ティーク ♂ (18か17、18くらいがいいのかな?)
この子のもまた【side B】の所属。COOLキャラですよCOOLキャラ。蒼真とはずっと一緒にツーマンセルで任務を行ってきた仲で、例に漏れず【side B】の人体実験の被験者。蒼真に唯一ついていける(性格的にも身体的にも)人物であり、蒼真が任務に出る時は基本的に一緒にいる。ただティークが違う任務にいる時は大体蒼真1人で行かされる。被験者らしく人間としては一般的な人の数倍の性能。得意なのは狙撃。発射されたロケランの弾頭を撃ち抜けるぐらいの制度の持ち主。ただし連続では決して出来ない。集中力が必要なので。身長はティークの方が高い。4〜5センチぐらい。すぐに自分を犠牲にしたがる蒼真のブレーキのような役割。
読書が趣味。漫画と小説を好む。雑誌は読まない。ゼクシィとか知らん。
今はたきなと交際中。余裕を見せてる所はあるが実は頑張って耐えてるだけで2人きりなると結構ベタベタ。
あと、ショートスリーパー。2、3時間目を閉じるだけでいいらしい。普通に寝る時はたきなと添い寝する時だけ。
今回追加してある設定は以下の通りです。
蒼真同様に目の色が変わります。黒から藍色へ。
実は昔は蒼真の事が好きでした。恋愛的にも友情的にも好きでした。でも、たきなの方が良いってなりました。この時空のたきなも最初は千束の事が好きでした。でも、色々重ねて内に、ティークとたきながくっつきました。
蒼真の設定は前のヘテロ作品から参照してください。何一つ変わってません。
作者はBLが苦手。
「千束、相談したいのですが…」
「ん〜?何?たきな」
リコリコの昼休憩の最中。蒼真とティークは買い出しに、千束とたきなは店番を一段落させて休憩中。珍しくたきなが千束に相談事を持ち込んできた。
「あの…その…ティークさんとの事なんですが…」
「ぅえ!?何何!?恋愛相談!?」
「いえ違います。ていうか声でかいです千束」
グイグイ迫ってくる千束を抑えながらたきなは眉間に皺を寄せる。
「え〜、恋愛相談じゃないの〜」
「そもそも、私とティークさんは付き合ってますから」
「ぁ、そうだったね」
千束達を宮古島から連れ戻してから数ヶ月。その間にたきなとティークもついに結ばれた。互いの相棒を守りたいという志から、お互いを想い合う仲になれたのだ。実際に宮古島に千束達を探しに来た時点で二人は交際を始めていた。そして、今日はたきなが交際をしてから初めての千束への相談だった。
「千束は宮古島に行っている間、蒼真とどんな風に過ごしていたんですか?」
「…………へ?」
あまりにも普通な質問に千束は目のハイライトが消えて首を大きく傾げてしまった。同時に思考が停止してしまった千束。すぐさま正気に戻ると、深刻そうな顔をしたたきなを他所にある事ない事余計に考え始めた。
「も、もうマンネリ化した?いやでも、まだ付き合って数ヶ月だよ?私と蒼真よりも少し遅れただけだしまだデートだって全然行ってないよね?もういいんだよ?全然ティークさんのこと求めていいんだよ?普通にデートしたり、仕事帰りに泊まりに行ってゲームしたり、映画見たりするだけでも全然いいんだよ?ティークさんだって、それぐらいしたいって思ってるよ?あ、もしかしてデートスポットとか分かんない感じ?だったら、私のオススメ教えてあげるから───」
「ち、違います。違うんです千束!」
物凄い勢いで肩を掴んできた千束を引き剥がし、落ち着けと宥めるたきなであったが、その手はおぼつかないのも確かだった。
「ただ単純に分からないんです。二人で過ごす時間、というのが何も分からないんです」
「たきな……」
「わたしは、もっとあの人に触れたいとか、あの人と一緒に居たいって、気持ちはあるんです。でも…それを口にして良いのかどうか…」
ほぇ〜。と、千束は不思議なものを見る目になる。なんとも初々しいカップルの悩み。まるでつい最近付き合い始めたようなセリフが飛んできた。実際はもう付き合って半年ぐらいは立っているはずなのだが、それらしい悩み方で千束はつい笑ってしまった。その声を聞いた瞬間、たきなのジト目がやって来た。
「笑いましたね?」
「いやいや、ソンナコトナイヨ」
「酷いです。こっちは真剣なのに」
「だって、思ったよりもノーマルの悩みなんだもん」
「そんなアブノーマルなものが欲しいですか?」
「そういう訳じゃないけどさ」
プンプンなたきなは千束から視線を逸らす。俯いているその顔を覗く限りどうやら本当に真剣に悩んでいるらしい。
「二人の時間って、そんなに難しい?」
「いえ…多分わたしの感覚だと思います」
随分と乙女らしい顔をするたきな。顔を赤くしてモジモジと忙しなく動く指。一挙手一投足にトキメキながらも千束は真面目に頷いた。
「いいんだよ。たきなはもう欲しいって言えるんだから」
「え?」
「お互いに好きってわかったんでしょ?だから、自分のしたい事もして欲しい事も口で言わなきゃわかんないよ。自分の感覚でいいの。愛して欲しいなら、『愛して』って言っちゃえばいいんだよ」
「っ…な、なんでそんな簡単に言えるんですか千束は」
「ん〜…」
千束は顎に指を当てて考える。そして何ともなしにはにかんだ。
「私も、愛されてるから。かな」
「…………」
その眩しい笑顔にたきなは少しムッとむくれてしまう。
「意味が分かりません」
「あれ?」
「千束、たきな」
すると、カウンターからミカが二人を呼んだ。
「は〜い、何?先生」
「楠木からだ。仕事だろう」
「え〜」
「わかりました」
・・・・・・*
「それって、お前。たきなとイチャ付きたいだけ……ホギボガゲバビ!?」
「黙れ。口にするな」
「な、なんで!?なんでじゃあ言った!?顔面ゴッドフィンガーするぐらいなら聞くなよ!言わせんなよ!」
それと同時刻。買い出しの休憩を取っていた蒼真とティークも全く同じ事を話していた。
「前にお前言ってたろ。がっつく男はあんまりだってな」
