※この作品はR-18です。

一騎当千 VtuberReincarnation   作:宣伝部長

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推しとの邂逅

「例の彼女はまだ見つからないのかな・・・・・?」

 

「はい・・・未だに目撃情報もないようでして・・・現在は捜索範囲を拡げて探しております」

 

 

 

洛陽高校の屋上にて董卓と賈詡。

いつものように手首をカッターナイフで斬りつけながら語りかける董卓に対し、賈詡はノートパソコンを抱えながら申し訳なさそうに報告をする。

 

 

 

「あぁ~・・・ボクの大事な宝物だから・・・早く見つけてあげないと悪い虫がつくかもしれないね」

 

「しかし、お言葉ではございますが、董卓様!今は大闘士大会の真っ只中・・・闘士どうしが潰し合う絶好の機会・・・この催し物が終わり次第でも宜しいのでは・・・?」

 

「ねぇ、賈詡くん・・・・・君のせいでこうなった事・・・・・忘れてないかな?」

 

「・・・っ!?し、失言を申し上げてしまいました!!・・・何卒お許しをっ!!」

 

「あぁ、別に怒ってないよ・・・・・ちゃんと君達が大事な宝物を見つけてくれればいいだけの・・・は・な・し」

 

 

 

董卓の圧に自然と片膝をついて頭を下げる賈詡。

怒らせてしまったのではと言う恐怖に震える賈詡とは別に董卓はカッターナイフに付いた血を舐めて不気味に笑う。

 

 

 

「あぁ・・・ボクが作り上げた最高傑作・・・・・君は、今・・・何処に居るんだい?」

 

 

「(やっぱり董卓は例の事件以来完全に彼女の事しか頭にない・・・なら、私が動けるのはこのタイミングしかない・・・陳宮が言ってたあの子に会いに・・・!!)」

 

 

 

隠れて今の会話を聴いていた呂布はこの状況に今が行動する絶好のタイミングと思い、陳宮から手に入れたあの子の連絡先にメッセージを送ったのであった。

 

 

 

 

 

「へっぶしっ!!なっはっはっ!誰かがアタシの噂でもしてるのかねっ!!」

 

「・・・おい」

 

「・・・んっ?なっ!?だぁ~はっはっはっ!!なんだその顔っ!!どうしたらそんな事になるんだよ!」

 

「オメェがオレの方向いてくしゃみしやがるからだろうがっ!!」

 

 

 

街中を2人並んで歩くオレと貂蝉。

オレは甘寧の恰好をしているが、貂蝉はサングラスに帽子と言った変装定番グッズに身を包んでいる。

時を遡る事・・・・・数時間前。

送り主の解らないメールが不意に一通届いていたのだ。

 

 

その内容とは・・・。

『陳宮から貴女の話を聞いたわ。直接会って話がしたい』との短い内容だった。

短い文章ながらも内容も察するにこの送り主が呂布だとオレの中で理解出来た。

 

 

本当は1人で会いに行きたかったのだが、呂布に会いに行くと伝えたら貂蝉が脚にしがみついて離れなかったので連れて来た。

あまり貂蝉の居場所を知られたくはないのだが、こればかりは聞き訳がないので仕方ないと諦めた。

 

 

 

「呂布さんに会えるからって浮かれ過ぎだぞ?」

 

「そりゃあテンションだって上がるさっ!もう会えないとも思っていたんだから!!」

 

「あぁ・・・・・わかっているよ」

 

 

 

原作でもアニメでも貂蝉の存在はなかったように扱われていた。

だからオレがその歴史を変えたのだ。

愛しの相手に長らく逢えなかったのだからこのはしゃぎようも仕方ない。

 

 

 

「1つ忠告だけしとくが絶対にオレから離れるなよ?」

 

「わかってるって!アンタの計画にアタシは絶対に必要!それも奉先の為ってんなら意地でも離れないやいっ!!」

 

「・・・ったく、本当にわかってんのかねぇ~・・・・・っで、今度は何してるの?」

 

