優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――主人公視点
「夕華、立てるか?」
「うん...ふふっ...まだエッチしたわけじゃないから大丈夫だよ」
そういえばそうだった。あまりにも濃厚な時間だったので忘れていた。
「今日も一緒に寝るか?」
「良いの...?」
「ああ。今日は夕華を抱き枕にしたい気分だ」
「えへへ...」
はにかむ夕華が本当に愛おしい。
...俺ばかり気持ちよくなってしまったので夕華の身体に触りたい気分だったが、もう彼女はフラフラだったので今日は我慢することにした。
さて、シャワーを浴びて寝る準備でもしようか。
「夕華、一緒にシャワー浴びようか」
「うん!...あ...だめ、今日はあっちでシャワー浴びるね」
断られてしまった...
「そうか...」
「あ、違うの。お兄ちゃんがイヤとかじゃなくて...昨日、圭介にシャンプーの匂いが違うことがバレてたから...気をつけようって思ったの。...だからそんな悲しそうな顔しないで...?」
よしよしと頭を撫でられてしまった。...少し情けない。
「ふふっ...お兄ちゃんって、頼もしいのに時々可愛いよね。どうして?」
「どうしてって聞かれてもな...俺としては情けないと思うんだけど」
まあ、本当は分かっている。いつも、夕華が安心できるように強い男を演じている節があるからな。
「ううん、情けなくなんかないよ。ギャップもえ?っていうのかな。そういうの...なんだかいっぱい甘やかしてあげたくなるの」
「そんなもんか?」
母性本能ってやつか?
「学校でも女子の間で時々話題になるよ?お兄ちゃんがかわいいって」
「え...そうなのか?」
それこそ学校ではより一層虚勢を張ってるつもりだったんだけど...
「うん。使ってるハンカチの柄が可愛かったり、お弁当が可愛かったり、おかずの好みが子供っぽかったり...あと、時々教壇に躓いて転びそうになったり」
そんなところ良く見てるな...というか
「ハンカチも弁当も夕華のチョイスじゃないか」
「でも好きでしょ?オレンジとかピンクとか」
「...まあな」
「からあげとかハンバーグとか」
「......まあな」
「ふふっ...」
確かに子供っぽい...のか?
「でも、いつもはかっこよくて頼もしいんだよ。時々ドジなところが可愛いの」
「...気を付けるよ」
「気をつけなくていいよ。もっと見せて」
「いいからシャワー浴びてきなさい」
「ふふっ...はーい」
ふらふらと自室に向かって歩く夕華を見送って俺もシャワーを浴びた。
「ん?」
洗面台で歯を磨いていると何やら表で話し声が聞こえた気がした。
防音が効いているので僅かな音だったが、この時間に聞こえる会話となれば間違いなく顔見知りだろう。
3部屋しかないし。
口をゆすいで表に出てみた。
すると、そこには少し髪が濡れた夕華と、なぜか制服のままの圭介が居た。
「2人ともどうしたんだ?」
「あ、お兄ちゃん...」
「塾の帰りに話していただけですよ」
こんな時間までやってるのか...大変だな。
「遅くまで大変だな...」
「ええ...まあ。ところで、夕華はこんな時間から何をするの?」
「えっと...」
丁度俺の部屋に入るところを見られたらしい。
さてどう言い訳したものか...
