優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
「ふぅ...」
案外広い浴槽なので足を延ばしてもまだ余裕が有る。
「はぁ...はぁ...ふふふっ...♡」
まだ息が整っていない桜。それでも蕩けるような笑顔を浮かべていた。
「よしよし」
足の間にすっぽりと収まっている桜を抱きしめる。
柔らかくしなやかな身体は抱き心地が良い。
「それにしても...今日は積極的だったな?」
思えばホテルに誘ったのも桜の方だ。
シャワー浴びている最中、肉棒をおもむろに咥え始めたのも彼女だ。...その後、我慢できずに桜を犯したのは俺の方だが。
「そう...ですね」
...心当たりならある。
「今日は...いつもより激しい拷問でしたので」
そう言いながらぎゅっと自分の身体を抱きしめる桜。
「桜?」
小さな背中が更に丸くなったような気がした。
「先輩は...私の体質についてご存知ですよね?」
「ああ」
桜の体質。先述の心当たりとはコレのことだ。
激しい暴力を振るう際に頭に血が上って興奮状態になるというのは万人に大差は無いと思うのだが、桜の場合は少し違う。
力を行使した際に感じる興奮が性的な興奮に変換されるのだ。
とはいえ、貞操観念が強い性格故に誰彼構わずセックスをすることは無い。しかし、その興奮は発散させる必要が有る。解消する手段の内の一つは気絶するまで自分を慰めるということ。そして、もう一つは―――
「最近は我慢できるようになりましたけど、近頃は先輩とも会えていませんでしたので...今回は我慢できませんでした」
―――もう一つの手段は、心から信頼している異性...つまり俺を性的な意味で襲うことだ。桜の処女を奪った最初の1回目は通常の精神状態だったのだが、2回目に身体を重ねた際は絡んできた不良3人をボコボコにした後だった。
「いつでも付き合うさ。桜の為なら何でもできるから」
「ぁ...」
再び優しく頭を撫でた。
「...ありがとうございます」
「いえいえ」
しかし、まだまだその声に覇気は無い。
「でも...不意に怖くなるんです」
「怖い?」
少し震えている声。
「はい。今までは...この拳で有象無象の障害を叩き潰しているという達成感と、同時に感じる性的な興奮に身を任せて先輩と夜を共にし、女として悦びを得る。それだけでした」
桜は、少し震える声で続けた。
「でも...今日は...少し違ったんです。あの売人を殴りつけている間も...ずっと興奮していました」
頭に血が上っている状態とは違うらしい。
「以前は、全て終わった後に先輩に抱いて欲しくて仕方ない気分になっていたのですが、最近は...売人の顔を踏みつけながらも先輩の事ばかり考えています。この悪人を踏みつぶせば先輩に抱いてもらえる...目的と手段が入れ替わったような、所謂パブロフの犬のような事になっています」
...思い返せば、桜と身体を重ねたのは久しぶりだ。
「...ごめんな、桜」
腕の中の小柄な身体を強く抱きしめた。
「先輩...?」
不思議そうに俺を見上げている桜。
「そんな状態になっていたのは...最近、全然会ってなかったから...かもしれない」
「...ふふふっ。そうかもしれませんね~」
いたずらっぽい笑みを浮かべる桜。
俺の腕を抱きしめながら言葉を続けた。
「桜...」
「だから...これからはもう少し私にも構ってくださいね...?」
懇願するような上目遣い。
あまりにも愛らしいその表情に...俺は肯定以外の選択肢を失ったのだった。
.........................
「あ...」
脱衣所にて桜は声を上げた。
「...着れないな」
愛液やらその他の体液でびしょびしょなっているレディーススーツ。今から帰るというのに困ったものだ。
「はい...困りました」
まあ、確実に俺の責任なんだけどな。
「安心しろ、桜。その点に関しては対策済みだ」
「はい?」
困惑している桜だった。それにしても...
