僕はかつて事業で失敗し、妻子を残して逃げてしまった。
合わせる顔もないまま地方で食いつないでいたところ、事故で入院してしまった。
片腕が折れてしまった僕には手助けが必要であり、やむなく実家の父に連絡を入れた。
そして、父に保護されていた妻の日和と、娘の千紗希と、再会することになった。
「その……すまない、二人とも」
そう謝った僕に、妻と娘は、刃のような視線で見下すだけだった。
「……まあ、仕方ないわね。腕が治るまでよ」
「いまさらなに? 声かけないで」
日和と千紗希は、僕を許してくれなかった。
当然か。妻子に借金を残して行方をくらますなんて、夫が最もしてはならないことのひとつだ。
「まあ、いまは怪我を治すことだ。
いま謝り倒しても、同情を引こうとしているように見えるだろう」
父だけは、僕にそう声をかけてくれた。
借金に関して多大な迷惑をかけた手前、父には逆らえない。
こうして僕は、心を開いてくれない妻子と共に、父の屋敷で暮らすことになるのだった。
○
実家での生活は針のむしろだった。
食事で同席した日和と千紗希は、限りなく言葉少なで、しかし父とは仲睦まじく話している。
「お義父さん、お味はいかがでしょうか?」
「今日は私も手伝ったんだよ? おじいちゃん」
たぶんこれは、僕への当てつけなのかもしれない。
僕を居ないものであるかのように扱うことで、一度は捨てた僕に復讐しているのだ。
「あの二人には、そのくらいする資格があるだろう」
父もそう言っているし、僕自身もっともだと思う。
ただ……それだけだろうか?
僕に当て擦りするのはよく分かる。
父との親密さで落差を意識させるのも、その一環なのだろう。
その上で、どこか不自然に感じるのが――
(二人とも、妙に色っぽくなってないか?)
少し見ない間に、雰囲気が変わったように思う。
妻の日和などは、肌の色艶が明らかに増しており、数年ほど若返った印象すらある。
元より若作りで豊満な肢体の日和だったが、それが更に増したように見えた。
服も、胸元が大胆に開いたカットソーに脚線の浮かぶ黒のパンツで、やたら男の目を惹く。
(千紗希まで……)
日和とは逆で、娘の千紗希は急に大人びて見えた。
顔や背丈はそう変わっていないのに、艶やかな唇や余裕ある目付きから、色香が立ち上っている。
体つきにしても、もともと起伏の激しいスタイルだったが、一段とそれが増したような気がする。
胸などは急成長して、もはや日和と大差ない――100センチの壁を越えたように見えた。
それを包む服にしても、まるで日和と露出を張り合うようだ。
肩口から胸元とまでカットされた白いトップス、膝丈より上の黒いスカート。
父親としては、そんな格好で町を歩かれたら気が気じゃないという、大胆な格好だ。
若いから着飾りたい……というだけだろうか?
普通、母や祖父しかいない家の部屋着に、そこまで気合いを入れるだろうか?
あれじゃまるで、恋人の家で二人きりになっているときのような……
「なに?」
「ああいや、なんでもない……」
そうした私の視線に気付くたび、千紗希は汚らわしそうに睨んでくる。
娘に対して性的な目を向けてしまったことに気付かされ、返す言葉もない。
日和からも同じような目を向けられる。父だけが「まあまあ」と二人の気を逸らしてくれた。
再会して以来、妻と娘とのコミュニケーションは、このようなことばかりだった。
そんな日和と千紗季でも、左腕が使えない僕のことを、ときおり手助けはしてくれる。
風呂に入るときなどは、日和が言葉少なに「手伝うわ」と言って体を洗ってくれた。
「その、日和……すまなかった」
「黙って。しばらく、その話はしたくない」
僕は機会を見ては妻に詫びるが、日和は受け入れてくれない。
仕方の無いことなのだろう。
こんな情けない怪我人の夫では、心を入れ替えたと言っても説得力はないだろうし。
「……あなた、なに考えてるの?」
「え? あっ」
日和が疎ましそうな目で見ていたのは、僕の股間だ。
タオルの先から、勃起した逸物が顔を覗かせている。
「いや、その、すまない。日和がこんなに近いのは、久しぶりだから……」
以前の夫婦生活なら、日和は文句を言いつつも喜んで、処理してくれたかもしれない。
「なに期待してるか知らないけど、私や千紗季の見てないところでオナニーでもしてちょうだい」
日和はそう言って、ただの作業のように、僕の入浴を介助するのだった。
「後は自分でできるわね?」
そう言って、日和は最低限の世話だけ焼くと、早足に脱衣所を出て行く。
日和に服を着せてもらった僕は、呼び止めることもできない、
結局、重い足取りで、自室に戻るしかなかった。
その途中でのことだった。
「千紗希……」
娘の千紗希を、廊下で見かけた。
妙に顔が火照っており、呼吸も荒いように見える。
運動でもしていたのだろうか、上気した頬が色っぽい。
いや、娘を相手になにを言ってるんだ。
「…………」
千紗希は早足に僕の隣を抜けると、自室に戻っていった。
(……あれ? いま自室に戻ったなら、さっきまでどこに居たんだ?)
