※この作品はR-18です。

カラミざかり 青の季節    作:みやびまい

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「もしあの時あの子とヤったら…」

あの日4人が貴史の家に集まった時、高成が里帆とやってたらどうなっていたかを妄想するifストーリーです。


※こちらの作品は某所で更新していたものを大幅に加筆修正を施し再編集したものになります。

今話は凌辱描写やBL描写も出てきます。
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Vol.3中編 灰色の文化祭編

 倉庫の奥にある段ボールやボール、その他備品が積まれた区画に「その光景」はあった。貴史の恋人である竹内先輩は同級生の加藤先輩を含め4人の部員に犯されている光景である。

 竹内先輩は既に服を粗雑に脱がされ、何も身に着けていない下半身には加藤先輩のものが挿入されている。口には岡野先輩のものがねじ込まれ、両手にはそれぞれ島野先輩と村山先輩のものが力なく握られていた。竹内先輩の表情を失った顔には口元や頬付近にかけられた精液がぬめりと不気味に光り、瞳からは光が失われ涙なのか汗なのか分からないものが頬へと伝っていた。

 

「加藤先輩…」

「こいつと簡単にやれるなんて思わなかったわ。あ~あ…さっさと告ってれば良かった。おれがばかみたいじゃん」

「加藤お前はまだいいだろヤリチンの癖に。勝手にモテるんだから」

「ああ、竹内こないだ男とラブホテル行ってたんだって」

 

 おそらく自分の事だろう。あの夏の日に高成らと雨宿りするためにラブホテルへ行った時の事だと貴史は思った。その時貴史は竹内先輩と事に及んでいる。その時には見られなかった彼女の表情を見て彼の拳はぎゅっと震える。

 

「あの…なんで、どういう経緯で知ったんですか?」

「おれが見た。で、写真撮った。」

「岡野先輩…」

「それをおれの彼女に見せたら、彼女が監督と部長にばらした。」

「おれの彼女は竹内の事よく思ってなかった。だからだって。なんかバカみたいだよな。」

「…彼女ですか」

「うん。そう。」

 

 岡野先輩の彼女と聞いて貴史にはおそらくこの人物だろうという心当たりが思い浮かぶ。その人物は竹内先輩と同学年のマネージャーだ。竹内先輩とは真逆で他人には厳しい人物ではあるが、スクールカースト上位に位置する人物である。時々後輩マネージャーを泣かせてはそれを目撃した竹内先輩にたしなめられている事があった。その間にも4人は手を休めること無く竹内先輩を犯し続ける。竹内先輩の喉からは声にならない叫びのような喘ぎ声のような何かが発せられる。

 

「ほら、吉野も来いって」

「…」

 

 貴史の股間は既に反応している。しかし快楽を優先したい気持ちと目の前の恋人が複数の男に犯されているという異質な光景が理解できないのと練習が差し迫っている事実が彼の頭の中でぐるぐる回っていた。その間にも竹内先輩は部員らの玩具にされている。

 

「ああ~やべえもう出そう…」

「てか岡野さあ、彼女いるのになんでここにいんの?」 

「だってあんまやらせてくれないし。痛いから嫌なんだって」

「まじかよ。お前のが大きすぎるんじゃねーの?」

「知らねーよ。」

 

 先輩達の声は貴史にとって自身の本質をえぐる悪魔のささやきも同然だった。貴史の足がゆっくりと動き出す。その方向は竹内先輩の方だ。達した加藤先輩がそれを抜いて竹内先輩の口元に精をかけた丁度その時、貴史の口が動き出す。

 

「おれも…混ぜてください。」

「おおーいいぜー。じゃあ次お前なー」

「よ、よしのくん…」

「竹内先輩…」 

 

 貴史は加藤先輩からゴムをもらいそれを着用した後竹内先輩の中へ挿入した。そして脳と胸の奥に水たまりのように広がっている行き場のない複雑な感情をぶつけるように竹内先輩の骨盤付近を両手でぎゅっと抱え自身の腰を激しくうちつける。それを見た加藤先輩は先ほど精を吐き出したはずではあるがまたそれを大きく反応させ、竹内先輩の喉奥に突き刺すように入れ込まれる。

 

「っ“…!!ん、んぅ…!」

「すっげえ、喉も良く締まるじゃん…!」

「はあっ…はあっ…」

 

 竹内先輩の身体は時折びくびくと痙攣していた。これまで貴史とした時の様子とは全く違う竹内先輩の様子に貴史もその背筋を震える感触を覚える。

 

(おれとした時は…普通にイチャイチャしてたというか気持ちよさそうだったけど…)

(おれはこんな先輩に憧れたんじゃない)

(しっかりしててなんでも話聞いてくれる優しい年上らしさのある先輩に憧れてたのに…!くそっなんで!)

 

 貴史が胸の内でそうつぶやいた時、図らずもそのタイミングで加藤先輩が話し出す。

 

「おれさあ、実は竹内の事好きだったんだよ」

「でも、言えなかった。今思えばさっさと告白すればよかったのに。それが出来なかった」

「竹内はおれの事なんて見てないだろうって、勝手に好きになって勝手に諦めてたわけ。」

「でも、周りの女子はそんな事お構いなしに近づいてくる」

「気づいたらセフレにしてた。色々むしゃくしゃしてたんだろうな。多分」

「そしたらさっき竹内に彼氏がいたって聞いてさ。で、試しに聞いてみたらやらせてくれた。なんだかもうバカらしくなった。」

「おい竹内、お前にこの気持ち分かるか?吉野も分かるか?吉野もセフレいるらしーな?」

 

 加藤先輩はわかんねえだろーなああ!!と獣の咆哮の如く叫ぶと、腰を動かすタイミングを一気に速めた。そこからせり上がる快楽なのか痛みなのか分からないものに竹内先輩もたまらず声にならない声を上げ、貴史は中がぎゅっと締まるのを感じる。

 

(…なんでこうなったんだろう)

(おれには何もわからねえ)

(竹内先輩に…告白しなかった方が良かったのかな…)

(もう、分かんねえよ…セックスしか気持ちいいことしか分からねえ…)

 

 竹内先輩と加藤先輩と貴史はほぼ同時にイッたのだった。

 その頃の教室では、里帆と高成が看板のデザイン案について考えていた。どうやら里帆は授業中に思いついた案をいくつかノートにスケッチしていたようでそれを高成に見せてくる。まずはメイド服を着た3、4頭身くらいの女の子が描かれた案、次にクローバーをもったうさぎや馬のゆるキャラが描かれた案、そしてコスプレした生徒の写真や折り紙などで切り抜きした星などの飾りを切り貼りしてコラージュを作る案の3つである。里帆の考えた案を見た高成は思わずおお~と声を上げる。

 

「これ全部飯田が考えたの?」

「うん授業中に…あ、これは内緒ね?」

「お、おう…」

「一応…山岸くんはどれがいい?智乃ちゃんと吉野くんにも聞いた方がいいよね?」

「そうだな、聞いた方が良いかも、あ、これ写真撮っていい?貴史にはおれから聞いとく。」

 

 里帆はお願い、と高成に小さく返す。高成は里帆の案3つをスマホで撮影すると里帆からどの案が良いか尋ねられた。高成はコラージュ案かな?と答えるのと同時にある問題に直面する。それは衣装についてだった。

 

「ああーコスプレ班との兼ね合いもあるよな…向こうがいつまでにコスプレ衣装用意できるかによるというか」

「衣装の完成が当日だと間に合わないし…」

「そうだね…」

「これはまた新山とも相談した方がいいかな」

「だね…」

 

 その時里帆のスマホに着信音が鳴る。母親からだ。里帆は机の横からバッグを取り、画面をうっとおしそうに見ながらもしもし?と電話に出た。

 

「里帆?まだ帰らないの?」

「お母さん?朝も言ったけど今日から文化祭の準備期間だから金曜まで遅くなるって…」

「ああ、そうだったわね…お母さん今から夜勤行くけどご飯はもう用意してるからチンして食べといて」

「分かった。じゃ」

 

 里帆はそう言ってそっけなく電話を切りバッグの中に入れようとすると、バッグが里帆の膝の上から滑り落ちバッグの中に入れられている教科書やら何やらが床にぶちまけてしまう。里帆と高成は立ち上がってそれらを拾い集めようとすると高成が気になるものを見つける。それは富山県の観光地に関するものだった。

 

「飯田、これ…」

「あ…」

 

 高成にその本を見られたことがまずかったのか里帆は一瞬高成から視線をそらした。

 

「これ、その…地理の勉強?そういうのに興味あったりするの?」

「…」

 

 里帆は何も言わない。

 

(さっきのお母さんからの電話、そしてこれ…なんだろう、何かヒントあったりするのかな)

(あの芹沢先輩に襲われそうになった時も…なんか様子が変だったよな)

「飯田の家ってその…何かあったりするの?」

「…」

(流石に聞いちゃまずかったか?他人の家庭環境にずけずけ言うのは、はばかれるし…)

 

 高成が気にしていると里帆はあのね、聞いてくれる?と高成に向き直り語り始めた。

 

