優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――茜視点
いつまで耐えれるかな?
彼女はそう言った。その意味を考えているうちにいつの間にか校舎に辿り着いていた。
まだ早い時間なので疎らだけど、少数の生徒は登校していた。
「この時間でも来てる人っているのね...」
先日もこの時間に来ていたけど、改めてそう思った。
「そうだよ。朝練の人たちや遠距離の人たちはバスが早いからね。そういえば、茜はあんまり早い時間には来てなかったね?」
「えっと...その...うん」
この時間は...体育教官室に呼ばれて体育教師のモノを咥えさせられていたか、深夜にあの男に犯されて寝坊していたかのどちらかであったのでこんな時間に登校した事は無かった。
厳密に言えば学校には来ていたけど、教室には行っていないというのが正確だろうか。
「茜?...大丈夫?」
「...ええ。大丈夫よ」
夕華のぱっちりとした瞳が真っすぐに私を射抜いていた。まるで心まで見透かすように。
「嘘」
「...っ...」
やはり見抜かれてしまった。
「茜...もう、大丈夫だからね?お兄ちゃんも私も茜の味方なんだから。...たぶん圭介も」
「夕華...ありがとう」
夕華は静かに微笑んで、それ以上は何も言わなかった。
心地良い沈黙の中、彼女と肩を並べて教室に向かう。
夕華が引き戸を開いたのでその後に続いて教室に入ると、既に登校している生徒が1人だけ居た。
「おはよう、圭介」
「おはよう、夕華、一瀬さん」
「おはよう、斉川君」
斉川君だった。先程あんな話をしていたので少しだけ気まずい...
「一瀬さん...あの後大丈夫だった...?」
「え?...あっ。だ、だ、大丈夫だったわよ!?」
あの後、と聞いて全てを思い出して赤面してしまった。
「ぶふっ」
「?」
恐らくあの男が駅前で私に絡んできた事を言っているのだろうけど、それよりも先生にドロドロになるまで犯された記憶が呼び起されだのだ。
...今更セックスしたことを思い出したくらいで赤面するなんて...
夕華は吹き出してしまい、斉川君は様子がおかしい私たちを見て不思議そうな顔をしていた。
「ごめんなさい。本当に大丈夫なのよ。心配してくれてありがとう」
「そんなの心配して当然だよ。その...つ、付き合ってるんだし」
彼の少し恥ずかしそうに言う姿に...少し胸が痛んだ。
それは...罪悪感だろうか。そして、その罪悪感は彼への愛情からだろうか。それとも...先生への愛情からだろうか。
「...♡」
夕華は斉川君からは見えないようにこちらを見て...妖艶に微笑んでいた。
「その...一瀬さん」
「どうしたの?」
「今日の放課後...空いてる?」
...ひょっとして再び放課後デートの誘いかしら...?
「えっと...大丈夫...だけど」
特に予定は無い...けれど...
「...ねえ、圭介。昨日にあんなことがあったばかりなんだよ?それなのに...」
「大丈夫よ、夕華。ありがとう」
確かにもう少し期間を開けて欲しい...とは思う。先生と夕華に慰められたとはいえ...まだ少し怖い。
しかし、ひょっとすると彼なりに元気づけてくれているのかもしれない。それならば彼の好意を無碍にするのは申し訳ない。
「それで、どう...かな?」
「ええ、大丈夫よ」
「ありがとう。じゃあ放課後、よろしくね」
そう言うと彼は自分の机に戻っていった。
「...」
夕華は何とも言えない表情を浮かべていた。
「夕華、大丈夫よ」
「うん...」
彼女は、少しだけ悲しそうな顔で斉川君を見ていた。
やがて教室にはぞろぞろと生徒が登校してきた。まともな時間に登校を始めて2日目だというのにまだまだ不思議そうな顔で見られてしまう。
なのでその時は決まって笑顔で挨拶をするようにしている。
そして、時計を確認すると長針は真下に近づいていた。丁度その頃に前扉から先生が入って来た。
「おい座れーそろそろ朝礼始めるぞー...」
「...♡」
「...っ」
先生はちらりと私と夕華を見ると、ほんの少しだけ微笑みかけてくれた。
それだけで胸が高鳴ってしまう...
夕華は満面の笑みでフリフリと手を振っていた。
「...」
その幸せそうな笑みを浮かべた夕華を、斉川君は複雑な表情で見つめていた。まるで恋するような...悔いるような...
...ああ...そういうことね。
誰にも聞こえないように小さく呟いた。
斉川君も...夕華が好きだったのだ。
でも...夕華は先生の事しか見ていない。その想いの強さはよく知っている。それに...先生も夕華を深く愛している。
そのことに斉川君は気づいているのだろうか?...あまり察しが良くない彼の事だ。気づいていないのだろう。
そうだとすれば...どうして私と交際しようと思ったのだろう...?
...今はそのことは考えなくてもいいか。朝から気が滅入ることはもうたくさん。
「それと...女子の体育は...予定通りだな。以上」
いつの間にか先生の連絡事項も終わり、朝礼は終わっていた。
そして、3限目の数学が終わると、男子は教室からぞろぞろと出て行った。
ああそうか...4限目は体育だった。
洗濯して教室に置いたままだった体操服を取り出して着替える。
「よっ、と」
夕華がブラウスをはらりとはだけると、彼女の白い肌が露見した。そしてその背中には真っ赤なキスマークが何か所も...って
「ゆ、夕華!」
グイッとブラウスを引き上げて彼女の背中を隠した。
ちなみに私もブラウスのボタンを外していたので下着が丸見えだった。
「わっ!ど、どうしたの?」
驚く彼女の耳元で囁いた
「その...背中にキスマークがついてるわよ...」
「あー...一昨日お兄ちゃんに後ろからされてるときに付けられたんだった...って、茜も胸元についてるよ?」
「え?」
首を反らせて確認すると、右胸の上の方に1か所残っていた。
...ああそういえば付けられていた気がする...