「...」
「先輩?」
不思議そうに俺を見上げている桜。...改めて見ると本当に子供みたいだな。
小柄で細身なのにあの戦闘力は本当に謎だ。1対1で戦えば確実に負ける。
「いや...何でもないよ。ちょっと取って来るよ」
「は、はい...」
脱衣所を抜けて食事の受け渡し口向かった。そこに届いていたのは、中身の見えないビニル袋だった。
"ソレ"を手に取って桜のもとへと戻る。
「プレゼントだよ」
「あ、ありがとうございます」
困惑気味の桜。
早速中身を確認していたのだが...中身を広げた瞬間、複雑な表情に変化した。
「せ、先輩...これは...?」
「見たことないか?ナース服ってやつなんだけど」
ピンク色でミニ丈のワンピースタイプのナース服だ。まあ、このタイプが実際に採用されている病院は殆ど無いらしいが。
「...病院では見たことありません。昔のドラマで目にした程度です」
「まあ、そうだろうな」
ちなみにXSサイズだ。
「...着て欲しいのですか?」
上目遣いで尋ねる桜。
「是非とも」
迷いなく答えた。
「うぅ...分かりましたから、そんな曇りのない瞳で見つめないでください...」
顔を赤くしながらもちゃんと着てくれるらしい。
「...でも、こんなに丈が短いと...その...」
チラリと脱衣した服を見る桜。
「見えないように気を付けないとな」
退路を断った。
「...わかりました」
諦めますと聞こえてきそうな表情だった。
「...」
ゴクリと喉が鳴りそうだ。
なんとか無事なブラを身に着けて、ナース服のボタンを外した。
スルスルと桜の身体を滑り落ちていくナース服。
小柄で愛らしい彼女のミニ丈ナース服姿が―――
「ほら...見えそうに―――なってないですね」
...確かに可愛らしい。似合っている。
それに、小柄で細身ながら案外大きな乳房が非常に煽情的な身体つきなので、そのボディラインが強調されるぴったりしたデザインは素晴らしい。
ただ一点気になるとすれば...
「ミニ丈...だったよな?」
「...どうせおチビですよ、私は」
小柄故に...ミニ丈のはずが膝丈まで隠れている。お陰でショーツを穿いていないことがバレそうにもない。
「良く似合ってる。可愛いよ、桜」
とはいえ、その可愛らしさは堪らない。俺は思い切り桜を抱きしめた。
「ぁ...もう...♡」
嬉しそうな声を漏らし、桜も抱き返してくれた。
「それじゃあ...そろそろ帰ろうか」
「そうですn―――えっ?」
どうして?と言った表情で見上げている桜。
「いや...そろそろ帰らないと朝になるぞ?」
一応、休憩のプランで入室している。
宿泊でも良かったのだが、さすがに丸一日家を空けるのは不安だ。
「えっと...ナース服でもう一回シないのですか?」
「確かにそれは最高だけど...いや、やっぱり帰ろう」
...ナース服でGRヤリスを運転する桜を見たいわけではない。断じて違う。違うったら違う。
「その...この格好で...?」
懇願するような上目遣い。
コスプレセックスに抵抗は無くとも、コスプレして帰宅するのは抵抗が有るらしい。
「大丈夫だ。ウチの洗濯機は優秀だから夕方までにスーツは乾くさ」
「それって...夕華たちにこの格好を見られるのではないでしょうか...?」
「それは仕方ないさ」
「うぅ...」
何を言っても無駄だと悟った桜。そんな彼女と片付けを済ませてホテルを後にした。
ラブホテルなので建物内においては他の利用客とすれ違うことは無い...のだが、駐車場ですれ違ったカップルには二度見されてしまった。
暗闇でも真っ赤になっている桜は、終始俺の腕に抱き着いて顔を隠していた。
「...シートベルトを締めてくださいね?」
「もちろん」
運転席から安全確認をしている小柄なナースさん。
「...そんなに見つめられては...その...気になります」
少し恥ずかしそうな様子だ。
「可愛いよ、桜」
「っ...!」
声なき声を上げている。
そんな幸せな空間で帰路についたのだった。
そして、帰宅後にはすぐに洗濯機を回して眠りに就いた。桜の寝場所が無かったので、夕華の部屋の中にある俺の仕事部屋の仮眠用ベッドで一緒に寝ることになった。
.........................
翌朝、すっきりとした気分で目が覚めた。
「んぅ...」
腕の中には可愛らしいナースさんの姿。
セミダブルのベッドなので2人で寝ると少し狭い。故に俺は桜を抱きしめるような体位で眠りに就いていた。
「7時か...」
深夜に帰宅した割にはよく眠れた。
「さて...」
そろそろ起きるか。
すやすやと寝息を立てている桜を起こさずにベッドを抜けた。
肌着と下着で眠っていたので、昨日着ていたスラックスとYシャツに袖を通した。
さて、夕華は起きているだろうか?
