ヤドリギの支配者 ~女を堕として拠点も落として愉しい街を作ろう!~ 作:伊井君七味
「フォー、いるか?」
『どうかしましたかマスター?私はいつでもあなたの傍にいますよ』
十和田八重を堕とした翌日、目を覚ました俺は真っ先にフォーを呼ぶ。
「拠点攻略について教えてくれ。もう制圧は完了したのか?」
八重さんとのプレイの後は後片付けやらなんやらでゲームを進められなかったのだ。
今の俺にはやらなきゃいけないことは何もない。思う存分VDに集中することが出来る。
『いいえ、まだ完了していません。マスター御自身の手で制圧を行っていただく必要がございます』
なるほど、それはよかった。
せっかく苦労して攻略したのに知らないところで色々進んでたら勿体ないからな。
「了解だ。それでどの画面から制圧が出来るんだ?」
『【拠点】の画面を開いて十和田マンションを選択してください』
言われた通りに十和田マンションの詳細情報を開く。
見るとマンションの情報が書かれた下に【制圧実行】というボタンが表示されている。
「このボタンを押せばいいのか?」
『はい、そちらを押して頂けますと制圧が完了します』
ふむ、それならと画面をタップする。
すると【この拠点の制圧には30EPが必要です。EPを消費して制圧を完了しますか?】という文章が出てきた。
もちろん問題ないので【はい】を押すと【しばらくお待ちください】という文字と共にローディング画面が表示される。
新しいデータでもダウンロードしているのかと思いそのまま待ってみるものの、数分経っても画面はちっとも変わらない。
「なぁ…なんでこんなに時間がかかってるんだ?」
『色々と準備があるからですよ。はい、ちょうどいま処理が完了いたしました』
彼女が言い終えるのとVDはローディング画面からいつものホーム画面に戻った。
何か変わったところがないかアプリ内を探してみるものの特に見つからない。
「なぁフォー、どこも変わってないように見えるんだけど。制圧後のコンテンツを解放するためにはまだ何かやらなきゃいけないことがあるのか?」
『いいえ、既に準備は完了しています。つかぬことをお聞きしますがマスター、隣の部屋についてはご存じですか?』
隣?
隣は命さんの部屋だろ。そんなことはフォーも知っているはず…
いや、違う。
「角部屋のことか?あそこは空室になっているはずだけど」
命さんの部屋とは反対側にある角部屋。俺が入居してきた当時は誰かが住んでいたような覚えがある。
しかしいつの間にか住人が引っ越してしまい今日にいたるまでずっと空き部屋のままだ。
いつまで経っても新しい入居者が決まらないから、いっそのこと俺が角部屋に移れないか管理人に直訴しようかと思ったものだ。
『はい、あの部屋には今も住人はいません。ですので無断ではありますが私達のものにさせていただきました」
フォーがそう言い終えると玄関の方からカチャンと金属が落下したような音が聞こえた。
『おや?玄関の郵便受けに何かが入っているようですよ。確認をされたらいかがでしょう?』
おいおい、マジかよ…
話の流れからすると入れられたものは一つしか考えられない。
信じられない気持ちで郵便受けを開けると一本の鍵がそこには入っていた。
「タイミングが良すぎるぞ、フォー」
『こういうのは演出が肝要かと思いまして』
暗にクサイ演技だと伝えるもさらりと流された。
手の上にある黒い鍵。
いつも俺が使っている部屋の鍵よりも複雑な形状をしている。
見たことはないが銀行の貸金庫とかで使われるやつもこのぐらい精密な形なのかもしれない。
「プレイヤーの為に一部屋借りるのってお金かけすぎだと思うんだけど、そこら辺どうなってるんだ?」
『現時点ではその情報を開示することが出来ません』
「いつか教えてもらえる日は来るんですかね…」
駄弁りながら部屋を出て隣の角部屋に向かう。
到着した玄関を見ると、つい先日までうちと同じだったはずのドアはハイテク感溢れるメカメカしいものに変わっていた。
鍵穴の周辺にはなにやらゴテゴテとした装置が付いている。
『侵入防止の為の機構です。現状のリソースですとこの程度が限界でした。セキュリティを万全に整えられていないことを心よりお詫び申し上げます』
「いやこれでも十分だろ、どうせ狙ってくる人なんていないし…」
フォーはどんな相手を想定して防犯設備を構築しようとしてるんだ。
半ば呆れながらも鍵を回して扉を開ける。
玄関の中は真っ暗だ。奥にあるリビングに続く扉からは青白い光が漏れだしているのが見える。
『さぁ、お進みくださいマスター。この先にあるものこそがあなたが勝ち取った成果です』
「勝ち取った成果…」
その言葉にぶるりと身体が震える。
弘前命の堕落、十和田八重の陥落。
彼女たちを攻略するために行った全ての行動に対する報酬がこの先にはある。
面白そうだという印象と美女たちを攻略できるという謳い文句にひかれて始めた拠点攻略ゲーム『VD』。
なんとなしに始めたこのゲームも一つのゴールを迎えようとしている。
