状況が飲み込めない。
何故俺は川崎に押し倒された。何故川崎は俺の身体に覆い被さったまま俺から離れようとしない。何故川崎は俺の目を見つめながらそんな顔を見せる。何故そうやって俺の心を激しくかき乱すんだ。お前にそこまでさせる何かを俺がしたか? どうしてお前は俺のことを好きと言ってくれるんだ?
なあ、教えてくれ川崎。それから俺にもお前に心を開くチャンスを寄越してくれ。そしたら俺も本当の意味でお前のことを…………
俺が狼狽えていると、こちらを見ていた川崎がぐっと身を乗り出すように動いてそのまま自身の顔を俺の顔に寄せてきた。
んちゅっ………ちゅ……ふぅ………ぷは
咄嗟のことに驚く間もなく、気付けば俺は川崎に唇を奪われ、濃厚な接吻を受ける。
しっとりと濡れた彼女の長い髪の毛が俺の顔や首筋に垂れかかってきてむず痒い。
ふーっ……ふーっ……ふーっ………!
唇同士が触れ合い続けているから必然的に鼻呼吸を余儀なくされるのだがそれは川崎も同じ様子で、彼女の荒い鼻息が俺の顔に絶え間なく吹き付ける。
こんな状態では対話の余地が無い。ならばと思い身体の方に意識をやるも、こちらも中々に酷い有り様だ。
川崎が全体重を俺の身体に預けているおかげで俺の胸元には彼女の豊満な乳房がこれでもかというくらいのしかかる。パジャマとブラジャー越しでもその肉感と重みがこれでもかというくらいに伝わってくる。
それに加えて彼女の全身から仄かに漂うシャンプーの香りが鼻腔を伝わって脳を刺激する。
そんな甘くも濃厚な刺激を五感と全身に受けることで俺の股間に生える肉棒はみるみる内に大きくなっていき、履いているズボンの生地を盛り上げる。
そしてあろうことか、その盛り上がった部分が丁度川崎の太ももに当たってしまっている。彼女も俺の身体の異変には気付いているようで、時折彼女の太ももが怪しく動いて執拗に俺の股間を弄ぶ。
このまま彼女の行為を甘受していたいという気持ちが頭の中を支配する。彼女の行為を拒絶しないといけないという気持ちが感情の奔流の中に溶けていく。
けれど俺の中に僅かに残った理性とプライドが俺の腕を動かした。
なし崩しにこんなことしていい筈がねえだろうが。俺は”初めて”は好きな人とするって心に決めてんだよ(今決めた)こんな俺にも意志って物はある、それをこれから見せてやるよ。
ん……大丈夫、手に力は入る。俺はまだ堕ちちゃいねぇ。
俺は川崎の肩に手を置いて自身の身体から彼女の身体を引き離そうと試みる。
しかし川崎は一瞬こちらの方に一瞥をくれたかと思うと、おもむろに自身の背中に手を回して身に付けていたブラジャーを取り去った。彼女の思わぬ行動に俺は動きを止めて息を飲む。
俺のささやかな抵抗によってお互いの身体がほんの少し離れた為に、露出した川崎の乳房がぷるんと弾んで地球の重力に従って垂れ下がる。
女性の身体というのは、どうしてこうもエロティックなのだろうか。どの部位も、男の欲望を焚き付ける魅力に満ち溢れている。
中でも特に目を引くのが女性の胸、乳房だ。幼児期に組み込まれた原始的な感性が働いて世の男どもは女性の乳房に強く惹かれるのだろう。
初めて目の当たりにする生の乳房に目を奪われていると、川崎がそっと俺の両手を掴んで自らそこへ導いた。
あっ……んっっ………うくっ…………
俺の手がそこに触れると川崎が些か声を殺しながらもとても悩ましい声をあげた。それから顔を俯かせて何か堪えるような仕草をして見せる。
それと同時に俺の股間をぐりぐりと弄ぶ彼女の脚の動きが止まった。膨張し過ぎて今にも破裂しそうな勢いであった俺の肉棒への攻撃が収まったことに俺はとりあえず一安心・・・なんて出来る訳がない。
何だこれ………すっげえ……やわらけ…………。
触れはしたがしかしまだ手の平を胸の表面に添えただけに過ぎない。それなのにこの胸に沸き上がる多幸感は何だ。
強烈にこの触れている乳房を揉みしだきたい衝動に駆られる。後先なんて考えずに今はただ目の前にいる女性をメチャクチャに犯してやりたいと考えてしまう。
……………ああっ!! 駄目だ駄目だ! ヤケになるな俺。絶対に必ず間違いなく後悔する羽目になるぞ。
「かわ・・・さき」
彼女に押し倒される形で二人横になってから初めて言葉を発する。唇へのキスの嵐が止んでいたのが幸いだった。
彼女の胸がなるたけ視界に入らないよう薄目を開いて彼女の顔だけが見えるようにする。
彼女の耳に俺の声が届いたようで、部屋に入ってきた時以上に真っ赤に紅潮した顔がこちらを向いた。
気持ち虚ろな目をした川崎はボーッとした表情で心ここに在らずといった様子だ。これなら俺の言うことも素直に聞き入れてくれるかもしれない。
ある種の光明を見た俺は滾る興奮を何とか抑えつつ彼女に投げ掛ける言葉を探す。
しかし……思考するその”間”がいけなかったらしい。
「・・・うん・・・・いいよ」
川崎はか細い声でポツリとそう呟くと自身の下半身の方に手を伸ばして艶かしい動作を見せながらゆっくりと履いているパンツを脱いで傍らに投げ捨てた。
それから躊躇うことなく川崎は俺の着ているパジャマのズボンの腰回りに手をかけてそのまま下にずり下げた。