一騎当千 VtuberReincarnation 作:宣伝部長
「いきなり呼び出してしまって申し訳ありません!」
「いいよ、いいよ~♪オレだって南陽の闘士な訳だから大闘士大会に参加するのは当たり前じゃない」
「そう言ってもらえると助かります・・・伯符には声を掛けたんですが、この前の一件以来塞ぎ込んでしまっていて・・・・・」
「まぁ、孫策さんにも事情はあるでしょうからオレ達だけで頑張りましょう」
周瑜とオレは多摩川へと向かっていた。
早朝のメールにより、場所と対戦カードが発表されたのだ。
本当は許昌学院に早朝から行く予定があったのだが、この世界が変わりつつあるので念の為に参加する事にした。
確か会場には夏候惇と郭嘉が偵察がてら見に来ているはずだから終わってから一緒に許昌学院に行けば証人にもなるから大丈夫だろう。
「2人共!こっちデース!!」
「すいません!出て来るのに手間取ってしまって・・・・・」
「大丈夫だ。それよりも・・・周瑜の横に居るのはもしかして・・・甘寧なのか?」
「おいおい、しばらく会ってねぇからってオレの事忘れたのか?」
「いや、オレの覚えではアイツは男だった・・・・・はず」
「がっくん!!この子は甘寧ちゃんデス!!疑うのはダメデスよ!!」
「お、おう・・・すまなかったな、甘寧」
「別に気にしてねぇから構わねぇよ」
内心ヒヤヒヤしていたのだが、黄蓋のナイスサポートのおかげで乗り切れる事が出来た。
黄蓋の言葉通りなら彼女は本物の甘寧は知らないようだからこのまま甘寧として成り済ます事が出来そうだ。
しかし、あの呂蒙を騙せるかはわからないが、その時はその時に考えよう。
4人は多摩川に辿り着いた。
初戦の相手は・・・予州学院。
普通なら相手は高覧を先鋒に他は撤収するのだが・・・はてさて。
「順番は決まってるの?がくちゃ~ん」
「むっ・・・そう言えば決めていなかったな」
「あっそ、それならオレが先鋒を務めるよ」
「相手は全員が僕達よりも上のランク・・・それに甘寧さんは勾玉が無いと聞いています。勝ち残り方式ですから危ないと思ったらギブアップも視野に入れて・・・・・」
「あぁ~大丈夫、大丈夫!オレらには黄蓋さんが控えてるんだから・・・ねっ?」
「まっかせといて・・・デス!!」
そう言ってオレは大勢のギャラリーが見守る中準備運動を始める。
しかし、相手陣営に目をやると何やら主審を務める荊州学園の蒯越と話し合っているようだ。
そして・・・オレの前に姿を見せたのは、文醜。
予州学院の中では確か・・・一番ランクが低い闘士だったはず。
しかし、2年前に開催された大闘士大会では南陽学院の程普を失明させた張本人だ。
この対戦カードに観客として観に来ていた郭嘉は眉をひそめる。
「嫌な相手が出て来たな・・・」
「んっ?何かあんのか?」
「あぁ・・・南陽学院は2年前の大闘士大会で第4試合で荊州学園と当たっているんだ。その時に南陽学院の闘士を追い詰めたのがあの闘士・・・文醜だ」
「じゃあ・・・フード野郎が負けちまうんじゃねぇか!?」
「いや、こればっかりは闘ってみないと解らないかもしれないな・・・・・」
オレと文醜が対峙する最中・・・オレは両手をズボンのポケットに入れて身構える。
文醜が腕を振り上げる・・・次の瞬間・・・パパンッ!!と乾いた音が響いた。
すると文醜は体勢を崩して片膝を付き、オレは自然と右手を振っていた。
「おいおい、何があったんだよ!?」
「今のは・・・俺にも見えなかった」
「・・・・・居合拳だな」
夏候惇と郭嘉の隣で一緒に観戦していた関羽がとあるワードを口にした。
「おそらく・・・ポケットを刀の鞘変わりにして目にも止まらぬ速さでパンチを繰り出したと言ったとこだろう」