「上等だ、どれだけ豪華な報酬なのかこの目で見てやろうじゃないか」
何が待ち構えているかわからない闇、その先に俺は一歩踏み込んだ。
「なんだこの部屋は…」
扉の先にあるリビングは俺の部屋のものとは全く様相が異なっていた。
間取り自体は同じだと思う、思うのだが確信が持てない。
何故ならリビングのスペースが正四面体になるように、壁全面を液晶モニターが覆っているからだ。
周囲のモニターは真っ黒で何も映っていない。
しかしよく見ると奥にあるデスク上の液晶だけにはPCのロック画面が表示されている。
『お進みください』
フォーの言葉に導かれた俺はデスクに近づき傍にあった椅子に座る。
画面を見ると【端末を認証台に置いてください】と表示されていた。
「認証台?」
『モニターの横にある台のことです』
言われた通りにモニター付近を探すと確かに台形の置き場のようなものがあった。
ICカードをタッチする機械みたいだ、なんて思いながらスマホをそこに置く。
するとスマホ上でVDが勝手に立ち上がり、モニターに新たな文章が表示された。
【プレイヤー認証完了。ようこそ、拠点制圧者 宿見烙様】
どうやらアプリ内の情報から自動でユーザーを認証してくれたらしい。
PCのロックが外れてデスクトップが表示される。
さて何を操作すれば良いのやらと迷う隙を与えず、PC側でもVDらしきアプリが立ち上がった。
しかし開いたウィンドウに表示されている項目はスマホ版とは少し違っている。
『キャラクター』『エリアスキル』『拠点改造』
他にもいろいろと違う部分はあるが大きく違うのはこの三つだ。
『こちらは拠点管理用の端末になります。制圧後の拠点にはプレイヤー専用の拠点管理空間【マスタールーム】が必ず用意され、内部にある端末から拠点の改造などを行うことができます』
いつものようにスマホからではなくPCに繋がっているスピーカーからフォーの声が聞こえた。
後からされた補足によるとVDがインストールされた端末ならどこにでも現れることが出来るらしい。
「ふーん、ここに来ないと拠点は弄れないんだな。ちょっと不便じゃないか?」
『情報閲覧などの一部機能はスマートフォンからでも行うことができます。しかし改造のように拠点を大きく変更するためには専用の機器が必要となるためこのような仕様になっております。ご了承ください』
どうやらごねても改善はしてくれなさそうだ。
まぁいい。今のところ来る必要があるのは自室の横にあるここだけなのだ。何の苦労もない。
この先、制圧拠点が増えてマスタールームを行き来するのが面倒になったらまた何か提案してみよう。
「そっか、無理を言って悪かった。じゃあここで何が出来るかを教えてくれるか?」
『もちろんです。まずは【キャラクター】ですが、こちらの画面では拠点に所属する全ての人物の詳細情報をご覧になることが出来ます』
さらっと言われたがなかなか凄い機能だ。
マウスを動かしてキャラクター画面を表示させると、確かに五十音順に並んだ住人のリストが表示された。
「ほー、なるほど」
試しに一人クリックしてみる。
すると【ヒロイン】の詳細画面と似た情報が表示された。
なるほど、ヒロインじゃなくてもプロフィールなんかの個人情報が表示されるんだな。
PC版とスマホ版を見比べているとある違いを発見した。
「ん?PC版に表示されてるこの人、まだ攻略してないはずなのに第一陥落の情報が表示されてるな」
『はい。制圧済み拠点に紐づくキャラクターは第一陥落までの情報が開示されます』
「え?全員?」
『はい、全員です』
試しに別の住人の情報を見るとこちらでもプロフィール、身体的情報、性癖について確認することが出来た。
制圧前まではロクな情報がないところから攻略を始める必要があったのに急にめちゃくちゃ情報が開示されるようになったな。
「ここまで情報がわかると攻略がだいぶ楽になるな。ゲームが簡単になりすぎるのをフォーは好まないんじゃなかったのか?」
『確かにVDがプレイヤーに望むのは苦難困難を乗り越えた上での攻略です。しかし様々な壁を越えてクリアした後にはその努力に相応しい報酬があるべきだとも私達は考えています』
『ゆえにVDは制圧後の拠点内でのプレイヤーの行動について一切の関知を致しません。思う存分に楽しんでください』
その言葉に俺の全身を強い雷のような衝撃が走った。
「それはつまり、拠点攻略中には推奨されていない行動をしてもお咎めなしってことか…?」
『はい、そうです」
「ヒロイン攻略の難易度を下げてお手軽に性行為をすることや、攻略済みヒロインを利用して数の力で強姦することは?」
『問題ありません。どのような行為を行われてもゲームのプレイ権限には何の影響も及びません』
なんと。沢山努力して拠点制圧してねと言っていたVDにしては随分とお優しい。
「フォーはどうなんだ?俺が拠点で遊んでいても嫌じゃないのか?」
『私としても攻略済み拠点でご満喫されることについて特に思うところはございません。ただし、お楽しみに夢中になることでゲーム本編の進行が滞った場合はその限りではないのでご注意ください』
