「た、きな…」
今日。私は。
「ちさ、と…」
たきなを番にする。
・・・・・・
「ぇ…?今なんてった?たきな」
「ですから、あなたの『番』にしてください」
喫茶リコリコの女子更衣室。
ツインテを解いたたきながそれはそれは真剣な顔で言ってきた。本当に冗談ではないっぽい。
番にして欲しい。
言ってる意味は分かる。
どうすればいいのかも分かる。
でも、それはたきなと『命』を作り出すという事。
身も蓋もない言い方だけれど要はそういう事だ。
言葉にすればするほど、考えれば考えるほど、その事に抵抗が出てくる。『リコリスとして生きている私』が、そうやって誰かと子供を育む。それは許される事だろうか。それよりも、たきなと致すことになってしまう。それはいつか望んだ事で、今までずっと遠ざけていた事で。考えるよりもずっと怖がっていた事で。
「あのねたきな、αの私とたきなとじゃ………っ!」
堪らず口の中に溢れた唾液を隠すように口に手を当てる。別に誰かのフェロモンに当てられた訳でもない。たきなはβだし、そんなものは無い。これは私のαの本能だ。
不思議だと思った。
『今までそんな事は無かった』のに。
なんで今になって急に。
「千束…?」
「っん…ごめん!たきな!その話は後で、先帰るから!お疲れ様!」
「え、ちょっ…千束!?」
口の中の唾液を飲み込んで、そそくさと泥棒のように更衣室から逃げ去る。
「千束…」
危うく更衣室で別な行為が始まる所だったなんて冗談をいってる場合じゃないんだ。私は逃げるようにセーフハウスに帰り、カバンを放ってベッドに潜り込んだ。
違う…違う…逃げてない…私はただ…違う。
右へ左へ言い訳を探して心を練り歩く。
明日が休日で良かった。たきなに会わなくて済む。
できるなら私じゃない人を番にして欲しい。
こんな臆病な私じゃなくて。
『命』を大事に出来なかった私じゃなくて。
・・・・・・
「また…ですか…」
千束が更衣室から出て言ってすぐのこと。私は壁に背をあずけ俯いた。急だっただろうか。また逃げられるより先に先手を打ったつもりだった。まぁ、確かにいきなり番にしろはないと思う。それでも、あの人との繋がりを消したくなかった。せっかく戻ってきた千束との。
「っ!?」
一瞬。視界が歪み、足元がふらつく。心臓が一瞬大きく跳ね上がった。体の血液がすごい速さで回った気がした。体が一瞬熱くなる。熱を帯びた。最近こういう現象が起きる。一体なんだろうか。思い当たる節は無いし、一瞬しか起きない。
「また…」
自分の手を握り、開く。体の違和感が消えた。でも、最近は頻繁に起こるようになった。千束が宮古島から帰ってきてからだ。自分では分からない。こういう時は専門家に頼るのが一番だ。
私はスマホを取り出して山岸先生に電話をかける。
「お疲れ様です。井ノ上です。あの──」
千束にも、謝らないと。
・・・・・・
「ん……」
いつのこまにか寝ていたらしい。目覚めると朝の七時一歩手前。何もせず寝てしまったようだ。帰ってきてそのまま。とりあえず、シャワーだけでも浴びようと体を起こす。
「……」
生ぬるいシャワーが全身を濡らす。
昨日のたきなの一言が頭から離れない。たきなを番に。
確かにそれは思ったことがあった。でも、わざわざ番でなくても良かった。踏み込みすぎてまた迷惑をかけると思ったから。私とたきなに境界線を作って、それより向こうには行かないようにしていた。あくまで『相棒』として、出来れば褒めるし、失敗したら怒って引き戻す。
それぐらいでよかった。でも、番となると違う。
これから先の『人生』を共にしていくパートナーになる事だ。