僕はそこが気になった。
僕が風呂に入る前は、自室でのんびりしているようだったのだが。
僕は千紗希が来た方向を一瞥する。
その先、突き当たりにあるのは、僕の父の部屋だった。
日和の部屋と千紗希の部屋も、同じ廊下に面した近い位置にある。
僕の部屋だけは離れの方にあり、こんなところでも遠ざけられているように思えた。
(親父と日和たちの部屋、あんなに近いのか? ……いや、邪推するようなことでもないか)
父は、千紗希にとって祖父であり、日和にとっては義理の父だ。
日和に関して、少し淫らな想像が浮かぶ。
夫の父親と――なんていう、三文芝居のような関係が。
(馬鹿馬鹿しい。いくら僕への恨みがあるからって、それとこれとは別問題だろう)
日和がそんな昼ドラみたいなことをするはずもない。
日和は賢く強い女性だ。そのような関係を求められても毅然とした態度を取るだろう。
それは、たとえ縁を絶ってしまったとはいえ、夫である僕が、世界で一番よく知っている。
だから僕はくだらない妄想を振り払って、与えられた部屋に戻ろうとしたが――
「……っ♡ ……っ♡」
かすかに、日和の声が聞こえた気がした。
ほとんど聞こえなかったが、どこか甘い、笑うのとも泣くのとも違う声。
ありていに言うと、性感を覚えているときの、女の声だった。
(なんだ今の……日和の声か……!?)
何かの聞き違い、もしくは自慰をしている、そんなところかもしれない。
ただ、それがどうして……日和の部屋ではなく、父の部屋から聞こえてくるんだ?
「……ぁっ♡ ……さま♡」
より明らかになった声に、僕は自分の耳を疑った。
僕は恐る恐る、廊下の奥の、父の部屋に近付いていく。
「お義父様ぁ……もっとぉ♡」
「ああ、いいぞ」
間違いない。日和と父の声だ。
閉じた襖の向こうに、父と妻がいる。
僕は嫌な動悸を感じながら、襖の前に立ち、勘違いであることを祈って聞き耳を立てた。
「あっ、はぅ……すごいぃ……♡」
「ここが好きなんだろう?」
「はい、そこ、もっとお願いします♡」
「可愛いな。今日はずいぶん縋りつくじゃないか」
「だって……私、あの人が戻ってきたから、お義父様に捨てられるんじゃないかと」
「そんなわけないだろう。いまさら息子になんか返すものか」
ほとんど確定だった。
勢いよく襖を開いて怒鳴り込む――べきだった。
なのに僕は、なぜなのか分からないが、これを『邪魔してはいけないこと』であるかのように感じていた。
まるで、なにかが僕の意思決定を邪魔しているかのように。
「……っ」
だから僕は、気付かれないよう慎重に、父の部屋を閉ざす襖を少しだけ開く。
そうして確保された覗き窓の先に――父と日和の姿があった。
「あっ、お義父様っ♡ それだめっ、その指の形だめですっ♡」
布団の上で仰向けになり、脚を大きく広げて股間を露わにしている日和。
僕の風呂を手伝ったときに掃いていたジーンズは脱いでおり、シャツは首までまくられ、下着の隙間から胸を出している。
その上に覆い被さるようにしながら、彼女の秘所に指を差し入れているのは、もちろん父だった。
「もうぐしょ濡れじゃないか。夫と再会して興奮しているんじゃないか?」
「ち、違います……その、興奮は、していますけど……♡」
父の問い掛けに、日和は口ごもり、頬を赤らめる。
日和のそこは、すでに蜜壺と呼べるほどに潤っていた。
「ああ、夫に隠れて義父に抱かれることに興奮しているんだな? もう立派な淫乱じゃないか」
「そ、それは、その通りなのですが……ふあっ♡」
父が……日和の、僕の妻の乳房に吸い付く。
日和のとてつもなく大きな柔肉が、乳輪ごと吸い上げられて、軽く持ち上がる。
父が音を立てて口を話すと、解放された乳房がぷるんっと揺れながら戻っていく。
「恥じることではないさ。私たちの関係は神様に許されているんだ。だから存分に感じなさい」
「あっ♡ お義父様っ♡ そんな、音を……っ♡」
くちゅくちゅくちゅくちゅ! と、日和の股から水音が鳴る。
父の手が日和の脚の間で蠢くたび、日和の顔が快感に歪んで紅潮する。
感じていた。
妻が、他ならぬ僕の父親の手淫で、無抵抗に感じていた。
その様子を見れば、脅されたり襲われたりしているわけではないことは、明らかだ。
(日和と、親父が……っ!)