「いやでも、二人とも同じ気持ちであるんだったらそれに超したことはないって言うか、そういうのはちゃんと口にしないと伝わらないって言うか、こめかみがそろそろ砕けそうって言うか、いだだだだだだ!!」
「あまり心配かけたくないんだ。だけど、お前みたいに感情的に動ける訳じゃない。お前の言う通り醜い男にはなりたくないんだよ俺は。欲望に忠実な男ほど醜いものはないからな」
「じゃ、じゃあ話そうよ、ちゃんと!離してよ、今!その口で!この手を!そんな照れ隠しするぐらいならちゃんと向き合いなってば!お前こんなボケするキャラじゃなかっただろいだだだだだだいってば!」
「ッ…たしかにな…」
「っはぁ…はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」
投げるように離された顔面を抑えながら蒼真はティークに視線を戻す。そこにはらしくない顔をした珍しい表情の相棒がいた。蒼真は珍しいものを見たような顔になりながらすぐさま、面倒くさそうにため息を吐いた。
「なん、また何か迷ってんのか?せっかく付き合えたのに?」
「お前みたいに柔軟じゃないんだよ俺は」
「別に気にすんなよ。お前はもう───ん?」
二人の会話の途中、蒼真のスマホが鳴った。かけてきた相手は千束だった。
「はい。蒼真です」
『蒼真?今すぐリコリコに帰って来れる?』
「なんかあったのか?」
『うん。仕事だって、なるはやで帰ってきて』
「わかった」
そう言って通話を切る。
「帰るぞティーク。仕事だ」
「あぁ、わかった」
・・・・・・*
「今回は指定暴力団がこの付近に来たそうだ。ソイツらの処理が仕事だな」
「分かりました。side Bはその任務を了承します」
喫茶リコリコへ帰ってきた蒼真達は千束達と店長であるミカから説明を受けていた。
DA本部から送られてきた座標と写真。廃工場のある防波堤近くの港で指定暴力団が一件の工場を拠点として使っていることが分かった。さらにその暴力団は銃を所持しているらしい。その真相を確かめ、暴力団を無力化。銃があれば全て回収するのが今回の任務。
「別れて行動した方がよさそうだな。チーム分けはどうする?」
「いつも通りでいいんじゃないかな?工場自体はそんなにおっきくなさそうだし」
「人数だけが多いですね。一人一人相手できるかどうか…」
「まぁ、困ったら麻酔で眠らせるし大丈夫だろ。武器を持ってたらそれの在処も聞かないといけないしな」
結局、作戦と分隊はいつも通りの構成となった。任務開始は夜の19時。四人はそれぞれの準備を始めた。
・・・・・・*
『よぉ〜し、全員配置に着いたな?』
「おぅ」
「うん」
「あぁ」
「はい」
指定された港へやってきた四人は工場の前後を挟むような配置に着く。蒼真と千束はいつも通りだが、ティークとたきなは少しだけ様子が違った。まだ今朝の件が解決していない。まだ互いに距離感を感じたまま作戦時間が訪れてしまった。
『時間だ。行け』
「ぅよし!」
「ほいよっ!」
すぐさま潜入したのは蒼真と千束の組。ドアを蹴破って入口付近にいる二人を無力化すると、頭目がいる部屋へ向かっていく。
「俺達も行くぞ」
「了解」
ティーク達も同じようにドアを蹴破りクリアリング。こちらは正面突破している千束達とは違い、裏から入り込んでいる。そのため目の前には敵がいなかった。
「クリア」
「こちらもクリアです」
「よし、蒼真達と合流するルートを取る。いいな?」
「了解」
通信機のミニマップを見て蒼真達の現在地を確認する。そこからルートを決めて二人は走り出した。
『いたぞ!』
『ガキ共が!』
『撃て撃て!』
そこから先には、暴力団の団員がわんさか湧いてきた。ティークとたきなは一人ずつ確実に無力化しつつも、蒼真達との合流を目指す。そして、暴力団は当然武器を所持していた。近接武器ではなく当然、銃火器だ。HGにAR。LMGまでも、調子に乗った一般人がやたらめったらに引き金を弾いている。
「これでは進めませんね…」
「弾の込め方と撃ち方さえ分かれば誰だってあぁなる。ここは素直に目眩しと行こう」
「はい」
ティークは閃光手榴弾のピンを抜いて投げ込む。眩い閃光が目の前に広がるが、ティーク達は物陰に隠れてやり過ごす。
『うわっ!』
『なんだ、眩っ…!』
閃光が収まった頃、ティークは装備している『ガントレット』の防弾装甲を展開し前へ出る。その後ろからたきなが敵の銃を狙い撃つ。
「たきな!」
「はいっ!」
数度の銃声と少しの悲鳴。たきなは上手く武器だけを狙い撃ち破壊した。すかさずティークが麻酔銃を撃ち込み敵を眠らせる。
「よし、行くぞ」
周囲をクリアリングして、二人はさらに奥へ進んだ。
「武器を持っていますね。どこかに隠しているのでしょうか?」
「恐らくはそうだろうな。ここを隅から隅まで調べないといけないな」
「面倒ですね。人の数が多いのに」
「あぁ、一人一人武器を持っているのが余計に厄介だな。蒼真達も同じだろうがな」
「えぇ、早く合流しましょう」
「あぁ」
そして、たきなが先行して進んだ瞬間───
【見つけたぞ】
「ぇ…?」
「たきなッ!」
物陰から、何か巨大な物が振り下ろされた。後続のティークはそれを見てすぐさまたきなを掴んで回避する。地面には大きなヒビが入りその亀裂は地面から天井へ伝わる程大きな衝撃だった。
「なっ…!?」
「なんだ、普通の奴じゃないな」
二人はすぐさま体勢を立て直して銃口を向ける。ガタイの良い男、だが両腕には何か武器のようなものが取り付けられている。
「コイツ…頭目か、用心棒か?」
【侵入者を排除する】
男は両腕を振り上げ踏み込んでくる。動きは遅いが、一撃が大きい。攻撃が届く前に仕留めようとたきなは男を狙って引き金を引く。だが、迫り来る男の武器を貫通する事が出来ず、弾丸は弾かれてしまった。
「装甲が厚いです!何とか体を狙わないと!………ぐっ!」
ティークとたきなは二手に別れて攻撃を避けた。二人は体勢を立て直して射撃。が、それも腕の武器で弾かれた。
「リストにも載ってない。お前、最近日本に来たのか?日本人じゃないだろ」