「あ〜、もう……なんでこんな……」
なんでこんなに、迷う。βはαの番になれない。そう伝えれば終わることなのに。私にはその一言が言えない。
また私を『縛るもの』が増える。
「たきなに謝らないと…」
・・・・・・
「まぁ、体の状態は悪くないね」
「そうですか…」
翌日、私は山岸先生の元へ診察に訪れていた。
念の為と少し細かい検査もしてくれたが、体に異常はないらしい。なら、あの目眩はなんだったのか。私には分からなかった。
「えぇ、体の状態は悪くない。だけどねぇ…」
「?」
山岸先生はカルテを見て難しい顔をする。
「何か、あるんですか?」
山岸先生は私を見る。
「いいかぃ、たきな。もしかすると──」
「え……」
私は山岸先生から出てきた言葉に驚きを隠せなかった。
・・・・・・
「……」
シャワーから出て、髪の毛を乾かして、気分転換に外に出てみたはいいものの。気分転換すらならない。歩く人々の顔。忙しそうなサラリーマン。楽しそうに歩く学生。ラブラブなカップル。皆前を向いている。俯いて歩いている私とは違う。もがいている私とは違う。
またたきなから逃げてしまった。別になんでもない会話をしていたはずなのに。もうたきなからは逃げないって決めてたはずなのに。私にはまだ意思がない。強い意志がない。
「本当は……」
本当は、もっと良い人と出会って欲しいと思っていた。あのまま、病院から逃げたまま見つからなければ、たきなはもっと良い人と出会って、良い『人生』を歩んでいただろう。それなのに、たきなは自分を番にしろと言ってきた。そんな簡単に言われるとは思わなかった。もしそうなれたらと、私も思ってたんだ。
愛されたいとただ私が自分だけ願っていた。
一度だけ、本当に一度だけ、たきなの後ろ髪を引いたことがあった。雪を見に行った時に、一度だけ。
『ちさと?』
あの時の顔が忘れられなかった。だから、私はたきなを忘れようとした。そうすれば、私ももう独りで生きていけると思ったから。それでも、たきなは私を見つけてくれた。もっと遠い人になりたかった。手の届かない。遠い星みたいな人に。
「…」
水族館の水槽に映る自分は酷い顔だった。夢を叶えられなかった人のような。今を上手に『生きれない』人のような。こんな自分を見るのも、たきなに見せるのも嫌だ。いつも通りに笑っている私を見せたい。
でも、それはそう簡単なものでは無い。難しい『生き方』になってしまった。『それが怖くて』私はまた立ち止まる。泳ぐ魚はここが水槽だと知っているのだろうか。
今こんなに苦しい思いをするのなら、
「このまま、死にたかったな…」
ありもしないことを言ってみた。今を『生きてる』私にとっては言ってはいけない台詞。それでも、苦しいのは嫌だ。たきなを『縛り』付けるような番にはなりたくない。私はたきなに自由に『生きて』欲しい。
私は、そう願っている。
「あ……」
私のスマホが鳴る。
かけてきたのはもちろん、たきなだ。
「………」
・・・・・・
「………」
出ない。3コールで一応切る。やっぱり出ない。
探しに行くべきか?でも、今はもう…探しに行く必要なんて。それでも、私は歩を進める。歩きたくなった。体が自然と動いた。千束と行った色んな場所へ。
水族館。
パンケーキ屋。
大型のデパート。
釣り堀。
あの公園へ。
私は千束を求めて、歩き回る。
水族館は魚が綺麗に泳いでいて。
パンケーキ屋は甘くてとてもおいしくて。
釣り堀の人達は相変わらず暇そうで。
大型のデパートではとても楽しそうに皆笑っていて。
でも、どこにも千束は居なくて。
