優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――――――――主人公視点
数日後、俺たちは穏やかな日々を過ごしていた。
美咲や華織の精神状態も、波立つ水面に再び夜空が映し出されるように、徐々に落ち着きを見せていた。
今日は土曜日。夕華は部活で華織は仕事だったので、茜と美咲と三人で昼食を摂っていた。
「あの...」
食器を片付けて終えた頃、美咲が話しかけて来た。
「うん?」
パスタが盛り付けられていた大皿を食器棚に仕舞い込んで振り向いた。
「その...今日の夕方って、お時間大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。何か買い物?」
「いえ...その、翔太さんの事です」
「...」
隣でお皿を拭いていた茜もピタリと動きを止めた。
「小井川がどうかした?」
「...はい。ようやく連絡が取れて、今日の夕方にファミレスで会う事になったんです。だから...その...」
遠慮がちに上目遣いで俺を見上げていた。
「もちろん良いよ。一緒に行こう」
その答えに安心したのか、美咲の表情も少し緩んだ。
茜も再びお皿を拭き始めていた。
「ありがとうございます。それと...あの...」
何かを言いかけた後に、少し考える素振りを見せた。
「どうした?」
「あの..."兄さん"って呼んでも良いですか?」
呼び名の提案だった。
「別に構わないけど...どうして兄さんなんだ?」
「えっと...」
少し頬を染めながら、恥ずかしそうに口を開いた。
「私...兄が欲しかったんです。頼りになって...優しくて...強いお兄ちゃん。そんな存在に憧れていたので...その...お兄さんのことをそう呼びたいんです」
最後まで言い終わる頃には真っ赤になっていた。
「...そうか。それなら、その...好きに呼ぶと良いよ」
...何だか気恥ずかしいな。
「...照れてる?」
隣から茜が俺の顔を覗き込んでいた。
「...照れてない」
「珍しいわね...顔真っ赤よ?」
「...っ...」
否定できなかった。
...ダメなんだよな...美咲が"兄"に憧れを抱くように、俺も"妹"には特別な感情が有る。
「それじゃあ...夕方によろしくお願いしますね、兄さん...♡」
美咲は、とびきりの笑顔でそう呼んでくれたのだった。
――――――――――――――――――――――――――
定刻の少し前、駐車場にて出発の準備をしていた。
「それじゃあ...行こうか」
「...はい」
少し緊張した面持ちだ。
「大丈夫か?」
「はい...兄さんが居てくれますから...♪」
愛車のルーフ越しに見える、ふわりと微笑む笑顔が愛らしい。
...兄さん呼びって良いな。
「小井川はどんな反応だった?」
助手席に乗り込んだ美咲に尋ねた。
「...最初は、何度か無視されました。連絡が取れた後も...」
複雑な表情だった。
...まあ、小井川の気持ちも理解できる。事情を知らないので仕方ないとは思う。
「大丈夫だ。俺がついてる」
「...ありがとうございます」
力の無い笑顔だった。
そんな笑顔を横目に見ながら、俺はファミレスへと車を走らせた。
マンションからほど近い場所にある普通のファミリーレストラン。
高校からは少し外れているので、夕華達の同級生はあまり利用しない。
駐車場に車を停めて、美咲と並んで店内へと入る。美咲によると、既に小井川は店内で待っているらしい。
「いらっしゃいませ。2名様でしょうか?」
店員さんが笑顔で迎え入れてくれた。
「いえ、待ち合わせをしていますので」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
会釈してその場を後にした店員さん。
店内を見渡すと、駐車場に近い席に小井川が座っていた。
「っ...」
「...」
美咲の表情が強張っている。
...本当は頭でも撫でて緊張を解してあげたいところだが、今はやめておこう。
俺は美咲の後に続いて小井川の席へと近づいた。
「...翔太さん」
「美咲...」
お互いに気まずそうな表情だった。
「美咲...どうして先生と一緒なんだ?知り合いなのか?」
俺をちらりと見ながら怪訝な視線を向けている。
「...今から話すから」
「...わかった」
小井川の正面に並んで腰かけた。
「まず最初に...ごめんなさい、翔太さん」
美咲は頭を下げ始めた。
...美咲が謝る必要など一つも無いというのに。どうしてこの子はそれほどまでに優しいのか。
「っ...」
小井川は下唇を噛んでいる。
