でも48戦目(本気タイ〇ーン戦直前)で爪一撃トドとか出してくる奴が悪いと思うんだ…(実話)
楽しいのかよそんな勝ち方して(ブーメラン)
二度とやらんわこんなお排〇物ゲー
「団長さま、あたしを振って下さいませ!」
穏やかなはずだった昼下がり、副団長がまたわけのわからない事を言い出した。
振る……バットみたいに扱えという事だろうか?
「違いますの! 失恋を経験してみたいんですわ!」
……おかしい、情報が増えたはずなのに状況がまるで呑み込めない。
こういう時は経緯を探るに限る。
という事で、ハナモモにより詳しい説明を求めた。
どうやら、前にネリネにあげた本がきっかけだったようだ。
一言で説明すると、変則的な人魚姫のストーリーという表現が相応しい。
嵐で海に投げ出された所を助けた事がきっかけで、恋に落ちた漁師と人魚。
しかし漁師には既に婚約者がおり、それが災いし不幸が立て続けに起こった結果、漁師は人魚と再会する道を選ばず、老衰で世を去ってしまう。
物語はその漁師の孫(と言っても血の繋がりはないが)の視点で描かれており、終盤に真相を知った孫が真実を人魚に伝えるかどうかという選択肢がある。
読者はそれを選ぶのだが……率直に言って、どちらを選んでも後味の悪い結末が待っている。
真実を伝えた場合は、人魚は一族の禁忌を破って漁師の墓がある陸に上がってしまい、教えた事に対して礼を述べながらも、最終的には人魚姫と同じ結末を辿ってしまう。
伝えなかった(嘘をついた)場合は人魚は生存こそするものの、永遠に会える事の無い恋人を待ち続ける事になる。
印象深いストーリーで、(泣く事は重々承知の上で)人魚姫の物語が好きなネリネにはうってつけだと思い購入した(そして案の定泣かせた)のだ。
悲劇的な結末だが、だからこそ強く心を打ち、深く記憶に残るのだろう。
……などと言うと、ハッピーエンドを愛するリシアンサスには苦い顔をされそうだが。
閑話休題。
それが今回の話とどう繋がるのかと言うと
「確かに悲しいお話ではありましたけど……正直、失恋の辛さまではピンと来ませんでしたの。その事をモモねえさまに相談しましたら、『じゃあ、ハナモモも失恋を経験してみたらいんじゃない?』と仰られまして……」
またですか、モモ姉様。
まぁ今回は理に適ってはいるし、いつぞやの悪質な入れ知恵じゃないだけ良い(と言ってもまだ根には持っている)が。
それで先程の「振ってくれ」発言に繋がるというわけか。
経緯は理解できたが……どうしてもやらなくてはならないのだろうか?
「お願いしますの!」
……やらなくてはならないらしい。
そうまで言われては仕方ないと、肚を括る。
「ではあたしが告白しますから、団長さまは断って下さいませ!」
まぁ、カルセオラリアの演出の練習だと思えば……と、この時の自分は軽く考えていた。
「あたし……団長さまが好きです。あたしと、付き合って下さいませんか?」
自分も好きだ。
そう言うと同時に、つい条件反射的に抱きしめてしまった。
「団長さま!? 受けてどうするんですの! 断ってって言いましたのに!!」
怒られてしまった。
いやしかし、あれを断れというのか?
まずい、思っていた以上にハードルが高い……!
「……もぉ、次は頼みますわよ?」
一人で悶々としていると、釘を刺されてしまった。
正直辛いが、あまりふざけると本気で怒られかねない。
……ふざけているつもりは毛頭ないのだが。
「では、行きますわよ」
そして、再びハナモモの告白が始まる。
内心で葛藤しながらも、何とか拒絶の言葉を述べた。
その途端、ハナモモの顔から生気が失せ、膝をついて崩れ落ちてしまった。
え、何これ?
獅〇咆哮弾完成の前触れ?
だって……どうしても言えって……。
ともかくまずい、誰かしら花騎士を同席させるべきだったか……!?
