「ようこそ!2次元へ!」
そう声が聞こえた時には僕は砂漠のど真ん中に居た。
「...」
ここはどこだろう、死んだからこんな訳の分からない場所にいるの?...それともやっぱり夢?そうだ夢に違いない
そうぎゅっと手を握りしめて見るが、やはりあの感触が手に残っている。きっと...夢じゃなかったし夢じゃない。あの惨状が...僕の現実だったのだ。僕だけ...助かってしまったのだ、こんな出来損ないな僕だけ...俯いて考えを広げる僕に再度話しかける声があった。
「ほ...ほら2次元なんですよ?もっと喜んで」
ちらりと顔を見ると困ったような顔をしていた、当たり前だ、両親のあんな姿を見て何故笑えるというのだろうか?
「...うるさい。」
「...っ...」
本当に...うるさい、しかしやはり...
「咲...でしょ、だったらわかってよ...」
体育座りでいじけたように言う僕を見て背中をさするようにして僕の顔を覗き込んだ
「ゆっくり...おやすみくださいませ」
彼女はサクニャン、通称咲、妖怪ウォッチ3に出てくるマイニャンの僕のマイニャン、正真正銘画面の中にいる存在だ。
正直...何度思い返してもあの光景を現実だと思えない、でもそれと同時に現実だという証拠とでも言うようにあのぬめった感触とこもった臭いとどうしようもないそこにあった死の恐怖が突きつけられる。
「ゔッ......」
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一通り吐いた、吐くものがもうないがとりあえず吐いた、それでも収まらない、咲はそれに対しただ無言で対応していた、水をくれたりもしたが正直飲む気になれない、まぁもちろんこんな砂漠のど真ん中でそんな事はずっと言ってられないのだが...
なぜこんな場所に居るのだろうか、そんな疑問がそろそろ湧いてきた、そう、よりにもよって砂漠なのだ
それを少し聞いてみた、すると
「あぁ、ここが1番、3次元と近いからですよ」
そう、ニコニコとした笑顔で言われた、3次元と1番近い?...そういえば最初の方に2次元とか言っていたかもしれない、そうなのだろうか?...別になんだかどうでもいい気がしてきた
「...まぁ...ありがとう」
一応お礼を言う、助けて...貰ったのだから。...あんなにあの時は生きたいと願ったのにどうもあの時死んだなら良かったのではないかと思いが過ぎる、なんで特出する程裕福でもない僕の家に強盗なんて入ったのか、なんで僕の誕生日だったのか、なんで僕が生き残っていたのか、また疑問よりもそんな思いが頭を埋め尽くす、そんな僕を察して咲が僕に声をかけた。
「少し歩きませんか?...と言ってもあまり歩くと危ないですが」
...僕はそっと頷いた
砂漠はどこまでも砂漠なようで、気を抜かなくてもさっき居た場所さえわからなくなりそうだ。咲はいつの間に人型になっている
「私、なぎさちゃんに出会えてよかったです。」
唐突にそんな事を言われた、なぎさと言うのは僕のゲーム内で使っていた名前だが、こんな態度の悪い奴に出会って何が良かったというのだろう、僕はなんて返せばいいのかわからなかった、まだ高い日が砂漠にいるには合わないような服装の僕の肌を照りつける。
「お誕生日、おめでとうございます。」
咲はまた僕の顔を覗き込み、にっこり笑って言った
...僕はその時に自分の頬が濡れた事に気がついた、いやどちらかと言えばさっきまで泣いてなかった事に気がついた。
なんでかはわからない、けれど僕はそこでようやくお母さんもお父さんも死んでしまって僕は今生きているのだということを理解した、力の抜ける足と舞い散る砂、僕はただ怖くてどうしようもなく切なくて苦しいのだった、理屈も自分を責め立てる言葉も無意味に。