優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――茜視点
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ、お兄ちゃん」
玄関先で先生に挨拶を告げた。
今夜は夕華の部屋で一緒に寝る予定だ。
「ふふっ...」
「茜?どうしたの?」
思わず笑みが漏れてしまった。
「ううん、なんでもない。夕華と一緒に寝れることが楽しみなだけよ」
「ふふっ...私も楽しみ」
愛らしい笑顔を向けてくれる夕華。
本当に...この笑顔に何度救われたことか。
夕華の部屋は、先生の家と同じ間取りだった。
違うのは...使っている寝室の位置だろうか。
先生は玄関から入ってすぐ右の部屋で、夕華は入ってすぐ左の部屋。
丁度、二人の寝室が壁越しに隣り合っている。
しかし、夕華の部屋には...なんというか生活感があまりなかった。整頓されて掃除もされているのに、なんだか使用感があまり無い。
「ねえ、夕華...この部屋って...なんだか綺麗ね」
「うん、あんまり使ってないからね~ほとんどお兄ちゃんの部屋で過ごしてるから」
そういえば先ほど冗談で一緒に住んでいるのではないか、と言ったけど、どうやら本当にそれに近い状態のようだ。
「そうなのね...」
「うん。昔からあっちに居る方が多かったよ」
夕華は戸棚をごそごそと漁りながら答えた。
ああ...そういうことか。どちらかというとあちらの部屋が彼女の生家なのだ。
「はい、歯ブラシ。新品だよ」
「ありがとう。じゃあ...しばらくはよろしくね。本当にありがとう」
「ふふっ...いいのいいの。茜がそばに居てくれるのは私も嬉しいから」
明るくて可愛らしい笑顔。悪意がかけらも感じられない...そんな笑顔。
「わっ...どうしたの?」
「あ...」
無意識のうちに彼女の頭を撫でていたようだ。
「ふふっ...ごめんなさい。じゃあ、歯磨きをして寝ましょうか」
「....うん。そうだね」
ふっと夕華が視線を逸らしたのだが、その意図はよくわからなかった。
「ごめんね、狭くない?」
「大丈夫よ。でも、私が壁際で良いの?」
夕華のベッドは比較的大きいので、私たちが並んで横になってもまだまだ余裕が有る。
「うん。気にしないで。ゆっくり休んでね?」
「ありがとう。...じゃあ、おやすみなさい」
「....うん。おやすみ」
まただ。少し複雑な表情の夕華だった。しかし...あまりにも溜まっていた疲労ですぐに意識が曖昧になっていくのだった....
――――――――――――
「...?」
どれくらい経っただろうか...
今までの生活のせいでわずかな物音でも起きてしまうようになったので、何かの物音で目が覚めたのだろう。
「あれ....?」
隣に夕華が居ない。
水でも飲みにいったのだろうか。
私は視力は悪いものの、耳は良い方だ。
なので、耳を澄ませているとパタンと言う玄関が閉まる音が聞こえた。この部屋ではない。恐らく先生の部屋だ。
『......』
『......』
かすかに会話が聞こえている。
そして、部屋を移動したのか声が少し聞こえてくるようになった。
『声...我慢..るか』
『わか...ない...んっ...』
「えっ...?」
まさかとは思ったが、どうやら声の主は夕華と先生のようだ。
こんな時間にどうして....
『んっ...ちゅ...』
『ふぁっ...おにい...ちゃ...』
その声は...明らかに艶めかしい嬌声だった。
最初は控えめな喘ぎ声だったけど、段々と声が大きくなってきた。
『ああっ...はぁ...はぁ...おにい...れて...?』
『ああ....』
『ふあっ...ああっ...っ...!』
夕華の声がもうひと段階甘く響くようになった。
恐らく...挿入されたのだろう。
親友の痴態に動揺しつつも、私は聞き耳を立てる行為がやめられなかった。
『あっ...あっ...ああっ...!』
ギシギシとベッドが軋む音と、パチュパチュという湿った音が聞こえてきた。
そのペースは体育教師や継父などとは比べ物にならない速さで、それもかなり長い時間続いている。
『ああぁっっ!...だめ...だめぇ...ああああっっ!』
夕華の嬌声はどんどん大きく、いやらしく響くようになっていった。
それもそうだろう...こんなに早いピストン...思い切り濡らされた状態で受けてしまえば誰でも彼の雌に成り下がるに決まってる。
「はぁ...はぁ...」
想像すると濡れてきてしまった。
.....私も欲しい....
『イくぞっ...!!』
『ああああっっ!きてぇっ...!!』
ベッドが軋む音が更に大きくなった。そして、先生が腰を打ち付ける速度が更に上がる...
うそ...まだ速くなるの...?
『くっ...!』
『ああああっっ!』
2人の絶頂の音を最後に、段々と音は小さくなっていった。
「はぁ...はぁ...」
ああ...夕華に借りた下着なのに...
興奮して愛液で汚してしまった...どこかで洗って返そう...
しかし...夕華が先生に対して深い愛情を持っていることは知っていたけど、まさか本当に恋仲にあるなんて...