僕の腸が煮えくり返る。
あのクソ親父、僕がいない間、妻を助けてくれていたと思いきや!
左腕のギプスにも構わず殴り込んでやりたい――やりたいのに、なぜか僕は踏み込めない。
目に見えない大きな力が……
人間の感覚器では感知できない力の働きが、僕を拘束しているかのように。
「可愛いぞ、日和。さあイきなさい。声はできるだけ我慢するんだぞ」
「はいっ、お義父様っ♡ んっ、うぅぅぅぅっ♡」
日和の顔が快楽に蕩けている。
お義父様などと媚びたような呼び方をして、自らの手で乳房まで揉み回して。
あれは、女が男に誇りさえ捧げて悦楽を願う姿だった。
夫の僕以外に、決して見せてはならないはずの姿だった。
「お義父様っ、もっと♡ もっとぉ♡ 声っ、がまんっ、するからぁ♡」
しかし妻は、僕には見せたことのない表情と声で、父にねだっている。
その事実に僕は怒りよりも打ち拉がれる思いでいっぱいだった。
「んんんっ♡ お義父様っ、いくっ、いくぅぅぅぅぅっっっ♡」
じゅぱじゅぱじゅぱじゅぱっ! と、日和の恥部から鳴る水音が激しくなり、全身が反り返る。
同時に、父の太い指で膣内を掻き回されていた日和の腰が大きく跳ね上がった。
「くっ、ふぁぁぁ……♡」
そして、日和は絶頂を迎えたようだ。
はしたなく喘ぎながら、身体を痙攣させ、余韻に浸るように小さく震えている。
「欲しいかね? 日和」
父はそんな日和に向けて、股間から逸物を取り出した。
大人になってから見る機会など普通ないものだが、父のそれは驚くほど巨根だった。
「ああ、欲しいです♡ やっぱり、お義父様のでないと……っ♡」
日和は起き上がり、自ら父の前に伏して、剛直を両手で包む。
膝を折って伏す日和のヒップが、僕の方に向いていた。
「風呂場で息子にもしてやらなかったのか?」
「もう、嫌なこと思い出させないで。大きくはしてましたけど、最低です。自分の立場も分かってないんです」
風呂場での一件に触れられて、僕の心臓が引き絞られる。
確かに、僕にいまさら日和に妻の役目を求める資格はない。
だから、ここで割って入る資格もないのではないか――と、足を止める理由を増やされた。
「それに、お義父様の方が、ずっと立派ですもの♡ ちゅぷっ、ぢゅるるるっ♡」
そう言って、日和は父に奉仕を始める。
とうてい口には入り切らなさそうな男根を、大きく口を開けて頬張り始めた。
「んっ♡ ふっ♡ れろっ♡ んぅ♡」
竿の根元を手で擦り、亀頭を舐め回し、裏筋を舌先でなぞって――
「……っ!」
僕は思わず目を背けた。背けようとして、眼球すら動かなかった。
こんな光景を見てはいけない気がして、だけどどうしても目が離せなくて。
「どうだ、日和? 息子のと比べてみて」
「んっ、そんなのっ♡ 比べられませんっ♡ 長さも太さも、一回り以上も違って……ちゅる♡
ぷはっ。反りも、カリも、あの人のは、こんなに女を感じさせる形してません♡ ぢゅる♡」
日和のフェラは熱心だった。
口に入れること自体が快感であるかのように、亀頭を口内で転がし、時に根元まで呑み込む。
呼吸すら犠牲にして男を感じさせるような口淫を、日和は義理の父に捧げていた。
「お義父様のすごいっ♡ どんどん硬くなってます♡
ふふっ、お義父様こそ、息子さんと張り合っていらっしゃるんじゃないですか?
嬉しい……私のこと、あの人から、奪い取ってくださるんですね……♡」
日和は嬉々として父のモノをしゃぶり続けている。
そんな妻の姿に、僕は胸が張り裂けそうな思いだった。
(どうして、そんな顔ができるんだ……!)
僕とのセックスでは、一度も見たことのない表情。
(僕は、君に会うために、恥を忍んで……っ)
これまで一度だって、妻の口からあんな卑猥な台詞を聞いたことはなかった。
「んぅ♡ んっ♡ んんんっ♡」
日和は父のものを根本まで飲み込み、口から取り出すことなくひたすら頭を上下させる。
イラマチオ――喉の奥まで男根を呑み込み、膣への挿入も同然に感じさせるプレイだ。
「いいぞ日和、上手になったな。今日こそ喉で私をイかせられるかもしれないぞ」
「んっ♡ んんっ♡」
日和の頭の動きが早くなる。
じゅぽっ、ぐぼっ、という下品極まりない音が響く。
「くぅっ……」
僕は、目の前で繰り広げられる光景に、なぜか救いを求めるように襖へ手を伸ばす。
ここを開けろ、ここを開けて、妻に自分の存在を思い出させるんだ!