【ゲムオン。俺はいつからかそう呼ばれている。だが俺に名前はない】
「名無しか。いいだろう。報告書にそう書いてやる」
【来い。俺に与えられたのは侵入者を全て殺す事だけだ!】
ゲムオンは地面を殴ると自分事、二人を地下へ叩き落とした。
「きゃぁっ!」
「っくそ!何だこの馬鹿力は!?」
・・・・・・*
「うぉっ?」
「ちょいちょい!なに?地震?」
一方蒼真達は、ティーク達との合流地点へ向かっている途中だった。
「まさか…爆弾とか?」
「いや、大分衝撃は軽いな。多分違うやつだと思う。ティーク、なんかあったのか?」
「たきなそっちは大丈夫そ?」
蒼真は通信を取ってみるも、ティークからの返事が返ってこない。千束も同様にたきなからの返事が返ってこないとアイコンタクトで理解した。
「まずいな。合流を急ごう」
「うん!」
そうして、二人は先へ進んだ。
・・・・・・*
「たきな、捕まれ!」
「はいっ!」
たきなは落下の最中に差し伸べたティークの手を取って、そのまま抱きかかえられティークは着地した。瓦礫を避けて、周りを見渡すとそこには武器庫らしき場所だった。
「ここは…」
「“当たり”だな。武器を集めていた場所だ」
「なんて数、四人じゃ回収し切れませんよ」
「そうだな。だが、まずは目の前の敵だ」
「はい!」
遅れて上から降りてきたゲムオン。落下の衝撃で床にヒビが入って幾度か軋んだ。よく見るとゲムオンの装備は腕部の重装甲だけ。後は適当な軽装備。たきなの言う通り狙うなら腕以外の場所を狙う必要がある。しかし、たきなの正確な射撃にすら反応出来るほどの身体能力。恐らくは千束並の実力。蒼真の瞳が紅くなった時程のパワー。二人で対処するにはあまりにも辛い。早期での決着が必要だ。
「たきな、援護を頼む。早めに終わらせよう。ヤツは底が知れない」
「了解。でも、彼の装甲は普通の武器では歯が立ちませんよ。どうすれば…?」
「俺が破ろう。損傷さえ与えれば動揺するはずだ。そこを突いてくれ」
ティークは腰のホルスターからもう一つの武器を取り出す。それはside Bで専用にカスタマイズされたティークのコンテンダー、『ピンポイント』だった。
「それは…?」
【コンテンダー?そんな武器使うのか?】
「お前のその武器の装甲は普通の火器じゃ意味がない。一撃の重さを重視するだけだ」
バレルの下部が特殊な形に造形されたコンテンダー。ティークは目の色を藍に変えるとコンテンダーのセーフティを外して、目の前のゲムオンへ銃口を向けた。
「悪いがお前にはここで倒れてもらう」
引き金を引く。
重い銃声と衝撃波。すかさず防御の構えを取ったゲムオンの腕部の装甲に当たった瞬間、貫通は出来なかったものの装甲の一部が砕け散る程の威力を発揮した。
【っぐぅ!?】
「流石の威力だな。───たきな!」
「はいっ!」
隙を逃さずたきながM&Pの引き金を弾く。
『ぬぅ!』
ゲムオンは破損した方とは逆の腕を使って防御。そのまま腕部の装備に内蔵されたマシンガンを展開、二人へ向けて発砲した。間を割くような弾丸の軌道にティークとたきなは二手に別れて身を躱す。そして、そのまま走り物陰へ隠れる。
『今の攻撃、ティークさん達の装備見たいですね』
「あぁ、だが俺達とは真逆の遠距離仕様だな。相変わらず蒼真達とも繋がらないし、面倒だな」
『近距離の通信は出来るんですがね。さっきの敵の攻撃で電波障害が起きたとしか』
「どんな攻撃だ。EMPでも付いてんのか?ミノフスキー粒子でもこうはならないぞ。とにかく時間を稼ぐより俺達だけで仕留めるつもりで───っ!?」
ティークの頭上を瓦礫が通り抜けて行った。
「な、なんだ?」
物陰から覗くとゲムオンが落ちてきた瓦礫を手当り次第に投げ飛ばしている。この狭い空間ではあの大きな腕は振るえない。それを見越してゲムオンは手当り次第にそこらを破壊し回っている。棚を壊し、壁を壊し、瓦礫を投げ飛ばす。
【出てこい!小細工は俺には効かない!】
確かにそうだ。小さい攻撃ではあの巨漢を倒せない。さっきのコンテンダー。『ピンポイント』の一撃でないと装甲を突破出来ない。やる事は難しくは無いが、あの突破力に対抗する手段が少ない。たきなは抵抗出来ないし、ティークも『ピンポイント』を失ったら苦しい戦いになる。
「ま、そうならないように改造してあるんだがな」
ティークは『ピンポイント』を回して持ち直すと、ゲムオンの前に出る。
「ここだ!」
【っ!】
正確に飛んでくる瓦礫。それを避けて、再び『ピンポイント』を撃つ。ゲムオンは両腕で構えるが流石のコンテンダーの一撃には耐えられず、片腕の装甲がまた破壊される。だがコンテンダーを撃った事を見逃す事なくよろけながらも今度はティークへ肉薄する。猛牛のような突進が来る。迎え撃つべくティークも『ピンポイント』のレバー倒してからの薬莢を排出する。
【馬鹿が、次弾装填なぞさせるか!】
さらにスピードを上げて猛進してくるゲムオン。既にパンチを繰り出せる体勢にあるが、ティークの顔色は何も変わらない。中折れさせたコンテンダーを再び閉じ、銃口を向けた。
【っ!?】
「普通はそういう反応をするもんだな」
引き金を弾くと確かに『ピンポイント』から弾丸が発射された。ゲムオンも咄嗟に反応して急停止、両腕を揃えて構えるも破壊された装甲では防ぎようもなく直接弾丸を受けてしまった。右腕が吹き飛びそうな威力の弾丸を受けても数メートル転がるだけで済んでいる。
【この…程度…】
「…っくそ、普通なら片腕ごと吹っ飛んでるはずなんだがな…」
片腕は潰した。だが、それでも尚立ち上がってくる。正真正銘の化物だ。普通なら弾丸を受けて立てるものはそういない。そうこう考えている内にゲムオンは腕部のマシンガンを展開。ティークへ向けて乱射する。
「っ!」
射線に被らない用に走り出す。狭い空間を縫うように体を滑り込ませて、パルクールを披露する。注意は引いた。ティークの作戦通りに既にたきなはゲムオンに銃口を向け狙いを定めている。
(これで…!)