なるほど。どれだけ寄り道をしてもいいけどゲームを攻略するという意思は無くすなよ、ということだな。
サブクエに夢中になるあまりメインストーリーを疎かにしがちな俺には耳が痛い台詞だ。
「わかったよ。拠点制圧も怠らないようにする。フォーに嫌われたくないしな」
『そうしていただけると私も安心です』
軽い冗談で少し張り詰めてしまった空気をほぐす。
ハメを外し過ぎちゃいけないとは言え、フォー公認のご褒美タイムだ。
拠点を攻略したらやりたいと妄想していたあんなプレイやこんなプレイを実践していこう。
「次はエリアスキルか。俺が持ってるスキルとはまた別なのか?」
『はい、こちらではマスターが持っているスキルを拠点スキルとしてセットすることが出来ます』
画面を開いてみるとスキルスロットが一枠あった。どうやらここにプレイヤーが持っているスキルをセットすることが出来るようだ。
試しになんかスキルをセットしてみるか。
空のスキルスロットをタップすると俺が持ってるスキルの一覧が表示された。
『
スキル保持者による説得が【親友】による説得と同程度の効力を発揮する。
lv1:下記条件が適用される。
・身体接触をしている間のみ効果が発動する。
・拠点内でない、または攻略済みヒロインが近くにいない場合効力が半減する
『
・対象から能力発動前後【5】秒。合計10秒の意識と記憶を消失させる。
・【『ヒロイン』以外】を発動対象とすることができる。
ふむ、取り合ず『催眠説得』の方を入れてみよう。
スキルを選んでセットするとエリアスキル画面に戻った。
そこには新たな文章が表示されていた。
『エリアスキル』
・『
拠点管理者による説得が【親友】による説得と同程度の効力を発揮する
【十和田マンションに所属するキャラクターのみ】が対象
「スキルの効果が変わったな」
『はい。お持ちのスキルを拠点のエリアスキルに設定すると、拠点用に効果が調整された【領域式】スキルに変更されます』
なるほど、今回の場合で言うと【身体接触をしている間のみ効果が発動する】という効果がなくなったな。
直接触っているときだけ使えるという制限はやりごたえはあったものの、正直だいぶキツかったのでとてもありがたい。
プレイヤーが使いづらいスキルは拠点に移せばより使い勝手が良くなることもある、覚えておこう。
『エリアスキルに設定したスキルはプレイヤーのスキル一覧からはなくなります。拠点外でそのスキルを使うことが出来なくなるためご注意ください』
「あー、拠点内のキャラ全員に効果が通るようになる代わりに拠点以外では使えなくなるわけね」
持ってるスキルを全部拠点に移してしまうと俺はなんのスキルも使えなくなってしまうな。
プレイヤースキルとして使いやすいものは持ったままにしておきたい。
改めて自分が持っているスキルを見る。
『緊急静止』はとっさの時に使えるから俺が持っていたいな。拠点用にしないほうが良さそうだ。
『催眠説得』の方は効果は悪くないが接触制限がキツすぎる。俺が使うよりかは拠点用にして住人全員に効果が通るようにしたほうがいいかもな。
「拠点に設定したスキルってプレイヤーに戻せるのか?」
『はい、拠点管理用端末からいつでもプレイヤースキルに変更することが出来ます。変更にあたってEPを消費することもございません』
「セットしたり戻したりすることは簡単にできるけど、また拠点外で使う為には一度ここに戻る必要があるってことね」
ようするにエリアスキルに設定したスキルを外で使いたくなってもすぐには使えないということだ。
気を付けないといけないが、今のところは十和田マンション外で攻略を進めるつもりはない。
拠点用のほうが使えそうな『催眠説得』は取り合えずエリアスキルにしたままにしておこう。
『スキルについて一つお伝えしたいことがございます。マスター、スマートフォンの方で十和田マンションの詳細情報を開いていただけますか?』
「ん?わかった」
フォーの言う通りに十和田マンションの詳細画面を開く。
すると先程まではなかった【制圧報酬スキル獲得!】のアイコンが表示されていた。
「これは?」
『十和田マンションを制圧したことによる報酬スキルです』
「あれ?さっきアプリ側を調べてた時には表示がなかったと思うんだけど」
『拠点管理用端末にアクセスしたことによって解放されました。お受け取り下さい』
言われるままにタップするとキラキラと輝くエフェクトと共に獲得したスキルの詳細が表示された。
『★
・プレイヤーと接触した人間は下記の効果を受ける
・プレイヤーへの警戒度を大幅に減少
・プレイヤーへの好感度上昇率を増大
・第二陥落ヒロインがプレイヤーの近くにいる場合、効果の倍率が+100%される。
・制圧済み拠点のキャラクターに対しては上記効果を任意の倍率(最大100倍)で適用することが出来る
「は?」
強い。
書かれている内容が使える効果しかない。
相手の警戒度を下げてなおかつ好感度を上げやすくする?
