囲気を外見から漂わせていた

 

しかし、今の彼女はそんな面影などない。

今の見た目で言うと、髪は栗色の茶髪で

明らかに染めており、綺麗だった髪は

見る影もないぐらいボサボサ。手入れを

していない事は明白であった。

雰囲気も刺すような威圧と近寄り難い空気

和やかだった目も鋭い眼光を放つような

目つきになっている。

まさに不良。お嬢さまとは真反対の

雰囲気を放っている。

 

そんな不良の少女ーー天宮文香は神崎瞬の姿を

見るなり、足早にその場を立ち去ろうとする。

 

それを神崎瞬は体を使って、遮る

 

天宮文香「……何?邪魔なんだけど」

 

そうして、神崎瞬に向ける目は敵意に満ちみちていた

その目に神崎瞬は威圧される。

神崎瞬の心に恐怖が芽生える。いや、天宮文香と

出会った時からその恐怖は既にあった。

無理もない、これほどに敵意を剥き出してくる

不良がいたら健全な生徒なら誰でも怖いだろう

それが更に敵意を増大してこちらを睨んでくるのだ。

恐怖が膨らむのは当然であろう。

更には神崎瞬は彼女に対し、『後ろめたさ』が

あった。

それが神崎瞬に恐怖を助長させる要因ともなっている。

 

だが、その恐怖に負けじと神崎瞬は勇気を出して

彼女に話しかける

 

瞬「ひ、久しぶり!覚えてるかな?ほら、小3の時

よく一緒に遊んだ… 神崎瞬だよ!ほら!ふみちゃん!

この呼び方覚えてるよね?ふみちゃんは俺の事「ねえ」」

 

神崎瞬の勇気を出した言葉は天宮文香により遮られる

そして強い口調で

 

文香「ふみちゃんって呼ぶの、やめてくれる?

そう呼ばれるの本当に腑が煮えくりかえるから

『あんな事』言ったくせに。

 

それと、覚えてるかだって?覚えてるに決まってる

でしょ?『あんな事』言われたんだしさ。

 

あんた何で[幼馴染]面が出来るわけ?

神経おかしいんじゃないの?」

 

天宮文香は棒立ちする神崎瞬の横を通り過ぎる

そして、振り向きながら吐き捨てる

 

文香「もう二度と私に話しかけてこないで

本当はあんたの顔も見たくないんだから」

 

そのままぐんぐんと神崎瞬を置いて立ち去る

神崎瞬は情けなく、ただ呆然と立っている事しか

出来なかった。

 

-------

---ー

ーー

 

 

紅藤優「ふーん、見事に玉砕しちゃったわけか」

神崎瞬「いや、言い方!」

 

学園の寮の一室で神崎瞬と紅藤優は話をしていた。

時間はもう既に11時を回っていた

ここは神崎瞬の部屋。特待生徒専用の部屋であり

室内はまるで財閥の御曹司や令嬢が住むような

豪奢な内装である。

流石は日本有数の金持ち学園と言ったところである

 

こんな遅い時間に何故紅藤優がいるかと言うのは

別段何か特別な事情という事はなく

ただ、同じ寮生であったためバイト帰りに優が

瞬の部屋を訪れ、瞬の顔が少し落ち込んでいた

ように見えたため

 

優「何かあった?話、聞こうか?」

 

瞬「あ、うん。お願いします…」

 

と、相談に乗るため優が瞬の部屋内に

上がったというわけである

 

優「で、どうしたらいいと思うかって

事だよね?」

 

瞬「…あぁ」

 

優「じゃあ、キッパリ言わせてもらうけど。

何も助言出来ない。出来るわけないでしょ。

僕は2人の過去に何があったのかそもそも

知らないんだし、アドバイスをあげるどころか

考えることすら出来ない。

資料もないのに会議とか開けるわけないでしょ?

