「おい助手ぅ! 花見に行くぞ!」
処女の桜は散ってしまったが、春の桜はまだまだ健在な四月。
入部二日目。
廻軌の学生生活は完全にロリ爆乳先輩のいる部活、性行為救済用具発明部へとシフトしている。
先輩に会う為に学校へ行く、先輩に会いたいから苦手な勉強も頑張ってみる事にした。
追試で会う時間が減るなど絶対してはならない、キッカケはどうあれ女の子にモテたいと抗っていた日々は「好きな子と一緒にいたいし、振り向いて欲しいから努力する」日々へと変化した。
「春と言えば花見だろう! 発明につきっきりで何年も花見などしていなかったがな、いい機会であろう?」
「おおっ! 是非とも! デートですね先輩!」
先輩とお出かけが出来るんだと喜びイキる廻軌は、ドキドキしつつも敢えて意識させる言葉をチョイスした。
昨日までただの童貞だった少年は不器用でしつこいと思われようが、隙あらばアタックを忘れない。
「デートじゃない! 部長と助手の親交を深める為でもあるが、決して恋愛要素はないぞっ!」
「クスンッ……はーい、弁当とかは俺が作った方がいいですか?」
シュンとなる廻軌だが復活も早い。
一人暮らしをしているが料理など毎日がコンビニ飯でせいぜいが、何とか米を炊ける程度の自炊スキルしか持ち合わせていない。
にも関わらず「俺が作ってきましょうか?」など、口にしちゃうのはズバリ好きな子の為に頑張りたいし、好きな子を前にすると男は見栄を張りたくなっちゃうからだ。
「ご飯はいい、ちゃんとわたしが用意してやるから安心しろ」
「料理作れるなんて、家庭的なんですね先輩って!」
「ふっ♪ もっと褒めてもいいぞ♪」
発明に命を賭けた輪音は学校にいる時は研究室(部室)に引きこもっているらしく、家に帰っても発明関連に没頭しているんだなぁと、廻軌は推測していた。
失礼だがおっぱいが大きすぎてフライパンを操れるとは思えないし、エプロンなんて付けてしまえば生地がミチミチですぐに破けてしまいそうだ。
(皿を運ぶのはおっぱいに載せられるから得意かもしれない……)
「おいっ……何を勃起しているんだっ! 春だからって盛るなっ、決してわたし以外の女へ性欲を向けるんじゃないぞ?」
「大丈夫です、浮気には興味ないですから。俺は先輩一直線ですよ」
「違うっ!? 浮気とかじゃなくって!? ああもうっ……助手ぅ、とにかく明日だ、明日は休みでどうせ予定は無かっただろう? 花見場所は後でスマホに送ってやるから、遅刻したら許さないぞ」
お互いに顔を赤くしながら、お花見の約束を交わすことが出来た。
実は廻軌は以前から輪音の定めた日に予定を入れていたのだが……
(そんなものっ! 先輩とのお花見が優先に決まってんだろっ!! 楽しみで射精しそうっ!)
(ああっ、またチンポ硬くさせて……♡ ふふっ、お花見お花見っ~♪ 雨降らないといいなぁ、楽しみだ♪)
お互いを知るために努力をしているのは、廻軌だけではないのだ――
日付を跨いで午前……0時50分。
夜のやすらぎに包まれた桜はこれが最後になると、見事なまでに咲き誇った花びらその一枚一枚をゆっくりと、下界へと舞い散らせていく。
綺麗な物こそ儚く消えてしまう、処女膜のように。メスを揶揄する満開の巨木の下には例の男女の姿があった。
「集合って真夜中なんすね……」
「ああっ! 夜桜の方が見たかったからだ! ほらぁ、助手ぅ! ブルーベリージュースだぞ~! 無礼講だ、わたしが注いでやるから飲むがいい♪」
「おっと、ありがとうございます! そうですよね、眠気何てさめちゃいましたよ、こんなにも綺麗なんですからね!」
当然、綺麗と視線を向けたのは夜桜ではなく……
「……わたしはいい、周りの景色を見ておけよ……♡」
特製らしいジュースの入ったビンを慌てて倒してしまいそうだったが、谷間でキャッチしたので零さずに済んだ輪音。
レジャーシートの上には輪音のニーソのカラーと同じ、サイケな色合いの重箱が廻軌の前に並べられた。
色彩センスはともかく、蓋を開けたら本当に美味しそうな料理の香りが空になっている廻軌の胃袋を刺激してくる……
「いただきまぁぁぁ! うっ……!? うっまぁぁ!! ガチのマジで美味しいですっ!! デカいから残していいなんてとんでもない! 全部残さず! 重箱の隅まで舐めさせていただきますともっ!」
「そ、それはしなくていいぞ汚い……ふん♪ そう褒めるな……♡ 砂糖と塩を間違えるだの、消し炭を持ってくるなど、そんなお約束わたしには通用せんからな!」
女の子座りしながら腰に手を当て、おっぱいを揺らしながらエッヘンする輪音。
誰もいない夜の広場へと侵入してしまう罪悪感はちょっぴりあったが、逆に捉えればビックリする程静かで邪魔者がいないので、たっぷりと美味しいご飯と夜桜、そして先輩を堪能できるのだ。
「マジで美味いっす! いくらでも食えます!」
「いくらでも食っていいぞ、いくらでも出てくるからな」
言葉の節々にヒントを与えてやっているが、想い人の手料理に夢中な青春ボーイは気が付かない。
輪音がいくら助手、さらに初体験の相手になったとはいえ、無償でご馳走を振る舞うような性格である筈がないのに。
「あの、俺……先輩がおっぱいに秘める理想が大いに理解できるんです! セックスし放題の世界って人間誰しもが恥ずかしくて口にできないだけで、人間誰しもが願っている事だと思うんすよっ!」
仮に実現したらしたらで今度は子供が大繁殖して、少子化とは別の問題が起きるかもしれないが。
輪音が思い描く計画が実現すれば童貞という忌言も消失するし、挨拶代わりに結合をして相性を確かめ合う行為が日常となる。
(……だとしても、だ。俺は先輩以外とセックス……やっぱり嫌だな、もし他の女にチンポ囲まれても……そりゃあ勃起くらいはするかもだけど、中出ししたいのは……)
チラリ、体育座りで膝が爆乳に埋まってクソ短いスカートからパンチラさせている、輪音を一瞥し勃起する。
「どうした? もっと食うがいい」
「はいっ!」
童貞を失ったばかりだが、廻軌の心も身体も捉えて離さない先輩。本当の恋をしてしまった彼は恐れている……
(先輩が他の男とセックスを……? それは絶対にっ!! でも今の俺は先輩の助手、それ以上の関係にはなれていないっ……)
俺の女だ! ……と、自信を持って言える関係になりたい。
輪音から「わたしの彼氏だ♡」と、抱きしめてくれる関係になりたい。
その為には輪音に助手以上の「頼れる男」として、意識して貰うしかないのだ。
「……? う……おっ、おっ……おっ……?」
(ふっ、効能が出始めたか! やはり助手が現れてから調子よくあんな短時間でも発明が出来てしまうようになっている……)
次の料理に手を付けようとした廻軌は、右手から箸を落としてしまった。