※この作品はR-18です。

カラミざかり 青の季節    作:みやびまい

5 / 7
 この物語はもし山岸高成があの時飯田里帆とヤれていたらのif妄想ストーリーとなります。某所で更新していたものを大幅に加筆修正し再編集したものになります。
 
 設定も本作独自のものがいくつかあります。
 キャラクターの外見や性格についてはリメイク版と原作ごちゃまぜになってます(ハゲはリメイク版要素強めです)
 長いので一気読み推奨です

 
 ラストに少しだけNTR描写があります
 なんでも許せる方はどうぞ


Vol.3前編 青い新学期編

 里帆から挨拶を受け高成もまた挨拶を返す。里帆の様子は最後に会った夏祭りの時とは特に変わりは無かった。貴史が久しぶりだな、元気にしてたか?と聞くとうん。と頷く。

 

「飯田はあれから何して過ごしてたんだ?」

「ああ、個別指導の塾に何日か…」

「マジで?高成も予備校行ってたし、そろそろおれも勉強真面目にした方がいいかね…」

「まあ貴史はまずは野球だろうなあ、よく見たら結構肌焼けてんな」

「そうなんだよ、思ったより染みる…」

 

 3人が会話していると智乃がそこにやってくる。

 

「おっすー。皆久しぶり。元気?」

「おう新山?おれは見ての通り元気だぞー!」

「ほんと暑苦しいやつ…里帆も山岸も久しぶり。」

「うん…久しぶり」

(新山…そっか、飯田の事…)

 

 こうして新学期は静かに幕を開けたのだった。

 一方その頃優里もまた新学期を迎えていたのだった。クラスメイトから挨拶を受け、日向と教室でくつろいでいた。

 

「でさ、セフレの人昨日会ったんだけどさ、結構かっこいいし上手くて最高だったわけよ」

「そうなんだ。どういう人?」

「こことは別の高校で3年って言ってた」

「へぇ~…忙しいだろうによく会ってくれたね…」

「確かに勉強で忙しい言ってたね、また今度も会う約束してきたから楽しみ―」

 

 優里はラインを開き高成とのやり取りを見つめる。

 

「また山岸くん達とどっか行きたいね。」

「確かに。」

 

 そして高成たちの通う高校では、宿題を提出したり授業が再開されたりといつもの日常に戻りつつあった。貴史も部活へと戻っている為、以前のように高成たちを行為へ誘う事は無くなった。

 学力テストに文化祭の話、夏休みの思い出を語るクラスメイト達。それらを目にしながら高成はある事を感じていた。

 …それはまるで夏休み前、あの何度も絡み合った出来事がきれいさっぱり無かった事になっているようだと高成は捉えていたのだ。

 

(もう…しないんだよな。多分)

(…いや何考えてるんだ。それが普通なのに…)

(貴史も部活に復帰して新山とも飯田ともあまり話さなくなった) 

(それだけは確かだな)

 

 …新学期から数日が経過したある日の事

 

「山岸。一緒にお昼食べない?」

「新山…いいけど、飯田は?」

「図書室行くって」

「そっか」

 

 智乃の意外な誘いに高成は深く考えずに一緒に昼食を取る事にした。

 

「新山はさ、夏休みどっかいったりしてたの?」

「まあ…ショッピングとか。山岸は予備校だっけ?」

「うん。そういや、飯田は図書室行くって言ってたけど何か調べもの?」

「そうじゃない?最近ちょいちょい行ってるみたい」

「ふうん…」

 

 以前にも高成は里帆を書店で見かけ、そこで優里が本を拾ったりと色々あった事を思いだす。

 

「勉強?やっぱ里帆のママがそういうの厳しいのかな?」

「どうだろうね…」

 

 高成は胸の内でまたちりちりとした名状しがたい何かがうごめいたような、そんな何かを感じていた。高成はそれを感じながら弁当を食べているとラインが届く。

 

「誰?」

「誰だろ…茜谷さんだ。」

「…もしかしてあの赤いセーラー服の子?」

「うん。」

「いい感じなんだ。」 

「…新山はなんか好きな人とかいたりするの?」

「はあっ?!!…一応いるけど」

「…そっか」

「…まあ、ね…」

「…」

 

 2人はそれ以上は語らず黙々と弁当を食べ終えるのだった。

 

 放課後。貴史はいつも通り部活へと直行し、高成も荷物を片付け帰宅する準備をしているのだった。近くに目をやると智乃と里帆が話しているようだ。どうやら里帆は図書室へ行くので先に帰ってほしいと智乃に言っているようだ。

 

「分かった。気をつけてね」

 

 智乃はそう返し、バッグを持って教室を出る。高成も智乃に続いて教室を出た。智乃と高成は丁度校門を出たところで鉢合わせする。

 

「山岸か、アンタも帰るの?」

「まあ…貴史は部活だしこっちはこの後水泳クラブのプール行こうかなって」

「じゃあ、ちょっとだけ一緒に付き合うか。ちょっと話したい事があるし」

 

 智乃はそう言って高成についてくる事に決めたのだった。

 

「でさ、話したい事って…何?」

「ああ、そうだ…最近里帆よく図書室行くなーって。昼にも言ったでしょ?」

 

 智乃からその事実を知り高成はやっぱ勉強じゃねーの?と呟く。

 

「う~ん…どうだろう…やっぱ勉強か調べ物とかかなあ?でもスマホあるのに調べ物で図書室行くかなあ?」

「どうだろうね…」

 

 2人が思案していると智乃が何かを思いついたような顔で高成に顔を寄せて小声で話しかける

 

「…山岸、明日里帆の事つけてみない?」

「えっ?!!」

「声が大きい!」

「ごめん…」

「とりあえずつけてみたら何してるか分かるし…というか里帆になんで図書室行くのかって聞いても全然答えてくれないから、いっそって感じ」

「そっか…分かった」

「明日また話すわ。じゃあ」

 

 2人はそのまま解散する。智乃からの提案を聞いた高成はこう考えていた。

 

(新山には言えないような理由…なんだろう)

(そういやあの時書店で本探してたな…それと関係あるんだろうか?)

(まさか、誰かとやってるとか…?)

(それは無いか…いや、飯田だしな…)

 

 夜。自室で高成は勉強に打ち込んでいると優里からテレビ電話がかかってくる。

 

「やっほーこんばんは。今大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

「新学期始まったけどどう?」

「いや、まあ…特に何事もなく、かな?」

「そっか。良かったらさ、今月うちの高校で文化祭やるんだけど来る?丁度塚ちゃんと永瀬も山岸くんに会いたいって言ってるし」

 

 突然のお誘いに高成はドキッと心臓が飛び出るような感触を覚えた。

 

「えっいいの?他校だけど…」

「他校でも大丈夫よ~、その辺は高校によって厳しいとこもあるみたいだね…」

「だよねえ、聞く聞く。じゃあ、お邪魔しようかな」

「ウェルカムウェルカム!皆喜ぶと思うし!じゃあ今月の20日だからよろしくね。」

「はーい。」

 

 約束を取り付けると優里は何かを思いだしたのかそうだ、と話を切り出す。

 

「あと勉強はスムーズに行ってる?」

「まあ、なんとか。」

「わかんないとこあったらまたいつでも聞いて。じゃ、切るね。おやすみ。」

「おやすみー」

 

 電話を終えると高成はまだ終わっていない課題に向き合うが中々捗らない。優里からの文化祭の誘いは嬉しいがどうしても里帆の事も気になってしまう自分がいた。

 

(とりあえずは明日…新山と一緒についていって飯田が何してるか確認しないと)

(でも、飯田がすんなり答えを言うような気はしないというか、なんというか…)

(これ以上はやめやめ、課題やんなきゃ)

 

 翌日。智乃と高成は早めに昼食を取り終える。同じく昼食を食べる里帆から今日は今食べるの?と聞かれるも2人はお腹が空いたからとお茶を濁すのだった。

 ーそして里帆はやはり図書室へと赴いたのだった。タイミングをうかがい智乃と高成は里帆の後をつける。そんな彼らに気が付いていない里帆は図書室へと入り、なにやら本を探し始めた。

 

(なんか探してる…?)

