優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――茜視点
「...すまん」
「...」
スーパーまでの車内。申し訳なさそうに謝る彼をもう少し見たくて返事をしなかった。
とはいえ、今からアルバイトの面接と研修だというのに何度も何度も私を犯す先生に少し呆れたのも事実だ。....おかげさまで私が誰の雌であるのかしっかりと身体に刻み込まれてしまった。
「はぁ...もう良いわよ。その...私も気持ちよかったから」
「...ありがとう」
「でも、シャワー浴びながらもされたからこんなにギリギリになったのよ?」
「...すまん」
しゅんとなっている先生。
「ふふっ...」
なんだか叱られている大型犬みたいで可愛いかも。
と、話しているうちにスーパーに到着した。
....この距離なら歩いてもそんなに時間はかからないわね。
「じゃあ...行ってくるわね」
「行ってらっしゃい。何か困ったことがあったらすぐに言うんだぞ?」
「ええ。もちろんよ」
「よし、いい子だ。じゃあ頑張ってな」
「行ってきます」
...少し寂しい。
今までそんな事はあまり思わなかったのだけど、先ほどまで感じていた彼の体温が離れてしまうので...何とも言えない寂寥感が私を襲った。
「...」
ドン...と重い音を立てて閉まる助手席のドア。車にこだわりのある彼が加工したおかげで、元々高級車故の遮音性が更に増しているらしい。
ふりふりと彼に手を振って車を後にしてスーパーの裏口に向かった。
「...」
なんとなく...まだ彼の精液が膣内に残っている気がする。
浴室で
...一応、今日は色の濃いジーンズなので大丈夫だとは思うけど...万が一垂れてきたらどうしようかしら...
「一瀬さん」
「!?」
当然、背後から声を掛けられた。
びっくりして振り返ると、そこには同じくらいの年齢の男の子が立っていた。
「こんにちは...えーっと...」
誰だったかしら...小井川くん...じゃなくて...そう、斉川君。
「こんにちは。えっと...一瀬さん?大丈夫?」
「え、ええ。大丈夫よ。そういえば斉川君も同じ日だったわね」
「うん」
不思議そうな顔で私を見つめる斉川君。
....実は人の顔を覚えるのって苦手なのよね。この人みたいに印象が薄い人ってすぐに忘れるわ。
「もう...そんな他人みたいな事言わないでよ」
「え?」
どういう意味かしら...?
「その...つ、付き合ってるんだし」
「.............そうね」
そういえばそうだった。それに、先生にも今までの距離感で接するようにって言われていたわね。
「ほら、行こ?」
「ええ」
時間も迫っている。なので、特に彼に歩幅を合わせることも無くスタスタと事務室に足を運んだ。
.............
「失礼します」
「失礼します」
一声かけて事務室の扉を開いた。
「おお!一瀬さん!こんにちは、待っていたよ」
パソコンとにらめっこしていた店長さんがこちらに気が付いた。
「こんにちは」
私の後ろから斉川君も事務所に入って来た。
「こんにちは!えっと...君は確か...」
「斉川です。翔太...小井川君の紹介の」
「そうそう斉川君!じゃあ、早速面接しちゃおうか。2人とも一緒でもいい?」
「大丈夫ですよ」
「あ、はい」
「よしっ。じゃあ、あっちの休憩室に行こうか」
店長さんの大きな背中を目の前に、私と斉川君は休憩室へと歩みを進めた。
「さ、そこに座って」
長テーブルを2つ並べた簡単な休憩室。
簡易キッチンと冷蔵庫、そして背後にはロッカーと簡単なパーテーションで区切られた着衣スペース。少ないスペースを効率的に活用している、という印象を与えられた。
「はい」
奥のパイプ椅子に斉川君が腰掛けた。
「失礼します」
一言断って私も手前の椅子に座った。
「よし。じゃあ簡単に面接始めるね。それじゃあ...まず自己紹介から。僕は東阪健闘。この店舗の店長を任されてるよ」
「一瀬茜です。よろしくお願いします」
一言挨拶を交わし、店長さんに履歴書を手渡した。
「斉川圭介です」
斉川君も履歴書を手渡していた。
「はい、よろしくね。まあ、もう採用するつもりだからこれと言って聞く事はないんだけど...2人とも、シフトの希望はある?」
「私は平日の17時から21時くらいまでであれば入れます。土日も午前中でなければ大丈夫です」
金曜日の夜は...私が気絶するまで責めたてられるので朝は起きれないかもしれない。
「僕は...火木の夕方と土曜日なら入れます。他の日はその...塾があるので」
「オッケーオッケー。一瀬さんが平日の夕方と土日の午後で、斉川君が火木と土曜日ね。多分、希望通りに入れると思うよ」
サラサラとメモを取っていく店長さん。次は制服について説明するようだ。
「じゃあ、こっちの説明をするね。まず、制服は支給するよ。この黒いズボンとネーム入りのシャツかブラウスだね。あとはエプロンと帽子があるよ。サイズは後で持ってくるから合わせてみてね」
ロッカーの上に置いてあるダンボール箱を指さしながらそう説明された。恐らく、美咲さんが着ていた制服と同じものだろう。
「仕事内容としては、レジ打ちと品出しだよ。5台のレジのうち、1番手前のレジと2番目のレジはレジ打ち専属で、奥の3台のレジは品出しとレジ打ちの兼任だから。基本的には品出しがメインだね。シフト表にその日のレジ番号があるから確認してね。時給は...これだね」
