優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――主人公視点
薬の効き目は...凄まじいモノだった。
『はぁ...はぁ...あああああっっっ!!!』
ギシギシと床が軋むほどの激しいピストン。
『本当に...スケベな女だな...っ...!!』
パンパンと肉同士が激しくぶつかる音が狭い部屋に響いている。
『あああっ!!イグッ...!!イグッ...ぅ..!!!』
獣のような声を上げながら絶頂した様子の華織。
「...おいおい」
確かに、耳にするだけで興奮してしまう程...イヤらしい声で喘いでいる。
元々声が綺麗なので余計に色っぽい。
そのせいなのか...もしくは薬のせいか。俺の肉棒も段々固くなってきた。
肉体が興奮状態になっている事が原因かどうか判断できないが...この再婚相手の男に対して無性に腹が立ってきた。
まだまだ守られなければならない少女に対して...薬物を使って行為に及ぶ。それはもはや人の所業ではない。鬼だ。鬼畜とはコイツの事を差す言葉だ。
『そろそろ一回目...イクぞ...!!』
『あああああっっっ!!!』
抽挿が激しさを増す。
継父がスパートをかけたらしい。
....絶頂と同時に殺してやろうか。
物騒な感情がどんどん湧いてくる。
『うあああっ...!!』
『あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!』
バチュン!!と音が響き、2人の声が途絶えた。
その直後、バタンと倒れる音が2回響く。
「?」
ゆっくりと襖を開くと、畳の上でうつぶせに重なり合う二人の姿が見えた。
華織は継父の下敷きになっており、絶頂の余韻でがくがくと痙攣していた。
「...これ、マズいな」
幸い中毒症状は出ていない様子だが、全身がかなり敏感になっているはずだ。
それこそ...触れられるだけで絶頂するほどに。
「ん...」
刺激臭が鼻についた。
...やはり、また薬を使った様子だ。
「...」
スマートフォンを取り出してメッセージを作成した。宛先は"知り合い"だ。
『買い手を確保した。手伝ってほしい』
すぐに返信が送られてきた。
『10分で向かいます』
...相変わらず仕事が早い。
「さて...」
継父の体を足蹴にして転がす。そして、ボディバッグの中から結束バンドを取り出して手足を縛りあげた。
「...騒がれても面倒だな」
部屋の中を見渡すと、薄汚い雑巾とタオルを見つけた。
雑巾を継父の口の中にねじ込み、その上からタオルを巻きつけて簡易的な猿ぐつわの完成だ。
「んぅ!?」
...もう目を覚ましたのか。
「...」
サッカー選手がアディショナルタイム終了間際に蹴るフリーキックの要領で鳩尾を蹴り上げた。
「んぶふっ!?」
まだまだ声が出せるらしい。今度は同点のペナルティキックの要領で顎を蹴り上げた。...ちなみに鉄芯入りのブーツなので俺は痛くない。
今度こそ白目を剥いて気絶したのだが、さすがに大きな物音を立て過ぎた。
「んっ...ぅ...?」
色っぽい声を出しながら華織が目を覚ました。
「っ...!」
このままではどう見てもただの強盗だ。
「あなた...だぁれ...?」
とろんとした瞳で見つめられている。...薬の影響か、正常な判断ができないらしい。
「俺は...」
さて、何と答えようか。既に美咲とは単なる知り合いではないので嘘は吐けない。
「?」
ぼんやりとした表情で小首をかしげている様子は、とてもじゃないが高校生の娘がいる30代には見えない。
...ここは、ある程度本当の事を言おう。
「...あなたを助けにきました」
「私を...?」
まだまだ頭が働いていない様子だ。
...とりあえず、解毒が優先だ。
人様の家の台所に踏み入れて申し訳ないのだが、俺は食器棚からガラスコップを取り出して摺り切りまで水を注いだ。