 

 どうやら里帆は北陸地方を中心に様々な市町村を記した本を探しているようだ。

 

(以前書店に来たときもそうだ、あの時もああいう系のジャンルの本を探してて…)

 

 すると智乃は里帆を追って図書室へと入っていく。高成は静止するのを振り切って里帆に声をかけるのだった。

 

「里帆。それなに?」

「あっ…」

 

 里帆は驚きのあまり本を落としてしまう。智乃はごめんと言いながらそれを拾い里帆に渡した。

 

「富山か、行きたい場所でもあるの?」

「あー…その、地理の勉強と言うか…」

「勉強?」

「うん…」

 

 いつも通りにこにこと笑みを浮かべた里帆が本を棚に戻そうとした瞬間誰かが里帆を呼ぶ声がする。その声の主はあろうことか夏祭りで一悶着あった芹沢先輩だった。

 …どうやら彼も里帆のあとをつけてきたようだ。

 

「里帆ちゃんお久しぶりー、…ちょっといいかな?ついてきてほしんだけど」

「えっ?!は、はい…」

 

 里帆はそのまま芹沢先輩の後をついていった。智乃は先輩に何か用ですか?と聞くも先輩はちょっとね…とはぐらかすだけだ。不審に智乃は高成を連れてそのまま里帆のあとをつける事に決めた。

 

「あの先輩…」

「なんかいやな予感がする…!山岸、行こう…!」

 

 芹沢先輩は人通りの少ない倉庫の中へ里帆を誘導すると、案の定里帆を押し倒した。高成と智乃は急ぎながらもなるべく音は立てぬよう2人が向かった倉庫へと移動する。

 押し倒された里帆の顔は明らかにひきつっている。

 

「あの、先輩…?どうしました?」

「里帆ちゃんさあ、藤野とやったんだって?聞いたよあいつから。」

「でもおれとはまだやってないよね。だからやらせてくんね?」

「あ…」

「ていうか里帆ちゃんてさ、ビッチなんでしょ?同じクラスの子ともしてるって噂聞いたけど?」

「な…」

 

 里帆は抵抗しようとするも芹沢先輩の力が強く抵抗できない。芹沢先輩は強引に里帆の口をキスしてふさぐとそのまま彼女のパンツの中に指を入れぐちゅぐちゅとかき回す。この時智乃と高成は現場に到着したが、里帆がじたばたとパンツまで露わになった足を動かしている様子が見て取れる。足を動かしている里帆はどうやら強引に自身の中を爪で引っ掻くように掻きまわされている事でかなりの痛みを覚えているようだ。

 

「い“…っ…ぎ…」

「ちょっと落ち着こうねえ?この事皆にばらされたくなければね…じゃ、入れるか」

「っ“…!!それだけはやめてくださいっ…!!」

 

 里帆はそう懇願するも芹沢先輩は聞く耳を持たない。

 

「ちょ、まずいって…!誰かいない?!」

「…いない…!、あ!」 

 

 智乃と高成が助けを求めるため辺りを見回すと丁度体育教師がこちらへとやってきた。教師は智乃と高成にちょっと失礼と言うとそのまま倉庫へと入っていく。そこで目にした光景に教師は思わず絶叫する。

 

「っおまえら!!何やってんだ!!」

「…っ!」

 

 里帆の目は大きく見開かれていた。

 その声は高成と智乃にも大きく聞こえていた。教師は既に下半身を露出した状態の芹沢先輩を里帆から引き離しビンタをかます。里帆はその隙にその場から離れ高成と智乃は里帆の元に向かう。

 

「飯田!こっち!!」

「里帆…っ!」

「智乃ちゃん…!山岸くん…!」

「もう大丈夫だからね…」

 

 智乃がひとまず里帆を慰めると教師は全員職員室へ来るようにと言い放った。教師は芹沢先輩の腕を掴み、先に倉庫を出ていく。3人はそれについていった。

 里帆の身体はがたがたと大きく震えていた。

 

(夏祭りの時よりも震えてる…)

 

「だ、だいじょうぶ…?」

 

 高成がそう里帆に話しかけるも里帆は無言だった。里帆は不安そうにうつむいたまま歩いている。

 

(…)

 

 職員室に到着すると教師はお前らは一体どういう関係なんだ?!と芹沢先輩と里帆に聞く。

 

「あ、あの…夏休みに知り合って」

「付き合ってんのか?」

「いえ…」

「つきあってるならともかく、そうでもないのにああいう事をするのはさすがにどうかと思うぞ」 

「すみません…」

 

 そして教師は高成と智乃にも顔を向ける。

 

「あと山岸と新山だったか。お前らは何しに来たんだ?」

「2人のあとをつけてて…」

「だったら飯田を助けてやらねえとダメだろ。そりゃあお前らにとって芹沢は先輩だし勿論怖いのは分かる。」

「だからといって見殺しにすんのはちげえぞ。」

「すみません…」

「とりあえず芹沢と、飯田だったか…今からご両親に報告するから。まずは飯田だな…」

 

 教師がそう言い電話を掛けようとした瞬間、里帆はすごい勢いでそれを阻んだ。受話器を持つ教師の手を必死に動かせまいと両手で押さえこむ。

 

「ど、どうした飯田…?!」

「はぁっはぁっ…」

「飯田…?」

 

 そんな里帆の息は明らかに荒くなっていた。

 

「先生。この事は私から話します。だから電話かけなくて大丈夫です」

「本当か?ちゃんと言えるのか?」

「言えます。だから大丈夫です。」

「そうか…分かった。じゃあちゃんと言えよ」

「はい。」

 

 教師ははあ。とため息にも似た息をつくと芹沢先輩に向かって話し出した。

 

「芹沢は…電話しといて後で反省文渡すから。多分1週間くらい出席停止にはなるだろうな。しっかり反省しろよ。」

「はい…」

「じゃあ、芹沢以外はもう戻っていいぞ。」 

「はい。失礼しました。」

 

 教師にそう言われ3人は教室へと戻っていく。間にはピリピリとした誰も口を開け無いような雰囲気が漂っている。

 

(なんて話しかけたらいいんだ…)

(しかもあんな余裕ない飯田初めて見たぞ…)

 

 教室に戻ると3人の様子を見た貴史が近寄って来る。どうした?何かあった?と貴史が聞くと智乃は別に、と返すだけだった。

 

(新山の話といいやっぱり…飯田の家庭環境に何かあるのか?)

