シャワワワワワ
どうしてこうなった。
俺は今、一人暮らしをしている川崎の家の浴室でシャワーをお借りしている。
当然服を着たまま身体は洗えない。だからこうして全裸になっているのは、もはや不可抗力としか言い様がないのだが……まさかよりによってあの川崎の家で全裸になることになろうとは。
当然ながらその事実は脱衣場で衣服を全て脱ぎ捨てた時からずっと頭の中にあった。
そして言わずもがな、俺の股間に生えている肉棒は服を脱ぐ以前からイキリ立ち完全に勃起していた。
別に川崎本人と何かあることを期待している訳ではない。ただ知り合いの女性の住む家で全裸になることに俺は興奮してしまったのだ。
男としてこれはどうなのだろうか。……最低………なのだろうか。
しばらくの間そうしてシャワーの温水を頭から浴びて物想いに耽っていると俺はふと気が付く。あまり長い間シャワーを無駄使いしていると後で川崎に怒られてしまうかもしれないということに。
一人暮らしなんだ、ここの家賃はもちろん水道代も全て川崎が払っているだろう。あいつの性格だ、学費すら両親に頼っていないかもしれない。
俺も今はマンションで一人暮らしをしているが、それはある休みの日に材木座の薦めで最近流行りになってるVtuderを始めてみたら、それがありえないくらいにウケてしまって今ではそれで学費と生活費を賄えてしまっているのが現状だ。
人生何が起こるか分からない。そう、まさに今この状況もそうだ。
コンコン
突然、何かをノックするような音がした。あまりの驚きに喉から心臓が飛び出てしまいそうになったが、生憎そうはならなかった。
目の前にある鏡に目をやると、曇りガラスになっている浴室の扉の向こうに人の姿が浮かび上がっていた。そのシルエットは間違いなく川崎本人のものだった。
「なっ、何でしょうか!?」
驚きのあまり裏返った自分の声が浴室の中で反響して耳をレイプする。
「あーごめん。・・・ビックリさせちゃった? あたしだよ、川崎」
「だろうな。お前以外の人間がここに居たら俺は全力でここを飛び出して自分の家に帰る」
「真っ裸で? 流石にそれは無理があるでしょ」
くすくすと小さな笑い声が聞こえてくる。俺は全く笑えない。
「………で? 何か用か?」
「ああ、そうそう。もうすぐお風呂のお湯溜まる頃だろうと思ってさ」
確かに、俺のすぐ横にある湯船には蛇口から出るお湯が溜まりつつある。今入れば丁度胸の辺りまでお湯に浸かれそうだ。
「そうだな。もうすぐ溜まるな。お湯止めておくか?」
「うん、お願い」
最初は何事かと思ったが、どうやら俺の推察は正しかったらしい。またこれで一息付けそうだ。
いや肝心の俺の竿の剛直が収まる気配がまるでない。全くどうしたら良いのだろうか。
まさかヌク訳にもいくまい。臭いとか、或いは残留物でその行為がバレてしまう可能性がある。
ここは欲を抑えて我慢するしかない。全てが終わって自宅に帰ったらじっくりと相手をしてやろう。
ガサゴソ ガサゴソ
何か、布が擦れるような音が聞こえた。俺はまたその異音に驚きまた目の前にある鏡を覗く。
するとどうだろうか。浴室の曇りガラスの向こうに大きな肌色の物体が動く姿が見えるではないか。
それはもぞもぞと揺れ動いている。目を凝らして見ると、肌色の他に青みがかった何かがゆらゆらと左右に動いているではないか。
そのことに気付いた途端、俺はゴクリと喉を鳴らす。
ガラガラッ
「比企谷。背中流してあげるよ」
そんな声と共に浴室の扉が開いて川崎が現れた。
「なっ!!? ああっっっ??」
あまりの出来事に俺は咄嗟に彼女に借りたハンドタオルで大きく反り立った自分の肉棒を隠して固く目を閉じた。
「川崎!! おまっ! 何やってんだよっ!?」
「大丈夫だよ。あたし水着着てるから」
「へっ?」
自分でも驚くくらい気の抜けた声が出た。うっすら目を開けると目の前の鏡には上下に黒い水着を身に付けた川崎が立っていた。
彼女の美貌は変わらずだが、衣服を身に付けている時だと見えない肌色の面積が当たり前ではあるがとても多い。
脚と同じく腹回りにも肉のたるみは無くシュッとしていてとても綺麗だ。
しかし唯一肉付きがふくよかな部分がある。それは黒い水着に覆われてはいるが他の部分と同じ肌の露出が多い彼女の胸元。
「…………って、水着でも相当マズイが!?」
「?・・・・何がマズイってーの?」
「何がってお前・・・・それくらい察してくれ!!」
「ふーん。じゃあなに? 水着着けない方がよかった?」
「は!? バカ! 馬鹿だろうお前!! さ、流石に冗談が過ぎるぞ!」
「ちょっと、声抑えて。ご近所さんに聞こえたら苦情入っちゃうから」
「あが・・・・・うっ」
彼女の私生活のことについて持ち出されるとぐうの音も出ない。俺が原因で川崎がここを追い出されでもしたら、それこそその責任を取らないといけない。
「そうそう。あんたはそうして大人しくしてればいいの」
フフッ………と俺の背後で妖しく笑う川崎の声にまた、俺の肉棒が強く反応した。
俺はこれから一体どうなってしまうのだろうか。