神聖戦姫ヴァルキュリア・ガーネット 作: 霜月ナル(元Hpinch_like)
変身ヒロインエロゲといえば、オーク!
強い繁殖力によって数を増やし、パワーと物量で押す感じのイメージです。
あと巨根。
市民会館から神楽月学園へ向かうサクラ。
東側の基点を破壊した影響か、あれだけいたゴブリンも数を減らしており先ほどよりもスムーズに進む事が出来た。
しかし……
「――うん?雰囲気が変わった?」
南側のエリアに足を踏み入れた瞬間、雰囲気が変化した。
基点の影響を強く感じたのだ。
立ち止まったサクラは気配を感じて物陰に隠れる。
「あれがオークですか……」
緑色の肌で筋肉ががっしりと付いた体型をしており、サクラ二人分ぐらいの身長がある。
東側エリアとは違い、このエリアではオークの軍勢が支配していると聞いていたが、3mほどのオークが何体もゾロゾロと街を歩いているのを見るとゴブリンよりも現実感が薄れる。
シャルロッテによればオークは知能がゴブリンよりも高くないものの、その高い身体能力と数は侮れないという。
周辺の建物はオークがその力で暴れ回った結果、いつ崩れてもおかしくいないほどに半壊していた。
安全のために倒す事も大事だが、学園まではまだ距離がある。
「――戦っても体力と魔力を消耗するだけですし、無用な戦闘は避けますか」
サクラはそう考えると車などの陰に隠れながら移動を始めた。
少々音を立ててもオークは姿が見えなければ聞き間違いだと思うようで、スニーキングは難しくなかったが・・・・・・
ヒューっと風が吹き抜け、塵がサクラの鼻をくすぐる。
鼻がムズムズとし、くしゃみが出そうになる。
慌てて我慢しようとするサクラだったが、時既に遅く。
「――ハァックシュン!……あ」
オーク達の視線がサクラの隠れている車に向けられる。
さらにタイミングの悪いことにそのさらに後ろの建物が崩れ、ガラガラと瓦礫が落ちてくる。
「あわわわわわぁー!?」
思わず叫びながら車の陰から飛び出すサクラ。
間一髪瓦礫の下敷きになることは無く、一安心する。
が、そんなサクラを覆うような影が近づく。
それ気がついたサクラが慌てて振り向いた。
「――あ、ははは……」
「ぐぉ?」
サクラとオークの目が合い、気まずい空気が流れる。
ころころと崩れた瓦礫の石ころの転がる音がよく聞こえるほどの静寂。
サクラは苦笑いしながら、頭を掻く。
「えーと・・・・・・こんばんわぁ。いい天気ですねぇ?」
「――グォォォォォ!」
「ですよねー!なんか今日は運が悪い日なんですかぁ!?」
無駄な誤魔化しをするも、当然のように戦闘態勢に移行するオーク達。
筋肉がパンプアップし凶暴さを増す。
サクラも大剣を構え、魔力を隆起させる。
一番近いオークが素早くサクラに殴りかかる。
その攻撃をスウェイして避けながら、剣を振りオークを斬りつける。
一瞬オークは怯むが、すぐに立ち直り反撃。
「ふっ!」
「ぐが!?」
サクラは素早くジャンプし躱しながらオークの頭を踏みつけ、さらにジャンプする。
一旦オーク達から距離を離し、囲まれない位置に移動。
そして着地と同時に魔力炎弾をオークの顔に直撃させる。
「グガァァァァ!?」
頭が燃えあがり、苦しむオーク。
(髪の毛が無いから思ったより燃え上がらないですね)
ちょっと変なことを考えてしまったサクラだが、燃えているオークを退けて迫る別個体を迎撃する。
手に持つ棍棒を振り下ろし、サクラを潰そうとするオークの利き手を先ほどの攻撃よりも力強く、魔力も込め斬る。
スパンと綺麗な切断面を残し、オークの腕が吹き飛ぶ。
斬られたオークはわけがわからずに斬られた腕の切断面を見つめる。
切断面は焼かれており血は噴き出なかったが、とてつもない激痛が遅れて襲う。
「――オォォォォ!?」
腕を押さえて暴れるオーク。
それを紅く光る冷たい目で見つめながら、サクラは大剣を振りかぶる。