(でも…新山の言うように他人の家庭環境にあれこれ言うのはなんか違うと思うし、おれには出来ない…)

(飯田…)

(こんな時、茜谷さんならなんて言うんだろう…)

放課後。未だうつむき暗い雰囲気を醸し出してい里帆を見て高成はやはり何か話しかけた方がいいのではないかと考える。

 

(なんか…とりあえずは話しかけてあげた方がいいのかな…)

「あのさ…大丈夫?」

「…うん。」

「そのさ、飯田の家って厳しかったりするの?」

「…まあ…」

(否定はしないか…)

 

 高成の問いには否定しなかったものの、里帆の顔は暗いままだ。

 

「じゃあ、帰るね。また明日。」

「おう、気をつけてな」

 

 里帆はそのまま教室を出て静かに去っていった。

 その頃智乃には藤野先輩から会えないか?という連絡が来ていた。それを見た智乃は了承の返事を送り、急いで指定された場所である藤野先輩の自宅へと向かう。

 

「はあっ…はあっ…」

 

 全速力で走る智乃の胸の内には藤野先輩に対する恋心とあの時抱いた嫉妬心が複雑に絡まっていた。

 

(私は先輩の事が好きなんだ…)

「はっ…はっ…」

 

 藤野先輩の家に到着し、家のドアまでたどり着くと藤野先輩はドアを開ける。既に汗だくで息も上がっている智乃を見て一瞬目を見開くも、いつも通り入ってと彼女に促す。智乃はお邪魔します。と家に入るも全速力で走り続けたからか足がもつれ段差に躓き転んでしまった。

 

「うわ!…いたた…」

「だ、大丈夫?!」

 

 これには藤野先輩も驚きを隠せないようだった。智乃は彼の腕と肩を借りてなんとか立ち上がり歩き出す。

 

「智乃ちゃん、お茶でもいる?」

「いいんですか?」

「いいよ。今持ってくるから」

「ありがとうございます。」

 

 藤野先輩は冷蔵庫から麦茶を取り出しコップへとそそぐ。それを智乃の元へ持っていく途中、頭の中でまたある声が響き渡る

 

「藤野先輩、あの時手当してくれてありがとうございます。」

(…!)

 

 藤野先輩はそれを振り払うように智乃の元へと向かい、麦茶を差し出すのだった。

 

「どう?」

「ありがとうございます…」

 

 智乃は麦茶を飲み終えるとコップを藤野先輩へ返す。彼はそれを片付け智乃の元へと戻って来る。

 

「あの、先輩…今日は?」

「ああ…そのさ、智乃ちゃんて4P興味ある?」

「4Pですか…?」

「うん。クラスの男子と他校の女子なんだけど、男子の方は童貞でさ」

「…」

 

 4Pと言っても男子が2人。女子が2人。あの時貴史の家へ行ったときと同じ構図である。

 

(あの時とおんなじ組み合わせか…)

「どう…?智乃ちゃんに任せるけど」

「…」

「…やります。」

 

 智乃がそう言うと玄関にノックする音が響く。藤野先輩が出迎えると男子と女子が2人、部屋へと入って来る。女子が来ていた制服は優里や日向のものと同じ赤いセーラー服だった。

 

(あの山岸が仲良くしていた子と同じとこか…)

(本当は気が乗らないけど…やっぱり私は藤野先輩の事好きなんだ、こんなにも…)

「えーと…君は?」

「新山智乃です。よろしくお願いします。」

 

 智乃は笑顔で彼らを出迎えた。

 

「じゃあ、はじめよっか。」

「おれじゃあ智乃ちゃんとしたい」

 

 童貞の男子はそう言って智乃を抱き寄せ、キスをする。赤いセーラー服の女子は既に藤野先輩とキスをしながらお互いに反応しつつある股座を触りあっていた。智乃はキスをされながらその場面を見つめている。

 

(もしかして、里帆がハゲとやってた時の山岸もこんな気持ちだったんだろうか?)

「智乃ちゃんどうしたの?」

「いえ…なんでもないです。」

「ふっ…んん…」

 

 赤いセーラー服の女子の喘ぎ声が聞えてくる。智乃もまた童貞の男子にそこを指で慣らされていた。

 

(やっぱ藤野先輩の方が上手だ)

「智乃ちゃん…どう…?」

「…」

「あ、…もっとこうした方がいい…?」

(この人、正直に言って下手くそ。)

(流石にはっきり言うのはアレだしなあ…ちょっと演技した方が良いのかな)

(でも…そんな声が出るような気分にはなれない…)

 

 智乃と童貞の男子との間は傍から見てもぎくしゃくしている。

 

「智乃ちゃん…あの…」

「あっ…」

「もうちょい奥、ですね…はい…」

「ここかな…」

「んっ…」

(童貞だって言ってたけどこういうのも初めてなんだろうな)

「ああっ…んんっ…すごいっ…!」

 

 藤野先輩は赤いセーラー服の女子の胸を揉みながら、じゅくじゅくに濡れた中をぐしょぐしょと指でかき回す。智乃の相手をしている童貞の男子とは比べ物にならない程のテクだった。

 

(先輩は違うな…)

(申し訳ないけど、私は先輩が良かった…)

 

 童貞の男子は智乃のシャツを引きはがし、ブラをめくり上げて乳首を吸い上げる。しかし歯が当たり智乃は思わず痛いと声に出してしまう。

 

「いたた…もっと優しく…」

「っごめん…」

(こんな事あんま思いたくないけど下手くそすぎるわ、もうなんか萎えてきた…)

 

 童貞の男子の必死に智乃を悦ばせようとするも、逆に空回りしているようだ。智乃も胸の奥深くでは快楽では無くイライラが募り上がってくるのを自覚する。

 

 そんな彼とは別に藤野先輩は赤いセーラー服の女子を何度かイかせていた。

 

「やばいっそれ…」

「うわっ…ぐちょぐちょだね…」

「んっ…」

(いいなあ…)

(こんなやつとやるなら先輩の方が良い…)

 

 赤いセーラー服の女子の様子を見て藤野先輩はそろそろ入れても良い?と聞くと彼女は了承する。そして勉強机の引き出しからゴムを取り出し、それを装着すると彼女の中に入れようとしたその時。

 

「待って」

「え、智乃ちゃん…?」

 

 智乃は童貞の男子を振りほどき、赤いセーラー服の女子も押しのけて欲しがっていたそれを一気に自身の中へ押し入れるのだった。智乃の予想だにしていなかったあまりにも突然の行動に3人は一瞬驚愕の表情を浮かべる。

 

「はあっはあっ…」

 

 智乃は激しく腰を動かす。それを見た赤いセーラー服の女子は何かを察したのかその場を離れて童貞の男子の傍へ寄った。男子はまだ抜け殻のような表情を浮かべている。

 

「…あの子は藤野君の方がいいみたいね。」

「智乃ちゃん…」

(私は先輩がいい…先輩じゃないとやだ…!) 