「さすがは・・・関羽 雲長・・・あの拳が見えていたのですか」
「あぁ・・・私が見えたのは・・・・・一発だけだがな」
関羽の言葉に文醜の姿を確認してみると胸には横一列に拳の型が3つ出来ていた。
つまり・・・目にも止まらぬ速さで3発も打ち込んだと言うのだ。
その事実に観戦していた3人は冷や汗をうっすらと垂らしていた。
しかし、打ち込んだ本人の拳にもダメージはあった模様である。
「(ぎにゃぁぁぁっ!?なんちゅう筋肉しとんねん!!大型タイヤを思いっきり殴った時みたいな反動が右手に残ってる・・・しかし、漫画で覚えた居合拳・・・この技は最強なり!!)」
まだ痺れの残る右手を振っていたが、今の居合拳を受けても文醜はゆっくりと立ち上がったのだ。
「ひぇ~・・・あの程度なら呼吸を一瞬止められたぐらいか・・・確実に倒すならもっと打ち込まないといけないって訳ね。それで、貴方はまだ続けますか?それとも降参しますか?」
「・・・・・っ!!!!」
「・・・ちっ!?・・・危ねぇだろうがっ!!」
ノーモーションからの右ストレート。
普通なら当たっていたかもしれないが、オレは攻撃が来ると身構えていたのだ。
右頬に右ストレートが擦れるがお構いなくその突き出された力を上手く利用して文醜を放り投げたのだ。
まさか・・・女性が巨体を軽々と放り投げられるなんて信じられるだろうか?一番信じられないのは・・・放り投げられている文醜だと思う。
まぁ・・・合気道を嗜んでおれば簡単に出来るはずである。
地面に大の字になって放心状態の文醜。
すぐさま起き上がって反撃・・・と思った矢先、倒れている文醜の顔前には拳が突き立てられていた。
「返答次第では本気で打ち抜く・・・オレは真剣(マジ)だぜ?」
「・・・・・参った」
「勝者、南陽学院・・・・・甘寧っ!!」
先ずは初戦を無傷?ながらも勝利。
「甘寧さんの闘いをこうやって観るのは初めてでしたが、かなりの実力者じゃないですか!?」
「ふ~ん・・・あの戦闘スタイルはあまり見ない代物だな・・・この会わなかった間に急成長したのか」
「あの強さ・・・感服致しますデス!!」
南陽学院陣営はオレの強さに驚いている様子。
「あんな巨体が軽々と投げられるって・・・アイツ、ゴリラか!?もしかして・・・ゴリラなのか!?!?」
「落ち着け、惇。彼女はれっきとした女性だ。失礼極まりないぞ」
「そ、そうだったな・・・・・」
「・・・合気道か、見事なモノだ。あの精度と技量・・・相当の実力者とみた」
観戦しているギャラリーもさっきの闘いに興奮冷めやらぬ雰囲気であった。
そんな中・・・次の闘いが始まる前にほどけそうになっていた靴ひもを直そうと前屈みになって下を向いていた。
しかし、その行動が悲劇を起こす引き金となってしまった。
「甘寧さんっ!!避けてっ!!!!」
「・・・・・えっ」
周瑜の声に反応した瞬間だった。
オレは顔面を思いっきり蹴り上げられてバク宙するように一回転すると顔面から地面に着地してしまった。
こんな卑怯な真似をして来たのは・・・次の対戦相手の顔良であった。
「油断大敵だぜ」
「まだ開始の合図はなかったぞっ!顔良っ!!」
「・・・ハッ、オレとコイツがこの場に居た時点からもう始まってんだよっ!」
「なんて卑怯な人なんだ・・・だ、誰か救急車をお願いします!!」
まさかの展開に辺りは騒然とする。
しかし、オレは冷静に両手足に力を入れて力が入るのを確認すると地面に両手を付く。
その瞬間、周りのギャラリーから驚きの声が漏れる。
「おいおい、あんな一撃をモロに食らっててアイツ起き上がれんのかよっ!?」
