優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――――――――主人公視点
「よしよし...上手だよ」
麻衣は大きな瞳一杯に涙を浮かべながらも、俺の言う事を素直に聞いている。
「ん...」
明るい茶色に染められた髪を撫でると、強張っていた表情が少しだけ緩んだ。
...さて、ここからどうするかな。
このまま壊しても良いけれど、その前に美咲に会わせた方が良いだろうな。調教が終わる頃にはまともな返答が返って来ないだろう。
「...」
「ぁ...ご、ごめんなさい...ごめんなさいごめんなさい...っ!」
何もせずに考え事をしていると、麻衣が必死に謝り始めた。
...良い傾向だ。
「よしよし。今は大丈夫だから」
優しく抱きしめながら頭を撫でた。
「ぁ...」
すると、とろん...と甘い表情に変化し始めた。
蕩ける程甘い飴と、生殺与奪を握られるほどの痛い鞭。
誘拐されて監禁されているという事を忘れるほどに、麻衣の精神状態を支配できる方法だ。
「麻衣。今から質問するけれど、ちゃんと答えられるな?」
麻衣の身体を抱き起し、ベッドの上で向き会いながら質問を続けた。
「は...はいっ...なんでも答えます...!」
必死の形相だった。
...確かに、この飴と鞭の調教は効果が有るが...これほどまでに早く効くのも珍しい。
「まずは...君の事を聞こうか。名前と誕生日と血液型から」
「な、名前は...鎧坂麻衣です。誕生日は5月2日で、血液型はO型です」
少し言葉に詰まりながらも、何の躊躇いも無く答えている。
「よし。次は身長と体重、スリーサイズを言うんだ」
少し答え辛い質問を投げかけてみた。
...必要なのは身長と体重の情報だけなのだが、少し答え辛い質問を混ぜる事によって調教の具合を確認するという目的が有る。
「そ、それは...っ...」
少し抵抗が有るようだ。...良し。この程度なら美咲と会わせても大丈夫だろうな。
「答えないのか?」
少し怖い表情を作りながら脅しをかける。
...正直に言うと、脅すような表情は苦手だ。女の子に手を上げることはもっと苦手だ。嫌悪感で気が狂いそうになる。
「ご、ごめんなさい...っ!答えます!答えますから...っ...」
瞳を潤ませながら必死の表情を浮かべている。
「答えろ」
「は、はい...身長は...154cmで、体重は...55kgです。バストは88cm...ウエストは62cmで、ヒップは...きゅ、91cmです...」
真っ赤になりながらも全て答えていた。
「よしよし...ありがとう。それで良いんだ」
「ぁ...」
頭を優しく撫でると、麻衣は安心したように表情を緩ませた。
それにしても...スタイルが良いな。何処に触れても柔らかい...かなり好みの身体だ。
「次の質問だ。今、大学生だよな?」
「は、はい...大学生です」
再び緊張した面持ちで答えている。
「さっき、部屋の中を見させてもらったが...随分と身に着けているモノは高級志向だな。スーパーのアルバイト以外に収入が有るのか?」
経歴から考えて...恐らく、援助交際の類だろう。
「それは...」
案の定、返答に困っている。
「言いにくい事でもあるのか?」
「い、いえ...っ!そう言う事ではないんですけど...」
おや?援助交際ではないのか?
「その...仕送りが、有るので...」
「仕送り?」
実家が太いのか?
「スーパーは...社会勉強の一環としてやってるだけで...生活には困っていなかったです」
「...」
困っていないとはいえ、麻衣が住んでいた部屋はそれなりの広さが有って、家賃はそれなりに高い物件だった。家具も高級品が多く、なによりバッグや財布などはハイブランド品ばかりだった。桜の見立てでは服や下着も高級品らしい。
そんな生活を仕送りだけで送れるのだろうか?
「本当に他に収入が有るワケじゃないんだな?」
「は、はいっ...!それだけです...」
...どうやら本当のようだ。
「実家は裕福なのか?お父さんはどんな仕事をしているんだ?」
情報は一つでも多い方が良い。
「裕福...だと思います。父親は何をしている人なのか知りません...」
「知らない?そんなことあるのか?」
小学生ならともかく、大人になってそんなことが有るのだろうか?