あの公園には、あなたとの思い出があって。
「あ…」
「あ。」
また、ここで景色を見れたらと、思っていて。
・・・・・・
「たきな…」
「千束…」
たまたまだったのか、運命のイタズラだったのか。
それとも、神様の寄こした試練なのか。たきなを見送った公園のベンチで、たきなに出会ってしまった。
お互いを見て立ち止まる。言い出せない顔。二人揃って目を伏せて、同じことを考える。『謝らないと』。
「ねぇっ…!」
「あのっ…」
同時に止まる。
お互いに言いたいことが一緒なのか私達はまた言い留まる。
「た、たきなからでいいよ。言いたいことあるなら聞くし…」
「ぁ…いえ…千束の方からお願いします…私の方が長くなりそうなので…」
片手で片腕を摩るたきなの顔は少し深刻そうだった。
もう何でも良くなってしまって、私はそのまま口を開いてしまった。その深刻そうな顔がもっと歪む事を恐れながら。
「昨日の話…やっぱりたきなとは番になれないよ。たきなはβで私はα。βはαの番になれない。それはこの世界で変わらない事。だから…」
「はい…」
ジワリと、たきなの目尻に涙が浮かぶ。
分かっていたことがこんなに簡単に起きると自分まで泣きそうになってきた。でも、これがこの世界の決まり。
『生きる』上でのルール。相手の心を無下にする。こんなにも辛いことだとは思わなかった。でも、これだけは変わらない。変えられない。それなのに、私もたきなの事を好きになったままだった。
「その事は、分かってるつもりでした…」
たきなが涙を堪えながら話す。
「だから、私も、番じゃなくていいから、あなたのそばに居たかった。もう、居なくならないように。例え、『縛り付けて』でも」
「たきな…」
「あなたが病院から居なくなってから、私は凄い焦りました。連れ去られたんじゃないか。吉松が生きてたんじゃないか。DAが無断で連れ去ったんじゃないかって」
「……」
「もう…私の目の前から消えないでください。あなたのそばに居させてください。番じゃなくてもいい。ただの友達としてでもいいから…お願い…千束…。そうでもしないと私は…『生きる』理由がなくなってしまう…」
私はどうやら、たきなの『人生』を変えてしまったようだ。私の知らなかったたきなの思いは小さな雫となってかわいた地面に濯ぐ。抱き寄せて、たきなを包む。こんなことしても何にもならないのは分かっている。でも、これが今の自分に出来る最大だ。たきなももがいていた。私の腕を掴もうと必死だったんだ。それから逃げていた私は、一体どれだけ悪いことをしていたのだろうか。
「ごめん…ごめんね…たきな」
君と歩いていく道はまだ見えてない。そのためにも私はまだ『生きる』理由を作らないといけない。もっと簡単で、普通な理由。番なんかじゃなくて、もっと……
「────っ!?」
また口の中の唾液が溢れそうになる。
こんな事があっても本能に抗えない自分に嫌気がさす。だがなぜ…?ここにはΩなんて……。
「まさ…か…」
私は唯一ここにいる自分以外の人を見た。
私の胸で泣いている。井ノ上たきな。
「あ…す、すみません!!」
たきなは私を押しのけて離れる。私は、Ωに当てられた時に瞳孔が猫のように閉じることがある。それをたきなに見られてしまった。体が熱い。汗が出てくる。たきなを襲いたい。貪りたい。喰らいたい。口の中の唾液が溢れてくる。飲み込むのがやっとだ。
「ちさと…その…」
「まって。たきな。今、たきなの言おうとしてる事が本当なら、ここじゃダメだよ。場所、変えよう」