バターを斬るようにオークの首があっさりと斬り落とされる。
そして次のオークを睨み付ける。
「グ、グゥゥゥ――」
あまりの迫力に気圧されるオーク達。
知能が低くとも、力の差は本能で感じ取ることが出来る。
思わず後ずさってしまうも、すぐに立ち直り突撃するオーク達。
しかし、無計画な突撃ではサクラに勝てるはずも無く。
あっという間に蹴散らされていく。
「――ふぅ、なんとか退けましたか」
付近のオークを倒し、一息つくサクラ。
オークはゴブリンよりも固く力も強いため、少々体力や魔力を多く使った。
休めば回復するとはいえ、そこまで時間をかけることは出来ない。
連戦を続ければ、サクラの体力では持たないだろう。
遠回りにはなるが狭い裏通りを通っていった方が無難か、と考えていたサクラにアヤメからの通信が入る。
『不思議に思ってたんだけど、馬鹿正直に道を歩かなくても屋根上とか使った方が安全で早いんじゃない?』
「――あ」
まだまだ常識に囚われていた。
今は屋根上を走ったり飛んだりしても咎める者はいない。
先ほどのように崩れ落ちそうな建物には注意が必要だし、森林公園のように結界が張られている場合もあるが、移動を安全に速くするためには有効な手段だろう。
今の身体能力ならある程度の高さまでは登れそうだ。
「全然思いつきませんでした……なんというか、今までの常識が邪魔をしていたというか」
『まぁ、普通は考えないし無理だから。今は非常事態だし、屋上とかの不法侵入も大目に見てくれる……と思う』
「なんか不安を感じる言い方ですけど」
『(一応私は公的機関所属なんだが……まぁ、いいか)』
ヒオウの溜め息が聞こえたような気もしたがスルーして、サクラは近くにあった損傷の少ない三階建てビル近くへ移動。
上を見上げるとそこそこの高さがあり、普通なら飛び乗るなど無理に思える。
しかし、覚醒したサクラの身体能力と魔力があればそれが可能になる。
「えーと、こうやればいいんでしょうか?」
少し屈んで魔力を足下に集中する。
すると、魔力で足下が紅く輝き始める。
「――ふっ!」
ある程度力が溜まったところで、一気にジャンプ。
するとあっさり三階建てビルの屋上へたどり着いてしまった。
出来ると確信はあったものの、常識外な自分の能力に驚くサクラ。
「えっと、これはもう本当に人間を辞めてしまった気がします……」
苦笑いを浮かべながら、とりあえず周りを確認する。
いくつか崩壊して飛び乗れないビルがあるものの、神楽月学園へ向かうには支障が無さそうだ。
ぴょんぴょんとビルを跳び移りながら、最短ルートで進むサクラ。
途中で飛び移れるビルが無くなり地上へ降りたため何度かオークと遭遇したが、幸いにも数は多くなく体力と魔力の消耗は大きくなかった。
(あとは……この路地を抜けて広場に出れば――)
狭い路地を抜け、大きな広場に出る。
神楽月学園はほぼ目の前で、この広場を抜ければ到着だ。
ぱっと見た感じオークもおらず、素通りできそうだった。
「ふぅ、何とか学園に辿り着けそうですね――はっ!?」
広場を駆け抜けようとしたサクラを大きな影が覆う。
それに気がついたサクラは素早くその場からジャンプし、大きく距離を取る。
直後、サクラが居たところに通常のオークより一回り大きな個体が地面を抉って着地してきた。
「――グガァァァァ!!」
「もう少しで着くっていう、こんな時に……!」
歯ぎしりするサクラ。
その視線の先には、オークリーダーがいた。
オークリーダーは普通のオークとは比べ物にならないほどの威圧感を放っていた。
さらに咆吼で集まってきたのか部下のオーク達がどんどん集まってくる。
あっという間にサクラの周りを囲み、退路も塞がれる。
無理矢理学園へ向かってもこいつらを引き連れる結果になってしまうだろう。
(ここでやるしかないですね――!)