【っ!!】
「なっ!?」
引き金を引こうとした瞬間、ゲムオンはまるで分かっているかのようにたきなの方を向いた。そのまま乱射しているマシンガンの銃口を向けた。たきなも危機を察知しティークと同じように走り出した。幸い柱がある程度銃弾を防いでくれるが、たきなもティークも千束のように弾丸を避けられる訳じゃない。接近戦に持ち込んだ所であの巨漢のパワーに勝てる訳でもない。だから、こうして機動戦に持ち込んで隙を伺う。
「っ!」
【ぐっ!】
「そこ…!」
【がっ!】
防戦一方となるゲムオンを取り囲むように二人は駆け回り攻撃を続ける。
【舐めるなぁ!】
すると突然ゲムオンは体を回転させて、使い物にならない腕をも動かして両腕でマシンガンを撃ち出した。
「なっ!?」
「馬鹿な…!?」
二人は驚愕して、急いでまた柱に身を隠す。
「関節を撃ったんだぞ!?ありえない!」
『ティークさん!そちらに向かってます!』
「何!?」
【ヲヲヲヲヲヲ!!!!】
まるで人では無くなってしまったかのように迫るゲムオンに弾丸を撃ち続けるティーク。だが、止まるどころかむしろ加速してくる敵に為す術が無くなったティークは『ガントレット』の防弾装甲を展開してその突進をガードした。
「ぐぅぅ…!!」
『ガントレット』とティークの腕から痛々しく軋むような音が聞こえた。そしてそのまま壁へ叩きつけられて膝を付く。壁にクレーターが出来るほどの威力の突進を受けたティークは立ち上がることが出来ない。
「ティークさんっ!」
【そこか…!】
「っしま…あっ!」
ゲムオンは飛び出してきたたきなに素早く反応して、そのまま首を掴み壁に押付けた。
「っ…が…ぁ゙ぁ゙……」
締められる首で呼吸ができない。
「ぐっ………っ!」
最後の抵抗でM&Pを何発かゲムオンに放つが、弾丸が当たっているのにまるで効果が無い。まるで死体と戦っているようだ。軋む体に締められる首。このままではたきなの首が折れてしまう。ティークはまだ立ち上がれていない。自分でなんとかするしか無かったこの状況で、たきなは自身の力不足を実感した。
(いつも…わたしは…)
だが、たきなにとってはこれで良かった。ティークが逃げる時間を稼げるならそれで良かった。最愛の人を助ける事が出来るのならそれで良かった。自身の弱さを実感しながら薄れゆく意識の中で最後まで諦めない意志を見せることが出来なかった。血とは別に何か雫が瞳から零れたような気がした。
【っ!?】
たきなが気絶した直後。ゲムオンのたきなを掴んでいた腕は真っ二つになっていた。その眼前には瞳の色を藍色に変えたティークがいた。
【ヌゥ!?】
驚愕に次ぐ驚愕。切断されたはずの腕ごとたきなとティークが目の前から消えた。物音かした後ろを振り向くとそこにはたきなをゆっくり下ろすティークがいる。
どうやって自身の後ろに移動したのか、何故自身から離れた距離を一瞬で詰めることが出来たのか、何故突進をまともに食らって立っていられるのか。ゲムオンは何を考えるまでもなく目の前にいる人間が、人ならざるものへ変わっている事に気づいた。
「どうやら、話が通じる状態じゃないな。お前は」
【ヌぅぅぅ……!】
「そうか。俺の大切な人に手を出したお前はここで死んでもらう。個人的な恨みで悪いな。コイツを守ることが俺の役割だ」
握ったナイフを持ち直して、ティークは『ピンポイント』の引き金を引いた。
・・・・・・*
「たきな!」
「っ!?」
揺さぶられている体に気づいて目を覚ました。そこにはあまり見ることの無いかなり焦った表情のティークがいた。
「ティーク…さん…?」
「大丈夫か?意識はハッキリしてるな。骨も折れていないようだが…他に痛む所はあるか?」
「いえ…大丈夫です。それよりも敵は…?」
「あぁ、話が通じるような状態じゃなかったから仕留めさせてもらった。千束には後で言い訳をしないとな」
「……はい。そうですね」
ティークの後ろには確かに血溜まりの中にゲムオンが倒れていた。それを相手していた当の本人もかなり消耗している。装備も彼自身もボロボロだった。よく見るとティークの瞳が普段の黒から藍色に変わっている。ティークも蒼真と同様、瞳の色が変わると身体能力が向上する。余程の激戦だったのだろう。それに参戦すら出来なかったたきなは申し訳なさそうに顔を俯かさてしまった。
「たきな?」
「いえ…なんでもありません。千束達は?」
「ダメだ。まだ通信が取れない。電波障害なのか、それとも環境なのか。俺にはさっぱりだ」
「そうですか。分かりました」
二人は落ちてきた穴を見上げると明かりが差し込んでいるのが見えた。だが、明らかに一飛びで届くような高さじゃない。ティークの『ガントレット』も先程の戦闘で破壊されている。アンカーを射出して登ることは不可能だ。大人しく、千束達が気づいてくれるのを待つしかなかった。
「……」
「………」
閉じ込められた瓦礫の中、蒼真達の救援を待ちながら、ティークは天井を仰いでいる。だが、たきなは俯いてうずくまっている。なんとなく気まずい雰囲気が二人を包んでいる。話題を出そうにもそんな明るい話題はないし、そんな雰囲気でもない。
「すまない、たきな。今回は俺が油断した」
「ぁ…いえ、こちらそこすみません。出しゃばってしまって…」
二人の間にまた、なんとも言えない空気が流れる。互いに打ち明けていない悩みを抱えたまま戦場に立ち、今こうして失敗してしまった。それは、エージェントとして有るまじき行いだ。任務を果たせたから良いものの、これで任務失敗だったらエージェントの失格者として名が知れてしまう。
だが、たきなはこの機を利用して自分の悩みを打ち明ける事にした。