「....」
何故か胸がズキズキと痛む。
どうして...?別にそっちの気はないし、先生に恋慕の情を抱いているわけでは....無い...と思う。
それに...つい数時間前に斉川君と交際を始めたばかりではないか。
「あ...」
色々な事を考えていると、夕華が戻ってきてしまった。
慌てて寝たふりをすると、寝室に彼女が入って来た。
一応、シャワーを浴びてきたようだが、濃厚な雄と雌の香りが残っており、明らかに事後であることが理解できた。
「茜...?」
声を掛けられるものの、寝たふりを続ける。
「起きてる...?」
「...」
私はなんとか眠る努力を続けた。
すると...いつの間にか意識は溶けていったのだった。
「ん...ふあっ...」
朝、目が覚めると再び夕華の姿が無かった。
しかし、今度はキッチンの方から物音が聞こえる。
私はベッドから這い出て彼女のもとを目指した。
「おはよう、夕華」
「あ、おはよう。早かったね?」
「ふふっ、それはこっちのセリフよ。早いのね?」
「うん。お兄ちゃんと私と...茜の分のお弁当を作ってるからね」
「え?そんな...悪いわよ」
「良いの良いの。私、料理好きだから。それに、お兄ちゃんが美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて...」
少し頬を染めながらそういう彼女は、まさに恋する乙女だった。
「そんなに好きなのね、先生の事」
「うん...大好き」
こちらがドキッとする程、純粋で、美しく、それでいて可愛らしい笑顔だった。
...私には...とても手が届かない。
「そう...なのね」
「うん!あ、そうだ...」
夕華は振り返らずにそのまま続けた。
「壁越しに聞いてても興奮した?」
「えっ...?」
一瞬、何を言ってるのか理解できなかった。
「ふふっ...茜、聞いてたでしょ?」
「な、なにを...」
まさか気づいていてワザと...?
「だから...お兄ちゃんと私がえっちしてる声。聞いてたでしょ?」
火を止めると、彼女はくるりとこちらに振り返った。
そして、スタスタとこちらまで歩いてきた。
「それは....ふあっ...」
答えに詰まっていると、夕華は私の腰を抱いてクロッチ部分を優しく指でなぞった。
「ふふっ...やっぱり。えっちな染みが出来てるよ?人から借りた下着を汚しちゃって良いのかな?」
妖艶に微笑む彼女は...今まで見たことのない表情だった。
しかし...不快感や不信感は全くない。それどころか...むしろ...
「あぁっ...夕華...」
「ふふっ...どうしたの?そんなに可愛い声出して...」
夕華の甘い声が頭の中に直接響いてくる...
私は...夕華に...逆らえない...何故か本能的にそう思ってしまった。
「なんてね。ねえ、お願い。お兄ちゃんと私の事は秘密にしてくれる?」
「あ...う、うん...」
当然だ。そもそもここに居候させてもらっていることすら公にできないのだ。
ここの住人である夕華と先生に服従することなど当然だろう。
「ふふっ...ありがとう、茜。...大好き」
「ぁ...うん...私も...大好き」
夕華が耳元で囁くと、私はその言葉すべてに対して従順な返事をするのではないだろうか。そう思ってしまうほど、彼女に服従することが快楽だった。
...案外マゾだったのかしら...私...
「...学校の近くまでだからな?」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん」
学校までは先生の車で送ってもらえることになった。
私は遠慮したのだけど、今日は特別だ、と先生に言われて押し切られてしまった。
...夕華だけじゃなくて先生にも逆らえないなんて...
私と夕華はレッドレザーが鮮やかな先生の車の後部座席に乗り込んだ。
「はい、お兄ちゃん。お弁当」
「おっ、ありがとう」
いつもの事、といった感じで夕華から弁当箱を受け取る先生。
この先生に似合わない可愛らしいお弁当はやはり夕華のお手製だった。
「はい、茜も」
「あ...ありがとう。すごく嬉しいわ」
「ふふっ...」
幸せな気分のまま、私は後部座席で揺られる事となったのだった...
「じゃあまた教室でな」
「うん。ありがとう、お兄ちゃん」
「ありがとうございました」
「ああ。じゃあ一瀬、夕華のこと頼んだぞ」
「ええ」
「なんで私だけ...?」
「ふふっ...」
少し口を尖らせていた夕華に微笑みかけて一緒に学校に向かったのだった。
そして、学校が見えてきた頃、バスの中から見覚えのある人物が下りてきた。
「あ...」
「?あっ、圭介だ。おーい」
夕華が声をかけると、彼も気づいたようでこちらへと駆けてきた。
「や、やあ...おはよう2人とも」
「お、おはよう」
昨日の一件のせいで動揺してしまった。
「?うん、おはよう。2人ともどうしたの?」
「あ、いや...なんでもないんだ」
どうやら斉川君は秘密にしたいようだ。
であれば...私も秘密にしておこう。
でも...隠しきれるだろうか。今朝の一件から、どうも夕華に逆らえる気がしない。
...もちろん夕華に対してネガティブな感情があるわけではない。ただ、彼女の鋭さに対していつまでも隠しきれる自信が無いだけだ。
「ふーん...」
夕華はちらりと私の方を見てそれ以上は追及しなかった...。でも...あの目は今朝と同じ目だった。有無を言わさない...支配者の瞳だった。
私は...その目で再び興奮してきた。
「じゃ、じゃあ行こうか...」
「うん...」
私を中心に3人横並びになって教室を目指したのだった...