粛正音楽学院には室内温水プールがある。
著名な音楽家や芸能関係者のみならず資産家の令嬢が通うこの学院が潤沢な資金(一説には父母からの多額の寄付金があったとされる)を得て建築したこの設備は、24時間循環式で高機能なフィルターとオゾン殺菌により塩素注入量を最低限に抑えて生徒の髪質を最大限痛めない配慮が行き届いている。この高性能な濾過装置を並列交互に運用することで一年を通して清潔で適温な状態を保っていた。
体育の授業や部活動に使用する時間以外にも開放されており生徒達のリラクゼーション等にも使用される機会も多い。
つまり日曜日とは言えど他の生徒が利用している中、寮の管理人である臭作が堂々と入れる訳がない。
だが絵里の眼前には水鏡のようなプールと無人のプールサイドが広がっていた。
「なんだよ、誰もいねえじゃねえか」
むしろいない事に胸を撫で下ろしていた絵里はびっくりしながら臭作を見る。
「ちったあ目の保養になると思ったけどよ。どうやらメンテの日だったらしいな」
なるほど、人気が無いのはそのせいかと頷く。
「ほら、着替えな」
「はい」
更衣室へ向かおうとする絵里の腕が掴まれる。
「え?」
「ここで着替えるんだよ」
「え!でもここじゃ…」
「いいから早くしろ」
「はい…」
もはや臭作の言いなりの絵里はもそもそと着替え始めた。
着替え始める絵里をよそに、臭作は持ち込んだポットにプールの水を汲み、休憩用のベンチに腰掛け、焼酎を取り出す。
絵里の着替えを肴に焼酎のプール割りを飲み始めた。
「ぷはぁ…経血まじりのプールの水で割った焼酎は格別だぜ」
加藤さん…生理中の子はプールに入りませんよ。
心の中でツッコミつつ私は服を脱ぎ終えた。
周りに人が居ないとはいえ広々とした空間に身体を晒すのは抵抗があった。
素早くバッグから取り出した水着を履く。
競泳用に似たシルエットの水着が私のの体型をトレースしていく。
見られていることを意識してもじもじしながら水着のラインを直す。
剃られているから気にする必要がないけどそういう問題ではない、気がする。
「あの…加藤さん。着替え終わりました」
「あ?着替え終わったんならさっさと泳いでこい。俺はここで焼酎の経血割り飲んでるから」
だから生理中の子はプールに入らないって…
心の中で呟きながらプールのそばで水を浴びる。
水着の前面が水を吸い込み色濃く変色し肌にピッタリ吸い付いた感触にちょっと居心地の悪さを感じる。
「ぷはぁ、もう一杯いっとくか」
加藤さんはまた温い水割りを作り始めたらしい。
軽くてため息を吐きプールに飛び込む。
久しぶりのプールが気持ち良い。
土日の二日間しか存在しない世界。
でもその前の記憶は存在する。
私はいつからこのループする世界に存在するようになったんだろう。
水中を揺蕩いながら黙考する。
加藤さんの背後にあの人の存在を知ってループから逸脱したとき自分がゲームの登場人物である事を知った。
攻略される為に存在する女の子の中で唯一絶対攻略できない存在。
加藤さんからあの人に入れ替わった瞬間にこの世界に生まれた綻び。
この世界に迷い込んだあの人を救いたくて…そして…
たった二日間の逢瀬で決して生まれることはなかったはずの想いを私はあの人に抱いてしまった。
それもこの世界に定められたストーリーに沿ったものだとしたら…
ループから抜け出したと思い込んで再会を誓いトライアンドエラーを繰り返して来た数千回のループですらストーリーの一部だとしたら…
ズクン
胸の奥を鈍い痛みが襲う。
私は余りにも報われないのでは無いか。
水面に顔を出してプールサイドでだらしなく酒を飲む加藤さんを見つめる。
私と同じ記憶を持ったままループするこの人なら…
昨夜の記憶が私の鼓動を早めてくる。