「ふぅ~・・・あの子がどうしてあそこまでして立ち上がれるのか・・・孟徳が惚れる理由はコレ・・・・・なのか?」
上体を起こして四つん這いになり、ゆらりと立ち上がる。
いつも装着しているマスクを投げ捨てると大量の血を吸っていたのかぴちゃっと音を立てる。
鼻、口端からは血が流れ出ているが、目は殺気に満ち溢れていた。
「昔・・・バイクに跳ねられた時を思い出した・・・・・あの時も今みたいに世界が・・・・・ぐにゃぐにゃしてやがったなぁ~・・・・・」
「コイツ・・・っ!?何をぶつくさ言ってやがる!!」
「なぁ~に・・・オレの他愛ない・・・昔話だ」
「へへっ・・・ならもう一度夢の世界に連れて行ってやるよっ!!」
「・・・・・その言葉・・・そっくり返してやる」
「・・・・・いぃっ!?」
相手の踏み込んで来た足を思いっきり踏み抜く。
顔良はあまりの痛さに動きを止めてしまう。
しかし、それは悪手・・・目の前に居た女性が歯が見える程に力を溜め込んでいたからなのだ。
「五連!!正中拳っ!!!!」
人中、顎、喉仏、水月・・・正中線に沿って拳を突き刺す。
そして・・・とどめとばかりに全力の一撃で金的を射抜いた。
踏み抜いた足を離すと顔良は何も発せないまま白目を向いて糸の切れた人形のように倒れてしまった。
さっきまでとは逆転した光景に会場全体が静寂に包まれてしまっていた。
「勝った・・・のか?アイツ」
「・・・・・あぁ」
「見事に正中線を突いた必殺技だな」
「・・・・・正中線?」
「はぁ~・・・体にある無数の経絡秘孔のうち、体を正面にその中心に通る経絡秘孔を結ぶ線が正中線だ。要約すれば・・・急所を結ぶ中央線に沿ってアイツは拳を撃ち抜いた・・・そう言う訳だ」
「・・・って事は、やべぇって事だな!!」
「お、おう・・・そう言う事だ」
「楽就さんっ!!」
「ふぅ~・・・アイツには驚かされてばかりだな。それよりも救急車を呼んで来い!」
「は、はいっ!!」
「アレが・・・甘寧ちゃんの本気・・・デスか」
周りがざわめくが予州学院は3人選出していた様子であった。
膝に手を付いてギリギリ立っていたオレだが、目の前に現れたのは・・・高覧の姿であった。
しかし、自分の前に闘った仲間の姿に怯えているのかオレを見る目から恐怖しているのを感じ取った。
そんな彼女にふらりふらりと近付くと高覧は震えながらも身構えていた。
オレは両手を広げて無防備にも高覧に抱きつく。
まさかの展開に全員は口をあんぐりとさせていた。
「わ、私に何をするつもりなの?」
「・・・オレは女の子に優しいから降参してくれるなら何もしないよ~」
「ほ、本当に・・・貴女を信じていいんでしょうね」
「それは君次第だよ・・・。信じれないのならやり合うしか選択肢はないね~」
「・・・・・っ!?な、なんでもするから許して!!」
「・・・それならオレと友達になってくれない?」
「・・・・・へぇっ?」
「・・・・・ダメなの?」
「そ、それでいいなら・・・私は別に・・・構わないけど・・・・・」
「あっ・・・それと・・・・・」
「ほ、他にまだ何かあるの!?」
「キスも・・・しちゃうね♪」
2人だけでひそひそ話をしていたがオレは最後にニヤリと笑う。
するとオレはいきなり高覧の唇を奪った。
まさかの出来事に会場は何故か歓喜の叫びが鳴りやまなかった。
「大勢の前で接吻とは・・・大した器の持ち主だな・・・アイツ」
「いきなりキッスとか2人の間で何があったんだよっ!?!?」
「むっ・・・あ、頭でも可笑しくなったのか!?甘寧の奴!!」
「な、何かしらの策なんでしょうか?」
「あんな破廉恥な策あってたまるかデス!!」
オレは周りの声など気にせずこの瞬間を楽しんでいた。