そう思いながらドアを開けると、リビングの方から声が聞こえてきた。
「夕華と...茜も起きているみたいだな」
廊下を進み、リビングのドアを開いた。
「?あ、お兄ちゃん...帰ってたんだ」
夕華はふわりと微笑んで迎え入れてくれた。
「ああ。悪いな、夕華。茜、花園母娘はどんな具合だ?」
ソファに腰掛けながら朝食を摂っていた2人に問う。
両方と顔見知りの茜に聞いた方が良いだろう。
「2人とも落ち着いているわよ。...あんなことがあった翌日とは思えないくらい冷静」
昨日も思ったのだが、恐らくあの二人は今までも苦労してきたのだろう。不測の事態が起きても感情の振れ幅が少ない。
「そうか...とりあえず、こちらも事は全て片付いたよ。継父も店長も...薬の売人もその元締めも始末―――じゃなくて片が付いたから」
「始末って言っちゃったよ...お兄ちゃん」
「...悪い」
ついつい口を滑らせてしまった。
「というか、薬の元締めって...なんだか危ない人も関わっているのね」
不安そうな顔で茜が呟いた。
「関わっているというか...桜ちゃんはそのものというか...」
「まあ...桜は味方だから。敵だと恐ろしいけれど、味方にいてあれ以上頼りになる人は居ないさ」
「...そうなんだけどね」
複雑そうな表情の夕華だった。
「ねえ、その"桜さん"って人は...昨日のポニーテールの人?」
そういえば茜は知らないのか。夕華は昔から知っているし花園母娘は自己紹介をしていたけれど、茜の前では名乗っていなかったな。
「そうだ。少し小柄で可愛い顔の女の子だ」
これくらい、と手で桜の身長を表現した。
「お兄ちゃんの1つ年下なんだから女の子って歳じゃないでしょ...気持ちはわかるけど」
「まあ、それもそうだけどな」
小柄で童顔だから無性に可愛がりたくなるんだよな。
大組織の大ボスで経済的にも物理的にもめちゃくちゃ強いけど。
と、その時だった。
「せんぱい...?」
「桜、起き―――」
ぼんやりとした目つきのナースさんがリビングに入ってきた。
「桜ちゃん!?」
「え?」
ボディラインがくっきりと表れており、桜の身長のせいで分かりにくいが明らかに丈が短いぴっちりとしたデザインでワンピースタイプのナース服。
それが医療関係者が使用する目的ではなく、"そういった"目的のためのコスプレであることは明らかだった。
「せんぱい...おはようございます...♡」
油断しきって緩み切った笑顔の桜。
さも当然とばかりに俺の隣に腰掛けて腕に抱き着いてきた。
「あ、ああ...おはよう、桜」
...見れない。茜と夕華の方を見れない。
「...ねえ、お兄ちゃん」
「...なんだ?」
ほんのりと怒気を孕んだ夕華の声。
よく通る可愛らしい声が今は恐ろしい。
「どうして桜ちゃんが居るの?」
「それは...」
ラブホで一発キメてきたからです、とは言えない。
「それと...その恰好は何?それ、コスプレでしょ?」
茜の少し困惑した声。...見抜かれている。
「...そうだ」
そう答えるしかなかった。
「あぇ...?ゆうか...?」
寝ぼけた
「ねえ...どうしてここにいるの?"元"彼女さん?」
明らかに棘がある夕華の言葉。
「ゆ、夕華...これは、その...」
ダメだ...上手い言い訳が思いつかない。
「...夕華、訂正してください。私と先輩は破局したわけではありません。今でも大好きです。なので"元"ではありません」
きっぱりと言い切る桜。
...厳密には間違っていない。
明確に別れたわけではないが、現在明確に恋人同士かと聞かれると...少し複雑だ。
もちろん桜のことは愛しているし、桜からも愛されている。
「違うよ。お兄ちゃんの彼女は"私と茜"なんだから」
「...え?」
桜の鋭い視線がこちらを向いた。
「先輩...妹に手を出したんですか...?というか、茜さんも夕華と同い年ですし...何なら今は娘同然ですよね?」
「あ、知ってるんだ」
何故か冷静な茜だった。
「まあな。茜の一件は桜にもかなり協力してもらったんだ」
「そうなんだ...その節はお世話になりました」
「いえいえ。あなたはもっともっと幸せになるべきと私も思いましたので。何かあれば私にご相談ください。なんでも協力致しますので」
穏やかにほほ笑む桜。
...どうやらこちらの関係は上手くいきそうだ。
「...お兄ちゃん、まだ話は終わってないよ」
「先輩。はっきりしてください」
元は姉妹のように仲良しだった夕華と桜。分かってはいたことだけれども、学生時代に桜と交際するようになってから関係が悪化した。
...とはいえ、俺が絡まない話題の際には昔みたいに仲は良いみたいだ。
その後、何とか夕華と桜をなだめて落ち着かせることに成功したのだった。