覚悟を決め、大剣を構えるサクラ。
そんなサクラを見てオークリーダーはニヤリと笑みを浮かべる。
まるで獲物を見つけた捕食者のような表情。
もう一度、大きく咆吼するとオーク達が一斉にサクラへ襲いかかる。
サクラは大きくジャンプし、オーク達の攻撃を避けると着弾時に爆発する魔力炎弾を放ち、まとまった数のオークを吹き飛ばす。
「――グギィ!?」
「――ッ!?」
「やぁぁぁぁ!」
そのままの勢いで突っ立っているオークを真っ二つにし、流れるように隣のオークを腰から上下に両断。
そしてオークリーダーの方を見ると、すでにこちらに向かって走っており棍棒を振り上げていた。
サクラは即座に大剣を構えて受け止める。
オークリーダーの強烈な攻撃で吹き飛ばされるサクラ。
ガードしていたためダメージは少なかったが、それでもかなり重く身体に衝撃が走っていた。
「――ぐぅ、やはり力が強い!」
追撃を加えようと向かってくるオーク達。
それをサクラは迎え撃つ。
数が多いため、できる限り一撃で倒せるように力を込めて斬るが、このペースで戦っていてはサクラの体力が尽きる方が速い。
一体の強さは特別高くないが、力が強く防御しても衝撃で腕が痺れる。
それに倒しても新しいオークの増援が現れる。
周辺にいた殆どのオークがこの広場に集まってきているようだった。
「くっ、きりが無いです……」
魔力や体力はまだ余裕があるが、集中力と精神がすり減っていく。
ただのオークだけならともかく上位個体のオークリーダーまでいるため、いくらサクラでも全てを捌ききれない。
徐々に追い詰められていくサクラ。
もう目的地まで目の前だというのに、こんなところで負けるわけにはいかない。
そう思いながらオークを倒していくが、流石に体力の限界が近くなってくる。
ポーションを使う暇も無いほどの波状攻撃。
全ての攻撃を防ぎきれず、少しずつ傷が増えていく。
「このままじゃ……しまっ!?」
蓄積した疲労とダメージで一瞬ふらついてしまう。
その隙を見逃すはずもなく、オークリーダーの攻撃がサクラに迫る。
怪力で振るわれる棍棒を受けてしまえば強化されたサクラでも一溜まりもないだろう。
万事休すかと思われたその時。
「グギャァァ!?」
「――な、なんですか!?」
オークリーダーが電撃を喰らい、サクラへの攻撃が中断される。
さらに、同じように周辺のオークも痺れたように動きを止めている。
困惑するサクラに大声で叫ぶ声が届く。
「今のうちよ!私がサポートするから、一気に殲滅して!!」
声の方を見ると、ケンゴ達と同じ特殊部隊のスーツを来た女性がいた。
手には陰陽師が使うような御札が握られており、そこから強力な雷撃が放たれており周囲のオークを妨害している。
サクラはそのチャンスを逃すことなく、ポーションを一飲みし体力と魔力を回復させてオーク達を倒していく。
「でりゃぁぁぁ!」
後方支援を得たことで先ほどまでより遙かに戦いやすくなった。
焦りが減って、適切なパワーでオークを斬り消耗を減らすことも出来るようになった。
あれだけいたオークも数を減らしていき、残りはオークリーダーのみとなった。
もう少しで勝てるところを邪魔され、怒りで吠えながらサクラへ突進していく。
「グゥアァァァァ!!」
「これで終わりです!!」
渾身の力を込め、魔力で輝く大剣を振るうサクラ。
オークリーダーは胴体を切断され、絶命し消滅した。
「ふぅ、なんとかなりましたね」
オーク達の居なくなった広場で一息つくサクラ。
そこへ先ほど手助けしてくれた女性が近づいてくる。
髪を短く切り揃え、つり目の気が強そうな雰囲気を醸し出している。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「礼なんていらないわ。当たり前の事をしたまでだから。貴女がえーと、ヴァルキュリア・ガーネット?」
「そうです。もしかして副隊長さんですか?」
「ええ、神楽月市の対異界事件対応部隊副隊長の雨宮ユウよ」
「あれ、雨宮って・・・・・・」
「雨宮アカネの姉。アカネとは市民会館であったのよね?」
ユウの説明によると、彼女たち姉妹は退魔組織から警察に組織を通して派遣されている退魔師らしい。
彼女の持つ魔除けや気配遮断の術式でなんとか学園への侵攻を避けていた。
しかし、彼女一人の力だけでは永遠に侵攻を避けるのは無理なため結界装置を要請していたのだ。
「また別のオークが来るかもしれないから、ひとまず学園へ向かいましょう。詳しい話はその後よ」
「そうですね。疲れちゃいましたし、お腹もすきました」
「潤沢ではないけれど食料があるから分けてあげるわ。結界装置を持ってきてくれたお礼よ」
周辺を警戒しながら二人は神楽月学園の敷地に入っていった――
ゲームだったらここら辺でサブクエ解放されて少し自由度が上がるイメージ。
最近のだとゴーストワイヤーとかあんな感じでビル飛び回って、アイテム収集したりサブクエこなすやつです。