私に悦びを与えてくれるこの人なら…
プールから上がりふらふらと歩み寄っていく。
私からこの苦悩を忘れさせてくれるこの人なら…
水を滴らせながら目の前に立つ。
「あ?なんだ?」
絶対攻略されない私が攻略された今なら…
「お願い。私を…助けて…」
「は?」
この世界にクサビを打ち込み閉塞した世界の外へ歩み出す機会を…
倒れ込むように加藤さんの胸に飛び込む。
「なんだよ!濡れたまま抱きついてくんな!酔いが覚めるだろ!」
それがこの人と一緒に歩めるのなら…
「お願いします。もう私…」
「うるせえ!離れ…」
「ん…」
あの時と同じように加藤さんの唇を奪う。
あの人を励ますようにしたキスとは違い、この人を求めるようにキスをする。
絡める舌の味はお酒の刺激がしたけど私の唾液と混ざり薄くなっていく。
最初硬直していた加藤さんの手が私の胸を弄り始める。
薄い水着の生地を通して乳首を刺激されながら揉みしだかれる。
「んっ、あっ、あぁん」
快感に喘いでしまい唇が離れてしまう。
「っなんだよいきなり盛りやがって」
「お願いします。私…もう…もう…」
私の表情を見て悟ったのだろう、加藤さんの口がにやっと歪む。
「いいぜ、言ってみな」
加藤さんの指が水着の上から私のスリットを撫で上げる。
「ああん…わ、私を抱いてください!忘れさせて!」
加藤さんの手を太腿で挟みこみながら私は吐露する。
「あいつはいいのか?忘れていいのか?」
加藤さんに擦られながら腰を揺らめかせ、私は答える。
「もう…んん…いいんです。あなたなんです。ああっ!私は加藤さんと…んんっ、一緒に…先へ…」
加藤さんの手の動きが激しさを増し私の中から熱いものが溢れ出し水着を汚していく。
「ふん、いいぜ。今日に限りお願いを聞いてやる」
「あああっ」
「たっぷりと善がらせてやる。何も考えられなくなるほど脳みそ蕩けさせてやるよ」
私はクッションマットの上に仰向けに横たわり脚を開く。
ジュクジュクと疼く股間を水着越しに加藤さんの肉棒が擦っていく。
「スク水の生地の肌触りがたまんねえぜ」
「んっ…お願い…」
「ちっ…甘えんじゃねえよ。おら、もうちょっと股開け」
言われるままに脚を開ききる。
水着の股布をずらされ、私の剃毛された恥丘が露わになる。
思えばあの時に私は加藤さんのものになっていたのかも知れない。
熱い肉棒が押し当てられそのまま奥まで押し込まれた。
「ああああっ…あん、あん、あん、あん…」
私の嬌声がエコーがかってプールに響く。
「あん、はぁん、あん、いやん、あん…」
肉棒が私の膣壁を抉るたびに頭の中が白く霞む。
「なんだなんだ?媚薬きまってるときより乱れてるじゃねえか」
「はいっ…いいんっ…です…はぁ …ん」
「随分淫乱になったな!絵里お嬢様!」
加藤さんの腰のスピードが上がる。
パンパンパンパン
乾いた音を立てながら加藤さんと私の腰が弾け合う。
私はただひたすら加藤さんを求め続けていた。
「んんーーー!!!!」
ビクンッ!! 絶頂を迎え身体が跳ね上がる。
「おいおい…早すぎだろ…こっからが本番だぞ?」
そう言いながら加藤さんは私を責め立てる。
「あっ…って…イッて…るからぁ…」
「ああ、忘れてしまえ!お前が望んだんだろ!」
腰の動きをグラインドに変え加藤さんが突き上げてくる。
「あぁっ……イクゥ……またイキますぅ」
「もうすっかり俺の肉壺だな。イケよ!」
「んあぁあああ!」
仰け反りながら絶頂する。
ビクンビクンと痙攣する私の身体を抱きかかえ水着の上からでもわかるほど屹立した乳首を口に含まれ舌で転がすように舐め回される。
「あぁん…それ…いい…です」
「そうだ、お前は俺に犯されて悦ぶ肉壺だ」
…その通りだ、なぜなら…
肩紐をずらされ水着を下ろされていく。拘束されていた私の胸が揺れながら露わになっていく。