一通り説明された後に店長さんは求人票のような書類を見せてくれた。そこに記載されている金額は高校生のアルバイトとしては十二分な額だった。
「他に何か聞きたいことはある?」
「特には無いです」
十分な説明だった。それに、細かい仕事内容については実際に働きながら教わる方が良いと思う。
「あ、僕もです」
「オッケーオッケー。じゃあ、あとはバックヤードと店内で説明しようと思うけど...折角だし着替えようか。2人ともそんなに派手な格好じゃないから...エプロンと帽子だけ着てもらえる?」
店長さんはロッカーの上に置いてあるダンボール箱を取り出し、中からエプロンと帽子を2つずつ取り出した。
どうやらフリーサイズらしいけど、私の身長ではかなり大きく見えた。
「...」
「ちょっと大きいけど...大丈夫かな?」
「そう...ですね」
姿見があったので全身を確認してみる。....なんというか...普段より小柄に見える気がする。とはいえ、動くことに支障があるほどでもない。
「僕も大丈夫そうです」
平均的な体格の斉川君は問題なさそうだ。
「よし。じゃあまずは店内に行こうか」
研修中のプレートをエプロンに着けて店長さんの背中を追う。
狭い通路には食料品の在庫が積み上げられていた。
「ここから入れるけど、まずはこの窓で扉の前に人が居ないことを確認するんだ。そして、扉を開いて一礼して入るよ。店内から戻るときも同じだね。一礼してバックヤードに戻ってね」
「はい」
そして、店長さんは店内を確認して、銀色の扉を開いた。冷蔵陳列棚の冷気と、生鮮品の臭いが一気に漂ってきた。
店長さんに倣って一礼して店内に入る。そして、店長さんと斉川君を目の前に見て歩いていたところ...
「お?」
....何故か先生が居た。
「っ...!」
思わず顔を逸らしてしまった。...全てを曝け出した...というか、ほんの数時間前まで交わっていた仲の彼。今更恥じらうものなど無いけれど、なんとも気恥ずかしい。
「...♪」
グッと親指を立てている先生。その満面の笑みを直視できなかった。
小さく手を振って彼から再び研修に戻ったのだった。
―――――――――――――――――――――――――――
一通り研修も終わり、制服のサイズも合わせた所で事務所に戻って来た。
「こんなもんかな。何か質問はある?」
「えっと...」
斉川君は言葉選びに迷っているようだ。
「今のところはありません」
店内で受けた研修以上のことは実際にシフトに入らないとわからないだろう。
「よし。まあ、研修中は他のバイトの子が近くにいるようにするから、何かあったら僕でもパートさんでも他のアルバイトの子に何でも聞いてね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「よし。じゃあ、今日の所はもう帰っていいよ。お疲れ様。シフトに関してはまた連絡するよ」
「はい。では失礼します」
「失礼します」
「お疲れ様。これからもよろしくね」
店長さんに一礼して事務所を出た。
................
「....」
「....」
斉川君と並んで裏口から出るけれど、特に会話は無い。
....先生はまだ店内だろうか。この後は特に予定が無いので彼とゆっくり過ごしたい。
「ね、ねえ、一瀬さん」
「...?」
突然問いかけられたので斉川君の方に振り返った。
「その...この後は何か用事ある?」
「えっと...特に無いわよ」
つい、そう答えてしまった。....用事があると答えた方が良かったかしら?
「それじゃあ...この後、ショッピングセンターにでも行かない?」
ショッピングセンター...先生や夕華と一緒に買い物に行くことが多い場所だ。
どうしようかしら...一応、斉川君とは同じ距離感で接するように、と言われている。
「...良いわよ」
「あ、ありがとう。じゃあ...バスで行こうか」
「そうね」
少し離れた郊外のショッピングセンター。映画館やゲームセンター、アパレルショップやレストランなど様々な店舗がテナント入りしている大型商業施設だ。とはいえ、車で来ることが前提とされているので交通手段としては自家用車か路線バスしかない。
バスに乗るお金が財布に残っていたものか、と思っていたそのときだった。
「茜」
愛しい愛しい彼の声。気配を消して近づいていたのかしら。
「っ...!せ、先生...」
ビクンと身体が震え、全身に熱い血が駆け巡るような感覚。心拍数が上がって心が躍るような高揚感が心地良い。
「先生...」
対して少し落胆したような声の斉川君。
「そろそろ終わる頃かと思って迎えに来たけど...ひょっとして出かける所だったか?」
「あ...うん。その、いつものショッピングセンターに」
いつも一緒に買い物に行っているのでそれで伝わると思う。
「なるほど...バスで?」
「はい。そのつもりです」
「結構遠いぞ...?俺も丁度用事が有るから送って行こうか?」
「えっと...」
少し悩んでいる様子の斉川君。...それもそうだろう。仮にも恋人とのデートに副担任が同伴だとしたら結構イヤかもしれない。
...とはいえ、私は嬉しかった。少しでも彼と過ごせるのだから。
「ありがとう。その...助かるわ」
凄く嬉しい、ありがとう、大好き、と言いそうになってしまった。何とか言葉を選んでそう答えたけど、彼の瞳に映る小柄な女はにやけ顔が隠せていなかった。