優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――主人公視点
「夕華、そろそろ行こうか」
あのまま余韻に浸っていることが出来ればどれだけ幸せだろうか。しかし、夕華は圭介と一応約束をしている。
俺がどう思われようが構わないが、夕華が不義理であるという印象を持たれて欲しく無い。
「えー...」
心底面倒くさそうな声を出す可愛い恋人。
「ほら、良いから服を着るんだ」
「はーい...ふふっ...♡どうせならシャワー浴びずに服を着ればよかったね♪」
「それは...」
良いかもしれない。
「お兄ちゃんの匂いがたっぷり残ったまま...圭介と会ってみたかったなぁ...♡」
しかし、残念ながら先ほどシャワーを浴びてしまった。
「まあ、それはまた今度な」
「はーい♡」
パステルオレンジの下着を着けている夕華。活発な夕華のイメージとは少し違う、清楚で可愛らしい下着だ。
とはいえ、とても良く似合っている。
「さて...」
俺も準備をするか。
今日はこのままこの部屋で仕事を片付けるつもりだった。
つもりだった...のだが...
「...あっ」
どうやら学校に忘れ物をしたらしい。まだまだ他の先生たちは居るだろうから取りに行くか...
「お兄ちゃん、準備できたよー」
いつも通りの制服姿になった夕華が立っていた。
「ああ。ちょっと学校に戻るから、駅から少し離れたところまで乗せて行こうか?」
「あ...そうだね」
このマンションは正面から出ると駅のロータリーから丸見えだ。
なので急いで駅までやってきたという"演出"をするには裏口から出る必要がある。
「じゃあ、行くか」
「はーい」
――――――――――――――――――――――
裏口から出発し、裏通りを駅と反対方向へと走る。
そして、表通りへと接続する交差点に出た頃、夕華に電話を掛けるように促した。
『もしもし?』
「あ、もしもし?ごめんね、遅くなって。もうすぐ着くよ」
圭介の声がスピーカーから聞こえている。
『あ、うん。じゃあ、僕もそろそろ向かうよ』
「はーい...」
『駐禁取締り重点エリアです』
...ナビのガイドが入ってしまった。
『え?』
圭介も気になったようだが、夕華は特に意に介さずに電話を切った。
....まあ良いか。
そして、駅から少し離れた地点にて夕華を降ろした。
「じゃあまた後でな。服の件頼むな」
「はーい♪また後でね」
笑顔で手を振る夕華。
その美しい後姿を見送って俺も学校へと向かったのだった。
...........
「お疲れさまです」
挨拶をして職員室に入ったのだが、返事は帰って来なかった。というのも、珍しいことに他の先生が殆ど居なかったのだ。
部活の顧問がある先生はそちらに行っているのだろうが、それでも何人か残っていることが多い。
しかし、今回は違ったようだ。
そして、何故返事が返ってこなかったのかというと...
「...すぅ...」
椅子に座ったまま静かに寝息を立てている先輩教師。....八條先生だった。
「...」
「...んぅ...」
美しい寝顔。ただただそう思った。
元々少し幼い顔立ちなので、その寝顔は更に幼く見えた。
もう少し眺めていたかったのだが、この体勢で眠っていては身体に悪いだろう。
「...八條先生...八條先生」
「んぅ...ふへへ...」
むにゃむにゃと緩んだ笑顔になるだけで中々起きない。
「んぅ...えへへ...もう....私が居ないと...らめなんれすかりゃ...」
緩んだ笑顔で寝言を言っている八條先生。
....困ったな。
「八條先生...起きてください」
「んぇ...?」
ようやく開かれた美しい瞳。
変な体勢で眠っていたワリには熟睡していたようだ。
「こんな姿勢で眠っていたら身体痛めますよ?」
「んぅ...もう...めっ、ですよ?