 

 智乃は快楽に歪みながらも「誰にも先輩は渡したくない」と言うような鬼の形相で必死に腰を動かす。藤野先輩はそんな智乃を見て顔を赤らめながらもどこかなぜ?と言った表情を浮かべていた。その様子を見た童貞の男子はどこか残念そうな表情をしていた。

 

「はっ…気持ちいいっ…!」

 

 普段は藤野先輩がリードする側ではあるのだが、この時だけは終始智乃がリードする側に立っていた。腰を動かしながら藤野先輩を起こし対面座位の姿勢へと誘導する。そして先輩を抱きしめ唾液を絡めながらキスをしつつ自身の奥深くにゴリゴリとそれを擦り付けるように下半身を動かしていく。

 

「んふっ…ふうっ…」

 

 赤いセーラー服の女子は童貞の男子を押し倒しゴムを付けたうえで先ほどの智乃と同じように騎乗位で責めていった

 

「君初めてなんでしょ?ならこっちがリードするわ」

「うん…なんかごめん…」

「まあまあ、仕方ないよね…」

 

 赤いセーラー服の女子はそのように言ったがやはり女は行為が下手な男よりも上手な男の方が良いというのは当然の事ではある。彼女の言葉からもその事実が例えるなら容器の隙間から漏れ出す液体のように滲み出ている。

 

「ああっ…はあっん…あっ」

 

 智乃は何度も絶頂を迎える。今の彼女には罪悪感という感情は湧いていない。ただただ好きな男「とだけ」交わりたい。それだけだった。

 

「はあん!ああっ、イイっ…!!」

「ああっはあっん!やっぱ、せんぱいが、いいっ…!せんぱいのきもちいいっ…!!」

「智乃、ちゃん…」

 

 智乃が何度目かの絶頂を迎えた時。スマホが鳴る。

 

 藤野先輩のものだ。

 

「ごめん、電話出るわ」

 

 藤野先輩が一度智乃から離れ、スマホを取る。どうやら着信は彼の母親からだった。

 

「もしもし和ちゃん?今どこにいるの?」

「母さん…今は学校から帰ってきて家にいるけど、どうかしたの?」

「ああ、実は急患が入ってきて…お母さん皆でその担当してるから帰りは遅くなるかも…」

「お父さんも今日は当直だからいないのよね…」

「そっか、分かった」

「代わりに叔父さんが今そっちに向かってるから、何かあったら叔父さんがいるからね。勉強とか教えてもらって」

「分かった。じゃ、切るね」

「気をつけてね。」

 

 藤野先輩は手早くピッと電話を切る。そして申し訳なさそうに今日はこれでお開きにしようと言った。

 

「…ごめん。また今度でいいかな」

「いいよいいよ。藤野くんとこ忙しそうだし…また誘って」

「うん。また連絡するね」

「お疲れ様です…」

「智乃ちゃんもごめんね。また連絡する」

「はい。」

 

 3人は着替えてすぐに玄関へと向かうと藤野先輩の叔父が丁度到着した所だった。彼は智乃達3人を不思議そうに見つめる。

 

「和ちゃんーあれ、君らお友達?」

「あっはい。そうです」

「もう夕方だし早く帰った方がいいぞ。皆気をつけてな」

「ありがとうございます…」

 

 智乃たちは足早にマンションを出て帰路に向かう。赤いセーラー服の女子と男子は駅へと走っていった。智乃は1人家路を急ぐ。

 

(ほとんど記憶がない…)

(でも、あの人達を押しのけて先輩としたのは覚えてる…)

(ああ、私は嫌なやつだ…)

 

 帰宅する途中、智乃は他校のカップルと遭遇した。教科書を落としたようで、智乃はそれを拾いあげる。

 

「すみません…ありがとうございます」

「いえいえ、大丈夫ですか?」

「はい。ほら、行くよ!」

「ちょ、待てって!」

 

 カップルは元気よさそうに笑顔で走り出す。智乃はその姿を羨ましそうにじっと眺めていた。

 

「…羨ましいな」

「なんだろう…胸が、痛い…」

 

 智乃の表情は暗くなっていった。

 …そんな智乃が藤野先輩らと絡み合っていた時、高成はある人物と遭遇していた。9月になったとはいえまだまだ夏の日差しがぎらぎらと高成ら道を歩く人達を照らし続けている。

 

「あっついなあ…早く帰ろ。」

 

 手で顔を仰ぎながらとぼとぼと自宅目指して帰っていく。途中で喉が渇いたので駅にある自販機でジュースを買っていると近くから山岸くん!と呼ぶ声がした。高成が振り返ると日向の姿が映る。いつもと違って髪を降ろし、丸いレンズの眼鏡を着用している

 

「誰…?って塚原さんか、おつかれー…髪型変えた?」

「おつかれー…そそ。それにしてもあっついねえ…ここんとこ毎日暑くて授業やテストがきっちい…」

「わかるー…あれ、塚原さんて視力悪かったっけ」

「や、いつもはコンタクトなんだけどー、3日くらい前から結膜炎になってちゃって…」

「まじか…あんま無理しない方が良いと思う。」

「!ありがと…へへっ」

 

 自販機の近くで話していると日向は今暇?と高成に問いかける。高成は特に予定も無いから暇というと日向はちょっと付き合ってほしいと高成を誘う。

 

「?どしたの?」

「へへー…ちょっと、ね?」

 

 高成ははにかみながらどこか何かを隠しているような日向の様子を見てどうかしたの?と聞くと彼女ははぐらかすばかりだった。

 

「もしかして…茜谷さんと喧嘩でもしたの?」

「ううん。あかねちんとは喧嘩してないからだいじょぶ。」

「そっか…聞いてごめん」

「いいよいいよ…」

(あまり深堀しない方がいいのかな…)

 

 日向に言われるままに高成は電車に乗りこむ。どうやら日向は市街地へと行きたがっているようだ。電車内は客がほとんど乗っておらず、静寂が流れる。

 

(なんて話しかけたらいいのか…)

 

 高成が迷っていると日向が高成の肘をつっついて声をかける。

 

「あ、そろそろつくよ」

「マジ?」

 

 目的地へとたどり着くと二人は電車を降りた。そこは予備校より更に市街地へ進んだ場所で多くの人でごった返している。

 

「じゃ、はぐれないようついてきてね」

「お、おう…」

(どこへ行きたいんだろう…)

「こっちこっち」

 

 日向は路地裏へと進んでいくとそこにはネカフェの入っているビルがひっそりとあった。

 

「着いたよ。ここ来た事ある?」

「ううん、初めて来た…」

「そっか、じゃあわかんない事あったら言って。教えたげる。」

「ありがとう…」

 

 高成はおそるおそる日向の後ろを歩いていく。エレベーターに乗ってネカフェへ着くと受付を済ませる。

 

「じゃあ、来て…」

(…個室。もしかして…)

 

 日向の誘いに乗って高成は個室へと入る。すると日向は個室のカギをがちゃっと締める音が響いた。

 

「…山岸くんと「2人っきり」。だ…」

「え…?」

「山岸くん小指出して。」

 

 日向はそう言って高成に小指を出すよう指示した。高成は日向の言われた通りにすると日向は自身の小指を高成の小指に絡ませて「指切りげんまん」をしようとしている。

 

「今からする事は、絶対に誰にも言っちゃあだめだからね。あかねちんは勿論山岸くんの友達にも…」

「…!」

「約束、守れるね…?」

 

 いつもと違う真剣なまなざしで高成を見つめる日向。それに高成は圧倒されかけながらもつばを飲み込み、守ると言った。

 

「じゃあゆーびきーりげーんまんうそついーたーらはりせんぼんのーます。ゆびきった。…これでよし。」

「…何するの?」

 

 高成が日向に問いかけると日向は座って、と高成に言った。

 

「こう?」

「うん。ぐっじょぶ。」

 

 日向は高成の肩に手をやり、キスをした。

 

「んんっ…」

 

 舌を絡ませ合う熱いキスは濃厚でとろけるほど。そこに里帆らとはまた違う感触とアプローチを高成は感じていた。

 

(なんか…緩急を合わせてるというか、ただ快楽任せにやってるって感じじゃない気がする…)

「はあっ…はあっ…」

「んっ…むっ…」

 