一番ダメな提案だ。二人きりなった瞬間なんて分かりきってる。それでも、こんな公衆の面前ではダメだ。とにかく今は二人きりにならないと。
・・・・・・
「……」
「……」
慌てて入ったホテルのエレベーターで、たきなと手を繋いだまま無言の時間。お互いの手汗が酷い。たきなが分かっているのが縋り付くようにくっついてるから、息が荒くなる。私の体に顔を擦り付けてくる。
コイツ…分かっててやってるな。エレベーターの鏡を見ると片目の瞳孔が猫みたいに鋭くなっている。熱を帯びたため息と同時に片目を隠す。だから嫌なんだαは。
こんな簡単に人を食べようとするαにだけはなりたくなかった。
「っ……」
一方のたきなはさっき泣いてた様子とは一変。
顔を赤くして、何かを隠している顔。千束の目の良さからは逃げられないぞたきな。まぁ、もう、大体結果は分かってはいた。
部屋は三階。エレベーターが止まる。
果たして私は自分を抑えられるのだろうか。
・・・・・・
「ちょ…ま…ちさと…んっ!」
部屋に入るなりたきなをベッドへ押し倒して唇を塞ぐ。もう待っていられない。でも、待たなきゃいけない。たきなから本当の事を聞くまで。
「たきな…なんで、Ωのフェロモン出してるの?」
「あの…それは…」
肩で息をしながら、今にも襲い掛かりそうな体の衝動を抑える。
たきなの艶のある唇。
たきなの甘ったるい息。
たきなの体。胸。顔。足。腕。指。
まだ、抑えが効いているからいいが、次たきなの言葉を聞いたら全てが崩れそうな感覚に苛まれる。
「わ、私の体が、βからΩになっているって…山岸先生から聞いてまして…」
「なっ…!?」
ありえない。ビッチングに似た現象がたきなの体に起きていた。ましてや、βのたきなが変化する事なんて絶対にありえないはずなのに。
「なんで…」
「山岸先生が…可能性の話ですが、私が…その……『千束を思い過ぎた』…と。それで、千束の隣にいたいと言う思いが私の体を変えたと…言っていました…」
マジか…そういう事が起きるのか…。
嬉しさと混乱と動揺と。色んな感情が渦巻いて頭が機能しない。この衝動もたきながΩに変化しつつあることをしっかりと感じさせてくる。
「でも、でもさ、なんで街中歩いてたのに他のαに襲われなかっ…の?」
「分かりません…そこまでは。今日はほとんど千束の事しか考えてなかったから。千束がくれたマフラーと、千束と行った場所を回って、あなたを…探してました」
「っ…そ、れは…」
まるでΩのやる巣作りに似ているように思えた。実際に巣作りしてるΩは見た事ないが、そういうものだと思う。こうしている間にもたきなのΩのフェロモンが強くなっていく。ジワジワとゆっくり滲ませるように。私の瞳の瞳孔も両眼とも恐らく鋭く変わっている。
「ちさと…これなら私も番になれますか?」
「───っ!?」
ブワッと体にフェロモンが一気に注ぎ込まれるような感覚。その時はもうたきなの首筋にしか目が行かなかった。
「ホントになれるかは…まだ分かんないよ…?」
「っはい…それでもいいです。それでも、私は…ちさとに愛されたいです」
ゆっくりたきなをうつ伏せにして汗で張り付いた艶のある髪を捲る。
それはそれは、綺麗な項で、綺麗な首。傷つけるのが勿体ないぐらい。それでも、噛まずにはいられなかった。自分の口から唾液が漏れてるのがわかる。別に抵抗しないのに、抵抗されないようにたきなの腕を抑えて、うつ伏せのたきなの呼吸が酷く艶めかしく聞こえる。
「た…きな」
今日。私は。
「ちさ…と」
たきなを番にする。
・・・・・・
「───あっ!」