「ッ───今、話す事ではないと思うんですがいいですか?」
「ん、なんだ?」
「ティークさんは寂しいって思う時はありますか?」
「寂しい?」
本当に何の話かティークは分からず首を傾げてしまった。本当にこの場面で話す必要のない話なのかもしれないが、この時のティークは何故かその話題を無視する事は出来なかった。
「寂しいっていうのはどういう意味だ?俺には分からないんだが…」
「いえ…それは……その…」
何か失敗してしまったのだろうか。ティークは少し考える。これまでの行いを、今までの日々を。けれど、意味がまだ分からない。今のたきなの言葉の意味を知っていても、ティーク自身は違って捉えているかもしれない。蹲るたきなを見てティークはまた失敗したと上を仰ぐ。
(寂しい…か)
心当たりが無いわけでもなかった。ティークが考えた事は『二人きりの時間』だった。考えてみれば最近家に遊びに行ったり、デートに行ったりすることは無かった。そうすると自ずと答えは見えてくる。
「それは…二人きりになりたかった。って事か?」
「………」
ティークの言葉を聞いて、たきなはアタリなのかハズレなのか分からない顔になってしまった。だが、少し顔が赤い。恐らくはアタリなのだろう。ティークはつい吹き出してしまう。
「ティークさんっ」
「すまん。まさかそんな普通な事だとは思わなくてな」
「千束にも言われましたそれ。そんなにわたしって非常識に見えますかね」
「いや、俺達が普段そういう事を考えてないって思われてるんだろう。あまり口にしないからな」
「ティークさんの事なら、ずっと考えてますよ。わたし」
「たきな?」
「ぁ……貴方の傍に居たいとか。貴方に触れたい。とか、そういう欲はあるんです。でも、もしそれをホントにしてしまったら、もしかしたら、そこから戻れなくなってしまうんじゃないかって不安なんです。だから…」
「その気持ちは、俺にも分かるよ」
「ぇ…?」
ティークは月明かりを見上げた。
「俺も、仕事一筋だったからよく分かる。自分の知らない世界に触れたらそこから帰って来れなくなるんじゃないかって、思ってる。こうしてたきなと付き合えた事実を俺もまだ何処かで否定してるのかもしれない」
たきなとティークは蒼真と千束の為に日々を生きていた。
たきなは千束を助け。ティークは蒼真を助け。
二人はそれぞれの相方の為に自分を捧げるつもりでいた。だが、今はそれが無い。千束は新たな心臓を手に入れ、蒼真は短命だった寿命を伸ばすことが出来た。そのお陰で二人は今も生きている。
「20歳まで生きれられなかったはずのアイツらが、今はこうして生きている。そのせいで俺達の役割が少しなくなってしまった気がするんだ。だからこうして、お前との時間を考えられるようになった。それは俺にとって未知の領域だ。恋愛なんてした事ないからな」
「わたしだってそうですよ。千束ももう普通に生きていける。だから、自分のことを考えていいって千束に言われました」
「だったら、二人で考えよう。これが終わったら、俺達の時間ってものを」
優しく微笑みかけるティークを見て少し照れたように顔を伏せてたきなは頷いた。
「なら、まずはここから出ないとな。さて…どうしたもんか…」
「ティーク!!たきな!!大丈夫か!?」
「蒼真!」
「千束!居たよ!こっちに居た!やっぱり落ちてたっぽい!」
「たきなぁ!」
「千束!」
四人は顔を見合わせると全員が安堵の息を吐いた。
「つか、なんでそんな所にいんだよ上がって来れるだろ、ガントレットは?」
「すまん、破壊された」
「ぅえマジ!?アレぶっ壊すやついるのか…待ってろ、ロープ下ろすから!」
・・・・・・*
その後、無事に救出された二人。工場内の敵は全員蒼真と千束が鎮圧。ティークとたきなが戦っていたゲムオンはどうやら、今回の一味の頭領的な立ち位置だったらしい。地下にあった武器の数々はDAが接収。工場内にいた団員から他にも隠し事がないか尋問を受けている。そして、ゲムオンは死亡。死因は重火器による頭部破壊。片腕も無くなっていて、それはティークと行った戦闘だとティーク本人が自白した。
そして、次の日の夜───。
「コレで今回の件も終わりだな」
「はい。司令と店長にも報告もしましたし。今日は終わりですね」
報告役となったティークとたきなは自宅への帰路へついていた。
「明日もリコリコの営業がある。今日はゆっくり休めよ」
「はい。分かりました」
「じゃぁな。俺は帰………たきな?」
とりあえず今日は帰ろうとして、踵を返したその時、たきながティークの裾を掴んでいることに気がついた。振り返るとたきなの顔がいつもとは違って見えた。いつものクールな雰囲気ではない。二人きりの時の甘えている顔だった。
「もぅ…帰っちゃうんですか?」
「ッ───」
分かっていたような、いなかったような。典型的なセリフを聞いたティークは少し固まってしまう。だが、ティーク自身も心のどこかでそんなセリフを待っていたような気がした。
「いや…そんな…まさか…」
いきなりそんな場面が来てしまうとティークも曖昧な答えになってしまう。本来なら、すぐさま手を取って家に連れていくのがセオリーなのだろうが、今のティークにはそんな事が出来なかった。今日はたきなを失いかけた。そんな日に二人きりになるなんて出来ない。そんな気分ではなかったからだ。けれど、今そこに居るたきなが自分を求めている。side Bとしてではなく、彼氏としてその答えを返してやらないといけなかった。
「二人の時間…今欲しいです…」
「いいのか?たきな」
「………はい」