そうすれば行為は止まり、僕は二人の不義を追求して止めさせることが出来る。
「っ!?」
そんな私の肩に、誰かが手を置いた。
振り返って見ると――千紗希がいた。
風呂から上がってきたのだろうか? 少し露出の多い部屋着で、首にタオルを掛けている。
そんなことより、娘の千紗希がこの場にいることに、私は背筋を凍らせた。
「…………」
すると千紗希は、静かにと言うように、人差し指を唇に当てる。
そして私の手を引いて、その場から離れていく。
私は逆らえず、日和と父の情事から遠ざかっていった。
「ち、千紗希っ、さっきのは――」
「黙ってて。部屋に戻って」
廊下の角まで進んだ千紗季は、私の部屋がある方向に、私の体を押す。
ギプスを釣っていてバランスが悪い私は、無様にたたらを踏んだ。
「千紗希!」
強くものを言おうとした私は、千紗希の眼光に言葉が詰まる。
まるでゴミでも見るような、どうしようもなく情けない存在を嫌悪するような目だった。
「――あんたに、文句を言う資格があると思ってんの?」
それだけを言い残して、千紗希は踵を返す。
彼女が向かう先は、自室か、それとも日和と父がいる部屋か。
止めなければならない。この際、妻と父の不義はともかく、その傍に千紗希がいることだけは。
父としての誇りが掛かっている場面なのに――
なぜか私の体は、千紗希を追うことができなかった。
「あ、ああ……」
膝を付く。
きっと千紗希は、日和と父の関係を知っているのだ。
自分の母親と祖父が交わっていることを承知した上で、止めさせる気はないのだ。
目の前にいる私を、父親を頼って何とかさせることさえしない。
それほどまでに――千紗希の中に、私という父親は、居なかった。
○
それから、私の愚かな日々が幕を開けた。
日和と父の情事は、見なかったことにした。
なにも気付いていないふりをして、ただ部屋に篭もった。
たまに、日和が面倒臭そうに「食事はできてるから」と声だけ掛けていく。
一緒に食事を取ろうなんて気はしなかった。
日和も父も、千紗希にも、まともに顔を見て話せる自信がない。
それでもときおり、食事やトイレのために部屋を出る。
すると、まるで測ったように――女の喘ぐ声が、遠くから聞こえてくるのだった。
私が何も知らないと思っているのか?
それとも、バレても口出しできなかったことが、千紗希から伝わったのか?
だから、あいつには何も出来ないから、存分に聞かせてやろう……とでも?
そう思うと、また胸の奥底に黒い感情が生まれる。
怒り? ああそれもある。
あるが、他の何かもあった。ただ、それは認めてはならない感情だった。
それでも私は、声の聞こえる方へ、忍び足で近付いていった。
「――っ♡ ……ん♡」
声は仏間の方から聞こえた。
僕が食事やトイレに行くときには通らないルートにある部屋だ。
つまり、私に目撃されないよう気を遣った場所だ。
半開きになっている障子戸の向こう、仏壇が置かれているだけの簡素な部屋で――
「ああんっ♡ あっ、あっ、あっ♡ おじいちゃんっ♡
そこっ、そこそこ奥おくぅ♡ もっとしてぇ♡」
千紗希と、父が。
つまり、娘とその祖父が、淫行に耽っていた。
「っっっ!?」
ある意味、父と妻のときよりも、衝撃だった。
てっきり、日和がしているのかと思ったら……
なぜ、そこで、千紗希が? 父と、なぜ、体を……っ!?
呆然とする僕に、千紗希の喘ぎ声が追い打ちをかけた。
「ふぁぁぁくるっ、くりゅよぉっ♡ おっきくでかたいの奥にどすどすぅってきてりゅぅっ♡」
千紗希は、今日も短かったスカートの裾をまくられて、バックから突かれている。
父は孫娘の膣に勢いよく怒張を突き込み、豊かに実った巨乳を背後から揉んでいた。
千紗希の顔には、背後から理想的な角度で子宮口を突かれている女の悦楽しかなかった。
心のどこかで……予感はしていた。
それでも、まさかと切り捨てていた可能性だった。
父は、義理の娘では飽き足らず、孫娘にすら手を出していたのだ……!