と、完全に天道あ〇ねの心境になっていたのだが
「失恋って……こんなにショックですのね……まだ、身体に力が入りませんわ……」
どうやら再起動してくれたようだ。
(目が若干虚ろではあるが)一先ず安心する。
ともかく、体感はできたのではないだろうか。
「とても勉強になりましたわ。ありがとうございます」
ハナモモが頭を下げる。
そう言って貰えると、こちらも(演技とはいえ、葛藤に抗って)断った甲斐がある。
「……あとは、あの子の影響もありますわね。あの子も、こんな気持ちだったのかしら……?」
そう言い、憂いを帯びた目を伏せるハナモモ。
どきりとする仕草だが、それ以上に話の内容に気を引かれた。
明言こそしなかったが、「あの子」というのは先日遭遇したもう一人のハナモモ……
思えばあの水影ハナモモも、自分に想いを伝えに来て……それを自分が断った事で絶望し、その絶望を力へと変換させたのだった。
よりによってハナモモの姿を取るとはと、当時は憤慨したものだが……その怒りの矛先は今、それすらも実験と称した黒幕に向けている。
同情の余地はなくもないが、いくら容姿や性格を似せた所で、所詮は出来の良い紛い物でしかない。
それに、襲ってくる以上は敵である。
我ながら酷なものだと思う反面、だからこそ指揮を執る立場に選ばれたのかも知れないとも思う。
時として、冷徹な判断を下さなくてはならない事もありえるのだから。
こういった話を一度、ムラサキハナナやワレモコウ達としてみたいものだ。
それもさておき、ハナモモには何としても伝えておきたい事がある。
ハナモモに、その旨を伝えよう。
……自分はあの時、何の迷いも躊躇いもなく、拒絶の言葉を言えた。
「……それは、相手がアクア・シャドウだったから、ですの?」
無論それもあるが、それだけではない。
前述の通り、彼女はハナモモの偽物でしかないのだ。
彼女を受け入れてしまえば、(極端な話だが)ハナモモの姿をしてさえいれば良い事になってしまう。
それは到底、愛などと呼べるものでは無いだろう。
それに、先程は演技とはいえ、告白を断るのに随分と葛藤があった。
水影相手の時は本当に告白を受けたのに、断るのに葛藤は一切無かった。
そこが、想いの差でもある。
自分が愛したのは、目の前のハナモモ一人だけなのだから。
「……改めて言われると、照れちゃいますわ。でも、ありがとうございます。素敵な花騎士の方が多い中で、団長さまはあたしを見初めて下さって……あたしは本当に、幸せ者ですわ」
そう言って、ハナモモが笑う。
正直こちらも恥ずかしいのだが、それでもこの子が笑ってくれるのなら。
彼女に相応しい団長……いや男になれるよう、自分も彼女を見習って研鑽を重ねて行こうと、そう思うのだった。
……そう、思っていたのだが
「……でも、あたしは悪い子ですから。これだけ想っていただいていても、また不安を感じちゃうかも知れませんの」
えーと……ハナモモさん?
この話の流れ……ちょーっと嫌なものを感じるんですが……
「その時はこの間みたいに、またあたしに『愛』を教え……いえ、躾け直して下さいませ」
そう言うハナモモの顔は……客観的に見ても、雌の顔と化してしまっていた。
……たまには綺麗に終わらせてくれないだろうか。
おまけ
先程は紛い物だなんだと偉そうな事を言ったが、実際にハナモモのぬいぐるみとかがあったら、勢いで買ってしまうだろう。
「もぅ! 団長さまには、あたしがいるじゃありませんの!!」
確かにそうなんだが、四六時中一緒にいられるわけじゃないだろう。
しんどい書類仕事の合間などに眺める事で、癒し効果と効率上昇効果なども見込めるわけで……
そこまで言って、ハナモモの顔が膨れっ面からニヤけ顔に変わっている事に気付く。
しまったと思った時には、もう遅かった。
「ふふっ……団長さまったら、すっかりあたしの虜ですのね」
失言だった……いや、本人の前で言うべきじゃなかった。
当人は某ユキソウのごとく、すっかりドヤ顔である。
ぐぬぬ……。
「でも、あたしも団長さまのぬいぐるみなら欲しいですわ。……でも、作り方が良く分かりませんの」
少し照れた顔で、ハナモモが言う。
元々、ぬいぐるみが好きな子なのだ。
それならサフラン……は裁縫は間違いなく得意だが、ぬいぐるみとなるとまた違うのかも知れない。
チョコモスとブラキカムも同様。
ナイトフロックスは……出来そうだが、また母親扱いされるとヘコんでしまうかも知れない。
プルメリアは……ママだがどうだろう。
そこまで話した所で
「皆さんに伺ってみますの!」
止める間もなく行ってしまった。
流石の移動力(695)である。
この後、騎士団内でぬいぐるみ作りが流行する事になるのだが……それはまた別の話ということで。
…はい、本編に全く関係ない前書きでした。
作中の人魚姫のストーリーは某国民的RPGのイベントです。
今でも印象に残ってます。
結局どちらが正解だっかのか…
後書きも大して本編に触れてない?
…たまにはね(?)