ふにゃふにゃの"楓ちゃん"から段々と"八條先生"へと戻ってきたようだ。
「おはようございます、八條先生」
「せ、先生...っ!どうしてここに!?」
別に八條先生の自宅ではないので居ても不思議ではないのだが、質問されたからには答えないといけない。
「忘れ物を取りに来ただけですよ」
「え!?ど、どうして私の家...じゃない!?あれっ!?職員室!?」
清楚でお淑やかな八條先生らしくも無い取り乱し方。
これはこれで可愛いな。
「八條先生、大丈夫ですから」
彼女の柔らかい手を握りながら諭す。
「あっ...」
さっと赤くなる白い肌。
...うたた寝するほど疲労していることの方が心配だ。
ゆっくりと手を解いて少し離れた。
「八條先生、こんなところで寝るほどお疲れならもう帰られた方が良いですよ?」
「はい...でも、もう少しだけ...」
そう言いながら小テストの束に手を掛けようとした八條先生。
その手をそっと包み込んで制止した。
「残りはこれだけですか?」
「ひゃぁっ!?は、はいっ!日報も提出しましたので、あとはこれだけですっ」
「そうですか。では、これは私が採点しますから。回答を頂けますか?」
「そんな...ご迷惑をお掛けするわけにはいきません...!」
キュッと両手で俺の手を握る八條先生。...本人に他意は無いのだろうが、これほどの美人にこんなことをされては勘違いしてしまうだろう。
「大丈夫ですよ。私は余裕がありますので」
「でも...」
「むしろ...八條先生がご無理をされている方が心配で仕事にならないかもしれませんよ?」
俺の手を包む柔らかい両手を、更にその上から包み込んだ。
傍から見れば、両手で手を握り合うロマンティックな光景に見えるかもしれない。...夕華や茜に見られると、上から下からと搾り取られることだろう。
「う...はい...お言葉に甘えます」
しゅんとなって俺の言葉に堕ちる八條先生。
既に1クラス分の小テストは採点を終えていたらしく、残りは夕華達のクラスの小テストの束だった。
「今日はもうお帰りですか?」
「はい。本日はもう帰宅だけです。買い物も済ませておりますので」
そういえば、彼女の実家はこの町に有るのだが、本人の希望で一人暮らしをしているらしい。通勤は夕華や圭介と同じ路線のバスだったはず。
「ではお送りしますよ」
「そ、そんな...あ、いえ...でも...はい。お願いします」
何か葛藤があったようだ。
「任されました。では行きましょうか」
「はいっ」
ふわりと微笑む八條先生。まるで
...........
「ありがとうございました」
まるでマナー講習のお手本のような美しい一礼。
所作の一つ一つに感じる気品はさすがの育ちの良さだ。
「いえいえ。ではまた学校で」
「はいっ...本当に、ありがとうございます、先生...♡」
ふわりと微笑む八條先生。
その愛らしい笑顔は本当に罪だ。幾人の男がこの魅力的な笑顔の虜になったのだろうか。
「その...こちらこそ、ありがとうございます...?」
自分でも何を言っているのだろうか...?
しかし、八條先生はただただ笑顔を向けてくれていた。
「では失礼します」
後ろ髪を引かれつつも、そう言って立ち去ろうとしたその時...
「あ...」
きゅっと袖を引かれてしまった。
振り返ると、小さな手が俺の右手袖を握っていた。
「八條先生...?」
「あ...す、すみません...では、また学校で。お疲れ様でした」
ペコリと一礼して八條先生は一歩離れていった。
「はい、また学校で」
小さく手を振る少し赤い顔の彼女に見送られながら、彼女のマンションを後にしたのだった。
――――――――――――――――――――――
「そのまま夕華を迎えに行くかな...」
少し仕事を片付けようかと思ったのだが、そろそろ良い時間だ。圭介も十分楽しんだことだろう。
『もしもし?』
ハンズフリーで夕華のスマートフォンにコールすると、3コールで電話に出てくれた。
「もしもし?まだ駅に居るか?」
『うん』
「圭介も一緒か?」
『うん』
「...相変わらずノープランだったか?」
『うん...そうだよ』
「ちゃんと普段通りの距離感で接しているか?」
『....うん、言われた通りにしてるよ』
「よしよし良い子だ。もうすぐそっちに着くから」
『....あ、本当!?』
「暑くない所で待ってるんだぞ?」
『....ふふっ...うん。じゃあ、待ってるね...♡』
蕩けるような甘い声を残して電話は切れた。そんなに可愛い声で返事をすると関係がバレるぞ?
...その声に癒されている俺も人の事は言えないか。
さて、もうすぐ駅に到着する。
目視でも駅横の立体駐車場が見えてきた。
「ん?」
ディスプレイが着信を知らせる画面に切り替わった。...夕華だ。
「もしもし?」
『あ、お、お兄ちゃん...もうすぐ到着する...?』
少し焦ったような声色だ。
一体どうしたのだろうか?
「もうすぐ着くよ。大丈夫か?何かあったのか?」
『あ...ううん。大丈夫、大丈夫なんだけど...』
何か言い及んでいる様子だ。
「うん?」
『その...垂れてきちゃったの...』
「...え?」
段々と情欲を帯びてゆく夕華のソプラノボイス。
『ふふふっ...お兄ちゃんの...精液。...さっき注いでくれたから...♡』
囁くような甘い声に俺のスイッチも切り替わった。
「...今すぐ、立体駐車場に来るんだ。屋上の一つ下の階に居る」
『うん...♡』
すっかり色に濡れてしまった返事を残して電話は切れた。
俺の方も立体駐車場に到着した。駅とデパートの規模に対して少々オーバースペックなこの駐車場。
屋上とその1フロア下の階はいつでも空いている。
つまり...他人の視線が無いということだ。