項を歯を立てる。たきなにも自分にも何かが滲んでいくような感覚がやってくる。フェロモンだ。感覚で分かったたきなは完全にΩになった。組み伏せられたたきなの瞳が潤んでいる。息もわかりやすいぐらいに荒くなっている。
「あ…ぐっ…っ…ん…っはぁ…はぁ…ちさと…これ…なんですか…?からだ、あつい」
「大丈夫…これはソウイウやつだから…」
たきなの首筋に顔を埋めて、私はたきなの匂いを吸う。甘ったるい、酔ってしまいそうな香り。たきなの事以外考えられない。上手く言葉を話せない。
「たきなっ…」
口から出る言葉はほとんどそれだけ。情けなく腰を勝手に動かしてる私を見てたきなも手を握り返してきた。
「ちさと…キス、キスしたい。ちさと…」
興奮した顔、赤くなっている頬、酔いに蕩けたアメジストの瞳は、私の唇を捉えていた。
まったく。煽るの上手いな。ほんとにコイツは…。
「っ!」
うつ伏せだったたきなを少々強引に仰向けに変える。
体に滲む汗。
息の上がっている顔。
汗で張り付いた髪。
呼吸で動く体。
もう全部自分の中に取り込んでやりたいぐらいにたきなを欲している。
「キスしたら…多分止まれなぃ…かも」
「はい…はぁ…それでもいいです…だから…ちさと、私を、愛してください」
「──たきなっ!」
「んむっ!?」
覆い被さるように、包み込んで殺すように、私はたきなの唇を貪る。ただひたすらに、舐めて舐めて、舐め回す。口の中をぐるりぐるりと舌を這わせて、歯型をなぞって、たきなが絡めてくる舌を受け入れて、こっちからも絡めて融け合って。もう離さない。逃がさない。
私だって望んでた事なんだ。たきながβだったからいつまでも片隅に置いてたけど、私もたきなを番にしたがってた。
「あっ…まっ、ち、ちさと、」
「やだ、待たない、止めない、逃がさないから」
たきなの服を脱ぎ散らして、一糸まとわぬ姿に変えて、今度は首筋に歯を立てる。
「あうっ…!」
可愛らしい声と共にたきなのきれいな肌に傷が付く。これで興奮する自分に引きそうになるがそれでも、止まらない。これが望んでたことに変わりはない。
私はたきなに酷い事をしたかった。
たきなを犯したかった。
グルグル渦巻いている感情が一つになり始める。
目の前のΩを自分の番にする事。
「あ…ぅ…ちさと…こわい…怖いですコレ…」
「大丈夫…全部なんにも考えないで受け入れて…」
綺麗に整ったたきなの胸に顔を埋めて、乳首を指で転がして、感触を確かめる。グミみたいに少しだけ硬い弾力。本気で噛んだら千切れてしまいそうな。可愛い乳首。前から胸を揉むのは少しやりづらい。たきなの胸は小さくて可愛いから。わけも分からずキスをして今度はお尻を揉み始める。
「んっ…んむっ…んんっ……!」
何か言いたいんだろうか。そんな事を気にしてられるほど自分には余裕が無い。たきなの胸に食らいついて、少し痛みを与える。
「っ痛…!」
痛がる声も愛しい。狂ってる自分を自己嫌悪。
オナニーしている時もこんな感じだった。ひたすらたきなを貪る妄想を繰り返して、自分に言い聞かせていた。
出来ない。番には出来ないと。それももう要らない。
「たきな…挿入たい…いい?いいよね?」
「ん…え…?…はい…いいですよ…ちさとのしたい事、全部して…」
たきなからも強請るように『シテ』の了承。
私は口を三日月形に歪ませて、邪魔な前髪を掻き上げる。いいんだ。やっとこの子を私のモノにできる。
やっとだ…やっと。
全部ぶっ壊してでも、この子を私のモノにする。
どくん。動かない心臓が跳ね上がった気がした。
「っ……」
