優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
―――――――――――圭介視点
放課後、今日はサッカー部の練習が休みだった翔太と一緒に帰路に就いている。
「しっかし...お前があの一瀬茜と付き合うなんてなぁ...」
「まあね」
翔太には一瀬さんとの成り行きを一部はボカシて伝えた。
「それで昨日もホテルに行ったってのか?凄いなお前...こんな平日に」
そうなのだろうか...?
「普通じゃないの?」
「いや...どうだろうな。人にもよるんだろうけど、美咲は勉強が忙しいから平日はさせてくれないな。それに、俺はあんまり金無いからホテルなんて殆ど行ったことないぞ...俺の家でスることが多いよ。ほら、ホテルって結構高いだろ?」
「あー...確かに」
高かったからお金が足りなくなってしまったのだった。
「というか、よくそんな金持ってたな。バイトでも始めたのか?」
「いや...実は殆ど足りなくて全部割り勘だったんだよね」
「まあ...俺たちみたいな学生ならそんなもんかね。って、ひょっとしてホテル代も割り勘だったのか?」
「そうだよ?」
翔太は唖然としている様子だった。
「お前...そこはカッコつけようぜ。ヤるってのは結構女の子の方が負担大きいんだぞ?」
「そうなの?」
「ああ。俺も美咲と初めてヤッたときは結構泣かせてしまったもんなぁ...美咲の前に何人か彼女いたことあるから慣れてるつもりだったんだけど、美咲は処女だったから加減が分からなかったんだよ。最近でこそ満足してるみたいだけど」
こういう経験談はイケメンの翔太らしい。それに参考になる。
「わかった。というか良いバイトしらない?僕もバイトしたいんだけど」
「あ、じゃあ俺がバイトしてるスーパーに来るか?店長がバイト探してたから丁度いいと思うぞ」
なんとタイミングが良いんだろうか。その話に甘えさせてもらおう。
「是非お願いするよ」
「わかった。店長に話しとく。それに美咲も居るから今度紹介するよ」
「うん。ありがとう、翔太」
「おう」
ニカっと爽やかな笑顔を見せた翔太。本当に気のいい友人だと思う。
「...あ」
「ん?...おっ」
バス停に近づいてきたとき、見覚えのある小柄な女子生徒が居た。
「...?」
こちらに気が付いて振り向いた彼女。一瞬だけ複雑な表情を見せた後、すぐにふわりと微笑んだ。
「こんにちは」
「い、一瀬さん...」
「おっす。一瀬さんも今帰り?」
動揺する僕に対して、誰とでもフレンドリーに接することが出来る翔太は自然と話しかけていた。
「そうよ。まあ、一度スーパーに寄って買い物はして帰るつもりだけど」
「ん?それって町外れのスーパー?」
「そうだけど...」
「おお!丁度俺も今から行くところだったんだよ」
そのスーパーは翔太がアルバイトしているスーパーだった。
「そうなの?」
「ああ。実は、そのスーパーでバイトしてるんだよ」
「ああ、そういうことね。その...失礼だとは思うけど、あなたがスーパーで買い物をしている姿を想像できなくて」
「まあな。俺も働き始めるまで母ちゃんの買い物に着いて行ったことしかなかったよ」
話し込んでいるうちにバスが到着した。
中途半端な時間なので、他に乗客の姿は見えない。
僕たちは一番奥の座席に並んで腰かけた。
僕、翔太、少し離れて一瀬さんという順番だ。....その席順に翔太は不思議そうな顔をしていた。かく言う僕も不思議に思ったものだ。一応、恋人ではあるはずなのに、彼女は僕から一番遠くの席に腰掛けたのだから。
「小井川くん、あなたはいつからアルバイトしているの?」
「高校に入って...今の彼女と付き合い始めてからだな。デート代稼ぎたくてね」
「そう...感心ね」
「まあ、カッコつけたいじゃん?」
「良いと思うわよ、そういう心がけ」
やっぱり...こういう心構えが必要なんだ。
「翔太、今日って店長さん居るの?」
「え?うーん...多分いると思うけど...」
「正式な面接はまた今度だろうけど、僕からも直接お願いしたいんだ」
「そういうことか。わかった、じゃあ一緒に行くか」
「ありがとう、翔太」
「...」
...一瀬さんの視線を感じる。
...もっと甲斐性を見せないとね。
―――――――――――茜視点
「正式な面接はまた今度だろうけど、僕からも直接お願いしたいんだ」
「そういうことか。わかった、じゃあ一緒に行くか」
「ありがとう、翔太」
「...」
はぁ...早く先生に会いたい...