「まあ、ちょっと…めんどくさいのはあるかも。」

「…その、過保護的な?」

「…どうかなあ?…どうだろうね」

 

「…だからたまにでいいから、知らない場所で一人になってみたいって思ってるかな」

「知らない場所、知らない人達の中で…私一人でいたらどうなるんだろうって」

「草原を走る馬のように自由になれるのか、それとも淘汰されるのか、わからないけれど…」

「…」

 

 2人の間に静寂が流れる。その静かな空気が気になったのか、10秒ほどたって里帆がごめん、変な事言ってと高成に謝ってきた。

 

(なんでだろう、言ってる事はなんか抽象的だけど変な事言ってるには聞えなかったな)

「変じゃないというか、そんな事無いと思うよ。」

「…!」

 

 高成の言葉を受け里帆は一瞬目を見開いた。そして小さく頷くと口を開く。

 

「…山岸くん。もしさ、私が…」

「ただいまー!ごめん遅くなった!!」

 

 里帆が何か言いかけた所で智乃が買い出しから戻って来た。袋から購入した折り紙やモールをいくつか出してどう?とデザイン案決まった?と問いかける。

 

「それなら飯田がもう考えてくれてて…新山はこの3つの内どれがいい?おれはこのコラージュのやつだけど…」

「うん。私もこれがいいかな。」

「部活行ってる貴史にはラインでまた聞くから」

「りょーかい。でもコスプレ担当が間に合うかどうかだよね、じゃあ私がラインで聞いてみるわ」

「おっじゃあよろしく」

「お願いしまーす…」

「山岸は吉野からライン来たら結果を里帆に送っといて。」

「うん。」

「じゃあ今日はそんなとこかな。そろそろ帰ろうか。」

 

 3人は荷物を片付け、西日が眩しく照らされる教室を後にした。

 その夜。高成はラインで貴史に里帆の考えた案を送信し、どれがいいかと尋ねていた。

 

「あれ、既読ついてるけど返信が来ない…」

「あ、来たわ。貴史もコラージュ案採用か」

 

 そしてまたしばらく間を置いたのち、貴史からある誘いを受ける

 

『こーせー、今から公園来れる?会いたい』

「貴史…?なんだ…?」

 

 高成は急いで指定された待合場所である公園を訪れると、貴史がいた。

 

 彼の顔からは笑顔が消えうせ、瞳からは光が消えていた…

 

「貴史…?」

「こーせー…」

 

 そう高成の名前を呼ぶ貴史の声は暗い。いきなりどうしたんだよ、何があったんだ?と高成が聞くと貴史は実は…と高成へ重い口調で語り始める。それは竹内先輩と別れたという事だった。あまりの突然の出来事に驚きを隠せない高成はなんでだよ?と問うと貴史は夏休みにさ…と語り始める

 

「ほら、みんなでキャッチボール行ったじゃん?」

「ああ、茜谷さん達と…」

「で、急に雨と雷が降ってきて…ラブホに行って」

 

 高成の頭の中で当時の記憶が呼び起される。

 

「で、竹内先輩と2人でラブホから出てきた所を先輩に撮られてたわけ」

「うそ…マジで?」

「で、監督達にもばれちゃった。おれはばれなかったけど竹内先輩だけ…」

「その後こーせー達が教室で案考えてた時にこっちは部活だったんだけど…」

「看板に使う段ボールとか確保しとくために倉庫へ行ったらそこで竹内先輩が加藤先輩達に…」

「…そのさ、もしかして輪姦ってやつ…?」

「そう。合ってる。まわされてた。」

「…っっ!!」

 

 貴史の衝撃の告白に高成は思わず手で口を覆う。

 

「でさ・加藤先輩は竹内先輩の事が好きだったとか、岡野先輩が写真撮ってその彼女が監督たちにばらしたとか、いろいろ知った。」

「…なあ、貴史はどうしたんだ…?」

「加藤先輩に誘われて一緒にやった。もうさ、おれバカだからもう何もかもわけわかんなくなっちゃった」

 

 高成はマジか…と小石を池に落とすように呟く。貴史の告白はまだ終わらない。

 

「で、夜竹内先輩からラインが来て、別れようって言われて別れる事になった」

「そ、そうか…」

 

 そこで貴史は高成にライン画面を見せる。そこに記されていたのは竹内先輩からのまるで長い手紙のようなコメントだった。

 

『吉野君。最初に色々と迷惑をかけてしまってごめんなさい。びっくりしちゃったよね。加藤や岡野から聞いた通り私に彼氏がいた事が監督と部長にバレてしまいました。でも岡野が撮った写真は吉野君とは分からなかったのが唯一の救いかもしれません。事実この野球部と付き合ってるのか?と聞かれ私は違うと嘘をつきました。その方が吉野君には迷惑がかからないと思ったからです。』

 

『あの時、吉野君から好きだと言われた事はとても嬉しかったです。でも、この事がバレてしまった事で部長からは分かれた方が良いと言われました。そしてその後岡野からこの事について伝えられて、村山と島野から試しにやらせてくれって言われました。その場にいた加藤は最初戸惑っていましたが怒ったような表情でやらせてくれるのか?って私に問いかけてきました。私はもう…正直どうでもよくね?ってなってあの倉庫で4人としました。』

 

『なんで私がそう思ったのかは今の私にも理解できません。でも私は吉野君が憧れるような人間では無いだろうという事だけは分かります。ほんとは弱い自分のくせにこれまで部活の為に頑張ってきたけど今回の件でもう疲れてしまって、どうでもよくなってしまったからです。だから4人とやったんだと思います。ごめんなさい今も頭が落ちつかなくて変な言葉になってると思います』

 

『吉野君とは別れたいと思います。本当にごめんなさい。今までありがとう。』

 

 竹内先輩の返信内容を読み終えた高成は言葉が出なかった。頭の中にはかつて優里が元彼に犯された後の、自身に対する悲痛な表情が浮かんでいる。

 

「なあ…貴史はさ、これ見てどう思ったわけ…?」

「…おれは竹内先輩に憧れてた。好きだった。ずっと前から」

「いつも優しくて、なんでも話聞いてくれて、スタイルも良くて、良い雰囲気で…」

「夏休みに告白したら喜んでくれていいよって言ってくれた。嬉しかったよほんとマジで。」

「そっか…」

「で、それから2回くらいしたかな。なんかこう純愛って感じで…恋人とするのはまたあの時とは違った意味でドキドキするし面白かった。」

 

 その貴史の言葉を受け高成は里帆や智乃達と4人でした時を思い出す。

 

(飯田や茜谷さんとした時とはまた違うんだろうな…)

 

「だけど加藤先輩達に回されている竹内先輩を見てすごく傷ついたというか、色々呑み込めなかったというか…しかも加藤先輩の話は聞いてて辛かった。でも。」

「おれも最低だ。おれが好きになった竹内先輩はあんな姿じゃ無いのに。」

「理由は分からないけど回されてるとこ見てたらたってたんだ。だから加藤先輩達に交じって竹内先輩をやってしまった…我慢できなかった…」

「貴史…」

 

 貴史は泣きながら竹内先輩への想いと今日部活であった事、そして自身の感情を高成に吐き出す。そんな貴史の股間だけは本人の意志とは裏腹にまた反応しているのだった。

 

「…ごめん…ぐすっ…」

 

 貴史は自分のTシャツで涙をぬぐう。股間はズボン越しからでもわかるくらい膨れ上がっているのが高成にも理解できた。

 

(…?)

「貴史、その…なんで…お前…」

「おれはやっぱそういう事が好きなんだ…」

「そういう事って?」

「おれは…結局ヤる事が好きなんだ。それに」

「あの時の竹内先輩の中がすげー気持ち良かったんだ…」

「貴史…」

 

 元々貴史はエロというものに対しては貪欲な人間である。だからあの時智乃と里帆ともやれたし何度も高成らを誘ったりしてきた。そんな貴史が己の本質に(ようやく)気づいたのを高成は目の当りにする。貴史の股間は全く収まる気配がない。

 

「貴史…お前はヤる事が好きなんだな。」

「でも…それどうすんだよ。」

「わかんねえ…でもおさまらなくて、今もあの時の竹内先輩の身体とかがよぎってさ…」

 

 この時高成の頭の中にはふいに里帆にお願いされ貴史とキスした時の事を思い出す。それは貴史も同じだった。

 

(あの時キスしてみてと言った飯田なら…男同士でもありなんだろうか)

(もう、手段としてはこれしかないよな…腹括るしかねえか。)

「あ…いやなんでもない」

「…」

 

 お互いの間に静寂が流れる。先に切り出したのは高成だった。

 

「そのさ…それ、おれが…手伝ってやろうか?」 

「え、手伝うって…」

「まあ、その…それ治めるの手伝おうか?って…」

「こーせーがおれとしてくれるって事?」

「まあ…はい…うん…」

 