「はい。あなたと...美咲さんと2人とも助けに来ました。飲めますか?」
「はい...ひゃっ...ぁ...」
脱力している身体を抱き起すと、彼女は甘い嬌声を漏らした。...まだまだ薬の効果が続いているらしい。
「っ...ゆっくりと、一口だけ口に含んでください」
「んっ...」
ぷっくりとした柔らかそうな唇にコップの縁を触れさせて、ゆっくりと傾けた。
「そのまま飲み込んでください」
「ん...」
コクン...と嚥下した事を確認して、ボディバッグから錠剤を取り出した。
「これを飲み込んでください」
「それ...なぁに...?」
不思議そうに首をかしげている。...こんな時に不謹慎だが、美咲をそのまま大人にしたような童顔美人なので、少しあざとい仕草でも愛らしく見える。
「ビタミン剤です。これを飲めば動けるようになりますから。飲めますね?」
ちなみにビタミン剤ではない。出回っている薬物に効く解毒剤だ。2人の売人を拷も―――優しくお話して作らせたモノだ。
...ちなみに、1人目にお話を聞いて製作した解毒剤のレシピは出鱈目だった。その1人目がアジア各国で"人助け"をするの為に生きたまま準備させられる様子を見せたので、2人目は真っ青になりながら震える右手で解毒剤のレシピをノートに記入していた。
次に製作された解毒剤は非常に効果が高かった。2人目も今頃は南米各国で元気にしてることだろう。
「うん...あー...」
ふわりと微笑んで口を開いた華織。
その真っ赤な舌の上に錠剤を乗せて水を飲ませた。
「飲めましたか?」
「はい...」
その後も何杯か水を飲ませていると、段々と意識が戻って来たらしい。
「大丈夫ですか?」
全てさらけ出したままだったので、とりあえずタオルケットを身体に掛けて裸体を隠した。
「はい...少し頭は痛いですけど...」
完全に薬が抜けたワケではないだろうが、とりあえずまともに会話が出来る状態には近づいた。
「...」
ちなみに、継父の方はまだ意識を失っている状態だ。...加減無く蹴り上げたのでしばらくは意識を飛ばしていることだろう。
「あの...彼はどうして縛られているんですか...?」
継父に視線を向けながら尋ねて来た。
「あー...」
何から説明したものか...
「要点だけ説明すると、あなたと娘さんは...この男によって薬漬けにされていたんです」
「薬漬け...?」
「はい。今までは禁断症状や中毒症状が起きていなかったので気づきにくいとは思います。...下の話にはなりますが、この男とセックスをすると妙に快楽を感じやすかったのではありませんか?」
「そ、それは...」
かあっと頬を赤く染める華織。
「恥ずかしくはありませんよ。それは薬の影響が大きいので」
それに、この薬は新しいタイプのデートレイプドラッグとしての面も持ち合わせている。
普通、デートレイプドラッグというと意識を混濁させるものが知られているが、この薬物は少し毛色が違う。
性的な欲求を高め、感じる快楽を増幅する。少量かつ夫婦間や恋人同士であれば...まあグレーゾーンだが問題は無い。しかし、量を増やせば嫌悪感や危機感も性欲に塗り潰されてしまう。そして、薬の効果は女性の方が強く受けやすいという特徴もある。
故に、事態を重く見た関係各所が法の壁を越えて協力し合っているのだ。
「そう...ですか。...ぁ...美咲...美咲は何処に行ったんですか!?」
カッと目を見開き、俺の腕を掴んで捲し立てている華織。
...やはり、母親の愛情の力は凄い。まだ半分も頭が働いていないはずなのに、美咲の事を思い出した途端に目つきが変わった。
「ご安心ください。彼女は既に保護しています」
...見ず知らずの男の家に閉じ込められているので、親としては安心できないかもしれないが。
「そう...ですか...」
ふっと力が抜けた様子だ。...少しは安心してもらえたらしい。
「ところで...」