手を握り返すと、たきなは小さくだが確かに頷いた。けれど、確かに目が合っている。その時の顔はお互いがお互いにしか見せないような顔をしていた。いいのか、と聞いただけだが二人は何が起きるのか、何をしたいのかこの場面で起きる出来事を分かっている。
・・・・・・*
「ん…っあ…んっ…ふ…ぁ…んんっ…」
気づけばたきなはティークの自宅にいた。玄関を開けて入るなりその場で唇を塞がれた。愛おしそうにたきなを抱きしめるティークの腕が心地良い。たきなの体から力が抜けて瞼も少し垂れてきた。前日の任務の怪我がまだ残っているのだが今の二人はそんな事は気にしていなかった。
「あれ…?ティークさん、その目の色…」
「っ…いや、気にするな。これは相乗効果みたいなものだ」
「やっぱり蒼真と同じなんですね。それ」
ティークの瞳が藍色に変わっていた。理由も何となく気づいているたきなは微笑んでティークの頬に手を添えて軽く撫でてやる。
「嬉しいです。恥ずかしいのはわたしだけじゃ無いんですね」
「あまり気にするな。こんな事していて、興奮しないわけないだろ」
「通りで、手つきがいやらしいわけです」
「普通だ」
と、ティークはたきなの尻を揉んでやった。千束より余りふくよかではないけれど、体のラインが美しいたきなの肌に触れる事は確かにティークにとっては良い興奮剤だった。
「ほんとにっ…変態みたいです…んっ…ぁ…」
「嫌か?」
「そんな事ないです。むしろ、嬉しいぐらいで…んっ」
「お前の体は滑らか過ぎる。他人の視線を気にした方がいい」
「それは…っ…どういう意味ですか…?」
ティークはぎゅっとたきなを強く抱き寄せた。その弾みでたきなはきゃっ、と小さく喘ぐ。
「俺はお前を視姦してるんだ。どう触りたいとか、その姿勢の時は裸だったらこうなんだろうとか、そう考えてる」
「っ……!?」
予想だにもしない事が飛んできてたきなもついぎょっと、目を開いてしまった。まさか自分の彼氏からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。驚きはしたが、たきなはすぐに笑顔に変わる。
「最低ですね。貴方は」
「あぁ、自分でもそう思うよ。だけど、それぐらいお前を見ているんだ。ただ単純に目で追っているんだ」
擦り寄せる顔を包んで、今度はたきなからキスをする。啄むキスはもう飽きた。舌を入れて、絡め取る。
「っ…ん…じゅ…れ、る…っあ…んっ…」
玄関先で二人は時間を忘れてしまう。ここが家の玄関だと言うことも忘れて、二人は互いの唇を貪っている。
小動物のように小さい体の小さい口で必死に深いキスをすルたきなを見てティークはついつい頭を撫でてしまう。
「ん…それぇ…すき…ですっ…」
蕩けた瞳と声色で魔性の女は出来上がる。キスの間に感じる幸せ。これがたきなの欲しがっていた物なのかはまだ分からない。ティークも自分の答えを探していた。お互い同じ悩みで、同じ時間を生きていた。答えがそこにあるのは分かっている。どうしても終わって欲しくない愛おしい時間なのもわかっている。だから、二人は貪り合う。互いが互いの意味を求めるように。
「っ…んぅっ…!」
「っおい、たきな?」
「すみませっ…力が抜けてしまって…」
酸欠で息が切れた時、たきなは危うく崩れ落ちそうになった。しっかりティークがそれを支えて、抱き留める。
「ベッドに行こう。ここじゃゆっくり出来ない」
「はい、そうですね…」
・・・・・・*
「んむっ…んくっ…んんじゅ…じゅるる…っ」
「くっ…っ…たき、な…っ」
ベッドに着いてからはたきなが自分からティークに対して奉仕を始めた。熱っぽく脱がされたズボンから反り立つソレを亀頭から滑り込むように飲み込み、口の中に含んだ部分を舌が這い回る。玉の方も優しく手で転がしてやりながらしっかり亀頭を舐めていく。
「ティークふぁん。これ、ひゅきれすよね?」
「含んだまま喋るんじゃない…っ…上手いんだよたきなのソレ……くっ」
(褒めてくれた…なんか嬉しいかも)
褒めた瞬間、たきなの舌の動きが少し激しくなった。その瞬間、ソレの裏筋が少し膨らんだのがわかる。
「れそうれすふぁ?」
「っ…あぁ…っ…」
射精して、射精して、と誘い込むように吸い上げる口の上下の動き。
「くぁっ…!た、きな…射精るっ……ぐっ!」
「んぶっ!」
いきなり頭を掴んでたきなの喉奥まで押し込む。脈打つイチモツをたきなに押し込んでティークは白濁を吐き続ける。
「っ……っ〜〜っぷは!…はぁ…はぁ…」
「す、すまないたきな。大丈夫か?」
「いえ…っ…んくっ…いつもの事なので大丈夫です」
「お前だからそれ飲むなって」
「いつも奥に押し込んでくる癖に何言ってんですか」
小動物のように愛らしさを持ちながら、狂犬のような荒々しさを合わせているたきな。ティークからみればそういう人に見える。だが、今は違う。本当にただ1人の女の子。自分に尽くしてくれる最高の女。
「ティークさ……っ?」
あまりの愛おしさについティークはたきなの頬に手を添えてしまう。何か言う訳でもなく、たた愛でるだけの手つき。たきなもしばらくその手の温もりを堪能したら、白濁に塗れているティークのイチモツを再び咥えた。
「っおい」
「綺麗に、しまふから…んむっ」
綺麗にするとは言うものの、舌使いと手つきは完全に先程の奉仕のやり方と同じ。まさか二度目を搾り取ろうとしているのではないかとティークは不安と期待を抱きながらも、されるがままにたきなに任せる。小さい口で必死に大きなイチモツを愛でるその姿を見て興奮しない男はいない。そのまま腰を突き上げたい欲を抑えて、放っておくとたきなが終わったと言うように口を離した。
「ふぁぃ…終わりましたよ」