 高成は貴史から目線をそらしながら、やりづらいなら竹内先輩の事妄想しながらでいいからと言った。

 とはいっても一度キスしている仲ではある。頬を赤くした高成の反応を見た貴史は公園にある公衆トイレに連れていき水で自身の手を濡らしたのち高成の前髪を整え始めた。

 

「…こんな感じかな。」

「おれさあ、もしかして竹内先輩に似てたりする?」

「髪の長さは大体同じくらいじゃねーの?」

「そっかあ…まじか」

「じゃ、じゃあ…これで…」

「いきなりでわりーんだけど…」

 

 貴史はそう言ってズボンとパンツをずらして硬いそれを高成に見せる。高成はごくりとつばを飲み込み息を整えたのち貴史のそれを右手で握りながら口の中に咥えた。咥えた後は手と顔をゆっくりと動かしていく。

 

(自分で言うのもなんだけどぎこちねー…そして口の中がすんごい。わけわからん味がする。)

(絶対女子達の方が上手いなこれ…)

「んっ…」

 

 貴史の顔は赤みを増し、高成は目を閉じ行為を続けていく。

「んっ…どう?痛くない?」

「全然。大丈夫…てかお前思ったより上手いな」

「やめろって、ぜってーおれより新山とかの方が上手いって」

「ははっ…」

 

 一度口から吐き出し貴史と会話した後再びそれを咥えて行為を進めていく。すると貴史が高成の頭を両手で支え、自ら腰を動かしていった。

 

「んっ…ん」

「やべえ、締まって気持ちいいなこれ…」

 

 所謂イラマチオの状態。高成は自身の口の中で貴史のものがより大きくなって硬さが増したような感覚を覚える。

 

「も、出そう…」

「あのさ、中で出していい…?」 

 

 高成が頷くと貴史は高成の口の中に精を吐き出した。高成の口の中は独特な味と臭いであふれている。

 

(うわ、すんげえ味…)

「なあ、口の中開けてみて?」

「んんっ…はあはあ…」

「えろすぎっ…」

 

 高成は貴史に言われた通りに口を開ける。高成の舌の上には白濁液がどろりと横たわっていた。その様子を見た貴史は更に顔を紅潮させる。

 

「うわエロ…」

 

 高成は誰に言われるまでも無くごくりとそれを飲み込むと、ふらふらと立ち上がり貴史のそれを握りながら貴史とキスを交わす。お互いの舌と舌が混ざり合い唾液が伝ってゆく。

 

(おれのもたってきた…)

 

 高成は自身の硬直してきたものをズボンから取り出し貴史のそれと一緒にまるでキスをするかのように絡み合わせる。兜合わせだ。貴史から口を離し唾液を指につけ硬くなった2人のそこに濡らしてこすり合わせると濡れた部分てらてらと妖しく光る。その様子はまるでオイルで体の敏感な部分をマッサージしながら行為をするAVのようだ。

 

「ちょっこーせー、それ…んんっ」

 

 貴史の口をふさぐように高成はまた濃厚なキスをする。

 

「ふっ、んん…」 

 

 互いの舌と硬直した肉棒が絡まり合う。ふと高成が一瞬目を開くと貴史の紅潮した顔が視界に飛び込んでくる。

 

(こいつも…竹内先輩としてたんだよな)

(どんな感じだったんだろう)

(…こんな感じだったんだろうか)

 

 高成は今まで里帆と優里の2人と肉体関係を築いている。どちらともそれぞれした時の感情は違っていたし、今こうして貴史と行為をしている時もどこか初めて抱くような感情を抱いている。どこかお互いの傷をなめ合うような、慰め合うような里帆や優里とした時とはまた違うものだ。

 

 硬くなったそこからは互いの鼓動が脈打つように手に触れわたってゆく。

 

(あいつは何を考えてるんだろう)

「んっ…」

「もう出そう…」

(やばっおれも…)

 

 そのまま2人は互いの掌の上に精を吐き出す

 

「はあっ…はあっ…」

「また、出た…やばっ…」

「はあっ…」

 

 2人は近くにあったティッシュで吐き出した精をふき取ると、貴史は高成に何か思いついたようにある指示をする。

 

「後ろ向いて手付いて、で、もっとケツ向けて」

「こう?」

「そう。良い感じ。」

 

 貴史はそう言って高成のお尻の割れ目に自身のものを挟み、まるで竹内先輩の胸を揉むように高成のお尻を両手で掴んで揉みながら腰を動かす。

 

(うわっ…何これ)

(男にやられてるみたいじゃん…)

(変な声出そう…)

「んんっ…」

「これすげー、目つむったらほんとに竹内先輩としてるみてー」

「まじかよっ…」

 

 時々貴史が高成のお尻を叩くと高成の身体がびくっと跳ね上がる。

 

「おいやめろって」

「ははっ…そうだった。今してんの竹内先輩じゃなくてこーせーだった。」

 

 そう言った貴史の顔に一瞬影のように虚しさが映る。

 

(あいつは本当に竹内先輩の事好きだったんだな。新山も貴史は先輩に憧れてるって言ってたし)

(でも、あんな事が起こってしまってあいつは…)

(もしかしたら、おれが飯田に感じてた事と似てたりするのかな…?)

「んっ…はあっ…」

 

 貴史の腰を動かす速度が徐々に早くなってゆく。

 

「はあっはあっ…」

「また出そう…」

「…いいよ。」

「うん、ああっ…」

 

 貴史は高成の着ているTシャツをたくし上げ、お尻の割れ目から自身のそれを抜くとお尻から腰の部分にめがけて精をかける。それはこれまで吐き出したものの中で一番熱くたぎっていた。その熱さに高成はぞくっと背筋を震わせる。

 

「はあっ…はあっ…」

 

 こうして2人の絡みは終わったのだった。

 

「とりあえず分かった。おれってやっぱエロかったんだな」

「まさかお前でこんなに抜くとは思わなかった…付き合ってくれてありがとな。」

「貴史…」

「おれはもう決めた。もう女子と付き合ったりしない」

「えっ?」

「もうセフレでいいや。こんな辛い思いするなら、最初からヤリ目でいい。」

「お前はそれで本当に良いのか?後悔しないのか?」

「結局おれは恋とか愛よりもヤる事の方が大事なんだって実感した…ならその方が向いてるんじゃないかって」

「そうか…」

「こーせー、お前はおれみたいになるなよ?茜谷さんといい感じなんだろ?」

「…分かった。」

 

 高成がそういうと貴史はじゃあ、また明日なと言って家へと帰っていった。高成も自宅へと戻るとラインの着信音が鳴る。相手は優里だった。

 

『山岸くん、今いいかな』

「茜谷さんだ」

 

高成は手を洗ってうがいをして母親と言葉を交わしたのち自室へと戻ると優里へ返信を送る。

 

『いいよ。』

 

 すると30秒程間を置いて優里からテレビ電話がかかってきた。内容は高成たちの通う学校の文化祭に行きたいというものだった。高成は了承すると優里は嬉しいと喜ぶ。

 

「いえいえ…その、場所分かる?」

「うん。一応は分かるから大丈夫。」

「そっか」

「うん。あ、もうそろそろ切るね。夜遅くなっちゃったら行けないし」

「分かった。じゃ。」

 

 電話を切ると高成はベッドに横になり、優里の高校での文化祭を思いだす。

 

(そういえばあの時やってんだっけ)

(茜谷さん来るのか…なんかドキドキしてきたな)

 

 いよいよ文化祭の日がやってきた。あれから看板製作はコスプレ班の協力もありなんとか当日までに作り終えることが出来た。今制作した看板の内一つは教室のドア付近に置かれてる。

 

「おお~こーせー似合ってるじゃん」

「ははっ…」

 

 貴史やクラスメイトの男子数人から高成のコスプレ姿は褒められていた。高成は不思議の国のアリスに登場する帽子屋のコスプレ、貴史は一休さんのコスプレを着用している。

 

「2人とも似合ってるねえ」

「新山!…と飯田」

 

 智乃は白く丈の短いナース服、里帆は不思議の国のアリスに登場するチェシャ猫風のコスプレを着ていた。猫耳カチューシャとワンピースの裾からひょっこり出ている尻尾に高成の目線が泳いでいく。

 

「ある意味山岸くんとはおそろだね。どうかな?」

「に、似合ってる…」

「良かった。ありがと。」

 

 里帆はいつも通りにこにことした笑みを浮かべて喜んでいた。そこへクラスの学級委員長が高成と里帆へ正門付近に移動して呼び込みに行くよう指示をする。2人は看板を持って正門へと移動する。

 

「人いっぱいいるね」

「うん…」

 

 2人が正門付近の空いたスペースへ到着した時、1人の私服姿の少女が正門を通って周りをきょろきょろしながらこちらへと近づいてくる。優里だった。

 

「山岸くんお待たせ。えーと…横にいるのは?」

「茜谷さん、おはよう。横は飯田。」

「初めまして。飯田里帆です。」

「こちらこそ初めまして。茜谷優里です。山岸くんの親友です。」

 

 優里はそう言って高成と里帆に挨拶をした。

 

