優柔不断は切り捨てろ:周りの美少女は全員他人のモノ 作:エルサイズ
――――――――――――――――――――翔太視点
頭が痛い...
それに...ここは何処だろう...?
「ん...?」
ぼやけた視界では何もわからない...しかし、それでもここが見知った場所ではないことは確かだ。
「っ...」
体が動かない。
痺れているのかと思いきや、どうやら拘束されているらしい。
「ここは...?」
木目が見える壁。ログハウスというやつだろうか?
前にサッカー部の合宿で宿泊したことがある。あの時はリゾート地にある別荘を一棟をレンタルしたと聞いた。
ちなみに、どういう訳かその年以降その別荘は貸して貰えなくなってしまったらしい。...確かに多少モノは壊したけれど、それくらいで使用禁止にする程だろうか?
それはともかく―――
「どこだよ...ここ...」
―――今は現状の把握が優先だ。しかし、窓の外は深い森であり、見える景色からは現在地を推測するヒントは得られなかった。
「うぅ...」
直ぐ隣からもうめき声が聞こえる。その声の主を確認しようとしたそのとき―――
「やっと起きたか」
扉が開き、男が姿を見せた。
...聞き覚えのある声だ。しかし、それは記憶の中にある人物にしてはやけに冷たい口調に思える。
「先生...」
この男は担任の教師...そのはずだ。
「ぐっ...うぅ...お前は...っ...!」
俺と同じように椅子に拘束されていたのは...川元刑事であった。
彼は先生を睨みつけていた。
「どこかでお会いしましたか?...おやおや。これはこれは」
対して先生は涼しげな表情だ。
「お巡りさんが私に何の御用ですか?私は善良な一般人ですよ」
川元刑事のジャケットから警察手帳を抜き取り、目の前でヒラヒラと揺らして挑発している。
「バカを言うなっ!この誘拐魔め...!」
誘拐?どういう事だろうか?
「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ。誘拐?なんのことだか」
肩をすくめる先生。
...何か隠している。というか、川元刑事の言葉を理解した上で馬鹿にしているような態度だ。
「ふざけるなっ!俺の...俺の娘をよくも...っ...!」
娘?川元刑事の娘さん?...あの可愛らしい少女のことだろうか?
「そんなに娘の安否が気になるのか?」
表情を変えずにそう尋ねる先生。
「あ、当たり前だ!」
感情剥き出しで怒鳴る川元刑事。...それもそうだろう。愛しい娘の安否が気にならない親などいない。
「そうか。...その前に」
先生は封筒から写真を数枚取り出した。
「この写真の人物。見覚えは有るか?」
俺にも見える位置で写真を川元刑事に見せている。
「これは...」
大人しそうな外見のサラリーマン...だろうか?
特徴のある人物には見えない。どちらかというと...言い方は悪いが、あまりクラスの中心にいるようなタイプではない気がする。
「見覚えあるよな?」
そう言いながらもう一枚写真を見せた。
「っ...!」
思わず息を飲んでしまった。
その写真は、先ほどのサラリーマン...と思しき男性の無残な姿であった。
「この男性も買春をしているから全て善良とはいえないが...自殺に追い込まれるようなことをしているとは思えない。...次だ」
その後も、同じような冴えない男性の写真を、先ほどの男性と同様に無残な姿の写真とセットで見せてきた。そして、その後も同様に2枚セットの写真を何度か目にすることになった。
「答えろ。この写真の男性は何をした?何をされた?」
川元刑事に問いかける先生。
「...自殺者だ」
「そうだ。...だが、それだけじゃないだろ?」
無残な姿の写真を見せながら川元刑事に詰め寄る先生。
「な、何のことだ...?」
「美人局の被害者だ。警察の記録には残っていないけどな」
吐き捨てるように言いながら、写真を再び封筒に収めた。
美人局...最近では性行為をさせた後、もしくはホテルに連れ込んだ段階で交際相手を騙り金品を脅し取る犯罪のことだ。
「次だ。この写真の男に見覚えは?」
今度の男性は少し特徴が異なる。なんというか...ガラの悪い男だ。
この写真の人物も美人局の被害者なのだろうか?