片親で裕福な家庭も有るのだろうが、口振りからして父親が居ないワケではないのだろう。
「はい...そ、その...父親と母は結婚してなくて...父親には別の家庭があるような...そんな男でした。毎月、母の口座に凄い金額が振り込まれているので...多分、それなりに地位が有る人なんだと思います。母は...もう何年も口を効いてません」
...かなり複雑な家庭だな。
父親に関しては桜に調査を頼むか。
「母は...子供の頃は優しかったですけど、別の男を作って家に連れ連れ込み始めた頃から口を効かなくなりました。実家には何年も帰ってないです。お金も、父親が私と母で別々に振り込んでくれるので...」
...口止め料。愛情の有無は分からないが、一番の目的は口止めだろう。
「...そうか」
思わず、抱きしめる腕に力が入ってしまった。
「あ、あの...これで十分でしょうか...?」
不安げに俺を見上げていた。
「ああ。ありがとう」
「ぁ...♡」
そう答えると、麻衣も安心したように表情を緩めた。
「...次の質問の前に、とある人物に会ってもらう」
そろそろ良いか。
これ以上はもう少し調教を進めた後で聞いた方が効率が良い。
「とある人物...?」
麻衣の質問を無視して、スマートフォンから桜に電話を掛けた。
「俺だ。連れて来てくれ」
『わかりました』
短い返答。
既にスタンバイして貰っていたので話は早い。
「さて...」
結束バンドを取り出して、再び麻衣と向き合った。
「な、何を...きゃっ!?」
頭上で麻衣の両手を組み敷き、そのまま手首を結束バンドで拘束した。
しかし...困惑しながらも抵抗はしていない。
「良い子だ」
そのまま両脚の自由も奪い、ベッドに転がした。
「あ、あの...」
「また後でな」
何か言いたげな様子だったのだが、それを無視して部屋を後にした。
――――――――――――――――――
部屋を後にして、向かい側の部屋に入った。
「悪いな、桜」
「いえいえ。順調ですか?」
複数のモニターの前に座っていた桜。
モニターには下着姿でベッドの上で拘束されている麻衣の姿が映し出されている。
「...まあな」
「...?なにか気になることでも有りましたか?」
俺の返答に疑問を持ったのだろう。
「ああ。ちょっと...麻衣の実家の事が気になってな。一応、調べてもらえるか?」
「...わかりました」
桜は直ぐにスマートフォンで指示を送り始めた。
...こういう時、桜は動きが速いので本当に頼りになる。
「ところで、美咲ちゃんはどこに居るんだ?」
一緒に来ているはずだ。
「お手洗いですよ。もうすぐ戻って来ると思います」
丁度良く、背後で扉が開く音が聞こえた。
「あ、すみません、お待たせしまし―――きゃぁ!?ど、どうして裸なんですか!?」
真っ赤になりながら視線を逸らせている美咲。
...忘れていた。今、全裸だった。
「ごめんごめん」
「ふふふっ」
楽しげに笑う桜。
...こうなる事が分かっていたのだろう。
慌ててタオルを腰に巻いて美咲と向き合った。
「...とりあえず、麻衣は拘束して向かい側の部屋に転がしてある。一応、何でも言う事は聞くようにしたから...好きにしてくれて構わない」
「...何をしても良いんですか?」
暗い瞳だった。
「殺したり身体を欠損させたりしない限り、何をしても良い。まあ、過剰に痛めつけなければ何をしても目を瞑るさ」
...それなりに強い恨みが有るはずだ。
「...わかりました。それで我慢します」
「助かるよ。それじゃあ...満足するまで自由にしてくれ」
「はい」
暗い瞳のまま、美咲は麻衣が待つ部屋へと入って行った。
「...先輩」
桜に声を掛けられた。
「どうし―――んむっ!?」
「んぅ...ちゅ...ぅ...♡」
桜の腕が首に回り、そのまま深々と口づけを交わした。
桜の柔らかい舌が口内に進入して、そのまま舌と舌を絡め合った。
「んっ...ちゅ...♡」
「ん...さ、桜...?」
突然のディープキスに困惑してしまった。
「...上書き、ですよ...♡」
甘ったるい声で囁かれた。
「...見てたのか?」
「はい。麻衣にディープキスする所も、優しく抱きしめている所も」
...どうやら、少し前から監視されていたらしい。
「先輩、早く椅子に座ってください」
先程まで自分が座っていた椅子を指差していた。
「ああ」
バスタオルを腰に巻いたままオフィスチェアに腰掛けると...
「よいしょ...と」
桜は何の躊躇いもなく膝の上に座り始めた。
「...まあいいか」
そのまま桜を抱きしめながらモニターに視線を向けた。
..........................
『...』
『え?み、美咲...さん...?』
困惑した表情の麻衣。
美咲は無言で麻衣を睨みつけていた。
『み、美咲さん...これは...ぐっ!?』
バキッ!!