「えーと、もうお店は開いてる?行ってもいいかな」

「いいけど…」

「じゃあ山岸くん案内頼んでいい?」

「お、おう。分かった。」

「…じゃあ私はここで呼び込みするね。」

 

 高成は優里を自身の教室へと案内する。道中校舎の廊下内を歩いている所で優里は高成の手を掴む。

 

「人ごみすごいね…はぐれちゃいそう」

「ご、ごめん…」

「あっじゃあさ、手つながない?」

 

 優里はそう言って高成の手をぎゅっと繋ぐ。

 

「これなら大丈夫かな?」

「たしかに…あ、もうすぐ着くよ。」

「分かった。そういえばさ、そのコスプレ私のとおそろだね。私はアリスだったし」

「そういえばそうだった…似合ってる?」

「うん。勿論」

「そ、そっかあ…」

「なんか顔赤くない?大丈夫?」

「だ、だいじょぶ…着いたよ」

 

 教室にたどり着いた時、店番をしている高成のクラスメイトが一斉に高成と優里の方へと顔を向けた。優里は握っていた高成の手をパッと手放してしまう。

 

「おい山岸もしかしてその子は…彼女か?!!」

「めっちゃ可愛い!!他校の子?!」

「かわいすぎかよ!山岸おめーうらやましすぎるぜ!!」

「てっきり飯田か新山と付き合ってると思ったら…彼女いたのかよお前…」

 

 クラスメイト達の優里を高成の恋人と疑うような発言に高成と優里も困惑して否定する。

 

「いやいやいや!皆落ち着けって!!彼女じゃないよ?!!」

「山岸くんとは予備校で知り合った仲でして…」

「へぇ~そうなんだ…とりあえずここでゆっくりしてく?」

「あっはい…」

 

 優里は高成のクラスメイトの女子に案内され席に座る。クラスメイトの女子は優里から注文を聞くと高成や担当の生徒たちにそれを指示する。

 

「えっと…おまたせしました。リンゴジュースです。」

 

 高成はそう言ってリンゴジュースを優里のもとへと届けるも動きのぎこちなさを後ろからクラスメイトに笑われていたのだった。

 

「ふふっありがとう。」

 

 優里はそう言ってリンゴジュースを1口飲むと美味しいと高成の顔に向かって言った。高成はおどおどしながらありがとうございます…と返すと優里はまた顔真っ赤になってると高成をつっつく。そんな優里の元に高成のクラスメイト達がやってきて優里を質問攻めにし始めた。

 

「ねーどこの高校?」

「もしかして大学生ですか?」

「かわいいですね!」

 

 優里はみなさん落ち着いてと呼び掛けたタイミングで里帆が客を連れて教室へと入ってきた。連れてきたのは老いた白髪交じりの女性だった。

 

「こちらのお席どうぞ。」

「まあ…皆さんかわいらしい。ありがとうね。」

「いえいえ。どういたしまして。」

 

 里帆が客を席に誘導するとクラスメイトは里帆と優里に視線を注ぐ。

 

「茜谷さん?と飯田めっちゃ似てるじゃん!」

「もしかして親戚?」

「いや、そうでは…」

「山岸ってこうゆうのがタイプなの?」

「はあ?!」

「だってどっちも黒髪清楚系じゃん、そういう性癖?」

「いや違うって!!」

 

 高成はクラスメイトの指摘に否定すると優里は里帆に話かけた。

 

「里帆ちゃんて呼んでいい?」

「はい、大丈夫です…」

「時間ある?せっかくだし一緒に回らない?」

「あ~…でも呼び込みが…」

「そっか、そうだよね…」

 

 里帆(と高成)は呼び込みの係を任されているので代わりの生徒が来るまでは長い時間離れるわけにはいかない。すると優里の元に教室へ戻ってきたばかりの貴史が来てこう言った。

 

「あっじゃあさ、おれとこーせーで呼び込みすっから飯田は茜谷さんと周って来たら?」

「えっ?」

「こーせー!お前はどう?」

 

 貴史は水分補給をしていた高成の元へ近づき優里の誘いと自身の提案について話をする。

 

「えっ…まじ?」

「せっかくだし里帆ちゃんとも話したいなって」

「そ、そっか。じゃあ行って来たら?」

「分かった。じゃあ里帆ちゃんいこっか。道案内頼める?」

「うん…わかった。」

 

 こうして優里は里帆と共に校内をめぐる事にした。高成は貴史と共に呼び込みの為に正門付近へと戻る。

 

(なんだか…胸騒ぎがする)

(大丈夫なんだろうか…)

 

 …優里が里帆を連れて校内をめぐる事にしたちょうどその頃。智乃は校内のとある空きスペースで座ってある人物を待っていた。

 

「智乃ちゃん、おまたせ!」

「藤野先輩…!」

「あっナースのコスプレしてる。似合ってるよ。」

「あ、ありがとうございます…」

 

 藤野先輩が智乃の元へ笑顔を浮かべながらやってきた。智乃は嬉しそうな表情を浮かべる。

 

(先輩と周るのドキドキする…)

「じゃあ、いこっか。」

「はい。…あの、先輩のクラスは出し物はなんですか?」

「ああ、肝試しやってるんだけど。…行ってみる?怖いの平気?」

「あははっ。先輩がいるなら大丈夫ですよ!」

「そっか。じゃあ行こうか」

「はい。」

 

 智乃笑顔と少しの照れを出しながら藤野先輩についていく。そして正門付近ではある人物の影が見える。

 

「藤野君の高校ここだよね。」

「合ってるよ~」

「せっかくだしさ、文化祭見て回る?お腹空いてきた。」

「ああ…ちょっとだけならいいよ。」

「?どしたの?」

「ほら、私一応おしのびなんで。…あかねちんも来てるだろうしあんまバレたくは無いんだよねえ。」

 

 文化祭の熱は留まる事を知らない。

 

「着いたよ。入り口はこっち」

「は、はい…」

「もしかして緊張してる?」

「あ、ちょ、ちょっとだけ…先輩は?」

「まあ、ちょっとね。じゃあいこっか」

「はい。」

 

 智乃は藤野先輩と共に肝試しの会場へと入っていく。中は照明が落とされ黒い布のようなものが壁として設置されている関係でほとんど真っ暗である。すると2人が入ってすぐの地点で紙で出来た作り物のお化けがにゅるっと出てくる。驚いた智乃はその勢いで藤野先輩の腕にしがみついてしまった。

 

「智乃ちゃん大丈夫?」

「あっ…すみません大丈夫です…」

 

 2人がゆっくりと歩を進めていくと今度はどこから出てきたのか後ろからお化けのコスプレをした女子生徒が不気味なカクカクとした動きで追いかけてくる。

 

「きゃーっ!!きゃーっ!!」

「うわっ!!後ろ?!!」

 

 走って向かった先にはまたお化けのコスプレをした女子生徒が絵具をペイントしたと思わしき血まみれの手のようなものと斧を持って待ち構えている。智乃はパニック状態に陥っていた。

 

「きゃーっ!!もう無理!」

「大丈夫大丈夫…」

 

 女子生徒は2人を取り囲むようにして襲うフリをするとどこかへはけていった。しかしその後もお化けのコスプレをした生徒や作り物のお化け・人の身体の一部らしきものが展示されてたり突如動いたりとゴールまで2人の心臓が休まることは無かったのだった。ようやくゴールにたどり着くと智乃はふらふらとその場に座り込んでしまう。

 

「大丈夫…?一旦ちょっと深呼吸しようか。楽になると思うから。」

 

 心配そうに見つめる藤野先輩に言われ、智乃はゆっくりと深呼吸をして呼吸を整える。

 

「すぅーっ…はぁーっ…」

「どう?」

「ちょっと落ち着いて来ました…」

「いやあ、びっくりしたよねえ。」

「はい。」

「じゃあ…」

 

 藤野先輩が何か言いかけたタイミングで前の方から男子生徒が3人やってきた。いずれも長身で体格が良い。そのうちのリーダー格と思わしき人物が藤野先輩に近づき話しかける。

 

「よう、藤野。」

「何だよ。何か用?」

「もしかしてそいつ彼女か?」

「いや、違うけど」

「まさかセフレかぁ?」

 

 藤野先輩は否定しなかった。智乃は藤野先輩の背中側にそっと移動する。藤野先輩の反応を見た3人はこぞって彼を罵倒するセリフを浴びせかけた。

 

「うわあ~まじかよやりまくってんのかよ引くわ~wwまじ引くわ~w」

「こいつ他にもセフレいるって噂あるらしいよ、2年の女子とか」

「まじかよ、やばすぎ~w」

「…っ!」

 

 智乃がこれはまずいと思った瞬間だった。藤野先輩は声をあげ激昂する。

 

「黙れ!お前らにはおれが何しようが関係ないだろ!!」

「…こいつ」

 

 藤野先輩の激昂する姿を初めて見た智乃は驚きのあまり目を丸くしながら心配そうに見つめている

 

(大丈夫かな…この人達バスケ部の人だよね)

 

 そんな藤野先輩の反応を見てリーダー格の男子生徒はふ~んと呟きこう言いはなった

 