それと一緒。

 

だからまず2人の過去を聞かせてほしい。

嫌な過去だろうけど、聞かなきゃ何も言えない

 

嫌ってんなら僕は協力出来ないよ」

 

神崎瞬は過去を話した時、天宮文香との過去は

ほとんど話はしなかった。

瞬自身、かなり苦い結末を迎えた思い出だったので

あまり話したくなかったという思いもあったが

何より『天宮文香自身』の悲しい過去の結末を

自分の口から言うのは躊躇われたというのが大きい

 

しかし、優に言っていることは最もな意見だ。

ネタもないのに考えることなど出来るはずが無い

 

なので、瞬は少しの躊躇いの後

 

瞬「分かった。彼女とのことを全部話す」

 

優に話す事にしたのだ

 

------ー

----

ーー

 

〜神崎瞬の回想 6年前〜

 

神崎瞬は当時小学3年生であった。

両親が事故で他界し、親戚の家に

引き取られ生活していた。

 

だが、神崎瞬の過去を語った時のように

神崎瞬達は厄介物同然であり、親戚達の間で

押し付け合わされていた。

そのため妹共々何度も小学校を転校し、

学校で出来た友達ともすぐに別れを

告げる日々を過ごしていた。

そして今で通算5つ目の親戚の家と

小学校を往復している

今の家の中ではおおよそいい扱いは受けて

いない。片付け、洗濯、食事などの家事は

親戚の分までほとんど神崎瞬達が行っていた。

邪魔物のように扱われてきていたので親戚達から

かけてくれる愛情などないに等しいため

今までの家の生活でも良いものではなかったが

他はまだ食事の用意はしてくれていたので

今回の親戚の家は特に酷いと言えた。

小学校も神崎瞬に親しい友達はいない。

仲良くしてくれようと他の子供達も話しかけて

来てくれたが、神崎瞬は全てそっけない態度で

対応していた。

そのうち神崎瞬に話しかけてくるクラスメイト

達はいなくなった。

 

神崎瞬(どうせ友達を作ったところですぐに別れる事に

なるだけ…… 友達なんて作ったら……ただ辛い思いを

するだけだ)

 

故に神崎瞬は誰とも仲良くしなかった。

しかし、そんな恵まれない環境の中にいる

神崎瞬にも宝と呼べる存在がいた。

それが2つ下の妹、『恵美』である。

恵美とは辛い毎日を兄妹助け合って生きた。

神崎瞬にとって、妹は残された最後の肉親

であり、神崎恵美は神崎瞬にとって何よりも

守りたいものであった。

 

神崎恵美は内向的な性格で、行く先々の

小学校でよくいじめられていた。

神崎瞬はそのたびに妹守った。

そして神崎瞬がそっけない態度であるのは

この事も明らかに関係しているのであろう

この頃には神崎瞬はかなりの"人間不信"を

患っていた。

 

そんな折、あの少女ーー天宮文香が現れた

 

文香「ねえねえ?何でそんなにぶすっと

してるの?」

 

天宮文香は突如現れ、完全なる初対面だと

言うのに馴れ馴れしく話しかけてきた。

 

瞬(……何不自由なさそうに過ごして

そうだな)

 

神崎瞬の天宮文香への第一印象は

最悪そのものだった。

当時の天宮文香は誰から見ても

裕福な暮らしをしている事を

思わせるお嬢様。

そして、その見た目と雰囲気に

何ら相違などなく、天宮文香は

資産家の娘であるのでお嬢様と

呼ぶのが相応しくあったし、

両親だって愛情に溢れた良い

人達であったし、勿論のこと

娘である文香はありったけの

愛情を受けて育ってきていた。

 

まさに神崎瞬の印象通りに天宮文香は

何不自由なく過ごしてきていたのだ。

 

そんなお嬢様は不自由しかない生活を

送り続けてきた神崎瞬にとっては嫌気が

さすのは当然の事であり、嫉妬するのも

当然の事であろう

 

初めて天宮文香に話しかけられた神崎瞬は

小学校の友達にするのと同じように無視し、

家への帰路へと歩む。

 