「今回、私は翔太さんを沢山傷つけました。その点に関しては...本当にごめんなさい」
「...本当にな」
小井川は吐き捨てるように口にしたのだが、その表情は辛そうだった。
本来、小井川は気の良いヤツだ。本心では美咲を信じたいのだろう。
「...でも、私の話も聞いてください」
力強い瞳だった。
...まだ辛いだろうに。本当に強い子だ。
「大丈夫か?俺が話そうか?」
小声で尋ねた。
「...もう少し、頑張ります」
力の無い笑顔だった。
「...良い子だ」
そんな彼女に微笑みかけた。
「ありがとうございます。...翔太さん。今からお話することは...ちょっと衝撃的な事かもしれません。でも、全て真実です。だから...どうか信じてください」
「っ...い、今更言い訳か?店長と浮気していたんだろ?」
「...いいから、聞いてください」
少し圧が強い声だった。
「っ...」
小井川も黙って頷くしか無い様だ。
「まず...私と店長は付き合っていたわけではありません。その...公衆の面前では大声で言い辛いのですが―――」
美咲は所々小声になりながら全ての事の顛末を離した。
「...そ、そんな話、誰が信じると思って―――」
「全部本当の話だ。美咲は完全に被害者だ」
涙目になりかけていた美咲に代わり、会話に割り込んだ。
「ど、どうして先生が...」
「詳しい話は省くが...今回の件を片付けたのが俺の知り合いなんだ」
えっ?と小声で美咲が声を上げたのだが、それには構わずに話を続けた。
「店長と美咲の継父は―――」
一度、辺りを見渡してこちらに意識が向いていない事を確認した。
「―――法に触れる薬物に関わっていたんだ」
「え...?」
美咲の口からは"店長から性暴力を受けていた"という事だけを説明されていた。
...それ以上の事を彼女の口から言わせるのは酷と言うものだ。
「詳しい事は後で話すが...とにかく美咲は被害者なんだ。それだけは理解してくれ」
「...わかったよ」
釈然としない様子だが、とりあえずは飲み込むことにしたらしい。
「でも...だからと言ってやり直すのは無理だからな。その...美咲には悪いと思うけど、俺...もう他に好きな人が出来たんだから」
「っ...」
麻衣の事だろう。美咲は事情を理解しており、ある程度覚悟もしていたはずだが...それでも、いざ言葉にされると辛いはずだ。
「美咲、後は俺に任せろ。車で待っているんだ」
「...っ...はい...」
目を真っ赤にしている美咲は、俺から車の鍵を受け取って立ち上がった。
そして―――
「...さようなら、翔太さん」
―――震える声でそう告げた。
...やっぱり強いな、君は。
ふらふらと店内を後にする美咲を見送り、再び小井川に向きなおった。
「...さて」
「な、なんだよ...」
真剣な表情を作った。
「美咲は家でも辛い目に遭っていたんだ。そんな中、心の支えだったのがお前だった」
「っ...」
苦しそうな表情だ。
「...まあ、気持ちは分かる。恋人が涎を垂らしながら快楽に溺れていたら絶望するよな」
俺も同じ目に遭えば心が折れるかもしれない。
「だが...お前を慰めた女がグルだとは思わなかったか?」
「えっ...」
困惑している様子だ。
「鎧坂麻衣。聞いたことあるな?」
「ま、麻衣さんがどうしたんだよ」
震えている声だった。
「麻衣は店長と共謀して美咲を貶めたんだ」
「そんな―――」
「まあ安心しろ。もう麻衣も罰を受けている」
「え...?」
わけが分からない、と言った様子だ。
「...これを見ろ。知り合いの組織が麻衣を捕えた映像だ」
使い捨てのスマートフォンとイヤホンを渡した。
小井川は、イヤホンを装着して映像を流し始めた。
「麻衣...さん...?」
「そうだ」
映像は調教の終盤に撮られたモノだ。
『あああっっ♡♡♡♡♡だめだめだめぇぇっ♡♡♡♡♡♡♡』
見下ろすような視点。
正常位で突き上げられている麻衣は、すっかり快楽の虜となった雌の笑顔を浮かべていた。
枕を掴みながら顔を歪ませ、一突きされる毎に大きな乳房が上下に揺れている。
「な、なんで...どうして...」
困惑している様子の小井川。
まるで恋人同士のような甘いひと時を過ごした女性。
そんな彼女が知らない男とセックスをしている。それだけでも困惑するのだろう。
「こ、これは...は、犯罪だぞ。セカンドレイプってヤツだろ!」
...そんなことを大声で言わないで欲しい。
恐らく、麻衣が過去の男と交わっている動画を見せられていると思っているのだろう。
「違う。これは最近の動画だ」
「そ、そんなこと―――」
「―――まあ、続きを見ろ」