「いいぞ千紗希、最高だ! お前はこの角度で突いているときが一番よく締めてくれるな!」
「だってぇ♡ おじいちゃんのがっ、弱いとこ、擦りながらぁ♡ ポルチオいじめるからぁっ♡」
千紗希は祖父の首を抱いて、振り返るようにキスをしていた。
男を受け入れながら、自ら望んで舌を絡めるその姿は、あまりにも淫靡だった。
手塩に掛けた愛娘が、あんな顔をしていること事態が、僕には信じられなかった。
「ふぉっ、そろそろイクぞ千紗季! 今日もたっぷり中に出してやる!」
「うんっ、きてぇ♡ おじいちゃんのせーし、わたしの一番深いところにちょうだいぃ♡」
パンッ、パンッ、と肉と肉がぶつかり合う音が響く。
やがて二人は同時に絶頂を迎え、祖父は千紗希の中に精を放った。
「~~~~っ!!!!」
千紗希は体を痙攣させ、祖父の首に縋りながら、全身をオーガズムに震わせた。
淫蕩に染まった瞳、涎を垂らす半開きの口、体と共に揺れる乳房――
娘が……世界の誰より可憐で大切な姫だった娘が……いま、ただのメスの顔をしていた。
僕はその光景に後ずさりして、背後の壁に背中をぶつける。
あまりの衝撃に言葉が出ない。
これが、千紗希が襲われているというなら、父を殺してでも助けたのに。
「おじいちゃぁん♡ もういっかい♡ もういっかいしよ?」
「やれやれ、老体に無理をさせてくれるなぁ」
「じゃあ、私が上になるから。ね?」
これは完全に合意のこと、千紗希が女の悦びを総身に感じて愉しんでいる光景だった。
(だ、駄目だ……)
千紗希が祖父と抱き合い、体面座位の姿勢に入るのを見て、僕はふらふらと動き出す。
父の逸物が再び千紗希の中に挿入され、千紗希が自ら腰を振って、胸を吸わせている。
そんな光景、もう一秒だって見ていられない。
(止めさせ、なければ……っ!)
昨夜も感じた、僕の体を縛る不可解な強制力。
それを意思の力で振り払い、千紗希を救おうと手を伸ばしたとき――
「っ!?」
横から誰かが駆け込んでくる足音。
そして側頭部への衝撃。
気がつけば僕は、廊下に倒れていた。
(日和……?)
倒れて横向きになった視界に、日和の姿が見えた。
手にした金槌からは、血が滴っていた。
○
妻に殴られた私は、気を失っていたようだ。
目が醒めると、両手両足を縄で括られ、縁側の柱に縛り付けられていた。
顔を上げると――
「んぁぁぁああっ♡ お義父様ぁ♡ もっとおっぱい触ってっ♡ 日和のはしたない胸をいじめてくださいっ♡ そうそれっ、先っぽ、指でくにくにされるのぉ♡ 好きぃ♡」
僕の眼前、上から見下ろすような至近距離で、妻の日和がバックから突かれていた。
突いているのは父であり、全裸の日和の爆乳がその手で揉みくちゃにされている。
日和の豊満すぎる乳房が、父の老いた指を食い込ませ、乳首を刺激されていた。
「はは、夫の前でこの乱れようか。やはり日和は背徳感で濡れる淫乱女だったようだな」
「ごめんなさいっ、女はこうなっちゃうのっ♡ お義父様とのいけない関係、大好きになっちゃったのっ♡ あああいくぅぅっ♡ 奥を突かれながら乳首はすぐイっちゃうのぉぉっ♡♡♡」
日和が、僕の見ている前で愛液を噴出する。
前に伸ばされた僕の足に、日和の液体がかかって、ズボンが汚れた。
「あ、お父さん起きたみたいだよ?」
そう口にするのは、千紗希だった。
千紗希とは思えないような格好だ。
黒いベビードールに、大胆すぎる下着は、愛娘とは到底思えない。
「千紗希……日和……お前ら、なにをして……」
僕が呆然と問いかけると、先ほどまで色欲に染まっていた日和の顔が、氷のように冷める。
「お義父さん、お願いします」
「ああ、下がっていなさい」
日和と父は姿勢を改め、日和が僕の前から退く。
父は逸物をズボンにしまい直すと、酷薄な瞳で僕を見下ろして――
「なあ、お前はなにをしていたんだ?」
躊躇いなく、僕の顔面をぶん殴った。
「ぶっ!?」
鼻から嫌な音がする、本気の拳だった。
殴られた勢いで背後の柱に後頭部が当たり、意識が明滅する。
「借金を作り妻子に着せて行方をくらませただと? どの面を下げて戻ってきた!」
この屋敷に来た当初は言わなかったことを、いまになって父が言う。
言葉の途中にも拳は叩き込まれていた。
「ごふっ!? やめっ!? ぐあっ!?」
僕は縛られているため顔を庇うこともできず、拳と柱の間で頭部をバウンドさせた。
「日和や千紗希が失望するのも当然だろう!
その上わしらの関係を覗いておったとは! いまさら夫面する気か!」
何回目の鉄拳だろうか。
口の中から血の味がして、鼻血が垂れて、頭からは耳鳴りがする。
後頭部が壁や床にバウンドするような殴り方は、脳に障害が残るほど危険な殴り方なのだと、どこかで聞いた気がする。
「お前なんぞもう息子でもなんでもない!
日和の夫でも、千紗季の父でもない!