しかし、天宮文香はついてきた。

まるで当然と言わんばかりにである。

 

瞬「あのさぁ…何でついてくるわけ?」

 

文香「ついてくるななんて言ってないじゃない」

 

瞬「じゃあついてくるな」

 

文香「やだ!」にひっ

 

笑顔でにぱっと笑って瞬の後ろをとことこついてくる

瞬は殴ってやりたい衝動に駆られたが

 

瞬(徹底的に無視してやればいいだけだ)

 

そう思い、後ろについてくる文香に気に留めず

てくてくと家路へと歩く

 

それが大きな間違いであった。

神崎瞬は『この時はまだ普通の人間だった』

だからこそ普通の人間の考えをしている。

なればこそ"こんな事"想像する事など

出来るはずがない。

 

瞬「……何で普通に家の中に入ってきてるの?」

 

文香「入るななんて言ってないじゃない!」にひっ

 

さも当然のように自分の家ですのように

天宮文香は現在瞬が過ごしている家へと入って来た

 

瞬「……頭おかしいんじゃないの?常識ないの?

何で見ず知らずの他人の家に我が物顔のように

入ってくるわけ?」

 

文香「そう?じゃあ私は常識あるね!」

 

瞬「はい?」

 

文香「だって私は君のことよく知ってるもん!」

 

瞬「…はい?」

 

文香「だからよく知ってる私は君の家に入っても

問題ないよね♪」

 

またにひっと少女は笑う。

神崎瞬はその笑顔に噴火するような怒りが湧き立ち

感情のままに怒鳴る

 

瞬「いいからでて「お兄ちゃあああん!!」」

 

しかし怒りの怒号は神崎瞬の後ろから発される

妹の声によって中止の宣言がなされた

 

瞬「あ、恵美…」

 

恵美「お兄ちゃ……っ!!」

 

神崎恵美が天宮文香の姿を確認した刹那

サッと神崎瞬の後ろへと隠れる

その行動は神崎恵美が人見知りという事も

あるが、神崎恵美はいじめられて来ているのだ

神崎恵美もまた兄以上に"人間不信"を患っていた

それ故になされた行動である

 

恵美「お兄ちゃん…あの人だあれ?お兄ちゃんの

友達……?」

 

瞬「全く知らない人だよ。大丈夫、お兄ちゃんが

あんな奴追い出してやるから」

 

と、そんな事を話していたら

 

文香「さーっ!遊ぼう遊ぼう!この家って何か

無いの?ゲームとかは?無かったらトランプしよっ!」

 

文香が無理矢理兄妹2人をぐいぐい押し付け

部屋の中へと行こうとする

 

瞬「お、おまっ!?やめろ!!妹が怖がってるだろ!?」

 

文香「えー?別に良いじゃん?初対面なんだしさ?

一緒に遊んだら妹ちゃんも怖がらなくなるって♪」

 

瞬「ふざけんな!!!妹に何かしたら絶対許さないぞ!」

 

文香「何もしない何もしない♪ただ一緒に

遊ぶだけだって♪」

 

恵美「ふえええん!!お兄ちゃあああん!!」

 

そうして、あまりにも無理矢理に幼馴染の少女

天宮文香との馴れ初めは始まった。

 

天宮文香は不思議な少女だった。

全くの初対面なのに一緒に過ごしていると

心が温かくなるのだ。

初対面なのに一緒遊ぶと楽しいのだ。

人見知りの妹も怖がっていたのがいつの間にか

一緒に楽しく笑って遊んでいた。

気がつくと今までずっと素気なかった自分の

顔にも笑顔が貼り付けられていた。

 

瞬「ねぇ、俺の事よく知ってるって言ったよね?