「やりまくろうが確かにおれらには関係ないだろうけど…お前楽して医学部行けると思うなよ」

「それくらい理解してる」

 

 3人は藤野先輩を睨みつけながら去っていった

 

「あ…」

(あの人達いったけど…先輩になんて声かけたらいいんだろう)

 

 智乃がどう話しかけてよいか困惑した表情を見せると、藤野先輩は振り返ってさっきはごめんとつぶやいた。

 

「ほんとあいつらしつこくてさ、心配かけたね」

「いえいえ、…先輩は大丈夫ですか?」

「うん大丈夫。行こう。」

「はい。」

 

 藤野先輩は踵を返し移動し始める。智乃は少し慌ててついていきながら先ほどの出来事を振り返っていた。

 

(先輩のあんな表情、初めて見たな)

(さっきの事…あまり聞かない方が良いかな。先輩をまた不機嫌にさせたくないし)

(確か藤野先輩はバスケ部だったけど去年勉強に集中するからって言うのでやめた、というのは聞いたことある…)

(その時にさっきのあの人達と何かあったのだろうか…)

 

 智乃が脳内であれこれと考えているうちに校舎の中でも人気の少ない場所に来ていた。藤野先輩は小さな更衣室代わりの部屋の扉を開け智乃に中に入るよう促す。

 智乃が中に入ると埃が一瞬ふわっと湧き立った。藤野先輩がドアの扉を閉め鍵を掛けるとすっと智乃に近づきキスをした。

 

「んっ…」

 

 舌を絡ませながらキスをする2人。部屋の中は仄暗い。そのまま何度もキスを交わしながら藤野先輩は智乃が着ているナース服のボタンを器用に外し智乃の着用している紫色のブラジャーとパンツを露わにさせる。

 

「ふっ…んん…」

「んっ…」

 

 口を離すと藤野先輩は智乃のブラジャーを外し胸を揉みながら乳首を咥え舐め始めた。智乃はびくっと体を震わせる。

 

「あっ…」

「気持ちいい?」

 

 智乃は藤野先輩の問いに顔を赤らめながらこくりと頷く。すると藤野先輩はすっと智乃の背後に周り後ろから乳首をこりこりと刺激を与えていく。智乃は思わず声を漏らした。

 

「あっ、んんっ」

「結構敏感だね」

「んんっ、んっ…」

「こーゆーのは?」

「あっ…気持ちいいっ…」

 

 智乃は振り返りキスをねだるとそのまま舌を絡ませ合い快楽へと溺れてゆく。

 

(先輩と2人っきり…)

(私はやっぱ先輩じゃなきゃだめ…)

「んっ…ああっ!」

「もしかして胸だけでイッた?智乃ちゃんえろいね」

 

 智乃は力が抜けたようにその場に座り込む。藤野先輩は彼女をゆっくりと押し倒し下腹部を何度かさすると智乃の濡れたそこをパンツの上から指でなぞるように焦らしていく。

 

「あっそこっ…やっ…」

「わあ、もうこんなに濡れてる…」

 

 藤野先輩は笑みを浮かべながらそう言いつつ智乃のパンツをずらして「そこ」に人差し指と中指を入れる。智乃はたったそれだけで体をびくびくさせながら絶頂に達した。

 

「なんだか今日はすごく敏感だね…」

「ああっ…はあっはあっ」

「このまま動かしたらどうなるかな…」

「あっ待って…ああっ!んんっ!」

 

 そのまま智乃は指だけで何度も絶頂を迎えるのだった。

 一方。優里と里帆は校内を出て中庭にある屋台スペースに来ていた。お互い初対面なので2人ともどこかたどたどしさとどう話しかけてよいのか手さぐりで探っている状態だった。そんな中優里がその均衡を破る。

 

「人多いね。」

「あ、確かに。」

「良かったら、あれ食べてく?」

 

 優里が指さしたのはりんご飴の屋台だった。

 

「うん。」

「おっけー」

 

 優里と里帆は列に並びりんご飴を受け取る。里帆が財布をポケットから出そうとすると優里が自分のおごりでいいからとそれを制した。

 

「えっ…いいんですか?」

「いいよいいよ。あと同い年だしタメ口でいいよ。」

「…分かった。りんご飴ありがとう。」

「いえいえ。ああ、ここだと人多いしどっか人少ないとこに移動して食べようか?」

「じゃあ、それで。」

 

 2人は人気の少ない場所へと移動し、そこで飴を食べる事にした。

たどり着いた場所は校舎と校舎挟まりあったうっそうと木が生い茂る場所。優里と里帆以外に人はいない。2人は壁にもたれながら飴を舐める。

 

「…」

(こうして見ると、ニコニコしてて可愛い普通な子というか…)

(ビッチって感じはしない。)

(それにこの子は山岸くんの事どう思ってるんだろう)

(好きなら…三角関係という事になるし、嫉妬しそうな自分がいる)

(怖いけど、聞いてみよう!)

「ねえ里帆ちゃん、質問していい?」

「うん。いいよ。」

「山岸くんの事どう思ってる?」

 

 優里はいきなり直球でその質問を里帆にぶつける。やはり里帆は言葉を詰まらせてしまう。

 

「どう思ってる、か、どう?…う~ん…」

「あっじゃあ好きか嫌いかで言えば!」

「う~ん…でも大嫌いとかではそういうのではないと思う。」

「気になる?という感じ?」

「気になる…ごめん分からない」

「そっか。じゃあ、なんで山岸くんとはエッチしたの?」

 

 更に優里は質問をぶつけていく。しかし言葉と態度とは裏腹に心の中で優里は動揺を感じていた。

 

「なんでエッチしたか…」

「山岸くんがエッチしたそうだったから。」

「…っ!」

(やっぱこの子はビッチなんだ…)

(山岸くんの言う通り、誰とでもやれる…)

 

 優里はその動揺をついに隠し切れず表情に出してしまった。そこに里帆が追い打ちをかけるようにこう問いかける。

 

「えっと優里ちゃんだっけ?合ってる?」

「うん。合ってる…」

「山岸くんとはもうエッチしたの?」

「え?」

 

 里帆からの衝撃的な問いかけに優里は目を丸くするが、嘘をつく訳にもいかないと感じた優里は言葉をつまらせながらも正直に答えた。

 

「気持ち良かった?」

「うん…良かっ、た…けど。」

「ふうん。…だよねぇ。」

 

 里帆は相変わらずニコニコと笑みを浮かべながらまるでうわごとのように高成について呟く。

 

「山岸くんと初めてした時は多分初めてだったからか可もなく不可もなくまだ慣れてないって感じだったけど、段々上手くなっていってねえ…」

「またしたいなあ、山岸くんと…」

「里帆ちゃん…?」

 

 優里の反応などどこ吹く風と言わんばかりか。里帆は優里にもう1つ聞きたい事があるようだ。

 

(今度は何?何か恐い…)

「優里ちゃんのお父さんとお母さんてエッチしてる?」

「はっ…はああ?!?」

(いや今そこでそんな質問する?!)

「し、してるんじゃない?!仲良いし…部屋の棚にゴムあったし…わかんないけど。」

 

 照れと動揺を隠せない優里がややぶっきらぼうに里帆の質問に答えた瞬間、里帆のニコニコとしていた笑みが一瞬にして消え、どこか悲しそうな顔へと変貌する

 

「そっか…そうなんだ…」

(…?何か変なこと言った?)

「ご、ごめん!何か変な事言ってたらほんと…ごめん…」

「ううん。大丈夫。謝らなくていいよ。」

 

 そう制する里帆の顔は未だ暗いままだ。優里の心の中は様々な感情が入り混じった複雑な心情と化している。

 

「あのー…もしかして、ご両親が仲悪いとか?」

 

 優里はそう尋ねたがこれはあまり問いかけない方が良いかもしれないという思いがよぎる。

 

「…あっ、あんまり色々詮索しない方がいいね。忘れて…」

「…」

(…否定はしないか。)

 

 沈黙した里帆の視線がまた泳ぎ出す。すると何か思いだしたかのようにあ…と言いかけたのち、いきなりその場からいずこかへと向かって走り出したのであった。予想外の行動に優里は驚きながら里帆を追いかける。

 

「ちょっ…里帆ちゃん!待って…!」

 

 里帆はお構いなしに後ろを振り返らず走り続ける。勿論他校出身である優里はこの高校の経路は全く把握できてないので、自分が今どこにいるのかもわからない。更に人ごみに押されすり抜けたりぶつかって謝りながら進んでいくといつの間にか里帆を見失ってしまった。

 

「…どこ?里帆ちゃーん?!」

 

 当然ながら返事は無い。しかし3.4歩前へ進んだ先になにやら見慣れないものが落ちているのを優里は発見した。

 

「何これ?ミニリーフレット?えーと…「富山県観光ミニブック」?」

 

 優里が拾った「富山県観光ミニブック」と記されたミニリーフレットを裏返すと下の方に「riho」と小さく記されている。おそらくは里帆のものだろう。優里はミニリーフレットを開くとそこには富山県の主な観光地が写真やイラスト付きでまとめられていた。

