蛍は何処へ 作:パリピブラゾール
もちろん経験はないが、伴部は世界一まぐわうのが上手いと、橘佳世は思う。実際に経験のある橘佳世は、それを優しさとして捉えていた。例え四つん這いにさせられ、尻の方から秘部に指を差し込まれていたとしても、だ。散々に橘佳世の体を弄んできた男たちは、触れることも撫でることもせず、ただひたすらに突き立てて、自分だけの快楽を味わおうとしていたものだ。それに比べて伴部は、我慢強く彼女が感じ始めるまで、緩やかに彼女をその気にさせてくれた。
反対の空いた手で、同じ顔をした少女を抱き寄せて唇を奪う。少女は、唇を啄むような口づけに、甘く喘ぎ続けていた。彼の腕を自分の胸元に抱き寄せてから、橘佳世は自分から進んで、四つん這いになっているもう一人の自分のもとへと這い寄った。
「伴部さんもそろそろお疲れでしょう? 私が続けますよ?」
有無を言わさず、愛液で濡れた彼の指をいとおしげに一本一本、丁寧に舐めて綺麗にしてから、うつ伏せになって痙攣しているもう一人の自分の体をひっくり返した。
「もう、伴部さんったら。いっつもこっちの私ばっかり可愛がるんですから」
そっくりなもう一人が、添い寝をするように畳の上に寝転がる。その手は当然のように相手の股間へと潜り込み、向かい合った二人は熱い吐息を互いの顔に吹き付けた。くぐもった声で快楽から逃れようと身をよじる橘佳世の体を押さえつけ、やがて逃れられると悟った彼女は、最近蛮族から仕入れた、性交用の拘束具を取り出した。鼻唄混じりに両手に枷をつけ、おまけに首輪をしっかりと嵌めた。剥き出しの白い肌に、拘束具の金属が冷たく輝いている。首輪をつけた二人の、同じ顔をした少女が横たわっている。
そこへ、青年の手が延びた。興奮からか少し震える手で、首輪の鎖をもう一人の少女のものに引っ掛けると、じゃらじゃらと言う音がして二人は一定の距離以上は離れられなくなった。
「あはっ。犬みたいですね、私たち」
舌をだし、唾をしっかりと喉に送り込んで、橘佳世は笑った。仰向けになった橘佳世は、熱に浮かされる目でもう一人の自分がなすがままになっていたが、自分と同じ顔がぐっと近づいて、唇からこぼれた唾液をなめとる、ざらざらとした感触に、自分は今男に愛されているのだとぼんやりと考えた。
必死になって唇を奪ってくる自分には辟易する。伴部だろうと自分自身だろうと、口づける相手は誰でもいいのだろうか。顔を背けると、ぷくりと頬を膨らませて喉元に舌を這わせてくる。蝸牛のような大きさの舌がねっとりと首筋を濡らし、くすぐる。それからも流れようとすれば、お互いの首輪ががちんと鳴って、つんのめるようにして二人の橘佳世は口づけを交わした。
自分自身に跨がった橘佳世は、自分を慰めるような要領で、自分のものとはまるで違う角度から、同じ秘部を指で弾く。散々伴部が指を出し入れしたのもあって、すぐにねっとりと絡み付いてきた。胎から込み上げる抗いがたい情欲を鎮めようと無意識に伸ばした手が、お互いの秘部を慰めるどこか滑稽な姿になっているとも気づかずに、二人は指を動かしていた。
こちらに背を向けた少女の後ろから、青年は覆い被さる。二人の体をさらにみっちゃくさせるべく、尻の肉をつかんでぎゅっと押し下げてから、固くそそりたつ逸物の軌道を合わせて、肉と肉の間にめり込ませる。僅かに残っている蜂蜜色の産毛が絡まる。三人が、各々呻き声を上げて全身を使った抱擁にのめり込む。
口づける橘佳世の余裕を崩そうと、伴部が首輪をつかむ。気まぐれに引っ張ってやると、されるがままに彼女の体は浮き上がるが、鎖で繋がれたもう一人が邪魔をして、鎖が引き絞られる。そのとき、僅かに赤い乳首がぴんと自己主張し、互いの肌をそれぞれ撫でる。乳首が筆先のように互いの肌の上で見えない弧を描く。青年が腕を離すと、橘佳世は支えを失って、もう一人の少女の上にぽすんと着陸する。髪が揺れて、これでもかと言わんばかりに牝のにおいが漂ってくる。
ややあって、下敷きになっていた橘佳世が、僅かに腰を浮かせた。足を突っ張ろうとしてもう一人の自分に邪魔をされ、腰がひとりでに波打ち始める。かくかくと小刻みに揺れた腰が、やがてぐっと突き出す形となって、小さな水音となって結実した。二人の秘部と太股の付け根、畳と青年の膝頭と濡らし始めた小さな洪水は、それを聞き逃さなかったもう一人の橘佳世によって、さらに大きな決壊を引き起こした。もう一人の橘佳世、自分の上にのし掛かった少女は、恍惚とした顔で勢いよく用を足し、二人の体を丹念に洗う。青年の男根はまだ固いまま、二人の胎を交互に行き来する。青年が胸と胸の間に無理矢理に手を突っ込んだ。かちんかちん、と鎖が鳴る。流れ落ちる唾液が同じ少女の肌の上で、より大きな雫となって畳へと落ちていく。
まだ熱の覚めぬ頭で、今まで下敷きになっていた橘佳世が動き始めた。昔余興でやらされたように、性器を模した玩具をつけていたときを思い出し、自分の上に股がっている女めがけて腰を振った。尻の肉に指をめりこませ、力の限り突き上げる。愛液と黄金の雫で濡れた肌がぶつかり合って、飛沫となって飛び散る。青年がくぐもった呻き声をあげる。重なった尻に青年の、黒々とした陰毛が刷毛のように白い肌を犯していく。
少女たちは腕を回し、互いの体を抱き締めた。異なる人生を歩んできた二人も、今はただ、赤子のように青年に振り回され、青年を弄び、互いの体を堪能していた。飽きることのない体の快楽。肌を重ねて、三人はずっと呻き声を上げていた。