俺は君の事全然知らなかったのに、何で?」

 

日が暮れ、もう帰ろうかという時ぐらいになり

神崎瞬は疑問に思っていた事を聞く

天宮文香は神崎瞬のいる小学校にはいなかった

だからこそそもそも何で自分の事を知ってるのか

不思議に思ったのだ

 

恵美「え?お兄ちゃんフミ姉のこと何も知らないの?」

 

その頃には神崎恵美は天宮文香を姉と呼ぶほどまでに

慕うようになっていた。

 

文香「んー、それはね。君がいじめられっ子を

助けたからかな」

 

瞬「え?」

 

文香「本当にたまたまなんだけどね。この前

両親の用事で君の小学校に行ったんだ。

それで校庭で待ってたら君と多分他のクラス

メイトの子かな?がいるの見て」

 

文香「何の気なしに君たちを見てたの。

その時の君の印象は素っ気ない嫌な奴

って感じでさ。私の君への第一印象は最悪

だったな〜」

 

文香「けどその後、多分下の学年の子かな?

雰囲気的に。どっからどう見てもいじめられっ子

が来た時、君以外の子がその子に嫌がらせを

し始めたんだけど、君はその時何したと思う?」

 

神崎瞬は天宮文香の話を聞き、その時の記憶がよぎる

 

文香「君、そのクラスメイト達に水かけ始めたん

だよね。そしてこう言うの

「あのさぁ、そう言う不快なことするのやめろよ。

そんなに何かをいじめたいなら俺をいじめたら?

俺はお前らの事なんてどうでもいいし、一々気にしたり

しないからさ?」

その後、君がクラスメイト達からいじめられてたの見てた。」

 

文香「それ見て、私、君の事すっごいかっこいい

って思ったの!それですごく優しいなって!

だって普通いじめられるのとか嫌じゃん?

でも君は自分から自分をいじめろと言った。

それってそのいじめられっ子の事を助けた

かったからだよね?

しかも学年もそのいじめられっ子は下だから

君といじめられっ子が面識があるように思えないし。

 

つまり君は、"見ず知らずの他人"を助けたって

ことじゃん!」

 

天宮文香は太陽のようににひっと笑顔をを向ける

 

ーそういえば……そんな事あったな…ー

 

そんな事を思っていると神崎恵美がそれに

便乗してくる!

 

恵美「フミ姉さすが!そうなの!お兄ちゃん

すっごく優しいんだよ!恵美の自慢なの!」

 

瞬「いや、俺なんて…… 俺はそういう人を

見捨てられないってだけだし…

 

そもそも俺がそうなったのは"影明"に憧れた

からなんだ」

 

文香「影明?誰それ?」

 

恵美「恵美も知らない!誰それ!?」

 

瞬「あぁ、そうか……恵美はまだ小さかった

もんな……

 

昔、小学校に上がる前ーーある男の子がいたんだ

その男の子はもう引っ越していないんだけど。

その子の名前が緑川影明って言って、よく一緒に

遊んでいたんだ。それこそ毎日ね。

そんでその影明はすごく正義感が強くて、優しくて

大人相手にも突っ込んで弱い子とかを助けたりしてて…

 

自分の方がボロボロのくせに助けた弱い子の身体を心配

したりするぐらいお人好しで優しかったんだ」

 

神崎瞬は昔を懐かしむように言う

 

瞬「俺はそんな影明がかっこよくて…憧れだったんだ…

だから俺がしてることは影明に憧れてその真似事を

してるだけ。俺なんか優しくないし、すごいのは

影明なんだよ。」

 

神崎瞬は自嘲気味に笑いながら言った。

 

しかし、天宮文香はその自嘲の笑いを

真っ向から否定した

 

文香「いやいや!君はすごいよ!その影明って子も

すごいけど、結局は君だってそのすごくて優しい

男の子と同じになれてるってことでしょ?

 

じゃあ君だってすごくて優しいってことじゃん!」

 

そう言われた時、神崎瞬は自らの心に何かが芽生えた。

その何かは言うまでも無い。初恋の感情である。

幼い神崎瞬にその何かが初恋である事は分からない。

しかし、すぐに神崎瞬はその何かの正体を知ること

になる。

 

文香「だからね!私、君の事が好きになっちゃったの!