 日向はキスをしながら高成の股間をまさぐりそこへ揉むように刺激を与えていく。

 

「気持ちいい…?」

「うん…」

 

 日向は高成のズボンのファスナーを外してそれを取り出すと口の中へと咥え吸いながら頭を上下に動かす。日向が頭を動かすたびにじゅぽじゅぽっという淫らな音が部屋の中に響く。その様子はやはり高生から見ても何度もやり慣れた手つきである。

 

(…っ!やばっ…)

「…もうっ…でそっ…」

「いひよ、ふぁして…」

 

 高成は耐え切れずに日向の口の中に吐き出してしまった。日向はそれをごくんと飲み込む。

 

「へへっ…思ったより濃いねえ…」

 

 高成に対して笑顔でそういうと自身のパンツを脱いでその上へとまたがる。にゅるっとした感覚とぎゅっと締め付ける圧が高成のそこに同時に押しかかってきた。

 

「はあ、やっとやれたあ…」

 

 日向は待ってましたといわんばかりに激しく腰を振り始める。

 

 日向が腰を動かすたびにぱちゅっぷちゅっと水面に手をたたきつけるような音がこだまする。両者の吐息が湿度を伴いながら熱く顔や体を赤く染め上げてゆく。ゆっくり動いたり激しく動いたりと緩急をつけながら高成のそれを奥でぎゅっと締め付けると高成は快楽に染まった声を漏らす。やはりその様子は里帆や、優里、智乃と行為をした時とはまた違った感覚のようだ。

 

「あはっ…ああっ…」

「んっ…どうっ…?」

「きもちいい…」

(まさか、塚原さんと2人っきりでやるとか…)

(飯田もあれだけどこっちはこっちで何考えてんだ…?)

 

 高成は声を漏らしながらも日向の腰に手を添えると起き上がって対面座位の体勢へ持っていく。そして彼女へ疑問を問う事にした。

 

「なんでおれと…」

「ああ、やっぱ、思うよね…」

 

 快楽に歪みつつやっぱり聞かれて当然かとどこか観念した様子で日向は呟いた。

 

「ああん!あっ…まあ、その先に結論から言うと…山岸くんと、したかったから、かな…」

「おれと、したかった、から…?」

 

 山岸が日向の言葉をオウム返しすると、まじで誰にも言わないでと前置きしたうえで日向は心の内を喘ぎながらも告白していく。

 

「実はさ、最初、山岸くんの事、気になっててさ…」

「でも、その時は、永瀬ともしてみたくて…でその日の事があの永瀬の家で、集まっ、た日の事…」

「その後、あかねちんが、山岸くんと…んっ…ラブホテルで、色々あったって聞いて…あかね、ちんは…まあ、そういう事なんだって、気づいた…」

 「あかねちんは、大事な大事な親友だから…応援してあげたい、支えたい、という気持ちは、勿論ある。けど、やっぱ山岸くんの、事、気になって…その後、吉野くんも…気になったというか。」

「そこで、思ったの…私、は、っ…男子が、好きになってるん、じゃなくて、男子の、ちん ぽが好きなんだって…気づいた。…要は、私はマジもんのビッチだって、事…」

「塚原、さん…」

「バカだねえ、私…やっぱ、我慢、出来なかったよ…」

 

 投げやりな笑顔を浮かべながらそう言った日向の声はどこか寂しい。高成は何か声をかけようとするも声は出ない。そこに日向が掌でそっと高成の唇に蓋をする。今はただ私が満足するまで犯してくれと懇願しているようだ。高成は日向の望むままに最奥めがけて何度も突き上げると彼女も快楽に身を任せて喘ぎ続ける。

 

「ああっ!あっ!…もっと、ついてえっ…!」

「はあっ…んっ…」

 

 高成はそのまま日向を押し倒すとセーラー服をたくし上げて胸を揉みながら先ほどよりギアを上げて激しく突きまくる。里帆や優里、智乃よりも華奢な体は例えるならば支えがないと折れてしまいそうだ。

 

「ああっ~っっ!も、イ“クっ…!!」

「も、おれも、やばいっ…」

 

 日向はびくびくと痙攣しながら潮を吹いて絶頂を迎える。高成は彼女の口元に精を吐き出すと舌で綺麗に舐め取って飲み込んだ。

 

「という事で、今日あった事秘密だから。無かった事にしておくか、忘却の彼方にほおり込んどいて。」

「うん。分かった。約束する。」

 

 2人はネカフェから出て駅へと向かう。日向の表情は少し晴れ晴れとしていた。

 

「どうしたの?」

「ううん、なんでもない。ちょっとすっきりしただけ。」

 

 智乃と高成がそれぞれ絡み合った数日後。優里の高校は文化祭を迎えた。高成は正門へ到着すると優里と日向が仮装した姿でやってくる。優里はアリス、日向は魔女っ子のコスプレ衣装だ。

 

「おっすごい…!」

「へへっ似合ってる?」

「うん。」

「ありがとう。」

 

 2人に促されて高成は校舎へと入っていった。

 

「あかねちん顔赤くない?」

「はあ?!」

 

 突然の指摘に優里は更に顔を赤くさせる。

 

「コスプレ初めてだったりする?」

「まあ…そうだけど…」

 

 高成からの問いに優里は目をすこし伏せたまま、日向と共にある場所へと向かっていた。

 

「えーと、とりあえず連れていきたい場所があるんだけど、いい?」

「うん。いいけど…」

「あ、ついたわ。」

 

 ついた先はコスプレショップだった。高成はもしかして…と2人の顔を見る。

 

「そのもしかしてだね~私達もコスプレしてるんだし山岸くんもしたら?」

「えっ」

「いいじゃんいいじゃん~」

 

 結果、高成は優里と日向の押しに負けコスプレする事になった。そんな彼が選択した衣装は新選組風のコスプレである。

 

「おお~!山岸くん着物にあうねえ」

「そ、そう?」

「あかねちんもそう思うでしょ?」

「確かに…!似合ってる…!よし写真撮るか!!」

 

 記念に近くの撮影用パネルで3人で写真を撮影する。似合ってると言われ高成は少し気分よくなっているようだった

 

(久々に着物着てみたけど思ったよりいい感じだ、ちょっと嬉しい)

「じゃあ、私達の屋台へ行こうか」

「りょーかい。どんなとこ?」

「ジュース売ってるの。1つ100円で」

「成程…どれにしようかな」

 

 優里と日向のクラスが運営する屋台へと到着すると、そこにはフランケンシュタインのコスプレをした雄也もいた。高成と雄也はお互い久しぶりとあいさつを交わす。

 

「山岸くん、元気だった?」

「ああ、元気だよ。永瀬さんは?」

「こっちは特にかわり映えなく、だな…衣装似合ってるじゃん」

「へへ…永瀬さんもいいじゃん」

「え~?これ塚原に強引に着させられたやつで…」

「え~永瀬もコスプレしたいって言ってたじゃん」

「いやそれとこれとは違うからね?!」

「で、ジュース何する?茜谷も塚原も」

「あ、えーと…」

 

 雄也に誘われ3人はジュースを決める。日向はイチゴ、優里はオレンジ、高成はリンゴのジュースをそれぞれ選択し100円を支払う。

 

「あ~美味しい…」

「美味しい!永瀬おかわりしていい?」

「どうぞ~100円な」

「じゃあ、やめとく」

「え“ケチ…」

 