「ふぁっ・・・んぅ!」
「んっ・・・んぅ・・・んぅぅ・・・ぢゅ・・・ちゅっ」
「んっ・・・んんんっ・・・!」
いきなりのキスに驚いて高覧はオレを引き離そうと胸をドンドンっと叩く。
「ちゅ・・・ちゅ・・・くちゅ・・・・・ちゅっ」
「んぅ・・・んくっ・・・・・んんっ」
「ちゅる・・・ぢゅっ・・・・・ぢゅぢゅっ!」
「んぅうう・・・・・!?んっ・・・んんぅぅううう!!」
最初は甘いキスだった・・・しかし、舌がいやらしく咥内で絡みつく。
吸い付く音、交わる唾液の音、その音すべてを高覧の体中に響かせる為にオレは彼女の両耳を塞いだ。
すると時間が経つにつれて反抗的だった手はだらんと力が抜けた様に落ちて、彼女のキリッとした目は恍惚とした表情になっていた。
その愛のこもったキスの死闘は約5分間も行なわれていた。
オレは力が抜けた高覧をお姫様抱っこすれば、お持ち帰りしようとしていた。
そんな光景にいつの間にか勝負が決していた事に気付いたのか蒯越は南陽学院に勝利の言葉を送ったのであった。
「病院には行かなくていいのか?」
「軽い脳震盪に口の中が切れた程度だから問題ないだろう・・・死にはしねぇよ」
「まぁ・・・当の本人がその口で言っているんだから信用するがヤバくなったらすぐに言ってくれ」
「その時はよろしくお願いします、郭嘉さん」
オレはあの予選後そのまま許昌学院へと向かった。
南陽学院のメンバーには病院に行くと言い渡して抜け出して来た。
観戦に来ていた2人の案内の元でオレは曹操に会う手筈になっている。
しかし、思いがけない人物も一緒に付いて来たのである。
「・・・本当に大丈夫なのか?甘寧」
「もう・・・そんなに心配しなくて大丈夫だよ、高覧」
左腕に絡みつくようにして歩いているのは・・・高覧であった。
本当は連絡先だけを交換してまた今度・・・って考えていたのだが彼女はオレを好きになったのか、くっ付いて来てしまった。
「一応言っておくが・・・孟徳と会うのは甘寧だけの約束だ。その間アンタには・・・・・」
「理解してる・・・そこまで常識が無い女ではないもの甘寧の邪魔はしないつもりだ」
「それよりも夏候惇さんは何処に行かれたんですか?」
「あぁ・・・孟徳に連絡したんだが繋がらなくて先にめぼしい場所を探してもらっている所だ・・・っと言っていたら惇からだ」
郭嘉は着信が入ると夏候惇とやり取りを始めた。
オレは通話が終わるまで待っていたが、高覧は自分の唇をなぞっていた。
「・・・どうしてあの時・・・私にキスをしたの?」
「それは・・・したかったからだよ」
「・・・あんなに強引で情熱的なキスは初めてだった・・・しかも、同性相手にされちゃうとは・・・・・」
「もしかして・・・本当は嫌だった?」
「いや、その逆・・・こんなに貴女のような女性を求めてしまうのは生まれて初めてだから少し戸惑ってるくらいよ」
「それは・・・光栄だな」
2人はバレないように軽く唇が触れ合うキスを交わす。
そんな2人に気付いていない郭嘉は通話を終えるとまた歩き出す。
「孟徳はこの先の海岸にてお待ちだ。目印は・・・惇が先に着いているからアイツを目印にしてくれ」
「わかった・・・高覧はココで待っててくれ」
「あぁ・・・帰りを待っている」
「郭嘉さん!高覧に手を出したらダメですからねっ!!絶対ですからねっ!!!!」
「そこまで念を押さずともお前のモノには手を出さないと誓うよ。だからはやく孟徳に会いに行け」
オレは高覧に見送られながらこの先に待つ曹操の元へと向かった。
しばらく歩いていると夏候惇が腕を組んで立っており、奥に目をやると大の字になって寝そべる男性を見つける。
「あの寝ているのが曹操 孟徳?」