その時話しかけようと思ったんだけど、パパとママの

用事が終わって、すぐに帰る事になっちゃったの…

 

それで、今日君を見かけたら居ても立っても

居られなくなっちゃって、家まで押しかけ

ちゃったんだ♪」

 

文香「言い遅れちゃったけど、私君の事が好き!

勿論、"恋"という意味でね♪」

 

その恋という単語を聞き、神崎瞬はその何かが

初恋だと気づく。

そう自覚してか、

いや、その天宮文香がストレートに伝えてくる

好意によるためのものだろう

神崎瞬はその恋慕が大きく膨らんでいくのを

感じる。

 

瞬「ねえ…… これからも一緒に遊んでもいいかな?」

 

文香「もちろん!こっちからお願いしたいぐらいだよ!」

 

瞬「ありがとう!」

 

文香「ねえ、いつまでもお互い君って呼ぶのどうかと

思うし、お互いの呼び方決めよ!

君の事、シュンくんって呼んでも良いかな?」

 

瞬「うん!いいよ!じゃあ僕は君の事フミちゃんって

呼んで良いかな?」

 

文香「フミちゃん……うん!すっごくいい!

私のことそう呼んで欲しい!」

 

瞬「うん!これからよろしくね!フミちゃん!」

 

文香「うん!これからもっともっと一緒に遊ぼう!」

 

 

こうして、幼い2人の甘い甘い日々は始まる。

ある時は瞬が文香の家に遊びに行って

ある時は文香が瞬の家に遊びに来る。

またある時はどこかの公園で遊んだ。

2人は毎日遊んだ。

そう、緑川影明と同じようにーー

 

神崎瞬は確かにこの時

天宮文香との生活は緑川影明との

日々以上に幸せな充実感を覚えていた

 

同時にとても辛かった。

毎日が経てば経つほど。

 

いつか来る、別れの時を思えばーーー

 

 

ある時、神崎瞬は自分から天宮文香に

もう会えないと告げた。

天宮文香は当然のように拒否をする。

神崎瞬は告げた。自分の過去を

今の自分の状況をーー

 

瞬「だから……いつか必ずフミちゃんとは

別れの時が来るんだ…… だからーー」

 

文香「じゃあ私が私のパパとママにシュンくん

も一緒に暮らさせてってお願いする!!」

 

瞬「え?」

 

文香「そんな家!さっさと出て行って私の所で

暮らせば良いよ!恵美ちゃんも一緒に!

そしたら、シュンくんと私、もっともっと

一緒にいられるよ!」

 

それは神崎瞬にとってとても魅力的な話だった。

苦しみしかない家から、生活から解放される

妹も救える。

 

何よりーー大好きな文香と一緒にいられる

 

瞬「でも…フミちゃんの両親はそんな事

許さないんじゃないかな……」

 

神崎瞬が心配そうに俯くが

 

文香「大丈夫だよ!私の家、お金持ちだし!

私もパパとママ説得するから大丈夫だよ!」

 

神崎瞬はそれを聞き顔を綻ばせる

暖かい未来を想像して、神崎瞬の心は

血流を弾ませる。

 

文香「だから、もう会えないとか言わないでよ!

私とシュン君はずっと一緒だよ!

 

ーーだから将来、私たち絶対結婚しようね!!」

 

神崎瞬はその言葉に心が躍る

 

瞬「うん!!」

 

 

その日はそれで別れた。

この時の神崎瞬の心は希望に満ちみちていた。

大好きな文香との生活を想像して

心が弾むのが分かる。

 

ー最近、あまり来なくなった恵美もきっと喜んでくれるー

 

ーそして、僕は将来フミちゃんと結婚するんだー

 

ーその時になったら、影明も探して会いに行こうー

 

神崎瞬はこの時、天宮文香と将来結婚する事を信じて

疑わなかった。

この先の未来には輝かしい幸福が待っているのだと

本気で思っていた。

 

 