 優里がそう呟くと日向は当番いつまでだっけと雄也に質問する。どうやら昼までの担当のようだ。それを聞いた日向はこう提案する。

 

「皆で回らない?山岸くんもいるし」

「そうだなあ、回るか。」

「じゃあ、そろそろ交代の子が来るだろうし、私達はこの辺で待ってるよ」

 

 優里はそう言って日向と高成を近くのベンチへ誘導する。

 

「ふう~ゆっくりジュース飲もうと」

「よいしょっと」

 

 3人はベンチに座り雄也が当番を終えるのを待つ。

 

「茜谷さんと塚原さんは当番大丈夫?」

「明日だから大丈夫よ。」

「そっか。」

「それリンゴジュース美味しいの?」

「え、さっぱりとして美味しいけど…」

「ちょっと失礼」

 

 高成がそう答えると優里は高成からリンゴジュースを取って少しだけ飲む。その様子に高成と日向は目を驚かせる。

 

「うん美味しい…って2人ともどしたの?」

「え、いや…あかねちん意外だなって」

「?」

「いっつも潔癖なのに。山岸くんのおっけーなんだ…」

「!!…そういやそうだ…私なんで…?あっごめん、色々とごめん…」

「いや全然大丈夫だけど…」

(あっこれ触れない方が良かったか?)

 

 優里は動揺を隠しきれない様子だった。オレンジジュースをぐいっと飲み干すと息を大きく深呼吸させる。

 

「なんか今日のあかねちん挙動不審だよ」

「う“…」

「おーーいおまたせーー!」

 

 雄也が3人の元へやってきた。雄也は丁度お腹が空いたので昼ご飯を食べに行こうと提案する。

 日向も高成も優里も賛成し、4人で回る事となった。

 4人は屋台を廻りフライドポテトや焼きそばにお好み焼き、たこ焼きにホットドッグにお菓子にと様々に食材を買い屋内のテーブルで昼食を取る事にした。中でも優里はかなりの量の食材を購入していた。

 

「あかねちん全部食べられるの?」

「お菓子は帰ってからゆっくりおうちで食べるよ。保存効くし」

「茜谷ほんとよく食べるなあ、食べたのどこに詰まってんだ?脳みそ?」

 

 優里はそんな訳ないって…と返しながら焼きそばを頬張りつつ、高成に文化祭はいつやるの?と聞いてきた。

 

「おいしいよねえ、そういやさ山岸くんとこも文化祭やるの?」

「うん。再来週。」

「そっかあ。出し物は?」

「まだ決まってない。明後日月曜のホームルームで決めると思う」

「楽しみだね。」

「へへっ…」

 

 4人の会話が弾む。高成は優里たちを見て本当に雰囲気がよさそうだとひしひしと感じ取っていた。

 

(雰囲気よさそうでいいな)

 

 その後も食事しながらの会話も弾み、優里はかなりの量の食事もぺろっと平らげる。そんな彼女を見て高成は明るい彼女への想いを改めて再確認する。

 

(おれは茜谷さんの事が好きだ。尊敬しているし…)

(あの時君しかいないって言ってくれてすごく嬉しかった。それがずっと心に残っている)

(だけど…あれからずっと茜谷さんの事を想うと、飯田の影がちらついてくる。)

(どうして?理解できないやつの事なんか、考えるだけ無駄なのに…)

 

 高成は優里について考えながら里帆の影が脳裏にちらついていた。そんな中優里が3人に話しかける。

 

「そういやさ、夏の予備校以来か、4人がこうして集まるの」

「そうだねえ」

「山岸くんはさ、もう進路決めてたりするの?」

 

 優里の問いに対し、高成は関東方面で2.3つ…と答えた。優里はそうなんだ。と返すと冬も予備校来る予定?と高成に質問する。

 高成は親との相談次第ではまた来る事になると思うと返すと、優里は今の所冬の予備校に参加する予定である事を明かした。

 

「…なんだかんだ言ってさ、勉強はきつかったけど予備校楽しかったね。」 

「うん。山岸くんとも出会えたし、その点で言えば良い思い出にはなったかな」 

「なんかしんみりした雰囲気だな、お前ららしくねえじゃん」 

「たまにはいいじゃんよー」

 

 予備校での思い出を振り返ると雰囲気は次第にどこか切なさを帯びるようになる。すると日向は3人にこう呼びかけた。

 

「ちょっと移動しない?寒いというか」

「いいよ。どこにする?」

「うーん、じゃあついてきてもらえる?」

「いいけど…」

 

 荷物や食べ終わった食材のトレイや割り箸を片付け、3人は日向の向かいたい先へと付いていく。

 

(…もしかして)

 

 日向に誘われ到着した先は、人の気配もまばらな倉庫化した空き教室だった。

 

「ね…せっかくだし、していかない…?」

「は?塚原何言ってんだ…?」

「だってせっかくだしさ…永瀬も反応してるしねえ?」

「ちょっ…!」

 

 日向はそのまま雄也に抱き付きキスをする。そしてそのまま床に座り込みお互いの身体を触りあうのだった。

 

(やっぱり!そういう流れか…)

「…山岸くん…」

 

 優里はどこか不安そうに高成に声をかける。大丈夫?と高成が話しかけると優里はこうつぶやいた

 

「あのさ…私、相手が山岸くんなら大丈夫だから…」

「…!ほんとうに?」

「ほんとだよ。…駄目かな?無理強いは勿論しないけど」

「…」

(茜谷さん…)

(おれが相手なら大丈夫って言った…)

(あの時も思ったけど、セックスで傷ついたり、嫌な事を感じたりしたのなら…それはセックスでしか癒せない、流せない。そういう事なんだろうか。)

(きっとそうだ。だから、やるしかない…)

 

 高成は優里を抱き寄せ熱くキスをした。優里の身体の体温が高成に伝わってくる。

 

(あたたかい…あの時は最初の方はどこか冷たかったんだよな。今でも覚えてる…)

 

 そしてそのまま優里をそっと押し倒して胸を触りながらキスをし続ける。優里の鼓動が高成の掌に刻み込まれるように脈打っている。

 

「はっ…っ…」

「んっ…」

 

 4人は何かを懐かしむように、なぞるように抱き合いながら快楽に溺れていく。途中で一度日向が雄也から離れ、ワンピースのポケットに入れていた巾着袋からゴムを取り出し高成に渡す。

 

「ありがと…」

 

 濡れたそこを指でなぞり、もみほぐすように奥へと進めていくと優里の喘ぎ声が漏れてくる。

 

(濡れてる…)

 

 ゆっくり指を動かしていき徐々に速度を上げていく。勿論焦ってはいけない。高成は優里の顔を見ながら行為を進めていく。

 

「はあっ…んん…」

「…どう…?」

「うん、いい…」

(もういいかな…)

 

 指を動かす速度をもう2段階くらい上げると優里の喘ぎ声が更に増す。そしてそのまま程なくして優里は絶頂を迎えたのだった。

 

「あっ…はあん…」

「あっ!そこっ…いいっ…!」

 

 向こうの壁側に目線を移すと既に日向は雄也にバックで挿入され、激しく腰をうちつけられていた。そこから優里の元へ目線を動かすと優里と高成は目線がぴたりと合う。

 

「山岸、くん…」

「こっちも…」

「分かった。…入れるね?」

「うん、来て…」

「はっ、んんぅ…」

 

 2人がこうしてつながるのはあの優里の部屋で日向と共に初めて交わった時以来、二度目である。中はうねりながら高成のものをぎゅっと熱くきつく締めあげる。その熱さは高成の胸の奥までじんわりと伝わっていく。