半ば強引にたきなの足をこじ開けて、グズグズに蕩けて濡れたたきなの秘裂を覗く。私もはち切れんばかりに勃起したそれを見せびらかすように出した。だが、たきなは何も分かっていない顔をしている。そんな事はどうでもいい。はやくたきなの腟内へ挿入たい。
私はとにかく貪りたいが故にたきなの秘裂の入口にそれを押し当てて、捩じ込んだ。
「あ゙っっ!!!??」
多分たきなには未知の感覚が襲ってきてると思う。こっちはただただ、気持ちいいだけだ。蕩ける腟内は私のそれを優しく包んでくれてるつもりなのだろうが、手で握られてるかのようにギチギチに締まっている。よく見ると血が出ている。たきなのバージンを無理やり破ってしまった。私も情けない声を上げながら、たきなの腟内を進んでいく。これは…なんとも…。
腰を押し付ける度に体が反り返る。海老反りになった私は口を閉じるのも忘れて、たきなの腟内を感じる。
狭くてちょうど良い心地。
「い゙…いたぃ…です!ちさと…っ!」
なんか言ってる。なんて言ってるか分からない。
私はたきなの腟内で精一杯だから何も考えられない。
動く度に汚い音を鳴らすたきなの腟内に興奮しつつも、痛がってるたきなの顔を見て私はもっと興奮する。
痛いよね。痛いよね。ごめんね。ごめんね。
でも、しょうがない。その顔が見たい。もっとみたい。
歪んでる顔を見せて欲しい。公園にいた時の優しい気持ちはどこへ行ったのか。苦痛に歪むたきなの顔はとても、愛おしくて、可愛らしい。
ぐじゅん。
「ぁ゙ぅっ!」
ぐじゅん、ぐじゅん。
「いっ…ん゙んっ…!」
ぐじゅんぐじゅんぐじゅんぐじゅんぐじゅん!
「ぢ、さと、やだっ…これやだぁ…っ!痛いぃっ!ちさとぉっ…!」
可愛い。可愛いよ。私の番の井ノ上たきな。痛いと言いながらも私の腰を足でしっかり囲ってくれている。どっちなんだ君は。ドMか?痛くて喜ぶ人なのかぃ?私は分からないよたきな。
「たきなっ…!たきなっ…!」
「あ゙っ!あ゙ぁ゙っ!!」
私も限界が来ていた。一度目の限界。射精を促す為にも私の腰は早くなる。
「たきなっ!出すよたきなぁ!」
たきなは感じてるだけでいっぱいいっぱいだ。
腟内を擦る感覚にもまだ慣れてないようで息も上手に出来てない。苦しそうな顔がまた私を昂らせる。口がニヤケてしまう。多分たきなから見たら怖いと思う。でも、こんなに可愛いたきながわるい。
わたしのかわいいたきな。かわいいかわいいかわいい。
「たきなっ…!たきなぁぁ!!」
「やっ…!?何か…ちさ、と、っ〜〜〜〜〜!!!!!」
腟内の最奥に亀頭をねじ込んでの射精。
それが脈打つ度に体も一緒に跳ねる。
射精が止まるまで、たきなの奥へ亀頭を押し付ける。
たきなの体も轢かれたカエルのように痙攣している。
「ぁ……う……」
「っはぁ……はぁ……はぁ……」
意識を取り戻したのかたきなは自分の秘裂に着いた精子を指で絡めとって、呆然と見つめる。
「これで…なれたんですかね?あなたの番に」
「多分…そうだと、思う」
「………あむっ」
「ちょい!」
するといきなりたきなは指に着いた精子を舐め始める。
「あむっ…んむっ…じゅる…ぢゅぅぅ」
それはまるで、フェラのように見えてきて、私のそれはまたはち切れんばかり勃ちあがる。
「ぷはっ…なんか、ちょっと苦いですね…ふふっ」
たきながいつもの調子に戻ってくれた安心感からか。
私は、なんで、こんな事で泣きそうになってるんだろう。
「それ、いいですか…?」
「え…」
たきなは体を起こして、私のそれに触れる。
え、え、え、まさか。
「はぁむ…」
「ちょい、いいよ、そんな…っ!」
なんとたきなは私のそれを舐めだした。どこで覚えたんだこんなん。