「そ、それは...」
「わかるよな?お前の娘の"お友達"だ。まあ...全員がお前の娘の彼氏だとかセフレだとか自称していたが、実際はどうだろうな」
「っ...!」
唇を噛む川元刑事。...娘の痴態を晒されているのだ。親としてはさぞ辛いだろう。
「まあ、今となってはお前の娘の股の緩さはどうでもいい。お前の娘はこのチンピラ共と結託して美人局をしていた。違うか?」
「な、何のことだか―――ぐっ!?」
ノーモーションで繰り出されるボディブロー。
「言い逃れする気か?それもそうだよな。言えるワケないよな。...この事件をもみ消したのはお前だからな」
「え...?」
「っ...」
視線を逸らす川元刑事
「お前は娘可愛さに事件を闇に葬り、気に病んで自殺した被害者の遺書を破り捨てた」
「ど、どうしてそこまで―――ぐぅっ!?」
再び叩き込まれる強烈なボディブロー。鍛えている現役警察官を痛めつける事が出来るなんて...こいつは普通の教師ではないのだろうか?
「警察ってやつは娘が主犯なら事件を無かったことにするのか?」
「っ...それは...し、しかし、だからと言って娘を誘拐して良い道理は無い!」
先生を睨みつけて反論する川元刑事。
「...これを見ろ」
そう良いながら別の写真を取り出した。
「こ、これは...!」
「うっ...」
それは...凄惨な暴行を受けたであろう男の姿であった。
「お前の娘の"お友達"だ。これは連れてきたばかりの写真だ。次は...現在の写真だ」
次に取り出したのは、どういうワケか裕福そうな少年の写真であった。少し細身である点を除けば至って普通の美少年であるように見受けられる。
「誰だこれ...?...まさか...!!」
何か察した川元刑事。
一体どういう事だ...?これがあのチンピラの姿なのだろうか?
「そうだ。チンピラ共の中で、健康体の連中は既に手術済みだ。生きている間に散々迷惑をかけたのに、今では見知らぬ誰かの命を救うなんて...泣ける話だと思わないか?」
「あ...」
そういうことか...誘拐されたチンピラは既に...
「次だ。これを見ろ」
次に取り出された写真は―――
「うっ...」
「なっ...」
目を背けたくなる写真であった。
「細身の奴と少し小太りの奴はこのテの変態に人気があるんだ。まあ、直ぐにバラ売りにされるよりはマシだろう」
それは...小太りのチンピラが拘束されている写真であった。そして、"屈強な男たち"に前から後ろからと犯されていた。
もう一枚の写真には、なぜかベビードールを着せられた細身のチンピラが写っており、その惨状から事後であることが窺い知れる。相手は...自撮りをしている醜く太った大男だろう。
「あの事件に関わる悪党は似たような末路を辿った。これがどう言う意味か理解できるな?」
「貴様...貴様ぁああああ!!!!」
唇が切れるほど噛みしめていた川元刑事。喉が潰れそうなほど激しい怒りが込められた絶叫であった。
「わからないな...何をそんなに怒り狂っているんだ?」
「お前が!!!お前が俺の娘を!!!!」
共犯のチンピラが凄惨な末路を辿っているのだ。同じ罪を犯した川元刑事の娘さんが...若く美しい少女がどのような目に遭うのか...想像に容易い。
「...さて、喉が渇いたな。おい」
川元刑事の絶叫など聞こえていないかのように振る舞う先生。先生がドアに向けて一声放つと―――
「はい、ご主人様...♡」
現状に似つかわしくない可愛らしい声が聞こえてきた。
「....え?」
扉の先にいたのは...煽情的なデザインのメイド服を身に纏った美少女であった。
黒いニーハイソックスと丈の短い漆黒のメイド服の間から見える白い太もものコントラスト、大きくはだけた胸元には深い谷間が見えており、形の良い大きな乳房が主張していた。
「ご主人さまぁ...♡」
甘ったるい声を出しながら先生の腕に抱き付いている。...まるで俺たちの姿など見えていないかのような態度だ。
「み、美紀...?美紀なのか...?」
「あっ...」
そうだ...どこかで見た顔かと思えば、彼女は川元刑事の娘さんだ。
しかし...どうして彼女がこの場に居るんだ...?