 

「動くよ…」

「うん…」

 

 指で慣らした時と同じように徐々に徐々に腰を激しく打ち付けていく。優里の顔も高成の顔も赤く染まり快楽に歪んでいた。優里は高成の背中に両手を回し指先にぐっと力を入れている。

 …そんな優里と高成の行為を日向も見ていた。

 

「はあっ…あっあっ」

「ん…」

(熱い…) 

 

 高成は息を荒げながらも優里の顔を見つめていた。心の奥底では今もどこか名状しがたき雰囲気を纏う里帆の姿や声がよぎる。しかし優里が自身を必要としてくれている事はたまらなく嬉しいのも事実である。

 里帆とのセックスでは戸惑い、混乱、悩み、傷つき、考えるのをやめた。

 優里とのセックスでは傷ついた優里を助け、自身を必要としてくれた事に嬉しさを感じ、彼女を好きになった。

 

(やる事でこんなに色々経験するとは思わなかった…) 

 

 互いに抱き合いながら2人は達したのだった。

 

 夕方が近づきつつある帰り際。優里はコスプレ衣装から着替えた高成を正門まで見送ってくれた。彼女は高成に感謝の気持ちを伝える。

 

「今日は来てくれてありがとう。楽しかった。」

「おれも…楽しかった。他校来ること自体初めてだったし新鮮だったかも」

「そっか。」

 

 優里は嬉しそうにはにかむ。腕時計にちらっと目線を傾けると片付けがあるので行かないと、と高成に伝える。

 

「ごめん、もう行くわ」

「わかった。気をつけて。」

「うん、また連絡するね」

 

 優里は速足で屋台の方へと向かっていった。高成は彼女の後ろ姿と校舎を眺め、今日あった出来事を脳内で振り返る。

 

(楽しかったなー。雰囲気も良くて)

(うちの高校とはまた違う感じだし)

(また茜谷さん達と会えるかな?)

 

 高成はすっと振り返り、帰路につくのだった。

 そして優里は片付けを終えたのち、日向と共にコスプレ衣装から制服へと着替え衣装を返却しに行っていた。返却された衣装がつるされているラックには高成が着ていた新選組風の衣装もある。優里はそれをぼんやり眺めていると日向から声をかけられる。

 

「あかねちーん?」

「あっ…どうかした?」

「いやなんかぼんやりしてたから声かけてみただけ」

「…山岸くんの事?」

 

 日向が優里の核心をつく言葉を発する。日ごろから日向の洞察力の鋭さは優里も知っている通りではあるのだが、優里は動揺を見せてしまう。そんな優里を見た日向は背中をぽんと優しく叩きこう言った。

 

「まあ、久々にヤレて良かったじゃん?」

「…まあ、うん、そうだけど…」

「良かった良くなかったで言えば?」

 

 日向の声はどこか優里を試すような、優里の心の奥から何かを引き出そうとするような雰囲気を漂わせている。

 

「…良かった」

「そっか。じゃ、帰ろっか」

「うん。」

 

 笑みを浮かべた日向の声に促され優里は日向と共に自宅へと帰っていった。

 夜。優里は1人浴槽で半身浴をしながら今日あった出来事を振り返っていた。顔や首、胸元からは汗が絶えずにじみ出ている。汗を首にかけたタオルで拭いながら優里は時折両手を伸ばしたり足を伸ばしたりふくらはぎをマッサージしたりしている。

 

「今日で2回目か、山岸くんとするの。」

 

 以前自室で日向のサポートもありつつ高成と交わったのが1回目。そして今日コスプレ姿で交わったのが2回目である。優里はそれを指折り数える。思いだしつつも優里のそこは徐々に疼いてゆくのが分かる。優里は頭の先まで10秒ほど潜る。

 

(なんか恥ずかしいというかドキドキしてきた…)

(でも、私は山岸くんとじゃなきゃ出来ない。)

(やっぱ私は山岸くんの事が好きだと改めて思う…)

(好きなんだ…)

「なんか、今年は色々あったなあ…まだ秋なのに」

 

 優里は静かな水の中で高成への想いを確かめていく。

 

(これまでセッ クスという行為自体苦手というか、下ネタ全般が無理だった。怖さがあった。)

(あの元彼相手にもそうだった…変わらなかった。それがしんどかった。もっと早くに別れていたら…)

(けど山岸くんだけは大丈夫。なぜかはよくわからない。好きだから?安心できるから?もしかして山岸くんが私の運命の相手?)

(山岸くんも…しんどかった。あの里帆ちゃんの事とかで…)

(私とする時は何考えてたんだろう?あの2人でラブホテルへ行った時はぎゅっと私の事抱き締めてた…)

(どこかしんどいような…山岸くんはあの時、何を感じてたんだろう?)

(なんだろう?何かがあるはず…)

(何かが…引っかかるような…)

 

 数日後。高成の通う高校では文化祭の出し物を決めていた。

 

「では、うちのクラスの出し物はコスプレ喫茶に決まりました!」

「はい!それでは次は係を決めたいと思います!」

 

 係が次々と決まっていく。結果高成は貴史と里帆と智乃と共に看板製作係に決定した。4人は集まりわいわいと話し始める。

 

「またおまえらかよ」

「いいじゃん別に」

「とりま今日の放課後どこでデザイン決める?」

「図書室か…空き教室か…」

「とりあえずここで決める…?何かあれば移動するとか」

「じゃ、それで。後ろのロッカーにマジックとかあるしなんとかいけるっしょ。買い出しあるなら行こうか?」

「じゃあ、新山にお願いしようか」

「一応吉野も連れて行くから」

「はっ?」

 

 買い出しや必要なものなどスムーズに決まっていく。里帆は黙ったままだ。そんな里帆に智乃は声をかける

「里帆は何か…提案とかやってみたいこととかある?こういうのやりたい的な」

「あー…う~ん…」

「その、デザインやってみてもいい?絵ならちょっとだけ描けるから」

「いいよ。」

(飯田のイラストか…見てみたいな)

(こっちの文化祭はどうなるんだろう)

 

 智乃のてきぱきとした先導により看板製作にあたり具体的に何が必要か、どのくらいの大きさか、いくつ用意するかが決まった所でホームルームは終了となり各々自身の席に帰っていった。

 

(新山のおかげでさくさく決まって良かった。あとは放課後だなあ…)

 

 ホームルームが終わり休み時間を経て現代文の授業が始まる。

 

 高成はすぐ後ろの席に座っている里帆の後ろ姿を眺める。里帆は真面目に授業を受けていた。するとふと優里の姿が高成の脳裏に浮かぶ。それは真夏の道路に現れる陽炎のようだ。高成は無意識に里帆と優里の姿を対比させる。なぜ対比させたのか自分でもわかってはいなかった。

 

(こうしてみるとそっくりなのに…)

(やったりして色々感じた事は2人とも違う)

(茜谷さんの事考えると飯田の影みたいなのに引っ張られそうになるし)

(飯田の事考えると茜谷さんが陽炎みたいに浮かんでくる。)

(なんでだ…?)

(おれは茜谷さんの事が好き…?なのに…?)

(なんで疑問形になるんだ…?)