ずるり、と艶めかしく口から抜き取ったイチモツはしっかり綺麗になっている。だがたきなの口の中には舐めとった白濁が入っていた。それもまた、たきなは容赦なく飲み込んだ。
「今日はいつもより多い気がします」
「その分析はやめてくれ。居た堪れない」
「気持ち良かったですか?」
首を傾げるたきなにまたときめいて。抱き寄せる。
「当たり前だろ。毎回気絶しそうな程気持ちいいに決まってる」
「それは…盛りすぎじゃないですか?」
「いや、常套句だな」
「雰囲気台無しです」
「それは悪かった」
「ひゃっ」
トン、と今度はティークが上になり、二人は顔を見合わせる。しっかり顔を見合ったことがあまり無い二人はあれやこれやと目を配ってしまう。それを含めて、ティークから出てきた言葉があった。
「たきな…」
「はい」
「好きだ」
「───ぇ?」
何気ない一言のような。一世一代の告白のような。そんな雰囲気の言葉に発音だった。好きという言葉の意味を今まで理解しているつもりだったのに、今ティークから言われた好きという言葉はたきなの心を深く深く貫いた。鼓動が高なって、血流が一気に進んだ気がした。嬉しくて嬉しくて堪らなくてティークの顔をまともに見れなくなった。
「たきな?」
「いえっ…その、ちょ、ちょっと待ってください…!」
この人はこんなにイケメンだっただろうか。実際にはそれなりにイケメンなのだが、それでも、こんなにも自分を高鳴らせてくれる人だっただろうか。今更になって裸でいる事が恥ずかしくなり布団を被る。顔を逸らしたまま、さっきの好きだという言葉を反芻する。まるで『意味が違っている』ように聞こえた。本当にさっきまでの行為を含めて今の好きは『意味が違った』。
「ティークさん…本当にわたしの事好きなんですか?」
「当たり前だろう。俺達はもう、慰め合う中じゃない。今は真剣にたきなに恋をしている。お前以外考えられないほどにな」
頬に添えられた手がとても暖かい。さっきまでハッキリしていた意識が惚けてしまう程に優しい体温。添えられた手に自分の両手を重ねて、下腹部がときめいたのを感じる。
「わたしも…好き、です。大好きなんです。貴方が……んぅっ…」
ティークの手を取って懇願するように唇を押し付ける。その顔は完全に堕ちた雌の顔。
「貴方に、愛されたい…です。わたし」
しどろもどろな言葉とは裏腹に真っ直ぐに伝えてきた。真っ直ぐ伝えられる事がこんなにも刺激が強いとは思わなかったたきなは自分がいかに恋愛に興味を示していなかったか理解出来た。だからこそ、いきり勃ったそのイチモツがどれだけ目の前の女を欲しているのかも理解出来た。
・・・・・・*
「ん…っ…ぁ、んむっ…んんっ…」
かれこれ数十分。撫でるだけのディープキス。たきなの告白から二人は夢中になって唇を貪りあっていた。たきなの顔が余計にふわふわと蕩けているのがよく分かる。そんな顔を見せられてしまったらティークのイチモツも限界だと痛みで訴えてくる。そろそろ本番を始めようと体制を変えるために腕に力を入れた瞬間だった。
「っ…」
「!、まだ、痛む所が?」
「いや、大した事はないんだが、腕がまだ完全に治ってなくてな…」
「なら、今日はわたしがシます」
「なに?……なっ!?」
たきなは言うと半場強引にティークを押し倒した。いきり勃つイチモツを握ると、自分の秘裂に当てがった。突然の行動にティークも少し慌てるが、止めようとはしなかった。震えているわけではない、だが少し臆病な雰囲気を醸し出している。思えば、たきなが自分から挿入れるのは初めての事だった。
「おい、あまり無理するな」
「してません。自分でも挿入れられますから…っ」
少し不慣れな手つきだが、確かにイチモツはたきなの腟内へ入っていく。
「ぁ、はぁ、ぁぁぁぁぁ……」
ズププ、と鈍い水の音。相変わらず締まりの効いた腟内はティークのイチモツをしっかりと包んで離さない。
「はい…り、ました…っ」
「大丈夫か?たきな」
「あっ…!まっ、動かない…でっ…!」
たきなは挿入れたモノを馴染ませるように、腰を回す。腟内を広げてもっと奥まで入れ込みたいと体が勝手に反応しているようだ。
「たきな……」
薄い体に小さな手。長い髪にアメジストの瞳。これで興奮しない男は居ないと常々思ってしまう。なんて美しく妖艶な女性なのだろう。自分の女は。こんな時ばかりそう思い出してしまう。そんなティークを知ってか知らずか、たきなはいきなりティークの唇を自分の唇で塞いできた。
「もう…動いても大丈夫ですよ。あなたのは少し大きいですから、入れた後はちょっと馴染ませないとわたしがいっぱいいっぱいになっちゃって…」
「っ…!」
そんな可愛いことを言わないで欲しい。今あるたきなの全てを潰したくなってしまう。男である欲求と雄である渇望が入り交じりティークは息を飲む。それを全て押し殺しながら今は優しく突き上げていく。
徐々にペースを上げながら、たきなの反応を伺いつつ、自分のペースに持ち込もうとしている。
「ふぁっ…ぁ…こ、れ…好き…です…っ…あ…」
たきなは上から突かれるよりも下から突き上げられる方が好きらしい。騎乗位になる度に声が甘くなる。ティークの長さだとたきなの子宮へすぐに届いてしまう。直接子宮を叩かれているたきなはすぐに堪えられなくなり、ティークへ寄りかかってしまう。抱き締められながら耳元でたきなの甘い喘ぎ声がずっと頭の中に響いてくるからティークも騎乗位を止められない。
「好き…っ…好きです…っ、ティー、クさ…あんっ…はぁ…んっ…」
今の今までずっと好きなんて言えなかった二人。それを埋めるように今の時間を噛み締める。
ティークはたきなを愛し。