「おう・・・いっつもあんな感じだけどな」
「・・・・・来たか」
不意に声のした方に視線を向けると胡坐に頬杖をしてこちらを眺める曹操の姿があった。
「お前が噂の・・・・・んっ?おい、惇・・・どうしてコイツは怪我をしている」
「勘違いするな!コイツは大闘士大会の予選の帰りにココに来たんだ!しかも、予州学院相手に3人抜きだぜ!?」
「・・・相手は誰だったんだ?」
「文醜!顔良!高覧!」
「ふっはっはっはっ!!!!」
盛り上がっている2人に蚊帳の外にされているオレは黙っている事にした。
最初の曹操はまだ柔らかい雰囲気だ。
この先の事を知っているからこそ目の前の曹操に少しビビっている。
「なぁ・・・甘寧」
「・・・・・っ!?」
「オレの側に来る気はないか?」
「・・・・・ありません」
「・・・そうか」
まだ名乗っていなかったのに名を呼ばれた。
そして、いきなりの勧誘。
トントン拍子に事が進んでいるがオレはちゃんと首を横に振る。
この場の空気が少し重くなったような気持ちになる。
すると曹操は立ち上がってオレと顔がぶつかり合う距離まで顔を近付けて来た。
「良い目だ・・・オレに話があるんだろう?聞いてやる」
「魔王董卓を討つ為に力を貸して欲しい」
「それは・・・本気で言ってるのか・・・?あの男・・・董卓の実力を知った上でそれを口にするのか?」
「あぁ・・・オレには変えたい未来があるんだ」
「・・・その為にお前1人がこの許昌学院まで単身でこのオレに会いに来たと・・・そう言う訳か?」
「その通り」
曹操はオレの話を聞いた途端に踵を返すと海の方に歩き出す。
そして・・・曹操は仰向けに倒れるように海に落ちた。
オレと夏候惇は慌てて駆けつけるが海に浮かぶように大の字になっている曹操の顔は笑っていた。
「今・・・この瞬間まで・・・お前のような存在が現れるのを待っていたかいがあった!!」
「それではオレの話に力を貸してくれるんですか?」
「あぁ・・・機会を窺っていままで沈黙を守っていたが奴にはそろそろこの舞台から降りてもらおうとするか・・・」
「良かった・・・・・これでオレの策の準備は整った」
「・・・甘寧、いつ動く?」
バッと水飛沫と一緒に飛び出して来た曹操はオレの前にて問い掛ける。
「董卓の動き次第かと・・・今は洛陽高校の内通者からの連絡待ちです」
「ほぅ・・・それで、内通者の名は・・・?」
「呂布 奉先」
「お前・・・あの呂布を仲間に引き入れたのか?」
「オレは彼女の為にこの闘いを・・・董卓の運命を終わらせに来た!!」
オレの言葉に笑われると思ったのだが、曹操は何も言わずにオレの肩に手を置いた。
「誰かの為に全力で闘うお前の姿が気に入った」
「・・・曹操さん」
「ふっ・・・お前とは早く逢っていれば・・・いや、それでもお前の心は動かないか」
「・・・申し訳ありません」
「決行が決まれば郭嘉に一報を寄越してくれ。そしたら・・・オレ達は動く!」
「・・・かしこまりました!!」
オレは綺麗な一礼を済ませると足早にその場を後にした。
「・・・・・惇」
「んっ?どうした?」
「歴史が・・・動くぞ」
「焔の言っていた通りになったか・・・」
「まさか・・・個人トーナメントの件ですか?」
「えぇ・・・本当に彼女が言っていた通りに変わっていく・・・それにこの件にはあの賈詡が関わっている様子だったけどね」
「知の懐刀と呼ばれている賈詡ですからこの変更にも何か策あっての事でしょう」
洛陽高校で何やら動きがあったのか呂布と陳宮は貂蝉が捕らえられていた祠で秘密の会合をしていた。
現在ではもうあまり人も近寄らなくなった場所らしく2人はよくココに集まって会合するようにしていた。