「んっ?こうやって腕組んで歩いてたら男女のカップルみたいに見えるからいいんじゃないかなってさ!」

 

「・・・・・そうですね」

 

 

 

イチャイチャとしながら街中を歩き、メールに添付されていた集合場所へと向かっていた。

・・・・・のだが、こんな美女2人を野郎どもは見逃さないのである。

 

 

 

「ねぇねぇ!君達こんな時間にどうしたの?暇ならオレ達とお茶しな~い?」

 

「・・・お断りします」

 

「そんな釣れない事言わないでさぁ~ちょっとぐらいオレ達と遊ぼうよ~♪」

 

「・・・ねぇ」

 

「んっ?」

 

 

 

野郎どもから逃げようとしたが、不意に貂蝉に袖を引っ張られると耳を傾ける。

 

 

 

「最近身体が鈍っちゃってるから軽~い運動を・・・って思ってるんだけど、付き合ってくれない?」

 

「はぁ・・・じゃあ・・・他の人に迷惑にならないように路地裏に行こう」

 

「おっ!サンキュー♪」

 

 

 

首の骨を鳴らしながら囁く貂蝉に周りに迷惑を掛けないように路地裏へと逃げる。

すると野郎どもは諦めずに後を付いて来ると少し広めの場所にて立ち止まった。

 

 

 

「おいおい、こんな薄暗い場所に来るなんてお前達も結構ノリ気で・・・」

 

「・・・んなわけあるかぁぁぁっ!!」

 

 

 

喋っている途中の男の顔面に貂蝉の渾身のストレートが突き刺さる。

その出来事に対して後ろに付いて来ていた野郎どもは襲い掛かって来たのであった。

 

 

 

「こうやってっ!群がって来るっ!闘士はっ!雑魚ばっかだな!!」

 

「言うねぇ~♪まぁ、こんな奴らばっかだから男は嫌いなんだけどさ」

 

「それは・・・オレも同意見だ」

 

「ふ~ん・・・アンタもこっち側の人間なんだぁ~」

 

「・・・・・まぁな、魅力的な女を抱く方が良いに決まってる」

 

 

 

モブ闘士達は瞬殺レベルで地面に横たわっていた。

オレは貂蝉の言葉に前髪を弄りながら呟くように答えた。

 

 

 

「じゃあ・・・今夜一緒に寝ちゃう?助けてくれたお礼まだしてないしさ」

 

「ば、馬鹿言ってんじゃねぇよ!!!!」

 

 

 

耳元で甘い声で囁かれると全身が真っ赤になってオレは空を見上げるように叫んでいた。

 

 

 

「冗談じゃないよ・・・コレはアタシの本音。奉先だけって思っていたけど、アンタの頑張る姿見てたらちょっと心が動いちゃった・・・みたいな?」

 

「・・・・・まだ何もしていない。それに・・・呂布さんを救えるかまだ解らないんだ」

 

「そうだったね・・・。まだアイツが生きてるんだった」

 

「そう言う事!その為にも早く呂布さんに会って話し合わないと・・・・・」

 

「・・・・・アンタ、さっきから何してんだ?」

 

「資金調達」

 

 

 

倒れているモブ闘士達の財布からお金を盗むのはお手の物。

すべての闘士達からの回収を済ませたオレは満足げに自分の財布の中に納める。

 

 

 

「見つけたぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 

この場が揺れるような叫び声にオレと貂蝉は追っ手かと思ってその声の主に視線を向ける。

 

 

しかし、そこに居たのは・・・許昌学院の夏侯惇 元譲と郭嘉 奉孝の姿であった。

 

 

 

「(何故このような場所にこの2人が・・・?と言うか先程の見つけたとは・・・まさか貂蝉を見つけ出す勅が・・・!?)」

 

「やっと見つけたぜっ!!フード野郎っ!!」

 

「もしかして・・・・・オレの事か?」

 

「ウチの闘士が君の世話になったみたいなんだ・・・覚えているか?」

 