「…さん、山岸さん!」

「おい!こーせー!先生に呼ばれてんぞ!読むのはここの問題文!!」

「あっ!はっはい!!」

「大丈夫ですか?少しぼーっとしてたように見えましたが…体調が悪いなら保健室へいく?」

「あ、いえ…大丈夫です。」

 

 高成は教師の呼びかけに大丈夫と返し、その後は何事もなかったかのように問題文を読み上げた。その高成の姿に里帆は一瞬高成の方へと振り向くもすぐにまた黒板の方へと向かっていった。

 

「はあ…」

「こーせー大丈夫か?」

「大丈夫。ぼーっとしてた。」

「寝不足なんじゃねーの?」

「それは…あるかも」

「じゃあ今のうちに寝た方がいんじゃね?」

「分かった、そうする…」

 

 貴史の提案を受け高成は自身を落ち着かせるためにも目をつむって仮眠を取る事にした。その直後別のクラスにいる野球部の部員が貴史を呼びに来る。どうやらミーティングがあるようだ。

 

「ごめん、こーせーちょっと行ってくるわ」

「りょーかい…」

 

 貴史は足早に教室を後にした。高成は雑念を振り払うかの如く目をつむる。彼の耳にはクラスメイトの話し声がこだましていく。

 

(何も考えない。考えない…考えない…)

(分からないなら考えたって答えなんか出ない…)

 

 その頃。貴史たち野球部員は空き教室に集合していた。勿論竹内先輩含め引退したばかりの3年生たちもいる。竹内先輩は3年生ではあるが、マネージャーの数が足りない為、引退後も同級生と共にマネージャーの仕事に取り組んでいる。

 

 今後の練習試合や日程についてのミーティングが終わったのち、貴史ら部員は解散となった。しかし…

 

「竹内は残るように」

「はっはい!」

 

 竹内先輩だけが監督と部長を任されている教師に残るよう指示が入った。貴史は一瞬胸の内をざわめかせる。

 

(なんだ…?なんか変な予感がする)

(出たふりして、近くにいようか…?)

「おいおい、竹内なんかやらかしたか?」

「いやいやそんな事は…」

(加藤先輩達もいる…ちょっと離れた方がいいか?)

「じゃあ、お前らは申し訳ないけどこれで終わりだから出ていって。竹内、ちょっと話がある」

 

 この高校の野球部の監督はかつて大学で野球を指導してきた人物であり、部長を任されている顧問教師は普段学校では生徒指導役も担っている数学担当教師で竹内先輩の副担任である。監督は教室の扉を閉め、竹内先輩に椅子に座るよう促した。竹内先輩はおそるおそる椅子に座る。

 

「あの…話とは?」

「ああ、とりあえずこれを見てほしい。これに映っているのは竹内で間違いないな?」

「あ…」

 

 部長はスマホを取り出して竹内先輩にある画像を見せる。それはラブホテルから貴史と共に出てきた瞬間をとらえたもの、すなわちあの時高成や優里たちとキャッチボールを楽しんだ際に襲い掛かってきたゲリラ雷雨によってラブホテルへと雨宿りし、その帰りに何者かによって撮影されたものだった。幸いかどうかは分からないが貴史は後ろ姿が映っているだけで貴史だと判別できるものは映ってはいない。

 

 しかし竹内先輩が男とラブホテルから出てきているという紛れもない事実は否定しようがなかった。

 

「これは…一体どういう事だ。もしかして彼氏か?」

「はい…」

「まあ普通に健全に付き合うなら先生も文句は言わん。ただ…」

「こういうのは流石にまずいとは思わなかったのか?高校生なんだから分かるだろそれくらい」

「…すみませんでした。私の至らぬミスです。」

「先生、最近3年はほんと素行に問題起こす奴多くねえか?最近芹沢が2年の女子襲って出席停止喰らったんだったか」

「監督よく知ってますね…ほんと困りもんですよ。発情期かっつーの」

「加藤らが言ってたからな。」

「竹内。相手の男子は…うちの野球部のやつか?正直に言ってくれ」

 

 竹内先輩は一瞬迷うような表情を見せたがこう答えた。

 

「いえ、違います…」

「そうか、なら申し訳ないけど別れた方が良いな。」

「はい。そうします。」

「この話はこれで終わり。竹内、とりあえず反省文渡すから期日までに書き上げるように。マネの人数足りないから部活にはいつも通り来てもらうからそのつもりで。」

「はい。ご迷惑おかけしてすみませんでした」

「ほんと気をつけろよ。病気移されたり妊娠したらどうするつもりだ?」

「はい…」

 

 3人は静かに立ち上がり教室を去る。少し離れた廊下の角で貴史は竹内先輩の寂しそうな背中をじっと見つめている。すると竹内先輩に向かって彼女のクラスメイトで先日引退した野球部部員である加藤先輩が近づき神妙そうに話しかける。

 

「おい、何があったんだ?」

「いやー…その…」

 

 2人が話している途中で貴史の視界から二人の姿は消える。貴史は胸の内から迫りくる不安を押し殺しながら自身の教室へと戻っていった。

 …教室へと戻った貴史の足どりはどこか重い。彼が戻ると同時に予鈴が鳴り高成も目を覚ます。高成はう~んと腕を上げ伸びをすると貴史が戻ってきた事に気づいた。

 

「貴史おかえり。ミーティングおつかれ」

「おう」

(妙に落ち着いてる…?)

「なんかあったか?」

「いや、何も。」

 

 その後は何もなく授業が進み、放課後を迎える。智乃は近くの百均で必要なものを買ってくるので高成と里帆には文字入れやデザイン案を考えるようお願いした。貴史は部活があるので残る事は出来ないが看板用に段ボールかベニヤ板があれば確保して持ってくると高成たちに伝える。

 

「了解。気をつけてな」

「おう。じゃあ行ってくる。」

 

 貴史と智乃はほぼ同時に教室を去っていった。他の生徒も次々と部活へ行ったり帰ったりと教室を離れ、高成は里帆と2人っきりの状況になる。高成は気まずさと何を話しかけたら良いのか…と感じている所に里帆が高成に声をかける

 

「じゃあ…一緒に考えよっか。一応思いついたのはあるんだけど」

「うん…」

 

 その頃。貴史は練習着に着替えてグラウンドにやってきていた。練習開始まで少し時間があったのでその間に段ボールやベニヤ板を確保しようと倉庫へと訪れる。鍵が閉まっているか開いているか確認するために少しドアを開けると鍵はなぜか開いていた。

 

「あれ、鍵開いてる」

「今にうちに何個か確保しとくか、段ボールならこの辺にあったような」

 

 貴史が倉庫の中に足を踏み入れると奥の方から喘ぎ声とぱちゅぱちゅという水音が聞えてきた。貴史がその音の聞こえる方向へ顔を動かすとにわかに信じ難い光景がそこにはあった。

 

「あ~入った…竹内の中ちょー気持ちいい」

「ははっ…やっぱ竹内ってビッチじゃん。男とラブホ行くくらいだし当たり前か」

「おら、もっと咥えろって…おっ吉野。お前も竹内で抜いてくか?」

「た、竹内先輩…」

 

 

 

青の季節~ちょっとした幕間会話劇~

 

「あかねちんアリスのコス似合ってるじゃん」

「ありがと、塚ちゃんはなんで魔女っ子にしたの?」

「ああ~まあ、色合いとかいいなって思って」

「塚ちゃんの私服もモノトーンみたいなの多いよね確かに」

「そういや山岸くん来るんだっけ?」

「そうだよ。…なんかにやついてるけど変なこと考えてないよね?」

「えー?別に?」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。