「ト、Trick or Treat…」
こども園のイベントから帰ってきて、何を言い出すかと思えば、小さく手をグーとパーの間ぐらいの形にしてたきなが言ってきた。物珍しくたきなからの攻撃だったのでちょっと可愛いダメージが入ったが、恥ずかしそうに目を逸らして顔を赤くしているのがもうそれよ。
そうか…たきなも私に仕掛けくるようになったか。
なるほどねぇ。さぁ『どちらにしようかな』。
お菓子は散々配ったけど帰りに買ってきた。
イタズラはさっきこども園の影でしてきた。
でも、たきなの目は多分イタズラを欲しがっている。
まぁだ、足りなかったか。物好きな魔法使いは小悪魔にもっとよこせと訴えている。
悪魔に選ばせるとはいい度胸だよ。たきな。
「へぇ〜?お菓子、全部子供達にあげちゃったよね」
「っ……」
たきなに寄り詰めるとたきなは壁を背にして逃げられなくなった。
何か言いたげにモゴモゴ動く唇を自分の唇で塞いで、ついでに、本当は残しておいたチョコを取り出して、一かじり。少し噛み砕いて、たきなの口へ流し込む。少し周りに塗りたくるように舌を動かして、たきなの腰を抱き寄せる。たきなは驚くけど、私の服を握って崩れないように頑張ってる。顔を離せば、色っぽく息が上がっていて、また壁に寄りかかる。
口の中が甘い。
それはたきなのせいなのか。チョコのせいなのか。
「ここでスる?」
「っえ…」
ちょっと意地悪く聞いてみる。虚ろな魔法使いの瞳はゆっくり視線が下に落ちる。
下に落ちた視線を戻すようにたきなの顎に指を添えて優しく、無理矢理、視線を合わせる。蕩けた瞳と私のイタズラな瞳は見つめ合う。
見ればわかる。足りない。それはよく分かる。
私も正直玄関ではしたくないのだけれどこんなたきなの表情見せられたら流石に我慢が聞かなくなる。
「あの…ちさ…んむっ!?」
衝動のままにかぶりついた。まだチョコの味が残っている。どこかにチョコが着いてないか口内を隈無く舐る。また少し息が苦しそうだ。掴まれている手に力が入ってて服にシワが出来ている。
「んっ…ぷぁっ!」
「っはぁ…はぁ…はぁ…」
私も息が限界だった。我を忘れて行っていたキスはたきなの体の力を奪ってしまった。
その場に崩れたたきなを覆うように私が上になる。
「ずっと……」
「ん?」
体全体で息をして。顔を赤らめて。
「貴方と過ごせない時間だと思ってたんです」
「っ!」
魔法使いは小悪魔の頬に手を添えてtrickを促す。
「今更、どちらか片方なんて私は選びません。そうでしょう?千束」
「マジか…」
蕩けた瞳で微笑んで。
たきなは私を弄び。
私はたきなに媚びへつらう。
「さぁ、千束。Trick or Treat?」
これは…私が選ばされてるようだ。
さぁ。選べ私。いや、錦木千束。
『Eeny, meeny, miny, moe』