 

 

郭嘉の言い方的には仲間の報復にオレを探し回っていたみたいだ。

思い当たる闘士と言えば・・・この世界に来たばかりのオレに絡んで来た連中だろうか。

 

 

 

「いいえ。オレは誰かの世話なんかした事もないし、するつもりもないです」

 

「しらばっくれるなっ!!お前がいきなり襲い掛かって来たってウチの連中が・・・」

 

「ふ~ん・・・襲い掛かるねぇ~・・・?勾玉を持っていないか弱い女性が・・・ですか?」

 

 

 

オレがフードを脱いで勾玉が無いのを2人に確認させると夏侯惇は驚いたようにオレの顔を指して来て、郭嘉は真剣な表情へと変わった。

 

 

 

「なぁ・・・郭嘉!!」

 

「あぁ・・・アイツらの言葉を信じたばかりにオレ達は早とちりをしていたようだな・・・非礼を詫びよう」

 

「誰でも現実を目の当たりにしない限り信用は出来ないもんだよ。それに貴方達は・・・仲間は信頼したい・・・そうでしょ?」

 

「ははっ・・・君は俺達を見透かしているような言い方をするんだな」

 

「仲間の為にここまでしてオレを探し回っていたんだからそう感じただけよ」

 

「あながち間違ってはいないかな・・・しかし、俺達は他にも君にとある用事があって来たんだ」

 

 

 

郭嘉の含みのある言い方にオレは首を傾げる。

 

 

 

「曹操 孟徳・・・・・彼が君に一目会いたいと言っているんだ」

 

「へぇ~・・・許昌学院の頭首がこんなオレに興味を・・・?」

 

「今回の件・・・女1人に我が校の闘士が何も出来ずに倒されているんだ。しかも、名も知れない女だと来たものだから孟徳はかなり君を気に入ったみたいでね」

 

「・・・・・なるほど」

 

 

 

話を聞いていたが不意に腕を引かれると貂蝉がグイッと前に出て来てオレを護るように立ちはだかった。

 

 

 

「さっきから聞いてたらいきなり悪者扱いして来たと思えば、今度は気に入ったから会いに来い?はぁ?どの面下げてアタシの女にそんな口聞いてんだよ!!」

 

「なぁっ!?コイツ!!いきなり出て来てなんて言い草しやがんだっ!!」

 

「待て、惇!彼女の言い分も間違っちゃいない・・・いきなり不躾な話をしてすまない」

 

「いえ、オレも曹操さんにはお会いしたいとは思っていたので構いません」

 

「・・・それは良かった。それでは今からでも・・・・・」

 

「それは出来ません」

 

 

 

オレの言葉に2人は不思議そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

「オレ達はこれから大事な用事があって許昌学院には明日にでもいいですか?」

 

「それは外せない用事なのか?」

 

「絶対に・・・外せない用事です」

 

「・・・・・それなら仕方ない。孟徳には俺からちゃんと伝えておくから明日必ず来てくれ」

 

「わかりました」

 

 

 

オレはそう言って会釈を済ませると貂蝉の手を引っ張ってこの場を後にした。

 

 

 

「行かせて良かったのか?曹操が何て言うか・・・」

 

「・・・惇。あの子を止めていたらヤバい事になっていたぞ」

 

「そんな事あるわけ・・・・・っ!?!?」

 

 

 

夏侯惇はやっと気付いたのだ。

郭嘉が平静を装っていただけであって本当は勾玉の無いあの女の子の氣に押されていたのだと・・・・・。

 

 

 

 

 

「さっきの奴ら・・・気に食わねぇ~・・・・・」

 

「もう・・・なんで貂蝉さんがオレ以上に怒ってるんですか?」

 

「ただお前の事を悪く言う奴らに腹が立っただけだ」

 

「あはは・・・それよりもそろそろ目的地のはずなんですが・・・・・」

 

 

 