しかし、いつだって悲劇は突如として訪れる。

神崎瞬に纏わりついた『絶望』は希望を

決して許しはしない

 

 

 

---------------------------

 

 

 

天宮文香には大好きな『兄』がいた。

いつも優しく、自分を気にかけてくれる

頼りになる『兄』がいた。

本当に本当に天宮文香は『兄』の事が大好きだった

 

 

 

 

 

 

その『兄』が、死んだ。

 

 

 

 

---------

----

-

 

 

刑事「交通事故ですな」

 

重苦しい声で刑事が文香の両親に告げていた。

両親はその場に泣き崩れている。

 

天宮文香もその場にいた。

大好きな兄の学帽を持っていた。

形見となってしまった兄の帽子をーーー

 

その場には神崎瞬もいた。

神崎瞬はこの光景を知っていた。

この光景はあの時と限りなく似ていた

自分の両親が死んだ時とーーー

 

故に神崎瞬はその辛さが分かる。

だから彼は、その優しさ故に天宮文香に声を

かけないなどという選択肢はなかった。

 

瞬「ふ、フミちゃん…… お兄さんが死んでしまって

本当に辛かったよね……

で、でもきっと大丈夫だよ!お兄さんは天国から

フミちゃんをきっと見守ってくれているよ!

僕の両親も死んだ時、辛かったけど

そう思う事によって、僕も何とか乗り越えたんだ!

 

だからフミちゃんにもきっと出来るよ!」

 

だが、この時の神崎瞬はまだ幼すぎた。

かけるべき言葉を慎重に考えるには

まだ彼は幼すぎたのだ。

結果、天宮文香への気遣いの言葉は

彼女との仲に大きな亀裂を入れてしまう

 

文香「……うるさいっ うるさいうるさい!

シュンくんに、にぃにの何が分かるの!?

天国から見ているなんて気休め言わないでよ!!

私はシュン君みたいにそう簡単に割り切れないよ!

私にとってにぃには本当に大好きだった!!

そんな大好きなにぃにが死んで、大丈夫で

いられるわけないよ!!」

 

文香「シュン君と私は違うんだよ!!

私はシュン君みたいに非情じゃない!!

シュン君みたいに大切な人が死んでも

平気で居られるような人間なんかじゃない!

 

だから死んだんじゃないの!?

シュン君がそんな冷たい人間だから

シュン君のパパやママも死んだんだよ!

『神様が罰を与えたんだ!!』シュン君に!

 

自分の両親が死んでも平気なシュン君は

今度は恵美ちゃんも失うんじゃない!?

シュン君はそんなんだから!!

きっとまた『神様が罰を与えるんじゃない!?』

 

『妹の恵美ちゃんだってきっとシュン君の

前からいなくなるよ!』」

 

天宮文香がまくしたてる。

その様は神崎瞬に八つ当たりをしているようだ。

実際のところ、八つ当たりをしているのだろう。

天宮文香はまだ小学3年生だ。幼い子供と言っても

間違いない。

であれば、勿論精神年齢だって成熟していない。

そんな幼い少女にとっては肉親のしかも大好きな

兄の『突然』の死はとても耐えられるものではない

 

であれば、当たりやすい神崎瞬に八つ当たりするのは

仕方のないことかもしれない。

神崎瞬もそれを察してか、両親の死を罵倒されたような

酷い言い草に対しても神崎瞬は怒ったり、何かを言い返す

事はなかった。

皮肉にも、その両親の死と辛い毎日が神崎瞬の精神を

小学3年生とは思えぬほど成熟させていた。

 

文香の母「コラ!!文香!!心配してくれた瞬君に

なんて酷い事を言うの!?