先ほどの先生の言から察するに、今頃は何処か遠くの地で変態共の玩具にされているのかと邪推していた。
「ご主人さまぁ...寂しかったです...♡」
しかし、父親の声など聞こえていないらしい。
「美紀、駄目じゃないか。お客様に飲み物を持ってこい」
「は、はいっ...!」
先生は美紀の方を一度も見ずに命令した。
その瞬間、美紀は身体を硬直させた後に慌てて部屋を後にしたのであった。
「悪いな二人とも。うちの召使いは出来が悪いんだ」
「き、貴様っ...!」
もはや言葉にならないほどの怒りなのだろう。川元刑事は顔を真っ赤にしながらワナワナと震えていた。
「何分、ここは山奥の別荘だからな。あまり贅沢なモノは用意できない事を許してくれ」
相変わらずふざけた態度の先生だ。
そして、待つこと数分。半開きの扉の向こうからパタパタと足音が聞こえてきた。
「お、お待たせしました...」
当然、美紀が再び姿を見せるものだと思っていたのだが、扉の向こうに居たのは予想外の人物であった。
「え...?麻衣....さん....?」
茶色のロングボブに少し垂れた大きな瞳。抱きしめると柔らかい身体の持ち主。ひと時は本気で恋をした
「ご、ご主人さま...」
そして、麻衣さんの後から美紀が続く。
彼女たちの手に持たれているのは...大きな鍋とカセットコンロであった。鍋には水が一杯に張られており、女性の細腕で抱えるには少し辛そうだ。
「っ...」
麻衣さんは俺の椅子の前に鍋とコンロを置いたのだが、美紀はただひたすらに先生の元から離れない。
「美紀、置け」
「は、はい...!」
先生の命令を受けてようやくカセットコンロを川元刑事の目の前に置いた。
「み、美紀...!」
必死に呼びかける川元刑事。
しかし―――
「ご主人さまぁ...」
父親の声に全く反応せず、カセットコンロを手荒く放ると直ぐに先生の元へと駆け戻る。
「遅い」
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい...っ...!!」
膝をつき、額を床に擦り付けながら"ごめんなさい"と繰り返す美紀。
「ぐぅ...っ...!」
そんな娘の姿を目の当たりにして、川元刑事は血が滲むほど歯を食いしばっていた。
「全く...どうして俺の命令が聞けないんだ?俺が嫌いなのか?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
火が付いたように謝罪を繰り返す美紀。
「謝れなんて命令してないだろ?」
「ごめんなさ―――っ...!!」
ぐっと言葉を飲み込む美紀。
「よしよし、良い子だ。今度からちゃんと命令を守るんだぞ?」
「ぁ...はい!ご主人さまぁ...♡」
蕩けるような甘ったるい声。
それはまさに恋する乙女のような甘い音色であった。
「き、貴様ぁ...!!美紀に何をしたぁぁっ!!」
怒り狂った表情で叫ぶ川元刑事。
父親の絶叫が聞こえいるはずなのに、美紀はちらりともこちらに顔を向けない。
「ね、ねえ...ご主人さま...」
そして、今度は麻衣さんが動いた。
一連のやり取りに対する反応なのかと思いきや―――
「どうした?」
「その...私も...」
遠慮がちに袖を掴み、何かを訴えるように上目遣いで先生を見つめている。
「よしよし。麻衣は気が利いて偉いな」
そんな彼女に対し、先生は優しく頭を撫でた。
「ぁ...えへへ...♡」
この場において似つかわしくない程に愛らしい笑顔。
それに対して美紀は不満だったらしい。
「ご主人さまぁ...麻衣ちゃんばっかりずるいです...」
頬を膨らませてわかりやすく拗ねる美紀。
「お前はしばらくお預けだ」
「そんなぁ...」
情けない声で嘆く美紀。
そんな彼女に対し、先生はこう続けた。
「そうだな...それなら美紀にもチャンスをあげよう」
「...!」
ぱあっと明るくなる美紀の表情。
そして―――
「今から俺に口でご奉仕をするんだ」
川元刑事の地獄は...ここから始まった。