「俺が夕華の宿題を見ていたんだ」
「そうなの...?」
「う、うん...もう遅いから先に寝る準備してきたの」
少し苦しい言い訳だが...不自然でもないだろう。
「宿題なら僕だって教えてあげるよ。それに、こんな時間に一人で行くなんて...不用心だよ」
不用心とは失礼な。もう手を出したぞ。...などとは言えなかった。
「...そうかな」
「そうだよ。それに、先生は一人暮らしなんだから...」
うーん...圭介の言う事は正論だ。
というか一緒に寝る方が間違っている。
「まあ、圭介の言う通りかもな。あとで荷物は持ってくるよ」
「お兄ちゃん...うん。わかった」
少し気落ちしている様子の夕華だ。
正しいのは圭介で、それを責める権利は無いのは分かってはいたのだが、満足そうなその表情には少し腹が立った。....って完全に俺の逆恨みだな。
「じゃあ、また明日な。おやすみ夕華、圭介」
「うん...おやすみなさいお兄ちゃん」
「失礼します」
最後まで固い圭介だった。
2人が部屋に入るのを見届けると俺も部屋に戻った。
すると、テーブルの上のスマートフォンに着信が入っていた。
「もしもし?」
『あ、お兄ちゃん?』
「どうした?」
『あの...ね、やっぱりそっちに行っても良い...?』
少し控え目におねだりする声がスピーカーから聞こえていた。
もちろん俺に断る理由はない。
「大丈夫だよ。おいで」
『うん...ありがとう』
そして電話が切れて程なくすると、玄関が開いた。
パジャマ姿に枕を抱えた夕華がそこに立っていた。
「お兄ちゃん...」
「歯は磨いたか?」
「うん」
「じゃあ寝ようか。おいで」
「うんっ」
リビングの照明を落とし、寝室に入る。
先に夕華がベッドに入り、俺が後から入る。
「えへへ...」
夕華は満足そうに微笑んでいるので、これが正しい選択だったのだろう。
俺たちは向かい合わせになって小声で語り合った。
「今日はちょっと危なかったな」
「うん...でも、今までもお兄ちゃんの部屋に行くところを見られてたんだけど...どうして今日はあんなに反応したのかな...?」
確かに、夕華が俺の部屋に入り浸るのは今に始まったことではない。
今日はあんなことをした後だったので過敏に反応したが、よく考えたら妙な反応ではある。
「なんでだろうな...確かに変かもな」
「うん...」
「まあ...今考えても仕方ないか」
「そうだね...あ、話は変わるんだけど、明日は一緒に学校行きたいなぁ...?」
凄いことおねだりし始めたな...
「ダメだ。さすがに学校はまずい」
「えー...でも、学校でも私が隣に住んでるのみんな知ってるんでしょ?」
まあ...少なくとも教員は知っている。
俺が夕華の保護者であることも。
なので、三者面談は相当面白かった。担任と副担任が目の前にいる状況だったので夕華は面白くなかったかもしれないが。
「それもそうか...でも、結構早いぞ?起きれるのか?」
「...お弁当を作っているのは誰でしょうか?」
「...そうだったな」
「えへへ...」
花が咲いたようにほころぶ夕華があまりにも愛しく、気づけば唇を重ね合わせていた。
「んっ...ふふっ...大好き...♡」
「ああ。俺も大好きだ。よっ...と」
夕華の身体を抱き寄せて腕の中に閉じ込めた。
「ふあ...っ...えへへ...」
「抱き枕にするって言ったろ?」
「うん...ふふっ...暖かいね...」
「ああ...」
夕華の体温を感じながら、ゆっくりと微睡みへと落ちていった...
―――――――
「夕華、準備はできたか?」
「うん、大丈夫。お弁当も出来てるよ」
俺は家事を一通り済ませて、夕華はお弁当を詰め終わったところだった。
「じゃあ行こうか」
「うん。あ、待って」
夕華に手を引かれて振り向くと、目の前に可愛い顔が迫ってた。
「ん...ちゅ...」
「ん...夕華?」
「いってらっしゃいの...ちゅー、だよ...♡」
真っ赤になりながら、とびきり可愛い事をする夕華。
俺は堪らなくなり、もう一度夕華の唇を奪った。
「んっ...」
「んぅ...お兄ちゃん...♡」
「俺からも、いってらっしゃいのキスだよ」
「えへへ...♡」
はにかむ夕華と手を繋ぎ、駐車場を目指す。
「夕華。圭介に連絡入れないと、ずっと待たせるんじゃないか?」
「あ、そうだね」
助手席に乗り込んだタイミングで、夕華はスマートフォンを取り出してメッセージを送信していた。
「ふふっ...普段はバスなのに、車で通学だなんて...なんだかお金持ちになった気分♪」
などと可愛い事を言っている彼女。
まあ、実際には夕華の両親はかなりの遺産を残している。今は、一応俺が管理しているが、夕華のお小遣いや日用品や食費、スマートフォンの使用料等は殆ど俺の財布から支払われている。
なので、夕華は若くしてそれなりに資産を持っているのだ。彼女が大人になったら丸ごと渡すことにしている。
「そうだぞ。今日は特別な日なんだ。だから今は幸せを噛みしめるんだ」
「もう...そんなイジワル言わないでよ...」
「冗談だよ。でも、あまり頻繁には一緒に行けないぞ?」
「うん...大丈夫。たまに...だから嬉しいの」
俺の左手が優しく包まれた。
その重ねられた柔らかい右手に指を絡ませると、夕華は小さく微笑んだ。
さて...今日も一日頑張りますか。