2人がやって来たのは、今にも取り壊されそうな廃墟であった。

人の気配が全くしないが、奥へと進んで行くとそこには2人の人物が先に辿り着いていた。

 

 

 

「ようやく・・・来たみたいね」

 

「奉先・・・っ!?あ、会いたかっ「呂布じゃぁぁぁんっ!!」・・・えええっ!?」

 

 

 

呂布と陳宮の姿に貂蝉はすぐさま呂布に抱き付こうとしたが、それよりも速いスピードでオレは泣きじゃくりながら飛ぶ付いていた。

推しを目の前にして色々な想いが込み上げて来たのか上半身にしがみつくようにくっ付いていた。

 

 

 

「えぇっ!?ちょ、ちょっと!!陳宮!?ほ、本当にこの子大丈夫なんでしょうね!?」

 

「あっ・・・はい、私に会った時もいきなり号泣されていましたので・・・だ、大丈夫だと思います」

 

「そ、そうなの・・・・・って、貴女もいつまでも泣いてないで落ち着いてくれないかしら」

 

「じゅ、じゅみばじぇん・・・・・」

 

「こりゃまたひっでぇ顔になってんぞ?アンタ」

 

 

 

ずびぃぃぃっと鼻を啜ると落ち着く為に深呼吸をする。

すると先程のバカみたいな感じとは打って変わって真面目な顔になると正座をして3人を前に話を始める。

 

 

 

「んんっ・・・いきなりの失礼申し訳ありません。本日はオレの事を信じてこの場に来てくれた事・・・本当にありがとうございます」

 

「私の唯一の秘密を貴女が知っているんだから陳宮に聞いた時は驚いたわ」

 

「・・・秘密?アタシはその内容聞いてないぞ?」

 

「確か・・・筋萎縮性側索硬化症だとオレは覚えていますが・・・それ以外にも呂布さんの身体を病魔が襲っていると感じています」

 

「へぇ~・・・病名まで知っているなんて本当に凄いわね、アナタ」

 

「おいおい、それだとアタシがこの場に居ても奉先を救えないじゃないか!!」

 

「えぇ・・・その為に貂蝉さんを救い出した訳ではないんです。貴女の役目はあくまでも・・・董卓討伐です!!」

 

 

 

怒鳴る貂蝉に対して董卓討伐を強く言い渡すと貂蝉は近くの壁を殴った後に壁を背もたれに黙ったように聞く体勢に戻った。

 

 

 

「それでは、呂布さんがこのまま死ぬのを待つだけだと・・・?」

 

「それは違います。董卓討伐が成功した上でオレが命を懸けてお救いします」

 

「ねぇ、どうして・・・アナタは見ず知らずの私の為にそのような事を本気で言えるの?」

 

「・・・・・愛してるからです」

 

 

 

その言葉に呂布はぴくっと眉を動かしただけだが、残りの2人は落ち着きがないようにそわそわしているのが感じ取れた。

 

 

 

「ふふっ・・・こんな場所でいきなりプロポーズをされるなんて思ってもいなかったわね」

 

「あっ!?い、いや・・・愛している事は間違っていないんだけど・・・///あぁ~えっと・・・そのですね・・・・・」

 

「だぁぁぁっ!!・・・っで、アタシ達は何をするってんだ!」

 

 

 

顔を真っ赤にしてもじもじしているオレに対して痺れを切らしたように貂蝉が叫ぶ。

 

 

 

「まずは現在動いている計画が反董卓同盟を結成させる事となっています」

 

「この前話していた南陽学院、成都学園、許昌学院の3つが組む話だよな?」

 

「どうしてその3校なんですか?」

 

「オレはこの地に虎牢関の戦いを作り上げようと思っているんです」

 

「虎牢関の戦い・・・・・アレは架空の戦いであって本当にあった訳ではないはず・・・。それにあの戦いでは呂布の奮戦により、董卓軍が・・・・・まさかっ!?」

 

「・・・・・んぁ?さっぱり意味がわかんねぇぞ?」

 

