顔を歪ませながらもその思いの丈を伝えてくれた彼女に俺は、不謹慎ながら愛おしさを感じていた。
しかし勘違いしてはいけない。この愛おしさは家族に対して抱くそれとは当然異なるものであるが、これはまだほんの始まりに過ぎない。
川崎のことを好ましく思っているのは事実だが、この感情を愛情と呼称するにはまだ早すぎる。
再会したばかりで色々と過程をすっ飛ばしてしまったが、それをお互いに自覚しているなら、そこからまた始めることも可能なはずだ。
彼女のこれまでの行いを間違いで終わらせない為にも、俺は自らの気持ちを彼女に述べる。
「・・・正直今の俺には、お前の気持ちに見合う答えを出してやることは出来ない」
「けれど・・・応えたいとも思ってる」
「それがいつのことになるのか・・・今の時点では全く見当もつかないのだが・・・・」
あまりの緊張に声が震える。次に繋がる言葉が流暢に出てこない。この期に及んでまだ俺は前に進むことを恐れているというのか?
「俺は・・・・」
彼女の脇腹に添えた手に自然と力がこもる。手の平を通して、彼女の身体の強張りが伝わる。
「比企谷・・・・」
全てを言い終えるより前に、川崎の瞳から一筋の涙が溢れ落ちた。その涙が後押しとなって俺はその先の言葉を紡ぐ。
「俺は・・・お前との関係をこれで終わりにしたくない。これからもお前と関わっていたい」
「だからこの気持ちに決着が着くまで、それまでは一緒に居てくれないか・・・川崎」
川崎は溢れた涙の痕を拭うこともせず、こちらを見据えたまま微笑んだ。
「もちろんだよ。・・・嬉しい」
その言葉を皮切りに、彼女の瞳から幾つもの涙がぽろぽろと溢れ落ちた。彼女にとってそれは無意識で予期せぬことだったのか、それに気付いた彼女はグッと奥歯を噛み締めてみせるも、それでも一向に涙は止まらない。
「うっ・・・ううっ・・・・っつ!!」
やがて川崎は間近の布団に顔を埋めて嗚咽し始めた。一度崩壊した涙腺は自分の意志では最早止めることが出来ない。俺は彼女が落ち着くまで彼女の頭と背中を撫でてやる。
あの瞬間、あの静寂の中で二人に対して言えなかった言葉が、川崎にはこうも容易く伝えることが出来た。
これは成長と取るべきか、それとも……………。
暫くそうしていると、川崎が目元を手で拭いながら上半身を起こした。顔は紅潮して瞳はまだ潤んでいるものの、落ち着きは取り戻したようだ。
「すんっ・・・その、何かごめん・・・」
「いや・・・謝るようなことでもないだろ」
「・・・妹以外の人間にも優しく出来たんだ」
川崎がクスクスと笑う。その表情に安堵した俺は張りつめていた緊張感が徐々に弛緩していくのを自覚する。
「お前、俺を何だと思って・・・・っ」
「・・・なに?」
「いや、お互いのことを知るのはこれからだよなと思ってな」
「あたしは・・・知ってるよ。あんたのこと」
「ほぉ・・・たとえば?」
「妹好き、とか」
「随分と安直だな。そりゃ小町のことは自分の命よりも大切だし。お前の妹のけーちゃんも、我が愛飲するマッ缶よりは大好きだが」
「重症だこりゃ・・・」
川崎が額に手を当ててため息を吐く。その様子に些か居心地が悪くなった俺は口を尖らせる。
「・・・・他は何か無いのかよ」
「そうだね・・・・」
えぇ? 一つ目はすぐに出てきたのに、二つ目でそんな長考しちゃう? 言い出しっぺでそれは無いでしょうに…………。
「・・・・・意外と格好いい・・・とか」
ぽしゃりと消え入りそうな声でそう言って川崎は髪をかきあげるとそっぽを向いた。
学校の教室とか、廊下とか、調理室とか、サイゼとか、そういった場所だったら今の彼女の声は聞き取れなかったかもしれない。
けれど今俺たちが居るのは川崎の住むアパートの一室。広くもなければ狭くもないが、それでも二人きりの密室であることに変わりはない。
「・・・・そりゃ初耳だな」
だから俺は不意に目の前の女の子に言われたそんな一言に恥じらいを感じて身をよじる。
「あとは・・・・あんっ・・・」
その途端、川崎が艶かしい声をあげる。きもち控えめに出されたその声は間違いなく彼女のものだ。
「・・・・急に動かないでよ。びっくりする」
川崎が俺の腹に両手をついて不敵な笑みを浮かべる。俺が目線を下にやるとそこには俺と彼女が繋がった部分が。
暫くの間あんなド真面目な会話を続けていたというのに、彼女の膣内に挿入されたままになっていた俺の肉棒はまるでその硬さを失っていなかった。
キュッ……ウゥ………ッッ……!
ソコを意識した途端、彼女の膣が俺の肉棒を更にきつく締め上げた。
「うぐっ・・・ぐっ!」
その膣圧に俺は堪らず声をあげる。意識がソコに戻ったことにより、俺の脳内はまた色欲に染め上がる。
「んっ・・・・だいぶ慣れてきた気がするし・・・・そろそろ始める?」
川崎が目線を下の方にやってそんなことを囁く。彼女の口から囁かれる言葉はまるで悪魔の囁きだ。
「あんたにもあたしのこと、少しでも多く知って欲しいから・・・ね? ・・・しよ?」