何の躊躇いも無く、ベッドに横たわる麻衣の顔面に向けて拳を振り下ろした美咲。
『や、やべで...んぐっ!!?』
ベッドの上に立ち、鳩尾を踏みつけている。
『ゲホッ...ゲホッ...み、みざぎざ―――あぐっ...!!』
再びお腹を踏みつけられている。
麻衣は、ボロボロと涙を流しながら苦しそうな表情を浮かべていた。
『起きろ...起きろぉっ!!!』
馬乗りになって激しく拳を振り下ろしている美咲。
チラリと映った横顔は、鬼気迫る表情ながら...ボロボロと涙を流していた。
―――その後、しばらくの間は静観していたのだが...麻衣の反応が薄くなってきた。
「そろそろ止めましょうか」
「そうだな」
気が済むことは無いだろうが、これで気持ちの整理をつけるきっかけになってくれると幸いだ。
桜を膝の上から降ろし、未だに殴打の音が聞こえてくる隣室の扉を開いた。
「お前のせいで...!お前のせいで!!!」
「ストップだ」
血だらけの拳を掴んで止めた。
...小柄な女性とは思えないほどの力だった。
「うっ...うぅ...」
ボロボロと涙をながしている麻衣。殴打の傷が痛々しい。
「お前の...せいで...うぅ...うぁぁ....!!」
「...」
美咲も桜に抱き締められながら大声で泣き声を上げていた。
...とりあえず、美咲が先だな。
麻衣の傷が直ぐに処置が必要ではない事を確認して、部屋を後にした。
そのままモニターが置いてある部屋に美咲を連れて、椅子に座らせた。
「はぁ...はぁ...」
興奮で息が上がっている美咲だった。
「大丈夫か?」
血だらけの拳を濡れタオルで拭いながら尋ねた。
「......痛いです」
小さな声で返事が返って来た。
「それは...拳か?それとも別のモノか?」
「...どちらもです。あのクソ女を殴るとスッキリするかと思いましたけど...痛いばかりで何も変わりませんでした。泣いて許しを請うあの女の顔を殴りつけると...確かに良い気分でしたけど、それも最初だけでした」
言葉を紡ぐたびに冷静になっている様子だ。
「どれだけ殴っても、どれだけ踏みつけても...私の心は晴れません。....私は、意味のない事をしたのでしょうか?」
涙を一杯に浮かべながら俺を見上げていた。
「...いや、意味が無いワケじゃないさ。これは...君が前を向いて進むためのきっかけだよ」
膝を着いて、椅子に腰かけている美咲に視線を合わせた。
「すぐに忘れろとは言わない。そんなことは人間には難しい芸当だ」
"忘れる"という機能を持たないことが人間の脳の欠陥のうちの一つだ。
「でも、今日は一つの区切りだ。これから始めて行けば良い。君と、君のお母さんの生活と安全は...俺が保証するから」
「お兄さん...」
潤んだ瞳で俺を見上げている美咲の頭を撫でた。
「だから、今日はもう家に帰るんだ。茜が美味しいご飯を作ってくれるから。ゆっくり休んで明日から学校へ行きなさい」
「...わかりました」
美咲はそのまま桜に連れられて"コテージ"を後にしたのだった。
「さて...」
美咲を見送った後、再び麻衣の部屋に足を運んだ。
「うぅ...」
青あざだらけの身体で苦しそうな声を上げている。
「...」
パチン、パチンと結束バンドをハサミで切断して、麻衣の身体を抱き起した。
「よしよし...痛かったよな」
頭を撫でながら慰めた。
...同情だろうか。
麻衣が美咲を貶めたことには違いない。それは許されることではないのだが...
「っ...」
麻衣は...ぎゅっと袖を握って来た。
「...」
振り払っても良かったのだが、何となく...そのままにしておいた。
「身体はどんな具合だ?」
「げほっ...げほっ...凄く...痛いです...」
...痛いだろうな。
かなり強い力で殴られていた。
「口を開いてみろ」
「はい。...あー...」
すっかり従順になった麻衣だった。
「...」
殴打によって口内を切っていたが、歯が折れているようなことは無かった。
「ここはどうだ?」
「っ...!い、痛いです...」
声を上げる程ではないらしい。
骨は折れていないな。
「痺れは無いか?」
「痺れ...?」
「わからないか...今から身体を触るから、俺の手の感触が分かれば返事をするんだ」
「わ、わかりました」
その後、全身に触れたのだが、特に痺れや激しい痛みはなさそうだ。
吐血している様子も無く、下腹部や内臓もダメージは無さそうだ。
...相手が美咲で良かった。
これが夕華並みの身体能力の持ち主なら命の危機だっただろう。
「...よし。今日は終わりにするか。後で食事を持ってくるから...一緒に食べようか」
「え?は、はい...」
困惑した様子の麻衣だった。
..."今日は終わり"ということは、明日以降も続くという事を理解する余裕が無いらしい。