「私がその闘いの最中に裏切ればいいのね」

 

「はい!!」

 

 

 

貂蝉だけ腕を組み首を傾げて理解していないが、話はそのまま続けられる。

 

 

 

「その為に陳宮さんには片時も呂布さんのお傍を離れないで下さい」

 

「・・・はい!!洛陽高校に居る時はこの身に代えても御守り致します!!」

 

「・・・・・一つだけ伝えないといけない事があります。左慈 元放の言葉には惑わされないで下さい」

 

「貴女・・・左慈くんも知ってるの!?」

 

「いいですか?呂布さん・・・貴女の知っている左慈 元放は左慈 元放ではないんです。1800年前に呂布と共謀して董卓を殺害したとされる人物・・・・・王允 子師。彼はその名を受け継ぐものなのです」

 

「う、嘘・・・あ、あの左慈くんが・・・・・」

 

 

 

衝撃の事実に手で顔を覆った呂布は崩れ落ちてしまう。

そんな姿に陳宮、貂蝉はすぐに歩み寄った。

 

 

 

「左慈はスパイとして南陽学院に潜り込む為に偽名を使っていたんです。中等部の頃からお付き合いがあったのも存じています。オレが居なかった場合は、呂布さん・・・貴女は左慈の為にと董卓と一騎打ちの際に勝利を勝ち取ります。しかし、董卓が死ぬ間際に遅かれ早かれ今の真実を打ち明けられてしまう運命だったのです」

 

「そんな・・・・・私は利用されていたって事なの?」

 

「それは違うと思いたいです・・・。貴女と左慈の関係に関してはそこまで深くは存じてはいません。だから・・・知りたいのであれば直接ご本人の口から・・・「・・・大丈夫」・・・わ、わかりました」

 

 

 

打ち明けるべきか本当に悩んだ。

この真実によって呂布を傷つけてしまうのではないかと気付いていたんだ。

現に彼女は体育座りのまま顔を隠したまま返事をしたのだ。

 

 

オレは自然と強く拳を握り締め、強く歯を食いしばる事しか出来ない。

すべてを知ってしまっているからこそこう言う場面が今後増えるのかもしれない。

しかし、オレはその悲しい運命を辿って欲しくないから・・・・・。

 

 

 

「・・・血、出ちゃっていますよ」

 

「・・・・・」

 

 

 

両手を優しく掴んでくれた陳宮はそのままオレの傷ついた両手を撫でてくれた。

 

 

 

「辛かったですよね・・・貴方はすべてを知っている・・・私の事、それに呂布さん・・・あちらの女性の事だって・・・・・。他人のすべてを・・・良い事から悪い事まで・・・だから貴女はこんなにも同じ気持ちになって悲しんでくれているんですよね」

 

「・・・陳宮さん」

 

「・・・・・ったく、お前はすべてを知っているからその未来を良い方向に変えようと1人で無茶してる・・・そうだろ?その抱えきれそうにない重荷・・・アタシも一緒に担いでやるから1人で全部しょい込むんじゃねぇよ!!」

 

「・・・貂蝉さん」

 

「・・・・・教えてくれてありがとう。貴女に会っていなかったら・・・私は昔の呂布と同じ過ちをする所だったみたいね・・・。こんなので悲しんでいたら・・・私らしくないわね。彼の事は・・・今は考えない・・・私は貴女の思い描く未来に賭けるわ!」

 

「・・・呂布さん」

 

 

 

3人からの言葉に我慢していた涙は溢れ出し、そんなオレを陳宮は何も言わずに抱き締めてくれた。

オレは陳宮の胸の中で泣いていたが、貂蝉と呂布は何かに気付いた様子。

 

 

 

「おい!さっきからこそこそと盗み聞きしてんじゃねぇぞ!!」

 

「裏切り者の会合・・・見過ごすわけには・・・いかない」

 

「まったく・・・厄介なヤツに跡をつけられてたみたいね」

 

 

 