 

「ヒスイ海岸、黒部ダム、…飯田ファーム。…飯田ファーム?」

「どれどれ…「引退した元競争馬や元乗馬、元繁殖牝馬などの馬たちがおだやかに余生を送る牧場です。のどかでさわやかな草原が美しい場所となっております。」か。」

「…なんで富山?」

 

 優里はそうつぶやく。走り続けた事で流石に疲れたので近くのベンチに座って休憩する事にしたのだった。

 

「はあ…疲れた…」

「話してみたけど…大方山岸くんの言う通りだ。」

「里帆ちゃんの考えてる事が…わかんねえ…」

 

 ちなみに優里が今いる場所は中庭の屋台が並んでいる箇所である。そこへ智乃がゆっくりと歩いてやってきた。智乃の姿は優里には見えていない。 

 -今の智乃のパンツの中には藤野先輩によってバイブが装着されている。

 智乃は身体をびくびくとけいれんさせながら藤野先輩に頼まれたたこ焼きを買いにここまで歩いてきたのである。

 

「んっ…んん」

(流石に変な声出したらやばいよな…)

 

 智乃はたこ焼きを買う間だけは快楽を吹き飛ばそうと頬を両手でパンと思いっきり叩く。そしておぼつかない足取りでたこ焼きを購入し歩いていくも校舎内へ入る途中でバイブがより奥へと入り込んだからかまた快楽に溺れそうになる。

 

「ああんっ!あっ…」

 

 ついには座り込んでしまい失禁してしまうのだった。

 

「やっ…」

 

 幸運にも人気のない校舎だったのが智乃には救いだったが、ナース服の裾と二―ハイソックスは濡れてしまったようだ。それでも体を震わせながら藤野先輩のいる部屋へと向かった。しかし部屋の前へと差し掛かったところで、智乃はある声を聞いてしまう。

 

「あっ…あっあっ…ああん」

「んんっ…これやばっ…」

「先輩…?」

 

 女の喘ぎ声。藤野先輩が私以外の女とやっている。その事実を智乃は針に刺されたかの如く思い知らされたのだった。部屋のドアをノックして入ると更に驚きの光景が広がっていた。

 

「あ、智乃ちゃんおかえり。たこ焼きはその辺に置いといてこっちへおいで。」

「お、君も呼ばれたの?一緒に楽しもうね♡」

 

 なんと藤野先輩は2人の女性と3Pを楽しんでいた。しかもそこへ智乃も来て一緒に楽しもうというのだ。智乃は唖然とした表情でその場の光景を見ていると藤野先輩に騎乗していた髪を降ろした全裸の女性が藤野先輩のそれを抜いて智乃の元へとやってくる。

 

「…もしかしてあの時予備校前で山岸くんと話してた人だよね?人違いだったらごめん」

「…あんた山岸の知り合い?」

「まあ、そんなところかな。予備校で色々仲良くしてもらったって感じ」

 

 全裸の女性もとい日向はそう言った。

 

「おーい塚ちゃんその人知り合い?」

 

 藤野先輩の後ろにいたもう1人の全裸の女性がそう尋ねると、日向は知り合いの知り合いって感じかな?と返した。

 

(ええ、…なんか、萎えてきた…)

(先輩とは4Pじゃなくて、2人っきりでしたいのに。)

(しかもあの塚ちゃんとかいう女、山岸の知り合いって事は…多分山岸ともしてるよな…)

 

 智乃から快楽はすっかり消え去っていった。よろつきながら装着されたバイブを藤野先輩の眼前で外すとそれを藤野先輩に返しゆっくりと踵を返し部屋から出ていこうとする。

 

「…智乃ちゃん?」

 

 藤野先輩が引き留めようとするも智乃は聞かずとうとう退出していった。部屋の中はどこか気まずいというような静寂が広がる。

 

「…」

「…」

「続きしよっか。」 

 

 藤野先輩がそう問いかける。日向は無言でしばらく扉の方角を見つめ、再度藤野先輩とのセックスを始めたのだった。

 

 智乃は一旦トイレに立ち寄り校舎を出て中庭へ行くと奥の方に1人ぽつんと座りながらスマホを眺めている人物を発見する。優里だった。

 

(もしかして、あの赤いセーラー服の子かな?)

(あの塚ちゃんって女もこの子の知り合いだったりするのかな)

(…話しかけてみようか)

「あの~見慣れない方ですけど今日はお1人で?」 

「えっああ…はい…」

「…もしかして山岸の知り合い?」

「えっ!そうですけど…なんで知って?」

「以前見かけたことがあって。」

「ああ成程…あ、はじめまして。茜谷優里と申します。」

「新山智乃です。初めまして。」

 

 お互い挨拶を交わす。すると優里は智乃に質問をしてきた

 

「山岸くんは普段どんな感じですか?」

「ああ、いつも通りだよ。変わんないと思う。あとタメでいいよ。」

「そっか…」

「じゃあ、里帆ちゃんはどうなんですか?」

「ああ、里帆も…変わらないと思う。」

「ニコニコしてて…何考えてるかわからない感じで…」

「うん。そうだね。」

「新山さんもそう思ってたりするの?」

「うん。…ちょっと謎っぽい部分はあると思う。」

「そうなんだ…」

「後は…基本誰とでもやる所とか。」

「やっぱり…」

「勿論レイプまがいのものなら嫌がってたけど、そうじゃないなら基本は誰とでも…」

「…やっぱり、エッチなんだ。里帆ちゃん。」

「…だと思う。」

 

 2人は顔をうつむかせる。事実ではあるが私達とはどこか違う。と優里と智乃は感じていた。

 

「あのさ、茜谷さんは山岸とはした?」

「あ、うん。」

「山岸以外としたいとかそういうのはあったりする?」

「無いかな。」

 

 その言葉を聞いた智乃はほっと一息ついた。

 

「…それ聞いて安心した。私も同じだったから。」

「…私好きな先輩がいるんだけど、私は今はその先輩としかしたくないと思ってる。」

「でも先輩はさっきも別の女たちとやってた。その中には茜谷さんの知り合いかもしれない人もいた。それに里帆ともやってたし」

「それは…辛いよね。私だったらさっさと別れるかも」

「だよねえ…でも踏ん切りつかなくてさ。」

「私なんだかキモイよね。自分語りごめん。」

 

 智乃は自虐する言葉を吐き出した後こんな話しちゃってごめんと優里に謝罪する。優里はそんなどこか陰のある寂しそうな智乃の横顔を見つめていた。

 

「そんな事ないよ。私も気持ち分かる。」

「…ありがと。」

「この後どうするの?もう帰るの?」

「う~ん…ここ初めて来たから場所が分からなくて…」

「せっかくだしもっかい教室戻る?山岸もいるかもしれないし。」

「あっじゃあ、それで。道案内頼んでもいい?」

「分かった。行こう。」

 

 こうして優里は智乃と共に再度高成たちの教室へと戻る事にしたのだった。

 時を同じくして高成は貴史と正門付近で呼び込みをしていた。するとそこへモノトーンの上品なワンピースとカーディガンを着た体格の良い黒いボブヘアの女性が近づいてくる。

 

「こんにちは。もしかして…里帆と同じクラスかしら。教室へ案内してもらっても、いい?」

「あ、はい。」

 

 高成は女性を教室まで案内する。

 

(もしかして飯田の親かな)

(雰囲気はなんか飯田とは真逆な感じ…でも何考えてるかは分からなさそう)

「あ、失礼ですが、飯田…さんのお母様で?」

「はいそうですけど。あなた里帆とはよくしゃべるの?」

「あ…時々、ですかね…普段は女友達とよく一緒にいてます。」

「そう…」

 

 教室へとたどり着くと里帆の母は高成にありがとうと言い席に着席し、コーヒーを注文する。高成が立ち去ろうとすると教室にはなんと芹沢先輩が友人を引き連れてやってきているのが見てしまう。

 

(芹沢先輩がいる!やべえ…嫌な予感が)

(ちょっと見ておくか、今度は何やらかすか…)

 

 高成は教室へ戻り壁際に立っていると、芹沢先輩は連れてきていた友人にお前らに紹介したい女子がいると話し出す。

 

「さらさらした黒髪がめっちゃ綺麗で可愛くてさ、藤野とやってるんだよその子」

「マジで?」

「しかも2年にセフレがいるって噂。まじもんのビッチらしい。」

「え~…名前は?」

「飯田里帆ちゃん。お前らも誘ってみ?無理やりじゃなきゃやらせてくれるから」

(!!)

「お前もしかして出席停止喰らってたのそれが理由?」

「あ、ばれた?まっレイプは流石にまずかったかな。」

(おいおい!やばいって…!またこの先輩やらかしやがって!)