「お兄ちゃんって結構独占欲強いからね...ああ見えて自分のモノって決めたら手放さないタイプだよ」
「そう...なのね」
そういえば彼の言動もその片鱗が垣間見えていた。
...そんな彼に斉川君と交際を続けるなんて言うとどうなってしまうのかしら...
...昨日のアレが愛撫に思えるくらい調教されてしまうのかしら...
「茜?」
「...え?...な、なんでもないわ。早く着替えましょう?」
思い出すと少し濡れてきてしまった。
...今日は黒い下着で良かったわね...
仮に見られてもバレにくいから。
今日の体育はバレーボールだった。
体育教師は例によってあの男だ。
「今日はバレーボールだ。じゃあ体操するから全員広がれ!」
真面目なふり。裏では生徒の身体にむしゃぶりついているくせに...
....まあ、私が最初に誘惑したから何も言えないけど。先生も同じことしてるし。
無心で柔軟をしていると、体育教師が耳打ちしてきた。
「昼休み。教官室」
それだけ言うと体育教師は立ち去った。
...まただ。また、誘われた。
でも...もうあの男に股を開く必要は無い。
...私はどうすればいいのだろう...
そして昼休み。夕華と机を並べて食事を摂るものの、気分は上の空だった。
「茜...茜ってば!」
「...え?」
「どうしたの?ぼーっとして。お弁当美味しくなかった?」
心配そうに私の顔を覗き込んでいる夕華。
もちろん、彼女が作ってくれたお弁当に不満などあるわけがない。
「そんなことないわよ。本当に美味しいから。ありがとう、夕華」
「そう?えへへ...どういたしまして」
お礼を言うと花が咲いたように笑う夕華。
ああ...本当に可愛いわねこの子...でも本性はドSスケベオヤジなのよね。
「ごちそうさま。ごめんなさい、夕華。ちょっと用事があるから行ってくるわね」
「あ、うん。いってらっしゃい」
ふりふりと夕華に手を振って体育館を目指す。
重たい足を引きずって何とか体育館の裏までやってきた。
あとは階段を昇れば目的地だ。
「...」
体育教官室。一応体育教師の机は職員室にもあるらしいが、なぜかあの男はここに居ることが多い。他にも何人か体育教師は居るのだけど、他の先生がこの教官室を使用している姿は見たことが無い。
まあ、それもそうか。あの乱暴で大柄な典型的な昭和のパワハラ上司のような男だ。好んで同じ空間に居たくはないだろう。もちろん私も例外ではない。
そして...私がこの部屋で何度か抱かれた時も情事の気配が残っていた。恐らく、私以外にも抱かれている子が居るのだろう。
ドンドンと鉄扉を叩く。
中から返事が聞こえてきたので無言で中に入る。
「やっときたか。ほら、さっさとしゃぶれ」
何をそんなに焦っているのだろうか。大きく股間を膨らませて椅子にふんぞり返る姿はあまりにも滑稽だった。
「イヤよ」
「は?」
はっきりと言ってやった。
「もうこの関係は終わりにしましょう」
「お前...自分が何を言ってるのかわかってるのか?」
「アンタこそわかってるの?生徒にその粗末なモノを咥えさせてるのよ?」
...まあ、先生もそうだけど。
「くっ...でも、お前にはちゃんとカネを...」
「なに?今度は買春の告白?」
「お前だって受け取っていただろ!」
「まあ...確かにあのお金で生活できていたから...そのことに関しては本当に感謝してる」
ある意味合意の上だった、ともいえる。でも、法的には完全にアウトだ。それも一方的に。
「だったら...!」
「また抱かせろって?お断りよ。別にいいのよ?このまま職員室に駆け込んでも」
「くっ...」
ああ...なんてワガママで性悪女なのかしら。
都合の良いときだけ抱かれてお金を受け取り、都合が悪ければ関係を一方的に断つ。....本当に...ワガママだ。
...その時だった。
「失礼します。先生、次の女子の体育...です...が」
「せ、先生!」
彼が体育教官室に入って来た。
「茜...?どうしてここに居るんだ?」
先生の目つきが一気に鋭くなる。
ああ...そうだった。彼はこの関係に勘付いていた。
「せ、先生...これは...っ...」
体育教師は膨らんだ股間を誤魔化しながら弁解するも、それは徒労だった。
「...茜。また、誘われたのか?」
「...ええ」
「先生、この件に関してはきちんと話しましょう。...教頭先生も交えて」
「な、なんのことだ?俺は一瀬に指導を...」
先生は体育教師から視線を動かさずに告げた。
「先生は...どうやら他にもマンツーマンでの指導をするのがお好きなようですね。主に女生徒と」
「な、なんのことだか...」
ダラダラと汗を流す体育教師。そのあまりにも情けない姿に再び笑いそうになってしまった。
「まあいいです。どちらにせよきちんとお話ししましょう。...茜、行くぞ」
「あ...はい」
先生は私の手を取って教官室から連れ出してくれた。