素直に画面に視線を向け直した小井川。
...なんだかんだで動画が気になるのだろうか。
『
イヤホンからは情欲に濡れ切った声が流れている。
そして、カメラがベッドに放り投げられて、画面はベッドの一部を映すのみとのなった。
しかし、激しい抽挿によるベッドの軋みと、濡れた肉がぶつかり合う音。そして...完堕ちした雌の嬌声だけが聞こえて来た。
一層激しくなる抽挿音。バチュン!!と大きく響いた後に、絶叫に近い嬌声が響き...その後は荒い吐息だけが残っていた。
『はぁ...はぁ...えへへ....ご主人様ぁ...♡♡』
再びカメラが麻衣を映した。
蕩け切った雌の顔。その視線はカメラの向こう側へと向けられていた。
「ご主人様...?」
小井川は困惑している様子だ。
『いい子だ。気持ち良かったか?』
イヤホンからは男の声が聞こえて来た。
「...っ...」
下唇を噛んでいる小井川。
別の男の声を聞いて、改めて麻衣を抱いているのが自分ではない事を思い知ったのだろう。
『はい...ご主人様...♡♡』
蕩け切った麻衣の声。
小井川は、その声が一度も自分に向けられた事が無い事を思い出していた。
『彼氏より気持ち良かったか?』
『彼氏...?彼氏なんて長い事―――あっ、翔太くんのことですか...?』
思い出したかのように小井川の名前を上げる麻衣。
『ふふふっ...翔太くんは彼氏なんかじゃないですよ』
「っ...!」
ショックを受けている様子だ。
『そうなのか?わざわざ美咲を罠にハメて寝取ったのに?』
『はい...本当に、美咲さんには悪い事をしました...』
画面の中の麻衣はしゅんとした表情を見せていた。
『でも、アイツともヤったんだろ?』
『そうですけど...』
「っ...」
ゴクリ...と生唾を飲み込む音が聞こえた。
麻衣の次の言葉が気になるのだろう。
『翔太くん...本当にエッチがヘタクソですし...抱かれていて本当に辛かったです...』
「っ...!!」
目を見開いている小井川。
『力任せに腰を振ってあっという間にイっちゃうし、愛撫も下手くそで乱暴だし、そもそもアソコもそんなに大きくないし』
「あ...あ...」
声が漏れている小井川。見開かれた瞳からは、ポロポロと涙が溢れ出している。
『おっぱいも鷲掴みにされて痛かったし...何回言っても爪を整えてくれないから愛撫されたら痛いし...』
「ぁ...」
もはや号泣に近いほど涙を流している。
『だから、ご主人様とのセックスが...すっごく幸せなんです♡♡♡ご主人様とエッチできるなら...何も要らないです...♡♡♡』
『本当に?全部差し出せるのか?』
『はい...♡私の人生...全部ご主人様に捧げます...♡♡♡』
「あ...ぁ...」
『...そうか。それなら、最後にメッセージを贈ろうか』
『え?...んぅっ♡♡♡』
首をかしげているうちに、ズププと肉棒を捻じ込まれた麻衣。
画面に映る麻衣は、既に快楽に飲み込まれた雌の顔だった。
『"一応"最後の男の"翔太くん"にメッセージを贈ろうか』
『ああっ♡♡♡♡ふふふっ...それなら...あぁっ♡♡...翔太くんは最後じゃない...ですよ♡♡』
「ぇ...?」
情けなく涙を流し続けている小井川。
しかし、麻衣の"最後ではない"という言葉が気になったらしい。
『最後にセックスしたのは"翔太くん"じゃないのか?』
ちなみに、動画の中では"小井川"とは発言しないように意識している。
『はい...んぅっ♡♡...翔太くんとのエッチ...全然気持ち良くなかったから...近所のセフレと...ああっ♡♡エッチしました...ぁ...』
「え...」
更に表情が曇る小井川だった。
『...まあいい。とりあえず最後に会った男として"翔太くん"に別れの言葉を贈るんだ』
『はぁい...♡♡』
カメラが麻衣の顔をアップにして映した。
『えっと...特に印象はないけど...ふあっ♡♡...セックス、ヘタクソだったね、翔太くん...ああっ♡♡...美咲ちゃん、我慢してたんだね...♡♡』
「ぁ...ぁ...」
『私は...これからご主人様のペットとして生きるから...ぁ...ごめんね...あああっっ♡♡♡♡』
ビクンっと身体を震わせ、快楽に沈んだ顔を最後に...映像は終わっていた。
「ぁ...ぁ...」
ボロボロと涙を流しながら、股間にテントを張っている小井川だった。
「まあ、こんな具合で麻衣はもう表には出てこない。だから、この事は忘れろ。良いな?」
「...」
コクンと頷く小井川。
もはや口を開く気力すらないのだろう。
俺は...そのまま支払いだけを済ませて小井川を放置したのだった。