 

 ここで見事に高成の悪い予感は的中してしまった。里帆の母はコーヒーを飲んでそれを置くとゆっくりと芹沢先輩の元へと歩み寄る。

 

「ん?なんですか?」

「今、飯田里帆と言ったわよねぇ?」

「言いましたけど?それが?」

「おい芹沢この人飯田の親じゃ…」

「ええそうよ。私は里帆の母よ。」

「あ」

 

 ついに里帆の母は激怒した。顔はもはや般若のそれだ。芹沢先輩は慌てて出ていこうとするも里帆の母に制止される。そしてクラス全体どころか校舎内にも響く大声でこう言った。

 

「誰か…!!飯田里帆を連れてきてっ…!!!」

「そしてあなたっ…!!どういう事か説明しなさい!!!!」

 

 その声を聞いて高成は里帆を探すために教室を出た。直後すぐそばのトイレから里帆が出てきてさらに逆方向の廊下には優里と智乃が教室へと向かってきていた。当然ながら里帆の母の声は里帆にも優里にも智乃にもばっちり聞こえている。優里と智乃はまずいと言うような顔を、里帆はどこか呆れたようなめんどくさいような落ち込んでる様な様々な表情が重なり合った顔をしている。

 高成がこの事について説明しようとすると、里帆はもう分かっているとでも言うように無言ですたすたと教室へ入っていった。優里と智乃もあとについていく。

 

「お母さん…」

「里帆…この気持ち悪い男は一体なんなの?!」

「ああその人はなんか良く分からない。…ちょっとしつこい人。」

「なっ…しつこいって…お前調子乗ってんなぁ!!ビッチの癖に!!」

「黙りなさい!!!」

 

 里帆の母の一喝で芹沢先輩は黙る。

 

「里帆あなたもしかして色んな男とそういう事してるの…?!」

「…」

 

 否定はしない。正しくは芹沢先輩がいたので否定できなかったというべきか。

 すると里帆の母は里帆の頬から耳にかけて容赦なく力を込めて平手打ちし、里帆はそのあまりの衝撃に耐えきれずまるで吹き飛ばされたように倒れてしまった。それを見た芹沢先輩は思わず顔を青ざめながら後ずさりし、智乃と優里・高成は倒れた里帆を里帆の母からかばうように里帆の元へと駆け寄る。

 

「飯田!!大丈夫か?!」

「里帆…!里帆!!しっかり!!」

「里帆ちゃん…!!っその、気持ち分かりますけどもちょっとやりすぎなんじゃないですか?!!いかなる理由があっても暴力はダメです!!」

「うるさいわね!あなた達には関係ないでしょう!!」

 

 里帆は動かない。関係ないと言い放った里帆の母に智乃は真正面から向き合う。

 

「関係ないって…一応うちら里帆の友人なんですけど?!!」

 

 智乃の言葉には反論できなかったのか里帆の母は「ちっ…」と舌打ちをする。その間にクラスメイトは担任教師を呼びに走っていたのか送れて担任教師が姿を現す。

 

「なっなんだ…?飯田の親が?!」

「大変なんです!はやく!!」

「ああもう、面倒事になってきたわね…」 

 

 里帆の母はそう吐き捨てると里帆の元へ近づきほら早く立ちなさいと言って促す。引っ張り上げるように里帆を立たせると、娘は体調が悪いので早退しますとだけ言って里帆の腕を強引につかみ足早に出ていった。

 

「いっ飯田…!」

「里帆ちゃん…!」

「…っっ!!」

 

 里帆は自身を呼びかける高成たちへ言葉にならない何かを発しながら去っていったのだった。

 

「…」

 

 高成らは呆然と立ち尽くすほか無かった。担任教師も芹沢先輩もクラスメイトも困惑した状態である。教室に来ていた客も去っていく人もいれば座っている人もいる。

 

(飯田…)

 

 高成の腕を優里がちょいちょいと引っ張り心配そうに尋ねる。しかし答えは出ない。智乃も里帆の名前を力なく呼ぶだけだった。

 すると廊下の向こう側から看板を持った貴史が焦った表情で高成たちの方へ向かってきた。

 

「なんか飯田の母ちゃんらしき人が飯田をすんごい力で引っ張っていってたけど…何があったんだ?」

「実は…」

 

 高成が事の顛末を貴史に説明すると貴史はマジか…とつぶやく。

 

「さすがにやりすぎじゃあねえかな…」

「それは思う。心配になる気持ちも分かるけど…」

「ね、心配…」

 

 4人の間には沈痛な雰囲気が漂っている。

 

(飯田…)

 

 夕方。優里は帰途に就くことになった。正門付近まで高成らが送っていくとそこで同じく文化祭に来ていた日向と鉢合わせる。

 

「あ」

「あんた、さっき藤野先輩としてた…」

「塚ちゃん?塚ちゃんも来てたの?…てかもしかしてヤリ目?」

「うう、ばれちゃあしょうがない…はいそうです…」

「はあ。やっぱり。」

「だってこの日が約束だったから…」

「はいはい。」

 

 気づけば外はもう日が暮れかかっている。日向は智乃にちょっといい?と話しかける。

 

「何?」

「あの人好きなんでしょ」

「…分かってたんだ」

「まあね。」

「で?」

「その気持ちはちゃんと相手に伝えるべきだと思う。おせっかいかもしれないけど。…まあそんな感じ」

「…うん。ありがと。」

「いえいえ。」

 

 日向は優里と共に3人へ挨拶すると正門から出て帰っていった。

 

 そんな帰宅後の夜。優里は里帆のミニリーフレットを自室で眺めていた。

 

「なんで富山県なんだろう。多分飯田牧場って里帆ちゃんの親戚なのかな」

(でも山岸くんとどっかいくなら普通は夢の国とか…じゃないのかな?)

(おそらく里帆ちゃんはここへ行きたがっていたんだろうか、そんな気はしてる)

(やっぱり今日のお母さんのあれと関係あるのかな)

 

 数日後。文化祭も終わり高成の通う学校にはいつも通りの日常が戻ってきた。高成は下駄箱のある地点で貴史と会うと挨拶を交わし教室へと向かう。

 そんな2人の言葉は少ない。教室に入り智乃とも挨拶を交わすがやはりそれっきりだ。高成は席に座りぼーっと窓を眺めている。

 

 …なぜならあれから里帆は高成たちには一切姿を見せていないからだった。学校も休み、智乃や高成が宿題やプリントを里帆への自宅へ届けても居留守なのか留守なのか、今のところ全く反応が無い。高成ら何人かのクラスメイトが里帆へラインを送っても既読無視のままだった。

 

「…」

 

 高成は母が娘に手を挙げたあの光景に衝撃を覚え、里帆へ抱いていた名状しがたき何かが更に不穏かつ高成を心配させるものへと変化していった事を高成も自覚しているし、その何かに近いものを高成だけでなく高成と同じく現場を目撃した智乃と優里も少し感じ取っているようだった。

 

「里帆ちゃん今日も学校休んでるの?」

 

 と優里からのライン。高成はうん。と返信すると心配だと優里から返信が送られてきた。

 

「もっかいライン送ろうか…」

「飯田大丈夫?…っと…」

(返事が来るかどうかわからないけど…)

 

 そして優里の通う高校でも里帆の話は他校の女子にまつわる噂として雄也と日向に伝わっていた。優里は2人を廊下の隅っこに呼び出して事の流れを説明する。雄也はそれはやりすぎだと困惑しながらも憤慨し、日向も大丈夫かな、と心配の表情を浮かべる。優里はこの事を話しながら、自身の心境を振り返っていた。

 

(なんだかずっともやもやしてる。)

(山岸くんの事が好きなのはもう、確定してる。里帆ちゃんと話してそこははっきりした。)

(里帆ちゃんに嫉妬してる気持ちと何考えてるのか分からない感じと里帆ちゃんが可哀想な気持ち)

(この気持ち、山岸くんにも打ち明けるべきなのだろうか。)

 

 高成と里帆への2つの気持ちを確かめた優里は日向を読んだ。

 

「なーにー?」

「帰り一緒に帰らない?」

「いいよ。」

「ありがと。」

「あっ俺は?」

「ごめん。ひとまずはヒミツのガールズトークだから。」

「そっか。」

(なんだろうなあこの気持ち。)

(私が単純に優しすぎるお人好しなだけか、それとも…)

 

 

-----

 

 馬が草原を自由に駆けてゆく。

 

 ここはとある少女の夢の中。セピア色の景色、その始まりは東京の競馬場。優駿たちがターフを疾走し大勢の観客の前を通り過ぎてゆく。

 

 その中で1人の幼い少女はターフを駆ける優駿たちに目を心を奪われる。その中ひときわ目立った黒い馬が先頭でゴール板を過ぎてゆくと観衆は大歓声と温かい拍手に包まれる。

 

「すごい…すごいね!」

「ええ、里帆…すごいわね。」

 

 そしてレースを勝利した馬にだけ許されるウィナーズサークルでの口取り式。幼い少女・里帆はその馬に触れると馬は里帆をじっと見つめ、そして里帆にいきなり人語を用い話しかけた。

 

「あなたは自由になりたいの?」

 

 馬が話している。しかも自分に話しかけている。里帆が気づいた時には景色が暗転し自宅へと変わる。

 

