優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――翔太視点
「え...?」
今から?店長の家に...?
「...うん。もしも...もしかして、だよ?」
真剣な眼差しのマイさん。テーブルに置いていた俺の手が柔らかい手に包まれている。
「万が一...店長が美咲ちゃんに関係を迫っていたら...そう考えると私も心配になっちゃうよ」
ああ...俺はどうしてあんなにマイさんを警戒していたんだろう。こんなに優しい人なのに。
「ありがとうございます...」
「......良いのよ...♪」
ふわりと微笑んだマイさん。
...俺は、再びその笑顔に見惚れてしまっていた。
「それに...噂の真相も気になるし...もしも店長がそんな人なら...私も気を付けないといけないし」
「確かにそうですよね...マイさん可愛いですし」
「ぁ...」
特に何も意識せずに出て来た言葉だった。マイさんはほんのりと頬を朱に染めてこちらを見つめていた。
「あ...ご、ごめんなさい。いきなり可愛いだなんて...先輩に対して失礼ですよね」
「ぁ...う、うん...大丈夫だけど...ふふふっ...♪ダメよ?翔太くんには可愛い彼女が居るんだから」
その通りだ。美咲の事が心配で心配で仕方ないのに...言い方は失礼だけど他の女の人に熱を上げている場合じゃない。
「気を付けます...」
「私としては別に気を付けなくてもいいけどね♪」
ぎゅっと手を握られた。
...一体どこまでが冗談なんだろう...?
「と、とにかく向かいましょう!」
「..............................そうね♪」
...?
「店長の家ってここから近いんですか?」
「うん。私もたまたま知ったんだけど、私が借りてるアパートの近所だったのよ。店長と帰り道に会ってその時に聞いたの」
なるほど...
「って、それだと店長が噂通りの人物だと危ないんじゃないですか?」
「そうなのよ...だから私も気になってるの」
マイさんは会計をしながら不安そうな表情を浮かべていた。
「もし、何かあったときには連絡してくださいね。俺がすぐに行きますから」
「ふふふっ...頼もしいね、翔太くん♪...ほら、行きましょう?」
再びマイさんに手を引かれてお店を後にしたのだった。
............................
「ここ...ですか」
「うん...ここの204号室」
そこは複数の棟が同じ敷地内に建っている賃貸アパートだった。
ちなみに、マイさんは隣の敷地のアパートらしい。
「行きましょうか」
「.........そうね」
今度は俺が先導して階段を上った。
「...」
「...」
静かだ。
中からは何の物音も聞こえない。
ひょっとすると杞憂だったのかもしれない。
もしくは...自宅ではないどこかに連れ込んでいるのか。
「あ...」
しかし...留守というのは思い違いだった。
窓から光が漏れているし、良く耳をすませば何か物音が聞こえる。
...何か軋むような音が。
「居る...みたいだね」
マイさんも留守の可能性を考えていたらしい。
「そう...ですね」
さて...どうしようか。
「あ、ちょっとごめんね」
唐突にマイさんがスマートフォンを取り出した。
「あ、は、はい」
マナーモードでも設定しているんだろう。
「........うん。オッケーだね」
「?」
どうやら上手い事マナーモードに設定できたらしい。
そして、マイさんは扉の前に立ってドアノブに手を掛けた。
「じゃあ...開けるよ?」
「...はい」
小さな違和感を感じたけれど...とにかく今は真実を知ることが優先だ。
「っ...」
マイさんがゆっくりと玄関を開けた。
視界に飛び込んできたのは...これと言って特徴の無い玄関そして...
「これ...って...」
「翔太くん?」
足がガクガクと震える。
このスニーカーは...見覚えがある。
「いや...そんなはずはない...」
ポピュラーなブランドのよくある白いスニーカーだ。きっと...見間違えか記憶違いだ。
「翔太くん...大丈夫...?」
足音を忍ばせるとか、不法侵入であることとか...全て忘れて部屋内に入る。
『...あ゛ぁ゛っ゛...』
「!?」
くぐもった声。それは...明らかに嬌声だった。
まるで獣の様な...快楽に沈められた哀れな雌の鳴き声だった。
「翔太くん、行くよ」
迷いのない足取りで廊下を歩くマイさん。そして、奥の扉のドアノブを握った。
「ま、待ってくださ...そんな...そんなはずは...」
現実が受け入れられない。
明らかに無理やりされているようなものではない...快楽に染まり切った女の喘ぎ声。
そして...確実に聞き覚えのある声色。
違う...そんなはずがない...絶対に違う...
