俺が言葉をかけるより先に川崎が腰を前後に動かし始めた。手のそれとは一味も二味も違った感触が俺の肉棒を直に刺激する。短い間隔で絶え間なく送られてくるその刺激に俺は堪らず声を漏らす。
「う・・・おおっ・・・く」
「ねっ・・・気持ちいいね」
川崎がこちらに視線を送りながらそう囁く。しかし当の本人はその言葉とは裏腹に苦悶の表情を顔に浮かべている。それでいて彼女が俺にそんな同調の意を述べたということは、きっと俺にもそう感じて欲しいという彼女の気持ちの現れなのだろう。
仮にそうだとするなら、それは素直にイエスと答えよう。
だが、殊これに関して俺は答えを口にすることは許されない。否、許してはいけない。
俺は先ほど川崎との関係をこれからも継続していきたいと話したが、それはこれまでと変わらない知人、友人関係のことを指しており、この様な行為をするまでの深い仲になることは現段階ではまだ求めていない。
だから本来であればすぐに行為を中断して、一旦お互いが落ち着いてから再度また腹を割って話し合うべき……なのだろうが………これは……。
「・・・良すぎて馬鹿になっちまう・・・・」
正直なハナシ、凄く気持ちが良い。これまで連ねた数々の思考が儚くも霧散して帳消しになってしまうくらいに。
目の前に映る肌色一色の光景にとても興奮する。同い年の女の子とセックスしているという事実にある種の幸福感すら覚える。俺にとって今の彼女はその存在の全てが魅力に満ち溢れている。
「ほんと? ・・・ならあたしももっと頑張らないとだね」
俺の漏らした言葉に気を良くしたのか、頬を真っ赤に染めた川崎の口元が綻ぶ。俺を真っ直ぐに見つめる彼女の瞳には今なお情熱が滾っている。
ああ、許してはいけないというのに、快楽に負けてつい口にしてしまった。これでは泥沼だ。このままだとお互いの関係に歪みが生じてしまう。
このまま彼女の優しさにすがって、間違いを間違いとせずこの先も彼女に嘘を強要するのか? その結果どうなったかを知っているというのに?
あり得ない。それこそ俺が一番に忌み嫌うものではないか。
あんな辛くも苦い思いをするのはもう懲り懲りだ。あの頃を思い出すだけで胃がキリキリと痛み出す。喉がカラカラに渇いて思わず誰かに助けを乞いたくなる。
そんな自分の情けない有り様が嫌いで、必死に変わろうと足掻いて一人ここまでやってきたんだ。今更後戻りなんて出来ない。
………で、あるならば。ここで俺が取るべき行動はただ一つ。
「あー・・・川崎・・・?」
「・・・・なに?」
辿々しくも俺が彼女の名前を口にすると、彼女の表情に一瞬暗い影が落ちた。ややうつむき加減にこちらを見つめるその瞳には、一体どれ程の想いが宿っているというのか。改めて考えてみても、やはり今の俺にはどうにも見当がつかない。
しかしながら俺がそうすることで最悪を回避、もしくは逃げ口を設けられるのであれば、俺はそれを成し遂げるしかない。
すっげぇ恥ずかしいし、とても勇気の要ることではあるが、彼女のことを思えばそれがこの状況における最善策だ。
結果それで俺という人間がどれだけ歪むことになろうとも、それはまた俺の成長の証という形で後世に残ることになるだろう。そうなればいつの日かまたその事で自分を誇れる時が来るかもしれない。
川崎、俺はお前だけに責任を押し付けたりはしない。これは俺たち二人の問題だ。勝手に一人で全部を背負い込んでんじゃねえよ。俺にも半分背負わせろ。そして二人で一緒に並んで歩いて行こうぜ。
「その・・・俺がしてみてもいいか・・・?」
「へ? ・・・う、うん。別にあたしはそれでも構わない・・けど・・・・」
俺の口からそんな台詞が出てくると思ってもみなかったのか、川崎は目をまん丸に見開いて驚いた様子を見せる。それから一拍の間をおいて彼女は目を細めその表情を落ち着かせると、自身の秘部から俺の肉棒をニュルンと抜き去ってそのまま後ろに寝転んで背中を布団に預けた。俺はそんな彼女の動作に合わせて自身の身体を起こして彼女の姿を見下ろす。
普段ポニーテールに結われている川崎の青みがかった長い黒髪が今はほどかれて彼女の背中に敷かれ横に大きく広がってはみ出している。
先程まで些かながら余裕の様なものを彼女から感じ取れていたのだが、ポジションが逆転した途端に川崎は落ち着きのない様子を見せ始め、部屋の彼方此方に顔と視線を彷徨かせている。
寝転んだことで重力が背中の方に加わり、結果彼女の乳房の形は変化してその肉感の見た目を更に強める形となった。頭を動かすからその反動で彼女の身体は左右に僅かながら揺れ動き、その弾みで彼女の乳房も形をそのままにぷるぷると揺れ動く。
彼女の落ち着きの無さは足元にも現れていた。スラッとした綺麗な脚は内股気味に開かれており、時折もじもじと動いてその都度彼女の秘部からトロトロと液が垂れて股の間に流れ落ちる。
つらつらと今の川崎の様子を俺の主観で言って述べたが、端的に一言で表すならこれは正に”まな板の上の鯉”と言ったところか。
いやね、別に調子に乗ってる訳ではないんですよ。ただねポジションが変わって一旦冷静さが戻って色々と見えてくるものがあると何だか自分の内からムラムラと沸き上がるモノがありましてね、ええ。
「あんた、目付き凄いよ」
ぷくくっと、失笑する川崎が一言ポツリと言い放った。
どうやら思いのほか感情がオモテに出てしまっていたらしい。俺は川崎の発言に些かの気まずさを覚える。
「いや・・・すまん」
「・・・大丈夫だから、心配しないで」
くすくすっと、今度はあからさまに笑ってみせる川崎の手がゆっくりと俺の上半身の方に伸びてきて、俺の着ているパジャマのボタンを上からぷつぷつと外し始めた。
「あたしだけ裸ってのも恥ずかしいから」
やがてパジャマのボタンは全て外され、俺の胸元がはだける。それから川崎は何か考え込む仕草をして見せた後、内股気味に開かれていた彼女の脚が豪快とも言える程にガッパリと左右に大きく開かれた。
自身の所作に羞恥心が極まったのか、それから川崎は自身の顔を両方の手の平で覆った後、一切の身体の動きを止めた。
激しく沸き上がる内なる衝動を抑えて俺は即座にパジャマを脱ぎ捨てて川崎に覆い被さる。