「里帆はお馬さんの絵本が好きね」

「うん大好き!」

 

 その時今度は絵本が里帆に話しかけてきた。

 

「あなたは自由になりたいの?」

 

 私は自由になりたいんだっけ

 私は自由に憧れているんだっけ

 

 最後に変わったのは小学校高学年の景色。先ほどまで優しかった母親は今と同じ怖い母親像へと変わっていた。口取り式にいた父親も見当たらない。

 

「里帆、男はね生きる価値のないろくでもない生き物なの。だから授業や必要な時以外話しかけちゃだめよ。」

「うん分かった。」

「それから里帆、学校終わったら早く帰って来なさい。」

「うん分かった。」

 

 ぐるぐると周る景色。まるで眩暈を起こしているようだと里帆は感じ始める。そして矢継ぎ早に声が次々と里帆を襲うようにあちこちへ飛び交い始めた。

 

「なあ飯田今日もやらせろよ」

「男ってろくでもないのだろうか」

「里帆ちゃん可愛いね」

「里帆はやく帰って来なさい」

「里帆ちゃんおいで。一緒に楽しもうね」

「飯田の中気持ちいい…」

「気持ち悪い 近寄らないで」

「里帆は…××…」

「里帆ちゃんは…」

「飯田。」

(何これ…)

 

 里帆ははっと飛び起きるとそれは全て夢。自室のベッドだった。ああ、夢かとくらくらする頭を押さえながらベッドから出て誰もいないリビングへお茶を飲みに向かう。テーブルには弁当と家から一歩も出ないようにと記された書置きが残っていた。

「出ないね。」

 

「うん。」

 

 今日も里帆の自宅から反応は無かった。ポストにプリントの入った茶封筒を投函した高成と智乃はとぼとぼと歩いていく。

 

「もう文化祭も終わってそろそろ秋か。」

「そうだね。…そういやさ。新山は文化祭どっか巡ってたりしてたの?あの時茜谷さんと一緒にいたけど」

 

 それは智乃にとってはあまり聞かれたくない質問である。智乃は言葉をやや詰まらせながら正直に答える。

 

「藤野先輩と…まあ。」

「でもその後バイブ入れた状態でたこ焼き買いに言ってたらさ、藤野先輩は塚ちゃん?茜谷さんの知り合いともう1人の女と3Pしてた。」

「塚原さんと先輩が…」

「で、その子がアドバイスをくれた。ちゃんと先輩に気持ちを伝えるべきだって」

「そっか。」

 

 智乃はオレンジ色の空を見上げながら高成に過去を思いだしながら語り掛ける。

 

「そういや最初にやったのはあのハゲだったね。オナホ見せて…ってアイツの家に行ってさ。山岸は正直どう思ってた?」

「え、いや…まあ、びっくりしたというかマジで?!というか」

「…あの時は、ごめん。私がオナホ見せてって言ってなかったらどうなってたんだろ。…今更どうこう言っても仕方ないか。」

 

 そんな智乃に今度は高成が質問を投げかける。それは智乃がオナホ見せてと言った後なぜ貴史と絡み合えたのかという事だった。高成の質問を受けた智乃は少し顔を赤らめながら理由を答える。

 

「もし藤野先輩とやるってなって、処女だったら色々手間かけさせちゃうなと思って。…でも今は先輩としかしたくない。変な事考えすぎだなあ私。…私なんかキモい?」

「いや、そんなこと無い。」

「山岸の癖に言うじゃん。でもありがと。」

 

 智乃はほろ苦いような笑顔で高成へと感謝の気持ちを伝えるとぐっと前を向き、自身の決意を高成に伝えた。

 

「私、藤野先輩に告白する。」

「!」

「塚ちゃんに言われたんだ。気持ちはちゃんと伝えるべきって。だから…ちょっと怖いけど告白しようと思う。…それで、ダメだったら藤野先輩の事はもう諦める。きれいさっぱり諦められるかどうかはまだわかんないけど。」

 

 智乃の決意。それは高成の胸を熱く打つものだった。高成は彼女へ頑張れとエールを送る。

 

「へへっありがと。山岸も頑張れ。」

「自分の気持ちと向き合うのは確かにしんどいかもしれないけど、後悔はしたくないし。そうだ山岸、また何かあったらいつでも相談乗るから。」

 

 智乃はじゃあまた明日と言って家へと向かっていった。高成は改めてかつて貴史と母親に言われたセリフを思いだす。

 

「あなたも優しいわね。…いい?気持ちは思うだけじゃダメ。伝える事が肝心よ。」

『こーせー、知ってっか?』

『気持ちはしっかり伝えなきゃいけねんもんなんだよ』

(そうだ…今の飯田に対する思いと茜谷さんへの思い)

(いずれは決着をつけなきゃいけない。けど)

(茜谷さんも好きだけど飯田が心配なのは事実だ。そして飯田へのこの「何か」が分かるまでは…)

 

 高成は立ち止まって両手をぎゅっと握り大きく息を吐くと、再び自宅へ向かって歩き始めた。

 その頃木がうっそうと生い茂る公園にてベンチに優里と日向は座って会話をしている。

 

「私は山岸くんの事が好き。」

「でも山岸くんには里帆ちゃんがいる。」

「今の私は里帆ちゃんに対してとりあえず分かるだけでも3つ思ってる事があるの。」

 

 日向はあいづちをしながら優里の話を聞いている。風が木々を揺らすとカラスが飛んでゆく。その光景はどこかほんの少し不気味な雰囲気を纏っている。

 

「1つは里帆ちゃんに対して嫉妬してる事」

「2つ目は里帆ちゃんの考えてる事が分からない事」

「3つめは里帆ちゃんが可哀想だとも思ってる事」

「なるほーね…」

 

 ここで日向があの文化祭の時里帆とは何か話したのかと優里に質問をする。優里は山岸くんについてどう思ってるかとか色々質問したけど逆に何考えてるのか分からなくなったと返すと日向はむむむ…と言ってしばらく黙り込んでしまった。

 

「それと、私はもう山岸くんとはエッチしてるか?という事と、私の両親はエッチしてるか?って聞かれた…」

「えー…で、どう答えたの?」

「前者は正直にしたって言って、後者はよくわからないけどしてるんじゃない?って答えた」

「で、どうだったの?」

「前者はだよねえって感じでまた山岸くんとエッチしたいって言ってたけど、後者はすごく悲しそうな顔してた。で、その後どっかいってこれ拾った訳。」

 

 そこで優里は里帆のミニリーフレットをリュックから出して日向に渡す。日向は何これ?と珍妙なものを見つけたかのような表情で表紙や中身にさっと目を通す。

 

「なにこれ?」

「そこ、見てみ」

 

 優里は飯田ファームと書かれている箇所を指で示した。

 

「そういや里帆ちゃんの苗字って」

「一緒。もしかしたら親戚とかかな?って」

「あー…それはありそう。」

 

 日向はあくまで私個人の考えだけどと注釈を入れたうえで優里にこう伝えた。

 

「親と仲悪いから家出というかそこへ行こうとした。とか?」

「実際見てないからどうなのかわからないけど、みんなの前でぶつなんて尋常じゃない気がする」

「もしくは山岸くんとデート行こうとした…でもこれは無いかな。ここら辺なら水族館や市街地や某夢の国とかもっとそれっぽい場所あるし」

「…里帆ちゃんのルーツ的な場所、なのかもしれない。」

 

 日向はこれを持ってたんなら富山のどこかに行きたがってるというのはおそらく当たっているはずで、その中ならやっぱりこの飯田ファームが同じ名前である以上一番怪しいと思うと優里に説明した。優里はルーツね…と日向の説明を飲み込む。

 

「後は目的だけど…さすがにこれは本人に聞かないと分かんない。さっき言ってた仮説は今の時点では正直断言できないかな。」

「…やっぱ本人に直接聞くしかないか、これいつかは返さなきゃいけないけどまた会えるかどうか…」

 

 日向が予備校での日々を思い返したのか、これまで色々あったねと優里に話しかけてきた。

 

「色々あったけど…ちょくちょくあんたがトリガーになってるような気もしないでもないけど」

「まあ、永瀬のオナホの件は…ご愛嬌って事で」

「いやあれびっくりしたからねマジで?!!謝ってくれたからいいけど。」

「ごめんて!でも山岸くんとやれて良かったでしょ?」

「まあ…それは勿論。」

 

 そんな2人のたわいない会話は日暮れまで続き、その夜。高成のラインに智乃から連絡が届く。

 画面には『明日藤野先輩に会えることになった。告白してくる』という文言が書かれていた。高成は頑張れという文字が入ったスタンプを送るとすぐに既読が付く。

 

『ありがと。そういや山岸そろそろ誕生日だったっけ?もう過ぎてたっけ?』

「あ、そういえば…明後日じゃん。すっかり忘れてた。」

 

 高成は明後日だと返信を送るとしばし間を置いて智乃からこのような返信が届く。

 

『良かったら誕生日会する?茜谷さん達も呼んでさ』

(誕生日会か…)

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