影からいきなり現れた女性は、両手にサバイバルナイフを持った状態で前に交差させて身構えた。

するとぞろぞろと洛陽学院の闘士が4人を囲み始めたのであった。

 

 

 

「胡軫のヤツは私がやるわ!貂蝉はフォローお願いするわね?」

 

「おう!任せとけって!!」

 

「・・・・・闘えますか?」

 

「えぇ・・・オレはもう大丈夫です!」

 

 

 

4人はアイコンタクトを済ませたと同時に闘いが始まった。

モブ闘士達ばかりが相手なのだが、気になるのは・・・呂布と対峙している胡軫と呼ばれた女である。

 

 

彼女も原作には登場していない董卓軍の武将の1人だ。

しかし、呂布は彼女を知っていた様子だからやはりこの世界にはまだ見ぬ闘士が眠っている可能性がある。

それをどうするのかもオレ次第になるのかもしれない。

 

 

 

「お前は・・・殺すよ、呂布。目障りな存在・・・だから」

 

「お生憎様っ!!董卓の懐刀だからって前々から気に食わなかったのよっ!!」

 

「黙れ・・・裏切り者には・・・死あるのみだ」

 

「私は運命を自分の手で変えてみせるっ!!」

 

「・・・・・ぐぅっ!!」

 

「あら?まだ始まったばかりじゃない!この程度じゃないで・・・しょっ!?」

 

 

 

お互いに嫌い合っていたのか不満だった事をぶつけ合っていた。

蹴飛ばされた胡軫は受身を取るが片膝をついてしまう。

そんな彼女に余裕な態度をとる呂布だが、ブレザーの前の部分が斬られていたのか隠されていた胸がバッと露わになった。

 

 

 

「露出狂の・・・お前には・・・お似合いの・・・姿だな」

 

「そんな子供っぽい挑発に私が乗ってくるとでも思ったの?お馬鹿さん♪」

 

「この・・・お前・・・だけわぁぁぁっ!!」

 

「そんな攻撃、見え見えなのよっ!!天地白狼撃っ!!」

 

「ぐあああっ!!」

 

 

 

サバイバルナイフを1本投げてから走り出す胡軫。

しかし、呂布はそのナイフをギリギリの所で躱すとそのまま胡軫の懐に入り込むと渾身の一撃をお見舞いしたのだ。

胡軫はその一撃で壁に思いっきりめり込むとそのまま地面に倒れ意識を手放した。

 

 

その死闘の最中残りの3人は無事モブ闘士達を撃退して事無きを得た。

 

 

 

「今回の件・・・聞かれてしまったみたいですね。この者の処罰・・・どう致しますか?」

 

「この人の身柄はオレが預かります!」

 

「その子は董卓の邪魔になる者を命令1つで闇討ちして生きて来た懐刀・・・下手をすれば貴女が殺される可能性も・・・・・」

 

「それならご安心下さい!オレには貂蝉さんが居ますから!!」

 

「奉先っ!安心しな!この貂蝉がコイツを護ってやるから安心しなっ!!」

 

 

 

オレを引き寄せるようにがばっと肩を組んで上機嫌になる貂蝉。

その姿を目にした呂布は少し安心したようにはにかんで見せた。

 

 

 

「それじゃあ次の連絡を待っているわ・・・っと、今更だけど貴女の名前聞いてなかったわね?教えてくれないかしら」

 

「鳳月 焔です」

 

「珍しい名前ね?でも、私は良い名前だと思うわ、またね?焔」

 

「あの・・・呂布さんは必ず御守りします!!またいずれ!!」

 

 

 

後ろ姿ながらも手を振ってこの場を離れる呂布。

律儀にもオレの手をギュッと掴んでから一礼をした陳宮はこの場を後にした。

 

 

 

「ふぁ~・・・オレ達も帰るか」

 

「あぁ~暴れ過ぎて腹が減っちまったよ~!!!!」

 

 

 

オレは胡軫を背中に背負うと自分達の拠点へと帰るのであった。

 

 

 

 

 