二度とこの二人に近付くでないわ!」
最後の拳で、僕はもう首を動かすことすらできなくなった。
口からは無意識のうちに「ごめん、ごめんなさい……」と子供めいた声が出ていた。
「ふぅ、親心じゃ。このくらいにしておいてやろう」
「ありがとうございます、お義父様。おかげですっきりしました」
「ああ♡ おじいちゃん、強い……かっこいい♡」
手を振っている父に、左右から日和と千紗希が擦り寄っている。
なんだ、この状況と、この光景は。
なぜ僕は、父親に顔面を殴られ続け、妻と娘はそんな父に発情しているんだ?
「意識があるならそこで見ておれ。お前に日和と千紗希のことを諦めさせてやる」
「あっ♡ お義父様?」
父はそう言って、僕の視界の中心に日和を出す。
日和の裸身を四つん這いにさせて、その背後で膝立ちになる。
「ああ、お義父様、もう一度? もう一度してくださるの?」
「えー、おじいちゃん、次は私の番でしょ?」
「千紗希は少し待っておれ。趣向だ」
背後の父を振り返って期待する日和と、その腕を抱いて甘えた声を出す千紗希。
もうろうとする意識でそれを見ていると、父が日和のヒップを鷲掴みにした。
「ほれ、日和さん。夫の知らないお前の艶っぽい姿を見せてやれ!」
「ふああああぁぁぁんっ♡♡♡」
勢いよく挿入された日和が、僕に向かって動物が吠えるかのように、絶頂の声を上げた。
「すごっ♡ お義父様のやっぱりすごいですっ♡ 私っ、なんだかっ、いつもより感じてるっ♡」
「ははっ、さっき息子を殴るところを見たせいだな。どっちが強い男か本能で理解したんだ!」
父が日和の両腕を掴んで引き、僕の眼前に彼女の爆乳を踊らせる。
「どうだ見ておるか! お前が捨てた妻は私が助けてやったぞ!
いまはこうして体も満足させてやっているぞ!?
ほら、いまどんな気持ちか教えてやれ日和!」
「ふああああっ♡ ごめんなさいあなたっ♡ でも気持ちいいのっ! お義父様に抱かれてすごく幸せを感じているんですっ♡ ひあああああんっ♡ お義父様っ♡ もっともっと突いてぇ♡ お尻をパンパン鳴らして奥をぐりぐりしてくだしゃいっ♡」
日和が父の突き上げに仰け反った。
涎を垂らしそうな恍惚の表情は、目の前にいる僕の顔すら認識していない。
「ふふ、お母さんったら発狂しちゃった。代わりに私が教えてあげるね、お父さん♪」
僕の隣に回ってきた千紗希が、まるで魔女のように耳元で囁く。
「お母さんね、お父さんに捨てられて、不安で怖くて、私を守るためにおじいちゃんを頼ったの。
なのにおじいちゃんってば、優しくて、頼もしくて、借金とか怖いもの全部解決してくれたの。
女だったら惚れちゃうよ。おまけにエッチも上手でおち○ぽも大きいんだよ?
ぜーんぶ、お父さんより上だったの♡」
千紗希の毒を流し込むような甘い声と、目の前で乱れる日和の痴態。
どちらも別世界の出来事のようだった。
「ああいいっ♡ お義父様ぁ♡ 奪って♡ もう一度、このクズ夫から私を奪ってください♡
体ごと全部っ♡ おま○こもっ、おっぱいもっ、お尻もお口もぉ♡
ぜんぶぜんぶっ、おとうさまのものにしてぇぇ♡♡」
強い男に征服されることを悦ぶメスの顔。
そんな日和の姿があまりに鮮烈で――僕の中にある日和が塗りつぶされていく。
交際時代から、プロポーズを経て、結婚式までの記憶が、全て塗りつぶされていった。
「あはっ♡ お母さんってば、イキっぱなしになるといつもああなんだよ?
なまじお父さんを知ってて比較できるからかなぁ?
ああいう燃え方ができるの、ちょっと羨ましいかも♡」
「ああいくぅ♡ おとうさまわたしもうイキます許してぇイクのぉぉぉっっっ♡♡♡」
日和が白目を剥きかけるほど絶頂して、死ぬんじゃないかというほど痙攣する。
「やれやれ、早すぎるぞ日和。
気絶しているところ済まんが、こっちが出すまで付き合ってもらうぞ!」
脱力して床に伏せた日和を、父はそのまま責め続けた。
「おふっ♡ ふおっ♡ おおっ♡ んおぉぉぉぉぉッ♡」
日和は意識を取り戻しても、父に突かれるたびに獣のような声で喘ぐだけだ。
「ふふ、酷いって思う? 私も最初はそうだったけど、あれやられてる方は結構幸せなんだよ?