先程から小井川くんの話も半分くらいしか耳に入ってこない。
考えていることと言えば、今夜の夕食に何を作ろうかということや、先生の好きな料理のことや、先生の好みの味付けのことばかり。...そして、昼休みに注ぎ込まれた精液の感触の事を考えると彼らの事は完全に意識の外に行ってしまった。
...うーん...夕華の食べ物の好みは何となくわかるけど、先生の好みってまだよく知らないのよね。
...メロメロになるまで抱かれたというのに、先生のことを何も知らないわね...私。今夜聞いてみようかしら?
「一瀬さん?」
気づけばクラスメイトの2人がこちらを見ていた。
「...え?」
何か話しかけられていたのかしら?...全然聞いてなかったわ...
「いや、一瀬さんはアルバイトとかしてないの?って聞いたんだけど...」
小井川くんがそう尋ねてきた。
アルバイト...まあ、アレはアルバイトとは言わないわよね。もう思い出したくもない記憶だけど。
「...してないわ」
「...」
一応事情を知っている...えっと...ああ、斉川君が気まずそうな顔をしていた。
「よかったら一瀬さんもどう?アルバイトしてみない?」
「そんなに何人も必要なほど人手不足なの?」
「そうなんだよ。学生バイトが大勢抜けて、ベテランのおばちゃんが引退しちゃったんだ。だから思い切り人手不足。お陰で最近は部活終わりでもバイトしてるよ」
....丁度良いかもしれない。夕華や先生が帰って来るまでどうせ暇なのだ。
「...私も、店長さんに会ってみるわ」
「是非頼むよ」
その時、目当てのバス停に到着したことを知らせるアナウンスが車内に響く。
私たちは手荷物を持って降車した。
スーパーはバス停から通りを1本入った路地にある。地元のチェーン店で、地域に4店舗程展開するスーパーだ。生鮮品の質が良く、惣菜も美味であることから地域の住民はよく利用する。
...そういえば、先生の家ではこのスーパーのビニル袋を見たこと無いわね。
「先に店長の所に行こうか。荷物が増えると大変だろ?」
「そうね。お願いするわ」
「うん。僕も」
...なんだか久しぶりに斉川君の声を聞いた気がするわね。
私たちは裏手の従業員入口から中に入った。飲料品の箱が乗った赤い台車やカップ麺やお菓子の箱の山を横に見ながら奥を目指すと、『事務所』と『休憩室』と書かれた二つの扉が目に入った。
小井川くんは事務所の扉をノックして扉を開いた
「お疲れ様でーす。店長、今ちょっといいっすか?」
「ん?いいよー」
中から聞こえてきたのは優しそうな男性の声。
「バイトしたいって友達連れて来ましたよ」
「お!マジか!入って入って!」
明るい声。どうやら人手不足というのは本当らしい。
その声に従い、私が先に事務所に入った。
「失礼します」
「し、失礼します」
「こんにちは。店長の東阪です。
店長さんは、ガタイが良くて少し威圧感はあるものの、優しそうな風貌の人物だった。
「一瀬茜です。よろしくお願いします」
「さ、斉川圭介です」
「よろしくね!早速だけど...いつから入れる?」
「...?」
「いえ...あの、まだ何も聞いてないのですけど...」
時給もルールも何もかもまだ聞いていないわよ...
「店長、必死過ぎっすよ」
ケラケラと笑う小井川くん。
「あ、ごめんごめん。まずは面接だよね。まあ、小井川くんの紹介なら大丈夫だと思ってるよ。でも一応、今度履歴書だけ持ってきてくれる?」
「わかりました」
「は、はい」
それから、簡単に仕事内容の説明を受けた。主にレジ打ちと品出しのようだ。それに、時給に関してはこの地域にしては良い方だと思う。
「じゃあ、今週の土曜日の午前中か日曜日のお昼過ぎに一度来てくれる?軽い面接と、ちょっとした研修をするから。どっちが良い?」
出来ればどちらも先生や夕華の為に時間を使いたい。とはいえ、彼らの世話になるばかりでは申し訳ない。...あ、そういえば土曜日は夕華は部活で先生も午前中だけ仕事だって言ってたわね...