必死で自分に言い聞かせるけれど、頭の片隅ではパズルのピースが歪に重なり合って一つの事実を形成していた。
「翔太くん...」
マイさんが俺の手を握っている。
「マイさん...ダメです...俺...」
情けない声が出てしまった。
「ダメだよ。君は美咲ちゃんの彼氏でしょ?逃げちゃダメ」
真っ直ぐに俺を見つめながら叱咤するマイさん。
...そうだ。俺は美咲の彼氏なんだ。ココで心が折れるようではいけない。
美咲は無理やりされているかもしれないのだ。...早く助け出さないと...!
「開けるよ?」
俺がドアの前で懊悩している間も、まるで獣のような美咲の喘ぎ声が絶え間なく聞こえ続けていた。
「...はい」
マイさんは握っていたドアノブをひねり...ゆっくりと扉を開いた。
「ああああっっ!!!ダメええええ!!!ごわれる...ごわれるぅううう!!!」
「っ!!!!!!」
衝撃的な光景だった。
ベッドの上、美咲はお尻だけを突き上げた体位で犯されていた。
どうやら扉が開かれたことすら気が付いていないらしい。
「イキそうか?」
パン!パン!と肉と肉がぶつかる音が響いている。
その度に苦しそうに喘ぎ声を漏らす美咲。
「ぎもぢいい!!ぎもぢいいぃぃ!!!」
狂ったような声だった。
そして...無理やり犯されているという可能性は...消えた。
「そうかそうか...気持ち良いなら何しても良いよ...なっ!!」
バチュンバチュンと激しい音を立てながら抽挿を繰り返す店長。
その度に媚びるような嬌声で快楽を訴える美咲。
もはや...それは俺の知っている恋人の姿ではなかった。
そして...残酷な現実は更に鋭い刃で俺を切りつけた。
「おい、俺のチンポと彼氏のチンポとどっちが良い?」
更に抽挿を激しくしながら美咲に問いかけている店長。
その返答に...俺は一縷の望みを懸けた。
...しかし
「でんぢょう...でんぢょうのぢんぼがぎもぢいぃでずっ!!!!」
ぎりぎり言語になっているレベルの言葉だった。
「おお...そう言ってくれると嬉しいな。それなら直接彼氏にそれを伝えてみろよ」
「
まるで獣だ。
何故か冷静になりつつある頭でそう思ってしまった。
「よし良い子だ。もっと突いてやるから...今度は上に乗れ」
ズルズルと引き抜かれた肉棒。意外なことにコンドームを装着していたのだが、美咲の膣口からはドロリと粘質の液体が大量に漏れ出していた。
...そんなに濡れるほど興奮していたのか...俺とのセックスではそんなに濡れなかったクセに...!!
「はぁ...はぁ...はぁい...うえにのりますぅ...♪」
店長がこちらを見てニヤリと笑い、そのまま仰向けに寝転んだ。
美咲は肉棒が引き抜かれた後もガクガクと震えており、ヨタヨタとしながらこちらに顔を向けて店長に跨った。いわゆる背面騎乗位というやつだ。
「ぁ...しょうたさん...♡しょうたさんらぁ...♡」
焦点の合っていない目で俺を見ながら名前を呼んでいる。
明らかに正気ではないけれど、そんなに夢中になるほど激しいセックスをしているのだ。これが無理やりなはずは無い。
「ほら、腰下ろせ」
店長が美咲の膣口に亀頭を押し当てながら指示を出した。
「はぁい...あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛...!!!」
挿入された途端、ピンっと背筋が伸びる美咲。
「ほら、彼氏にちゃんと言うんだ。どっちのチンポが気持ち良いのか、ってな」
やめろ...
「はぁい...♪」
やめてくれ...
「み、美咲...」
それ以上...言わないでくれ...っ...
「しょうたさんのおちんちんよりぃ...あんっ...てんちょーのおちんちんのほうが...ぎもぢいいれすぅ...♡」
「あ...あぁ...そんな....うあああああああ!!!!」
耐え切れず...俺は走り出していた。
「翔太くんっ!!!」
背後からマイさんの声が聞こえてきたけれど、俺はそれを振り切って走り出していた....
――――――――――――――美咲視点
「うっ...ぁ...」
頭が痛い...
「ん?...起きたか」
「ここは...?」
ぼやけた視界を見渡すと...そこはどこかの寝室だった。
「俺の部屋の寝室だよ」
声の主を探すと、扉の方に立っていた。
「翔太さん...?」
朧げだが、彼の名前を呼んでいた気がする。それに、彼の姿も...
「残念ながら違うな」
確かに明らかに違う声だった。
「っ...!!」
一気に意識が覚醒する。
しかし...身体が自由に動かない。
拘束されているワケではないけれど、腰がガクガクと震えており、肌は敏感でシーツに触れるだけで声が漏れそうだ。
「店長...」
思い出した...私は店長に呼び出されて...それで...