第二陥落したヒロインが近くにいると更にその効果が強くなる?
シンプルに強くないか?
「フォー、今までのスキルと比べるとかなり強いと思うんだが、ゲームバランスとかは大丈夫なのか?」
『拠点制圧の報酬ですから他のスキルと別格なのは当然です』
どこか強気に言い切るフォー。
やはり拠点制圧には強いこだわりがあるようだ。
『拠点制圧の報酬スキルには【★】が付いています。このマークがついたスキルはエリアスキルに設定できないのでご了承下さい』
「了解だ。しかし拠点制圧の報酬スキルって名前が長いな。安直だが【スタースキル】と呼ぶのはどうだ?」
『承知いたしました。今後はスタースキルと呼称を改めてさせていただきます』
長かったエリアスキルの話もこれでひとまず終わりだ。
「最後はお待ちかねの拠点改造だな。どこまで弄れるんだ?」
『マスターが望むならどこまででも。改造ラインナップをご覧ください』
言われるままに拠点改造画面に移動する。
表示された内容を見ると、どうやら期待していた通りに外装などの見た目の部分を変更することが出来るらしい。
「前に言われたけど、改造にはEPを消費するんだな」
『その通りです。改造規模の大小に比例して消費EPも増減するのでお気を付けください』
なるほど、【天井の高さ変更】と【ドアのカラーリング変更】を見比べると確かにカラーリング変更の方が消費EPが少ない。
EPの手持ちが少ない序盤は軽い改造から始めていくのが良さそうだ。
「部屋の壁紙を真っピンクにしてラブホみたいにするのも面白そうだな」
取り合えずどんな改造が出来るのか一通り見てみよう。
ラインナップ一覧をスクロールして上から目を通していく。
壁紙や塗装を塗り替えるといった人力でも出来そうな項目があった。大きな改造じゃないが拠点全体の統一感が気になる俺としてはありがたい。
他にも【温泉作成】や【ヤリ部屋作成】といった大きな設備を作ることもできるようだ。設備系は色々とカスタマイズが出来るようだから是非作ってみたいな。
様々なラインナップをわくわくしながら眺めていると、ある一つの改造項目が目に留まった。
「なぁフォー。【拠点間ワープポイント】なんてものもあるんだけど、これって本当にワープ出来るのか?」
『はい、出来ます。ただし建設するための消費EPがかなり多いため必要になってから作成するのをおすすめしています』
マジでワープできるのか。
前々から催眠だの記憶消去だの現代テクノロジーじゃ難しそうな技術が出てきてたけど、ここにきて更に時代をいくつか飛ばしてきたな。
ワープポイントの他にも【強制発情ライト】や【羞恥心低下ミスト発生器】のようないかにもエロゲに出てきそうな機械もある。
『もし欲しい設備がラインナップにない場合は私にどういったものが欲しいかお伝えください。実現可能なものであれば後日ラインナップに追加させていただきます』
「リクエストも出来るのか、すごいな。なにか欲しいものが思いついたら伝えるよ」
拠点改造の説明を聞き終えて、制圧してから出来るようになったことは一通り理解できた。
ざっくりまとめるとこんなかんじだ。
・キャラクター
拠点に所属する人達のプロフィールが見れる。
本来なら開示されない第一陥落情報まで見れるから攻略がしやすくなった。
・エリアスキル
持ってるスキルを拠点用スキルにセットすることが出来る。
拠点用になることで一部効果が変わることがある。
セットするとプレイヤーは使えなくなるため注意が必要。
・拠点改造
EPを消費して外装・内装の変更や設備の作成が出来る。
エロい特殊効果がある設備もあるからコンセプトを考えてから作った方が良さそう。
俺が想定していたよりも大分やれることが多い、しばらくは十和田マンションを弄ることに専念できそうだ。
「さて、何から手を付けようかな」
拠点制圧後のコンテンツが解放されました。
今後主人公はどのように十和田マンションを変えていくんでしょうね。
皆さんならどう改造していきますか?