「土曜日が良いです」
「僕も土曜日で大丈夫です」
「よし!じゃあ土曜日によろしくね」
案外簡単に決まってしまった...
「あれ?小井川くん何処に行った?」
「?」
気づけば彼が姿を消していた。準備に向かったのかしら?
「まあいいか...一応、隣が休憩室だから。今は誰も居ないと思うからチラッと様子だけ見ておこうか」
私たちは店長さんに続いて事務所を出た。
しかし、店長さんが休憩室の扉に手を掛けようとしたそのとき、トランシーバーで呼出がかかってしまった。
「ごめん、今度ゆっくり教えるから、中だけ覗いて行って!じゃあまた土曜日にね!」
バタバタと店内に駆けていく店長さん。
「忙しそうだね...」
「...そうね。とりあえず見ましょうか」
私は休憩室の扉に手を掛けてゆっくりと開いた。
「んっ...」
「翔太...んっ...」
「っ!?」
「えっ!?」
なんと...高校生カップルがお取込み中だった。
「んぅ...!!」
濃厚な口づけを交わしている2人。
扉に背を向けている小井川くんはこちらに気づいていない様子だ。
しかし、彼の肩越しにこちらを見ている胡桃色の髪の彼女は目を見開いていた。
「ん?美咲?どうし....たっ!?」
ようやくこちらに気が付いた彼らは慌てて距離を取ったのだった。
向かい合って腰掛ける休憩室。
「...」
「...」
「...っ」
「えっと...しょ、紹介するよ。こちら、花園美咲さん...えっとご覧の通り...彼女です」
「お見苦しい所をお見せしてすみません...花園美咲です」
「...よろしくお願いします。一瀬茜です」
「斉川圭介です」
この子...確か同じ中学校だった気がするわね。
「ひょっとして...一瀬さんってこの近くの中学校出身じゃないですか?」
「ええ。あなたも?」
「はい!橋本先輩とよく一緒に居るところをお見掛けしました!」
ああ、やっぱりそうだったのね。...当時から夕華は有名人だったから、一緒に居ただけの私も見られてたのかしら?
「ってことは僕にとっても後輩なんだ」
「あ、斉川さんも同じ中学校だったんですか?」
「いや...俺とよく一緒に居たんだけど、見てなかったのか?」
...そういえば斉川くんも同じ中学校だったわね...忘れていたわ。
「すみません...翔太さんに夢中だったので...本当にごめんなさい」
申し訳なさそうに謝る花園さん。
...結構いい子みたいね。
「あ...だ、大丈夫だよ。翔太って昔からカッコよかったもんね」
「そうなんですよ!ふふっ...サッカー部のエースとしてグランドを駆ける姿が素敵で...」
目がハートマークになりそうな甘ったるい声。
...夕華が先生の事を語るときと同じ顔をしてるわね...
「み、美咲...恥ずかしいから...」
赤面している小井川くん。...なんだか微笑ましいわね。
眩しい青春の様子を見ていると、なんだか私が爛れた恋愛をしているような気がするわ...あまり間違っていないけど。今夜も先生に鳴かされ続ける予定だし。
それにしても...可愛いわねこの子。制服の上からでも分かるくらいスタイル良いし、肌は白いし、顔もまるでお人形さんみたい。
それにこの制服...有名な女子高よね?
「ねえ、花園さん...」
「美咲って呼んでください!」
「美咲さん、その制服...あの女子高よね?」
「はい!」
「凄いわね...頭良いのね」
「あ...いえ、受験のときにすっごく頑張っただけですよ。おかげさまで勉強についていくだけで必死です...」
「そう...頑張ってるのね」
偉いわ...私には絶対無理ね。
「って、そろそろ準備しないといけないんじゃない?」
「え?うわっ!2人ともごめん!そろそろ行くよ!」
「また土曜日に!茜先輩!斉川先輩!」
バタバタと準備を始める2人。
邪魔をしてはいけないので私たちは休憩室を後にしたのだった。