なんかもう、大草原で獣になって吠えてる感じで。なにもかもから解放された気分になるの。
ああ、人間って結局は動物なんだなぁ、私って一匹のメスなんだなぁって、実感しちゃうの」
千紗希が僕に身を寄せて言った。
「ほら見て? もうすぐおじいちゃんが射精するよ? お父さんのだったお母さんの子宮に」
「んおっ♡ おおおおっ♡ ふぉぉぉぉぉっっっ♡」
「もう何回も中出しされてるんだよ? 中出しでイクのって特別なの♡
お母さんもうあれじゃないと駄目なんだよ?」
「ああああううううぁぁぁぁぁっ♡♡♡」
妻の後ろで、父が背を軽く反らす。
日和の上げた嬌声から、彼女が膣内射精されているのが見て取れた。
「もうね、お父さんとのセックス、ぜんぜん思い出せないんだって。
でも盛り上げたいときにお父さんのことを言うの。
あの人よりおっきい、気持ちいい、比べものにならないって♡
いいなぁ、おじいちゃんを興奮させる武器があって」
千紗希の言う通り、父は一度果てた後だというのに、まったく衰えを見せなかった。
日和から引き抜いたモノは、まるで萎えた様子がないどころか、より力強く脈打って見える。
「千紗希、こっちへこい」
「はい、おじいちゃん♡」
父は日和を横たわらせると、今度は孫娘である千紗希を呼び付ける。
「日和にばかり構っていて悪いな」
「ううん、嬉しい♡ お父さんにも言いたいこと言えたし」
千紗希は父の首に両手を絡めてキスをする。
父の手は千紗希の胸と尻を無遠慮に掴むが、千紗希は拒まないどころか快感に身をよじる。
「さあ、よく見ておけ。次は愛娘の痴態を拝めるぞ?」
「やっ♡ おじいちゃん、ちょっと恥ずかしい……♡」
父は千紗希を背面座位の姿勢にさせ、大きく両足を開かせた。
千紗希はそう言いながらもショーツを脱ぎ捨て、透けたベビードールはそのままにした。
開いた両足の間、濡れそぼった膣口に、父の剛直が添えられた。
「や、やめ……」
僕の言葉など、誰も聞いていなかった。
「おじいちゃんのお○んぽっ♡ すごい、まだ硬い、おっきい♡ 女を狂わせる形してるぅ♡」
千紗希が腰を沈めると、ずぶずぶと音を立てて肉棒が飲み込まれていく。
「おおっ♡ すごいっ♡ 奥まで届いてるぅ♡ お父さんっ、見ないでっ♡
私のこの姿っ、エッチなところぜんぶっ、おじいちゃんのものなのぉっ♡」
千紗希は顔を隠しながら、父に両足を抱え上げられた姿勢で、怒張を根元まで呑み込んだ。
「っくああああぁぁぁぁっ♡♡♡」
そして父の剛直が最奥部に届くと、千紗希は喉を反らして絶叫する。
「おおこれだ。いい締まりだ」
祖父は下品に笑い、千紗希の胸を掴みながら、乱暴に腰を突き上げる。
「んひぃっ♡ んおぉっ♡ おっきぃぃ♡ また、私のおまんこ拡張されちゃうぅぅ♡」
そのたびに千紗希は喘いで、下腹部がきゅうと収縮した。
「どうだ? お前も欲しかっただろう? ほれ、もっと締めろ!」
「あああんっ♡ だめぇ、いまそんなに突かれたらぁぁ♡ すぐイっちゃう♡ 気絶して終わっちゃうのぉ♡ もっとぉ♡ もっといっぱい感じさせてっ♡ おじいちゃんの気持ちよさ味わわせてぇ♡」
父の動きが激しくなり、千紗希の体が上下に揺すられる。
ガクガクガクガク! と千紗希の体が揺れるのは、絶頂によるものでもあった。
「んおおぉっ♡ すごっ、こんなのはじめてぇ♡ おじいちゃん、興奮して……素敵ぃっ♡
お父さん見てる? 私、おじいちゃんのおちんちんで子宮犯されて悦んじゃってるのぉ♡
おほっ♡ おじいちゃんのぉ、お嫁さんになるのぉっ♡
お父さんよりっ、強くて立派な人のっ♡ 赤ちゃんもらうのぉ♡」
千紗希の淫語が僕の耳を犯してくる。
僕は自分のペニスが痛いほど勃起しているのを感じていた。
自分の父親と、自分の愛娘が、セックスする姿を見て……!
「さて、せっかくだ。父親だからこそ見られない痴態をもっと見せてやろう」
父が手指を動かし、千紗希の乳首を陰核にくすぐるような愛撫を始めた。
「あああああっ♡ おじいちゃんっ♡ いまそこ弱いのっ♡ 触られただけでイッちゃうからぁ♡」
千紗希が目を丸くして、父の手を止めようとしたが、父は愛撫を止めないどころか耳を噛む。
「やぁぁぁぁっ♡ だめぇぇぇぇぇっ♡ いってりゅのぉぉぉ♡ いくの伸ばしちゃらめらのぉぉぉぉぉっ♡ 戻らないっ♡ 戻らなくなっちゃうからぁぁぁっ♡」
半狂乱になった千紗希は、父の膝の上でガクンガクンと体を何度も反らした。
父はそれを押さえ込むように千紗希の腰を引き落とし、剛直を激しく突き上げる。
「おおおおおおっ♡ ふおぉっ♡ おおおううぉぉぉっっ♡♡♡」
獣のような声を上げて千紗希は悶え、父の腕の中で痙攣する。
「ふふ……あなた、素敵な顔。そう、その顔が見たかったの」
気がつけば、意識を取り戻したらしい日和が、僕の耳元で囁いていた。
さきほど千紗希が囁いたのとは逆の方向から、より艶然とした魔性の声音で。
「ひ、より……なぜ、こんな、ことを……」
「あなたのせいじゃない」
僕を見据えた日和の目は、氷柱のように鋭く冷たかった。
「私たちを見捨てて、全てお義父様に投げて、恨まなかったと思うの?