「っ...」
最悪だ...また意識が飛ぶほど犯された。
「くくく...最高だったぞ」
「...最低...」
憎悪の感情を隠さずに睨みつけた。
「おお怖い怖い。でも、これを見ても正気でいられるかな?」
店長はパソコンを操作して一つの映像ファイルを再生し始めた。
「え...?」
それは...ベッドの上から扉の方に向けて撮影しているこの部屋の映像だった。
「また録画したの!?嘘つき!!言いなりになればもう撮らないって言ったじゃない!!」
「でも、最初にしたときも合意だったじゃねえか」
「それは...っ...」
事実だった。
最初は...援助交際だった。高校は特待生で入れたけど、どうしても必要な教材を買わないといけなくて...そのお金を捻出するために、安易な考えで最低な手段に手を出した。
しかし...それが悪夢の始まりだった。
その一回で私は乱れに乱れ、あとから見せられた録画映像の私は...もはや自分だと信じたくないほどだった。
巧妙に私だけが映るように撮られていたので...その映像が匿名でネットに上げられたり、学校にバレたら...私は破滅する。何より...翔太さんに見られると私の心は完全に折れてしまう。
「まあ良いから見てみろよ」
私の罵声を聞き流し、映像が流れ始めた。
『ぎもぢいい!!ぎもぢいいぃぃ!!!』
「っ...」
画面の中の女から目を逸らしたくなる。...でも、最後まで見届けなければ。そして誓う。もう..."こう"なりたくないと。
「ここからが面白いぞ」
何が面白いというのだろうか。
狂ったように喘ぐ自分の姿など面白くもなんともない。
しかし...映像に変化が生じ始めた。
「え....?」
私が後背位で犯されている最中、ゆっくりと扉が開かれた。
その後、一度映像が途切れて...扉の向こうに居た人物の正体がはっきりと認識できた。
「そん...な...」
心がバラバラになっていく感覚がした。
足元から崩れ落ちて闇の中に落ちていくような気がした。
「翔太...さん....」
ボロボロと涙が零れ落ち始めた。
「傑作だろ?」
店長が何か言っているけれど、耳に入ってこない。
「あ...あぁ...そん...なぁ...」
映像の中の私は...それはそれは酷いことを言っている。
やがて翔太さんは青い顔をして部屋を飛び出していった。
....そこで映像は途切れている。
「あぁ...うあああああああ!!!!」
防音が効いてる部屋の中で私の慟哭が響く。
「まだまだ終わらないぞ」
まだ何があるというのだ。
これ以上...何が私を苦しめるというのだ。
店長は別の映像を再生し始めた。
そこは...女の部屋の映像だった。いや...映像というより、ビデオ通話の画面を録画したモノのようだ。
「え...?」
しかし...どうして女の部屋だと断言できたのか。それは家具の色遣い等という理由もあるけれど、そもそも家主らしき女が映し出されているのだ。そして...
『大丈夫...もう大丈夫だからね...』
『......翔太くん』
「そんな...そんな...ぁ...」
画面の中で...翔太さんがその女に抱きしめられていた。
子供のように泣きじゃくる翔太さん。
そんな彼を優しく抱擁している女。
どうして...どうしてそこに居るのが私じゃないの...?
『うぅ...マイさん...マイさん...っ...』
マイ...ああそうだ。この女は大学生のアルバイトだ。
その大学生がどうして翔太さんと...
「どうだ?傑作だろ?」
「最低...最低っ!!!!」
あらん限りの怨嗟を込めて叫ぶ。
しかし...あざ笑うように店長は映像を切り替えた。
...今度は現在通話中の画面のようだ。
『あっ...あっ...気持ち良いよ...翔太くん...♡』
『マイさん...マイさん...っ...!』
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
それほど、急な展開に脳が追い付かなかった。
「あはは。お前の彼氏は猿だな」
馬鹿にしたような口調だった。
「どう...して...?」
マイに抱き着きながら腰を振っている翔太さん。
心底気持ち良さそうな嬌声がパソコンのスピーカーから漏れ出している。
...これはいったい何の冗談...?
「お前も災難だよな。助けにきたかと思えばすぐに逃げ出して他の女とヤッてるような男が彼氏でよぉ」
全くもってその通りだと、後々に冷静になればそう思えたのだけれど、今はそんな余裕が無かった。
「あ...あ...」
「まあ、今日のところはこれで終わりにしてやるよ。じゃあな」
「...」
私は...完全に思考が停止したまま身支度をして店長の部屋を後にしたのだった。
心が痛い...ごめんよ美咲ちゃん...