「ちさととしたかったんですから、ネットで覚えました」
「ちょっ…まっ…っっ!」
ゆっくりと亀頭から飲み込まれていく。一度全部飲み込まれてからゆっくり引き抜かれる。それは腟内と同じ感触で、私の腰が上がってしまう。
今度は丁寧に亀頭を舐めて、竿を丹念に綺麗にされていく。たきなの小さい口と可愛らしい舌が私の汚い部分を舐め回す。それが、いやらしくて、愛おしくて。
「〜?」
手が勝手にたきなの頭を撫でてる。
気持ちいいから、ありがとう。と不思議な気分だった。
「ん、ふふっ」
ふにゃぁ、とたきなは笑顔に溶ける。
「んむっ…ぢゅるるる」
仕上げに、吸いながらまたゆっくり引き抜いてくれた。
再度勃起させるには充分だ。
「ぷはっ…はぁ……はぁ…、これでいいですか?」
「たきな〜、煽るの上手すぎじゃない?」
「よく、分かりません。そういうものなのでしょうか」
一度射精したから、私の体もだんだん落ち着いてきた。たきなも体も大丈夫っぽい。また収まらない自分の息子を見ながら、呆れはしたが、たきなも秘裂を抑えて恥ずかしそうにこちらを見ている。
あぁ、まだ足りないんだね。たきな。ごめんね、私のせいで、たきなの『人生』が狂ってしまったんだ。その責任はとるよ。守ってあげる。助けてあげる。たきなを番したいと思っていたのは私も同じだから。もう、この『繋がり』は切りたくないから。
「そういうとこだぞ〜、たきな〜」
「え、ちょ、ちさとっ…んむっ!」
私達がホテルを出たのは次の日の夕方だった。
・・・・・・
「たきな〜、そろそろ機嫌直してよ〜」
「……」
ホテルを出て駅までの道のり。たきなの体を気にせず抱き潰した私は、たきなを不機嫌にさせてしまった。少し怒っている割には握った手は離してくれない。むしろたきなの方が力強く握っている。
「全く、今も気を抜いたら腰抜かしそうなんだから反省してください」
「ふぇ〜い……」
顔を赤くしつつもしっかりと怒ってくれる。照れてるのかデレなのか分からん。マフラーに顔を埋めて、恥ずかしそうにしてるたきなの顔を一枚。写真に収める。
「ちょ、千束、なんで撮ったんですか!」
「は〜いはいはいはい。ごめんごめん。こんなたきなの顔あんまり見れないからさ〜」
私のスマホを取ろうと手を伸ばすたきな。
取られまいとスマホを上に掲げる私。その時のたきなの顔はなんて事ない。普通の女の子顔。
私の大好きなたきなの顔だった。
「おっとっとっと……?、たきな?」
ギリギリ私の掲げた手にたきなの手が触れるとたきなの顔が暗くなる。
「もう、あの時みたいに自分から『命』を投げ出して居なくなろうとしないでくださいね」
真島と一騎打ちした時。私は相打ち覚悟で真島を突き落とそうとした。でも、それを助けてくれたのは誰でもない、たきなだ。
涙ぐんでるたきなの頬を摩って、私は自分のおでことたきなのおでこをくっつける。
「もう、あんな事はしない。たきなと『生きていく』理由ができたんだから、もうたきなを独りにはしないよ。もう、逃げないから…」
過ぎてきた日々は戻れない。そして今の私を作ったのもその過ぎてきた『人生』。でも、これから『生きていく人生』は違う。隣には君がいて、君の隣には私がいて。この心の中を全て伝えるのにはまだまだ時間がかかりそうだ。そう簡単にいかないから君と『生きていける』。
陽のあたる場所で、私は両手を広げて、大きく背伸びをした。そして、たきなに振り向いて、手を伸ばす。
「行こう。たきな」
「はい」
君の手を握って、私は君と結ばれて。
これから歩いていく道を。
君と一緒に『生きていく』。