さっきの言葉は言っちゃいけないわ!!」

 

文香の父「ごめんね、瞬君。今文香はとても取り

乱しているみたいだから、また後日来てくれない

だろうか? もうちょっと時間が経てば文香も

落ち着くと思うんだ。」

 

瞬「……はい、分かりました。」

 

神崎瞬も確かに文香の父の言う通りだと思い、

天宮邸を立ち去った。

 

それが最後だった。それで、天宮文香とは

もう会う事はなかった。

 

 

 

その日、帰ったら妹の訃報が届いた。

自殺だった。

 

妹の遺言があった。

 

遺言の内容は

・フミ姉と遊び始めた時ぐらいから

いじめられるようになった事

・だけどフミ姉と楽しそうなお兄ちゃんを

見てたら私に巻き込みたくなかったから

黙っていた事。

・ついに耐えられなくなって、自殺する事

にした事

 

最後にーーー[私の事はいいので、お兄ちゃんは

フミ姉と幸せになってね]

 

そう綴られていた。

 

神崎瞬は絶望し、

自らを激しく憎んだ。

 

ーフミちゃんの言う通りだー

 

ー僕は最低のクズだ!!ー

 

ー妹があまり来なくなっているのを

知っていたのに……ー

 

ー恵美の様子なんてまるで気にも留め

なかった!!ー

 

ーフミちゃんと遊ぶ事を優先した!!ー

 

ーだから妹が死んだ!!ー

 

ー何よりも守りたかった存在さえ失った!!ー

 

ーフミちゃんの言う通りだ……ー

 

ー僕がこんなんだから……非情だから……

恵美は僕の前からいなくなったんだ!!ー

 

ーごめんなさい……ごめんなさい……」

 

瞬「身勝手でごめんなさい……非情でごめんなさい……

………守れなくて……ごめんなさい……」

 

更に神崎瞬への悪意は止まらない。

 

妹の訃報は小学校からのものだったのだ。

今の世間は、子供のいじめには厳しい。

特にいじめの起きた学校にはとても厳しい

ものだ。

故に小学校の教師たちは隠蔽をはかった。

その隠蔽として、現在面倒を見ている瞬の

親戚に多額の金額を支払う事を申し出た。

親戚はこれに了承した。

親戚には、瞬達兄妹に愛情など微塵もない

のだから。

 

こうして、隠蔽工作のひとつして、神崎瞬は

まもなく遠方へと引っ越す事になる。

最後の時すら、妹の死の名誉すらも穢されると

いう地獄を神崎瞬は味わされたのだ。

 

 

 

---------------------------

 

 

 

 

この時からなのだろう。

神崎瞬の『心の一部』に亀裂が入ったのは

 

神崎瞬の『崩壊』はそう遠くはないーーー

 

 

 

 

 

---------------------------

 

 

 

 

 

 




なんてこったい!!フミフミの過去を書いただけで終わっちまったじゃないか!
次こそは主要キャラ達をまとめていきたいですな……

『後ろめたさ』『あんな事』
天宮文香との過去で神崎瞬が

「ふ、フミちゃん…… お兄さんが死んでしまって
本当に辛かったよね……
で、でもきっと大丈夫だよ!お兄さんは天国から
フミちゃんをきっと見守ってくれているよ!
僕の両親も死んだ時、辛かったけど
そう思う事によって、僕も何とか乗り越えたんだ!

だからフミちゃんにもきっと出来るよ!」

と言った事です。

その後、その日に妹が自殺したので天宮文香に言われたことも
相まって、本当に罪悪感を感じてしまっちゃったんですね
どう考えても天宮文香の言ったことの方が最低なんだけど。
よくよく聞くと、そんな大した事ないエピソードなんですが、
『タイミングが悪すぎた』ね。『色々』ね

フミフミはあんな事とかって言ってますけど、どう考えても
おめえのほうが悪いじゃん!!
その辺どう考えてんだろね。『真意』はどうなんだろね。

『天宮文香自身の過去』
お兄さん死んじゃった事です

『心の一部』『崩壊』
第1話参照です。これ以上の詳しいことはまだ言えない!



え?他にも強調してた奴あっただろって?
『』してた奴あっただろって?
ごめんなさい、僕の目に見えないので
説明できないです(逃亡)
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