「はぁん…」
舐めて欲しいと漏れる私の吐息に応えるように剥き出しになった乳首を舌で愛撫されながらゆっくりと突き上げられる。
「ああん…ふぁ…」
甘くも穏やかな刺激に物足りなさそうに腰を揺らすと充血したクリトリスに手を添えられ細かく弾かれる。
その刺激に膣内がキュっと締まり肉棒の形をより鮮明に感じ取る。
…抱かれるたびに私は確かに満たされていくのだ…
甘噛みしていた乳首から口を放し加藤さんのピストンが激しくなり私は再び頂点に昇り詰めていく。
ズンッ…ズンッ…ズンッ…
重く子宮口を突かれながら果てていく。
「はあ、はあ、はあ…」
「おら、へばってんじゃねえ」
…満たされるのなら私は…
加藤さんにしがみつき息を吐いている私を引き剥がすようにマットの上に転がすと水着を剥ぎ取りながら
「おら四つん這いになれ」
…この人に全てを捧げよう…
四つ這いになる私にのしかかりながら肉棒を押し当てられる。
初めてのバックでの挿入に身体が慄く。
期待と不安にマットを見つめる私の顔をリボンを解かれた長い髪が垂れ下がってきた。
「え…」
「バックだと邪魔なんだよ」
吐き捨てるように言いながらズブズブと肉棒が入ってくる。
「あ、ああ、ああっ!」
深く入り込む肉棒に思わず声が出る。
そのまま激しく打ち付けられる肉棒に意識が飛びそうになる。
パンパンパンパン 肌を打つ音がプールの中に響き渡る。
ロングストロークで余すところなく私の膣内を抉り、子宮を叩く。
「あん、あん、あん、あん」
私の目の前で重力に引かれた乳房が激しく前後に揺れている。
その先に見える太腿の内側を私の愛液が流れ落ちている。
獣のように犯されているのに、こんなにも気持ちいいなんて…
揺れる胸を鷲掴みにされ手の力が抜けて崩れ落ちる。
「ほら、しっかりしろ」
力が抜けた両手を引かれて仰反るような体勢で肉棒を受け入れる。
グチョッグチョッ……
激しい水音を立てて抽送を繰り返す加藤さんの動きに合わせ腰を動かす。
もっと、もっと欲しい。
背中越しに聞こえる荒い呼吸に合わせて、ただひたすら快楽を求めて腰を振る。
「あん、すごい、私が、消える、んっ」
パンパンパンパン
腰を打ち付ける音がプールサイドに響く。
私は加藤さんの精を欲して腰を振り続けた。
望めば叶う。
パンパンパンパン 腰の振りが速くなる。
「あ、くる、バックで、イク!」
加藤さんの腰使いが更に速くなりラストスパートをかける。
パンッ! 一際強く打ち込まれた瞬間、加藤さんが射精したのがわかった。
ドクッドクッ……
熱い飛沫が子宮を満たしていく。
こんなにも簡単に…
私も同時に絶頂を迎え、身体中が痙攣する。
下ろした髪を振り乱しながらマットの上に崩れ落ちた。
ビクンッビクンッビクンッ
加藤さんの肉棒が抜かれても身体の震えが止まらない。
身体の中に残る加藤さんのぬくもりを感じて微笑む。
いつかループから抜け出せたら
私は…加藤さんの…
「おい、帰るぞ」
加藤さんの声に現実に引き戻される。
「は、はい」
私は私と加藤さんの痕跡をきれいに片付けて服を着た。
寮への帰り道、少し前を歩く加藤さんの手を見ながら
私はあの手を握りながら帰りたいと思ってしまっていた。
私は今、私の部屋で制服を着て加藤さんの上で跳ねている。
月曜日の朝5時に加藤さんは死ぬ。
この世界のルールだ。
寮から追い出されて死ぬ。
逃げ出して死ぬ。
私に殺される。
死に方はさまざまだけど。
その度に土曜日の朝5時に死に戻る。
死ななかったのはあの人と入れ替わったあの時だけ。
そして
私が攻略された今回はどうなるのかわからない。
もうすぐ朝5時を告げる時計の鐘が鳴る…
ただ一つ確かな事は
ループしてもしなくても
私は加藤さんの肉壺なのだ。