それに、海外出張中に女を作っていたでしょう? 気付かなかったはずがないでしょう」
「あ……」
浮気のことまでバレていたと知って、僕は表情が凍る。
「これはその復讐なの。ぜったい、思い知らせるって、決めてたのよ?」
「ああ、あああ……っ」
涙が零れる。
そう、これは日和による復讐でもあったのだ。
僕が愛する妻子を、他の男に奪わせるという、妻が夫に対してできる最大級の報復だ。
「でも、もういいの。だってあなたと結婚したおかげで、お義父様とご縁ができたんだもの。
ふふっ、こんな素敵な男性と巡り合わせてくれたこと、むしろ感謝してるのよ?
いまでは、あなたの妻になったことさえ、このための運命だったと思ってるわ」
「…………」
僕の精神は限界を迎えた。
ただ茫然自失となり、心が殺されたように、妻の声を聞き、娘の嬌声を聞いていた。
「ぉああああでちゃうぅぅぅ♡ もれちゃうよぉぉぉ♡」
そのとき、千紗季が度重なる絶頂で失禁した。
いつの間にか日和は僕の隣から離れている。
千紗季の尿道が向く先は、僕だった。
びしゃりと、僕の顔に温かい液体がかかる。
「ふぉぉ♡ おしっこかけてるぅ♡ お父さんにかけちゃってるのぉぉっ♡」
千紗希は目を剥いて、快感に打ち震えているようだった。
「おおっ♡まだ出てりゅ♡ おじいちゃんのおちんちんでイキまくっちゃってるからぁ♡ きもちよすぎてぇ、ぜんぶ出ちゃうのぉぉ♡」
じょろろっ――と、小便が僕の体に降り注いだ。
生温かな感覚が、僕の記憶を壊していった。
日和が産んでくれた赤ん坊に号泣した日から、日に日に大きくなって、美しくなった娘の思い出が、全て汚さていった。
「はひぃー、はひぃーっ♡」
「次は日和だ。来なさい」
「ああ、お義父様、まだするの? 今日はお盛んすぎです……♡」
どうやらまだするらしい。
僕はもうその光景すらまともに認識できず、ただ日和の嬌声を耳に素通りさせていた。
その後、父は日和と千紗希を交互に抱き続けた。
日和が気絶すれば千紗希が目覚め、千紗希が気絶すれば日和が目覚め、また身を捧げる。
三人は奥の部屋に入り、3Pを含めて様々な体位を行って、僕には目もくれなくなった。
僕の心が死ぬと同時に、妻と娘の中で、僕も死んだようだった。
どれだけの時間が経ち、どれだけ妻子の嬌声を聞いたのか。
やがて日和と千紗希は、布団の上で仲良く手を取って気絶した。
その二人を残して、父がこちらにやってくる。
「ふぅ……さて、一応は教えておいてやる」
父が僕の髪を掴んで顔を上げさせる。
「このことを公にしようとは考えないでおけ。こっちも準備くらいしてある」
息子に向けているとは思えない邪悪な顔で、父は続けた。
「日和さんはお前にDVを受けていた。
そして千紗季はお前に性的虐待を受けていたと証言する用意がある。
浮気をした挙句、借金を押し付けて行方をくらましたお前だ。誰もが信じるだろう。
お前のその顔の傷は、復縁を迫った息子に、父が与えた鉄拳制裁だ。分かるな?」
返事などできなかった。
縄を解かれたが、動く気にもなれない。
父に凄まじい力で引っ張られ、屋敷の外へと放り出されるまで、僕は何も言えなかった。
「ほれ、どこへなりと消えろ――あまり邪魔をすると、『神罰』が下るかもしれんぞ?」
玄関口に用意されていた僕の荷物を放り投げて、父は踵を返す。
夜の屋外に放り出された僕は、しばらく放心状態となり、そこに座り込んでいた。
また屋敷から聞こえ始めた、日和と千紗希の声を、遠くに聞きながら。
聞こえなくなるまでずっと、死んだ心で聞いていた。
ご一読いただきありがとうございます。
ちょっとやりすぎましたかね?
次回、もう少し追加してから、別の原作を考えていきます。