2人にはこれから起きる出来事をちゃんと裏で伝えておいたのですべてを把握している。
「・・・となれば、焔に報告しないといけないわね」
「あっ!そうでした!焔さんには私が今から報告致します!!」
「えぇ・・・任せるわ。私はコイツの相手をしないといけないみたいだから・・・」
「・・・・・コイツ?はっ!?胡軫!!」
2人の前に闇の中からすっと姿を現した胡軫。
いきなりの登場に身構えるが、胡軫の様子が少しおかしい様に見えた。
「今の・・・話は・・・本当か?」
「私が噓をこの子に教えるとも?そんなの絶対にしないは・・・正真正銘の話よ」
「・・・・・聞いてない」
「武の懐刀として董卓に信頼もされているあんたがこの大事な内容を知らないわけないでしょう?」
「・・・・・・・・・・」
「・・・えっ、マジ?」
胡軫はただ俯いて奥歯を嚙みしめる事しか出来ずにいた。
「・・・やはり・・・私は・・・董卓様に・・・捨てられてしまう・・・のか」
「やはり・・・と言いますと?」
「お前らが・・・慕う・・・あの女に・・・言われた」
「ふ~ん・・・焔が言うんならあながち間違いじゃないのかもしれないわ。私だって今回の件で物申したんだけど、董卓には見向きもされなかった。もう・・・董卓の目に私達は映ってないのかもしれないわね」
「そんな・・・私は・・・ご主人様の・・・為に・・・生きて来たのに・・・どうしたら・・・いいんだ」
本気で落ち込む胡軫に対して2人は顔を見合わせる。
「それなら私達と一緒に裏切ればいいじゃない。焔だって貴女を救いたいから声を掛けてくれたんじゃないの?」
「・・・あぁ・・・あの女は・・・私を・・・必要と・・・してくれた」
「あの方は私達を救う為に1人で董卓に挑もうとされています!しかし、あの方だけではまだ勝てる見込みがない・・・ですから今は1人でも多くの同志が必要なんです!胡軫さん・・・貴女の力を我々に貸しては頂けませんか?」
「・・・・・わ、私は・・・・・」
「うちの事差し置いてなんや面白い話してますなぁ~?」
「はぁ・・・また面倒な奴が増えた」
いきなり3人の前にやって来たのは・・・高順であった。
高順の登場で先程までの重い雰囲気はなくなったが、面倒臭い空気が流れる。
「もぅ~そんな事言わんでぇなぁ~呂布っち♪」
「高順さん!今は大事な話の途中なんです!貴女の出る幕では・・・・・」
「うちは呂布っちに用があるんや。アンタみたいなへっぽこ泣き虫闘士はお呼びやないねん」
「高順・・・貴女は私達の邪魔をしに来たの?それなら・・・・・」
「いや~ん♪怒らんといてぇなぁ~・・・うちはいつでも呂布っちの味方やんかぁ~♪どこまででも付いていっちゃるでぇ~♪」
「・・・コイツだけは・・・何を考えているか・・・わからない」
「・・・同感です」
呂布の右腕にしがみついてぶりっ子している高順。
そんな姿に陳宮と胡軫は少し呆れていた。
「・・・高順さん、貴女は董卓に未練はないんですか?」
「うちは董卓に興味なんてありゃしません。ただ頭首があの人やったってだけやから付き従っとったってだけや。うちは小さい頃から呂布っち一筋やさかい!!」
「ほんっとうに昔からアンタは変わらないわね」
「当ったり前やないか!うちは呂布っちの為なら火の中、水の中、どんな場所やっても付いて行くつもりなんやぁ~♪だからうちも手を貸したる!!」
「・・・胡軫さんはどうなさいますか?」
「・・・・・私も・・・・・お前達と・・・・・共に闘う!」
2人の新たな仲間が増えた事に喜ぶ。
しかし、それでもまだ洛陽高校には数多くの闘士が控えている。
陳宮は色々な情報を胸に焔へと連絡をしたのであった。