「・・・・・んんっ」

 

「おっ!やっと目が覚めた!」

 

「お前・・・っ!呂布の・・・「下手な真似するな」・・・っ!?」

 

 

 

離れ家で目を覚ました胡軫。

起きたと同時に臨戦態勢に入ろうとしたが貂蝉は威嚇するように大剣の切っ先を胡軫の目の前に突き立てる。

 

 

 

「まぁまぁ・・・ここは穏便にお願いします」

 

「ちっ・・・わかったよ」

 

「それで、胡軫さんに一つ聞きたい事があるんですけど・・・・・」

 

「私は・・・単独行動で・・・呂布を追ってただけ。董卓様は・・・無関係」

 

「いえ、オレが聞きたいのは・・・貴女にとっての董卓とは・・・です」

 

「・・・・・私は選ばれた闘士・・・ご主人様の懐刀」

 

 

 

胡軫の言葉にチラッと貂蝉を確認した後にオレはとある事を話す。

 

 

 

「君は・・・董卓に踊らされているんだ」

 

「・・・噓だ。董卓様は・・・我々を導く・・・救世主だ」

 

「その救世主が自分の事の為ならなんでも利用する人物だったらどうかな?」

 

「・・・馬鹿馬鹿しい。お前が口に・・・するのは・・・私を揺さぶる為の・・・噓だ」

 

「そこに居る彼女は・・・董卓が自分の歴史に逆らう為に光の龍の力を宿されてしまった・・・貂蝉さんだよ。今、董卓が必死になって探している人物」

 

「・・・コイツが・・・?」

 

「・・・やっぱりそうだったんだな!アタシはずっと騙されていたのか・・・奉先を救う為にと董卓の口車にまんまとハメられてたってわけか・・・」

 

 

 

貂蝉にはまだ秘密にしていた事だ。

ショックのあまりに頭を抱えていたが、オレはそのまま話を続ける。

 

 

 

「董卓は・・・悪そのものだ。この先君が使い捨てられてしまう可能性もない訳じゃない・・・そんな奴の下に居るよりもオレの作戦に協力してくれないか?」

 

「あの場で・・・話していた・・・事か?」

 

「そうだ!今は出来る限り人数も必要になるんだ!だから君の力を・・・「断る」・・・えっ?」

 

 

 

首を横に振る胡軫だが、表情はまだ迷っている様子だ。

 

 

 

「すぐに・・・決める事は・・・出来ない。私は・・・私の目で・・・確かめてから・・・決める。その時まで・・・猶予を・・・くれないか?」

 

「急な申し出だからこうなる事も予想はしていたんだ。何かあったらこの連絡先に連絡してくれ!くれぐれも董卓にはこの事は内緒にしていてくれよ」

 

「・・・無理矢理従わせた方がいいんじゃないのか?」

 

「そんな事したら董卓より酷い奴認定されんだろうがっ!まだ少し猶予はあるんだから胡軫さんにとって満足した状態で引き入れたいんだ」

 

「そんなに甘いといざって時に寝首を刈られるぞ」

 

「いいんだよ!いざって時には貂蝉さんが護ってくれるんでしょ?」

 

「・・・うぅっ!?あ、あったりまえだろっ!!」

 

「・・・・・ばいばい」

 

 

 

胡軫が影の中に消えて行ったのを見送るとオレは大きな溜め息と同時に大の字に寝転がった。

 

 

 

「いつか・・・オレ、胃に穴開くかもしれん」

 

「そんときゃアタシが面倒見てやるよっ!!」

 

「・・・そりゃあ幸福ですよ・・・オレ」

 

「今日はもう・・・休んでな」

 

 

 

貂蝉はニィッと笑顔でオレに膝枕をしてくれた。

そっと頭を撫でられるとオレはどっと疲れが出たように意識を手放していた。

新たな始まりのような1日が終わりを告げた。

しかし、この時から・・・この世界の歯車が新たな動きを示した事にオレですら気付かずにいたのであった。

 

 

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