「はい?」
腕の中で脱力している華織に見つめられた。
「あなたは...誰ですか?」
「あっ」
そう言えば名乗っていない。
「私は...こういうモノです」
このテの活動の際に用いる名刺を見せた。
..."知り合い"の組織が運営している会社の身分だ。勿論名前と顔写真以外の情報には意味が無い。
「えっと...なんとお呼びすれば...?」
「そうですね..."先生"とでも呼んで頂ければ反応できます」
その方が慣れているからな。
と、その時、俺のスマートフォンに着信が入った。
「もしもし?」
『到着しました。どの部屋ですか?』
先程電話した際より少し高い声。...声を作り忘れているな。
「1階の一番奥だ。...1人か?」
『ええ、そうですが...別に男性一人くらい運べますよ?』
「...そうだな」
『...何か言いたげな口調ですね。まあいいです』
そう言い残し電話は切れた。同時に玄関の扉が開いた。
「お疲れ様です、先輩」
俺の事を先輩と呼ぶ"彼女"
「お疲れ様。悪いな、急に呼び出して」
「いえ、こちらこそご協力ありがとうございます」
サラサラの黒髪を1つに纏めたポニーテール。
スラリとしたスタイルに黒が基調のビジネスカジュアルルックを着こなしているのだが、踵の低いシューズなのでただでさえ小柄な体躯が余計に小さく見える。
「女の...子...?」
「くっ...」
ぼんやりとした様子で"彼女"を見つめる華織。
更に言えば、童顔で可愛らしい顔立ちなので...確かに"女の子"と形容したくなる容姿だ。
「桜、とりあえず運ぼう」
「...そうですね」
彼女の名前は
昔馴染みで、今もなお親交があり...少し複雑な関係だ。
とはいえ、桜の頼みなら俺は何でも手を貸すし、俺の頼みなら桜は手を貸してくれる。
裏のパイプが太い桜と、表のパイプが太い俺の相互利益の関係だ。....まあ、それだけでは無いが。
「よっ...と」
俺が継父の上半身を抱え、桜が下半身を抱えた。...重いな。
「...先輩、少し鈍っていませんか?」
涼しげな顔で自分より大きな男の半身を抱える桜。
...流石は裏の大物。タイマンでやり合えば負けるかもしれない。
「歳だからな...昔みたいに動けないさ」
「ふふっ...カンを取り戻したいのならば手伝いますよ」
甘く可愛らしい声。...俺と2人の時は素の声で話すのだが、桜の"部下"が居る場合は低い声を作っている...らしい。
「段差があるから気を付けろよ」
「先輩こそ気を付けてくださいね」
涼しい表情の桜に笑われながら表に停められている黒いワンボックスまで運んだ。
さて、どうやってリアハッチを開けようかと思っていたところ、後から走って来た黒いミニバンがワンボックスの後ろに停車した。
「桜の姉御!」
「姉御!」
坊主に黒スーツのガタイの良い人相の悪い男が複数人現れた。
「お前たち...来なくて良いと言ったのに...」
ぼそっと呟いた桜。
しかし、男たちはめげずに続けた。
「姉御の行くところならば俺たちは何処でもついていきます!」
元気いっぱいの高校生のような曇りのない瞳だった。
...とはいえ、見た目は普通に怖い。そしてその見た目通りの身分の男たちだ。
「兄貴もお疲れ様です!」
「お疲れ様です!!」
「あ、ああ」
俺に対しても眩しい笑顔を向けてくれた。
「良いからリアハッチを開けろ。コイツを運ぶぞ」
「はい!!」
桜の指示のもと、統率の取れた動きであっという間に継父はハイエースのキャビンに放り込まれた。
積込みを終えると、男の一人が近づいて来た。
「...姉御、コイツが"買い手"の一人ですか?」
「そうだ。..."悪質"な買い手だ」
「...わかりました。それでは、さっきの男と同じ..."海の家"に連れて行きます」
「ああ。車はこのまま乗って行け。私はまだやることが有る」
「はい!」
桜の指示で男たちはあっという間に撤収を完了したのだった。