たきなはティークへ思いを伝える。
密度の甘いセックスをするのは初めてで二人とも理性が飛んで完全に時間も忘れて互いが互いへ快楽を愛を与える。
「腰っ…それ、押さえつけ…っ…ないで…届いちゃ…んんんっ…!」
「たきな、これ好きなんだろ?ここ、これか?」
「んあっ…!や、め、ダ、メダメです…っ…そこ、当たって…やぁっ…!」
「好きなのか?ん?どうなんだ?」
「っ…ひっぁぁぁ…好きぃ…大好きれ、すっ……!」
ふわふわになった口調と縋るように体を擦り付けてくるたきなを見てティークも加虐心を擽られすぐさま、たきなの腰を押さえつけてより奥へ奥へと差し込んでいく。
「っお゙!?ッッ…!ま゙っ…へぇ…!ぉお゙っ!」
更に強く突き上げてやる。たきなから野太い声が出るがティークは余計に昂ってしまう。瞳の藍が余計に濃くなってしまう。自分のせいで乱れる女がこれ程までに甘いものだとは思わなかった。寄りかかったたきなの頭と腰を押さえつけたまま子宮を殴るようにイチモツを突き上げ続ける。
「ぉ゙っ…!てぃ、さっ…ィくっ…!わたし…ッイク…!」
「っ…たきな…!」
求めるような締めつけにティークも限界になり、白濁を吐き出してしまった。
「っ…ぐ!」
「あ゙ぁっ…!っ、っっっ〜〜〜〜〜!!!」
・・・・・・*
「…………」
行為が終わってお互いにまた汗をシャワーで流した後、たきなはず〜〜っと、ティークのベッドの隅で蹲っていた。
「たきな?」
「殺してください」
「無茶言うな。賢者モードには早いぞ」
「わたし…自分があんなになるって知らなくて…」
「最初はそんなもんじゃないか」
「でもわたし達何回かシてますよね?」
「真正面から言葉を交わしたのは初めてかもな」
「………そういう事ですか」
するとまた恥ずかしくなったのかたきなは顔を隠す。そんな仕草に一々ときめいてしまうティークはそんな自分を鼻で笑ってしまった。
「いま笑いました?」
「自分の事だ。お前じゃない」
「むぅ…」
「今日はもう寝よう。俺も満足したし、疲れてしまった」
誘われるようにベッドに倒されるたきな。抱き寄せられたその体にはまた硬いものが当たっていた。
「あの、これ、大きくなってますけど…?」
「まぁ、たきなの体が当たっているんだから仕方ないな」
「また、シますか?」
「いやいい。これは興奮してる訳じゃない。気にしたなくていい」
「わたしが気にするんですが…」
「触ってもいいぞ?あまり反応しないだろうがな」
「いえ…だったら、わたしの休みます。これ以上ヤッたら明日立てなくなりそうなので…」
ぽすん、と可愛い音を立てティークの隣に倒れるたきな。小さくあくびをするとティークにもあくびが移ってしまった。
・・・・・・*
「「おはようございます」」
翌朝、二人はいつも通りに喫茶リコリコへ出勤。一つ違うことがあるとするなら二人揃って同伴出勤をしている事だった。
「あぁ、おはよう二人とも。二人揃っては珍しいな」
「おはようございます店長。昨日の件もありまして、二人で来ました」
「そうだったな。昨日はご苦労だった。今日の営業は無理するなよ。千束達の方が元気だからな」
「はい、ありがとうございます」
二人はリコリコの制服に着替えるためそれぞれの更衣室に入る。そして、たきなの目の前には当然先に来ていた千束が居た。
「おはようございます。千束」
「おはよう、たきな。お?なんか顔色いい?」
「そうですか?同じだと思いますけど」
「そうかな〜?なんか悩みが解決したって顔してるけど?」
「まぁ、確かにそれは事実かも知れませんね」
ロッカーにカバンを置いて制服を取り出す。が、そこでたきなはピタリと動きを止めてしまった。あまりに不思議な行動に千束は首を傾げてしまう。
「着替えないの?」
「いえ、着替えますよ。でも、千束は出ていってください」
「なんでぇ!?」
「何でもです。いいから。はい。出てく」
「うぇぇぇ…たきな冷た〜い」
あからさまに肩をガッカリと落として千束は更衣室を出ようとしたその瞬間───
「っほい!」
「いっ!?」
たきなの下ろした流麗な髪を広げ項を顕にする。するとそこには昨日の二人の愛の証拠がたきなの項にびっしりと付いていた。
「あらら〜…こりゃまた…」
「や、やめてくださいっ!」
「へぇ〜、あのたきながねぇ〜」
「なんですかその顔…やめてください千束」
「心臓が逃げる〜、って言ってたのが懐かしいわ」
「忘れてください。終わった事なんて。全部過去です」
「っははは、過去って!何その言い方…ぷっくく…」
「笑わないでください、千束!」
「えっへへ〜ごめんごめん。怒ってるたきなも可愛いよ」
「そのニヤケ顔はムカつきます!ちょ…っ、このっ!」
「はいはい、ファンデで隠してあげるから大人しくしてね〜」
終わり。
「おはよう。蒼真」
「おぅ、おはようティーク。俺より遅いの珍しいな」
「久しぶり4時間以上寝たからな。体が着いてこないんだよ」
「え、寝れたのお前?」
「いや、一人の時は無理だ。昨日はたきなと居たからな」
「そっか。もうお前にはたきなは居なくちゃいけない人だな」
「その言い方どうなんだ?」
「ぇ?いや意味は合ってるだろ?違った?」
「や、まぁ…そうなんだがな…」
「本当にお前面白いな。昔と随分変わったよ。本当に」
「………そうか?」
「そうだよ。ちゃんと変われてるよ。俺もお前も。だから、俺らは───ぎゃぁ!いだいだい!なんでこめかみ!?」
「なんとなくだ」
「お前最近掴み系のキャラ使うと思ったらそういうことか!痛いってふざきんにゃ!」
「くらえパルマフィオキーナ」
「ぎゃぁぁ!輻射推進型自在可動有線式徹甲砲撃右腕部〜!!」